JP4112062B2 - 反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種廃棄物の破砕処理物等を再利用する際において、最も除去困難と言われているステンレススチールなどの弱磁性体を磁力を使って分離、分別する分別装置に使用する反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種廃棄物の破砕処理物を、磁石応用技術によってごみと磁性物とに分別する各種の装置が知られている。しかし、従来のいずれの装置においても、磁場の十分な有効利用が図られておらず、磁束に漏れが生じており、そのためこのような分別が十分に行えず、例えばステンレススチールなどの弱磁性物をごみと分別するのが実際上困難だった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来は、磁力を使って磁性物とその他のごみに分別するに当っても、磁束の漏れが起因して十分な分別ができないという問題があった。
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、その目的は、分別に使用する磁石からの磁束を分別に十分に活用可能なるようにして、たとえ弱磁性物であっても効率良く分別できるようにした分別装置における反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の装置は、反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置であって、
複数の磁石からの磁束をあるいは複数の磁石への磁束を対向反撥させることにより、前記反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置の半径方向外側に磁束を射出させあるいは前記半径方向外側からの磁束を前記複数の磁石に入射させ、その磁束によって分別対象物中の磁性物を引き付けて磁性物とそれ以外のごみとに分別する反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置において、
複数のリング状の分割型マグネットを同極同士がリング状スペーサを介して対向するように重ね合わせたものとして構成され、
前記スペーサは、強磁性体の材料から構成され、且つ、その内径は前記分割型マグネットの内径よりも大径なるものとして構成され、
前記一対の分割型マグネットの端面とその間に挟まれた前記スペーサの内径面との間に形成されるリング状の隙間には非磁性体の物質が介在させられているものとして構成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
図6は本発明の分別装置の一例を示し、これは、周知のように、分別対象の原材料としてのごみをベルトで前方(矢印方向)へ運び、前方において磁力の作用によって、ごみと磁性物とに分別するようにしたものである。
【0007】
より詳しくは、この装置は、静止系基体としてのフレーム100を備えている。このフレーム100には一対のプーリ101,102が所定間隔(例えば、1.5m)で回転可能に設けられており、これらの間に原材料供給用の供給ベルト103が巻き掛けられている。前方のプーリ102と、前記フレーム100に固定されたベルト駆動用のモータ105との間に、動力伝達ベルト106が巻き掛けられている。これにより、このモータ105によってベルト106が図中右回りに、例えば20〜120m/minの速度で、回転させられることになる。
【0008】
前記前方のプーリ(マグネットプーリ)102の持つ磁力により、前記ベルト103によって搬送されてくる原材料が図示の2つのシュート108,109に分別されるようにしている。つまり、分別対象の原材料としてのごみ中の磁性物はプーリ102に磁力によって引き付けられたまま下側に回転して磁力の弱まったところで左側のシュータ108に落ち、その他のごみはこれに先立ってプーリ102と共に回転して右側のシュータ109に落ち、分別が行われる。
【0009】
本発明は、上記のマグネットプーリ102に特徴を有するものであり、その詳細を以下に説明する。
【0010】
図1は本発明に係るマグネットプーリ1(102)の縦断面図であり、図2は後述の押板6の一部を破断した側面図である。このマグネットプーリ1は、図示の組立て状態において説明すれば、以下の通りである。先ず、強磁性又は非磁性の回転駆動用シャフト2に対して、ドーナツ状の一対の非磁性フランジ3,3が軸方向に所定の幅で溶接(3a)により固定されている。これらのフランジ3,3に対して非磁性のパイプ4が挿嵌状態に固定されている。このパイプ4に対して環状磁石積層体5が挿嵌され、その状態で両端をドーナツ状の押板6,6で固定している。つまり、これらの押板6,6は、図2からわかるように、それぞれ放射位置において、前記フランジ3にボルト9,9,……によって締着され、前記環状磁石積層体5が抜止状態に固定されている。この環状磁石積層体5は、図3に示す環状の分割型マグネット(磁石)11と、図4に示す複合リング(スペーサ)15とをパイプ4の軸方向に交互に重ねたものである。図1からわかるように、隣り合う分割型マグネット11,11についてみれば、互いに同極同士が前記複合リング(スペーサ)15を介して対向するようにしている。分割型マグネット11は、図3からわかるように、放射状に組み合わせることによりドーナツ状となる複数の磁石片12,12,……から構成したものである。即ち、これらの磁石片12,12,……を組み合わせてドーナツ状とし、互いに接着し、さらにこの後それらの一体化及び保護を図るべく外側に非磁性のパイプ13を嵌めて固定したものである。このパイプ13によって、例えば使用状態時等に、各分割型マグネット11において磁石片12,12,……がバラバラに分解するのが防止できる。この各磁石片12の一端面側はN極、他端面側がS極となっている。
【0011】
このような分割型磁石11の両側にくる上記複合リング15は、外側の強磁性体リング16の内側に非磁性体リング17を位置させたものである。つまり、図4からわかるように、強磁性体リング16の内径を、それを嵌め込むパイプ4の外径よりも大きなものとし、互いの隙間の部分に丁度上記非磁性体リング17がくるようにしたものである。
【0012】
なお、上記分割型マグネット11は、予め一体に構成したものを用いてもよいが、実際の組み立てを容易にするため次のようにしてパイプ4に対して組み付けていくものとすることもできる。即ち、図3において、パイプ4のまわりに磁石片12,12,……を組み付けてドーナツ状とし、その状態でパイプ13を嵌める。これにより1つの分割型マグネット11を構成する。このようにすることにより、前述のように例えば現場での組み立て作業を極めて容易とすることができる。
【0013】
次に、上記のように構成したマグネットプーリ1における磁場強度について従来のものとの比較において説明する。
【0014】
先ず、従来のものについて説明するに、従来のものは磁石積層体5におけるスペーサ(15)の部分において本発明のものと違っている。即ち、従来のスペーサは、図7に示すように、強磁性体リング21を一体構造のものとして構成したものである。このような一体型のスペーサとしてのリング21を用いた場合には、放射状の磁力線は図8に示すように内側へと外側へとの2つに分かれて出力/入力する。つまり、相対向する一対の分割型磁石12,12のそれぞれのN極から出た磁力線のうちの半分の磁力線MLF(I)が内側へ、残りの半分の磁力線MLF(O)が外側へそれぞれ放射状に射出する。そして、外側へ出射した磁力線MLF(O)が例えば分別対象としての原材料中の磁性物を吸着するのに機能する。つまり、従来の装置においては、磁石積層体における各分割型磁石11から出る磁力線のほぼ半分しか分別に使用されていなかった。
【0015】
これに対し、本発明では、各分割型マグネット11から出る磁力線のほとんど全部を有効に利用可能としている。即ち、図5からわかるように、相対向する一対の分割マグネット11,11の間のスペーサとしてのリング15は、前述のように、大径、小径の2重のリング16,17によって作られており、外側は強磁性であるが、内側は非磁性である。このため、各分割型マグネット11,11から出た磁力線MLFの全てが、内側の非磁性体リング17をきらい、外側の磁性体リング16側に向い、外側へ放射状に射出する。これにより、全ての磁力線が原材料の分別に機能することになる。
【0016】
より詳しくは、次の通りである。
【0017】
空気中や非磁性体中の磁気抵抗は大きく、このため磁束が磁気抵抗の小さい強磁性体中を流れようとする。これに着目し、本発明では、複合型スペーサ15を用いた。この結果マグネットプーリ表面の絶対磁場強度は14000Gとなり、従来型(フェライト式)の約5.6倍となった。又磁気勾配は12.5倍が得られた。したがって磁気吸引力Fmは従来型(フェライト式)の5.6×12.5=70倍の値が得られることになった。このような高い値が得られることから、以下のような利点が確保される。
【0018】
通常ステンレススチールは磁石に吸引されない。これは常温において組織が磁気変態点を超えた結晶構造をもつオーステナイト層であるためである。しかしながら、破砕したり、切断したりすると、オーステナイト相の一部が、マルテンサイトに変態し、磁性をもつようになる。しかし、単純に磁石に吸引されるような磁性は示さない。例えば、鉄の透磁率は1×104 程度であるのに対し、8%程度加工を加えたステレンススチールは約1.1、16%程度の加工で約5である。つまり、鉄に比べ磁気的特性は極端に低い。したがって、他の介在物と磁気的に分別するためには磁選機の吸引力を大きく設計せざるを得ない。
【0019】
一般に処理物が磁気的に吸引される力Fmは
Fm=V.p.M.H dH/dx
と表わされる。ここで、
V:体積
p:比重
M:磁化率
H:絶対磁場強度
dH/dX:磁気勾配
である。
【0020】
この式において設計上自由に設定できるのは、絶対磁場強度H及び磁気勾配dH/dxの2つである。しかるに、本発明ではこの点を大巾に改善することに成功した。これにより、破砕処理したステンレススチールの磁選がはじめて可能となったのである。
【0021】
上述のように、本発明では、マグネットの反撥磁束をすべてプーリ表面に導くために、強磁性リングを強磁性体と非磁性体の複合構造とした。強磁性体の透磁率は1×104 、又非磁性体のそれは1である。この複合リングの内、強磁性体部分の内径を、マグネットリングの内径より大きくすることにより、反撥磁束はマグネットリングの内側(シャフト側)には流れにくく、透磁率の高い外側(外周側)に導かれるようになった。又、複合リングは、直接プーリ表面にその外周が位置しているため、この点に磁束が集中し、高い磁気勾配が得られるようになった。
【0022】
又、通常、マグネットプーリの外径は搬送コンベアの仕様に合わせることが必要となるが、その場合、大きなリング状マグネットは製作及び着磁ができない。特に磁気エネルギー積の大きなレアアースマグネットの場合は解決の手段がない。そこで本発明では、リング状マグネットを複数分割したので、接着、組立し、着磁が可能となった。こうすることにより、大きな径のマグネットプーリが製作可能と同時に大きな磁気勾配の品物が実現した。
【0023】
なお、本発明におけるスペーサとしてのリング15の内側の非磁性リング17は、外側のリング16がパイプ4に対してガタつかないようにするという役目も有している。よって、自らの手段でリング16がパイプ4に対して動かないようにすれば、内側のリング17は必ずしも必要ない。この場合には、内側のリング17の位置は空気で満されることになるが、空気はもともと非磁性であるため、図5と同様に、分割型マグネット11,11からの磁力線を有効に外側に射出させることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、分割型マグネットからの磁束を高い効率で外部に射出させ、これを分別に活用でき、よってたとえ弱磁性物であってもより確実にごみと分別可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による反撥磁束誘導型マグネットプーリの断面図。
【図2】 II−II線矢視図。
【図3】本発明による分割側マグネットの組立状態の斜視図。
【図4】複合型スペーサの斜視図。
【図5】本発明によるマグネットプーリの磁束分布を示す説明図。
【図6】本発明を適用する分別装置の全体構成図。
【図7】従来のスペーサの斜視図。
【図8】従来型マグネットプーリの磁束分布を示す説明図。
【符号の説明】
1 マグネットプーリ
2 回転駆動用シャフト
3 フランジ
4,13 パイプ
5 磁石積層体
6 押板
9 ボルト
11 分割型マグネット
12 磁石片
15 複合リング
16 強磁性体リング
17 非磁性体リング
Claims (6)
- 反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置であって、
複数の磁石からの磁束をあるいは複数の磁石への磁束を対向反撥させることにより、前記反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置の半径方向外側に磁束を射出させあるいは前記半径方向外側からの磁束を前記複数の磁石に入射させ、その磁束によって分別対象物中の磁性物を引き付けて磁性物とそれ以外のごみとに分別する反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置において、
複数のリング状の分割型マグネットを同極同士がリング状スペーサを介して対向するように重ね合わせたものとして構成され、
前記スペーサは、強磁性体の材料から構成され、且つ、その内径は前記分割型マグネットの内径よりも大径なるものとして構成され、
前記一対の分割型マグネットの端面とその間に挟まれた前記スペーサの内径面との間に形成されるリング状の隙間には非磁性体の物質が介在させられている、
反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置。 - 前記リング状の分割型マグネットは、前記半径方向に沿った線で分割された複数のマグネット片から構成されたものである、請求項1の反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置。
- 前記分割型マグネットは、前記複数のマグネット片を組み合わせてリング状とした後その外周に嵌められてこれらを一体化する非磁性の外側のパイプをさらに備える、請求項2の反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置。
- 前記リング状の隙間には、非磁性体によって構成されたスペーサリングが介在させられている、請求項1乃至3のいずれかに記載の反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置。
- 前記リング状の隙間には、空気が介在させられている、請求項1乃至3のいずれかに記載の反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置。
- 複数の前記分割型マグネット及び前記スペーサの積層体が、回転駆動用シャフトに固定されたパイプに挿嵌され、この積層体の両端が押板を介して前記パイプに固定された、請求項1乃至5のいずれかに記載の反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04032398A JP4112062B2 (ja) | 1998-02-23 | 1998-02-23 | 反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04032398A JP4112062B2 (ja) | 1998-02-23 | 1998-02-23 | 反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11235537A JPH11235537A (ja) | 1999-08-31 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP04032398A Expired - Lifetime JP4112062B2 (ja) | 1998-02-23 | 1998-02-23 | 反撥磁束誘導型マグネットプーリ装置 |
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KR101058197B1 (ko) * | 2009-01-16 | 2011-08-22 | 주식회사 범우에코엔지니어링 | 마그네틱드럼 및 그 제조방법 |
KR102152054B1 (ko) * | 2019-11-28 | 2020-09-04 | 해성마그네트 주식회사 | 건설 폐기물에서의 스텐레스 스틸 선별장비 |
-
1998
- 1998-02-23 JP JP04032398A patent/JP4112062B2/ja not_active Expired - Lifetime
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