JP4112697B2 - プラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法 Download PDF

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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、表示デバイスとして用いられるPDP(プラズマディスプレイパネル)の隔壁壁面に蛍光体層を形成する蛍光面製造法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、主流で行われている蛍光面製造法には、スクリーン印刷方法がある。このスクリーン印刷方法は、PDPにおいて隔壁により分離されているそれぞれの空間(以下、放電セルとする)に壁面塗布法を用いて蛍光体画素を形成する。
【0003】
このとき、このスクリーン印刷方法は、スクリーンを介する印刷手法を用いて所定の空間に蛍光体が混入されているペースト状の液体を流し込む方法である。そして、スクリーン印刷方法は、乾燥時において、表面張力により自然に壁面に蛍光体層が形成されるメカニズムを利用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スクリーン印刷法は、
▲1▼ 蛍光体面に対するスクリーンの位置合わせ精度が良くない。
例えば、42インチの長さにおいて、50〜200μmのずれ、および歪 みを生じる。
【0005】
▲2▼ スクリーンから放電セルへ抜け落ちるペースト量が一定でなく蛍光体形状 が不均一となる。
例えば、隔壁上部に丸みおよび凹凸が存在し、蛍光体の擦り込むときに剥 がれを生じ、放電セル内における蛍光体の量および形状に不均一を生じる。
【0006】
▲3▼ 蛍光体によるスクリーン上の研磨作用により蛍光体の汚れが発生する。
等の欠点を有する。
【0007】
位置あわせの精度を上げるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法として、サンドブラスト形成法がある。しかしながら、サンドブラスト形成法は、隔壁の上部における放電セルを覆うカバーの密着性が悪くなり、放電セル内における蛍光体の量および形状に不均一を生じる。
【0008】
本発明は、このような背景の下になされたもので、位置合わせ精度が向上し、プラズマディスプレイパネルの放電セル全体で均一な蛍光体形状が得られ、かつ蛍光体の汚れが発生しないプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、プラズマディスプレイパネル表面に隔壁により区分けされて設けられた放電セル毎に蛍光体層を形成するプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法において、前記蛍光体を注入する前記放電セルを選択するためのマスクを用いるフォトリソグラフィによりパターニングされたフィルムを用いること特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法において、前記プラズマディスプレイパネル表面に前記隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁上面に前記フィルムを塗布する塗布工程と、前記フィルムを前記マスクを介して露光する露光工程と、前記フィルムを現像する現像工程と、前記現像工程によりパターニングされ、上部のフィルムが除去された放電セルに蛍光体の混入されたワックスを擦り込む擦込工程と、前記ワックスを加熱して前記ワックスを溶融し、前記蛍光体を前記放電セルに固定する加熱工程と、前記プラズマディスプレイパネル表面の前記フィルムを全て除去するフィルム除去工程とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法において、前記プラズマディスプレイパネルがカラーである場合、レッド、グリーンおよびブルーのそれぞれの蛍光体毎に前記塗布工程、前記露光工程、前記現像工程、前記擦込工程、前記加熱工程および前記除去工程を行い所定の前記放電セルに固定することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法において、前記蛍光体の混入される前記ワックスの材料が加熱による燃焼時にカーボン残さの残らないことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1〜図7は本発明の一実施形態によるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法の流れを示している。図1〜図7は、各工程におけるプラズマディスプレイパネルの縦方向の断面形状を示す概念図である。
【0014】
図1において、Sは絶縁体材料、例えば低融点ガラスで形成されるプラズマディスプレイパネルの基板である。そして、隔壁2は、基板S上に等間隔、例えば240μmの間隔で120μmの高さで基板S上部表面に絶縁体材料、例えばセラミック混合体により形成される。ここで隔壁2は、基板S表面全面に略正方形上の枠を複数形成している。
【0015】
この枠内部の空間、例えばC1、C2、C3およびC4は、プラズマディスプレイパネルにおけるプラズマによる発光が起こる放電セルである。次に、ドライフィルム1はテンティング性(空間強度)を有するネガレジストであり、隔壁2の上面に、例えば25μmの厚さで形成され、放電セルC1、放電セルC2、放電セルC3および放電セルC4のそれぞれの開口部を塞ぐ。
【0016】
次に、図2において、放電セルC1、放電セルC2、放電セルC3および放電セルC4上の任意のドライフィルム1を除去するため、マスク露光が行われる。例えば、カラー用のプラズマディスプレイパネルを形成する場合、RGB(レッド-グリーン-ブルー)の3種類の蛍光体がおのおの周期的に放電セルに固定される必要がある。
【0017】
そこで、例えば、放電セルC1および放電セルC4にはレッドの蛍光体を固定し、放電セルC2にはグリーンの蛍光体を固定し、放電セルC3にはブルーの蛍光体を固定する。
【0018】
そして、放電セルC1および放電セルC4へレッドの蛍光体を固定する場合、マスク3を介してドライフィルム1へ紫外線(UV)、例えば波長365nmの紫外線を20秒の間照射する。
【0019】
ここで、マスク3は放電セルC1および放電セルC4上部のドライフィルム1に対して紫外線がマスクされ、照射されないようになっている(フォトリソグラフィ)。この紫外線照射により、紫外線が照射されなかった放電セルC1および放電セルC4上部のドライフィルム1以外の紫外線が照射された放電セルC2および放電セルC3上部のドライフィルム1が現像液、例えば炭酸ナトリウム1%溶液に溶解しない状態に固化される。
【0020】
次に、図3において、現像液に浸されてドライフィルム1の現像が行われる。これにより、マスク3によりマスクされ、紫外線が照射されていない放電セルC1および放電セルC4上部のドライフィルム1が溶解される。この結果、放電セルC1および放電セルC4の上部が開放される。
【0021】
次に、図4において、レッドの蛍光体入りのワックス4がドライフィルム1上部全体にラバー製のブレード等により均一に塗布される。これにより、レッドの蛍光体K1入りのワックス4が、ドライフィルム1が除去されて上部の開放されている放電セルC1および放電セルC4に擦り込まれる。
【0022】
次に、図5において、ワックス4は、オーブン内部において60〜150度の雰囲気により加熱融解される。これにより、ワックス4は、融解されて液状化し、表面張力により放電セルC1および放電セルC4の内部に広がる。そして、室温において冷却することで、ワックス4は表面張力で広がった状態において固化する。
【0023】
次に、図6において、ドライフィルム1は、例えば苛性ソーダ溶液により除去される。そして、蛍光体K1を含んだワックス4のみが放電セルC1および放電セルC4内に固定される。
【0024】
次に、図1と同様に、あらたなドライフィルム1’が隔壁2上面に塗布されて形成される。そして、図2と同様に、放電セルC2上部に紫外線を遮光するマスク3’を設け、このマスク3’を介してドライフィルム1’へ紫外線を照射する。次に、図3と同様に、放電セルC2上のドライフィルム1’を現像して除去する。
【0025】
そして、図4と同様に、グリーンの蛍光体入りのワックス4’がドライフィルム1’上部全体にラバーブレードにより均一に塗布される。これにより、グリーンの蛍光体K2入りのワックス4’が、ドライフィルム1’が除去されて上部の開放されている放電セルC2に擦り込まれる。
【0026】
次に、図5と同様に、ワックス4’は、加熱融解されて液状化し、表面張力により放電セルC2の内部に広がる。そして、室温において冷却することで、ワックス4’は表面張力で広がった状態において固化する。そして、図6において、ドライフィルム1’は、苛性ソーダ溶液により除去される。そして、蛍光体K2を含んだワックス4’のみが放電セルC2内に固定される。
【0027】
次に、図1と同様に、あらたなドライフィルム1’’が隔壁2上面に塗布されて形成される。そして、図2と同様に、放電セルC3上部に紫外線を遮光するマスク3’’を設け、このマスク3’’を介してドライフィルム1’’へ紫外線を照射する。次に、図3と同様に、放電セルC3上のドライフィルム1’’を炭酸ナトリウム1%溶液により現像して除去する。
【0028】
そして、図4と同様に、グリーンの蛍光体入りのワックス4’’がドライフィルム1’’上部全体にラバーブレード等により均一に塗布される。これにより、グリーンの蛍光体K3入りのワックス4’’が、ドライフィルム1’’が除去されて上部の開放されている放電セルC3に擦り込まれる。
【0029】
次に、図5と同様に、ワックス4’’は、加熱融解されて液状化し、表面張力により放電セルC3の内部に広がる。そして、室温において冷却することで、ワックス4’’は表面張力で広がった状態において固化する。そして、図6において、ドライフィルム1’’は、苛性ソーダ溶液により除去される。
【0030】
次に、図7において、固化されているレッドの蛍光体が混入されたワックス4、グリーンの蛍光体が混入されたワックス4’およびブルーの蛍光体が混入されたワックス4’’は、たとえば400度における熱処理により燃焼される。このとき、バインダーとなっているワックス4、ワックス4’およびワックス4’’は、ガス化されて除去される。そして、蛍光体K1のみが放電セルC1および放電セルC4内に、蛍光体K2のみが放電セルC2内に、蛍光体K3のみが放電セルC3内に固定される。
【0031】
このとき、ワックス4、ワックス4’およびワックス4’’として用いるバインダーの材料としては、加熱による燃焼(焼成)時にカーボン残さの残らない材料、例えばステアリルアルコール、ステアリン酸、パラフィン、ポリエチレンワックスおよびセタノール等が用いられる。
【0032】
また、ワックス4、ワックス4’およびワックス4’’の調整方法は、前述したカーボン残さの残らない材料と、エチルセルロースと、蛍光体とを「40:2:10」の割合で加熱融解して均一に混ぜ合わせる。そして、混ぜ合わせたカーボン残さの残らない材料、エチルセルロースおよび蛍光体との混合物と、「100℃」の湯とを「52:200」の割合で加え、高速撹拌した後に急冷させることで、ワックスで包まれた(バインドされた)蛍光体を調整する。
【0033】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、プラズマディスプレイパネル表面に隔壁により区分けされて設けられた放電セル毎に蛍光体層を形成するプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法において、前記蛍光体を注入する前記放電セルを選択するためのマスクを用いるフォトリソグラフィによりパターニングされたフィルムを用いるため、前記蛍光体を注入する前記放電セルに対する前記フィルムの位置合わせ精度が向上し、均一な量の蛍光体を各放電セルへ供給し、均一な形状で蛍光体を放電セル内で固定することが可能となる。
【0034】
請求項2記載の発明によれば、前記プラズマディスプレイパネル表面に前記隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁上面に前記フィルムを塗布する塗布工程と、前記フィルムを前記マスクを介して露光する露光工程と、前記フィルムを現像する現像工程と、前記現像工程によりパターニングされ、上部のフィルムが除去された放電セルに蛍光体の混入されたワックスを擦り込む擦込工程と、前記ワックスを加熱して前記ワックスを溶融し、前記蛍光体を前記放電セルに固定する加熱工程と、前記プラズマディスプレイパネル表面の前記フィルムを全て除去するフィルム除去工程とを有するため、前記蛍光体を注入する前記放電セルに対するマスクの位置合わせ精度が向上し、均一な量の蛍光体を各放電セルへ供給し、均一な形状で蛍光体を放電セル内で固定し、かつ蛍光体面の汚れの発生を防止でき、かつ歩留まりが向上させることができ、材料利用効率が向上し、コストダウンを可能とする。
【0035】
請求項3記載の発明によれば、前記プラズマディスプレイパネルがカラーである場合、レッド、グリーンおよびブルーのそれぞれの蛍光体毎に前記塗布工程、前記露光工程、前記現像工程、前記擦込工程、前記加熱工程および前記除去工程を行い所定の前記放電セルに固定するため、前記蛍光体を注入する前記放電セルに対する前記フィルムの位置合わせ精度が向上し、均一な量の蛍光体を各放電セルへ供給し、均一な形状で蛍光体を放電セル内で固定できるので、蛍光体の滲みのないカラープラズマディスプレイを形成できる。
【0036】
請求項4記載の発明は、前記蛍光体の混入される前記ワックスの材料が加熱による燃焼時にカーボン残さの残らないため、放電セル内における蛍光体面に汚れが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法の塗布工程を説明する、プラズマディスプレイパネルの断面形状を示す概念図である。
【図2】 本発明の一実施形態によるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法の露光工程を説明する、プラズマディスプレイパネルの断面形状を示す概念図である。
【図3】 本発明の一実施形態によるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法の現像工程を説明する、プラズマディスプレイパネルの断面形状を示す概念図である。
【図4】 本発明の一実施形態によるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法の擦込工程を説明する、プラズマディスプレイパネルの断面形状を示す概念図である。
【図5】 本発明の一実施形態によるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法の加熱工程を説明する、プラズマディスプレイパネルの断面形状を示す概念図である。
【図6】 本発明の一実施形態によるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法の除去工程を説明する、プラズマディスプレイパネルの断面形状を示す概念図である。
【図7】 本発明の一実施形態によるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法の焼成工程を説明する、プラズマディスプレイパネルの断面形状を示す概念図である。
【符号の説明】
1 ドライフィルム
2 隔壁
3 マスク
4 ワックス(蛍光体入りワックス)
C1、C2、C3、C4 放電セル
K1、K2、K3 蛍光体
S 基板

Claims (3)

  1. プラズマディスプレイパネル表面に隔壁により区分けされて設けられた放電セル毎に蛍光体層を形成する際、前記蛍光体を注入する前記放電セルを選択するためのマスクを用いるフォトリソグラフィによりパターニングされたフィルムを用いるプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法であり、
    前記プラズマディスプレイパネル表面に前記隔壁を形成する隔壁形成工程と、
    前記隔壁上面に前記フィルムを塗布する塗布工程と、
    前記フィルムを前記マスクを介して露光する露光工程と、
    前記フィルムを現像する現像工程と、
    前記現像工程によりパターニングされ、上部のフィルムが除去された放電セルに蛍光体の混入されたワックスを擦り込む擦込工程と、
    前記ワックスを加熱して前記ワックスを溶融し、前記蛍光体を前記放電セルに固定する加熱工程と、
    該加熱工程後に前記プラズマディスプレイパネル表面の前記フィルムを全て除去するフィルム除去工程と
    を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法。
  2. 前記プラズマディスプレイパネルがカラーであり、レッド、グリーンおよびブルーのそれぞれの蛍光体毎に前記塗布工程、前記露光工程、前記現像工程、前記擦込工程、前記加熱工程および前記除去工程を行い所定の前記放電セルに固定することを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法。
  3. 前記蛍光体の混入される前記ワックスの材料が加熱による燃焼時にカーボン残さの残らないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの蛍光面製造方法。
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