JP3864230B2 - ヨーネ菌抗原タンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、及び該タンパク質を用いるヨーネ病の診断方法 - Google Patents

ヨーネ菌抗原タンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、及び該タンパク質を用いるヨーネ病の診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヨーネ菌抗原タンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、及び該タンパク質を用いるヨーネ病の診断方法に関し、詳しくは、インターフェロン・ガンマ(IFN−γ)誘導能を有する単一のヨーネ菌抗原タンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、及び該タンパク質を用いることにより、ヨーネ病を正確且つ高感度に診断できるヨーネ病の診断方法に関する。
ヨーネ病は、現在我が国で発生している家畜法定伝染病の中で最も摘発頭数が多い疾病であり、診断方法の改良等、本病防疫対策の一層の高度化が要求されている。
原因菌であるヨーネ菌に対する細胞性免疫を指標としたヨーネ病の診断方法は、早期診断法として重要である。特に、最近、牛の血液細胞をヨーネ菌由来抗原で刺激し、IFN−γの産生を検出するヨーネ病の診断方法が注目されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
これらの診断法では、ヨーネ菌由来抗原として本菌の培養上清から調製した精製ツベルクリンタンパク質体(Purified Protein Derivative、PPD)が用いられている。
しかし、ヨーネ菌の培養期間が長期に及ぶため、PPDの調製には最短でも2ヶ月以上が必要とされる。しかも、PPDの調製には、特殊な装置が必要とされる。
さらに、PPD中には種々のタンパク質等が含まれ、それらの中には他の抗酸菌と交差反応性を有する抗原も含まれる。従って、PPDは特異性の点でも問題があり、ヨーネ病の正確な診断には問題があった。
従って、IFN−γの検出によるヨーネ病の診断方法に際し、容易に且つ大量に作製することが可能で、しかも特異性の高い抗原の開発が期待されている。
一方、ヨーネ菌抗原の遺伝的情報が明らかとなれば、遺伝子組換えタンパクを用いることにより、IFN−γ誘導能を有する単一のヨーネ菌抗原を、容易に、且つ大量に作製することが可能となると考えられる。
ヨーネ菌のゲノムDNAを他の類似菌と比較することにより、種々の遺伝子を見出そうとする試みが既に報告されているが(非特許文献3及び4参照)、ヨーネ菌のゲノムDNAを他の類似菌と単に比較するだけでは、ヨーネ菌抗原の抗原性や生物活性に関する情報を得ることは困難であり、IFN−γ誘導能を有する単一のヨーネ菌抗原に関する遺伝的情報を解明することはできなかった。
Stabel JR.& Whitlock RH.An evaluation of a modified interferon-gamma assay for the detection of paratuberculosis in dairy herds.Vet Immunol Immunopathol.79,69-81(2001) Jungersen G.Huda A,Hansen JJ,& Lind P.Interpretation of the gamma interferon test for diagnosis of subclinical paratuberculosis in cattle.Clin Diagn Lab Immunol.9,453-60(2002) Bannantine JP,Baechler E,Zhang Q,Li L,Kapur V.Genome scale comparison of Mycobacterium avium subsp.paratuberculosis with Mycobacterium avium subsp.avium reveals potential diagnostic sequences.J Clin Microbiol.2002 Apr;40(4):1303-10 Bannantine JP,Zhang Q,Li L,Kapur V.Genomic homogeneity between Mycobacterium avium subsp. avium and Mycobacterium avium subsp.paratuberculosis belies their divergent growth rates.BMC Microbiol.2003 May 9;3(1):10.Epub 2003 May 09
本発明の第一の目的は、IFN−γ誘導能を有する単一のヨーネ菌抗原タンパク質を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、ヨーネ菌抗原タンパク質に関する遺伝的情報を解明し、ヨーネ菌抗原タンパク質の容易且つ大量生産を可能とすることにある。
更に、本発明の第三の目的は、このような特異性の高いヨーネ菌抗原タンパク質を用いた正確且つ高感度なヨーネ病の診断方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた。その過程で、ヨーネ菌DNAの組換え大腸菌を作製し、それらの中からIFN−γ誘導能を示すものを分離し、クローニングサイトに挿入された塩基配列を解析したところ、264ヌクレオチド及び1,248ヌクレオチドからなる2つの塩基配列を確認した。
これらの塩基配列をプラスミドベクターに組み込み、大腸菌へ導入して得た組換え大腸菌から精製された組換えタンパク質は、ヨーネ菌感染牛の血液細胞中のIFNγ誘導能を強く誘導した。
このような検討の結果から、本発明者らは、264ヌクレオチド及び1,248ヌクレオチド部分がそれぞれコードする88アミノ酸及び416アミノ酸は、IFN−γ誘導能を有する単一のヨーネ菌抗原タンパク質であり、これらは正確且つ高感度なヨーネ病の診断に有用であることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、係る知見に基づくものである。
請求項1記載の本発明は、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるヨーネ菌抗原タンパク質である。
請求項2記載の本発明は、配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなるヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子である。
請求項3記載の本発明は、請求項2記載の遺伝子が発現可能に導入された細胞である。
請求項4記載の本発明は、非ヒト被検動物の細胞に請求項1記載のヨーネ菌抗原タンパク質を添加して培養した後、培養上清中のインターフェロン・ガンマ濃度を検出することを特徴とするヨーネ病の診断方法である。
請求項5記載の本発明は、非ヒト被検動物の細胞に請求項3記載の細胞を添加して培養した後、培養上清中のインターフェロン・ガンマ濃度を検出することを特徴とするヨーネ病の診断方法である。
本発明によれば、IFN−γ誘導能を有する単一のヨーネ菌抗原タンパク質が提供される。
また、本発明によれば、ヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子が提供されるので、ヨーネ菌抗原タンパク質の大量生産への道が開かれる。
更に、本発明によれば、IFNγ誘導能を有するヨーネ菌抗原タンパク質を用いた正確且つ高感度なヨーネ病の診断方法が提供される。
(1)ヨーネ菌抗原タンパク質
まず、本発明のヨーネ菌抗原タンパク質について、説明する。
本発明のヨーネ菌抗原タンパク質は、請求項1に係る本発明のヨーネ菌抗原タンパク質である
まず、請求項1に係る本発明のヨーネ菌抗原タンパク質は、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる。この請求項1に係る本発明のタンパク質は、実施例1に示すように、本発明者らが請求項2に係る本発明の遺伝子の塩基配列から解読されて、IFN−γ誘導能の存在によりヨーネ菌抗原タンパク質であることが明らかにされたものである。
本発明のヨーネ菌抗原タンパク質は、ヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp.paratuberculosis)から得ることができる。ここで、ヨーネ菌としては、ATCC19698株を用いることができる。例えば、後述の請求項2に係るヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子を発現させて得ることができ、具体的には例えば、後述の(3)細胞の項で説明するように、請求項2に係る遺伝子が発現可能に導入された細胞を培養し、発現誘導を行って、十分に発現が誘導された段階で細胞を収穫してからアフィニティーカラム等により精製して得ることができる。
一方、ペプチド合成装置等を用いて配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列を人工的に合成して製造することもできる。
本発明のヨーネ菌抗原タンパク質は、IFN−γ誘導能を有する単一のヨーネ菌抗原であることから、ヨーネ病の診断用抗原として用いることができる。また、ヨーネ病のワクチンに応用することもできる。
(2)ヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子
本発明のヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子は、請求項2に係る本発明の遺伝子である
まず、請求項2に係る本発明のヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子は、配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなる。請求項2に係る本発明の遺伝子は、請求項1にかかる本発明のヨーネ菌抗原タンパク質に対応する遺伝子である。
本発明のヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子は、ヨーネ菌から、以下のようにして取得することができる。ヨーネ菌については、(1)ヨーネ菌抗原タンパク質の項で説明した通りである。
DNAの調製は、例えばヨーネ菌の菌体をリパーゼ、リゾチーム、タンパク質分解酵素等を用いて酵素分解(溶菌)し、フェノールクロロフォルム等の溶媒抽出及びエタノール沈殿により行うことができる。
次に、DNAライブラリーを作製する。即ち、まず、DNAを適当な制限酵素で限定消化する。制限酵素としては、種々の酵素を用いることができるが、本発明者らは、実施例1に示すように、Sau3A Iを用いた。限定消化の条件は、使用する制限酵素の種類に応じて切断反応温度、時間等を調節する。例えば、Sau3A Iの場合、切断反応温度は30〜40℃、好ましくは37℃、切断反応時間は30分〜1時間とすることができる。
次いで、限定消化されたDNAを、ベクターにライゲーションする。ベクターとしては、上記限定消化の際に用いた制限酵素(例えば、Sau3A I)サイトと相補的な制限酵素(例えば、BamH I)サイトを持つベクターを用いることができる。
ライゲーションは、限定消化されたDNAとベクターとを混合し、これにT4 DNAリガーゼを作用させて行うことができる。
尚、ベクターとして、市販のZAP Express Vector(STRATAGENE社製)を用いると、ライゲーションから後述のin vivo Excisionまでの処理をZAP Express Predigested Vector Kit and ZAP Express Predigested Gigapack Cloning Kits(STRATAGENE社製)添付のプロトコールに従い実施することができ、簡便である。
こうして作製されたDNAライブラリー(ファージライブラリー)から、ヨーネ菌実験感染牛から分離された血液細胞におけるIFN−γ誘導能により、ヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子を選抜する。
即ち、まず、DNAライブラリーをin vivo excisionにより、大腸菌等の細胞に導入し、組換え細胞を得る。例えば、細胞が大腸菌の場合を例に取ると、アンピシリン加LB培地で1〜5時間、更にIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を添加して更に2〜10時間培養した後、ヨーネ菌感染動物の細胞とともに培養する。ここで、ヨーネ菌感染動物の細胞とは、ヨーネ菌に感染する可能性のある動物の細胞であり、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ等の反芻動物のほか、シカ、キツネ、ウサギ、サル、ヒト等のヨーネ病に感染する可能性のある動物全般の細胞、具体的には例えば、末梢血単核球(PBMC)等の血液細胞である。培養条件は、被検動物の細胞が生育可能で、且つIFN−γの誘導が阻害されない条件とすれば、特に限定されず、例えば、PBMCの場合、牛胎児血清加RPMI1640培地を用いて、培養期間は1〜3日、培養温度は37〜38℃とすることができる。培養後、INF−γの産生量をELISA法、イミュノクロマトグラフィー等により測定し、非組換え細胞を同様に培養し、これを陰性コントロールとしてIFN−γの誘導能を判定する。
IFN−γの誘導能が確認された組換え細胞から、プラスミドを調製し、クローニングサイトに挿入された塩基配列を切り出して、本発明のヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子を得ることができる。本発明のプラスミドの調製は、Wizard Plus Midipreps DNA Purification System(PROMEGA社製)を用いると、簡便に行うことができる。また、得られた配列が配列表の配列番号4に記載の塩基配列を有することの確認は、サイクルシークエンス法(実験医学別冊 新 遺伝子工学ハンドブック、P123−129、1996、羊土社)により解析することができる。
一方、ヌクレオチド合成装置等を用いて配列表の配列番号4に記載の塩基配列を人工的に合成して製造することもできる。
このような本発明のヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子は、前述したヨーネ菌抗原タンパク質の容易且つ大量な生産に用いることができるので、有用である。
(3)細胞
請求項3に係る本発明の細胞は、請求項2記載の遺伝子が発現可能に導入されたものである。
ここで、細胞としては、大腸菌(JM109株等)、酵母等通常遺伝子の発現に用いられる各種細胞を使用できる。
請求項3に係る本発明の細胞は、上述の請求項2記載の遺伝子をプラスミドベクターにクローニングし、これを細胞へ導入して得ることができる。
即ち、まず、請求項2記載の遺伝子の両端に制限酵素サイトをそれぞれ付加する。ここで、制限酵素サイトとしては、種々の酵素に対応した制限酵素サイトを用いることができるが、本発明者らは、実施例1に示すように、BamH Iサイト及びPst Iサイトを用いた。サイト付加の条件は、使用する制限酵素の種類に応じて温度、時間等を調節して行うことができる。
次に、両端に制限酵素サイトの付加された遺伝子を、プラスミドベクターの対応する制限酵素サイトにライゲーションする。プラスミドベクターとしては、対応する制限酵素サイトを有するものであれば、特に制限なく用いることができ、本発明者らは,実施例1に示すように、pQE30を用いた。ライゲーションは、Ligation high(TOYOBO社製)を用いて、キット添付のプロトコールに従い実施すると簡便である。
そして、プラスミドベクターを細胞に導入することにより、請求項3に係る本発明の細胞を得ることができる。プラスミドベクターの細胞への導入は、細胞が大腸菌の場合はN末端にヒスチジン・タグを付加したタンパク質として導入すると、ヒスチジン・タグとニッケルとの親和性を利用したアフィニティーカラムにより、ヨーネ菌抗原タンパク質を容易に製造することができる。
このよう請求項3に係る本発明の細胞は、前述したヨーネ菌抗原タンパク質の容易且つ大量な生産に用いることができる。
請求項3に係る本発明の細胞からのヨーネ菌抗原タンパク質の精製は、細胞を培養後、発現誘導を行って、十分に発現が誘導された段階で細胞を収穫してからアフィニティーカラム等により精製して得ることができる。
細胞の培養、並びに発現誘導は、細胞が大腸菌の場合を例に取ると、アンピシリン加LB培地で1〜5時間、更にIPTGを添加して更に2〜10時間培養して行うことができる。
精製は、例えば、細胞を超音波破砕した後、可溶性分画又は不溶性の沈殿分画を用いて、組換えタンパク質に付加されたヒスチジン・タグとニッケルとの親和性を利用したアフィニティーカラムにより行うことができる。即ち、ヒスチジン・タグ付加組換えタンパクをカラムに流し、組換えタンパク質をニッケル担体に結合させ、非吸着成分を洗浄により除去した後、イミダゾール液等を用いて溶出する。このようにして、精製されたヨーネ菌抗原タンパク質を得ることができる。
(4)ヨーネ病の診断方法
請求項4に係る本発明のヨーネ病の診断方法は、非ヒト被検動物の細胞に請求項1記載のヨーネ菌抗原タンパク質を添加して培養した後、培養上清中のIFN−γ濃度を検出することを特徴とする。
被検動物としては、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ等の反芻動物のほか、シカ、キツネ、ウサギ、サル等のヨーネ病に感染する可能性のある動物全般が挙げられる。
細胞としては、末梢血単核球(PBMC)等の血液細胞が挙げられる。
請求項4に係る本発明のヨーネ病の診断方法においては、このような被検動物の細胞に請求項1記載のヨーネ菌抗原タンパク質を添加して培養する。ここで、請求項1記載のヨーネ菌抗原タンパク質を直接添加することもできるが、請求項5に記載するように、請求項3記載の細胞を添加して、細胞内でタンパク質を発現させることもできる。
ここで、請求項1記載のヨーネ菌抗原タンパク質を添加する場合は、培地に対し1〜20μg/ml、中でも5〜10μg/ml程度とすることが好ましい。1μg/ml未満であると、添加した効果がなく、一方、20μg/mlを超えると、培地に悪影響を及ぼしたり、IFN−γ誘導が抑制される可能性がある。また、請求項3記載の細胞を添加する場合、培地に対し2x10〜2x10cells/ml、特に2x10cells/ml程度とすることが好ましい。2x10cells/ml未満であると、添加した効果がなく、一方、2x10cells/mlを超えると、培地に悪影響を及ぼしたり、IFN−γ誘導が抑制される可能性がある。
その他の培養条件については、被検動物の細胞が生育でき、且つ、INF−γの誘導が阻害されない条件を適宜設定することができる。例えば、培養期間は1〜3日、培養温度は37〜38℃とすることができる。
請求項4に係る本発明のヨーネ病の診断方法においては、続いて、培養上清中のIFN−γ濃度を検出する。検出の方法としては、IFN−γを検出できる方法であれば、いずれも適用することができる。このようなIFN−γを検出できる方法としてはELISA法やイミュノクロマトグラフィー法等を挙げることができるが、最も簡便な点で、ELISA法が最も好ましい。ELISA法による場合、例えば、被検動物に対応した抗IFN−γモノクローナル抗体がコーティングされた96穴マイクロプレートを用意し、細胞上清を各穴に添加して15〜30℃で1〜3時間感作させた後、洗浄してから更にビオチンで標識した被検動物に対応する抗IFN−γ抗体を添加し、30分〜2時間感作、洗浄後、酵素で標識したストレプトアビジンを添加し、1時間感作する。再度洗浄後、基質(テトラメチルベンチジン、TMB)を添加して5〜15分感作後、吸光度を測定し、IFN−γ濃度を検出することができる。
被検動物がヨーネ病に感染しているか否かの判断は、ヨーネ病にかかっていないことが明らかな動物の細胞に、同様に組換え細胞を作用させ、IFN−γ濃度の比較を行うことにより、明らかである。
このような本発明の診断方法により、ヨーネ病を正確且つ高感度に診断できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1(ヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子の解明)
ヨーネ菌ATCC19698株から、以下の手順でDNAを調製した。即ち、ヨーネ菌100mgを、リパーゼ8,000IU、リゾチーム5mg/ml、及びプロテアーゼK(タンパク質分解酵素)2mg/mlで処理し、フェノールクロロフォルム抽出後、エタノール沈殿により精製DNAを調製した。
次に、調製したDNAを制限酵素Sau3A I(TOYOBO社製)で37℃、1時間処理して限定消化して、ZAP Express Vector(STRATAGENE社製)のBamH Iサイトにライゲーションすることにより、ファージライブラリーを作製した。ライゲーションは、ZAP Express Predigested Vector Kit and Express Predigested Gigapack Cloning Kits(STRATAGENE社製)を用いて、キット添付のプロトコールに従って実施した。
その後、パッケージング、ファージライブラリーの増幅、及びin vivo excisionを、上記キットを用いてキット添付のプロトコールに従って実施し、プラスミドベクターを大腸菌XLOLR株に導入した。
一方、ヨーネ菌実験感染牛から末梢血単核球(PBMC)を分離し、牛胎児血清10%添加RPMI1640培地に再浮遊した。尚、牛胎児血清10%添加RPMI1640培地とは、RPMI medium 1640(Invitrogen社製)に10%牛胎児血清(JRH Biosciences社製)を添加した培地である。
一方、上記の組換え大腸菌を、アンピシリン100μg/ml加LB培地で2時間培養した後、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を1mM添加後、4時間培養した。この組換え大腸菌を、上記のPBMCに接種後、37℃、5%炭酸ガス下で3日間培養した。培養温度は、Clone 37については30℃、Clone 60については37℃とした。
続いて、培養上清を20倍に希釈し、ELISA法によりIFN−γ濃度を測定して、IFN−γ誘導能を判定した。判定基準は、非組換え大腸菌接種培養上清を20倍に希釈したものを陰性コントロールとして、この陰性コントロールのELISA吸光度(450nm)と比較して0.2以上高い値を示した場合に、IFN−γ誘導能を有すると判定した。
その結果、組換え大腸菌のうちの2株(Clone 37及びClone 60)がIFN−γ誘導能を示した。そこで、これらの組換え大腸菌から、Wizard Plus Midipreps DNA Purification System(PROMEGA社製)を用いてプラスミドを調製し、クローニングサイトに挿入されたヨーネ菌由来塩基配列を、サイクルシークエンス法により解析した。
その結果、Clone 37及びClone 60のそれぞれにおいて、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなる領域、及び配列表の配列番号4記載の塩基配列からなる領域がβ−ガラクトシダーゼをコードしている領域に組み込まれていることが明らかとなった。
実施例2(組換え大腸菌の製造、及び該細胞からのヨーネ菌抗原タンパク質の精製)
実施例1で得られた2種類の塩基配列は、それぞれ、配列表の配列番号1記載の88アミノ酸からなるアミノ酸配列、及び配列表の塩基配列2記載の416アミノ酸からなるアミノ酸配列をコードする領域が、β−ガラクトシダーゼとの融合タンパク質として発現が予想された。
そこで、実施例1で得られた配列表の配列番号3記載の塩基配列からなる領域、及び配列表の配列番号4記載の塩基配列からなる領域を、それぞれプラスミドベクターpQE30(Quiagen社)へクローニングした。即ち、それぞれの塩基配列の両端に、PCR法により制限酵素BamH Iサイト及びPst Iサイトをそれぞれ付加し、制限酵素BamH I及びPst I処理後、プラスミドベクターpQE30のBamH Iサイト及びPst Iサイトへライゲーションした。ライゲーションは、Ligation high(TOYOBO社製)を用いて、キット附属のプロトコールに従い実施した。
続いて、プラスミドベクターを大腸菌JM109株へ導入し、N末にヒスチジンタグを付加した組換えタンパク質を大腸菌で発現させた。即ち、組換え大腸菌を、アンピシリン100μg/ml加LB培地で2時間培養した後、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を1mM添加後、4時間培養した。培養温度は、Clone 37については30℃、Clone 60については37℃とした。
さらに、培養後の組換え大腸菌を超音波破砕し、Clone 37については可溶性分画を、Clone 60については不溶性の沈殿分画を用いて、組換えタンパク質に付加されたヒスチジン・タグとニッケルとの親和性を利用したアフィニティーカラムにより精製した。まず、ヒスチジン・タグ付加組換えタンパクをカラムに流し、組換えタンパク質をニッケル担体に結合させた。非吸着成分を洗浄により除去した後、300mM イミダゾール液を用いて、2種類の精製された遺伝子組換えヨーネ菌抗原タンパク質を溶出した。
実施例3(ウシのヨーネ病の診断)
実施例2で得られた2種類の遺伝子組換えヨーネ菌抗原タンパク質が、ヨーネ病の診断に用いることができるか、の確認を行った。
ヨーネ菌実験感染牛3頭(♯31、♯33及び♯35)及び健康対照牛2頭(♯0826及び♯0829)より比重遠心法によりPBMCを分離した。即ち、各個体から採取した血液を2倍希釈して得られるヘパリン加血液を、Ficoll-Paque PLUS(Amersham Biosciences社製)に重層し、1,800rpmで30分間遠心後、バフィーコート(白血球層)を採取し、HANK’S BALANCED SALT SOLUTION(ハンクス液)で洗浄した後、牛胎児血清10%添加RPMI1640培地を用いて細胞濃度2x10cells/mlに再浮遊した。
24穴細胞培養用プレートに、1穴当たり1mlずつ、各個体のPBMC浮遊液を分注し、さらに、実施例2で得られた2種類の遺伝子組換えヨーネ菌抗原タンパク質をそれぞれ、最終濃度5μg/mlに添加後、37℃、5%炭酸ガス下で3日間培養した。
細胞培養上清を回収し、抗牛IFN−γモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を用いたELISAサンドイッチ法により、遺伝子組換え牛IFN−γ(rbIFN−γ)を標準品として細胞培養上清中のIFN−γ濃度を算出した。即ち、まず、抗牛IFN−γモノクローナル抗体(Serotec社製)がコーティングされた96穴マイクロプレートを作製した。プレートを洗浄後、各細胞培養上清を各穴に添加し、室温で2時間感作させた。プレートを洗浄後、ビオチン標識抗牛IFN−γ抗体を添加し、1時間感作、洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを添加し、1時間感作する。再度洗浄後、基質(テトラメチルベンチジン、TMB)を添加して5〜15分感作後、ELISAリーダーにて波長450nmにおける吸光度を測定した。
一方、rbIFN−γを25ng/ml〜0.2ng/mlまで希釈し、同様にELISAを行ない、rbIFN−γの濃度−吸光度曲線を作成し、該曲線より得られた計算式により、各サンプル中のIFN−γ濃度を吸光度より計算した。
各細胞培養上清のIFN−γ濃度(ng/ml)を図1及び表1に示す。
Figure 0003864230
図1及び表1から明らかなように、ヨーネ菌実験感染牛由来のPBMCを精製遺伝子組換えタンパク抗原で刺激して得られる細胞培養上清中には、健康対照牛由来のそれに比べ、高い濃度のIFN−γが検出された。
このように、遺伝子組換えヨーネ菌抗原タンパク質の刺激により、ヨーネ菌感染牛のPBMCからIFN−γ産生を強く誘導することが可能であることから、ヨーネ病の正確な診断が可能であることが実証された。
本発明によれば、IFN−γ誘導能を有する単一のヨーネ菌抗原タンパク質が提供される。
また、本発明によれば、ヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子が提供されるので、ヨーネ菌抗原タンパク質の大量生産への道が開かれる。
更に、本発明によれば、IFN−γ誘導能を有するヨーネ菌抗原タンパク質を用いた正確且つ高感度なヨーネ病の診断方法が提供される。
各細胞培養上清のIFN−γ濃度(ng/ml)を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるヨーネ菌抗原タンパク質。
  2. 配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなるヨーネ菌抗原タンパク質をコードする遺伝子。
  3. 請求項2記載の遺伝子が発現可能に導入された細胞。
  4. 非ヒト被検動物の細胞に請求項1記載のヨーネ菌抗原タンパク質を添加して培養した後、培養上清中のインターフェロン・ガンマ濃度を検出することを特徴とするヨーネ病の診断方法。
  5. 非ヒト被検動物の細胞に請求項3記載の細胞を添加して培養した後、培養上清中のインターフェロン・ガンマ濃度を検出することを特徴とするヨーネ病の診断方法。
JP2003334977A 2003-09-26 2003-09-26 ヨーネ菌抗原タンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、及び該タンパク質を用いるヨーネ病の診断方法 Expired - Lifetime JP3864230B2 (ja)

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