JP4109492B2 - 汚泥処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機性排水の生物処理装置における有機性汚泥を好熱性好気生物処理して汚泥排出量を削減する汚泥処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水、食品排水、厨房排水又は浄化槽汚泥などの有機性排水を処理する装置としては、活性汚泥処理装置、固定床式生物処理装置又は流動床式処理装置などが用いられている。
【0003】
前記活性汚泥処理装置にあっては、好気性微生物である汚泥が浮遊する好気性生物処理槽内に有機性排水(以下単に排水という)を供給し、空気で曝気することにより、浮遊汚泥を構成する微生物の生物学的作用で排水中の有機物を酸化分解処理する装置であり、また、固定床式生物処理装置にあっては、処理槽内に生物担体の固定床を設け、空気で曝気することにより微生物を担体の表面に付着増殖させ、付着した微生物の生物学的作用で排水中の有機物を酸化分解処理する装置であり、更に、流動床式処理装置は、好気性生物処理槽内の液中に流動可能に生物担体を充填し、排水を供給して空気で曝気することにより、流動化する生物担体の表面に付着増殖した微生物の生物学的作用で排水中の有機物を酸化分解処理する装置である。
【0004】
前記好気性生物処理装置では、いずれも有機物を生物学的に分解処理するのに伴い、増殖した微生物が汚泥として大量に発生する。発生した汚泥は沈殿槽などで分離濃縮され、その一部は生物処理工程に循環されるが、残部は余剰汚泥として系外に排出され、余剰汚泥を濃縮、脱水したのち焼却や埋め立てにより処分したり、又は嫌気性消化処理装置と組み合わせて、嫌気性消化により汚泥の減容化を図っている。なお、前記好気性生物処理装置における余剰汚泥発生量は、生物処理工程に導入された排水中の有機物量(BOD)の20〜50%が発生するといわれている。
【0005】
更に、発生汚泥をできるだけ減容化する方法として、特表平6−509986号公報には、中温生物処理槽と好熱性生物処理槽とを組合せ、活性汚泥処理槽などの中温生物処理槽から発生する汚泥を、好熱性生物処理槽により好熱性微生物の生物学的作用で好熱性好気生物処理したのち、中温生物処理槽に返送して好熱性好気生物処理汚泥を排水と共に処理する汚泥の減容化方法が開示されており、また、特許第2973761号公報には、曝気槽の汚泥を抜き出してオゾン処理で酸化分解処理したのち、曝気槽に返送して処理する汚泥の減容化方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の余剰汚泥の処分方法で、汚泥を濃縮、脱水したのち焼却又は埋め立て処分する方法にあっては、汚泥の濃縮、脱水後においても含水率が70〜80wt%と高いため嵩が大きく、廃棄物業者に処分を依頼する場合には、引き取りコストが高くなり、排水処理全体にかかるコストの多くを占めているのが現状である。更に、埋め立て処分においては、産業廃棄物埋立処分場の残余年数が少なくなっており、引き取りコストも年々高騰している。また、焼却処分においては、含水率が高いため燃料消費量が多くなり燃料費が嵩み、更に、排出ガスや焼却灰の処理が必要であり、近年はダイオキシン問題等から焼却処理自体が困難になってきている状況である。
【0007】
また、嫌気性消化法により減容化処理する方法にあっては、メタン菌等の嫌気性微生物が浮遊する処理槽内に汚泥を供給し、嫌気性ガスで曝気攪拌することにより、嫌気性微生物の生物学的作用で汚泥中の有機物をメタンガスや炭酸ガス等に分解処理する方法であり、メタンガスを燃料等に有効活用できる利点はあるが、処理に時間がかかるため、消化槽等の設備が過大となり、また、最終的に発生する汚泥量も多く、その処分が必要となるため、前記焼却や埋め立て処分などにおける問題点を解決することができない。
【0008】
また、特表平6−509986号公報に開示された汚泥の減容化方法では、複数のサイクル運転で処理するため、処理工程が複雑となるとともに、処理時間がかかる問題があり、更に、前記公報における好熱性微生物の生物学的作用で好熱性好気生物処理する方法では、多量の空気による曝気であるため、空気の排出に伴なわれて極めて多量の熱量が損失し、また、汚泥自体の臭気が強いため、曝気により極めて強い臭気が放出される。特許第2973761号公報に開示された方法では、オゾン製造装置の設備費が高価であり、また、オゾン含有ガス中の酸素が有効に利用されていないため、設備費や運転経費が嵩む問題がある。
【0009】
本発明は、前記従来の汚泥処分方法及び減容化処理方法における問題点に鑑みて成されたものであり、好熱性好気生物処理において効率の高い汚泥の処理を行うことができ、また、熱損失や臭気の発生を抑えることができることにより、運転経費や設備費などが低廉化でき、更に、余剰汚泥発生量のゼロ化又は少なくとも減容化を図ることができる汚泥処理方法を提供する目的で成されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明の要旨は、請求項1に記載した発明においては、有機性排水の生物処理装置から発生した流動性の液状有機性汚泥に酸素含有気体を吹き込んで好気性雰囲気とし、温度45〜100℃の高温条件で好熱性微生物の生物学的作用により有機性汚泥を好熱性好気生物処理して低分子化する密閉構造の汚泥処理槽における汚泥処理方法において、前記汚泥処理槽に付設した散気手段で、前記酸素含有気体として空気を用いて気泡径0.1〜10mmφの微細気泡として吹き込み、前記汚泥処理槽に設けられた気相から前記液状有機性汚泥に連通する気体循環経路を介して気相の気体を前記液状有機性汚泥中に循環する気体循環手段により、前記空気の供給量に対して5〜15倍量を循環して汚泥を低分子化し、低分子化汚泥を前記生物処理装置に循環することを特徴とする汚泥処理方法である。
【0011】
前記請求項1の構成とすることにより、従来は、高温条件で好熱性微生物の生物学的作用で好熱性好気生物処理する汚泥処理槽では、酸素溶解効率の低い散気手段を用いていたため、曝気空気の排出に伴なわれて極めて多量の熱量が損失し、好熱性好気生物処理効率も低かったが、酸素含有気体の気泡を微細化して供給するため、酸素溶解効率が高くなり、熱量の損失も少なく、好熱性好気生物処理効率の向上を図ることができる。
【0012】
なお、酸素含有気体としては空気や濃縮酸素などが用いられ、その気泡径が0.1mmφよりも小さい微細気泡で吹き込む散気手段では、散気抵抗が大きくなり、ブロワの動力費が嵩む問題があり、また、10mmφよりも大きい気泡で吹き込む散気手段では、酸素溶解効率も低く、多量の空気による曝気となるため、空気の排出に伴なわれて 極めて多量の熱量が損失するという問題がある。更に、処理温度は45〜100℃の高温条件で処理するのが好ましく、より好ましくは、55〜75℃であり、45℃よりも低い温度では、好熱性好気生物処理効率が低く、100℃よりも高い温度では、液の蒸発量が多くなると共に圧力が高くなり過ぎるという問題を生じる。さらに、汚泥処理槽を密閉構造とし、気相から液相に連通する気体循環経路を介して気相の気体を液相中に循環する気体循環手段を設けた構成とすることにより、従来は、高温条件で好熱性微生物の生物学的作用で好熱性好気生物処理する汚泥処理槽では、開放された処理槽で空気曝気するため、曝気空気の排出に伴なわれて極めて多量の熱量が損失し、また、汚泥自体の臭気が強く、曝気では極めて強い臭気が発生していたが、本発明では、気相の気体を液相中に循環するため、熱量の回収と臭気の吸収除去が行われ、排出ガス量の削減や熱損失を最小限に抑えることができ、また、臭気の発生を防止することができる。
【0013】
また、請求項2に記載した発明においては、有機性排水の生物処理装置から発生した流動性の液状有機性汚泥に酸素含有気体を吹き込んで好気性雰囲気とし、温度45〜100℃の高温条件で好熱性微生物の生物学的作用により有機性汚泥を好熱性好気生物処理して低分子化する密閉構造の汚泥処理槽における汚泥処理方法において、前記汚泥処理槽に付設した散気手段で、前記酸素含有気体として酸素濃度30〜100vol%の高濃度酸素含有気体を用いて気泡径0.1〜10mmφの微細気泡として吹き込み、前記汚泥処理槽に設けられた気相から前記液状有機性汚泥に連通する気体循環経路を介して気相の気体を前記液状有機性汚泥中に循環する気体循環手段により、前記高濃度酸素含有気体の供給量に対して0.5〜30倍量を循環すると共に、前記気相の酸素濃度を8〜20%vol%に制御して汚泥を低分子化し、低分子化汚泥を前記生物処理装置に循環することを特徴とする汚泥処理方法である。
【0014】
前記請求項2の構成とすることにより、空気曝気に比較して酸素濃度が高いため、散気ガス量を少なくすることができ、従って、液相から排出されるガス量も少なくできるため、循環装置を小型化することができ、また、排出ガス量の削減や熱損失をより最小限に抑えることができる。特に、濃縮汚泥では汚泥濃度が高いため、酸素供給量を高める必要があり、大容量の空気供給が行われ、前記熱損失や臭気発生が顕著に現われていたが、それらを最小限とすることができる。なお、酸素濃度が30vol%よりも低いと排出ガス量の削減効果が少なくなる。
【0015】
また、請求項3に記載した発明においては、前記汚泥処理槽内に被処理汚泥量との容量比で5〜50%の流動生物保持担体を充填し、流動生物保持担体に保持された好熱性微生物の生物学的作用により有機性汚泥を好熱性好気生物処理して低分子化することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の汚泥処理方法である。
【0017】
前記請求項3の構成とすることにより、好熱性微生物の処理槽内保持量を高く維持することができ、また、好熱性細菌により一部分解しかけた汚泥を、担体の衝突・磨砕効果により破砕し、より汚泥の分解を促進させることができ、更に、微細気泡の散気手段の表面に付く汚れ(スケールなど)を担体の衝突効果により、汚れからの保護や洗浄効果も大きく、散気装置の洗浄なしに酸素供給能力を維持することが可能となる。
【0018】
なお、生物保持担体としては、円筒状、粒状、不定形状などの形状のプラスチック担体やゲル状担体を用いるのが好ましく、特に円筒状プラスチック担体が熱に対する強度、好熱性微生物の保持性、汚泥破砕効果及び散気手段の洗浄効果などから好ましく、更に、担体内外部にリブが突設された3〜20mmφの円筒状プラスチック担体が好ましい。
【0019】
また、汚泥処理槽内に充填する流動生物保持担体を、汚泥処理槽内の被処理汚泥量との容量比で5〜50%充填することにより、好熱性微生物の処理槽内保持量を高く維持できると共に担体の流動性も好適に行われ、更に、汚泥の分解を促進させることができ、また、微細気泡の散気手段の表面に付く汚れからの保護や洗浄効果も大きく、長期間にわたって散気装置の洗浄なしに酸素供給能力を維持することが可能となる。
【0020】
なお、流動生物保持担体の充填量が、汚泥処理槽内の被処理汚泥量との容量比で5%よりも低いと、好熱性微生物の処理槽内保持量が低く、汚泥の好熱性好気消化効果の向上が望めず、また、50%よりも高いと、担体流動性が低下して、散気手段の汚れからの保護や洗浄効果も低くなる。
【0021】
前記各請求項において、汚泥処理槽(以下単に処理槽ということもある。)を複数の処理槽に区画し、区画された全処理槽の気相部及び液相部を連通して設け、全処理槽又は一部の処理槽に、酸素含有気体を吹き込む散気手段及び/又は気相の気体を循環する気体循環散気手段を設けた構成としてもよい。また、気相の気体を液相中に循環する気体循環経路は、処理槽に内設又は外設してもよく、スクリュウ型攪拌機やパドル型攪拌機など適宜な攪拌手段を付設してもよい。
【0022】
また、汚泥処理槽で処理する汚泥としては、浄化槽汚泥、下水、食品排水、厨房排水などの有機性排水を処理する活性汚泥処理装置、固定床式生物処理装置又は流動床式処理装置などの好気性生物処理装置から発生した汚泥、上向流嫌気性処理装置などの嫌気性生物処理装置などから抜き出した汚泥、前記夫々の生物処理装置で発生した汚泥を沈殿槽、分離膜装置、濾過装置、遠心分離装置など適宜の固液分離装置で濃縮した濃縮汚泥、沈殿槽で濃縮した汚泥を前記と同様な適宜の固液分離装置で濃縮した高濃度汚泥など有機性汚泥、その他の有機物を主体とした流動性のあるスラリー状や液状化された有機性廃棄物などがある。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態である汚泥処理装置の構成図、図2は本発明の一実施の形態である汚泥処理装置を組込んだ排水処理装置の系統図である。
【0024】
1は、底部に酸素含有気体を気泡径0.1〜10mmφの微細気泡で吹き込む散気手段の微細気泡散気装置10及び温度を45〜100℃の高温条件に維持するため、図示しない加熱手段からのスチームを供給するスチーム供給経路16が配置された密閉構造の汚泥処理槽であり、本汚泥処理槽1は、内部に流動生物保持担体11を、汚泥処理槽1内の被処理汚泥量との容量比で5〜50%充填し、微細気泡散気装置10から供給される空気や酸素濃度が30〜100vol%の高濃度酸素含有気体で好気性雰囲気に維持され、好熱性微生物の生物学的作用で汚泥中の有機物を分解して好熱性好気生物処理する流動床式汚泥処理槽である。
【0025】
また、気相の気体を、生物処理槽1上部の気相部から循環排ガス経路13aを介して液相中に循環する構成となっているが、気相の気体を循環する循環排ガス経路13aは、排ガス経路13から分岐して設けてもよい。即ち、本発明における気相から液相に連通する気体循環経路は、気相の気体を液相に循環する手段であればよい。
【0026】
なお、微細気泡散気装置10としては、円筒チューブ型,円盤型,平板型,半円かまぼこ型にメンブレンを張り、内部よりガスを吹き込み膨らまして曝気するものが好ましい。特に、メンブレン材質はシリコン,EPDM,ウレタンなどのゴムを用い、耐熱性からシリコン,EPDMが好ましい。また、メンブレンを貼り付け保持する基材部分は塩化ビニールなどのプラスチック,ステンレスなどの金属,ABSなどの樹脂などが用いられ、メンブレン表面の気体を出す孔は、スリット状(棒形,H形,Y形など)或いは丸状が好ましく、0.1〜2mmの孔長が好ましい。しかし、本発明における微細気泡散気装置10としては、前記構成の手段には限定されない。
【0027】
また、気体循環経路13aは、微細気泡散気装置10に酸素含有気体を供給する気体供給経路12に接続して、単一の散気装置を用いる構成となっているが、夫々を別の散気手段としてもよい。
【0028】
図2において、2は、底部に酸素含有気体の供給経路20に接続した散気装置20aが配置され、空気などの酸素含有気体で曝気することにより、好気性微生物の生物学的作用により排水中の有機物を分解処理する好気性生物処理槽である。
【0029】
なお、好気性生物処理槽10は、複数の槽を連設した構成でもよく、また、生物担体を固定して充填した固定床式処理槽や生物担体を流動可能に充填した流動床式生物処理槽などでもよい。更に、前記好気性生物処理槽10は、上向流嫌気性処理装置などの嫌気性生物処理装置であってもよい。
【0030】
3は、生物処理後の汚泥と処理水との混合液を固液分離して汚泥を濃縮する汚泥分離手段である沈殿槽であり、汚泥分離手段としては、沈殿槽3以外に好気性生物処理槽10に内設又は外設した膜分離装置などを用いることができ、また、沈殿槽11の後に汚泥を更に濃縮する遠心分離装置などの汚泥濃縮装置を設けてもよく、また、汚泥濃縮装置としては、遠心分離装置以外に、膜分離装置や濾過装置などであってもよい。なお、必要により、濃縮汚泥と好熱性好気生物処理汚泥とを熱交換する熱交換器を設けてもよい。
【0031】
また、図2における前記構成の槽地においては、好気性生物処理槽、沈殿槽、汚泥処理槽及び嫌気性生物処理槽などを適宜に組み合わせた装置であってもよい。なお、図1及び図2においては、液体や気体の供給、循環などで必要となるポンプやブロワなどの付帯設備については省略している。
【0032】
前記構成の装置により排水を処理する方法とその方法により発生した汚泥を汚泥処理槽1により汚泥を減容化処理する方法とについて以下詳述する。
【0033】
図2において、排水は必要により、図示しない調整槽で一旦貯留され、排水供給量及びpH値を調整して排水供給経路21から好気性生物処理槽2に供給され、底部に配置された酸素含有気体の供給経路20に接続した散気装置20aから酸素含有気体を吹き込み、浮遊する好気性微生物である汚泥の生物学的作用で、排水中の有機物を効率的に酸化分解する。なお、好気性生物処理槽2における処理温度としては、10〜50℃が好ましい。
【0034】
好気性生物処理槽2で増殖した汚泥が混合した混合液は、混合液排出経路22から沈殿槽3に導入されて汚泥が沈降分離され、清浄化された処理水が処理水排出経路30から系外に排出される。また、沈降分離された汚泥は、沈殿槽3の底部に接続する分離汚泥抜出し経路31から抜き出され、一部の分離汚泥は、好気性生物処理槽2内の汚泥濃度維持用の返送汚泥として、汚泥循環経路32から好気性生物処理槽2に循環され、残部の汚泥は、有機汚泥供給経路14から汚泥処理槽1に供給され、また、一部は余剰汚泥として余剰汚泥排出路33から系外に排出される。なお、好気性生物処理槽10の条件によっては、混合液を沈殿槽3などで汚泥濃縮することなく、好気性生物処理槽10から混合液排出経路22aを経て直接的に汚泥処理槽1に供給してもよい。
【0035】
また、図2における前記構成の装置においては、好気性生物処理槽、沈殿槽、汚泥処理槽及び嫌気性生物処理槽などを適宜に組み合わせた装置であってもよい。なお、図1及び図2においては、液体や気体の供給、循環などで必要となるポンプやブロワなどの付帯設備については省略している。
【0036】
なお、汚泥処理槽1で高濃度酸素含有気体を使用することにより、酸素の溶解効率が極めて高くなり、排出されるガス量を酸素濃度が50vol%では、従来の半分以下、100vol%近傍では殆ど排出されないが、一部の生成ガスは排ガス経路13から大気中に放出される。
【0037】
また、気体循環経路13aを介して循環する気相の気体循環量は、空気の供給量に対して0.5〜50倍とするのが好ましいが、より好ましくは5〜15倍であり、0.5倍よりも少ない量では、前記の効果を得ることが不十分であり、50倍よりも多い量では、汚泥処理槽から排出される気体の酸素濃度が低下し、好熱細菌による好熱性好気生物処理効率が低下する可能性がある。
【0038】
また、高濃度酸素含有気体の場合には、高濃度酸素含有気体の供給量に対して0.5〜30倍として液相中に循環するのが、溶存酸素濃度の安定化のため好ましく、更に、気相における酸素濃度を8〜20vol%に制御するのが、最大限に酸素を有効利用でき、排出ガス量の削減効果も大きいため好ましく、更に、臭気や熱を持つ気相の気体を液相中に循環するため、熱量の回収と臭気の吸収除去が行われ、排出ガス量の削減や熱損失を最小限に抑えることができ、また、臭気の発生を防止することができる。
【0039】
なお、汚泥処理槽1内の気相における酸素濃度は、適宜な測定装置により測定され、8〜20vol%に制御されるが、より好ましくは、12〜18vol%であり、気相における酸素濃度が8vol%よりも少ないと、溶液中の溶存酸素濃度を高く維持することができず、20vol%よりも多いと、排ガス量が多くなり、臭気が増加するなどの問題がある。
【0040】
高温生物処理により好熱性好気生物処理された汚泥は、好熱性好気生物処理汚泥循環経路15から好気性生物処理槽2に循環され、好熱性好気生物処理された有機物が排水中の有機物と共に生物的に酸化分解されるため、余剰汚泥としての発生量をゼロ又は少なくとも減容化することができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、好熱性好気生物処理において効率の高い汚泥の処理を行うことができ、また、熱損失や臭気の発生を抑えることができることにより、運転経費や設備費などが低廉化でき、更に、余剰汚泥発生量のゼロ化又は少なくとも減容化を図ることができる汚泥処理方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である汚泥処理装置の構成図
【図2】本発明の一実施の形態である汚泥処理装置を組込んだ排水処理装置の系統図
【符号の説明】
1:汚泥処理槽 2:好気性生物処理槽 3:沈殿槽
4:散気装置 10:微細気泡散気装置
11:流動生物保持担体 20a:散気装置
Claims (3)
- 有機性排水の生物処理装置から発生した流動性の液状有機性汚泥に酸素含有気体を吹き込んで好気性雰囲気とし、温度45〜100℃の高温条件で好熱性微生物の生物学的作用により有機性汚泥を好熱性好気生物処理して低分子化する密閉構造の汚泥処理槽における汚泥処理方法において、前記汚泥処理槽に付設した散気手段で、前記酸素含有気体として空気を用いて気泡径0.1〜10mmφの微細気泡として吹き込み、前記汚泥処理槽に設けられた気相から前記液状有機性汚泥に連通する気体循環経路を介して気相の気体を前記液状有機性汚泥中に循環する気体循環手段により、前記空気の供給量に対して5〜15倍量を循環して汚泥を低分子化し、低分子化汚泥を前記生物処理装置に循環することを特徴とする汚泥処理方法。
- 有機性排水の生物処理装置から発生した流動性の液状有機性汚泥に酸素含有気体を吹き込んで好気性雰囲気とし、温度45〜100℃の高温条件で好熱性微生物の生物学的作用により有機性汚泥を好熱性好気生物処理して低分子化する密閉構造の汚泥処理槽における汚泥処理方法において、前記汚泥処理槽に付設した散気手段で、前記酸素含有気体として酸素濃度30〜100vol%の高濃度酸素含有気体を用いて気泡径0.1〜10mmφの微細気泡として吹き込み、前記汚泥処理槽に設けられた気相から前記液状有機性汚泥に連通する気体循環経路を介して気相の気体を前記液状有機性汚泥中に循環する気体循環手段により、前記高濃度酸素含有気体の供給量に対して0.5〜30倍量を循環すると共に、前記気相の酸素濃度を8〜20%vol%に制御して汚泥を低分子化し、低分子化汚泥を前記生物処理装置に循環することを特徴とする汚泥処理方法。
- 前記汚泥処理槽内に被処理汚泥量との容量比で5〜50%の流動生物保持担体を充填し、流動生物保持担体に保持された好熱性微生物の生物学的作用により有機性汚泥を好熱性好気生物処理して低分子化することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の汚泥処理方法。
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