JP4109749B2 - クイックコネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を移送する経路に設けられるクイックコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンの燃料供給経路には、金属チューブと合成樹脂チューブとを連結する部位があるが、製造ラインでの工数削減のために、ワンタッチで連結可能なクイックコネクタがこれらの連結部に用いられることがある(特開平5−1795号公報参照)。
【0003】
さて、上記のクイックコネクタにおいては、実質的に剛体からなる例えば銅合金やステンレス鋼などで形成された金属チューブの嵌合面はOリングによって気密・液密が確保される。しかしながらOリングは回転を伴う部位に用いるのに適したものではないので、金属チューブとこれの受容孔との間に相対回転が生じ得る場合には、耐久性を勘案して定期的にOリングを交換するなどの措置をとる必要がある。
【0004】
また、連結される管路の剛性が高いと、流体の圧力変動の影響による振動音が連結部から発生することがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術に課せられた問題点を解消するためのものであり、その主な目的は、連結部に相対回転を生じる場合にもより長期に渡ってシール性を確保でき、しかも振動音の発生を抑制し得るクイックコネクタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明によるクイックコネクタは、実質的に剛体からなる管の先端部を受容する筒状孔と、前記筒状孔と該筒状孔に受容された前記管の先端部との間をシールする2つのOリングとを備えたクイックコネクタであって、前記2つのOリング間に、当該2つのOリングを軸線方向に互いに離間させるカラーが配置され、前記カラーと前記Oリングとの間の隙間に潤滑材が充填されており、前記カラーの前記Oリングとの対向面が前記Oリングの中心軸線に直交する面に対して傾斜している。
筒状孔と管とが相対回転しても、2つのOリング間に充填された潤滑材によってOリングの摩耗が抑制され、耐久性が向上する。しかも、カラーのOリングとの対向面がOリングの中心軸線に直交する面に対して傾斜していることにより、圧力が加わってOリングが軸方向に移動してカラーとの対向面に当接した際に、当該対向面の傾斜によって狭くなった側から潤滑材が押し出され、潤滑材の流れに方向性を与えることができる。これにより、より相対回転し易い側への潤滑材の供給を円滑化することができる。
【0007】
これに加えて、Oリングの流体接触面側に軟質材からなる圧力吸収部材10を介装することにより、流体圧が加わった際にはそれの弾性変形で圧力変動を吸収できる。また、2つのOリングのうちの流体側に位置するものをより低硬度に設定することにより、流体圧が加わった際に低硬度のOリングが弾性変形することで圧力変動を吸収できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面に示された実施形態を参照して本発明の構成について詳細に説明する。
【0009】
本発明が適用されるクイックコネクタCを図1に示す。このクイックコネクタCは、可撓性を有する合成樹脂チューブ1を接続するホース口2が一端側に設けられ、かつ金属チューブ3を受容する筒状孔4が他端側に設けられている。そして筒状孔4の中間部の内周面には、その軸方向位置を規定するためのブッシュ5を介してOリング6が装着されている。また筒状孔4の開口には、可撓性を有する材料で形成されたチューブ保持具7が軸方向変位不能に装着されている。このチューブ保持具7は、筒状孔4の内方に位置する側が縮径されており、その縮径端側は径方向外向きの外力が加わると拡径変形可能になっている。
【0010】
他方、筒状孔4に受容される金属チューブ3は、直管状をなし、筒状孔4に受容される部分の中間部に周方向突条8が形成されている。
【0011】
筒状孔4に金属チューブ3を挿入すると、チューブ保持具7の内端側が金属チューブ3の突条8で強制的に拡径させられる。そしてチューブ保持具7の内端縁を突条8が通過すると、チューブ保持具7が縮径状態に復帰してその先端が突条8に引っかかる。金属チューブ3を引き抜こうとしても、拡開方向へ変形させる力がチューブ保持具7に作用しないので、クイックコネクタCと金属チューブ3との連結状態は解除できない。このようにして、単に筒状孔4に金属チューブ3を挿入するだけで、合成樹脂チューブ1と金属チューブ3とをワンタッチで連結することができる。
【0012】
一方、これに用いられるOリング6は、例えばフッ素ゴムなど、潤滑材としてのフッ素を配合したエラストマ材で形成されている。このようにOリング6を自己潤滑性に富む材料で形成することにより、Oリング6と金属チューブ3あるいは筒状孔4との接触面の摩擦抵抗が低減されるので、クイックコネクタCと金属チューブ3間に相対回動を生じても、Oリング6の摩耗を大幅に低減し得る。
【0013】
図2に示すように、2つのOリング6a・6bをカラー9によって互いに離間させ、これらの隙間にシリコングリスやモリブデングリスなどの油脂潤滑材Gを封入することでもOリング6に対する摩擦抵抗を低減できる。
【0014】
カラー9の断面形状を、図3に示すように例えば台形とすれば、Oリング6とカラー9との対向面間の空隙の断面積が大きくなるので、グリス保持量を増大させることができる。しかも、これによると、圧力が加わってOリング6aが軸方向に移動してカラー9の傾斜面に当接した際に、傾斜面によって狭くなった側からグリスが押し出されるので、グリスの流れに方向性を与えることができる。つまり、より相対回転し易い側へのグリスの供給を円滑化することができる。
【0015】
なお、カラー9の断面形状は、三角形や八角形、または樽形や鼓形など、要するにOリング6a・6bとの対向面がOリング6a・6bの中心軸に直交する面に対して傾斜した面を備えるものとすれば良く、特に鼓形とすれば、金属チューブ3及び筒状孔4の両方の接触面へのグリス供給を円滑化し得る。
【0016】
図4に示すように、Oリング6の流体接触面側に軟質のリング部材10を介装すれば、流体圧が加わった際にはリング部材10が弾性変形するので、圧力変動を吸収することができる。またこの圧力変動吸収作用は、2つのOリング6a・6b間に挟設したカラー9を軟質材で形成したり、流体と直接接触する側のOリング6aを他より低硬度としたりしても得ることができる。より具体的に言うと、軟質材のカラー9並びにリング部材10として、フッ素ゴム材のJIS−Hs70程度の硬度のものを用いと良い。また、流体がガソリンの場合は、流体側のOリング6aとして耐ガソリン性に優れたフッ素ゴム材の硬度がJIS−Hs60程度のものを用い、大気側のOリング6bとして、低温での柔軟性に優れたフロロシリコンゴム材の硬度がJIS−Hs70程度のものを用いると良い。
【0017】
なお、Oリングの基材となる合成ゴム材は、図5に示した如く低温になるほど硬化する特性なので、低温時にシール性が低下する傾向にあるが、低温になるほど粘度が顕著に高くなる特性(図6参照)のフッ素変性シリコン系潤滑材をOリング間に封入すれば、Oリングの弾性低下をゲル化した潤滑材で補えるので、低温時のシール性能の低下を抑制することができる。
【0018】
【発明の効果】
このように本発明によれば、連結部に相対回転を生じる場合にも、Oリング自体に潤滑材を配合したり、或いは2つのOリング間に潤滑材を封入したりすることにより、筒状孔と金属チューブとの間の摩擦抵抗が低減されてOリングの摩耗が抑制されるので、より長期に渡ってシール性を確保できる。特に軟質材からなるリング部材を流体側に介装したり、2つのOリング間に介装するカラーを軟質材からなるものとしたり、流体側に配置されるOリング自体をより低硬度なものとしたりすれば、それらの弾性変形で圧力変動を吸収できるので、振動音の発生を抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるクイックコネクタの一部切除して示す全体図
【図2】本発明の構成を示す要部拡大断面図
【図3】別の実施例を示す図2と同様な拡大断面図
【図4】さらに別の実施例を示す図2と同様な拡大断面図
【図5】Oリングの温度−復元率特性線図
【図6】フッ素変性シリコン系潤滑材の温度−粘度特性線図
【符号の説明】
1 合成樹脂チューブ
2 ホース口
3 金属チューブ
4 筒状孔
5 ブッシュ
6 Oリング
7 チューブ保持具
8 突条
9 カラー
10 リング部材

Claims (3)

  1. 実質的に剛体からなる管の先端部を受容する筒状孔と、前記筒状孔と該筒状孔に受容された前記管の先端部との間をシールする2つのOリングとを備えたクイックコネクタであって、
    前記2つのOリング間に、当該2つのOリングを軸線方向に互いに離間させるカラーが配置され、前記カラーと前記Oリングとの間の隙間に潤滑材が充填されており、
    前記カラーの前記Oリングとの対向面が前記Oリングの中心軸線に直交する面に対して傾斜していることを特徴とするクイックコネクタ。
  2. 前記Oリングの流体接触面側に軟質材からなる圧力吸収部材が介装されたことを特徴とする請求項1記載のクイックコネクタ。
  3. 実質的に剛体からなる管の先端部を受容する筒状孔と、前記筒状孔と該筒状孔に受容された前記管の先端部との間をシールする2つのOリングとを備えたクイックコネクタであって、
    前記2つのOリングのうち、流体側に位置するOリングの硬度が、他のOリングの硬度より低い硬度に設定されていることを特徴とするクイックコネクタ。
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