JP4110958B2 - 熱処理装置におけるガス供給制御方法およびガス供給制御装置 - Google Patents

熱処理装置におけるガス供給制御方法およびガス供給制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばセラミック成形体の脱脂や焼成などの熱処理を行う熱処理装置におけるガス供給制御方法およびガス供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミック電子部品を製造する過程において、例えばセラミック成形体の脱脂や焼成などの熱処理は、連続式熱処理炉、あるいは、バッチ式熱処理炉などの熱処理装置によって行われる。
【0003】
例えば、熱処理によりセラミック成形体の脱脂を行う場合、そのセラミック成形体をいわゆる匣といわれる容器に収納した状態で熱処理を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
その容器は、セラミック成形体が載置される載置面を有する平板状に構成され、実際に熱処理に使用される場合、複数個のその容器が上下に所定間隔に隔てた状態で積み上げられたものに構成される。したがって、下側の容器におけるセラミック成形体の載置面とその直上の容器における下面とは互いに平行な状態で対向している。そして、その対向する面間の空間は、熱処理時においてセラミック成形体周りで所望の雰囲気ガスが拡散されているようにするため、その雰囲気ガスが流動していく流路となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−172464号公報(全頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
全ての被熱処理物を均一に熱処理(例えば脱脂)するためには、同じ容器に収納され、かつ同時に熱処理されるセラミック成形体などの被熱処理物が全て同じ温度履歴を経ることに加えて、雰囲気履歴(例えば被熱処理物近傍の酸素分圧、材料からの揮発物の蒸気圧、など)も同じにしなければならない。このときに、従来問題となるのは、流路の入口から流入するガス流速が遅いため、雰囲気ガスの被熱処理物や載置面などとの粘性的な関わりにより、容器内部の途中で雰囲気ガスの流速がゼロになるおそれがあった。とりわけ容器表面近傍、すなわち載置面近傍において雰囲気ガスの流速がゼロになってしまうおそれがあった。
【0007】
容器内部で雰囲気ガスの流速がゼロになると、その付近で被熱処理物から揮発した有機物(バインダなど)のガス成分が、雰囲気ガスの流れがある場所に比べて増加するという問題が生じる。これは流速がゼロとなる場所では、被熱処理物から発生してくる有機物の分解生成物などの蒸気圧が、雰囲気ガスの流れがないため滞留することになって高くなり、分解反応が進みにくくなるからである。
【0008】
このため、流路内でバインダ残量が増加している箇所近傍の被熱処理物では、その後の焼成工程において残バインダが急燃焼することになる。これにより、その被熱処理物に構造欠陥が生じ、電子部品としての特性が低いものとなるおそれが高い。
【0009】
焼成工程において、容器の送り速度を極端に遅くして残バインダの急燃焼の抑制を図ることが可能であるが、この場合、熱処理能力が大きく低下するという問題があった。そして、容器内部、特に載置面の表面近傍で流速がゼロにならない条件を設定するには、容器の入り口部にある一定以上のガス流速を与える必要があるが、従来においては、被熱処理物が載置された状態で、雰囲気ガスの流速がゼロにならないようする確実な制御となっていなかった。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであって、被熱処理物が載置された箇所での雰囲気ガスの流速がゼロにならないよう確実性高くその雰囲気ガスの流速を制御することを解決しようとする課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係る熱処理装置におけるガス供給制御方法は、被熱処理物を載せる載置面とこの載置面に対向する天井面との間の空間を前記載置面に沿って流れる雰囲気ガスの流路とするとともに、前記流路の一端は前記雰囲気ガスの入口とされ、前記流路の他端は前記雰囲気ガスの出口とされた熱処理装置におけるガス供給制御方法であって、前記雰囲気ガスを、次式を満たす流速で前記入口から前記流路に流入制御することを特徴とする。
【0012】
VT≧(L・τT)/(C・D2)
ここで、VTは流路入口での流速、Lは流路長さ、τTは前記雰囲気ガスの動粘性係数、Cは当該熱処理装置において実験から得られる経験値として決められる係数、Dは前記流路における前記載置面と前記天井面との上下間隔長さである。
【0013】
ここで、流路の長さLは、載置面と天井面とで挟まれた流路のうち流路入口から雰囲気ガスの流速がゼロとならない所望流速を確保することが必要な位置までの長さであって、流路入口から流路出口までに至る流路長さに限定されない。ただし、流路出口近くまで被熱処理物が載置面上に載置されている場合、流路入口から流路出口までに至る流路長さに相当する。係数Cは、実験などから得られる経験値として決められているものであって、具体的な数値として例えば0.065などに設定される。
【0014】
また、被熱処理物を載せる載置面とこの載置面に対向する天井面との間の空間における雰囲気ガスの流れて行く方向を前後方向とした場合の左右方向両側が閉じた流路となっていてもよいとともに、左右方向両側が開放、または、一方側のみ開放された流路となっていてもよい。また、雰囲気ガスが載置面に沿って流れるとは、雰囲気ガスが主として載置面の面方向に沿うように流れるということである。
【0015】
本発明の熱処理装置におけるガス供給制御方法によれば、被熱処理物の載置面とこの載置面に対向する天井面との間の空間である流路に、上記式を満たす流速で雰囲気ガスが供給されることによって、流路終端側の雰囲気ガス供給が必要な箇所に至るまで雰囲気ガスの流速がゼロとならないように制御されるから、被熱処理物において雰囲気ガスの滞留による不良発生も解消される。
【0016】
本発明に係る熱処理装置におけるガス供給制御方法は、好ましくは、前記熱処理装置が、セラミック成形体を前記被熱処理物として熱処理する装置であって、その処理工程に該セラミック成形体からバインダを脱脂する脱脂工程を含む。
【0017】
本発明に係る熱処理装置におけるガス供給制御方法は、好ましくは、前記脱脂工程において、セラミック成形体の重量減少率が80%に低下するときまでの間、または、熱処理の温度が100℃から300℃までの範囲となっているときに前記式を満たす流速で雰囲気ガスを前記流路に流入する。
【0018】
(2)本発明に係る熱処理装置におけるガス供給制御装置は、被熱処理物を載せる載置面とこの載置面に対向する天井面との間の空間を前記載置面に沿って流れる雰囲気ガスの流路とするとともに、前記流路の一端は前記雰囲気ガスの入口とされ、前記流路の他端は前記雰囲気ガスの出口とされた熱処理装置におけるガス供給制御装置であって、次式を満たす流速で前記雰囲気ガスを前記入口から前記流路に流入制御する制御部を備えることを特徴とする熱処理装置におけるガス供給制御装置。
【0019】
VT≧(L・τT)/(C・D2)
ここで、VTは流路入口での流速、Lは流路長さ、τTは前記雰囲気ガスの動粘性係数、Cは当該熱処理装置において実験から得られる経験値として決められる係数、Dは前記流路における前記載置面と前記天井面との上下間隔長さである。
【0020】
ここで、流路長さLとは、載置面と天井面とで挟まれた流路のうち流路入口から雰囲気ガスの流速がゼロとならないことが必要な位置までの長さであって、流路入口から流路出口までに至る流路長さに限定されない。ただし、流路出口近くまで被熱処理物が載置面上に載置されている場合、流路出口までに至る流路長さに相当する。
【0021】
本発明の熱処理装置におけるガス供給制御装置によれば、被熱処理物の載置面とこの載置面に対向する天井面との間の空間である流路に、上記式を満たす流速で雰囲気ガスが供給されることによって、流路終端側の雰囲気ガス供給が必要な箇所に至るまで雰囲気ガスの流速がゼロとならないように制御されるから、被熱処理物において雰囲気ガスの滞留による不良発生も解消されるものとなっている。
【0022】
本発明に係る熱処理装置におけるガス供給制御装置は、好ましくは、前記制御部は、流路長さL、前記雰囲気ガスの動粘性係数τT、所定の係数Cおよび前記流路における前記載置面と前記天井面との上下間隔長さDに基づいて、前記入口から前記流路に流入される前記雰囲気ガスの下限となる流速VTをVT=(L・τT)/(C・D2)の式から算出するガス流速算出部を有するとともに、前記制御部は、前記流路に前記雰囲気ガスを供給するガス供給装置に対して、前記ガス流速算出部で算出された前記流速VT以上の高速で前記雰囲気ガスを前記入口から前記流路に流入させる制御を行う。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0024】
図1ないし図4は、本発明に係る実施形態の一例である熱処理装置を示すものであって、図1は、本実施の形態に係る熱処理装置を示す縦断正面図及び雰囲気ガスを供給する手段などのブロック図、図2は、図1の熱処理装置の横断平面図及び雰囲気ガスを供給する手段などのブロック図、図3は、図1の匣を示す縦断正面図、図4は、図3の流路における長さ寸法と流路の上下幅寸法を縦断面で示す説明図である。
【0025】
本発明に係る熱処理装置は、連続炉を備えるものでもよいとともに、バッチ式の熱処理炉を備えるものでもよい。ここでは、連続式の熱処理炉を備えるものについて説明する。
【0026】
図1を参照して、例えば積層セラミックコンデンサなどを作成するためのセラミック成形体を熱処理するための連続式熱処理炉1が熱処理装置の一例として示されている。
【0027】
この連続式熱処理炉1は、被熱処理物としてのセラミック成形体Wを匣2に搭載した状態で、その匣2を搬送装置3で搬送しながら脱脂処理を行うものである。熱処理炉1は、天井壁部(図示せず)および左右の側壁部4a,4aを断熱材で構成した炉体4内に炉体4長手方向(被熱処理物の搬送方向)に沿った熱処理空間5が設けられる。この熱処理空間5内には、その長手方向に沿って匣2を所定速度で搬送する搬送装置3が設けられている。搬送装置3は、図1に示すように、搬送方向に搬送路を成す状態で多数の搬送用ローラが並設されたローラ式搬送装置である。この搬送装置3のローラ上に載置された状態で匣2が搬送される(図2において黒く塗りつぶした矢印で搬送方向を示す)。なお、搬送装置としてはローラ式搬送装置に限定されるものではなく、各種搬送装置を適用可能である。また、図示しないヒータが熱処理空間5の熱処理を施す所定領域に配備されているのであって、その領域に対応した温度環境が設定されるようにしている。
【0028】
匣2は、図1および図3に示すように、アルミナ質の平面視矩形状の板体で作成されている載置部材6がその上下間隔を所定高さに隔てた状態で互いに水平かつ平行となる状態で上下に複数枚(図1および図3では4枚)積み上げられた構成となっている。なお、載置部材6は、アルミナ製に限定されるものでなく、セラミック質のものであれば例えばジルコニア製のものなどを用いることができ、金属質のものであれば、例えばSUS、インコネルなどを用いることができる。各載置部材6の積み上げは、平面視矩形状の載置部材6の前後両端縁に立ち上げ形成したフランジ部分において行われる。載置部材6における両フランジ部分間の平板部分の上面がセラミック成形体Wの載置面7となっている。これに対してその載置部材6の直上に積み上げられた載置部材6の底面が下側の載置部材6の載置面7に対して上下に対向する面を成す天井面8となる。したがって、両フランジ部分の高さによって載置部材6の載置面7とその直上の天井面8との間隔が設定されている。なお、最上位置の載置部材6は単にその下側の載置部材6の天井面8として利用されるものであって、フランジ部分は設けられていない。また、載置部材6の左右両側にはフランジ部分がないので、載置部材6を積み上げた状態では、左右両側が開放されている。したがって、各載置部材6の載置面7とその直上の天井面8との間の空間は後述する雰囲気ガスが流れて行く流路9となっている。この実施形態の場合、図3に左右方向に沿った流路9の左側端部が雰囲気ガスの流入する入口10となっている。流路9の右側端部が雰囲気ガスなどの流出する出口11となっている。なお、載置部材6としては、フランジ部分を設けない平板部分のみの構成にして、互いに上下に間隔を置いた積み上げを行うのに、フランジ部分に替えて、上下の載置部材6,6間にスペーサ部材を介装する構成にしてもよい。
【0029】
また、炉1の搬送方向での所定領域においては、その領域に対応して雰囲気ガスが供給されるように、雰囲気ガスを匣2に向けて吹き出すためのガス供給穴12を炉体4の左側壁4aに設けている。また、このガス供給穴12と匣2との間には所定の間隔が設けられている。そのガス供給穴12から供給される雰囲気ガス(図1ないし図4にその流れを白抜きの矢印で示す)は、脱脂を行う脱脂領域ではその脱脂処理に適した雰囲気ガス、例えば空気、不活性ガスが供給される。ガス供給穴12の数や設けられる位置は熱処理を行うその炉の形態や、搬送装置3および匣2などとの位置関係、被熱処理物の種類などの各種の諸条件によって適宜設定される。
【0030】
各ガス供給穴12は、雰囲気ガスを供給する配管14と接続されており、各配管14は雰囲気ガス供給用のポンプ15と接続されている。ポンプ15は、ガス供給装置として、ガスボンベや外気などの雰囲気ガス供給源16から雰囲気ガスを熱処理空間5内に供給作動するのであって、制御部17からの制御信号に従った出力で作動するものとなっている。
【0031】
制御部17は、オペレータによって入力される制御情報に基づいてポンプ15の駆動出力を設定し、その設定された出力でポンプ13を駆動する。このようにポンプ15の駆動出力を設定するために制御部17に入力される情報としては、雰囲気ガスの動粘性係数τTの具体的数値、流路における載置面と天井面との上下間隔長さDの具体的数値、所定係数Cの具体的数値、流路長さLの具体的数値である。制御部15に備えられるマイコンなどの演算器でなるガス流速算出部では、これらの情報に基づいて、臨界流速VTを、VT=(L・τT)/(C・D2)の式を演算して算出する。すなわち、各値をこの式に代入演算することで臨界流速VTが算出される。なお、制御部17のガス流速算出部では、所定の雰囲気ガスが供給される場合における任意の流路長さLと、所定の前記上下間隔長さDとに対応する臨界流速VTが簡易に求められる検量線が予め生成および記憶されていてもよく、搬送される匣2の寸法として入力された情報に応じて雰囲気ガスの臨界流速VTを適宜その検量線から求めることができる。この検量線について、具体的には後述する実施例における実施例1に説明するようなものが例としてあげられる。
【0032】
臨界流速VTは、各匣2の各載置部材6に載置された被熱処理物に雰囲気ガスを供給できる流速が得られる最低限の流速であって、各流路9の入口10に雰囲気ガスが流入する際の流速について求められる。また、入口10に雰囲気ガスが流入する際の流速とその流速を得るためのポンプ15の駆動出力との関係が、所望の範囲にわたる流速に対応して予め実験などによってデータとして得られている。そのデータは例えば制御部17に備える記憶手段や、記憶媒体などに記憶されているので、制御部17による制御でそのデータが利用可能となっている。
【0033】
制御部17は、上記算出された臨界流速VT以上の所定流速で雰囲気ガスを入口10から流路9に流入させるために、その臨界流速VTに応じた所定速度分増加した流速Vを別途算出し、その流速Vに対応した雰囲気ガスのガス供給穴12からの吹き出しが行われるように、ポンプ15を駆動制御する。なお、臨界流速よりも増速させた流速は、被熱処理物へ雰囲気ガスが確実に供給できる補償として予め安全係数を1.1〜1.2とし、この安全係数を臨界流速VTに掛けて得られる流速(例えば、VT×1.2)として算出する。
【0034】
なお、流路長さLの値は、流路9の入口10の位置から流路9における被熱処理物の下手側端位置までの長さとする。この実施形態の場合、被熱処理物が載置部材6の左右両端間のほぼ全体にわたって載置されているので、上記流路長さLの値は、載置部材6の左右幅と一致する。
【0035】
上述したように、臨界流速VTより早い流速Vで雰囲気ガスを流路9に流入させるので、流路9に流入する際の雰囲気ガスの流速が流路9におけるどの被熱処理物においてもに雰囲気ガスが滞留することなく、所望の流速で雰囲気ガスが供給されるとともに、被熱処理物から発生した不要なガス成分が被熱処理物近傍域から排除されるものとなっている。
【0036】
本発明は、上述の実施の形態に限定されず、種々な変形が可能である。
【0037】
(1) 上記実施の形態では、被熱処理物を載置する載置部材としてにアルミナ質の板状のものを用いたが、その他の材料、例えば金属質の板状のものなどの載置部材を用いても良い。
【0038】
(2)被熱処理物が粉体の場合、被熱処理物を収納しておくための匣2を構成するセラミック材または金属材からなる各載置部材6は、図5に示すように、その被熱処理物が飛散しないように規制するフランジ部分18…を平面視矩形状の板状部材の4辺部分に立ち上げた構成とし、この4辺のフランジ部分18…で囲われて凹んだ部分となっている収納個所19に被熱処理物を収納することになる。この場合、網を折込形成することによって、フランジを少なくとも2辺部分に設けているものでもよい。
【0039】
(3)上記各実施形態では、セラミック成形品として積層セラミックコンデンサを示したが、本発明は、セラミック成形品としてこれに限定されるものではなく、その他各種のセラミック成形品に適用できる。
【0040】
(4)熱処理としては脱脂工程に限定されるものでなく、焼成工程などにおいても本発明を適用することができる。なお、焼成工程では、雰囲気ガスとして、焼成を行う焼成領域ではその焼成処理に適した、例えば酸素、窒素など不活性ガスが供給される。
【0041】
(5)脱脂工程の熱処理を行う場合において、本発明は、セラミック成形体の重量減少率が80%に低下するときまでの間、または、熱処理の温度が100℃から300℃までの範囲となっているときに前記式を満たす流速で雰囲気ガスを前記流路に流入することが好ましい。前者の場合、熱処理中のセラミック成形体の重量を測定する装置と、その重量測定結果に基づいて雰囲気ガスの流速を制御する制御部とを設けることになる。セラミック成形体中に含まれる有機バインダなどの揮発成分が脱脂工程前のセラミック成形体の重量と比してその重量減少率が100%から80%に低下するまでの間は、その揮発が促進され易いことから、揮発したガス成分が被熱処理物周りに滞留し易く、脱脂過程に悪影響を与える可能性が高いため、特に雰囲気ガスの流速が揮発ガス成分の滞留を生じさせない速度となっている必要がある。また、後者の場合、熱処理の温度を計測する温度センサと、そのセンサの測定結果に基づいて雰囲気ガスの流速を制御する制御部とを設けることになる。脱脂工程においては、有機バインダの揮発は、熱処理温度の100℃から300℃までの範囲において特に顕著となることから、この温度範囲のときに、雰囲気ガスの流速が揮発ガス成分の滞留を生じさせない速度となっている必要がある。
【0042】
【実施例】
(実施例1)
上記実施の形態で説明したのと同様に、アルミナ質で作成されている載置部材の上面となる載置面上にセラミックコンデンサ用のセラミック成形品が載せられており、この載置部材が複数個、スペーサ、または、載置部材のフランジ部を介して積み上げられて匣が構成され、ガス(この場合は空気であり、温度200℃に設定されている。また、その動粘性係数τTは、35.8×10-6である。)は匣の片側より流入させる。載置部材における載置面とそれに対向する天井面との間の上下幅寸法(D)、流路入口から流路における所望流速が必要な箇所までの長さ(この場合、流路出口近くまでセラミック成形品が載せられているため流路入口から流路出口までの長さ、すなわち載置部材の流路方向での長さ寸法)(L)、ガス流速(V)、をパラメータとして上下の載置部材間の流路内にガスが十分供給され、バインダ残量が均一になる条件を調査した。その調査結果を、図6にまとめて示している。図6に示されているのは、熱処理時の温度が200(℃)のデータである。図6には、流路の長さ(L)として匣における雰囲気ガスの流れる方向での幅寸法(単位はm)を横軸としてとり、縦軸は流路に流入するときの雰囲気ガスの流速(単位はm/s)としてとっている。さらに、上下幅寸法(D)が0.01mの場合に求められる臨界流速の検量線を太線で示し、上下幅寸法(D)が0.022mの場合に求められる臨界流速の検量線を細線で示し、上下幅寸法(D)が0.03mの場合に求められる臨界流速の検量線を破線で示している。そして、この場合には、流路長さ(L)が0.25(m)、上下幅寸法(D)が0.010(m)とされ、それらの値に対応して検量線に当てはめることで臨界ガス流速値の1.40(m/s)が設定された。比較のため、これと同一の流路長さ(L)および上下幅寸法(D)において、流路へ流入する際の雰囲気ガスの流速が臨界ガス流速より低速である0.50、0.12(m/s)をそれぞれ設定した。これらの各条件設定のもとで、それぞれ、セラミックコンデンサ成形体を昇温速度0.1(℃/分)で200(℃)にした後、2時間保持することにより脱脂を行った。熱処理装置は上述実施の形態で説明したような連続式の脱脂炉を用い、脱脂後に成形体中に残存しているバインダ量をカーボン分析装置により定量化、さらに、流路方向での複数の任意位置における成形体近傍のバインダー分解ガス濃度の分布を測定した。この場合、バインダ分解ガスは、酢酸ブチルである。
【0043】
雰囲気ガスを流路に流入させる際の流速をこの臨界流速以上の流速にすることに基本的に問題はないが、熱処理物が軽量物の場合、流速が所定以上であると熱処理物が飛ばされるおそれが高くなることに留意する必要がある。
【0044】
また、上記測定結果によるセラミック成形体中の残カーボン量(単位はwt%)の匣内分布が、図7に示されている。比較のため、臨界流速よりも低い流速に設定した場合の分布も同図に示している。図7において、太線のグラフは臨界流速を示し、細線のグラフは臨界流速よりも低速の流速の場合を示している。なお、図中、流路長さに対応して流路入口の位置をAとし、流路中央位置をBとし、流路出口の位置をCとしている。
【0045】
臨界流速より低速(0.50m/s)とした場合は、流路中央位置Bより流路下手側となるほどカーボン量が増加し、匣の端(位置C)においてカーボン量が最大となっており、匣内のばらつきとして大きくなる。これに対して、臨界流速値(1.4m/s)とした場合は、匣内位置全て(A,B,C)においてほぼ均一なカーボン量分布となっている。
【0046】
また、上記測定結果による匣内の流路における酢酸ブチル濃度分布が、図8に示されている。比較のため、臨界流速よりも低い流速に設定した場合の分布も同図に示している。図8において、V=0.12(m/s)、V=0.5(m/s)を示すグラフは臨界流速より低速の場合の匣位置(AからCに至る位置)における酢酸ブチル濃度(単位ppm)を示している。図8において、V=1.4(m/s)を示す細線のグラフは臨界流速の場合を示している。図8において、V=2.0(m/s)を示す細線のグラフは臨界流速の場合を示している。匣内の酢酸ブチル濃度分布については、図8に示すように、臨界流速より低速とした場合(0.50、0.12m/s)、匣の中央、端(図のB、および、C位置)の濃度がガス流入位置(匣端部の位置A)と比較して多くなっているが、臨界流速値の場合、および臨界流速よりも高速とした場合では、匣内でほぼ均一な酢酸ブチル濃度となっている。これはガス流れが所望流速以上に生じているため、セラミック成形体から発生した有機物がそのセラミック成形体の近傍で滞留せず、その有機物の蒸気圧が部分的に高くなることがないためである。なお、バインダ分解ガス濃度の匣内勾配は、残りカーボン量分布に大きく影響している。
【0047】
脱脂後のカーボン量が減少していない状態で焼成工程が行われると、カーボンの急燃焼により割れ、クラック等が発生して特性不良率が増加してしまうおそれがある。これに対して、この実施例1では、本発明による脱脂処理を施した後、連続式焼成工程に移行させたが、匣内位置B,Cで特に焼成後に特性不良が増加する傾向もないことが確認された。このため、焼成工程の送り速度を早くして、処理能力を大きく向上(2倍程度)させることに成功している。
【0048】
(実施例2)
実施形態2はバッチ式熱風循環脱脂炉に適用した例である。この場合、炉内を循環するように雰囲気ガスが流動されている。すなわち、図9に示すように、上下に複数段に載置部材を積み上げた匣の流路に雰囲気ガスが一端側から流入し、他端側から流出するとともに、その流出した雰囲気ガスが匣の上方側を通って流路入口側に戻ることにより雰囲気ガスが炉内を循環するものとなっている(ガスの流れる様子は白抜矢印で示されている。その雰囲気ガスの循環は、送風装置20を駆動することにより生じさせる。その送風装置20の駆動については、制御部によって行われる。匣寸法(L)は0.6(m)、匣ピッチは0.022(m)とし、臨界ガス流速値を0.66(m/s)に設定した。この条件設定のもとでセラミックコンデンサ成形体を昇温速度0.2(℃/分)で200(℃)、5時間保持により脱脂を行った。
【0049】
脱脂後に実施形態1と同様に匣内のバインダ残り量、バインダ分解ガス濃度分布を測定した。
【0050】
バッチ式脱脂炉においても本発明の適用によりバインダ残り量、および、バインダ分解ガス濃度の匣内分布は均一になっていた。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被熱処理物の載置面とこの載置面に対向する天井面との間の空間である流路に、上記式を満たす流速で雰囲気ガスが供給されることによって、流路終端側の雰囲気ガス供給が必要な箇所に至るまで雰囲気ガスの流速がゼロとならないように制御されるから、被熱処理物において雰囲気ガスの滞留による不良発生も解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る熱処理装置を示す縦断正面図及び雰囲気ガスを供給する手段などのブロック図
【図2】図1の熱処理装置の横断平面図及び雰囲気ガスを供給する手段などのブロック図
【図3】図1の匣を示す縦断正面図
【図4】図3の流路における長さ寸法と流路の上下幅寸法を縦断面で示す説明図
【図5】匣を構成する載置部材の変形例を示す斜視図
【図6】本発明の実施例1による流路の上下幅及び流路長さとしての匣寸法に対するガス流速の関係を臨界流速を算出する検量線として一例として示すグラフ
【図7】実施例1における匣位置とセラミック成形体中の残留カーボン量との関係を示すグラフ
【図8】実施例1における匣位置と酢酸ブチル濃度との関係を示すグラフ
【図9】実施例2における匣と送風装置とを示す説明図
【符号の説明】
1 熱処理炉(熱処理装置)
7 載置面
8 天井面
9 流路

Claims (5)

  1. 被熱処理物を載せる載置面とこの載置面に対向する天井面との間の空間を前記載置面に沿って流れる雰囲気ガスの流路とするとともに、前記流路の一端は前記雰囲気ガスの入口とされ、前記流路の他端は前記雰囲気ガスの出口とされた熱処理装置におけるガス供給制御方法であって、
    前記雰囲気ガスを、次式を満たす流速で前記入口から前記流路に流入制御することを特徴とする熱処理装置におけるガス供給制御方法。
    VT≧(L・τT)/(C・D2)
    ここで、VTは流路入口での流速、Lは流路長さ、τTは前記雰囲気ガスの動粘性係数、Cは当該熱処理装置において実験から得られる経験値として決められる係数、Dは前記流路における前記載置面と前記天井面との上下間隔長さである。
  2. 請求項1に記載の熱処理装置におけるガス供給制御方法において、
    前記熱処理装置が、セラミック成形体を前記被熱処理物として熱処理する装置であって、その処理工程に該セラミック成形体からバインダを脱脂する脱脂工程を含むことを特徴とする熱処理装置におけるガス供給制御方法。
  3. 請求項2に記載の熱処理装置のガス供給制御方法において、
    前記脱脂工程において、セラミック成形体の重量減少率が80%に低下するときまでの間、または、熱処理の温度が100℃から300℃までの範囲となっているときに前記式を満たす流速で雰囲気ガスを前記流路に流入することを特徴とする熱処理装置におけるガス供給制御方法。
  4. 被熱処理物を載せる載置面とこの載置面に対向する天井面との間の空間を前記載置面に沿って流れる雰囲気ガスの流路とするとともに、前記流路の一端は前記雰囲気ガスの入口とされ、前記流路の他端は前記雰囲気ガスの出口とされた熱処理装置におけるガス供給制御装置であって、
    次式を満たす流速で前記雰囲気ガスを前記入口から前記流路に流入制御する制御部を備えることを特徴とする熱処理装置におけるガス供給制御装置。
    VT≧(L・τT)/(C・D2)
    ここで、VTは流路入口での流速、Lは流路長さ、τTは前記雰囲気ガスの動粘性係数、Cは当該熱処理装置において実験から得られる経験値として決められる係数、Dは前記流路における前記載置面と前記天井面との上下間隔長さである。
  5. 請求項4に記載の熱処理装置におけるガス供給制御装置において、
    前記制御部は、流路長さL、前記雰囲気ガスの動粘性係数τT、所定の係数Cおよび前記流路における前記載置面と前記天井面との上下間隔長さDに基づいて、前記入口から前記流路に流入される前記雰囲気ガスの下限となる流速VTをVT=(L・τT)/(C・D2)の式から算出するガス流速算出部を有するとともに、
    前記制御部は、前記流路に前記雰囲気ガスを供給するガス供給装置に対して、前記ガス流速算出部で算出された前記流速VT以上の高速で前記雰囲気ガスを前記入口から前記流路に流入させる制御を行うことを特徴とする熱処理装置におけるガス供給制御装置。
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