JP4111369B2 - Dna修復促進活性を有するタンパク質 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNA修復促進活性を有するタンパク質遺伝子と、この遺伝子を含有する組換えベクター、組換え体による形質転換体、並びにこの形質転換体を用いたDNA修復促進活性を有するタンパク質の製造法、DNA修復促進活性を有するタンパク質を認識する抗体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生物の放射線耐性は、生物種によって大きく異なるが、放射線に最も強い微生物群が存在しており、放射線抵抗性細菌と総称されている。放射線抵抗性細菌の代表は、デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)であり、大腸菌(Escherichia coli)の約100倍、ヒトの細胞の約1,000倍の放射線抵抗性を示す。デイノコッカス・ラジオデュランスの高い放射線抵抗性は、該細菌が有する効率的かつ正確なDNA二本鎖切断修復能に起因することが知られている。したがって、これに係わるDNA修復関連タンパク質を見いだし、その機能を明らかにすることによって、例えば、放射線等で誘発される修復困難なDNA損傷を効率的に修復する技術開発の進展を促し、DNAの傷が原因で起こるガンや老化を予防する手だてを講じることができると考えられる。また、該細菌由来の新規なDNA修復関連タンパク質は、DNA操作技術に用いる研究用試薬、DNA診断等に用いる臨床検査診断薬の新たな開発に資することができる。
【0003】
デイノコッカス・ラジオデュランスのゲノムDNAの全塩基配列が決定され、該細菌が大腸菌等他の微生物に広く存在する既知のDNA修復遺伝子のほとんどを保持していることが知られている(White et al., Science, 286:1571-1577, 1999)。しかし、ゲノム配列の検索からは既知修復酵素遺伝子の存在しか分からず、大腸菌等の放射線に弱い細菌のDNA修復と同じ機構しか持ち合わせていないのであれば、デイノコッカス・ラジオデュランスの著しく高い放射線抵抗性は説明できない。したがって、デイノコッカス・ラジオデュランスに固有の機能未知遺伝子の中に、該細菌の驚異的に高いDNA修復能力に係わる原因遺伝子が存在していると考えられる。
【0004】
これまでに、デイノコッカス・ラジオデュランスのDNA修復能欠損変異株の解析から、DNA修復遺伝子が単離されている。例えば、変異株3021株からはヌクレオチド除去修復系に係わるuvrA遺伝子が単離されている(Narumi et al., Gene, 198:115-126, 1997)。変異株rec30株からは組換え修復系に係わるrecA遺伝子が単離されている(Narumi et al., Mutat. Res., 435:233-243, 1999)。また、変異株KR4128株からは組換え修復系に係わるrecN遺伝子(Funayama et al., Mutat. Res., 435:151-161, 1999)が単離されている。さらに、変異株KH5861株から組換え修復系に係わるrecR遺伝子が単離されている(Kitayama et al., Mutat. Res., 461:179-187, 2000)。しかし、これらの遺伝子は他の生物からも見いだされている既知遺伝子であり、DNA修復能欠損変異株の解析からDNA修復に係わる新規遺伝子は発見されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のとおりの事情を鑑みてなされたものであり、放射線抵抗性細菌の効率的かつ正確なDNA二本鎖切断修復能を促進する活性を有する新規タンパク質を提供することを課題とする。さらに、その新規タンパク質の生産のための遺伝子、該遺伝子を含む組換え体DNA、該組換え体DNAを用いるDNA修復促進活性を有するタンパク質の製造法、DNA修復促進活性を有するタンパク質を認識する抗体を提供することも課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記課題について種々検討した結果、デイノコッカス・ラジオデュランスの放射線高感受性変異株KH3111株の解析から、新規のDNA修復促進活性を有するタンパク質遺伝子を単離し、その遺伝子のDNA塩基配列を解明することにより、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、第1の発明は、SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列からなる、DNA修復促進活性を有するタンパク質を要旨とする。別の観点からは、第1の発明は、SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる、DNA修復促進活性を有するタンパク質を要旨とする。別の観点からは、第1の発明は、SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列をコードする、SEQ ID NO: 2で代表される塩基配列と相補的な塩基配列との間で、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズ可能な塩基配列によりコードされるアミノ酸配列からなる、DNA修復促進活性を有するタンパク質を要旨とする。さらに別の観点からは、第1の発明は、SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列との間で少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなる、DNA修復促進活性を有するタンパク質を要旨とする。
【0008】
また、第2の発明は、SEQ ID NO: 2で示される塩基配列またはこれと縮重の関係にある塩基配列を含むDNAを有し、かつDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を要旨とする。別の観点からは、第2の発明は、SEQ ID NO: 2で示される塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含むDNAを有し、かつDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を要旨とする。別の観点からは、第2の発明は、SEQ ID NO: 2で示される塩基配列と相補的な塩基配列との間で、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズ可能な塩基配列を含むDNAを有し、かつDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を要旨とする。さらに別の観点からは、第2の発明は、SEQ ID NO: 2で示される塩基配列との間で少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列を含むDNAを有し、かつDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を要旨とする。
【0009】
さらに、第3の発明は、第1の発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質のいずれかをコードする遺伝子あるいは第2の発明の遺伝子のいずれかを含有する組換えベクターを要旨とするものである。
【0010】
第4の発明は、上記第3の発明の組換えベクターのいずれかを含む形質転換体を、第5の発明は、この第4の発明の形質転換体のいずれかを培地中で培養し、培養物からDNA修復促進活性を有するタンパク質を採取することを特徴とするDNA修復促進活性を有するタンパク質の製造方法、をそれぞれ要旨とするものである。
【0011】
また、第6の発明は、上記第1の発明のタンパク質のいずれかに結合する抗体を要旨とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の発明者らは、SEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質が、ニックを有する開環状二本鎖および直鎖状二本鎖DNAとの間で、DNA結合活性を有することを見出し、さらにDNAリガーゼによるDNA鎖骨格エステル結合反応およびRecAによるDNA鎖交換反応を増大することを見出した。これらの結果から、本発明の上記タンパク質がDNAリガーゼ修復反応を促進する活性およびRecA鎖交換反応を促進する活性を増大させることを通じて、DNA修復酵素による修復反応を促進するタンパク質であることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明の以下において、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を有するDNA修復促進活性を有するタンパク質を、PprAタンパク質と、また、PprAタンパク質(SEQ ID NO: 1)をコードするSEQ ID NO: 2の塩基配列を有する遺伝子を、pprA遺伝子と呼ぶ。
【0013】
すなわち、本発明のPprAタンパク質は、ニックを有する開環状二本鎖および直鎖状二本鎖DNAと結合し、DNAリガーゼ修復反応を促進する活性およびRecA鎖交換反応を促進する活性を増大させ、その結果DNA修復酵素による修復反応を促進することができる、DNA修復促進活性を有するタンパク質である。
【0014】
本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質は、典型的にはSEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列を有するが、該タンパク質は、例えば、DNAとの親和性を向上する目的、活性を向上する目的、生産量の増加または精製の容易化の目的、細胞内器官脂質膜通過の促進の目的、その他の目的に資するように改変されたものであって、DNA修復促進活性を有するタンパク質を含む。したがって、本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質には、SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列だけでなく、SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるDNA修復促進活性を有するタンパク質;SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列をコードする、SEQ ID NO: 2で代表される塩基配列と相補的な塩基配列との間で、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズ可能な塩基配列によりコードされるアミノ酸配列からなる、DNA修復促進活性を有するタンパク質;およびSEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列との間で少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列;からなる、DNA修復促進活性を有するタンパク質も含まれる。
【0015】
本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列は、典型的には、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子をいい、具体的な塩基配列としては、SEQ ID NO: 2で示される塩基配列またはこれと縮重の関係にある塩基配列が含まれる。しかしながら、上述したように、本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質にはPprAタンパク質の改変体も含まれる。したがって、本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列には、SEQ ID NO: 2で示される塩基配列またはこれと縮重の関係にある塩基配列だけでなく、SEQ ID NO: 2で示される塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列;SEQ ID NO: 2で示される塩基配列と相補的な塩基配列との間で、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズ可能な塩基配列;およびSEQ ID NO: 2で示される塩基配列との間で少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列;を含むDNAを有し、かつDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列に代表される遺伝子が含まれる。
【0016】
このような遺伝子の単離、およびこの遺伝子を含有する組換えベクターの作製、組換えベクターによる形質転換体の作製、並びに形質転換体の培養等は、公知の方法、例えば、SambrookおよびRussel(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition (2001))に記載されている方法を組み合わせることで行うことができる。例えば、遺伝子は、SEQ ID NO: 2で示される塩基配列の両端部分の合成DNAをプローブとし、染色体DNAを鋳型とするPCR法によって目的遺伝子を増幅する方法等によって取得することができる。また、複数個の合成DNAを用いてde novo合成することで取得することも可能である。
【0017】
本発明においてタンパク質の「改変体」という場合には、目的とするタンパク質のアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列;目的とするタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列と相補的な塩基配列との間で、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズ可能な塩基配列によりコードされるアミノ酸配列;または目的とするタンパク質のアミノ酸配列との間で少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列;からなるタンパク質も含むことを意味する。
【0018】
本発明においてDNA分子の「変異体」という場合には、目的とする塩基配列と縮重の関係にある塩基配列;目的とする塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列;目的とする塩基配列と相補的な塩基配列との間で、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズ可能な塩基配列;目的とする塩基配列との間で少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列;およびこれらの塩基配列との間で縮重の関係にある塩基配列;を含むDNAが含まれる。
【0019】
上述したように、本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質には、PprAタンパク質のアミノ酸配列(SEQ ID NO: 1)において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるDNA修復促進活性を有するタンパク質が含まれる。本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列にはまた、pprA遺伝子の塩基配列(SEQ ID NO: 2)において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含むDNAを有し、かつDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も含まれる。
【0020】
ここにおいて、「1もしくは複数個」とは、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個のことをいう。また、ここにおいてタンパク質の場合、「欠失」、「置換」、「付加」は、PprAタンパク質(SEQ ID NO: 1)と同様の性質を有するように生じるものをいう。また塩基配列の場合、「欠失」、「置換」、「付加」は、pprA遺伝子の塩基配列(SEQ ID NO: 2)において生じ、かつPprAタンパク質と同様の性質を有するようなタンパク質をコードする塩基配列を生じるものをいう。例えば、アミノ酸の「置換」の場合には、同様の性質を有するアミノ酸同士の置換、例えばある疎水性アミノ酸から別の疎水性アミノ酸への置換、ある親水性アミノ酸から別の親水性アミノ酸への置換、ある酸性アミノ酸から別の酸性アミノ酸への置換、あるいはある塩基性アミノ酸から別の塩基性アミノ酸への置換、などの置換が含まれる。
【0021】
このような「欠失」、「置換」、「付加」を有するタンパク質、または上述のような「欠失」、「置換」、「付加」を有する塩基配列を作成するためには、部位特異的変異生成(Site Directed Mutagenesis)、変異原処理やPCR増幅ミスを用いたランダム変異生成(Random Mutagenesis)、カセット導入変異生成(Cassette Mutagenesis)など、本発明の技術分野において既知の様々な方法を用いることができる。
【0022】
上述したように、本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質には、PprAタンパク質のアミノ酸配列(SEQ ID NO: 1)をコードする、pprA遺伝子(SEQ ID NO: 2)で代表される塩基配列と相補的な塩基配列との間で、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズ可能な塩基配列によりコードされるアミノ酸配列からなる、DNA修復促進活性を有するタンパク質が含まれる。本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列にはまた、pprA遺伝子の塩基配列(SEQ ID NO: 2)と相補的な塩基配列との間で、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズ可能な塩基配列を含むDNAを有し、かつDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も含まれる。
【0023】
本発明において、ストリンジェントな条件とは、目的の塩基配列が、PprAタンパク質(SEQ ID NO: 1)をコードする塩基配列(例えば、SEQ ID NO: 2)もしくはこれと縮重の関係にある塩基配列との間で、特異的にハイブリダイズ可能である条件をいう。ハイブリダイズ条件は、温度、イオン濃度などの条件を考慮して決定されるが、一般的には温度が高いほど、またイオン濃度が低いほどストリンジェントな程度が高くなることが知られている。このようなストリンジェントな条件の設定は、当業者であれば、例えば、SambrookおよびRussel(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition (2001))の記載に基づいて行うことができる。これらのストリンジェントな条件の具体的な例としては、例えば、6×SSC、5×Denhardt's、0.1%SDS、25℃ないし68℃などのハイブリダイゼーション条件を使用することが考えられる。この場合、ハイブリダイゼーションの温度としては、より好ましくは45℃ないし68℃(ホルムアミド無し)または25℃ないし50℃(50%ホルムアミド)を挙げることができる。
【0024】
上述したように、本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質には、PprAタンパク質のアミノ酸配列(SEQ ID NO: 1)との間で少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなる、DNA修復促進活性を有するタンパク質が含まれる。本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列にはまた、pprA遺伝子の塩基配列(SEQ ID NO: 2)との間で少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列を含むDNAを有し、かつDNA修復促進活性を有するタンパク質をコードする塩基配列に代表される遺伝子が含まれる。
【0025】
本発明においてアミノ酸あるいは塩基配列の配列相同性は、視覚的検査及び数学的計算により決定してもよい。あるいは、2つのタンパク質配列の配列相同性は、NeedlemanおよびWunsch(J. Mol Biol., 48: 443−453, 1970)のアルゴリズムに基づき、そしてウィスコンシン大学遺伝学コンピューターグループ(UWGCG)より入手可能なGAPコンピュータープログラムを用い配列情報を比較することにより、決定してもよい。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメーターには:(1)HenikoffおよびHenikoff(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 10915-10919, 1992)に記載されるような、スコアリング・マトリックス、blosum62;(2)12のギャップ加重;(3)4のギャップ長加重;および(4)末端ギャップに対するペナルティなし、が含まれる。
【0026】
本発明においてアミノ酸あるいは塩基配列の配列相同性解析には、当業者に用いられる、配列比較の他のプログラムもまた、用いてもよい。例えばAltschulら(Nucl. Acids. Res. 25., p. 3389-3402, 1997)に記載されているBLASTプログラムを用いて配列情報と比較し決定することが可能である。具体的には、塩基配列解析の場合、Nucleotide BLAST(BLASTN)プログラムで、Query塩基配列を入力して、GenBank、EMBL、DDBJなどの塩基配列データベースと照合することができる。また、アミノ酸配列解析の場合、Protein BLAST(BLASTP)プログラムで、Queryアミノ酸配列を入力して、GenBank CDS、PDB、SwissProt、PIRなどのアミノ酸配列データベースと照合することができる。当該プログラムは、インターネット上でNational Center for Biotechnology Information(NCBI)、あるいはDNA Data Bank of Japan(DDBJ)のウェブサイトから利用することが可能である。BLASTプログラムによる相同性検索の各種条件(パラメーター)は同サイトに詳しく記載されており、一部の設定を適宜変更することが可能であるが、検索は通常デフォルト値を用いて行う。当業者に用いられる、配列比較の他のプログラムもまた、用いてもよい。
【0027】
本発明の上述したPprAタンパク質のアミノ酸配列(SEQ ID NO: 1)およびそのタンパク質をコードするpprA遺伝子の塩基配列(SEQ ID NO: 2)に関して、上述したような配列比較に基づいて配列相同性を検索したところ、本発明ののPprAタンパク質およびpprA遺伝子は、従来から知られていたタンパク質および遺伝子のいずれとも、有意な配列相同性を有しないことがわかった。
【0028】
本発明のpprA遺伝子は、例えば、Narumiら(Gene, 198: 115-126, 1997)、Funayamaら(Mutat. Res., 435: 151-161, 1999)、Narumiら(Mutat. Res., 435: 233-243, 1999)などの記載に基づいて、デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)の放射線高感受性変異株に、放射線耐性野生株由来のDNAを導入して、変異株を変異原性刺激耐性に復帰させることのできるクローンを選別することにより、クローニングすることができる。具体的には:
(1)デイノコッカス・ラジオデュランスの放射線高感受性変異株に、放射線耐性野生株由来のコスミドライブラリーのDNAを導入することによって、変異株を変異原性刺激耐性に復帰させることのできるコスミドクローンを選別すること;
(2)(1)で得たコスミドクローン中に存在する目的遺伝子の存在部位をさらに絞り込むために、上述のコスミドクローン中のインサートを制限酵素で消化したものを適切なベクター中に挿入したベクターを用いて改めて変異株を形質転換して、該菌株を変異原性刺激耐性に復帰させることのできるクローンを選別すること;
(3)(2)で得たサブクローン中に存在する目的遺伝子をさらに絞り込むために、当該サブクローンのnested deletionプラスミドを作製し、さらに変異株の形質転換実験に供し、変異原性刺激耐性に復帰させる活性を持つDNA領域を特定し、クローニングすること;
(4)(3)でクローニングされたインサートDNAの配列を決定すること;
のようにしてpprA遺伝子をクローニングすることができる。
【0029】
本発明の組換えベクターは、上記のようにしてクローニングされたpprA遺伝子を、例えばSambrookおよびRussel(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition (2001))に記載されているような常法に従い、ベクターDNAに組み込むことによって得ることができる。用いられるベクターとしては、例えば、pUC19(Takara Shuzo社製)、pBluescript II KS(+)(Stratagene社製)、pET3a(Novagen社製)等が挙げられるが、これらのものには限定されない。具体的には、ベクターのマルチクローニングサイトを1または2種類の適した制限酵素で切断し、一方クローニングされたpprA遺伝子の両端を、上述した1または2種類の適した制限酵素による切断断片と同一の粘着末端または平滑末端を形成することができる1または2種類の適した制限酵素により切断し、これらの開環し、両端に粘着末端または平滑末端を有するベクターと、上述したように調製したpprA遺伝子断片とを連結することにより、本発明の組換えベクターを作成することができる。
【0030】
このようにして得られた組換えベクターを、SambrookおよびRussel(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition (2001))、Hardin(Cloning, Gene Expression and Protein Purification: Experimental Procedures and Process Rationale (2001))、Brown(Essential Molecular Biology: A Practical Approach, Vol. 1, 2nd edition (2001))などに詳細に記載されている形質転換法(ただし、これらには限定されない)により、例えば、大腸菌、枯草菌、酵母、ほ乳動物細胞等に導入することにより、DNA修復促進活性を有するタンパク質発現性の形質転換体を得ることができるが、宿主として使用する細胞はこれらだけには限定されない。具体的には、形質転換体を作成するためには、上述して得られた組換えベクターを、当該技術分野において既知の形質転換手法を用いて、宿主細胞内に送達することにより行う。当該技術分野において既知の具体的な形質転換手法には、バクテリオファージを用いる方法、リポソームを用いる方法、パーティクル・ガン法、エレクトロポレーション法、塩化カルシウム法などが含まれるが、これらのものには限定されない。
【0031】
このようにして得られた形質転換体を用いてDNA修復促進活性を有するタンパク質を製造する方法としては、Simon(Protein Purification Techniques: A Practical Approach, The Practical Approach Series, 244, 2nd edition (2001))、Simon(Protein Purification Applications: A Practical Approach, The Practical Approach Series, 245, 2nd edition (2001))、Hardin(Cloning, Gene Expression and Protein Purification: Experimental Procedures and Process Rationale (2001))などに詳細に記載されている方法などが知られているが、これらには限定されない。具体的には例えば、形質転換体をDNA修復促進活性を有するタンパク質の生産に適しかつそれぞれの宿主の生育に適した培養条件で培養し、集菌した細胞を超音波処理等で破砕し、遠心分離することによって製造することができる。さらに、遠心上清を、市販のイオン交換樹脂、ゲル濾過担体、アフィニティー樹脂等を用いて精製することができる。さらに、このようにして得られたDNA修復促進活性を有するタンパク質は、公知の方法、例えば、該タンパク質をトリプシン、ペプシン等で消化して、目的とする活性を有するドメインペプチドとして使用することができる。
【0032】
更に本発明は、DNA修復促進活性を有するタンパク質を認識する抗体に関する。本発明による抗体は、上記のように精製したDNA修復促進活性を有するタンパク質またはその断片を用いて、Delves(Antibody Production: Essential Techniques (1997))、HawardおよびBethell(Basic Methods in Antibody Production and Characterization (2000))、KontermannおよびDubel(Antibody Engineering: Springer Lab Manual (2001))などに詳細に記載されている公知の方法にしたがって取得することができる。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であることもできるし、モノクローナル抗体として得ることもできる。ポリクローナル抗体は、適当な免疫動物にDNA修復促進活性を有するタンパク質、あるいはその断片を免疫し、回収された血清から得ることができる。免疫動物としては、一般的にウサギ、ヒツジ、ヤギ、モルモット、あるいはマウス等が用いられるが、これらのものには限定されない。モノクローナル抗体は、上述したDNA修復促進活性を有するタンパク質、あるいはその断片により免疫した動物の抗体産生細胞を回収し、これをミエローマ細胞等の適当な融合パートナーと細胞融合させてハイブリドーマ細胞を得、必要な活性を持った抗体を産生するクローンを生育に適した培地中で培養・クローニングし、そのクローニングされたハイブリドーマ細胞を適した条件下で培養することにより、その培養上清から取得することができる。さらに、このようにして得られたハイブリドーマ細胞を哺乳動物の腹腔内で増殖させることにより抗体を産生させることもできる。免疫動物としては、例えば、マウス、ヌードマウス、ラット、または、ニワトリなどが好ましい。このようにして得られた抗体は、遠心分離、透析、硫酸アンモニウム等による塩析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィーなどの一般的な単離、精製方法を用いて精製することができる。
【0033】
上述したように得ることができる本発明の抗体は、DNA修復促進活性を有するタンパク質の精製、検出、活性阻害等に利用することができる。本発明の抗体は、公知の方法により、F(ab')2フラグメントあるいはFab'フラグメント化して用いることができる。また、本発明の抗体をDNA修復促進活性を有するタンパク質の検出に利用する場合には、放射性同位元素(例えば、35Sや3H)や酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ)、あるいは適当な親和性リガンド(例えば、アビジン-ビオチン)によって標識しておくことができる。
【0034】
本発明のPprAタンパク質は、開環状二本鎖DNAおよび直鎖状二本鎖DNAに結合する活性を有する。このPprAタンパク質の活性を利用することによって、DNAあるいはmRNAの高純度精製を行うことが可能である。
【0035】
例えば、高純度の閉環状二本鎖プラスミドDNAは、DNAシークエンシング、あるいは欠失ライブラリー作成を効率的に行うためのテンプレートとして必要である。しかし、大腸菌等から既存の方法で抽出したプラスミドDNA中には、抽出操作過程でDNA鎖に切断が起きて開環状二本鎖DNAおよび直鎖状二本鎖DNA成分が混在することがある。このような開環状二本鎖DNAおよび直鎖状二本鎖DNAは、本発明のPprAタンパク質を固定化したカラムに通すこと等により除去することが可能である。したがって、本発明のPprAタンパク質は、閉環状二本鎖プラスミドDNA抽出のためのキット中に含めることができる。
【0036】
また、DNAに特異的に結合するという特徴を利用して、RT-PCR反応に擬陽性をもたらす原因となるmRNAに混在するゲノムDNAを上述したPprA固定化カラムに通すことなどによって除去し、高純度のmRNAを取得することもできる。したがって、本発明のPprAタンパク質は、高純度mRNA抽出のためのキット中に含めることができる。
【0037】
さらに、本発明のPprAに対する抗体を固定化したカラムを作成して、抗体とPprAとの結合反応を利用して、上述のような高純度の閉環状二本鎖プラスミドDNAやmRNAを取得することも可能である。
【0038】
輸入牛肉や果物等で、放射線滅菌処理が行われているが、このような照射された食品の簡便な鑑別法の開発が重要視されている。このような分野にもPprAタンパク質と抗PprA抗体を利用できる。例えば、照射食品の検知法の一つとして使用されているコメットアッセイ法と組み合わせることにより、DNA鎖切断の量をより厳密に評価することができる。また、免疫組織学的検査法等を用いて、照射された食品中のDNA切断の量を非照射コントロールと比較することにより、より簡便に照射食品の鑑別をすることができる。したがって、本発明のPprAタンパク質は、場合により抗PprA抗体と組み合わせて、DNA切断の検出および/またはDNA切断量の測定のためのキット中に含めることができる。
【0039】
本発明のPprAタンパク質は、DNAリガーゼのDNA鎖骨格エステル結合反応を促進する活性を有する。DNAリガーゼは、遺伝子操作技術に最も頻繁に使用される酵素の一つである。したがって、DNAリガーゼとPprAタンパク質を組み合わせれば、効率的なリガーゼ反応を有する研究用試薬を提供することが可能になるであろう。また、耐熱性DNAリガーゼは、ライゲーション依存性PCR法によるSNP(単一ヌクレオチド多型)検出に用いられている。したがって、DNAリガーゼ促進活性を有し、かつ耐熱性を揺するPprAタンパク質改変体は、遺伝子診断のための効率的なライゲーション依存性PCR法の開発に有用である。
【0040】
本発明のPprAタンパク質は、RecAタンパク質のDNA鎖交換反応、すなわち相同性組換え活性を促進する活性を有する。RecAの相同性組換え活性は、FerrinおよびCamerini-Otero(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95: 2152-2157, 1997)、Ferrin(DNA Repair Protocols: Procaryotic Systems, Methods in Molecular Biology, Vol. 152: 135-147, 2000)に記載されているように、制限酵素消化からの特定DNA領域の保護、メチル化反応阻害を利用した制限酵素によるRARE消化、あるいはRecA-assistedクローニング等、分子生物学的DNA操作技術に応用されている。また、米国特許第4,9888,274号に記載されているように、RecAの相同性組換え反応は、プラスミドcDNAライブラリーの中から標的クローンを捕捉することにより、スクリーニングを簡便にする技術にも応用されている。本発明のPprAタンパク質とRecAを組み合わせることによって、RecAの相同配列間のペアリングを介した上記のような反応の効率化が行える。
【0041】
【実施例】
続いて実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
実施例 1 pprA 遺伝子のクローニング
デイノコッカス・ラジオデュランスの放射線高感受性変異株KH3111(Kitayama et al., J. Bacteriol., 155: 1200-1207, 1983)に、放射線耐性野生株由来のコスミドライブラリーのDNA(Narumi et al., Mutat. Res., Gene, 198: 115-126, 1997)を導入することによって、変異株KH3111をマイトマイシンC(協和メディックス)耐性に復帰させることのできるクローンを選別し、そしてこのクローンからpDC144(42 kb)を得た(図1)。上述の放射線耐性野生株由来のコスミドライブラリーの作成は、簡単に述べると、制限酵素Mbo I(Takara Shuzo社製)で部分消化した野生株KD8301のゲノムDNAを、SuperCos 1コスミドベクター(Stratagene社製)とパッケージングして、大腸菌XL1-Blue MR株(Stratagene社製)に組み込むことによって行った(Narumi et al., Mutat. Res., Gene, 198: 115-126, 1997)。
【0043】
デイノコッカス・ラジオデュランスの自然形質転換法は、Kitayamaらの方法(Kitayama et al., J. Bacteriol., 155: 1200-1207, 1983)に従って行った。簡単に述べれば、液体培養した菌体を、塩化カルシウム存在下でDNAと混合した後、液体培地で培養して、その後マイトマイシンCを含む選択寒天培地に塗布することで行った。
【0044】
pDC144のDNAがマイトマイシンC耐性を付与することは、このクローンのインサート中に変異原因遺伝子が存在することを示している。そこで、目的遺伝子の存在部位を絞り込むために、pDC144のインサートを制限酵素で消化したものをpUC19(Takara Shuzo社製)にサブクローニングし、このサブクローンを用いて改めて変異株KH3111を形質転換して、該菌株をマイトマイシンC耐性に復帰させることのできるクローンを選別した。その結果、pDC144由来のSalI-BlnI断片(2.9 kb)を含むプラスミドを得て、pZA11と命名した(図1)。
【0045】
続いて、目的遺伝子のpZA11での存在部位をさらに絞り込むために、キロシークエンス用ディレーションキット(Takara Shuzo社製)を用いて、pZA11のnested deletionプラスミドを作製し、変異株KH3111の形質転換実験に供した。その結果、変異株KH3111をマイトマイシンC耐性に復帰させる活性を持つDNA領域を169 bpに限定することができた(図1)。
【0046】
pZA11のインサートDNAの配列を377DNAシークエンシング・システム(Applied Biosystems社製)を用いて決定したところ、上記の169 bpを含むDNA領域に855 bpからなるオープンリーディングフレーム(SEQ ID NO: 2)を見いだした。
【0047】
このオープンリーディングフレームの配列から予想されるアミノ酸配列(SEQ ID NO: 1)は、配列既知のいずれのタンパク質とも相同性がなく、新規のタンパク質であった。そこで、変異株KH3111のDNA修復欠損を復帰させる該遺伝子をpprAと命名し、この遺伝子がコードする新規DNA修復関連タンパク質をPprAと命名した。
【0048】
実施例 2 pprA 遺伝子の検出
本実施例においては、pprA遺伝子のサザンハイブリダイゼーションによる検出を行った。pprA遺伝子を検出するために、本発明のpprA遺伝子を単離するために使用したKD8301株の親株であり、5種類の色素成分をもつデイノコッカス・ラジオデュランスR1株(ATCC 13939)、およびR1株と同一の色素成分の1種類の他にR1株とは異なる5種類の色素成分をもつという特徴を有するデイノコッカス・ラジオデュランスSark株(ATCC 35073)を使用した。デイノコッカス・ラジオデュランスSark株は、R1株と同じ種に属するものの、異なる系統株として確立されたものである。
【0049】
デイノコッカス・ラジオデュランスR1株およびSark株から、Kikuchiら(FEMS Microbiol. Lett., 174: 151-157, 1999)の方法にしたがって調製した制限酵素消化ゲノムDNAを、パルスフィールドゲル電気泳動に供し、続いてSambrookおよびRussel(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition (2001))に記載されている方法に従うサザンブロット解析に供した。具体的には、以下のように行った。
【0050】
1%低融点アガロースGB(Nippon Gene社製)に包埋した菌体を、1 mg/mlリゾチーム(Sigma社製)を含むバッファー(10 mM Tris-HCl、pH 8.0、40 mM EDTA、50 mMスクロース、0.1%Triton X-100)1 ml中、37℃で24時間処理した。続いて1 mg/mlのProteinase K(Quiagen社製)を含む上記バッファー中、50℃で24時間処理した。その後、100μlの制限酵素反応用バッファー(50 mM Tris-HCl、pH 7.5、10 mM MgCl2、1 mMジチオスレイトール、100 mM NaCl、0.01%ウシ胎児血清アルブミン、0.01%Triton X-100)中、30 Uの制限酵素NotI(Takara Shuzo社製)により、37℃にて24時間消化した。その後、Geneline I(Beckman社製)を用いて、150 mAの定電流および20秒のスイッチ時間という条件にて、16時間かけて1%アガロースHS(Nippon Gene社製)ゲルを用いてTAFEバッファー(10 mM Tris-HCl、0.5 mM EDTA、4.4 mM酢酸)中でパルスフィールドゲル電気泳動することにより、制限酵素消化されたゲノムDNAを分画した。
【0051】
電気泳動が終了した後、ゲル中で分画した制限酵素消化ゲノムDNAを、常法に従って、アルカリバッファー(0.4 N NaOH、1 M NaCl)中で24時間、ナイロンメンブレン(Roche Diagnostics社製)に転写した。その後、メンブレンを80℃で2時間加熱処理して、メンブレン上に制限酵素消化ゲノムDNAを固定化した。
【0052】
実施例1にて単離したpprA遺伝子の構造遺伝子配列(塩基配列1〜855)を有するDNA断片を、DIG DNAラベリングキット(Roche Diagnostics社製)を用いてジゴキシゲニン標識したものをプローブとして使用し、制限酵素消化DNAを固定化したメンブレンとの間で、ストリンジェントな条件下、ハイブリダイゼーション反応を行った。具体的には、ハイブリダイゼーション反応は、ハイブリダイゼーション溶液(5×SSC、1%ブロッキング溶液、0.1%N-ラウリルザルコシン、0.02%SDS)を用いて、68℃、18時間かけて行った。その後、反応させたメンブレンを高イオン強度バッファー(2×SSC、0.1%SDS)を用いて室温で5分、2回洗浄し、さらに、低イオン強度バッファー(0.1×SSC、0.1%SDS)を用いて68℃で15分、2回洗浄し、その後使用したプローブの標識をDIG DNA検出キット(Roche Diagnostics社製)を用いて検出した。
【0053】
結果を図2に示す。各レーンには以下のものをロードした:
レーン1:分子量マーカー
レーン2:デイノコッカス・ラジオデュランスR1
レーン3:デイノコッカス・ラジオデュランスSark株
レーン4:分子量マーカー
レーン5:デイノコッカス・ラジオデュランスR1
レーン6:デイノコッカス・ラジオデュランスSark株。レーン1〜3は、臭化エチジウム染色をした電気泳動ゲルを、レーン4〜6は、サザンハイブリダイゼーションの結果を示している。
【0054】
図2からも明らかなように、デイノコッカス・ラジオデュランスR1株とSark株のゲノムDNAをNotIにより消化した場合、DNA断片のパターンが全く異なっていた。これは、R1株とSark株が同じデイノコッカス属に属する細菌であるが、本来は他の種あるいは他の亜種に分類されるべき細菌であることがわかる。そして本発明のpprA遺伝子は上記R1株由来の菌株から単離されたものであるが、レーン6のSark株からも同じくpprA遺伝子が検出された。
【0055】
実施例 3 PprA 過剰生産プラスミドの作製
デイノコッカス・ラジオデュランスの新規DNA修復関連タンパク質PprAの過剰生産を行うために、以下の2種類のオリゴヌクレオチドを設計した。
プライマー1
5'-GGGCATAATA AAGGCCATAT GGCAAGGGCT AAAGC-3'
プライマー2
5'-TTTTGGATCC TCAGCTCTCG CGCAGGCCGT GC-3'
pZA11を鋳型として、上記のセンス・プライマーとアンチセンス・プライマーを用いてPCR反応を行い、得られたPCR産物を制限酵素NdeIおよびBamHIで消化し、大腸菌発現ベクターpET3a(Novagen社製)のNdeI-BamHI部位にサブクローニングし、これをpET3pprAwt(図3)と命名した。
【0056】
実施例 3 :形質転換体の作製とタンパク質粗精製物の製造
野生型を得るために、pET3pprAwtプラスミド(図3)を用いて大腸菌BL21(DE3)pLysS(Novagen社製)を形質転換した。個々の形質転換体をアンピシリンおよびクロラムフェニコールを含むLB培地(BD Bioscience社製)で培養し、波長600 nmでの吸光度が0.6に達した時点で、終濃度0.4 mMのIPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド、Takara Shuzo社製)を添加して、タンパク質の誘導を行った。
【0057】
さらに3時間培養を続けたのち、遠心分離により形質転換体の細胞ペレットを得た。細胞ペレットを溶菌緩衝液(20 mM Tris-HCl, pH 8.0, 2 mM EDTA, 1mM PMSF)に懸濁して、超音波破砕を行った。ついで、8,000 rpmにおいて30分間遠心分離することにより上澄を採取し、タンパク質粗精製物を得た。
【0058】
これをSDS-PAGEに供し、タンパク質の発現を確認した(図4)。発現したタンパク質の分子量は31.6 kDaであり、SEQ ID NO: 1に示した配列から予想される分子量と一致した。また、粗精製物と直鎖状二本鎖のpUC19(Takara Shuzo社製)DNAを混合して、緩衝液(10 mM Tris-HCl, pH 7.5, 10 mM MgCl2)中で30分間インキュベートしたのち、アガロースゲル電気泳動に供したところ、野生型のタンパク質がDNA結合能を持つことがわかった(図5)。
【0059】
実施例 4 :野生型 PprA の精製
上記粗精製で得られたタンパク質を、ポリアミン処理、硫酸アンモニウムによる塩析、DEAEセファロースCL-6Bカラムクロマトグラフィー(Amersham Pharmacia Biotech社製)、セファクリルS-300ゲル濾過(Amersham Pharmacia Biotech社製)、およびモノQカラムクロマトグラフィー(Amersham Pharmacia Biotech社製)を用いて精製して、野生型のタンパク質を回収した(図6)。
【0060】
実施例 5 PprA の性質の検討
(1)N末端アミノ酸配列の確認
実施例4の方法で精製したタンパク質を、SDS-PAGEに供し、メンブランフィルター(Millipore社製)に転写後、PSQ-1プロテインシーケンサー(Shimadzu社製)を用いてN末端アミノ酸配列を決定した。その結果、分析することができた12個のアミノ酸のすべてがSEQ ID NO: 1に示した配列と一致した。
【0061】
(2)DNA結合能の確認
実施例4の方法で精製したタンパク質のDNA結合能の詳細な検討を行った。まず、閉環状二本鎖、開環状二本鎖、環状一本鎖、および直鎖状二本鎖のφX174DNA(New England Biolabs社製)を調製した。次に、これらのDNAと、実施例4の方法で精製したタンパク質を緩衝液(10 mM Tris-HCl, pH 7.5, 10 mM MgCl2)中で10分間反応させた後、アガロースゲル電気泳動に供し、ゲルシフト分析を行った(図7)。ニックを有する開環状二本鎖および直鎖状二本鎖DNAのみにPprAとの特異的な結合が見られたことから、PprAはDNAの鎖切断損傷を認識して結合することでDNA修復に関与することが示唆された。
【0062】
(3)DNAリガーゼ修復反応を促進する活性の確認
DNAリガーゼによるDNA鎖骨格エステル結合反応に対するPprAの効果を調べた。基質DNAには、(2)で調製した直鎖状二本鎖φX174DNAを用いた。基質DNAと、T4 DNAリガーゼ(Promega社製)または大腸菌DNAリガーゼ(Takara Shuzo社製)、および実施例4の方法で精製したタンパク質を混合し、10分間インキュベートした後、DNAをフェノール処理およびエタノール沈殿によって精製し、アガロースゲル電気泳動に供した。その結果、PprAの添加により最大55.3%のDNA結合産物の増加が見られ、PprAのDNAリガーゼ修復反応促進活性が確認された(図8)。
【0063】
(4)DNAリガーゼ修復反応促進活性のpprA濃度依存性
(3)に記載する実験と同様の実験を行い、DNA結合産物の割合を定量し、さらにPprAの濃度について検討した。
【0064】
T4 DNAリガーゼを使用した場合(A)および大腸菌DNAリガーゼを使用した場合(B)のいずれにおいても、7.5 ng/μlの基質DNAに対して、50 ng/μlのPprAタンパク質を添加したときに、最大促進効果がみられる(図9)。T4 DNAリガーゼの場合には、PprAタンパク質無添加時の産物の割合32.9%に対して、50 ng/μlのPprAタンパク質添加時には、88.2%に増加した。また、大腸菌DNAリガーゼの場合には、PprA無添加時の産物の割合4.3%に対して、50 ng/μlのPprA添加時には30.3%に増加している(図9)。
【0065】
(5)RecA鎖交換反応を促進する活性の確認
組換えタンパク質RecAによるDNA鎖交換反応に対するPprAの効果を調べた。RecAは、大腸菌RecA(Promega社製)を用いた。基質DNAとして、閉環状二本鎖φX174DNAを制限酵素HincII(Takara Shuzo社製)で消化したものおよび環状一本鎖φX174DNAを用いた。DNA鎖交換反応は、Muller等の方法(Muller et al., Methods in Mol. Biol., 30, 413-423, 1994)に従って行った。その結果、PprAの添加により最大20%の鎖交換産物の増加が見られ、PprAのRecA鎖交換反応促進活性が確認された(図10)。以上の結果から、PprAがDNA修復酵素による修復反応を促進するタンパク質であるとの結論に至った。
【0066】
実施例6: DNA 修復促進活性を有するタンパク質 PprA を認識するポリクローナル抗体の作製
(1)ポリクローナル抗体の調製
実施例4に示した方法で製造した精製タンパク質を抗原としてフロイントの油性アジュバントとのエマルジョン100μlをウサギ1羽に皮下免疫した。半月に一回、同量の抗原とフロイントの油性アジュバントとのエマルジョンを追加免疫した(計6回)。さらに1ヶ月後に全採血した。血液の遠心分離により血清を得、熱処理により非動化した後、0.05%のNaN3を加えて、-80℃にて保存した。
【0067】
(2)ポリクローナル抗体の特異性
デイノコッカス・ラジオデュランスの細胞中に存在するPprAを検出することで、抗体の特異性を検討した。まず、Funayamaらの方法(Funayama et al., Mutat. Res., 435: 151-161, 1999)に従って、クロラムフェニコール耐性遺伝子カセット導入法によるpprA遺伝子の破壊株作製を行い、破壊株XN1を得た。
【0068】
次に、該細菌の野生株、変異株KH311、並びに上記で作製した破壊株XN1を2 kGyのガンマ線で照射後、2時間振とう培養を行った。その後、集菌した菌体をガラスビーズを用いて破砕し、遠心操作により、タンパク質抽出物を調製した。これをSDS-PAGEに供し、メンブランフィルター(Millipore社製)にタンパク質を転写後、上記(1)で調製した抗体を用いてウエスタンブロット分析を行った。その結果、野生株および変異株KH3111ではPprAが検出されたが、pprA遺伝子破壊株では検出されなかった(図11)。このことから、調製した抗体の特異性が立証された。また、この抗体を用いることで、PprAが放射線誘導性であることが分かった。
【0069】
【発明の効果】
本発明は、新規のDNA修復促進活性を有するタンパク質を提供する。DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼなどの既知修復酵素は研究用試薬として遺伝子操作技術に使用され、またDNAを被検対象とする臨床検査診断薬としても用いられている。したがって、既知の修復酵素の反応を促進する活性を有するタンパク質は、さらに効率的な研究用試薬、臨床検査診断薬等の開発に資することができる。また、本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質がDNAの鎖切断を認識して特異的に結合することを利用すれば、DNA中の鎖切断部位の検出や他のDNA操作技術に用いる試薬を新規に開発することができる。さらに、本発明のDNA修復促進活性を有するタンパク質認識抗体と組み合わせることによって、上記の研究用あるいは診断用試薬の反応系を制御、あるいは検出感度を向上させることができる。またこの抗体は、DNA修復促進活性を有するタンパク質PprAに結合するタンパク質を捕捉することにも使用でき、放射線抵抗性細菌のDNA修復機構解明に資することができる。さらに、デイノコッカス・ラジオデュランス以外の生物からDNA修復促進活性を有するタンパク質を検索することにも用いることができる。
【0070】
【配列表】
Figure 0004111369
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Figure 0004111369
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【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、pDC144とpZA11インサート部分の構造を示す模式図を示す。
【図2】 図2は、pprA遺伝子のサザンハイブリダイゼーションによる検出結果を示す。各レーンは、以下のサンプルに対応する。レーン1〜3は、臭化エチジウム染色をした電気泳動ゲルを、レーン4〜6は、サザンハイブリダイゼーションの結果を示している。
レーン1:分子量マーカー
レーン2:デイノコッカス・ラジオデュランスR1
レーン3:デイノコッカス・ラジオデュランスSark株
レーン4:分子量マーカー
レーン5:デイノコッカス・ラジオデュランスR1
レーン6:デイノコッカス・ラジオデュランスSark株
【図3】 図3は、pET3pprAwtの構造を示す模式図を示す。小文字の配列部分は野生型pprAの翻訳領域を示す。
【図4】 図4は、タンパク質粗精製物のSDS-PAGEのクマシー染色像を示す。レーン1は、以下の培養物に対応する。
レーン1:大腸菌BL21(DE3)pLysS pET3pprAwt
【図5】 図5は、タンパク質粗精製物による直鎖状二本鎖DNAのゲルシフト像を示す。各レーンは、以下のサンプルに対応する。
レーン1:直鎖状二本鎖pUC19 DNA
レーン2:大腸菌BL21(DE3)pLysS pET3pprAwtのタンパク質粗精製物
レーン3:2に直鎖状二本鎖pUC19 DNAを加えたもの
【図6】 図6は、PprAの各精製過程におけるSDS-PAGEのクマシー染色像を示す。各レーンは、以下のサンプルに対応する。
レーン1:超音波破砕上澄
レーン2:ポリアミン処理
レーン3:硫酸アンモニウム処理
レーン4:DEAEセファロースCL-6Bカラムクロマトグラフィー
レーン5:セファクリルS-300ゲル濾過
レーン6:モノQカラムクロマトグラフィー
【図7】 図7は、PprAのDNA結合能を示す写真を示す。各レーンは、以下のサンプルに対応する。
レーン1:閉環状二本鎖および開環状二本鎖φX174 DNA
レーン2:1にPprAを添加したもの
レーン3:直鎖状二本鎖および環状一本鎖φX174 DNA
レーン4:3にPprAを添加したもの
【図8】 図8は、PprAによるDNAリガーゼ修復反応促進活性の結果を示す写真を示す。各レーンは、以下のサンプルに対応する。
レーン1:直鎖状二本鎖φX174 DNA
レーン2:1にPprAを添加したもの
レーン3:1にT4 DNAリガーゼを添加したもの
レーン4:3にさらにPprAを添加したもの
レーン5:1に大腸菌DNAリガーゼを添加したもの
レーン6:5にさらにPprAを添加したもの
【図9】 図9は、DNAリガーゼ修復反応促進活性のpprA濃度依存性について、T4 DNAリガーゼを使用した場合(A)および大腸菌DNAリガーゼを使用した場合(B)のそれぞれの結果を表すグラフを示す。
【図10】 図10は、PprAによるRecA鎖交換反応促進活性の結果を示す写真を示す。各レーンは、以下のサンプルに対応する。
レーン1:基質DNAのみ
レーン2:1に大腸菌RecAを添加したもの
レーン3:2にさらにPprAを添加したもの
【図11】 図11は、デイノコッカス・ラジオデュランス細胞内におけるPprAのウエスタンブロット法による分析結果を示す写真を示す。各レーンは、以下のサンプルに対応する。
レーン1:ガンマ線非照射野生株
レーン2:ガンマ線照射野生株
レーン3:ガンマ線非照射変異株KH3111
レーン4:ガンマ線照射変異株KH3111
レーン5:ガンマ線非照射遺伝子破壊株XN1
レーン6:ガンマ線照射遺伝子破壊株XN1

Claims (6)

  1. 基質DNAに対して、
    以下のタンパク質:
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列との間で少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;または
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列との間で少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列を含むDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    のいずれかであってDNAの鎖切断損傷部位に対する結合活性を有するもの(「PprAタンパク質」という)を添加してインキュベートする工程;および
    基質DNAの鎖切断損傷部位に対して結合した前記PprAタンパク質を検出する工程;
    を含む、DNAの鎖切断損傷を検出する方法。
  2. 以下のタンパク質:
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列との間で少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;または
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列との間で少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列を含むDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    のいずれかであってDNAの鎖切断損傷部位に対する結合活性を有するもの(「PprAタンパク質」という);および
    前記PprAタンパク質を認識することができる抗体;
    を含む、DNAの鎖切断損傷検出用キット。
  3. 基質DNAに対して、
    以下のタンパク質:
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列との間で少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;または
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列との間で少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列を含むDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    のいずれかであってDNAの鎖切断損傷部位に対する結合活性を有するもの(「PprAタンパク質」という);および
    DNAリガーゼ;
    を添加することにより、in vitroにおいて、基質DNAの鎖切断損傷部位に対して前記PprAタンパク質を結合させることを介して、DNAリガーゼによる基質DNAの修復反応を促進する方法。
  4. DNAリガーゼ;および
    以下のタンパク質:
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列との間で少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;または
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列との間で少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列を含むDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    のいずれかであってDNAの鎖切断損傷部位に対する結合活性を有するもの(「PprAタンパク質」という);
    を含む、DNAライゲーション用キット。
  5. 基質DNAに対して、
    以下のタンパク質:
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列との間で少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;または
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列との間で少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列を含むDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    のいずれかであってDNAの鎖切断損傷部位に対する結合活性を有するもの(「PprAタンパク質」という);および
    RecAタンパク質;
    を添加することにより、in vitroにおいて、基質DNAの鎖切断損傷部位に対して前記PprAタンパク質を結合させることを介して、RecAタンパク質による基質DNAのDNA鎖交換反応(相同性組換え反応)を促進する方法。
  6. RecAタンパク質;および
    以下のタンパク質:
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 1で示されるアミノ酸配列との間で少なくとも90%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;または
    SEQ ID NO: 2で示される塩基配列との間で少なくとも90%の塩基配列相同性を有する塩基配列を含むDNAによりコードされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    のいずれかであってDNAの鎖切断損傷部位に対する結合活性を有するもの(「PprAタンパク質」という);
    を含む、DNA鎖交換反応(相同性組換え反応)用キット。
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