JP4111602B2 - 外熱式ロータリーキルン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加熱物がレトルトの内面に付着しやすいもの、または、塊状になりやすいものを加熱処理するのに適した外熱式ロータリーキルンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のようなものを加熱処理する外熱式ロータリーキルンには、レトルトの内面にチェーンを垂らしてレトルトの回転に伴うチェーンのランダムな運動によりレトルトの内面に付着した被加熱物に衝突してこれを剥がし、また、塊状物に衝突してこれを細かく粉砕するようにしたものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような外熱式ロータリーキルンにおいては、短時間でチェーンを構成する互いに連結されたリンク同士の間に被加熱物が固着してチェーンの運動が阻害され、その機能を果たせなくなるという課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
このような課題を解決するための手段として、請求項1の発明は、レトルト内に耐熱性の棒状物を遊動自由に収容したものであって、レトルトの回転に伴って棒状物がレトルト内面に衝突してレトルトに衝撃を与えることにより、被加熱物がレトルトの内面に付着してもすぐに剥離し、また、棒状物が被加熱物を攪はんすることにより塊状になるのを防止することができる。
また、レトルトの回転に伴って被加熱物を持ち上げる複数の攪はん板がそのレトルトの内面に円周方向に間隔を開けて固定されていて、その攪はん板の先端に固定された大径リングによりレトルト内が長さ方向において分割されて棒状物の長さ方向の移動が規制され、かつ、その攪はん板に取付部材を介して固定された小径リングにより棒状物のレトルトの中心方向への一定量以上の移動が規制されるようになっているから、棒状物の過剰な運動を確実に防止し、且つ、被加熱物のレトルトの軸方向及び円周方向の流動の妨げとならない効果がある。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、棒状物がレトルトの長さ方向において分割された複数の区画の少なくとも1つに1本または複数本収容されていて、その棒状物が隣の区画に移動するのが規制されるようになっているから、被加熱物がレトルトの長さ方向の一部分に限られる場合には、その部分にのみ棒状物を配置すればよく、製造コスト及び運転コストを低減でき、また、レトルトの全長にわたって棒状物を必要とする場合でもこれを分割することにより熱による変形を防止することができる。
【0008】
請求項の発明は、請求項1又は2の発明において、棒状物が5角形または6角形断面であるから、円形断面又は7角形以上の多角形断面の場合に比べて角の角度が小さく手衝突時の衝撃力が大きく、また、4角形、3角形の場合に比べて、レトルトの回転に伴う自転を生じやすく、被加熱物のレトルト内面からの剥離および塊の粉砕能力に優れる。
【0009】
請求項の発明は、請求項の発明において、棒状物が普通鋼製、ステンレス鋼製であるから破損しにくい効果がある。
【0010】
請求項の発明は、請求項の発明において、棒状物が炭化珪素、ムライトなどのセラミック製であるから、鋼製に比べ耐摩耗性に優れ、かつ、被加熱物中に金属粉が混入するのを防止することができる効果がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1、2において、1は耐火物製の炉体であってその内部は多数の燃焼ガス吸引孔3が形成された炉床2により多数のバーナー5を列設した上部の加熱室4と煙突7に連通する下部の煙道6に仕切られていて、加熱室4内には内面に耐熱金属製の円筒状のレトルト8が炉体1との間にわずかな隙間をあけて貫通していて、その両側の突出端に固定されたリング9を図示しない1対のローラーで支承することにより一方向に回転駆動されるようになっており、その内面には斜め角度をなして長さ方向において多数個に分割された撹はん板11が円周方向に等角度間隔で3個固定されてリブ12により補強され、そのレトルト8の一端の回転中心にわずかな隙間をあけて挿入されたスクリュウコンベア10により投入された被加熱物がそのレトルト8の回転にともなって撹はん板11により撹はんされつつ加熱処理されて搬送され、他端の外周に形成された排出孔13から排出されるようになっている。
【0012】
上記したところは従来公知の外熱式ロータリーキルンと同一であるが、本実施の形態においては、図3、4に拡大して示すように、レトルト8の長さ方向の中央部と排出端近くに、3個の撹はん板11の先端に大径リング14が溶接により固定され、レトルト8の被加熱物投入端と中央の大径リング14の間及びその大径リング14と排出端近くの大径リング14との間に3個ずつ等間隔で、撹はん板11の先端に取付部材16を介して小径リング15が固定されており、長さ方向には中央部の大径リング14により、半径方向には小径リング15により、円周方向には撹はん板11により画成された円弧形の6つの空間がレトルト8の内周に構成されていて、各空間内にそれぞれ1本ずつ6角形断面の耐熱性材料からなる棒状物17がその空間内での遊動自由に収容されている。
【0013】
本実施の形態は上記構成になり、レトルト8が図2の矢印方向に回転すると棒状物17が撹はん板11および取付部材16により持ち上げられた後重力により落下し、各空間内において円周方向及び半径方向にランダムに運動するとともに自転して被加熱物を撹はんして塊になるのを防止するとともにレトルト8の内面に衝突して付着している被加熱物を剥離することにより、被加熱物を円滑に流動させて熱処理を均一、かつ、効率よく行わせることができる。
【0014】
(実験例1)
工場から排出される廃棄物の1種の例えば鉛化合金等の低融点と数%の炭素を含む粉末原料を加熱処理して原料中に含まれる炭素量を100ppm以下にしようとする場合に、棒状物を用いない従来の外熱式ロータリーキルンでは、低融点の金属が溶けて小さな塊になり、その塊の中心部に炭素が未燃のまま残り、また、レトルトの内面に原料が付着して低融点の金属が溶けることにより厚く堆積してしまって、運転を停止しなければならなかったが、本実施の形態の棒状物を用いた外熱式ロータリーキルンでは原料は撹はんされながら加熱され、レトルトの内面へ付着したり、塊になったりすることがなく、炭素量を70ppmにすることができた。
【0015】
(実験例2)
加熱温度幅が狭く、温度が高くなると分解してしまい、温度が低いと重合が起こらない性質を有する有機化合物を重合させる場合に、従来のロータリーキルンではレトルトに付着した原料が高温度になって分解してしまい、また、多量の塊が発生してその中心部で重合が起こらなかったが、本実施の形態のロータリーキルンではレトルトへの付着がなく塊の発生もなかったため、良好な結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロータリーキルンの縦断面図である。
【図2】その横断面図である。
【図3】そのレトルトの拡大断面図である。
【図4】そのレトルトの一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
1:炉体
4:加熱室
5:バーナー
8:レトルト
11:撹はん板
14:大径リング
15:小径リング
16:取付部材
17:棒状物

Claims (5)

  1. 回転するレトルトを加熱室をほぼ水平に貫通するように配置し、該レトルトの一端から投入した被加熱物を他端から排出するようにした外熱式ロータリキルンにおいて、
    前記レトルト内に耐熱性の棒状物を遊動自由に収容し
    前記レトルトの回転に伴って被加熱物を持ち上げる複数の攪はん板が該レトルトの内面に円周方向に間隔を開けて固定されていて、該攪はん板の先端に固定された大径リングにより前記レトルト内が長さ方向において分割されて前記棒状物の長さ方向の移動が規制され、かつ、該攪はん板に取付部材を介して固定された小径リングにより前記棒状物の前記レトルトの中心方向への一定量以上の移動が規制されるようになっていることを特徴とする外熱式ロータリキルン。
  2. 前記棒状物が前記レトルトの長さ方向において分割された複数の区画の少なくとも1つに1本又は複数本収容されていて、該棒状物が隣の前記区画に移動するのが規制されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の外熱式ロータリキルン。
  3. 前記棒状物が5角形または6角形断面であることを特徴とする請求項1又は2記載の外熱式ロータリキルン。
  4. 前記棒状物が普通鋼製またはステンレス鋼製であることを特徴とする請求項記載の外熱式ロータリキルン。
  5. 前記棒状物がまたは炭化珪素、ムライトなどのセラミック製であることを特徴とする請求項記載の外熱式ロータリキルン。
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