JP4113628B2 - 車両の表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両(以下、自車ともいう)の後側方の物体の中から車線変更の障害となる物体を検出して車両との距離を表示するようにした表示装置に関し、特に、その表示の適正化を図るための技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両用表示装置として、例えば特開平10―206151号公報に示されるように、一定方向に配置された多数のCCDをその配列方向と直交する方向に多段に並設してなる多段ライン型CCDを車両に設け、この多段ライン型CCDに基づいて得られた2次元の距離データから特定の物体を認識することにより、車両の後側方にある車両等の物体(他車)を障害物として判定し、その障害物の存在を車両の運転者等の乗員に知らせて、車線変更を支援するようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように車両の後側方の車両等の物体をセンサにより障害物として検出し、その物体との距離を表示手段で表示する場合、以下の問題が生じる虞れがある。すなわち、例えば車両の走行車線に隣接する車線を車両(自車)よりも速い速度で走行している他車が自車の後方から近付いてきて自車を追い抜こうとする場面を考えると、その他車が自車に近付いている状態では、他車との距離が表示手段で表示されるが、その他車が自車の真横かそれよりも少し後方に近付いた状態では、センサによる物体の検出範囲が車両の後側方であるので、その自車の側方に並んだ他車がセンサの検出範囲外になり、その他車が自車よりも前側に進んだ状態と見倣されて、他車との距離の表示がクリアされることがある。
【0004】
しかし、実際には、上記側方に並んだ他車の存在や位置等を車両の乗員は認識できており、それにも拘わらず表示がなくなることに乗員が違和感を持つこととなる。また、車体のピッチング等により物体に関するデータが欠落したときにも、物体がないと誤判定して物体の表示がキャンセルされることがあり、同様の問題が生じる。
この問題を解決するために、センサの検出範囲を前側に広げればよいが、そうすると、データ処理の複雑化やコストアップを招く難がある。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記車両の後側方の物体を検出してその距離を表示するときの処理方法に工夫を凝らすことにより、検出手段の検出範囲を広げることなく、隣接車線の車両等の物体に追い抜かれるときの該物体についての距離表示を適正に行って車両乗員の違和感をなくすようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、車両の後側方にある物体を検出して車両との距離を表示するとともに、物体の検出がなくなった場合、その物体が車両への接近状態にあれば、その検出がなくなったにも拘わらず該物体との距離の表示を継続させるようにした。
【0007】
具体的には、図1に示すように、請求項1の発明では、車両の後側方の物体を検出する物体検出手段10と、この物体検出手段10により検出された物体の車両との間の距離に関する情報を表示する表示手段31と、上記物体検出手段10により検出された物体が車両に対し接近状態又は離隔状態にあるか否かを判定する接離判定手段40と、上記物体検出手段10により検出されなくなった物体があるときに、上記接離判定手段40により車両へ接近していると判定された物体については、上記表示手段31による距離の表示を継続させる表示継続手段41とを備えている。そして、この表示継続手段41は、車両に接近してくる物体が物体検出手段10により検出されなくなったときに、該物体の車両との距離を予測して該予測距離を表示手段31で表示するように構成されているものとする。
【0008】
上記の構成により、物体検出手段10において車両の後側方にある物体が検出され、この物体検出手段10にて検出された物体の車両との間の距離に関する情報が表示手段31で表示される。また、上記物体検出手段10により検出された物体が車両に対し接近状態又は離隔状態にあるか否かが接離判定手段40により判定される。そして、上記物体検出手段10により検出されなくなった物体があると、上記接離判定手段40により車両へ接近していると判定された物体があれば、その物体が物体検出手段10により検出されなくなっても、表示継続手段41により、上記表示手段31での物体の距離の表示が継続される。
【0009】
このように車両の後側方にある検出物体のうちで車両へ接近しているものについては、その物体検出手段10による検出がなくなっても距離の表示を継続させるので、隣接車線の車両等の物体に車両が追い抜かれるときに、その物体が車両の真横かそれよりも少し後方に近付いて物体検出手段10により検出されなくなったり、或いは、車体のピッチング等により物体が検出されなくなったりしても、その物体の車両との距離が引き続いて表示手段31に表示されることとなる。このことで、物体検出手段10の検出範囲を広げることなく、物体についての距離表示を適正に行って車両乗員の違和感をなくすことができる。
【0010】
また、上記表示継続手段41は、車両に接近してくる物体が物体検出手段10により検出されなくなったときに、該物体の車両との距離を予測して該予測距離を表示手段31で表示するので、車両に接近状態にある物体が物体検出手段10により検出されなくなったときでも、その物体の車両との距離を適正に求めて表示手段31で表示することができる。
【0012】
請求項2の発明では、上記請求項1の発明と同様に、車両の後側方の物体を検出する物体検出手段10と、この物体検出手段10により検出された物体の車両との間の距離に関する情報を表示する表示手段31と、上記物体検出手段10により検出された物体が車両に対し接近状態又は離隔状態にあるか否かを判定する接離判定手段40と、上記物体検出手段10により検出されなくなった物体があるときに、上記接離判定手段40により車両へ接近していると判定された物体については、上記表示手段31による距離の表示を継続させる表示継続手段41とを備えている。そして、この表示継続手段41は、車両から近距離にある物体が物体検出手段10により検出されなくなったときには、その直前(検出されなくなる直前)の物体の車両との距離を表示手段31で表示する一方、遠距離にある物体が物体検出手段10により検出されなくなったときには、該物体の車両との距離を予測して該予測距離を表示手段31で表示するように構成されているものとする。
【0013】
この構成により、請求項1の発明と同様に、物体検出手段10の検出範囲を広げることなく、物体についての距離表示を適正に行って車両乗員の違和感をなくすことができる。また、検出されなくなる遠距離の物体については、車両との距離が多少ずれていても感覚的に判り難いとともに、大きな注意力が不要であるので、その距離が予測されて表示される。一方、近距離にある物体については、その物体が例えば車両から離れていくものである場合に、その離れる直前であって車両から最も近い距離が表示されることとなり、その分、車両の乗員に注意を喚起させることができる。よって、表示手段31での距離表示を車両からの距離に応じて適正に行うことができる。
【0014】
請求項3の発明では、上記請求項1の発明において、表示継続手段41は、物体の車両との予測距離が0以下となったときに表示手段31での距離の表示をキャンセルするように構成されているものとする。このことで、物体の車両との予測距離が0以下となったときに、物体が車両の略真横位置にあると判定されて表示手段31での距離表示がキャンセルされることとなり、物体に対する距離の表示を車両の乗員の感覚により一層適正に対応させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図2は本発明の実施形態に係る表示装置を装備した自動車からなる車両C(自車)を示し、この表示装置は、車両Cの左右斜め後側方に位置する他の車両等の物体O(図5、図11、図12に示す)を認識して警報対象として警報するようになっている。
【0016】
すなわち、図2において、1は車両Cの車体、2は車体1の前後略中央部に形成された車室、3は車体1の前端部に形成されたエンジンルーム、4は車室2の前端部に配置されたインストルメントパネル、5は車室2の後端部にあるパッケージトレイ、6,6は左右のドアミラーである。そして、図3に示すように、上記表示装置は、各々物体Oまでの距離を測定するための左右の後側方検知センサ10,10と、この各検知センサ10の出力信号がそれぞれ入力されるコントローラ15と、このコントローラ15からの信号を受けて車両Cの乗員に情報、例えば物体Oの存在やその障害物としての危険度をCRTや液晶等により表示する表示部31(表示手段)とを備えている。
【0017】
上記表示部31は、上記後側方検知センサ10(物体検出手段)により検出された物体Oの車両Cとの間の距離に関する情報を表示する表示手段をなすもので、図46に示すように、車両Cのリアビューを自車としてイメージした自車リアビュー部32と、この自車リアビュー部32の下側左右両側にそれぞれ左後側方及び右後側方の障害物に対応させて1列ずつ略上下方向に延びるように配置された左右のセグメント列33,33と、自車リアビュー部32の左右両側に配置されて点消灯する真横位置部35,35とを表示する表示画面31aを有し、上記各セグメント列33は個別に点消灯される例えば8個の略台形状のセグメント34,34,…からなる。そして、両セグメント列33,33は、上記自車リアビュー部32から遠い下側から近い側である上側に向かうに連れて互いに近付くように傾斜状に配置され、各セグメント列33におけるセグメント34,34,…の左右幅は、自車リアビュー部32から遠い下側で広く、自車リアビュー部32に近い上側に向かうに連れて狭くなるように変化している。つまり、表示画面31aでは、自車Cを後方から離れて見たときに後方の障害物のイメージを遠近法により表示するようにしている。
【0018】
図2に示す如く、上記両検知センサ10,10は、上記左右のドアミラー6,6の内部にそれぞれ斜め後方を向いた状態で取付固定されている。また、コントローラ15は車室2内に、また表示部31はインストルメントパネル4にそれぞれ配設されている。
【0019】
上記各検知センサ10は、車両Cの後側方の所定範囲の物体Oを検出する物体検出手段を構成するもので、図5に示すように、所定距離離れて上下方向に配置された上下1対のCCDチップ11,11と、該CCDチップ11,11に対応して配置されたレンズ12,12とを備えている。各CCDチップ11は、上下方向たるウィンドウ方向に沿って配置された多数のCCDからなるCCDラインをウィンドウ方向と直交するライン列方向(水平方向)に多段に並設してなる多段ライン型CCDからなり、この各CCDチップ11によりレンズ12を経てドアミラー6のミラー(ハーフミラー)越しに、上下方向に角度θ1の範囲でかつ水平左右方向に角度θ2の範囲(図10、図12参照)にある物体O等の画像を輝度情報として捕らえるようになっている。
【0020】
図4に示す如く、上記各検知センサ10はそれぞれコントローラ15内の測距回路16に接続されている。この各測距回路16は、両CCDチップ11,11での物体像の視差(位相差)を演算する視差演算部17と、この視差演算部17からの信号により物体Oまでの距離を演算する距離演算部18とを備えている。そして、各測距回路16では、図6及び図7に示す如く、各CCDチップ11により輝度として捕らえられた画像を、ライン方向(水平方向)にCCDライン毎のn個のラインに分割するとともに、その各ラインをウィンドウ方向(上下方向)にm個のウィンドウに分割して、画像の略全体をm×n個の領域E,E,…で構成し、両方のCCDチップ11,11による画像での同一の領域E,E間の視差を求め、この視差から各領域E毎に物体Oまでの距離を演算する。
【0021】
すなわち、両CCDチップ11,11により輝度として捕らえられた画像はいずれも図6に示すようになるが、これら両CCDチップ11,11の画像は同じライン位置(図示例ではラインi)では、図8に示すように、両CCDチップ11,11の上下方向のずれ分だけずれていて視差が生じており、この視差を利用して物体Oまでを測距する。この原理について図9により説明するに、図9の三角形P・O1・Q及び三角形O1・P1・Q1同士、並びに三角形P・O2・Q及び三角形O2・P2・Q2同士はそれぞれ相似形あるので、今、検知センサ10(レンズ12)から物体Oまでの距離をa、両レンズ12,12の中心間の距離をB(定数)、レンズ12の焦点距離をf(定数)、両CCDチップ11,11での物体像のレンズ中心からのずれ量をそれぞれx1,x2とすると、
a・x1/f=B−a・x2/f
となり、この式から、
a=B・f/(x1+x2)
が得られる。つまり、両CCDチップ11,11での物体像の視差(位相差)によって物体Oまでの距離aを測定することができる。
【0022】
尚、図6及び図7におけるG(白点)は、CCDチップ11のCCDに対応するように縦横格子状に配置された測距点(測距ポイント)であり、この測距点Gは各領域Eに含まれている。また、各CCDラインでのウィンドウは、一部が隣接するウィンドウと互いにオーバーラップするように分割されており、上下方向(ウィンドウ方向)に隣接する領域E,Eに同じ測距点G,G,…が含まれている。また、O′は物体の像である。
【0023】
また、図10に示すように、上記各CCDチップ11により輝度として捕らえられた画像をライン毎に分割して形成される複数のラインは、車両Cの外側で近距離を測距するライン位置が若い番号とされる一方、車幅方向の中央側で遠距離を測距するライン位置が大きい番号とされ、外側ラインから車幅方向の中央側ラインに向かって番号が順に増加するように番号付けされている。
【0024】
図4に示す如く、上記コントローラ15には、検知センサ10に基づいて得られた上下方向及び水平方向の2次元の距離データ、つまり各測距回路16からの信号を基に特定の物体Oを認識する物体認識部20と、この物体認識部20の出力信号により物体Oを新規物体かどうか選別する物体選別部21と、この物体選別部21により選別された物体Oが車両C(自車)にとって危険対象物かどうかを判断する危険判断部22とが設けられており、物体認識部20において、物体Oの認識結果に基づいて表示信号を表示部31に物体選別部21を経て出力するようにしている。
【0025】
また、コントローラ15は、物体Oを認識する上で本来は物体Oが位置し得ない不要な範囲を除外するレンジカット部24と、測距された各領域毎の距離データと周りの8つの隣接領域との比較(8隣接点処理)を行って有効ポイント数を付与する8隣接点処理部25と、ライン毎の距離を演算するライン距離演算部26と、ガードレールを判定するためのガードレール判定部27と、距離データを物体O毎にグルーピングするグルーピング部28とを備えている。
【0026】
図11は上記レンジカット部24で除外される上下方向のレンジカット範囲Z1を、また図12は同左右方向のレンジカット範囲Z2をそれぞれ示しており、これらのレンジカット範囲Z1,Z2は、ラインの角度とその位置での距離とに基づいて検出される。図12中、Fは車両Cの路面、Mは道路における車両走行車線を設定する路面F上の白線、F1は道路の両側に設置された路側帯、Hはその植込みである。
【0027】
また、上記の如く各検知センサ10は各ドアミラー6のミラー(ハーフミラーのガラス)越しに画像を捕らえるために、そのミラーの歪み等により正確の距離を測定することが困難となり、視差に応じた距離の関係を補正しておく必要がある。この実施形態では、図40に示す如く、予め遠距離側ラインを基準として設定された、視差に応じた距離の関係を示す1つのマップを記憶しており、この1つのマップから距離を補正する。すなわち、測距回路16での測距特性は、遠距離側ラインを基準として、他のラインを補完するようにしている。
【0028】
さらに、周囲の明るさやドアミラー6のミラーの汚れ等により、視差に応じた距離の関係を補正しておくために、この実施形態では以下の処理が行われるようになっている。すなわち、周囲の明るさを判定する前者の場合、測距されている距離データの個数Ndata(図36及び図37参照)を演算してそれを全ての領域の数で割ることにより、検出率(測距率)を求め、図41に示すように、この検出率が所定値以上であるときを「昼」状態と、また所定値よりも低いときを「夜」状態とそれぞれ判定する。
【0029】
一方、ドアミラー6のミラーの汚れ等を判定する後者の場合、路面の白線の位置が検知センサ10に対し一定の角度範囲で一定の距離範囲に含まれることを利用し、その白線の測定距離値がばらつき率をもって変化するときには、ドアミラー6のミラーに雨水等が付着している状態と判定し、一方、白線の測定距離値が絶対値で変化しているときには、ドアミラー6のミラーに汚れ等が付着している状態と判定するようにしている。
【0030】
上記8隣接点処理部25での8隣接点処理動作は、図13に示すように、ある領域E(i,j)の距離データに対しそれに隣接する周りの8つの隣接領域R1〜R8の距離データの相関性を判断するもので、具体的に図15に示す如く行われる。すなわち、最初のステップS1で、ライン数n及びウィンドウ数mに分割された領域E(i,j)毎の距離データd(i,j)を読み込み、次のステップS2で各領域E(i,j)の有効ポイント数P(i,j)をP(i,j)=0と初期化する。この有効ポイント数P(i,j)は各領域E(i,j)に設定されるもので、この値が大きいほど領域の距離データの有効性が高く、信頼性、信憑性があると判断される。次のステップS3では、全ての領域のうち左右端及び上下端の位置にある領域(格子点)への有効ポイント数を嵩上げし、周辺の領域には有効ポイント数P(i,j)を+1だけ、またその中で4つの隅角部の領域には有効ポイント数P(i,j)を+2だけそれぞれ増やすように設定する。この後、ステップS4において、隣接点処理を行うかどうかを判定し、この判定がNOのときには、ステップS11において有効ポイント数P(i,j)をP(i,j)=8に設定した後、ステップS12に進む一方、判定がYESのときには、ステップS5に進む。
【0031】
上記ステップS4で隣接点処理を行うかどうかの判定は、具体的には以下のように行う。
(第1例)
図26に示すように、予め各ライン位置毎に決定される基準距離値diが所定値Lよりも大きいか否かを判定し、この判定がdi>LのYESのときには、隣接点処理は行わない(図15のステップS11に進む)一方、di≦LのNOのときには、隣接点処理を行う(同ステップS5に進む)。
【0032】
上記基準距離値diは、例えば図18(a)に示すように、ラインの位置が大きくなる(車体1外側ラインつまり近距離側ラインから内側ラインつまり遠距離側ラインに向かう)ほどライン位置毎に増加するように、或いは図18(b)に示す如く、ラインの位置の増加に比例して増加するように、又は図18(c)に示す如く、ラインの位置の増加に伴って段階的に増加するようにそれぞれ設定される。
【0033】
(第2例)
図27に示すように、各領域毎の測定距離d(i,j)が所定値Lよりも大きいか否かを判定し、この判定がd(i,j)>LのYESのときには、隣接点処理は行わない(図15のステップS11に進む)一方、d(i,j)≦LのNOのときには、隣接点処理を行う(同ステップS5に進む)。
【0034】
すなわち、8隣接点処理部25は、距離が近距離側及び中距離側にあるときのみ有効ポイント数を付与する処理を行い、遠距離側にあるときには有効ポイント数の付与処理を行わないように構成されている。
【0035】
図15に示す上記ステップS5では距離しきい値d0を設定する。この距離しきい値d0は、付与ポイント数pを決定するためのもので、その設定は以下のように行う。
(第1例)
図16に示すように、距離しきい値d0は定数Cとする。
【0036】
(第2例)
図17に示すように、距離しきい値d0は、上記各ライン毎に決定される基準距離値di(図18参照)の1/10に設定する。
【0037】
(第3例)
図19に示す如く、上記基準距離値diが所定値Lよりも大きいか否かを判定し、この判定がdi>LのYESのときには、距離しきい値d0は大きな値に、またdi≦LのNOのときには、距離しきい値d0は小さな値にそれぞれ設定する。
【0038】
(第4例)
図20に示すように、後述する領域Eと隣接領域R1〜R8との距離差dxの平均値D(有効な距離データがあるものに限る)を求め、この平均値Dが所定値DLよりも大きいかどうかを判定する。この判定がD>DLのYESのときには、距離しきい値d0をd0=Dlargeに、またD≦DLのNOのときには、距離しきい値d0を上記Dlargeよりも小さいDsmall(<Dlarge)にそれぞれ設定する。より具体的には、上記距離しきい値d0は、図21(a)に示す如く平均値Dの増大に応じて大きくなり、平均値Dが最大域に達すると一定となるか、図21(b)に示す如く平均値Dの増大に応じて段階的に大きくなるか、或いは図21(c)に示す如く平均値Dの増大に応じて比例的に大きくなるように決定される。
【0039】
図15のフローにおけるステップS5の後はステップS6に進み、隣接領域Riの距離データd(Ri)を読み込み、次のステップS7では上記領域Eと隣接領域R1〜R8との距離差dx=|d(i,j)−d(Ri)|を演算する。この後、ステップS8において、上記距離差dxと上記距離しきい値d0との大小判定を行い、この判定がdx≧d0のNOのときにはステップS12に進む一方、dx<d0のYESのときには、ステップS9において付与すべきポイント数pを設定する。このステップS9での付与ポイント数pの設定は以下のように行う。
(第1例)
図22に示す如く、当該領域Eにおいて対象とする隣接領域がウィンドウ方向(上下方向)の領域R2又はR7に位置しているかどうかを判定し、この判定がNOのときには付与ポイント数pをp=1に、また判定がYESのときには、付与ポイント数pを上記NO判定の場合よりも大きいp=2にそれぞれ設定する。すなわち、隣接領域がウィンドウ方向(上下方向)にあるときの付与ポイント数p(従って有効ポイント数P(i,j))をライン列方向にあるときの付与ポイント数よりも大きくする。
【0040】
(第2例)
図23に示すように、上記各ライン毎に決定される基準距離値di(図18参照)が所定値Lよりも大きいか否かを判定し、この判定がdi≦LのNOのときには付与ポイント数pをp=1に、また判定がdi>LのYESのときには、付与ポイント数pを上記NO判定の場合よりも大きいp=2にそれぞれ設定する。すなわち、遠距離側ライン位置での付与ポイント数p(有効ポイント数P(i,j))を近距離側領域よりも大きくする。
【0041】
(第3例)
図24に示すように、上記領域E及び隣接領域R1〜R8の距離差dxと所定値D2との大小を判定し、この判定がdx<D2のYESのときには付与ポイント数pをp=3に設定する。判定がdx≧D2のNOのときには、今度は距離差dxと他の所定値D1(D0>D1>D2)との大小を判定し、この判定がdx≧D1のNOのときには付与ポイント数pをp=2に、またdx<D1のYESのときには付与ポイント数pをp=1にそれぞれ設定する。すなわち、隣接領域との距離差が所定値よりも小さいときに付与ポイント数p(有効ポイント数P(i,j))を大きくする。
【0042】
(第4例)
図25に示す如く、上記領域Eの測定距離d(i,j)が所定値Lよりも大きいか否かを判定し、この判定がd(i,j)≦LのNOのときには付与ポイント数pをp=1に、また判定がd(i,j)>LのYESのときには、付与ポイント数pを上記NO判定の場合よりも大きいp=2にそれぞれ設定する。すなわち、領域Eの測定距離が所定値よりも大きいときに付与ポイント数p(有効ポイント数P(i,j))を大きくする。
【0043】
このようなステップS9の後、ステップS10において、それまでの有効ポイント数P(i,j)に上記付与ポイント数pを加えて新たな有効ポイント数P(i,j)=P(i,j)+pを設定し、上記ステップS12に進む。このステップS12では、ステップS6〜S10の処理が8つの隣接領域R1〜R8の各々について終了したかどうかを判定し、この判定がNOのときにはステップS6に戻って、他の残りの隣接領域について同様の処理を行う。一方、判定がYESになると、ステップS13に進み、全ての領域E,E,…についての有効ポイント数P(i,j)の設定(ステップS6〜S10の処理)が終了したか否かを判定する。この判定がNOのときには、ステップS4に戻って他の領域Eについて有効ポイント数P(i,j)の設定を繰り返す。一方、判定がYESになると、次のライン毎の距離の演算処理(図28参照)に進む。
【0044】
図28は上記ライン距離演算部26での処理動作を示し、上記8隣接点処理部25により付与設定された有効ポイント数P(i,j)に基づき上記ライン毎の距離をそれぞれ演算する。
【0045】
まず、ステップT1において、ライン数n及びウィンドウ数mに分割された領域E毎の距離データd(i,j)を読み込むとともに、上記8隣接点処理により付与された領域E毎の有効ポイント数P(i,j)を読み込み、次のステップT2では、ライン代表有効ポイント数PI(i)をPI(i)=0に初期化する。このライン代表有効ポイント数PI(i)は、ライン毎の距離演算の際にラインに設定されるもので、この値が大きいほどラインの距離データの有効性が高く、信頼性、信憑性があると判断される。
【0046】
次のステップT3では、上記ライン代表有効ポイント数PI(i)に対応するライン代表しきい値P0を設定する。このステップT3でのライン代表しきい値P0の設定は以下のように行う。
(第1例)
この例では、図29に示す如く、ライン代表しきい値P0は一定値Cに設定する。
【0047】
また、下記の第2例〜第4例のように、ライン代表しきい値P0は、距離が遠距離側になるほど小さくなるように可変設定する。
【0048】
(第2例)
すなわち、ライン代表しきい値P0をラインの位置に応じて設定する。例えば、図30(a)に示すように、ライン位置が車体1外側から内側に向かう(ライン番号が大きくなる)に連れてライン代表しきい値P0が比例して小さくなるか、或いは、図30(b)に示すように、そのライン位置が車体1外側から内側に向かうに連れてライン代表しきい値P0が段階的に小さくなるように設定する。すなわち、ライン代表しきい値P0を、遠距離側のライン位置ほど小さくなるようにライン毎に設定する。
【0049】
(第3例)
また、ライン代表しきい値P0を実際の測定距離に応じてする。すなわち、図31(a)に示す如く、測定距離が大きくなるに連れてライン代表しきい値P0が比例して小さくなるか、或いは、図31(b)に示すように、その測定距離が大きくなるに連れてライン代表しきい値P0が段階的に小さくなるように設定する。すなわち、ライン代表しきい値P0は、測定された距離が大きくなるほど小さくなるように設定する。
【0050】
(第4例)
図33に示すように、車両Cの側方ないし斜め後方の物体認識範囲に、車両C側方で最も近い近距離検出エリアA1と、この近距離検出エリアA1の後方に位置する中距離検出エリアA2と、この中距離検出エリアA2の後方に位置しかつ最も遠い遠距離検出エリアA3と、上記中距離ないし遠距離検出エリアA2,A3の側方に位置する側方検出エリアA4とを区画設定する。そして、図32に示す如く、中距離検出エリアA2のライン代表しきい値P0を近距離検出エリアA1よりも小さくし、この中距離検出エリアA2よりも遠距離検出エリアA3のライン代表しきい値P0を小さく(図示例では遠距離検出エリアA3のライン代表しきい値P0=0)設定する。尚、側方検出エリアA4のライン代表しきい値P0は、中距離検出エリアA2のライン代表しきい値P0よりも大きくかつ近距離検出エリアA1のライン代表しきい値P0よりも小さく設定する。すなわち、ライン代表しきい値P0は、予め設定された検出エリアA1〜A4毎に設定する。
【0051】
下記の第5例〜第7例のように、ライン代表しきい値P0は測定距離の状況に応じて可変設定する。
(第5例)
ライン代表しきい値P0は各ライン上の領域の中の最大有効ポイント数Pmaxに応じて設定する。具体的には、図34に示すように、ラインi上の領域中から最大有効ポイント数Pmax=max(P(i,1),P(i,2),…,P(i,m))を探索する。次いで、上記最大有効ポイント数Pmaxが所定値よりも大きいか否かを判定し、この判定がNOのときにはライン代表しきい値P0をP0=P1に、また判定がYESのときには、ライン代表しきい値P0を上記NOの場合よりも大きいP0=P2(>P1)にそれぞれ設定する。すなわち、ライン代表しきい値P0は、各ライン上の領域の最大有効ポイント数Pmaxに応じて設定する。
【0052】
(第6例)
ライン代表しきい値P0は各ライン上の領域の有効ポイント数の総和Psumに応じて設定する。具体的には、図35に示すように、ラインi上の領域中の有効ポイント数の総和Psum=(P(i,1)+P(i,2)+…+P(i,m)を探索する。次いで、上記総和Psumが所定値よりも大きいか否かを判定し、この判定がNOのときにはライン代表しきい値P0をP0=P1に、また判定がYESのときには、ライン代表しきい値P0を上記NOの場合よりも大きいP0=P2(>P1)にそれぞれ設定する。すなわち、ライン代表しきい値P0は、各ライン上の領域の有効ポイント数の総和Psumに応じて、その総和Psumが大きいほど大きくなるように設定する。
【0053】
(第7例)
ライン代表しきい値P0は各ライン上の領域の距離データの検出頻度に応じて設定する。具体的には、図36に示す如く、測距されている距離データの個数Ndataを演算し、このデータ個数Ndataが所定値よりも大きいか否かを判定して、この判定がNOのときにはライン代表しきい値P0をP0=P1に、また判定がYESのときには、ライン代表しきい値P0を上記NOの場合よりも大きいP0=P2(>P1)にそれぞれ設定する。すなわち、ライン代表しきい値P0を各ライン上の領域での距離データの検出頻度に基づいて設定する。
【0054】
図37は上記距離データの個数Ndataの演算例を示し、データ個数NdataをNdata=0として初期化した後、各ライン上のある領域での距離d(i,j)がd(i,j)=0かどうかを判定する。この判定がYESのときには距離データが検出されていない状態としてそのまま、また判定がNOのときには距離データが検出されている状態としてデータ個数NdataをNdata=Ndata+1に更新した後、それぞれ次のステップに進み、各ライン上の全ての領域での距離d(i,j)について終了したかどうかを判定する。この判定がYESになるまで、上記距離d(i,j)=0の判定及びフィルタ処理を繰り返し、判定がYESになるとフィルタ処理に入る。このフィルタ処理は、距離データの瞬間的な検出状況の変動によるライン代表しきい値P0の頻繁な切換えを抑えるために行うもので、まず、データ個数Ndataを平滑化して平滑化データ個数Ndatarecを求め、次いで、元のデータ個数Ndataを平滑化データ個数Ndatarecに置換する。
【0055】
図28のフローにおいて、ステップT3の後はステップT4に進み、上記領域毎の有効ポイント数P(i,j)がライン代表しきい値P0よりも大きいかどうかを判定する。この判定がP(i,j)≦P0のNOのときには、そのままステップT6に進むが、判定がP(i,j)>P0のYESのときには、ステップT5において、ライン毎の代表距離l(i)を平均化のために更新するとともに、上記ライン代表有効ポイント数PI(i)に領域毎の有効ポイント数P(i,j)を加えてライン代表有効ポイント数PI(i)の更新を行った後にステップT6に進む。すなわち、ライン距離演算部26では、8隣接点処理部25によって付与設定された有効ポイント数P(i,j)がライン代表しきい値P0よりも大きい領域についてライン毎の距離演算を行うようにしている。
【0056】
上記ライン毎の代表距離l(i)の更新は次の式で行う。
l(i)=[l(i)×PI(i)+d(i,j)×{P(i,j)−PO+1}]÷{PI(i)+P(i,j)−PO+1}
【0057】
上記ステップT6では当該ラインの全てのウィンドウ番号(領域E)について終了したか否かを判定し、この判定がYESになるまでラインの各領域EについてステップT3〜T5を繰り返す。ステップT6の判定がYESになると、ステップT7に進み、全てのライン番号について終了したかどうかを判定し、この判定がYESになるまでステップT2〜T6を繰り返す。ステップT7の判定がYESになると、次の物体認識処理(図39参照)に進む。
【0058】
図38は上記ライン距離演算部26での処理動作の他の実施形態を示し、各ライン上の領域E,Eの最大有効ポイント数となる距離データを基準として、該距離データから所定距離以上外れた距離データを距離演算に用いないようにしている。尚、図28と同じ部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0059】
すなわち、ステップU1,U2は上記ステップT1,T2(図28参照)と同じである。ステップU3〜U6では、ラインiにおける最大有効ポイント数PPと、その最大有効ポイント数PPが得られる領域Eの距離Dmaxとを求める。具体的には、ステップU3において、ラインiにおける最大有効ポイント数PPをPP=0に初期化した後、ステップU4で、領域E毎の有効ポイント数P(i,j)が上記ライン代表有効ポイント数PPよりも大きいかどうかを判定する。この判定がP(i,j)≦PPのNOのときには、そのままステップU6に進むが、判定がP(i,j)>PPのYESのときには、ステップU5において、その領域E毎の有効ポイント数P(i,j)を上記ライン代表有効ポイント数PPとし、かつ該領域Eでの距離d(i,j)を距離Dmaxとした後、ステップU6に進む。そして、ステップU6では、全てのウィンドウ番号について終了した、つまりライン中の全ての領域について最大有効ポイント数PP及びそれに対応する領域の距離Dmaxが得られたかどうかを判定し、この判定がYESになるまでステップU4〜U6を繰り返す。
【0060】
ステップU6の判定がYESになると、ステップU7に進み、距離判定のための下限値Dlower(=Dmax−d0)及び上限値Dupper(=Dmax+d0)を設定する。その後、ステップU8において、上記領域毎の距離d(i,j)が上記下限値Dlowerよりも大きくかつ上限値Dupperよりも小さい、すなわちDlower<d(i,j)<Dupperかどうかを判定し、この判定がNOのときにはそのままステップU10に、また判定がYESのときにはステップU9を経てステップU10にそれぞれ進む。上記ステップU9は図28におけるステップT5と、またステップU10は同ステップT6とそれぞれ同じである。そして、このステップU10の後、図28におけるステップT7と同じ処理を行うステップU11に進む。
【0061】
尚、以上に説明した各領域E毎の距離データd(i,j)から8隣接点処理を行って有効ポイント数P(i,j)を付与し、その後にライン毎の代表距離l(i)を演算する過程の具体例を図14に示しており、図14(a)は各領域毎の距離データd(i,j)を、また図14(b)は領域毎の有効ポイント数P(i,j)を、さらに図14(c)はライン毎の代表距離l(i)をそれぞれ表している。
【0062】
図39はコントローラ15における物体認識部20での処理動作を示し、この物体認識部20では、上記ライン距離演算部26により演算されたライン毎の代表距離l(i)に基づいて物体Oを認識する。すなわち、ステップW1において物体番号kを設定し、ステップW2では、物体検出距離L(k)、物体有効ポイント数PK(k)及び物体内のデータ数N(k)をいずれも0にして、一次保管用データセットのリセットを行う。
【0063】
次のステップW3では、有効な未登録のラインデータが登録されているかどうかを判定し、この判定がNOのときにはステップW8に進む。ステップW3の判定がYESになると、ステップW4において、ラインデータの前後位置XD(i)及び横位置YD(i)を設定する。この後、ステップW5において、既に上記物体検出距離L(k)が定義されているかどうかを判定し、この判定がNOのときには、ステップW6に進み、上記物体検出距離L(k)をL(k)=XD(i)に、また物体有効ポイント数PK(k)をPK(k)=PI(i)に、さらに物体内のデータ数N(k)をN(k)=1にそれぞれ設定して、一次保管用データセットのセットを行った後、ステップW8に進む。
【0064】
これに対し、ステップW5の判定がYESのときには、ステップW7に進み、物体検出距離L(k)をL(k)={PK(k)×L(i)+P(i)×XD(i)}/{PK(k)+P(i)}に、また物体有効ポイント数PK(k)をPK(k)=PK(k)+PI(i)に、さらに物体内のデータ数N(k)をN(k)=N(k)+1にそれぞれ設定して、一次保管用データセットの更新を行った後、ステップW8に進む。
【0065】
上記ステップW8では、全てのライン番号について終了したかどうかを判定し、この判定がYESになるまでステップW3〜W7を繰り返す。ステップW8の判定がYESになると、ステップW9〜W11において物体Oの登録の可否の判定を行う。まず、ステップW9において、上記物体内のデータ数N(k)が所定値以上かどうかを判定する。尚、この所定値は、遠距離側ほど小さくするように可変設定することもできる。このステップW9の判定がNOのときには、距離データはノイズ等に起因するものであると見做し、ステップW10において物体Oの登録は行わず、物体番号kの物体データを初期化した後、後述する表示処理動作(図42及び図43参照)へ進む。一方、ステップW9の判定がYESであるときには、ステップW11において物体Oの登録を行った後に上記表示処理動作へ進む。すなわち、物体認識部20は、ライン距離演算部26により演算されたライン毎の距離のデータ数N(k)が所定値以上であるときのみに、該ライン毎の距離に対応する物体を新規物体として登録する。
【0066】
そして、上記物体認識部20での処理動作の後は図42及び図43に示す表示処理動作に進み、上記表示部31での物体表示のための表示処理を行う。すなわち、この表示処理動作では、まず、図42に示すステップX1で、上記後側方検知センサ10により物体Oが検出されなくなったかどうかを判定し、この判定が「物体検出有り」のNOのときには、ステップX2に進み、上記登録物体Oの自車Cとの間の距離Lを算出した後、図43に示すステップX12に進む。
【0067】
これに対し、上記ステップX1の判定が「物体検出なし」のYESとなると、ステップX3において、その検出されなくなった物体Oが前回は車両C(自車)から近距離範囲にあったかどうかを判定し、この判定がNO、つまり検出されなくなった物体Oが前回は車両Cから遠距離範囲にあったときには、ステップX4に進む。図47は車両Cの後側方にある近距離範囲及び遠距離範囲の概念を示し、図中、Bは表示部31による表示対象範囲で、そのうちの前後中央位置よりも若干前側寄りの位置から後端までが遠距離範囲B2とされ、この遠距離範囲B2前側の表示対象範囲Bと該表示対象範囲Bよりも少し前方で車両C(自車)の前端までの範囲とが近距離範囲B1とされる。具体的には、上記近距離範囲B1と遠距離範囲B2との境界は危険回避距離、例えば自車Cが車線変更を行って隣接車線に移行したとき、その隣接車線を走行して自車Cを追い抜こうとする他車(物体O)が自車Cの車線変更により急ブレーキ操作が不要な程度(例えば0.3G以下)に減速して自車Cと同じ速度になりかつ自車Cとの間に一定の車間距離(例えば10m)が保たれるような距離に設定される。
【0068】
上記ステップX4では、検出されなくなった物体Oの位置を前回の車両Cとの相対速度から推定し、次のステップX5で上記推定した物体位置までの距離Lを予測した後にステップX12に進む。
【0069】
上記ステップX3の判定がYES、つまり検出されなくなった物体Oが前回は車両Cから近距離範囲にあったときには、ステップX6に進み、今度はその物体Oが車両C(自車)に接近していたか否かを判定する。この判定がNOのときには、ステップX7において前回の距離L(検出されなくなる直前の物体Oの車両Cとの距離)を算出した後にステップX12に進む。
【0070】
上記ステップX6で物体Oが車両C(自車)に接近していたYESと判定されると、ステップX8において、上記ステップX4と同様に、物体Oの位置を前回の車両Cとの相対速度から推定し、次のステップX9で上記推定した物体位置が自車Cの横であるかどうかを判定する。この判定がNO、つまり物体位置が自車Cの横でないときには、ステップX10に進み、上記ステップX5と同様に、推定した物体位置までの距離Lを予測してからステップX12に進む。
【0071】
これに対し、上記ステップX9の判定がYES、つまり物体位置が自車Cの横であるときには、ステップX11において、表示部31の表示画面31aで真横位置部35を所定時間、例えば前回の相対速度に基づいて物体Oが自車Cを完全に追い抜くまでの時間、点灯表示した後に終了する。
【0072】
図43に示す如く、上記ステップX12では、上記ステップX2,X5,X7,X10で算出又は予測された登録物体Oの自車Cとの間の各距離Lと、比較的長い設定値40mとの大小を比較し、この判定がL>40mのNOのときには、物体Oは自車Cから遠く離れて車線変更の障害物となり得ないと判断してそのまま終了する。ステップX12の判定がL≦40mのYESのときには、ステップX13に進んで今度は上記距離Lと極めて短い設定値10m(最近接位置の物体Oが自車Cのミラーの死角に入るような距離)との大小を比較する。この判定がL≦10mのYESのときには、物体Oが自車Cに極めて近接していると判断し、ステップX14に進んで、その物体Oに関する情報を上記表示部31の表示画面31aにおけるセグメント34の表示輝度(点灯輝度)のレベルを「設定3」にセットし、次のステップX15においてセグメント34の表示色を「赤」にセットした後、ステップX22に進み、上記表示部31の表示画面31aでセグメント列33のセグメント34,34,…の点灯により物体Oとの間の現在の距離を表示した後に終了する。
【0073】
上記ステップX13の判定がL>10mのNOのとき(L=10〜40mのとき)には、ステップX16に進み、上記物体Oの自車Cに対する相対速度Spを演算する。次のステップX17では上記演算された相対速度Spが正か否か、つまり物体Oが自車Cに対して接近しているか否かを判定し、この判定がYES(Sp>0)で物体Oが接近状態であるときには、ステップX18に進み、上記表示部31の表示画面31aにおけるセグメント34,34,…の表示輝度のレベルを中間程度の「設定2」にセットし、次のステップX19でセグメント34,34,…の表示色を「黄」にセットした後、上記ステップX22に進む。
【0074】
一方、上記ステップX17の判定がNO(Sp≦0)のときには、物体Oが離隔状態であると見倣してステップX20に進み、上記表示画面31aにおけるセグメント34,34,…の表示輝度のレベルを最も小さい(暗い)「設定1」にセットし、次のステップX21でセグメント34,34,…の表示色を「青」にセットした後、上記ステップX22に進む。
【0075】
以上の説明において、検出されなくなった物体Oまでの距離Lと物体Oに対する相対速度との関係をまとめると下記の表1のようになる。
【0076】
【表1】
【0077】
上記表示部31における各セグメント列33のセグメント34の表示輝度レベルは、図44に示すように、「設定」の数値が大きくなるほど輝度が大きく(明るく)なるように設定されている。また、上記図43に示すステップX22で行う距離表示については、表示画面31aの各セグメント列33の8個のセグメント34,34,…をそれぞれ5mの間隔を表すものとし、図45に示す如く、物体Oが40mからに5mずつ自車Cに接近する毎にセグメント34,34,…の点灯個数が1個ずつ増加するようになっている。従って、上記のようにステップX3でL≦10mと判定された場合、その距離Lの算出結果に応じて、セグメント列33の8個のセグメント34,34,…のうち下から7個目までのセグメント34,34,…(L=5〜10mの場合)、又は全てのセグメント34,34,…(L<5mの場合)が点灯し、そのセグメント34,34,…の点灯が最も明るい「設定3」の輝度レベルでかつ最も注意を喚起させる「赤」の色で行われる。尚、図46では、全てのセグメント34,34,…が「設定3」の輝度レベルでかつ「赤」色で点灯している表示状態を例示している。
【0078】
この実施形態では、上記図42に示す表示処理動作におけるステップX6により、検知センサ10により検出された物体O(詳しくは検知センサ10により検出されたがその後に検出されなくなった物体O)が車両Cに対し接近状態又は離隔状態にあるか否かを判定する接離判定手段40が構成されている。
【0079】
また、ステップX1〜X5、X7〜X11により、検知センサ10により検出されなくなった物体Oがあるときに、上記接離判定手段40により車両Cへ接近していると判定された物体Oについては、表示部31による距離の表示を継続させる表示継続手段41が構成されている。
【0080】
そして、この表示継続手段41は、車両Cに接近してくる物体Oが検知センサ10により検出されなくなったときに、該物体Oの車両Cとの距離Lを予測して該予測距離Lを、また車両Cから離れていく物体Oが検知センサ10により検出されなくなったときに、その直前の物体Oの車両Cとの距離Lをそれぞれ表示部31で表示するように構成されている。
【0081】
また、表示継続手段41は、車両Cから近距離にある物体Oが検知センサ10により検出されなくなったときには、その直前の物体Oの車両Cとの距離を表示部31で表示する一方、遠距離にある物体Oが検知センサ10により検出されなくなったときには、該物体Oの車両Cとの距離Lを予測して該予測距離Lを表示部31で表示するように構成されている。
【0082】
さらに、表示継続手段41は、上記物体Oの車両Cとの予測距離Lが0以下となったときに表示部31での距離の表示をキャンセルするように構成されている。
【0083】
したがって、この実施形態では、左右後側方検知センサ10,10により画像が輝度情報として捕らえられると、まず、コントローラ15の各測距回路16において、各検知センサ10の画像がライン列及びウィンドウ方向にそれぞれ分割されて各領域Eについて距離d(i,j)が測定される。次いで、8隣接点処理部25で、上記測定された領域E毎の距離d(i,j)及び隣接領域R1〜R8の距離の差dxに基づいて各領域E毎の距離データの有効ポイント数P(i,j)が付与され、ライン距離演算部26において上記有効ポイント数P(i,j)に基づきライン毎の距離l(i)が演算され、物体認識部20においてライン距離演算部26により演算されたライン毎の距離l(i)から物体Oが認識される。このように、各領域Eについての距離データの有効性が隣接領域R1〜R8との関係から有効ポイント数P(i,j)として判定され、この有効ポイント数P(i,j)に基づいてライン毎の距離l(i)を求めて、その距離l(i)から物体Oを認識するので、測距データのばらつきやノイズ等があっても、その影響を可及的に低減することができ、高精度の距離演算が可能となって正確な物体認識を行うことができる。
【0084】
また、上記8隣接点処理部25では、領域Eと隣接領域R1〜R8との距離差dxがしきい値d0よりも小さいときに有効ポイント数P(i,j)(付与ポイント数p)を付与するようにしているので、領域Eの隣接領域R1〜R8との距離差dxがしきい値d0よりも小さいときのみを有効ポイント数P(i,j)の付与によって有効と判断でき、距離演算の精度を高めることができる。
【0085】
そのとき、上記しきい値d0は、領域Eの測定距離データに応じて可変とされ、図17〜図19に示すように、領域のライン位置に応じて設定された基準距離値diが大きいほど大きくなるように設定すれば、遠距離側領域の距離データについてのしきい値d0を大きくすることで、その距離データの有効ポイント数P(i,j)を増やし、遠距離側の物体Oについての距離データがばらついても正確なデータを得ることができる。
【0086】
また、図20及び図21に示す如く、しきい値は、各領域Eの隣接領域R1〜R8との距離差dxの平均値Dに基づき、該平均値Dが大きいほど大きくなるように設定すれば、実際に測定された距離データに応じてしきい値d0が設定されるので、遠距離側が変化してもそれにしきい値d0を安定して対応させることができる。
【0087】
上記8隣接点処理部25においては、付与する有効ポイント数を領域Eの距離d(i,j)に応じて変え、図22に示すように、ウィンドウ方向にある隣接領域R2,R7の有効ポイント数をライン列方向よりも大きくするようにされている。すなわち、CCDチップ11でのCCDラインが等間隔である場合、遠距離領域に含まれるライン数が近距離領域に比べ少なくなり、遠距離側の物体Oが近距離側の物体Oに比べ認識され難くなるが、この実施形態のように、隣接領域がウィンドウ方向にあるときの有効ポイント数をライン列方向よりも大きくすれば、上記少ないライン数であっても有効ポイント数を増加でき、遠距離側物体Oを認識する確率を高めることができる。
【0088】
また、図23に示すように、遠距離側ライン位置での有効ポイント数を近距離側ライン位置よりも大きくするようにしても、同様の効果が得られる。
【0089】
さらに、図24に示すように、隣接領域R1〜R8との距離差dxが所定値D1又はD2よりも小さいときに有効ポイント数を大きくするようにすると、物体Oを認識し易くすることができる。
【0090】
また、図25に示す如く、測定された距離d(i,j)が所定値Lよりも大きいときに有効ポイント数を大きくするようにしても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0091】
図26及び図27に示すように、距離が近距離側及び中距離側にあるときのみ有効ポイント数を付与する処理を行い、遠距離側にあるときには有効ポイント数の付与処理を行わないようにすると、遠距離側では、距離データの有効性を判断する有効ポイント数の付与処理が行われず、その距離データが有効ポイント数の付与処理によってノイズ等として落とされることなく、そのまま採用される。この場合でも同様の効果が得られる。
【0092】
上記ライン距離演算部26では、有効ポイント数P(i,j)がライン代表しきい値P0よりも大きい領域についてライン毎の距離演算を行うので、ライン毎の距離l(i)を正確に演算することができる。
【0093】
そのとき、図30〜図33に示すように、上記ライン代表しきい値P0は、距離が遠距離側になるほど小さく設定する(図30に示す如く、遠距離側のライン位置ほど小さくなるようにライン毎に設定するか、又は図31に示す如く、測定された距離d(i,j)が大きくなるほど小さくなるように設定する)と、遠距離側領域のライン代表しきい値が近距離側領域よりも小さいので、遠距離側の距離データの取りこぼしが防止でき、その遠距離側の距離演算を精度よく行って遠距離側の物体Oを正確に認識することができる。
【0094】
また、図32及び図33に示すように、ライン代表しきい値を、予め設定された検出エリアA1〜A4毎に設定すると、所望の検出エリアA1〜A4の距離演算を精度よく行うことができる。
【0095】
一方、図33〜図36に示す如く、上記ライン代表しきい値は、各ライン毎の距離データの検出状況に応じて設定することで、ライン代表しきい値が検出状況に応じて変化して設定され、距離演算の精度をさらに高めることができる。
【0096】
すなわち、図34に示すように、ライン代表しきい値P0は、各ライン上の領域の最大有効ポイント数Pmaxに応じて、その最大有効ポイント数Pmaxが大きいほど大きくなるように設定すると、ライン代表しきい値P0は、各ライン上の領域の最大有効ポイント数Pmaxに応じて変化する。また、図35に示す如く、ライン代表しきい値P0は、各ライン上の領域の有効ポイント数の総和Psumに応じて、その総和Psumが大きいほど大きくなるように設定すれば、ライン代表しきい値P0が、各ライン上の領域の有効ポイント数の総和Psumに応じて変化する。従って、いずれの場合でも、距離演算の精度を高めることができる。
【0097】
また、図36に示す如く、ライン代表しきい値は、各ライン上の領域での距離データの検出頻度に基づいて設定すると、距離データの検出頻度が高いときには、ライン代表しきい値を大きく設定して、距離演算の精度を高めることができる。
【0098】
図38に示すように、上記ライン距離演算部26において、各ライン上の領域の最大有効ポイント数となる距離Dmaxを基準として、該距離Dmaxから所定距離d0以上外れた距離データを距離演算に用いないように構成すれば、各ライン上の領域の最大有効ポイント数となる距離Dmaxから所定距離d0の範囲内にある距離データのみで距離演算が行われ、高精度の距離演算を行うことができる。
【0099】
図39に示すように、上記物体認識部20は、ライン距離演算部26により演算されたライン毎の距離のデータ数が所定値以上にあるときのみに、該ライン毎の距離に対応する物体Oを新規物体Oとして登録するようにすると、新規物体Oの登録に際し制限を設けることができ、物体O以外のノイズ等が誤って物体Oとして登録されるのを抑制することができる。
【0100】
そのとき、上記ライン毎の距離データ数と比較する所定値は、遠距離側ほど小さくなるように設定すれば、遠距離側の物体Oほど登録し易くすることができる。
【0101】
また、上記測距回路16の測距特性は、遠距離側ラインを基準として、他のラインを補完するように構成されているので、検知センサ10後方のドアミラー6のミラー等の測距精度への影響を避ける目的で、ライン毎の測距特性を所定ラインを基準にして他のラインを補完するとき、遠距離側の距離データの有効性を高めつつ、全てのラインの検出精度を良好に補正することができる。
【0102】
また、上記物体認識部20は、物体Oの認識結果に基づいて警報等の信号を出力するように構成されているので、認識物体Oを容易に知ることができる。
【0103】
さらに、この実施形態では、車両Cの後側方の所定範囲内にある物体Oが検知センサ10により検出されて物体Oとして登録され、その登録物体Oが車両Cの車線変更の障害物と判定されて、その車両Cとの間の距離Lに関する情報が表示部31のセグメント34,34,…の点灯表示により乗員に報知される。そして、上記登録された物体Oのうち検知センサ10により検出されなくなった物体Oがあると、その検出されなくなった物体Oの車両Cとの距離が判定され、その物体Oが車両Cから遠距離にあったときには、その物体Oの位置が前回の車両Cとの相対速度から推定されて該物体Oの位置までの距離Lが予測され、その予測距離Lが表示部31の表示画面31aでセグメント列33のセグメント34,34,…の点灯により表示される。すなわち、このように検出されなくなった物体Oが遠距離にある場合、その物体Oの車両Cとの距離Lが多少ずれていても車両Cの乗員に感覚的に判り難く、しかも、遠距離の物体Oについては車線変更のために大きな注意力が不要であるので、その物体Oまでの距離Lが予測されて予測距離Lが表示部31に表示され、物体Oの距離表示を適正に行うことができる。
【0104】
一方、検出されなくなった物体Oが近距離にあるときには、その物体Oの車両C(自車)に対する接離状態が判定され、離隔状態にあるときには、検出されなくなる直前の物体Oの車両Cとの距離Lが表示部31の表示画面31aでセグメント列33のセグメント34,34,…の点灯により表示される。このように近距離にあって離隔していく物体Oが検出されなくなったときには、その離隔する直前であって車両Cから最も近い距離Lが表示されることとなり、その分、車両Cの乗員に注意を喚起させることができ、表示部31での距離表示が適正に行われる。
【0105】
そして、上記検出されなくなった近距離にある物体Oが近付いてきているときには、物体Oの位置が推定されて該推定位置が自車の横であるかが判定され、物体Oの位置が自車の横でないときには、推定した物体Oの位置までの予測距離Lが表示部31の表示画面31aでセグメント列33のセグメント34,34,…の点灯により表示される。このように車両Cに接近してくる近距離の物体Oが検出されなくなったときには、その物体Oの車両Cとの予測距離Lが表示されるので、その接近状態にある物体Oが検出されなくなったときでも、その物体Oの車両Cとの距離Lを適正に求めて表示することができる。
【0106】
さらに、物体Oの推定位置が自車の横であるとき、換言すれば物体Oの推定位置に基づいて予測した予測距離Lが0以下になったときには、表示部31でのセグメント列33のセグメント34,34,…の点灯による距離の表示がキャンセルされ、その代わり、表示部31の表示画面31aで真横位置部35が点灯されて表示される。このように、距離の表示がキャンセルされて真横位置部35のみが点灯されることで、物体Oに対する距離の表示を車両Cの乗員の感覚に適正に対応させることができる。
【0107】
このように、検知センサ10により検出されなくなった登録物体Oがあると、そのうちで車両Cへの接近しているものについては、その検出がなくなっても表示部31での距離の表示が継続されるので、隣接車線の車両等の物体Oに車両Cが追い抜かれる際に、その物体Oが車両Cの真横かそれよりも少し後方に近付いて検知センサ10により検出されなくなったり、或いは、車体のピッチング等により物体Oが検出されなくなったりしても、その物体Oの車両Cとの距離が引き続いて表示されることとなる。それ故、検知センサ10の検出範囲を広げることなく、物体Oについての距離表示を適正に行って車両Cの乗員の違和感をなくすことができる。
【0108】
尚、上記実施形態では、検知センサ10により検出されなくなった近距離の登録物体Oがあるときに、車両Cへ接近していると判定された物体Oについて表示部31による距離の表示を継続させるようにしているが、車両Cへの接近状態が所定時間以上継続していると判定された物体Oについて距離の表示を継続させるようにしてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、検知センサ10として多段ライン型CCDを用いているが、本発明はその他、レーザレーダや超音波センサミリ波を用いて車両Cの後側方の物体Oを検出するようにしてもよく、同様の作用効果が得られる。また、検知センサ10はドアミラー6内に限らず、その他、例えば車室内のリアウィンドガラス近くに設置することもできる。
【0110】
また、上記警報対象となった最近接位置の登録物体Oの距離Lについての情報は、表示部31にセグメント34,34,…の点灯により表示するものに限らず、その他の表示形態により表示するようにしてもよく、さらには表示部31での表示のみでなくて音声等により車両Cの乗員に報知するようにしてもよい。
【0111】
【発明の効果】
以上説明した如く、請求項1の発明によると、車両の後側方の物体を検出手段で検出して、その物体との距離を表示する場合において、物体検出手段により検出されなくなった物体があるときに、車両へ接近していると判定された物体については、上記距離の表示を継続させ、車両に接近してくる物体が物体検出手段により検出されなくなったときに、その物体の車両との距離を予測して表示するようにしたことにより、隣接車線を走行して車両を追い抜こうとする車両等の物体が車両の真横かそれよりも少し後方に近付いて物体検出手段により検出されなくなり、或いは車体のピッチング等により物体が検出されなくなっても、その物体の距離を表示でき、よって物体検出手段の検出範囲を広げることなく、物体についての距離表示を適正に行って車両乗員の違和感の解消を図ることができるとともに、車両に接近状態にある物体が検出されなくなったときに、その物体の車両との距離表示を適正に行うことができる。
【0114】
請求項2の発明によると、請求項1の発明と同様に、物体検出手段により検出されなくなった物体があるときに、車両へ接近していると判定された物体については、上記距離の表示を継続させ、車両から近距離にある物体が物体検出手段により検出されなくなったときには、その検出されなくなる直前の物体の車両との距離を、また遠距離にある物体が検出されなくなったときには、その物体の車両との距離を予測してそれぞれ表示するようにしたことにより、物体検出手段の検出範囲を広げることなく、物体についての距離表示を適正に行って車両乗員の違和感の解消を図ることができるとともに、検出されなくなった物体の車両との距離表示を車両からの距離に応じて適正に行うことができる。
【0115】
請求項3の発明によると、上記物体の車両との予測距離が0以下となったときに距離の表示をキャンセルするようにしたことにより、物体に対する距離の表示を車両の乗員の感覚により一層適正に対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用表示装置の各構成部品の車両での位置を示す斜視図である。
【図3】表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】表示装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】検知センサにより物体を測距する概念を示す側面図である。
【図6】CCDチップにより捕らえた画像を示す図である。
【図7】CCDチップにより捕らえた画像の中のラインをウィンドウ方向に分割して領域を区分する概念を示す図である。
【図8】上下のCCDチップにより得られた画像が同じラインでずれて視差が生じる状態を示す説明図である。
【図9】上下のCCDチップにより物体までの距離を測定する原理を示す図である。
【図10】CCDチップにより得られた画像におけるCCDラインの測距方向を示す平面図である。
【図11】上下方向のレンジカット領域を示す側面図である。
【図12】水平方向のレンジカット領域を示す平面図である。
【図13】領域に隣接する8隣接領域の配置を示す図である。
【図14】8隣接点処理からライン毎の距離演算までの具体例を示す図である。
【図15】8隣接点処理動作を示すフローチャート図である。
【図16】距離しきい値の設定のための第1例を示すフローチャート図である。
【図17】距離しきい値の設定のための第2例を示す図16相当図である。
【図18】基準距離値の設定例を示す図である。
【図19】距離しきい値の設定のための第3例を示す図16相当図である。
【図20】距離しきい値の設定のための第4例を示す図16相当図である。
【図21】距離差の平均値に応じて距離しきい値を設定する例を示す図である。
【図22】各領域毎の有効ポイント数付与のための第1例を示すフローチャート図である。
【図23】各領域毎の有効ポイント数付与のための第2例を示す図22相当図である。
【図24】各領域毎の有効ポイント数付与のための第3例を示す図22相当図である。
【図25】各領域毎の有効ポイント数付与のための第4例を示す図22相当図である。
【図26】各領域毎の有効ポイント数付与の実行判断のための第1例を示すフローチャート図である。
【図27】各領域毎の有効ポイント数付与の実行判断のための第2例を示す図26相当図である。
【図28】ライン毎の距離演算処理動作を示すフローチャート図である。
【図29】ライン代表しきい値の設定のための第1例を示すフローチャート図である。
【図30】ライン代表しきい値の設定のための第2例を示す特性図である。
【図31】ライン代表しきい値の設定のための第3例を示す特性図である。
【図32】ライン代表しきい値の設定のための第4例を示す特性図である。
【図33】ライン代表しきい値の設定のための第4例における検出エリアを示す平面図である。
【図34】ライン代表しきい値の設定のための第5例を示すフローチャート図である。
【図35】ライン代表しきい値の設定のための第6例を示す図34相当図である。
【図36】ライン代表しきい値の設定のための第7例を示す図34相当図である。
【図37】ライン代表しきい値の設定のための第7例におけるデータ個数の演算例を示すフローチャート図である。
【図38】ライン毎の距離演算処理動作の他の実施形態を示す図28相当図である。
【図39】物体の認識処理動作を示すフローチャート図である。
【図40】視差に応じた距離補正のための特性を示す特性図である。
【図41】検出率に応じて昼夜判定するための説明図である。
【図42】表示処理動作の前半部を示すフローチャート図である。
【図43】表示処理動作の後半部を示すフローチャート図である。
【図44】表示処理動作で用いる表示輝度マップの特性を示す図である。
【図45】表示処理動作で用いるセグメント点灯個数マップの説明図である。
【図46】表示部での表示状態を示す図である。
【図47】近距離及び遠距離の概念を示す平面図である。
【符号の説明】
C 車両
6 ドアミラー
10 後側方検知センサ(物体検出手段)
11 CCDチップ(多段ライン型CCD)
15 コントローラ
16 測距回路
20 物体認識部
21 物体識別部
25 8隣接点処理部
26 ライン距離演算部
31 表示部(表示手段)
40 接離判定手段
41 表示継続手段
E,E(i,j) 領域
R1〜R8 隣接領域
d(i,j) 測定距離
dx 隣接領域との距離差
d0 しきい値
P(i,j) 有効ポイント数
P0 ライン代表しきい値
l(i,j) ライン代表距離
A1〜A4 検出エリア
B 表示対象範囲
B1 近距離範囲
B2 遠距離範囲
O 物体
O′ 物体像
Claims (3)
- 車両の後側方の物体を検出する物体検出手段と、
上記物体検出手段により検出された物体の車両との間の距離に関する情報を表示する表示手段と、
上記物体検出手段により検出された物体が車両に対し接近状態又は離隔状態にあるか否かを判定する接離判定手段と、
上記物体検出手段により検出されなくなった物体があるときに、上記接離判定手段により車両へ接近していると判定された物体については、上記表示手段による距離の表示を継続させる表示継続手段とを備え、
上記表示継続手段は、車両に接近してくる物体が物体検出手段により検出されなくなったときに、該物体の車両との距離を予測して該予測距離を表示手段で表示するように構成されていることを特徴とする車両の表示装置。 - 車両の後側方の物体を検出する物体検出手段と、
上記物体検出手段により検出された物体の車両との間の距離に関する情報を表示する表示手段と、
上記物体検出手段により検出された物体が車両に対し接近状態又は離隔状態にあるか否かを判定する接離判定手段と、
上記物体検出手段により検出されなくなった物体があるときに、上記接離判定手段により車両へ接近していると判定された物体については、上記表示手段による距離の表示を継続させる表示継続手段とを備え、
上記表示継続手段は、車両から近距離にある物体が物体検出手段により検出されなくなったときには、その直前の物体の車両との距離を表示手段で表示する一方、遠距離にある物体が物体検出手段により検出されなくなったときには、該物体の車両との距離を予測して該予測距離を表示手段で表示するように構成されていることを特徴とする車両の表示装置。 - 請求項1の車両の表示装置において、
表示継続手段は、物体の車両との予測距離が0以下となったときに表示手段での距離の表示をキャンセルするように構成されていることを特徴とする車両の表示装置。
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