JP4110974B2 - 筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents

筒内噴射式火花点火内燃機関 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内に燃料を直接噴射する火花点火内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリンダ内に燃料噴霧を直接噴射するいわゆる筒内噴射式火花点火内燃機関としては、ピストンの頂面に形成したキャビティに燃料噴霧を噴射し、その燃料噴霧をキャビティの壁面に沿って巻き上げて点火プラグ付近まで導くもの(例えば特許文献1参照)、シリンダ内を上下方向(シリンダの中心線の方向)に旋回する吸気流動を形成し、その吸気流動に載せて燃料噴霧を点火プラグ付近まで搬送するもの(例えば特許文献2参照)が知られている。これらの技術は、シリンダ内の点火プラグ付近に燃料噴霧を集中させていわゆる成層燃焼を実現する場合に好適に用いられる。
【0003】
特許文献3には、低中負荷域において燃料噴射弁からシリンダの中心線の方向に扁平な燃料噴霧を噴射して成層燃焼を実現し、高負荷域においては燃料噴射弁からシリンダの中心線の方向と直交する方向に扁平な燃料噴霧を噴射して均質燃焼を実現するものが開示されている。この文献記載の燃料噴射弁は、噴孔を開閉するためのニードル弁のリフト量を低中負荷域と高負荷域とで切り換えて燃料噴霧の形状を変化させている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−158736号公報
【特許文献2】
特開平10−141070号公報
【特許文献3】
特開2000−220460号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、シリンダの中心線の方向に扁平な燃料噴霧を形成した場合、圧縮行程中に噴射された燃料噴霧の下端部がピストンの頂面に付着し、HC排出量、スモーク、PM(粒子状物質)が増加するおそれがある。成層燃焼時には点火プラグの付近に燃料を集めるため、噴霧の上部(点火プラグに近い側)では貫徹力を比較的低く設定することになる。このような状況で、毎回の燃料噴霧に必要な燃料量を含めるためには燃料噴霧をシリンダの下方に拡大せざるを得ず、その拡大に伴ってピストンへの燃料の付着がより一層顕著となる。
【0006】
また、シリンダの中心線と直交する方向に扁平な噴霧を形成して均質燃焼を実現する場合、吸気行程で燃料を噴射することから、シリンダ内に突き出ている吸気バルブに燃料噴霧が衝突し、それにより均質な混合気の形成が妨げられることがある。吸気バルブと衝突した燃料噴霧は吸気バルブから熱を受け、それにより、燃料の気化潜熱による吸気温度の低減とそれに伴う充填効率の向上という筒内噴射の効果が損なわれることがある。
【0007】
さらに、噴霧形状を切り換える可変機構を設けた場合には燃料噴射弁の構成が複雑化し、信頼性の低下やコストの増加といった問題を招く。
【0008】
そこで、本発明は、噴霧形状を変化させる可変機構に頼ることなく、成層燃焼及び均質燃焼のいずれにも適した燃料噴霧をシリンダ内に噴射することができ、ピストンや吸気バルブへの燃料噴霧の衝突を抑えることが可能な筒内噴射式火花点火内燃機関を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関は、シリンダの中心線と直交する方向に扁平な第1の噴霧部と、前記第1の噴霧部に対してシリンダの上方側に相対的に偏った第2の噴霧部とを合成した燃料噴霧をシリンダ内に噴射可能とされ、点火プラグが前記シリンダの中心線上に配置され、吸気バルブが複数配置され、前記第1の噴霧部は前記シリンダ内に突出する吸気バルブよりも前記シリンダの下方側に広がるように形成され、前記第2の噴霧部は、吸気行程においてシリンダ内に突出する前記吸気バルブの隙間を介して前記点火プラグに向かうように形成されたことにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0010】
この発明によれば、第1の噴霧部と第2の噴霧部とを合成しているので、必要な燃料量の全てを第1の噴霧部で賄う場合と比較して、第2の噴霧部に含まれる燃料量に相当する量だけ第1の噴霧部の燃料量を減らすことができる。しかも、第1の噴霧部はシリンダの中心線と直交する方向に扁平であるため、シリンダの中心線の方向に関する第1の噴霧部の広がりを小さく制限することができる。このため、吸気バルブの下方に第1の噴霧部を逃がしつつその下端をシリンダの上方に寄せてピストンへの燃料の付着を抑えることができる。一方、第2の噴霧部により、点火プラグの周辺に濃厚な混合気を形成して良好な成層燃焼を実現することができる。また、第2の噴霧部のみで必要な燃料の全てを賄う場合との比較においては、第2の噴霧部に含めるべき燃料量を減らすことができるので、第2の噴霧部を点火プラグ側に向けても吸気バルブとの干渉を容易に避けられるようになる。また、吸気行程中に燃料噴射を行った場合には、第1の噴霧部が存在するために、第2の噴霧部のみで燃料噴霧を構成する場合と比較してシリンダ内のより広い範囲に燃料を供給して均質度の高い混合気を形成することができる。
【0011】
さらに、第1の噴霧部と第2の噴霧部とを合成して噴射するので、可変機構に頼らずとも成層燃焼及び均質燃焼にそれぞれ適した燃料噴霧をシリンダ内に噴射することができる。そのため、機構を簡素化して信頼性を向上させ、コストを低減させることも可能である。但し、本発明は第1の噴霧部と第2の噴霧部とが併存するような燃料噴射が可能であれば、燃料噴霧の形状を変化させる可変機構の有無を問わずその範疇に含むものである。
【0012】
本発明において、前記第2の噴霧部は前記シリンダの中心線の方向に扁平としてもよい(請求項2)。この場合、第2の噴霧部がシリンダの中心線の方向に扁平であるため、吸気行程で燃料を噴射した場合において、シリンダへの吸気バルブの突出範囲の側方にこれをオフセットして吸気バルブと第2の噴霧部との衝突を容易に避けることができる。
【0013】
あるいは、前記第2の噴霧部が前記シリンダの中心線と直交する方向に扁平であってもよい(請求項3)。この場合には、第2の噴霧部をシリンダの中心線の方向に扁平とする場合と比較して第2の噴霧部のシリンダ中心線の方向への広がりを抑えつつ、より多くの燃料を第2の噴霧部に含めることができる。従って、燃料噴霧の下端をシリンダの上方にさらに寄せてピストンに対する燃料噴霧の付着防止効果をさらに高めることができる。
【0014】
シリンダの中心線と直交する方向に扁平な第2の噴霧部を形成する場合、前記シリンダの中心線と直交する方向に関して、前記第1の噴霧部の広がり角を前記第2の噴霧部の広がり角よりも大きく設定してもよい(請求項4)。この場合には、第1の噴霧部をシリンダの中心線と直交する方向に関して十分に広げつつ、中心線の方向に関してはその噴射範囲をより狭く制限することができる。従って、吸気バルブとピストンとの間の隙間が狭い吸気上死点付近の燃料噴射時においても、その隙間に適合するように第1の噴霧部を形成してピストンへの燃料付着を抑え、燃料の気化潜熱による充填効率の向上効果を十分に発揮させることができる。このため、全負荷均質燃焼時、特には吸気上死点付近で燃料を噴射する中高速域において均質度の高い燃料混合気を形成することができる。
【0015】
さらに、前記シリンダの中心線の方向に関して、前記第2の噴霧部の広がり角を前記第1の噴霧部の広がり角よりも大きく設定してもよい(請求項5)。この場合には、第2の噴霧部により多くの燃料を含ませることができ、特に成層燃焼時において点火プラグの周辺で濃厚な混合気を形成して良好な成層燃焼を実現することができる。
【0016】
本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記第2の噴霧部の貫徹力は前記第1の噴霧部の貫徹力よりも大きく設定してもよい(請求項6)。第2の噴霧部はシリンダ内に配置された点火プラグの付近に達する程度の貫徹力があれば十分であり、第1の噴霧部の貫徹力を第2の噴霧部のそれよりも大きく設定することにより、吸気中のシリンダの各所に満遍なく燃料噴霧を拡散させて混合気の均質度をより一層高めることができる。
【0017】
また、前記第2の噴霧部に含まれる燃料量は前記第1の噴霧部に含まれる燃料量よりも大きく設定してもよい(請求項7)。第2の噴霧部に対して十分な量の燃料を割り当てることにより、圧縮行程で燃料を噴霧したときのオーバーリーン領域(空燃比が可燃外となるほど空気量に対する燃料量が少ない領域)を減らし、点火プラグの周辺に濃度の高い混合気を確実に供給して成層燃焼を安定させることができる。均質燃焼時には、吸気バルブを避けて第1の噴霧部のみで燃料を噴射する場合と比較して、第2の噴霧部を追加することにより燃料をより広範囲に拡散させて混合気の均質度を高めることができる。
【0022】
本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関は、シリンダの中心線と直交する方向に扁平な第1の噴霧部と、前記中心線の方向に扁平な第2の噴霧部とを合成した燃料噴霧をシリンダ内に噴射可能であり、前記第1の噴霧部は前記シリンダ内に突出する吸気バルブよりも前記シリンダの下方側に広がるように形成され、前記第2の噴霧部は吸気行程においてシリンダ内に突出する吸気バルブの側方を通過して前記点火プラグに向かうように形成されたものでもよい(請求項)。この場合において、前記吸気バルブが複数本並べて設けられ、前記第2の噴霧部は2本の吸気バルブの隙間を介して点火プラグに向かうように形成されてもよい(請求項)。このような構成によっても、成層燃焼及び均質燃焼のいずれにも適した燃料噴霧をシリンダ内に噴射することができ、ピストンや吸気バルブへの燃料噴霧の衝突を抑えることができる。
【0023】
なお、本発明においてシリンダの上方はシリンダヘッド側に、下方はクランク室側にそれぞれ対応する。すなわち、本発明において、シリンダに関する上方及び下方の用語はシリンダの向きを区別するために使用される概念であって、内燃機関を車両に搭載した状態における鉛直方向とシリンダの向きとの対応関係を限定するものではない。例えば、シリンダの中心線が鉛直方向に対して斜めに傾けられ、又は水平方向に向けられている場合も本発明の範囲に含まれる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、シリンダ内に噴射される燃料噴霧の特徴について先に説明し、次いでそのような燃料噴霧を実現するための燃料噴射弁を説明する。
【0025】
[第1の実施形態]
図1は本発明が適用される内燃機関の一実施形態を示している。図1の筒内噴射式火花点火内燃機関1は4サイクル式のガソリンエンジンとして構成されていおり、そのシリンダブロック2には複数のシリンダ3(図1では一つのみ示す。)が形成され、各シリンダ3にはピストン4が上下動自在に挿入される。各シリンダ3の開口部はシリンダヘッド5にて閉じられ、そのシリンダヘッド5には点火プラグ6がその電極部(スパーク形成部)を各シリンダ3の略中心線上に位置させて取り付けられている。シリンダヘッド5には、点火プラグ6を挟むようにして吸気通路7及び排気通路8がシリンダ3毎に形成されるとともに、その吸気通路7を開閉する吸気バルブ9と、排気通路8を開閉する排気バルブ10とが1つのシリンダ3に対して2本ずつ取り付けられている。なお、点火プラグ6の位置からみたときに2本の吸気バルブ9は図1の紙面と直交する方向に関して左右対称に配置されるが、図1では片側の吸気バルブ9のみを示している。排気バルブ10についても吸気バルブ9と同様にシリンダ3の中心位置を挟んで左右対称に並べられる。
【0026】
吸気通路7は隔壁7cによって上部通路7a及び下部通路7bに分割され、下部通路7bには当該下部通路7bの開口面積を変化させる吸気流制御弁7dが設けられている。吸気流制御弁7dを閉じたときは専ら上部通路7aからシリンダ3の中心付近に吸気が導入され、その結果、図1に矢印で示したようにシリンダ3内をシリンダ3の中心線と平行な面に沿って旋回する空気流動(タンブル)が形成される。吸気流制御弁7dを開くと吸気通路7の全域からシリンダ3内に均等に吸気が導入され、タンブルは相対的に弱められる。このように、吸気流制御弁7dはシリンダ3内のタンブルの強弱を制御する手段として機能する。但し、そのような制御弁7dは下部通路7bに代えて上部通路7aに設けられてもよい。吸気流制御弁7dとは異なる手段によりタンブルを制御してもよい。なお、図1においてピストン4の頂面にはタンブルを損なわないように凹部4aが形成されている。但し、ピストン4の頂面は凹部4aを有しないフラットな形状であってもよい。
【0027】
燃料噴射弁11は、吸気バルブ9よりもシリンダ3の外周側にてそのノズル部11aをシリンダ3の中心線側に向けた状態でシリンダヘッド5に取り付けられている。図3にも示すように、燃料噴射弁11は、シリンダ3の中心線と直交する方向に扁平な第1の噴霧部12aと、その第1の噴霧部12aに対してシリンダ3の上方側(シリンダヘッド5側)に相対的に偏って配置されかつシリンダ3の中心線の方向に扁平な第2の第2の噴霧部12bとを合成した燃料噴霧12をシリンダ3内に噴射可能である。すなわち、図1に示すように、シリンダ3の中心線の方向に関する第1の噴霧部12aの広がり角をθH1、第2の噴霧部12bの広がり角をθV1、図2に示すようにシリンダ3の中心線の方向からみた第1の噴霧部12aの広がり角をθH2、第2の噴霧部12bの広がり角をθV2とすれば、第1の噴霧部12aの形状はθH1<θH2となるように定められ、第2の噴霧部12bの形状はθv1>θv2となるように定められている。但し、本発明における扁平の概念は燃料噴霧の広がり角の大小のみで定まるものではなく、燃料噴霧の横断面形状(燃料噴霧の中心線の方向と直交する方向の断面形状)が、楕円状、長円状のように特定方向に長くその特定方向と直交する方向には幅が狭い形状であれば扁平の範疇に含まれる。
【0028】
図2に示すようにシリンダ3の中心線の方向から第1の噴霧部12a及び第2の噴霧部12bをみたとき、各噴霧部12a、12bは燃料噴射弁11の噴射位置Pinを基点として、その噴射位置Pinとシリンダ3の中心(点火プラグ6の位置)とを通過する基準線Xに関して左右対称な形状を有している。さらに、第2の噴霧部12bの広がり角θV2は、図3に示すように、シリンダ3内に突出する吸気バルブ9,9と第2の噴霧部12bとが衝突しない程度に制限される。これにより、吸気行程中に燃料を噴射しても第2の噴霧部12bはシリンダ3内に突出した吸気バルブ9同士の隙間を介して点火プラグ6に向かうようになる。また、第1の噴霧部12aの広がり角θH2は、同一方向に関する第2の噴霧部12bの広がり角θV2よりも大きく、シリンダ3の中心線の方向からみて吸気バルブ9,9と十分に重なり合う程度に第1の噴霧部12aが拡大されている。
【0029】
図1に示すように、シリンダ3の中心線の方向に関しては、第2の噴霧部12bはその上端がシリンダヘッド5の下面、つまりは燃焼室の上側の壁面に接しない範囲で可能な限り点火プラグ6側に寄せて配置されている。他方、第1の噴霧部12aは、シリンダ3内に突出する吸気バルブ9,9と衝突しないように第2の噴霧部12bよりも相対的にシリンダ3の下方側に偏位させて配置されている。換言すれば、第2の噴霧部12bは第1の噴霧部12aに対して相対的にシリンダ3の上方側に偏っている。結果として、第1の噴霧部12は第2の噴霧部12bの下端部と接し、燃料噴霧は全体としてほぼ逆T字型の断面形状を呈している。但し、第1の噴霧部12aは吸気バルブ9,9と接しない範囲でなるべく上方に配置されることが望ましく、その結果として第2の噴霧部12bの下端が第1の噴霧部12aよりも下方に突出してもよい。第2の噴霧部12bの下端よりもさらに下方に離れて第1の噴霧部12aが配置されてもよい。
【0030】
以上のように燃料噴霧を形成した場合、圧縮行程中に燃料を噴射したときには第2の噴霧部12bにより点火プラグ6の回りに濃厚な混合気を形成して良好な成層燃焼を実現することができる。また、第1の噴霧部12aが設けられていることにより、第2の噴霧部12bのみで必要な燃料量を確保する場合と比較して燃料噴霧の下端を上方(点火プラグ6の側)に寄せることができ、それにより、成層燃焼時のピストン4への燃料の付着を抑えてHC、スモーク、PM等の排出量を低減することができる。一方、吸気行程中に燃料を噴射したときには、吸気バルブ9がシリンダ3内に突出しても第1の噴霧部12a及び第2の噴霧部12bがいずれも吸気バルブ9と衝突しないため、均質度の高い混合気を形成することができるとともに、燃料温度の上昇を防止して気化潜熱による吸気温度の低下とそれに伴う充填効率の向上とを達成できる。
【0031】
なお、吸気行程における吸気バルブ9と各噴霧部12a、12bとの関係については、燃料噴射時期における吸気バルブ9のシリンダ3内への突出量(リフト量)を特定し、その特定された突出量を与えたときの吸気バルブ9の位置を基準として各噴霧部12a、12bの形状や配置を定めればよい。吸気行程における燃料噴射の開始時期、継続時間が可変であるときは、最も早い開始時期から最も遅い終了時期までの吸気バルブ9の突出範囲を特定し、その突出範囲を避けて第1の噴霧部12a及び第2の噴霧部12bを形成すればよい。
【0032】
本発明において、各噴霧部12a,12bの貫徹力(燃料噴霧の到達距離)及び燃料量は各噴霧部12a、12bに要求される特性に応じて適宜に設定してよいが、好ましくは次の通りに設定する。
【0033】
貫徹力については、図3に示すように第1の噴霧部12aの貫徹力LHが第2の噴霧部12bの貫徹力LVよりも大きくなるように設定することが好ましい。第2の噴霧部12bは圧縮行程時に燃料噴霧を点火プラグ6の付近に供給できる程度の貫徹力を備えていれば十分であり、その一方、第1の噴霧部12aに対しては、吸気行程時に均質混合気を早期に形成する必要から、シリンダ3内に燃料噴霧を十分に拡散させ得る貫徹力が求められるからである。
【0034】
また、各噴霧部の燃料量については、第2の噴霧部12bの燃料量が第1の噴霧部12aの燃料量よりも大きくなるように設定することが好ましい。このように設定すれば、第2の噴霧部12bにより点火プラグ6の周辺に十分な量の燃料を供給して、成層燃焼時におけるオーバーリーン領域を減らして安定した成層燃焼を実現できる。他方、均質燃焼時には、第1の噴霧部12aによって供給される燃料を第2の噴霧部12bの燃料で補って良好な均質燃焼を維持することができる。
【0035】
次に、本発明の燃料噴霧を実現するための燃料噴射弁11を説明する。
【0036】
図4は燃料噴射弁11の特にノズル部11aを中心とした内部の概略構成を示した図である。燃料噴射弁11は、バルブボディ20と、そのバルブボディ20の中空部20aに摺動自在に挿入されたニードル弁21と、ニードル弁21を先端側(図4の下方)に押し付けるコイルばね22と、コイルばね22に抗してニードル弁21を後方(図4の上方)に駆動する磁力を発生する電磁コイル23とを備えている。コイルばね22によって押されたニードル弁21がバルブボディ20内の弁座24と密着することにより、ニードル弁21の内部流路21aから中空部20aを介して噴孔25に至る燃料の供給経路が遮断される。電磁コイル23が励磁されるとニードル弁21が弁座24から離れ、燃料の供給経路が連通して燃料噴霧が噴孔25から噴霧される。
【0037】
図5(a)は、図1に示した燃料噴霧を形成するための燃料噴射弁11の噴孔25の一例を示している。噴孔25は、図5(a)の左右方向に延びる横長のスリット状の第1の噴孔部26と、図5(a)の上下方向に延び、かつ下端が第1の噴孔部26の長手方向の中心部に接するように配置された縦長のスリット状の第2の噴孔部27とを備えている。第1の噴孔部26の長手方向に沿った断面形状を図5(b)に、第2の噴孔部27の長手方向に沿った断面形状を図5(c)にそれぞれ示す。これらの図から明らかなように、各噴孔部26、27は燃料噴射弁11の内側から外側に向かって徐々に拡大する扇状に形成されている。
【0038】
図5の噴孔25によれば、第1の噴孔部26からの燃料噴霧によって第1の噴霧部12aを、第2の噴孔部27からの燃料噴霧によって第2の噴霧部12bをそれぞれ形成することができる。なお、各噴孔部26、27の長さL1、L2、幅W1、W2、角度θ1、θ2は求められる燃料噴霧の形状、貫徹力、燃料量に応じて適宜に調整すればよい。例えば、噴孔部26、27の角度θ1,θ2や長さL1、L2を変化させることにより、各噴霧部12a、12bの長手方向に関する広がり角θH2、θV1を調整することができる。一方、各噴孔部26、27の幅W1、W2を変化させることにより、各噴霧部12a、12bの長手方向と直交する方向に関する広がり角θH1、θV2を調整することができる。
【0039】
貫徹力については幅W1,W2と相関し、幅を大きくするほど貫徹力を増加させることができる。従って、幅W1,W2を調整することにより、第2の噴霧部12bの貫徹力よりも第1の噴霧部12aの貫徹力を大きく設定することができる。また、燃料量は噴孔部26、27の開口面積と相関関係があり、開口面積が大きいほど燃料量も増加する。従って、第2の噴霧部12bの燃料量を第1の噴霧部12aのそれよりも大きくするならば、第2の噴孔部27の開口面積が第1の噴孔部26の開口面積よりも大きくなるように、各噴孔部26、27の長さL1、L2及び幅W1、W2を調整すればよい。
【0040】
図5では第2の噴孔部27の下端で第1の噴孔部26が交差して全体で逆T字状の単一の噴孔25を形成しているが、第1の噴霧部12aと第2の噴霧部12bとの位置関係に応じて第1の噴孔部26と第2の噴孔部27との位置も変更してよい。例えば第2の噴孔部27の下端が第1の噴孔部26よりも下方に突出してもよいし、第1の噴孔部26と第2の噴孔部27とが離れていてもよい。いずれにせよ、第2の噴孔部27が第1の噴孔部26の長手方向と直交する方向に関する中心に対していずれか一方の側に偏っていれば本発明の特徴を備えた燃料噴霧を形成することができる。
【0041】
図6(a)は、図1に示した燃料噴霧を形成するための燃料噴射弁11の噴孔の他の例を示している。図6の燃料噴射弁11は、小径の多数の噴孔25…25から噴射される燃料噴霧を合成して所定形状の燃料噴霧を形成する、いわゆるマルチホールタイプの燃料噴射弁である。この実施形態において、噴孔25…25は第1の噴霧部12aを形成するための第1の噴孔部26と、第2の噴霧部12bを形成するための第2の噴孔部27とに区分される。第1の噴孔部26は左右に3列、上下に2列の合計6個の噴孔25…25の集合として構成され、第2の噴孔部27は左右に2列、上下に3列の合計6個の噴孔25…25の集合として構成される。そして、図5の例と同様に第2の噴孔部27は第1の噴孔部26に対してその長手方向と直交する方向のいずれか一方の側に偏って配置されている。
【0042】
図6(b)に示すように、第1の噴孔部26では、上下に並ぶ一対の噴孔25、25の軸線がバルブボディ20の外側にて交点Pn1を形成するように噴孔25,25が傾けて形成されている。また、図6(c)に示すように、第2の噴孔部27では、左右に並ぶ一対の噴孔25、25の軸線がバルブボディ20の外側にて交点Pn2を形成するように噴孔25,25が傾けて形成されている。このように噴孔25を傾けることにより、第1の噴孔部26では上下一対の噴孔25、25から噴射された燃料噴霧が互いに衝突し、第2の噴孔部27では左右一対の噴孔25、25から噴射された燃料噴霧が互いに衝突する。その結果、第1の噴孔部26から噴射された噴霧は図6(a)の左右方向に扁平な燃料噴霧を形成し、第2の噴孔部27から噴射された噴霧は図6(a)の上下方向に扁平な燃料噴霧を形成する。
【0043】
図6の例において、各噴孔25の配置、個数、間隔、噴孔25,25の傾斜角度α、βは求められる燃料噴霧の形状、貫徹力、燃料量に応じて適宜に調整すればよい。各噴霧部12a、12bの長手方向に関する広がり角θH2、θV1、長手方向と直交する方向に関する広がり角θH1、θV2は各噴孔部26,27の長手方向に関する噴孔25,25の個数や間隔によって調整することができる。各噴孔部26,27の長手方向の端部の噴孔25を長手方向外側に幾らか傾けることにより、扇状に広がる噴霧をより確実に形成することができる。貫徹力については、対をなす噴孔25,25を挟む角度α、βによって調整することができる。すなわち、角度α、βが大きいほど噴孔25、25から噴射された燃料噴霧の衝突時に貫徹力がより大きく相殺されるようになり、衝突によって得られる燃料噴霧の貫徹力が小さくなる。従って、噴孔25の内径が一定であると仮定した場合において第1の噴霧部12aの貫徹力を第2の噴霧部12bのそれよりも大きくするならば、角度βよりも角度αを小さく設定すればよい。燃料量に関しては、各噴孔部26,27の噴孔25…25の開口面積を合計した値を図5の噴孔部26,27の開口面積と等価に考えて調整すればよい。
【0044】
[第2の実施形態]
次に本発明の第2の実施形態を説明する。図7〜図9は本発明が適用される内燃機関の第2の実施形態を示している。この実施形態は、燃料噴霧12の形状を第1の実施形態から変更したものであり、燃料噴霧の形状に拘わる部分以外の構成は第1の実施形態と同様である。従って、図1〜図3と共通する部分には同一符号を付してある。
【0045】
本実施形態の燃料噴射弁11は、シリンダ3の中心線と直交する方向に扁平な第1の噴霧部12aと、その第1の噴霧部12aに対してシリンダ3の上方側(シリンダヘッド5側)に相対的に偏って配置されかつシリンダ3の中心線と直交する方向に扁平な第2の噴霧部12bとを合成した燃料噴霧12をシリンダ内に噴射可能である。すなわち、本実施形態では、第1の噴霧部12a及び第2の噴霧部12bがいずれもシリンダ3の中心線と直交する方向に扁平に形成されている。従って、図7に示すように、シリンダ3の中心線の方向に関する第1の噴霧部12aの広がり角をθL1、第2の噴霧部12bの広がり角をθU1、図8に示すようにシリンダ3の中心線の方向からみた第1の噴霧部12aの広がり角をθL2、第2の噴霧部12bの広がり角をθU2とすれば、第1の噴霧部12aの形状はθL1<θL2となるように定められ、第2の噴霧部12bの形状はθU1<θU2となるように定められている。但し、この実施形態においても、扁平の概念は燃料噴霧の広がり角の大小のみで定まるものではなく、燃料噴霧の横断面形状(燃料噴霧の中心線の方向と直交する方向の断面形状)が、楕円状、長円状のように特定方向に長くその特定方向と直交する方向には幅が狭い形状であれば扁平の範疇に含まれる。
【0046】
図8に示すようにシリンダ3の中心線の方向から第1の噴霧部12a及び第2の噴霧部12bをみたとき、各噴霧部12a、12bは燃料噴射弁11の噴射位置Pinを基点として、その噴射位置Pinとシリンダ3の中心(点火プラグ6の位置)とを通過する基準線Xに関して左右対称な形状を有している。また、第2の噴霧部12bはその上端がシリンダヘッド5の下面、つまりは燃焼室の上側の壁面に接しない範囲で可能な限り点火プラグ6側に寄せて配置されている。他方、第1の噴霧部12aは、シリンダ3内に突出する吸気バルブ9,9と衝突しないように第2の噴霧部12bよりも相対的にシリンダ3の下方側に偏位させて配置されている。結果として、燃料噴霧の横断面形状は、シリンダ3の中心線と直交する方向に扁平な2つの楕円をシリンダ3の中心線の方向に重ね合わせたような形状を呈している。
【0047】
さらに、第2の噴霧部12bの広がり角θU2は、図9に示すように、シリンダ3内に突出する吸気バルブ9,9と第2の噴霧部12bとが衝突しない程度に制限される。望ましくは、吸気バルブ9のステム9a、9aとバルブヘッド9b、9bとに囲まれた空間において第2の噴霧部12bがシリンダ3の中心線と直交する方向に広がるように設定すればよい。これにより、吸気行程中に燃料を噴射しても第2の噴霧部12bはシリンダ3内に突出した吸気バルブ9同士の隙間を介して点火プラグ6に向かうようになる。
【0048】
また、第1の噴霧部12aの広がり角θL2は、同一方向に関する第2の噴霧部12bの広がり角θU2よりも大きく(θL2>θU2)、シリンダ3の中心線の方向からみて吸気バルブ9,9と十分に重なり合う程度に拡大されている。これにより、第1の噴霧部12aのピストン4側への拡大を抑えつつ第1の噴霧部12aに十分な燃料を与え、かつシリンダ3の中心線と直交する方向に関してより広い範囲に燃料を供給することができる。
【0049】
一方、図7に示すように、シリンダ3の中心線の方向に関しては、第2の噴霧部12bの広がり角θU1が第1の噴霧部12aの広がり角θL1よりも大きく設定されている。これにより、第2の噴霧部12bに含まれる燃料量を増加させ、第1の噴霧部12aをシリンダ3の中心線の方向に関して薄くして燃料噴霧12の下端をさらにシリンダヘッド5側に寄せることができる。
【0050】
なお、第1の噴霧部12aと第2の噴霧部12bとはシリンダ3の中心線の方向に関して互いに重なり合ってもよいし、互いに離れてもよい。
【0051】
以上のように燃料噴霧12を形成した場合においても、圧縮行程中に燃料を噴射したときには第2の噴霧部12bにより点火プラグ6の回りに濃厚な混合気を形成して良好な成層燃焼を実現することができる。また、第1の噴霧部12aが設けられていることにより、第2の噴霧部12bのみで必要な燃料量を確保する場合と比較して燃料噴霧の下端を上方(点火プラグ6の側)に寄せることができ、それにより、成層燃焼時のピストン4への燃料の付着を抑えてHC、スモーク、PM等の排出量を低減することができる。一方、吸気行程中に燃料を噴射したときには、吸気バルブ9がシリンダ3内に突出しても第1の噴霧部12a及び第2の噴霧部12bがいずれも吸気バルブ9と衝突しないため、均質度の高い混合気を形成することができるとともに、燃料温度の上昇を防止して気化潜熱による吸気温度の低下とそれに伴う充填効率の向上とを達成できる。
【0052】
また、特に第2の噴霧部12bをシリンダ3の中心線と直交する方向に扁平に形成したので、第1の実施形態と比較して第2の噴霧部12bをシリンダ3の中心線の方向に関して狭めつつ第1の実施形態と同等の燃料量を第2の噴霧部12bに含めることができる。従って、吸気バルブ9同士の隙間に比較的余裕があり、かつピストン4の上方の隙間が比較的狭く制限される場合に適した形状の燃料噴霧12を提供することができる。
【0053】
なお、本実施形態においても、吸気行程における吸気バルブ9と各噴霧部12a、12bとの関係については、燃料噴射時期における吸気バルブ9のシリンダ3内への突出量(リフト量)を特定し、その特定された突出量を与えたときの吸気バルブ9の位置を基準として各噴霧部12a、12bの形状や配置を定めればよい。吸気行程における燃料噴射の開始時期、継続時間が可変であるときは、最も早い開始時期から最も遅い終了時期までの吸気バルブ9の突出範囲を特定し、その突出範囲を避けて第1の噴霧部12a及び第2の噴霧部12bを形成すればよい。
【0054】
本発明において、各噴霧部12a,12bの貫徹力(燃料噴霧の到達距離)及び燃料量は各噴霧部12a、12bに要求される特性に応じて適宜に設定してよい。例えば、第1の実施形態と同様に、第1の噴霧部12aの貫徹力LLを第2の噴霧部12bの貫徹力LUよりも大きく設定してよい(図9参照)。また、第2の噴霧部12bの燃料量が第1の噴霧部12aの燃料量よりも大きくなるように設定してよい。
【0055】
図7〜図9に示した燃料噴霧12は、図4の燃料噴射弁11の噴孔25を例えば図10に示すように形成して実現することができる。図10の例において、噴孔25は図10(a)の左右方向に延びる横長のスリット状の第1の噴孔部26と、その第2の噴孔部26と平行でかつ長手方向と直交する方向に幾らか離して配置された横長のスリット状の第2の噴孔部27とを備えている。第1の噴孔部26の長手方向に沿った断面形状を図10(b)に、第2の噴孔部27の長手方向に沿った断面形状を図10(c)にそれぞれ示す。これらの図から明らかなように、各噴孔部26、27は燃料噴射弁11の内側から外側に向かって徐々に拡大する扇状に形成されている。そして、第1の噴孔部26の長手方向への長さL1及び開き角θ1は、第2の噴孔部27の長手方向の長さL2及び開き角θ2よりも大きく設定されている。これにより、第1の噴孔部26によって第1の噴霧部12aを、第2の噴孔部27によって第2の噴霧部12bをそれぞれ形成することができる。また、第1の噴孔部26の長手方向と直交する方向に関する幅W1及び同方向に関する開き角φ1は、第2の噴孔部27の長手方向と直交する方向に関する幅W2及び同方向に関する開き角φ2よりも小さい。これにより、第2の噴孔部27によって形成される第2の噴霧部12bのシリンダ中心線の方向に関する広がり角θU1を同方向に関する第1の噴霧部12aの広がり角θL1よりも大きくすることができる。
【0056】
なお、各噴孔部26、27によって形成される燃料噴霧の貫徹力ついては幅W1,W2を第1の実施形態と同様に調整することにより、第2の噴霧部12bの貫徹力よりも第1の噴霧部12aの貫徹力を大きく設定することができる。また、燃料量についても、第2の噴孔部27の開口面積が第1の噴孔部26の開口面積よりも大きくなるように各噴孔部26、27の長さL1、L2及び幅W1、W2を調整すれば、第2の噴霧部12bの燃料量を第1の噴霧部12aのそれよりも大きく設定することができる。
【0057】
図11(a)は、図7〜図9に示した燃料噴霧を形成するための燃料噴射弁11の噴孔の他の例を示している。この燃料噴射弁11は、図6に示したものと同様に小径の多数の噴孔25…25から噴射される燃料噴霧を合成して所定形状の燃料噴霧を形成する、いわゆるマルチホールタイプの燃料噴射弁である。この実施形態においても、噴孔25…25は第1の噴霧部12aを形成するための第1の噴孔部26と、第2の噴霧部12bを形成するための第2の噴孔部27とに区分される。第1の噴孔部26は左右に3列、上下に2列の合計6個の噴孔25…25の集合として構成され、第2の噴孔部27は左右に3列、上下に2列の合計6個の噴孔25…25の集合として構成される。そして、図10の例と同様に第2の噴孔部27は第1の噴孔部26の長手方向と直交する方向の中心に対していずれか一方の側に寄せて配置されている。
【0058】
図11(b)に示すように、第1の噴孔部26では、上下に並ぶ一対の噴孔25、25の軸線がバルブボディ20の外側にて交点Pn1を形成するように噴孔25,25が傾けて形成されている。また、第2の噴孔部27においても、上下に並ぶ一対の噴孔25、25の軸線がバルブボディ20の外側にて交点Pn2を形成するように噴孔25,25が傾けて形成されている。このように噴孔25を傾けることにより、両噴孔部26、27においてそれぞれ上下一対の噴孔25、25から噴射された燃料噴霧が互いに衝突して図11(a)の左右方向に扁平な燃料噴霧がそれぞれ形成される。
【0059】
図11の例においても、各噴孔25の配置、個数、間隔、噴孔25,25の傾斜角度α、βは求められる燃料噴霧の形状、貫徹力、燃料量に応じて適宜に調整すればよい。各噴霧部12a、12bの長手方向に関する広がり角θL2、θU2、長手方向と直交する方向に関する広がり角θL1、θU1は各噴孔部26,27の長手方向に関する噴孔25,25の個数や間隔によって調整することができる。各噴孔部26,27の長手方向の端部の噴孔25を長手方向外側に幾らか傾けることにより、扇状に広がる噴霧をより確実に形成することができる。貫徹力については、対をなす噴孔25,25を挟む角度α、βによって調整することができる。すなわち、噴孔25の内径が一定であると仮定した場合において第1の噴霧部12aの貫徹力を第2の噴霧部12bのそれよりも大きくするならば、角度βよりも角度αを小さく設定すればよい。燃料量に関しては、各噴孔部26,27の噴孔25…25の開口面積を合計した値を図10の噴孔部26,27の開口面積と等価に考えて調整すればよい。
【0060】
本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態にて実施してよい。例えば、成層燃焼時において吸気流制御弁7dは閉じてもよいし開いてもよい。上述したように、吸気流制御弁7dを閉じているときは吸気流動が強くなるので、燃料噴霧が吸気流動に載って点火プラグ6まで搬送されるエアーガイド要素が強くなり、吸気流制御弁7dを開いているときは吸気流動が弱くなるので、燃料噴霧が噴霧自身の力で点火プラグ6の周辺に供給されるスプレーガイド要素が強くなる。吸気バルブの本数は2本に限らず、3本以上でもよい。吸気バルブが3本以上のときは2本の吸気バルブの隙間を介して第の噴霧部が点火プラグに向かうようにすればよい。
【0061】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、シリンダの中心線と直交する方向に扁平な第1の噴霧部と、第1の噴霧部に対してシリンダの中心線の上方側に相対的に偏った第2の噴霧部とを合成した燃料噴霧をシリンダ内に噴射可能としたので、可変機構に頼らなくとも、ピストンや吸気バルブへの燃料噴霧の衝突を抑えつつ、成層燃焼や均質燃焼に都合のよい燃料噴霧をシリンダ内に噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の筒内噴射式火花点火内燃機関におけるシリンダ上端部付近の縦断面図。
【図2】図1のシリンダ内をその上側からシリンダの中心線の方向に沿って見た様子を示す図。
【図3】第1の実施形態においてシリンダ内に噴射される燃料噴霧の第1の噴霧部及び第2の噴霧部と吸気バルブとの関係を示す図。
【図4】図1の筒内噴射式火花点火内燃機関にて使用される燃料噴射弁のノズル部付近の概略構成を示す図。
【図5】第1の実施形態において図4の燃料噴射弁に設けられる噴孔の一例を示す図。
【図6】第1の実施形態において図4の燃料噴射弁に設けられる噴孔の他の例を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態の筒内噴射式火花点火内燃機関におけるシリンダ上端部付近の縦断面図。
【図8】図7のシリンダ内をその上側からシリンダの中心線の方向に沿って見た様子を示す図。
【図9】第2の実施形態においてシリンダ内に噴射される燃料噴霧の第1の噴霧部及び第2の噴霧部と吸気バルブとの関係を示す図。
【図10】第2の実施形態において図4の燃料噴射弁に設けられる噴孔の一例を示す図。
【図11】第2の実施形態において図4の燃料噴射弁に設けられる噴孔の他の例を示す図。
【符号の説明】
1 筒内噴射式火花点火内燃機関
3 シリンダ
4 ピストン
5 シリンダヘッド
6 点火プラグ
7 吸気通路
7d 吸気流制御弁
8 排気通路
9 吸気バルブ
10 排気バルブ
11 燃料噴射弁
11a ノズル部
12 燃料噴霧
12a 第1の噴霧部
12b 第2の噴霧部
20 バルブボディ
21 ニードル弁
25 噴孔
26 第1の噴孔部
27 第2の噴孔部

Claims (9)

  1. シリンダの中心線と直交する方向に扁平な第1の噴霧部と、前記第1の噴霧部に対して前記シリンダの上方側に相対的に偏った第2の噴霧部とを合成した燃料噴霧をシリンダ内に噴射可能とされ、点火プラグが前記シリンダの略中心線上に配置され、吸気バルブが複数配置され、前記第1の噴霧部は前記シリンダ内に突出する吸気バルブよりも前記シリンダの下方側に広がるように形成され、前記第2の噴霧部は、吸気行程においてシリンダ内に突出する前記吸気バルブの隙間を介して前記点火プラグに向かうように形成されたことを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
  2. 前記第2の噴霧部が前記シリンダの中心線の方向に扁平であることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火式内燃機関。
  3. 前記第2の噴霧部が前記シリンダの中心線と直交する方向に扁平であることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火式内燃機関。
  4. 前記シリンダの中心線と直交する方向に関して、前記第1の噴霧部の広がり角が前記第2の噴霧部の広がり角よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  5. 前記シリンダの中心線の方向に関して、前記第2の噴霧部の広がり角が前記第1の噴霧部の広がり角よりも大きいことを特徴とする請求項3又は4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  6. 前記第1の噴霧部の貫徹力が前記第2の噴霧部の貫徹力よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  7. 前記第2の噴霧部に含まれる燃料量が前記第1の噴霧部に含まれる燃料量よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  8. シリンダの中心線と直交する方向に扁平な第1の噴霧部と、前記中心線の方向に扁平な第2の噴霧部とを合成した燃料噴霧をシリンダ内に噴射可能であり、前記第1の噴霧部は前記シリンダ内に突出する吸気バルブよりも前記シリンダの下方側に広がるように形成され、前記第2の噴霧部は、吸気行程においてシリンダ内に突出する吸気バルブの側方を通過して前記点火プラグに向かうように形成されることを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
  9. 前記吸気バルブが複数本並べて設けられ、前記第2の噴霧部は2本の吸気バルブの隙間を介して点火プラグに向かうように形成されることを特徴とする請求項に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
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