JP4109969B2 - ゴルフボールの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフボールの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、外観を損なうことなく、反発性能に優れたゴルフボールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフボールのカバー材としてアイオノマー樹脂が広く使用されている。このようなアイオノマー樹脂としては、α‐オレフィンとα,β‐不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはα‐オレフィンとα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものであり、反発性、耐久性、加工性等に優れていることから、現在ではゴルフボール用のカバー材として主流となっている。
【0003】
しかしながら、ゴルファーの飛距離への要求は高く、更に高い反発性を有し飛行性能の優れたゴルフボールが要求されている。そこで、アイオノマー樹脂から成るカバーをアニーリング処理することによって、高反発弾性化して飛行性能を更に向上したゴルフボールが提案されている(特許文献1等)。
【0004】
特許文献1には、コアと、該コアを被覆するカバーを有するゴルフボールにおいて、上記カバーがアイオノマー樹脂を主材とし、該アイオノマー樹脂が、示差走査熱量計測定における結晶融解挙動において第1ピークを85〜95℃に持ち、かつ第2ピークを70〜80℃に持つことを特徴とするゴルフボールが開示されている。この特許文献では、コア上に被覆後のアイオノマー樹脂から成るカバーをアニーリングすることにより、高反撥弾性で飛行特性の優れたゴルフボールを得るものである。
【0005】
【特許文献1】
特許2665991号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来のゴルフボール製造方法の有する問題点を解決し、外観を損なうことなく、反発性能に優れたゴルフボールの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、1層以上のコア、アイオノマー樹脂を用いた中間層およびカバーから成るゴルフボールの製造方法において、コア上に中間層を形成した中間球体を40〜80℃で加熱処理することによって、ディンプルの変形等の外観を損なうことなく、反発性能に優れたゴルフボールの製造方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、1層以上のコア(1)、該コア上にアイオノマー樹脂を主材として形成された中間層(2)および該中間層を被覆するカバー(3)とから成るゴルフボールの製造方法であって、
該方法が
(a)該コア(1)を形成する工程、
(b)該コア上に該中間層(2)を形成して中間球体(4)を形成する工程、
(c)該中間球体(4)を40〜80℃で加熱処理する工程、および
(d)該加熱処理後の中間球体(4)上にカバー(3)を被覆する工程
を含むことを特徴とするゴルフボールの製造方法に関する。
【0009】
前述のように先行技術として、アイオノマー樹脂製のカバーを有するゴルフボールをアニーリング(低温加熱処理)することにより、反発性能を向上する技術は知られていた。従って、コアとカバーとの間にアイオノマー樹脂製の中間層を有するゴルフボールの場合には、上記のようにアニーリングすると中間層の反発性も向上する。しかしながら、中間層内部まで十分な加熱処理が行えないため、反発性を向上する効果が十分に得られず、又、中間層を十分に加熱処理するために、高温及び/又は長時間加熱するとディンプルが変形して外観上の問題や空力特性の低下が起こるという問題がある。そこで、本発明者等は、コア上に中間層を形成して得られる中間球体を加熱処理することによって、十分に反発性を向上することを可能とした。また、本発明のゴルフボールの製造方法では、中間球体の段階で加熱処理を行うため、上記のようなゴルフボールのアニーリングによってディンプルが変形する問題も解消したものである。
【0010】
ゴルフボールの開発においては、様々な物性を有するゴルフボールを作製し、評価する必要があるが、これまでは構造、材料、配合等を変更することによって物性の異なるゴルフボールを作製してきた。しかしながら、このような方法ではコストの増大につながることが多く、特に開発段階では物性を変えながら評価する場合、多くの種類のゴルフボールを作製することが必要となり、コストや時間の増大につながるという問題があった。構造、材料、配合等を変更することなしに、異なる物性を有するゴルフボールを得ることができる本発明の製造方法では、そのような問題も同時に解決できるという特徴を有する。
【0011】
更に、本発明を好適に実施するためには、上記カバー(3)が、厚さ0.8〜2.8mmを有し;
上記(c)工程の処理時間が10〜120分間である;
ことが好ましい。
【0012】
以下、図1を用いて本発明のゴルフボールについて更に詳しく説明する。図1は、本発明のゴルフボールの1つの態様を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明のゴルフボールは、少なくとも1層のコア(1)および該コア上に形成された中間層(2)から構成される中間球体(4)、および該中間球体を被覆するカバー(3)とから成る。上記コアは単層構造であっても、2層以上の多層構造を有してもよい。但し、図1では説明をわかりやすくするため、1層のコア(1)を有するゴルフボール、即ちスリーピースソリッドゴルフボールとした。
【0013】
本発明のゴルフボールのコア(1)は、特に限定されないが、シス‐1,4‐ポリブタジエンゴムを主成分とするゴム組成物の加硫成形物から形成されることが好ましく、例えば上記ポリブタジエンゴム100重量部に対して、アクリル酸、メタクリル酸等のような炭素数3〜8のα,β‐不飽和カルボン酸またはその亜鉛、マグネシウム等の一価または二価の金属塩や、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の官能性モノマーから成る加硫剤(架橋剤)を単独または合計で、5〜40重量部、好ましくは15〜36重量部配合し、それぞれ、有機過酸化物等の共架橋開始剤0.2〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の充填材2〜40重量部、好ましくは10〜35重量部、要すれば有機硫黄化合物、老化防止剤等0.2〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部を含有するゴム組成物を、通常の混練ロール等の適宜の混練機を用いて均一に混練し、金型内で加硫成形することにより得ることができる。但し、上記コア(1)は単なる例示であって、それらに限定されるものではない。
【0014】
本発明のゴルフボールに用いるコア(1)は、前述のゴム組成物を均一に混合および混練し、金型内で加熱プレスすることにより得ることができる。この際の条件は特に限定されないが、通常は130〜180℃、圧力2.9〜9.8MPa、15〜60分間で行われる。
【0015】
本発明のゴルフボールでは、上記コア(1)は直径34.3〜39.9mm、好ましくは34.5〜39.1mm、より好ましくは34.7〜38.7mmを有するのが好適である。上記直径が34.3mmより小さいと、中間層やカバーを厚くする必要があり反発性が低下し、上記直径が39.9mmより大きいと、中間層やカバーを薄くする必要があり、中間層やカバーの効果が十分に得られなくなる。
【0016】
上記コアが多層構造、例えば内層コアおよび外層コアからなる2層構造を有する場合、両層共同様に上記のようなゴム組成物から成ることが好ましいが、外層コアに用いられる材料は、前述のような特性が得られるものであれば特に限定されず、前述のような基材ゴムとしてシス‐1,4‐ポリブタジエンを含有するゴム組成物であっても、またはアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマーまたはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂であってもよい。
【0017】
上記コアが多層構造、例えば内層コアと外層コアから成る2層構造を有する場合、2層コアの作製方法についても、従来から用いられている方法であってもよく特に限定されないが、内層コア用ゴム組成物を混合、混練し、金型内で上記加硫条件で加熱プレスすることにより、球状の内層コアを形成し、次いで外層コア用ゴム組成物を混合、混練し、上記内層コア上に同心円状に被覆し、金型内で160〜180℃で10〜20分間加熱プレスすることにより、上記内層コア上に上記外層コアを被覆した2層構造コアを得ることができる。次いで、上記コア(1)上には中間層(2)を形成する。
【0018】
本発明のゴルフボールでは、中間層(2)が厚さ0.4〜3.0mm、好ましくは0.5〜2.3mm、より好ましくは0.6〜1.9mmを有するのが好適である。上記厚さが、0.4mmより小さくなると中間層の成形が困難となり、3.0mmより大きくなるとコアが小さくなって反発性が低下したり、カバーが薄くなってカバー耐久性が低下したり、打球感が低下したりする。
【0019】
本発明のゴルフボールに用いられる中間層(2)は、アイオノマー樹脂を主成分として含有する樹脂組成物から形成されることを要件とし、基材樹脂100重量部に対して、アイオノマー樹脂を50重量部以上、さらに55重量部以上の配合とするのがよい。上記アイオノマー樹脂としては、α‐オレフィンとα,β‐不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、α‐オレフィンとα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはそれらの混合物である。上記α‐オレフィンとしては、エチレン、プロピレンが好ましい。上記のα,β‐不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸とメタクリル酸が好ましい。また、α,β‐不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n‐ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルが好ましい。上記エチレンとα,β‐不飽和カルボン酸との共重合体中や、エチレンとα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、錫、ジルコニウム、カドミウムイオン等が挙げられるが、特にナトリウム、亜鉛、リチウム、マグネシウムイオンが反発性、耐久性等からよく用いられ好ましい。
【0020】
上記アイオノマー樹脂の具体例としては、それだけに限定されないが、ハイミラン(Hi‐milan)1555、ハイミラン1557、ハイミラン1601、ハイミラン1605、ハイミラン1652、ハイミラン1705、ハイミラン1706、ハイミラン1707、ハイミラン1855、ハイミラン1856(三井デュポンポリケミカル社製)、サーリン(Surlyn)8945、サーリン9945、サーリン6320、サーリン8320、サーリン9320(デュポン社製)、アイオテック(Iotek)7010、アイオテック8000(エクソン(Exxon)社製)等を例示することができる。これらのアイオノマーは、上記例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。
【0021】
更に、本発明の中間層(2)の好ましい材料の例としては、上記のようなアイオノマー樹脂のみであってもよいが、打撃時に衝撃の少ない良好な打球感を得る、又はサンドウェッジ等のアイアンショットでのスピン量を大きくして、コントロール性を向上させる視点から、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマー等の1種以上とを組合せるのがよい。上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば東レ(株)から商品名「ペバックス」で市販されている(例えば、「ペバックス2533」)ポリアミド系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル」で市販されている(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)ポリエステル系熱可塑性エラストマー、BASFポリウレタンエラストマーズ(株)から商品名「エラストラン」で市販されている(例えば、「エラストランET880」)ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、大日本インキ化学工業(株)から商品名「パンデックス」で市販されている(例えば、「パンデックスT‐8180」)ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン」で市販されている(例えば、「ラバロンSR04」)スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。特にポリエステル系もしくはスチレン系熱可塑性エラストマーが反発性能に優れることから好ましい。
【0022】
本発明のゴルフボールでは、中間層用基材樹脂は上記アイオノマー樹脂と上記熱可塑性エラストマーとの組合せを含有することが好ましく、両者の配合量としては、アイオノマー樹脂/熱可塑性エラストマーの重量比50/50〜95/5、好ましくは50/50〜80/20、より好ましくは55/45〜70/30を有するように設定するのが望ましい。上記熱可塑性エラストマーの配合量が少ないと、打球感が低下したり、コントロール性が低下したりする。上記熱可塑性エラストマーの配合量が多いと、反発性が低下しやすくなる。
【0023】
また中間層(2)用組成物には、上記のような基材樹脂に加えて、必要に応じて充填材等を含有してもよい。充填材としては、例えば無機充填材(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0024】
本発明のゴルフボールに用いられる中間層(2)を被覆する方法については、特に限定されるものではなく、通常のゴルフボールのカバーを被覆する方法で行うことができる。上記中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコア(1)を包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記中間層用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が用いられる。上記方法により、上記コア(1)上に中間層(2)を形成して中間球体(4)を形成する。
【0025】
本発明のゴルフボールの製造方法においては、上記のようにして得られた中間球体(4)を40〜80℃で加熱処理する工程を含むことを要件とするが、上記加熱温度は好ましくは50〜80℃、より好ましくは52〜77℃、最も好ましくは55〜72℃である。上記加熱温度が40℃より低いと反発性を向上する効果が十分に得られず、80℃より高いと中間球体の真円度が損なわれたり、コアが熱劣化して反発特性が低下する。
【0026】
本発明のゴルフボールの製造方法においては、上記中間球体(4)の加熱処理工程の処理時間が10〜120分間、20〜100分間、より好ましくは30〜80分間であることが望ましい。上記加熱処理時間が10分間より短いと反発性を向上する効果が十分に得られず、120分間より長いと生産性が低下し、又、コアが熱劣化してコアの反発特性が低下する。
【0027】
本発明のゴルフボールの製造方法においては、上記加熱処理後の中間球体(4)上には、次いでカバー(3)を被覆する。本発明のゴルフボールに用いられるカバー(3)は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を主成分とするのがよく、熱可塑性樹脂としてはアイオノマー樹脂、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性系エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー又はそれらの混合物等を用いることができ、また、熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ウレタン樹脂等を用いることができ、これら樹脂の配合量が、基材樹脂100重量部に対して、50重量部以上とするのが良い。なお、反発性能の面では、アイオノマー樹脂を用いることが好ましく、基材樹脂100重量部に対して、アイオノマー樹脂を50重量部以上とするのが良く、アイオノマー樹脂としては、上記中間層への使用において例示したものと同様のものを使用することができる。また、スピン性能の面では、ウレタン系熱可塑性エラストマー、熱硬化性ウレタン樹脂を、基材樹脂100重量部に対して、50重量部以上とするのが良い。また、反発性能とスピン性能の両立の面からは、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマーの混合物や、アイオノマー樹脂とトランスポリイソプレンの混合物を用いるのが良く、特にアイオノマー樹脂とトランスポリイソプレンの混合物を用いるのが良い。なお、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラストマーの混合物を用いる場合は、上記中間層への使用において例示した混合物及び混合比率のものを使用することができる。
【0028】
また、本発明において、上記カバー用組成物には、主成分としての上記基材樹脂の他に必要に応じて、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の充填材や二酸化チタン等の着色剤や、その他の添加剤、例えば分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤並びに蛍光材料または蛍光増白剤等を、ゴルフボールカバーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有していてもよいが、通常、着色剤の配合量はカバー樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が好ましい。
【0029】
本発明のゴルフボールでは、上記カバー(3)は厚さ0.5〜2.8mm、好ましくは0.6〜2.8mm、より好ましくは0.8〜2.3mm、最も好ましくは1.0〜1.9mmを有することが望ましい。上記厚さが0.5mmより小さいとカバーの成形が困難になったり、カバーの耐久性が低下し、2.8mmより大きいと打球感や反発性が低下する。
【0030】
上記カバー(3)は、前述の中間層(2)と同様に、ゴルフボールのカバーの形成に使用されている一般に公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されるものではない。カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が用いられる。カバー成形時、ディンプルと呼ばれるくぼみを多数表面上に形成する。
【0031】
本発明のゴルフボールは美観を高め、商品価値を上げるために、通常ペイント仕上げ、マーキングスタンプ等を施されで市場に投入される。
【0032】
本発明のゴルフボールは、競技用としてゴルフボール規則に基づいて、直径42.67mm以上(好ましくは42.67〜42.90mm)、重量45.93g以下(好ましくは44.50〜45.93g)に形成される。
【0033】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
(コアの作製)
以下の表1に示した配合のコア用ゴム組成物を混合、混練し、160℃で25分間加熱プレスすることにより、以下の表3に示した直径を有する球状のコアを得た。
【0035】
【表1】
Figure 0004109969
【0036】
(注1)JSR(株)製のハイシスポリブタジエンゴム
(1,4‐シス‐ポリブタジエン含量:96%)
(注2)得られるゴルフボールの重量が45.4gとなるように硫酸バリウム配合量を調節する。
【0037】
(中間層およびカバー用組成物の調製)
以下の表2および表3に示した配合の材料を、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状の中間層およびカバー用組成物を調製した。押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は押出機のダイの位置で150〜220℃に加熱された。
【0038】
【表2】
Figure 0004109969
【0039】
【表3】
Figure 0004109969
【0040】
(注3)三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(注4)三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(注5)商品名、三菱化学(株)製のスチレン系熱可塑性エラストマー
(注6)(株)クラレ製のトランス‐ポリイソプレン
【0041】
(中間球体の作製)
上記の中間層用組成物を得られたコア上に直接、射出成形することによって、厚さ1.6mmを有する中間層を形成して、中間球体を得た。得られた中間球体を以下の表4(実施例)および表5(比較例)に記載の加熱条件にて加熱処理した。
【0042】
(実施例1〜7および比較例1〜5)
上記のカバー用組成物を、得られた中間球体上に直接、射出成形することによって、以下の表4(実施例)および表5(比較例)に記載の厚さを有するカバー層を形成し、以下の表4(実施例)および表5(比較例)に記載の加熱条件にて加熱処理した。次いで、表面にクリアーペイントを塗装して、直径42.7mmを有するゴルフボールを得た。尚、中間球体、又はゴルフボールの加熱処理は、中間球体又はゴルフボールを3つの突起を有する台上に、3つの突起にて中間球体又はゴルフボールを支えて設置し、加熱処理を行った。得られたゴルフボールの反発係数およびゴルフボール変形を測定または評価して、それらの結果を同表に示した。試験方法は以下の通り行った。
【0043】
(試験方法)
(1)反発係数
各ゴルフボールに198.5gのアルミニウム製円筒物を45m/秒の速度で衝突させ、衝突後の上記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの衝突前後の速度および重量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて5回ずつ行って、その平均値を各ゴルフボールの反発係数とした。
【0044】
(2)ゴルフボール変形
各ゴルフボールにおいて、加熱処理時に3つの突起が接触していた位置のへこみを2次元断面で測定した。へこみの深さにより、以下の判定基準に従って評価した。測定は、各試料当たり5個のゴルフボールについて行った。
判定基準
○ … へこみが設計値を基準として±0.02mmの範囲内であった。
× … へこみが設計値を基準として±0.02mmの範囲外であった。
【0045】
(3)スピン量
ゴルフラボラトリー社製スイングロボットを用いて各ゴルフボール(実施例1〜7)を打撃し、打ち出し直後のスピン量を測定した。測定は、各試料当たり5個のゴルフボールについて行い、平均値を結果とした。尚、ゴルフクラブは住友ゴム工業株式会社製のSRIXON I−201 SWを使用し、ヘッドスピードは21m/秒として試験した。
(試験結果)
【表4】
Figure 0004109969
【0046】
【表5】
Figure 0004109969
【0047】
実施例1と比較例1〜3のゴルフボールは、アイオノマーを基材樹脂とするカバーのゴルフボールであるが、実施例1、2は比較例1〜3に比べて、ゴルフボール変形がなく、かつ反発係数が大きいことがわかる。
【0048】
これに対して、比較例1および2のゴルフボールは、カバー成形後にのみ加熱処理しており、ゴルフボール変形はないものの、反発係数が小さくなっている。比較例3のゴルフボールは、カバー成形後の加熱温度を上げているために反発係数には改善がみられるが、実施例1、2よりは低く、ゴルフボールが変形している。実施例3〜7、比較例4〜7のゴルフボールは、アイオノマーとトランスポリイソプレンを基材とするカバーであるが、実施例3〜7のゴルフボールは、比較例4〜7に比べて、ゴルフボール変形がなく且つ反発係数が大きいことがわかる。比較例4は、カバー成形後に加熱処理を行っているために、反発係数には改善が見られるが実施例3〜7よりは低く、且つゴルフボール変形が発生している。比較例5、6は中間球体にて加熱処理を行っているが、温度が高すぎるため、または時間が長すぎるために反発性が低くなっている。比較例7は、加熱処理を行っておらず、反発性が低い。
【0049】
尚、アイオノマーからなるカバーを有するゴルフボールである実施例1、2と、アイオノマーとトランスポリイソプレンとからなるカバーを有するゴルフボールである実施例3〜7を比較すると、実施例1、2は高反発特性を有する点で優れており、アイオノマーカバー仕様が、高飛距離を要求されるディスタンス系ゴルフボールとして好適であり、また、実施例3〜7は高スピンである点で優れており、サンドウェッジ等のアイアンショットでのコントロール性を要求されるコントロール系ゴルフボールとして好適であることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
本発明のゴルフボールの製造方法においては、中間層にアイオノマー樹脂を用い、コア上に中間層を形成した中間球体を40〜80℃で加熱処理することによって、外観を損なうことなく、反発性能に優れたゴルフボールの製造方法に向上させ得たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフボールの1つの態様を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … コア
2 … 中間層
3 … カバー
4 … 中間球体

Claims (4)

  1. 1層以上のコア(1)、該コア上に形成された中間層(2)、および該中間層を被覆するカバー(3)とから成るゴルフボールの製造方法であって、
    該方法が
    (a)該コア(1)を形成する工程、
    (b)該コア上に該中間層(2)を形成して中間球体(4)を形成する工程、
    (c)該中間球体(4)を40〜80℃で加熱処理する工程、および
    (d)該加熱処理後の中間球体(4)上にカバー(3)を被覆する工程
    を含み、
    該(d)工程が、(i)カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または(ii)該カバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込むことによって行われ、
    該中間層(2)がアイオノマー樹脂/スチレン系熱可塑性エラストマーの重量比50/50〜95/5の組み合わせから形成され、
    該カバー(3)が熱可塑性樹脂から形成されることを特徴とするゴルフボールの製造方法。
  2. 前記カバー(3)が、厚さ0.8〜2.8mmを有する請求項1記載のゴルフボールの製造方法。
  3. 前記(c)工程の処理時間が10〜120分間である請求項1または2記載のゴルフボールの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法によって得られるゴルフボール。
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