JP4112223B2 - 活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳化液とした時の放置安定性に優れた自己乳化性を有するポリイソシアネート系誘導体[A]を用いた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエステルジオールやポリエーテルジオール等のジオール化合物、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物及びヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートからなるウレタン(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線硬化型樹脂として知られており、木工塗料等の他、粘着剤用途にも使用されている。
【0003】
粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系粘着剤とウレタンアクリレートを含有してなる樹脂組成物(特開昭61−28572号公報)や、ウレタンアクリレートと反応性希釈剤を含有してなる樹脂組成物(特開平11−189762号公報)、主鎖に水添ポリブタジエン骨格を有するポリオールを用いてなるウレタン(メタ)アクリレート及び単官能(メタ)アクリレートを含有してなる樹脂組成物(特開平4−183770号公報)等が提案されている。
【0004】
しかし、これらウレタン(メタ)アクリレートは一般的に粘度が高いため、その使用に当たっては有機溶剤や反応性希釈剤により希釈して粘度調整を行った上で、塗工し、紫外線硬化して粘着層を形成するものであるが、有機溶剤により希釈する場合には、近年の、大気汚染や作業環境、火災の危険性等に対するVOC規制下において問題となるものであった。一方、反応性希釈剤により希釈する場合には、低粘度化に大量を必要とする場合があり、充分な粘着物性を得にくい等の問題等があった。
【0005】
このような状況下において、近年では、水分散型等の水系化の要望が高まっており、例えば、(1)特開平11−209448号公報では、オキシアルキレン基及びアミノ化合物で中和されたカルボキシル基を有する多官能ウレタンアクリレート、光重合開始剤、及び水を含んでなる光硬化性樹脂組成物が、(2)特開平11−279242号公報では、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレートを、水混和率が100重量%以上の水溶性反応性希釈剤の存在下で製造するとともに、当該ポリウレタン(メタ)アクリレートのカルボキシル基をアミン塩とした後、さらに水を加え、乳化する水性活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、それぞれ提案されている。
【0006】
更に、(3)特開2000−159847号公報では、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートから選ばれる硬化性オリゴマーの少なくとも1種を反応性乳化剤の存在下に、水溶媒中に分散させてなる水分散型硬化性樹脂組成物が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)及び(2)開示技術では、カルボキシル基をウレタンアクリレートの骨格に導入するものであり、水性化に当たってはカルボン酸を中和する必要があり、また、上記(3)開示技術では、水分散させるに当たっては乳化剤が必要となるうえ、得られる乳化液の放置安定性は不充分であった。
更に、上記(1)〜(3)開示技術では、粘着物性においてもまだまだ満足のいくものではなく、更なる改善が求められる。
【0008】
そこで、本発明ではこのような背景下において、自己乳化型で、乳化液とした時の放置安定性に優れ、更に接着力、保持力等の粘着物性に優れた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)を反応させてなる直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]中のイソシアネート基が、一般式(1)で示されるポリエチレングリコール誘導体(a3)の水酸基及び、水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)の水酸基と、それぞれウレタン結合を形成してなるポリイソシアネート系誘導体[A]及びエチレン性不飽和モノマー[B]を含有してなる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
【化2】
ここで、Xはエチレン基、Yはアルキル基、(メタ)アクリロイル基のいずれかであり、nは5〜500である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるポリイソシアネート系誘導体[A]は、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)を反応させてなる直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]中のイソシアネート基が、一般式(1)で示されるポリエチレングリコール誘導体(a3)の水酸基及び、水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)の水酸基と、それぞれウレタン結合を形成してなるポリイソシアネート系誘導体であり、該ポリイソシアネート系誘導体[A]を構成する各成分について説明する。
【0012】
ポリオール(a1)としては、ジオールであればよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、ポリテトラメチレングリコール等のジオールや、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール、該多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール、カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等のポリブタジエン系ポリオール等のジオールが挙げられる。
【0013】
更には、かかるポリオール(a1)として、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、酒石酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ジヒドロキシメチル酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ホモゲンチジン酸等のカルボキシル基含有ポリオールや、1,4−ブタンジオールスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基又はスルホン酸塩基含有ポリオール等のジオールが挙げられる。
上記のなかでも、自己乳化性の点から、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好適に用いられる。
【0014】
ポリイソシアネート(a2)としては、ジイソシアネートであればよく、例えば芳香族系、脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートが挙げられ、中でもトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m−TMXDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)等のジイソシアネートが挙げられる。
【0015】
ポリエチレングリコール誘導体(a3)としては、上記一般式(1)で示される構造のものであればよく、一方の水酸基の水素がアルキル基、(メタ)アクリロイル基のいずれかで置換されたものである。
【0016】
かかる一般式(1)で示されるポリエチレングリコール誘導体(a3)の具体例としては、
[Y:アルキル基の場合]
例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、等
【0017】
[Y:(メタ)アクリロイル基の場合]
例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等
が挙げられる
【0018】
ポリエチレングリコール誘導体のエチレンオキサイド付加モル数nが5〜500であり、特には5〜100、更には6〜50であることが好ましい。更には、硬化性への影響の点で、Yがアルキル基又は(メタ)アクリロイル基である。
【0019】
また、一般式(1)で示されるポリエチレングリコール誘導体(a3)の重量平均分子量としては100〜20000が好ましく、特には200〜10000、更には400〜4000が好ましい。かかる分子量が100未満では自己乳化が難しくなり、20000を越えると硬化塗膜の耐水性が著しく劣り好ましくない。
【0020】
更に、一般式(1)で示されるポリエチレングリコール誘導体(a3)の水酸基価としては2〜560mgKOH/gが好ましく、特には5.5〜280mgKOH/g、更には14〜145mgKOH/gが好ましい。かかる水酸基価が2mgKOH/g未満では硬化塗膜の耐水性が著しく劣り、560mgKOH/gを越えると自己乳化が難しくなり好ましくない。
【0021】
水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)としては、多価アルコールのアクリル酸部分エステルであれば特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0022】
本発明のポリイソシアネート系誘導体[A]は、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)を反応させてなる直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]中のイソシアネート基が、一般式(1)で示されるポリエチレングリコール誘導体(a3)の水酸基及び、水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)の水酸基と、それぞれウレタン結合を形成してなるポリイソシアネート系誘導体であり、反応制御の安定性、製造時間の短縮等の点で好ましい。
【0023】
かかる直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]は、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)を反応させてなるものであり、反応に当たっては、上記ポリオール(a1)と上記ポリイソシアネート(a2)をα:α+1のモル比で反応させればよい(αは1以上の整数である)。かかるポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)の反応においては、反応を促進する目的でジブチルチンジラウレート等の触媒を用いることも好ましい。また、必要に応じて、水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーの存在下で反応させることもあり得る。
【0024】
かくして得られる直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]において、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)との結合繰り返し単位数は、1〜15であることが好ましく、更に2〜10、特には2〜8が好ましい。かかる繰り返し単位数が15を越えるとオリゴマーが高粘度となり常温塗工が困難となるか、もしくは低粘度化のためエチレン性不飽和モノマーの希釈量が多くなり粘着物性が低下することとなり好ましくない。
【0025】
また、直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]の重量平均分子量は、5000〜100000が好ましく、より好ましくは10000〜50000であり、5000未満では粘着性が低下し、100000を越えるとオリゴマーが高粘度となり常温塗工が困難となるか、もしくは低粘度化のためエチレン性不飽和モノマーの希釈量が多くなり粘着物性が低下し好ましくない。
【0026】
更に、得られた直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]、一般式(1)で示されるポリエチレングリコール誘導体(a3)、水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)を反応させて、直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]中のイソシアネート基が、ポリエチレングリコール誘導体(a3)の水酸基と、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)の水酸基と、それぞれウレタン結合を形成することにより、ポリイソシアネート系誘導体[A]が得られる。
【0027】
ポリオール(a1)が2個の水酸基を有するジオール、ポリイソシアネート(a2)が2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートを反応させてなる直鎖状の両末端イソシアネート基含有化合物において、1個のイソシアネート基がポリエチレングリコール誘導体(a3)の水酸基とウレタン結合を形成し、残りの1個のイソシアネート基が水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)の水酸基とウレタン結合を形成したポリイソシアネート系誘導体[A]となる。
【0028】
上記ウレタン結合を形成する反応を行うに当たっては、特に限定されず、(ロ)直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]、ポリエチレングリコール誘導体(a3)、水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)を一括に仕込み反応させる方法、(ハ)直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]と水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)を反応させた後、ポリエチレングリコール誘導体(a3)を反応させる方法、(ニ)直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]とポリエチレングリコール誘導体(a3)を反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)を反応させる方法、等が挙げられるが、反応制御の安定性と製造時間の短縮の観点から、(ハ)の方法が好ましい。
【0029】
また、上記ウレタン反応においては、反応を促進する目的でジブチルチンジラウレート等の触媒を用いることも好ましく、更に反応温度は30〜90℃、特には40〜70℃の範囲が好ましい。
【0030】
かくして本発明のポリイソシアネート系誘導体[A]が得られる。
得られたポリイソシアネート系誘導体[A]は、その1分子中のエチレン性不飽和基数が1〜3個であることが硬化被膜の粘着性の点で好ましく、3個を越えると活性エネルギー線による硬化被膜の接着性が低下し好ましくない。
【0031】
また、得られたポリイソシアネート系誘導体[A]の重量平均分子量としては10000〜100000であることが好ましく、更には2000〜50000であることが好ましい。かかる重量平均分子量が1000未満では硬化塗膜が脆くなり、100000を越えると高粘度となり取り扱いにくく、また自己乳化が難しくなり好ましくない。
【0032】
尚、上記の重量平均分子量とは、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
【0033】
かくして得られたポリイソシアネート系誘導体[A]は、自己乳化型で、乳化液とした時の放置安定性に優れたポリイソシアネート系誘導体となる。
次に、上記ポリイソシアネート系誘導体[A]を用いた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について説明する。
【0034】
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、上記ポリイソシアネート系誘導体[A]及びエチレン性不飽和モノマー[B]を含有してなるものである。
エチレン性不飽和モノマー[B]としては、1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有するものであればよく、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマーが挙げられる。
【0035】
単官能モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(n=2)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン等が挙げられる。
【0036】
2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等が挙げられる。
【0037】
3官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート等が挙げられる。
【0038】
その他アクリル酸のミカエル付加物あるいは2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルも挙げられ、アクリル酸のミカエル付加物としては、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等が挙げられる。また、2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、特定の置換基をもつカルボン酸であり、例えば2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。更に、その他オリゴエステルアクリレートも挙げられる。
【0039】
特に本発明で、ポリイソシアネート系誘導体[A]の自己乳化性を利用して、水系の分散液の組成物としての用途面での機能をより多く発揮させるためには、水溶性または水分散性をもつエチレン性不飽和モノマー[B]の使用が望ましく、例えば、アクリロイルモルフォリン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、エチレンオキサイド変性エポキシアクリレート、ポリエチレングリコールを主成分とするポリエステルアクリレート等の水溶性または水分散性のエチレン性不飽和モノマーを用いることが好ましい。中でもアクリロイルモルフォリン、ポリエチレングリコールジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート等の水溶性または水分散性のエチレン性不飽和モノマーが好適である。
これら上記のエチレン性不飽和モノマー[B]は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
更に本発明では、活性エネルギー線照射により硬化せしめるために、光重合開始剤[C]を含有することが好ましい。
光重合開始剤[C]としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピレンフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、4′,4″−ジエチルイソフタロフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、α−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等が挙げられ、中でもベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが好適に用いられる。
【0041】
更に、必要に応じて光重合開始剤の助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
【0042】
特に本発明で、ポリイソシアネート系誘導体[A]の自己乳化性を利用して、水系の分散液の組成物としての用途面での機能をより多く発揮させるためには、水溶性または水分散性をもつ光重合開始剤[C]の使用が望ましく、例えば2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメトクロライド(オクテルケミカルズ社製、「Quantacure QTX」)や、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア2959」)等の水溶性または水分散性の光重合開始剤を用いることが好ましい。中でも1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア2959」)の水溶性または水分散性の光重合開始剤が好適である。
【0043】
本発明において、上記エチレン性不飽和モノマー[B]の配合量は、ポリイソシアネート系誘導体[A]100重量部に対して5〜1000重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜500重量部、特に好ましくは25〜100重量部である。かかる配合量が5重量部未満では常温塗工性が低く、1000重量部を越えると硬化塗膜が脆くなり、また自己乳化が難しくなり好ましくない。
【0044】
また、光重合開始剤[C]の配合量は、ポリイソシアネート系誘導体[A]とエチレン性不飽和モノマー[B]の合計100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜8重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。かかる配合量が1重量部未満では紫外線硬化の場合の硬化速度が極めて遅くなり、10重量部を越えても硬化性は向上せず無駄である。
【0045】
更に、上記ポリイソシアネート系誘導体[A]及びエチレン性不飽和モノマー[B]、更には光重合開始剤[C]の他に、フィラー、染顔料、油、可塑剤、ワックス類、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、乳化剤、ゲル化剤、安定剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、補強剤、艶消し剤、架橋剤、粘着付与性化合物等を配合することも可能である。
【0046】
架橋剤としては、熱により架橋を引き起す作用をもつ化合物、具体的にはエポキシ化合物、アジリシン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物、キレート化合物等が使用できる。
【0047】
粘着付与性化合物として、ロジン類、ロジンエステル化合物、ピネン系ポリマー、水添石油樹脂、炭化水素樹脂、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール等の添加も差し支えない。
【0048】
かくして本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が得られる。
かかる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、自己乳化性を有し、乳化液の放置安定性に優れた硬化型粘着剤組成物となるのが本発明の特徴であるが、かかる乳化液として向けの使用に限定されるものではなく、必要に応じて、有機溶剤を配合して溶液状態として使用することも可能である。かかる有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、セロソルブ類、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
【0049】
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、通常基材シート等に塗布されて粘着シートや粘着テープ等として実用に供されることが多く、基材に塗布後、活性エネルギー線照射によって硬化され粘着性が発現される。
【0050】
塗布する基材としては、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリピロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート等の透明フィルムが挙げられ、特に自動車ボディの塗膜の保護フィルム用途にはポリエチレンフィルムや、耐候剤やその他の添加剤が配合されたポリエチレンフィルム等が、半導体ウエハのバックグラインド工程での凹凸面の表面保護用途や、ダイシング工程での、エキスパンドが必要な用途に用いる場合には、柔軟性、延伸性に優れるポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の透明或いは活性エネルギー線透過が可能な着色フィルムが好適に用いられる。
【0051】
かかる活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。又、活性エネルギー線照射に続いて80〜200℃程度の温度で加熱処理することもできる。尚、電子線照射を行う場合は、光重合開始剤[C]を用いなくても硬化し得る。
【0052】
紫外線照射硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、100〜5000mJ/cm2程度照射すればよい。
【0053】
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は再剥離性を有しているので、金属板、ガラス板、プラスチック板、樹脂塗装面等の表面の保護シートあるいは一時的な固定用シートとしての粘着シートとして広く使用することができる。
【0054】
かくして本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、自己乳化性を有し、乳化液の放置安定性に優れた上記ポリイソシアネート系誘導体[A]及びエチレン性不飽和モノマー[B]を含有してなるため、乳化液の放置安定性に優れ、接着力、保持力等の粘着物性に優れた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物となり、帯電防止性、防曇性等の必要な用途、特に帯電防止性、防曇性、無溶剤化、薄膜化等の必要な光学用途等の保護フィルム用あるいは粘着テープ又は粘着シート用として非常に有用である。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
尚、実施例中「%」、「部」とあるのは、特にことわりのない限り重量基準を表す。
【0056】
実施例1
〔ポリイソシアネート系誘導体[A]〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(a2)(イソシアネート基含有量37.8%)177.3g(0.80モル)、ポリエチレングリコール(a1)(重量平均分子量1000、エチレンオキサイド付加モル数21、水酸基価112.0mgKOH/g)599.4g(0.60モル)、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール2.0g、ジブチルスズジラウリレート0.02gを仕込み、75℃で反応させ、残存イソシアネート基が2.2%となった時点で60℃に冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート(a4)23.2g(0.20モル)を仕込み、60℃で4時間反応させ、残存イソシアネート基が1.1%となった時点で50℃に冷却し、更にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(a3)(重量平均分子量974.13、エチレンオキサイド付加モル数22、水酸基価57.6mgKOH/g)200.1g(0.21モル)を55℃にて約1時間で滴下し、60℃で3時間反応させて、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ポリイソシアネート系誘導体[A−1]を得た(重量平均分子量13700、樹脂分濃度100%)。
得られたポリイソシアネート系誘導体[A−1]について、以下の評価を行った。
【0057】
(乳化性)
上記ポリイソシアネート系誘導体[A]を60℃に保ちスターラーにて撹拌しながら、予め60℃に加温しておいたイオン交換水を滴下し、樹脂分濃度が35%になった時点で滴下を終了し、その後10分間スターラーにて撹拌して液の様子を観察し、以下の通り評価した。
○・・・乳化液が得られた
×・・・乳化しなかった
【0058】
(乳化液の放置安定性)
上記ポリイソシアネート系誘導体[A]を60℃に保ちスターラーにて撹拌しながら、予め60℃に加温しておいたイオン交換水を滴下し、樹脂分濃度が35%になった時点で滴下を終了し、その後10分間スターラーにて撹拌して乳化液を得た後、得られた乳化液を常温及び60℃条件下に静置させ、分離するまでの日数を測定した。(尚、以下で、乳化液が得られなかった場合には、乳化液の放置安定性の評価は行わなかった。)
【0059】
〔活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物〕
上記乳化性評価及び乳化液の放置安定性評価と同様にして得られたポリイソシアネート系誘導体[A−1]の乳化液200部(樹脂分70部)に、エチレン性不飽和モノマー[B]としてアクリロイルモルフォリン30部、光重合開始剤[C]として1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア2959」)1.4部を添加、混合して活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た(樹脂分濃度35%)。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、以下の通り放置安定性を評価した。
【0060】
(放置安定性)
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を常温及び60℃条件下に静置させ、分離するまでの日数を測定した。(尚、以下で、乳化液が得られなかった場合には、放置安定性の評価は行わなかった。)
【0061】
更に、得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、以下の通り粘着シートを作製し、粘着シートの評価を行った。
【0062】
〔粘着シートの作製〕
未処理のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)に、得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターで塗工し、60℃で3分間乾燥した後、卓上UV照射装置(岩崎電気社製、「コンベア式卓上照射装置」)にて80W/cm(高圧水銀ランプ)×13cmH(高さ)×1.5m/min(速度)×3Pass(積算3000mJ/cm2)の条件下で紫外線照射して硬化させ粘着シートを得た。
【0063】
(粘着性)
SUS研磨板に上記粘着シートを貼り付け2kgローラーにて2往復し、30分後の180度剥離試験(g/25mm)(剥離速度300mm/min)を行った。
【0064】
(保持力)
SUS研磨板に上記粘着剤シートを貼り付け面積が25mm×25mmになるように貼着し、40℃、65%RHの条件下にて1kgの荷重をかけて、JISZ0237に準処して24時間後の保持力(ズレmm)を測定した。
【0065】
実施例2
〔ポリイソシアネート系誘導体[A]〕
実施例1のポリイソシアネート系誘導体[A]の調製において、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(a3)(重量平均分子量974.13、エチレンオキサイド付加モル数22、水酸基価57.6mgKOH/g)200.1g(0.21モル)を、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(a3)(重量平均分子量395.14、エチレンオキサイド付加モル数8、水酸基価142.0mgKOH/g)83.0g(0.21モル)に変更した以外は同様に行い、ポリイソシアネート系誘導体[A−2]を得た(重量平均分子量は13000、樹脂分濃度100%)。
【0066】
上記で得られたポリイソシアネート系誘導体[A−2]について、実施例1と同様の評価を行った。
【0067】
〔活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物〕
上記乳化性評価及び乳化液の放置安定性評価と同様にして得られたポリイソシアネート系誘導体[A−2]の乳化液200部(樹脂分70部)に、エチレン性不飽和モノマー[B]としてポリエチレングリコールモノアクリレート(重量平均分子量400)30部、光重合開始剤[C]として1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア2959」)1.4部を添加、混合して活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た(樹脂分濃度35%)。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、実施例1と同様に放置安定性を評価し、更に、実施例1と同様に粘着シートを作製し、粘着シートの評価を行った。
【0068】
実施例3
〔ポリイソシアネート系誘導体[A]〕
実施例1のポリイソシアネート系誘導体[A−1]の調製において、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(a3)(重量平均分子量974.13、エチレンオキサイド付加モル数22、水酸基価57.6mgKOH/g)200.1g(0.21モル)を、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(a3)(重量平均分子量2018.00、エチレンオキサイド付加モル数45、水酸基価27.8mgKOH/g)423.78g(0.21モル)に変更した以外は同様に行い、ポリイソシアネート系誘導体[A−3]を得た(重量平均分子量15000、樹脂分濃度100%)。
【0069】
上記で得られたポリイソシアネート系誘導体[A−3]について、実施例1と同様の評価を行った。
【0070】
〔活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物〕
上記乳化性評価及び乳化液の放置安定性評価と同様にして得られたポリイソシアネート系誘導体[A−3]の乳化液200部(樹脂分70部)に、エチレン性不飽和モノマー[B]としてアクリロイルモルフォリン20部及びポリエチレングリコール#600ジアクリレート(重量平均分子量600)10部、光重合開始剤[C]として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「ダロキュア1173」)1.4部を添加、混合して活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た(樹脂分濃度35%)。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、実施例1と同様に放置安定性を評価し、更に、実施例1と同様に粘着シートを作製し、粘着シートの評価を行った。
【0071】
実施例4
実施例3のポリイソシアネート系誘導体[A−1]の調製において、ポリエチレングリコール(a1)(重量平均分子量1000、エチレンオキサイド付加モル数21、水酸基価112.0mgKOH/g)599.4g(0.60モル)を、ポリエステルポリオール(a1)(重量平均分子量1959、水酸基価57.3mgKOH/g、旭電化社製「アデカニューエースV14−90」)1175.4g(0.60モル)に変更した以外は同様に行い、ポリイソシアネート系誘導体[A−4]を得た(重量平均分子量18000、樹脂分濃度100%)。
【0072】
上記で得られたポリイソシアネート系誘導体[A−4]について、実施例1と同様の評価を行った。
【0073】
〔活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物〕
上記乳化性評価及び乳化液の放置安定性評価と同様にして得られたポリイソシアネート系誘導体[A−4]の乳化液200部(樹脂分70部)に、エチレン性不飽和モノマー[B]としてポリエチレングリコールモノアクリレート(重量平均分子量400)30部、光重合開始剤[C]として1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア2959」)1.4部を添加、混合して活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た(樹脂分濃度35%)。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、実施例1と同様に放置安定性を評価し、更に、実施例1と同様に粘着シートを作製し、粘着シートの評価を行った。
【0074】
実施例5
〔ポリイソシアネート系誘導体[A]〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(a2)(イソシアネート基含有量44.7%)154.3g(0.82モル)、ポリエチレングリコール(a1)(重量平均分子量1000、エチレンオキサイド付加モル数21、水酸基価112.0mgKOH/g)616.2g(0.61モル)、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール2.0g、ジブチルスズジラウリレート0.02gを仕込み、75℃で反応させ、残存イソシアネート基が2.2%となった時点で60℃に冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート(a4)23.2g(0.20モル)を仕込み、60℃で4時間反応させ、残存イソシアネート基が1.1%となった時点で50℃に冷却し、更にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(a3)(重量平均分子量974.13、エチレンオキサイド付加モル数22、水酸基価57.6mgKOH/g)205.7g(0.21モル)を55℃にて約1時間で滴下し、60℃で3時間反応させて、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ポリイソシアネート系誘導体[A−5]を得た(重量平均分子量13600、樹脂分濃度100%)。
【0075】
上記で得られたポリイソシアネート系誘導体[A−5]について、実施例1と同様の評価を行った。
【0076】
〔活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物〕
上記乳化性評価及び乳化液の放置安定性評価と同様にして得られたポリイソシアネート系誘導体[A−5]の乳化液200部(樹脂分70部)に、エチレン性不飽和モノマー[B]としてアクリロイルモルフォリン30部、光重合開始剤[C]として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「ダロキュア1173」)1.4部を添加、混合して活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た(樹脂分濃度35%)。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、実施例1と同様に放置安定性を評価し、更に、実施例1と同様に粘着シートを作製し、粘着シートの評価を行った。
【0077】
実施例6
実施例5のポリイソシアネート系誘導体[A−5]の調製において、ポリエチレングリコール(a1)(重量平均分子量1000、エチレンオキサイド付加モル数21、水酸基価112.0mgKOH/g)616.2g(0.61モル)を、ポリエステルポリオール(a1)(重量平均分子量1959、水酸基価57.3mgKOH/g、旭電化社製「アデカニューエースV14−90」)1195g(0.61モル)に変更した以外は同様に行い、ポリイソシアネート系誘導体[A−6]を得た(重量平均分子量17800、樹脂分濃度100%)。
【0078】
上記で得られたポリイソシアネート系誘導体[A−6]について、実施例1と同様の評価を行った。
【0079】
〔活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物〕
上記乳化性評価及び乳化液の放置安定性評価と同様にして得られたポリイソシアネート系誘導体[A−6]の乳化液200部(樹脂分70部)に、エチレン性不飽和モノマー[B]としてポリエチレングリコールモノアクリレート(重量平均分子量400)30部、光重合開始剤[C]として1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア2959」)1.4部を添加、混合して活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た(樹脂分濃度35%)。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、実施例1と同様に放置安定性を評価し、更に、実施例1と同様に粘着シートを作製し、粘着シートの評価を行った。
【0080】
実施例7
実施例1のポリイソシアネート系誘導体[A−1]の調製において、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(a3)(重量平均分子量974.13、エチレンオキサイド付加モル数22、水酸基価57.6mgKOH/g)200.1g(0.21モル)を、ポリエチレングリコールモノアクリレート(a3)(重量平均分子量575.5、エチレンオキサイド付加モル数10、水酸基価97.5mgKOH/g)120.9g(0.21モル)に変更した以外は同様に行い、ポリイソシアネート系誘導体[A−7]を得た(重量平均分子量13500、樹脂分濃度100%)。
【0081】
上記で得られたポリイソシアネート系誘導体[A−7]について、実施例1と同様の評価を行った。
【0082】
〔活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物〕
上記乳化性評価及び乳化液の放置安定性評価と同様にして得られたポリイソシアネート系誘導体[A−7]の乳化液200部(樹脂分70部)に、エチレン性不飽和モノマー[B]としてアクリロイルモルフォリン30部、光重合開始剤[C]として1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア2959」)1.4部を添加、混合して活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た(樹脂分濃度35%)。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、実施例1と同様に放置安定性を評価し、更に、実施例1と同様に粘着シートを作製し、粘着シートの評価を行った。
【0083】
比較例1
〔ポリイソシアネート系誘導体[A]〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(a2)(イソシアネート基含有量37.8%)152.0g(0.69モル)、ポリエステルポリオール(a1)(重量平均分子量1959、水酸基価57.3mgKOH/g、旭電化社製「アデカニューエースV14−90」)795g(0.46モル)、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール2.0g、ジブチルスズジラウリレート0.02gを仕込み、90℃で反応させ、残存イソシアネート基が2.0%となった時点で60℃に冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルアクリレート(a4)53.0g(0.46モル)を仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ポリイソシアネート系誘導体[A'−1]を得た(重量平均分子量13000、樹脂分濃度100%)。
【0084】
上記で得られたポリイソシアネート系誘導体[A'−1]について、実施例1と同様の評価を行った。
尚、該ポリイソシアネート系誘導体[A'−1]は乳化性が得られなかったため、その他の評価は行わなかった。
【0085】
比較例2
〔ポリイソシアネート系誘導体[A]〕
比較例1と同様のポリイソシアネート系誘導体[A'−1]を調製した(重量平均分子量は13000、樹脂分濃度100%)。
次に、温度計、還流冷却装置及び撹拌機を備えた4つ口フラスコに脱イオン水100部とノニオン性乳化剤ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(日本油脂(株)社製、「ノニオンNS−240」)16部を加え、50℃に加温し、これに強撹拌下で50℃に加温した上記ポリイソシアネート系誘導体[A'−1]40部を添加して50℃で30分間撹拌を続け、乳化液(樹脂分濃度35%)を得た。
かかる乳化液について、実施例1と同様の評価基準で評価した。
【0086】
〔活性エネルギー線硬化型樹脂組成物〕
上記で得られた乳化液200部(樹脂分70部)に、エチレン性不飽和モノマー[B]としてアクリロイルモルフォリン30部、光重合開始剤[C]として1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア2959」)1.4部を添加、混合して活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た(樹脂分濃度35%)。
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物について、実施例1と同様に放置安定性を評価し、更に、実施例1と同様に粘着シートを作製し、粘着シートの評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1及び表2に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【発明の効果】
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)を反応させてなる直鎖状の末端イソシアネート基含有化合物[a]中のイソシアネート基が、一般式(1)で示されるポリエチレングリコール誘導体(a3)の水酸基及び、水酸基含有(メタ)アクリレート(a4)の水酸基と、それぞれウレタン結合を形成してなるポリイソシアネート系誘導体[A]、及びエチレン性不飽和モノマー[B]を含有してなるため、乳化液の放置安定性に優れ、接着力、保持力等の粘着物性に優れた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物となり、帯電防止性、防曇性等の必要な用途、特に帯電防止性、防曇性、無溶剤化、薄膜化等の必要な光学用途等の保護フィルム用あるいは粘着テープ又は粘着シート用として非常に有用である。
Claims (8)
- ポリオール(a1)が、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールであることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)との結合繰り返し単位数が1〜15であることを特徴とする請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- ポリイソシアネート系誘導体[A]1分子中のエチレン性不飽和基数が1〜3個であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 更に、光重合開始剤[C]を含有してなることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- エチレン性不飽和モノマー[B]が水溶性または水分散性のエチレン性不飽和モノマーであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 光重合開始剤[C]が、水溶性または水分散性の光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 自己乳化性を有することを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
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