JPWO2018021169A1 - 有機性排水の処理方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

無機成分が多くCODCr値が1,000mg/L以下の低濃度有機性排水であっても、UASB法による嫌気性処理及び好気性生物処理を用いて安定して処理する方法及び装置を提供する。CODCr値が1,000mg/L以下の低濃度有機性排水を嫌気性処理し、嫌気性処理水を好気性生物処理する方法において、嫌気性処理に供される低濃度有機性排水の強熱減量(VS)/懸濁物質(SS)の値が0.5以下になった場合、あるいは嫌気性処理でのガス発生量が、通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上連続した場合に、嫌気性処理の前段で固液分離することを特徴とする有機性排水の処理方法。

Description

本発明は、生活排水、下水等の低濃度有機性排水をメタン発酵処理し、その処理水を好気性生物処理する省エネルギー型生物学的処理プロセスを用いる有機性排水の処理方法および装置に関する。
有機性排水をメタン発酵処理する技術は、有機性排水を好気性生物処理する技術に比べて、(1)汚泥発生量が少ない、(2)ブロワなどの電気代が不要なためランニングコストがかからない、(3)発生したメタンガスを有効利用できる、等のメリットがあるため、近年、CODCr濃度2,000〜3,000mg/L以上の有機性排水を対象に普及している。メタン発酵処理としては、UASB(Up−flow Anaerobic Sludge Blanket(上向流嫌気性汚泥床)の略)法、固定床法、流動床法等がある。特に、UASB法は、嫌気性微生物の自己造粒機能を利用して、沈降性の優れたグラニュール汚泥を反応槽内に高濃度に保持できるため、CODCr負荷10〜30kg/m/dなどの高負荷での処理が可能となるため、UASB法は国内外の有機性排水をメタン発酵処理する方法として最も普及している。
ブラジル、インド、東南アジア等の温暖化地域においては、下水等のCODCr濃度400〜1,000mg/Lの有機性排水を対象とし、好気性生物処理(具体的には活性汚泥処理)の前処理としてUASB処理するケースが見られる。
しかし、日本のように冬期の気温が0〜10℃に下がる地域では、処理対象である下水の温度が5〜15℃と低くなるため、UASB槽内の温度も5〜15℃と低温になり、下水をUASB処理する場合には、UASB槽内の嫌気性菌の活動が抑制され,UASB槽内に懸濁物質(Suspended Solids、以下「SS」と略称する。)が溜まり、UASB処理ができない状態となる。また、下水等のCODCr濃度400〜1000mg/Lの有機性排水をUASB処理する場合、UASB槽の加温に多量のエネルギーを必要とし、CODCr濃度1000〜3000mg/L以上の有機性排水をUASB処理する場合に比べ経済的ではない。こうした理由のため、寒冷地では、下水等のCODCr濃度400〜1,000mg/Lの有機性排水にUASB法によるメタン発酵処理を適用することができなかった。
この改良案として、本発明者らは、メタン発酵槽内の水温18℃以上では、嫌気性生物を用いて被処理水をメタン発酵処理して、メタンガスを含む発生ガス、メタン発酵処理水及びメタン発酵処理汚泥を得るメタン発酵処理工程と、好気性生物を用いて前記メタン発酵処理水を生物学的酸化分解処理して好気性生物処理水及び好気性生物処理汚泥を得る好気性生物処理工程と、前記好気性生物処理汚泥の一部又は全部を酸発酵処理して酸発酵処理汚泥を得る酸発酵処理工程と、前記酸発酵処理汚泥を、混合脱ガス槽で発酵ガスを分離した後、前記メタン発酵処理工程の入り口側に、前記メタン発酵処理工程におけるスカムの発生を抑制するために供給する工程と、を備える有機性排水の処理方法を提案した(特許文献1)。特許文献1では、メタン発酵槽内の水温が13℃以上18℃未満では、前記メタン発酵処理汚泥の一部又は全部を、酸発酵処理工程の入り口側に供給すること、メタン発酵槽内の水温が13℃未満では、最初沈殿池において被処理水(原水)を分離水と分離汚泥に分離し、分離汚泥或いは該分離汚泥を濃縮した濃縮分離汚泥を、好気性生物処理汚泥の一部とともに酸発酵処理して酸発酵処理汚泥を得、酸発酵処理汚泥を前記分離水と共にメタン発酵処理工程の入り口側に供給することも提案している(特許文献2)。
また、CODCr濃度1000mg/L以下の低濃度有機性排水にUASB法を適用すると、UASB処理水の溶存メタン量が多くなり、UASB処理水を大気解放すると、溶存メタンは大気中にメタンガスとして放散されてしまう。メタンガスは強力な温室効果ガスの一つとして知られており、その温室効果は二酸化炭素の約21倍であると言われている。溶存メタンの放散による地球温暖化に与える影響は大きい。この改良案として、本発明者らは、有機性排水をメタン発酵処理するメタン発酵処理槽と、前記メタン発酵処理槽で処理されたメタン発酵処理水を好気性生物処理する浸漬型の反応槽と、前記反応槽中の混合液を固液分離する固液分離装置とを備え、前記メタン発酵処理槽は、該メタン発酵処理槽中の前記メタン発酵処理水に溶存したメタンが大気中に放散するのを防止する蓋部と、前記溶存メタンが大気中に放散するのを防止した状態を保ちながら、前記メタン発酵処理水を前記反応槽に供給する供給部とを有し、前記反応槽は、脱窒処理をする無酸素槽と好気性生物処理する好気槽を有し、前記メタン発酵処理槽が有する供給部は、前記メタン発酵処理水を前記無酸素槽に供給し、前記メタン発酵処理槽の下流であって、前記反応槽の上流に設けられた溶存メタン回収槽を備え、前記溶存メタン回収槽は、該溶存メタン回収槽内の前記メタン発酵処理水に、二酸化炭素、窒素、空気、不活性ガスの内の1の気体または2以上の混合気体を吹き込む気体吹込装置と、前記気体の吹き込みにより回収されたメタンガスを前記無酸素槽に供給する供給部を有する有機性排水処理装置を提案している。
しかし、上記のように下水水温対策、溶存メタン対策を講じた場合でも、合流式下水道の雨天時、下水管渠が埋設していない開放系下水水路を有する地域、工場廃水の混入比率の高い地域等では流入下水性状の変化により、流入下水を直接、UASBメタン発酵処理すると処理成績が低下するケースが見られている。たとえば、合流式下水道の雨天時の場合、下水管渠が埋設していない開放系下水水路を有する地域の場合等、流入下水中に砂、シルト土等の無機物が多く含まれると、UASB槽内に無機成分が多く堆積するため、UASB槽内に嫌気性菌を含む有機性汚泥を保持する量が少なくなり、UASB槽での有機物処理が低下し、UASB処理後段の好気性生物処理の有機物負荷が過負荷となり、目標の放流水質が得られないことがあった。
特開2013-176746号公報 特開2012-61435号公報
本発明は、無機成分が多くCODCr値が1,000mg/L以下の低濃度有機性排水であっても、UASB法による嫌気性処理及び好気性生物処理を用いて安定して処理する方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、CODCr値が1,000mg/L以下の低濃度有機性排水を嫌気性処理し、嫌気性処理水を好気性生物処理する方法において、嫌気性処理に供される低濃度有機性排水のVS/SSの値が0.5以下になった場合、あるいは嫌気性処理でのガス発生量が、通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上連続した場合に、嫌気性処理の前段で固液分離することを特徴とする有機性排水の処理方法が提供される。ここで、「VS」は「強熱減量(volatile solids)」を意味し、「SS」は「懸濁物質(suspended solids)」を意味する。VS/SSが0.5以下とは、懸濁物質中の有機物量が少なく、無機物量が多い状態である。嫌気性処理の前段で固液分離して、無機物を除去し、有機物の比率を高くすることによって、嫌気性処理及び好気性生物処理の効率を向上させる。
前記固液分離は、上向流固液分離装置を用いて行うことが好ましい。上向流固液分離装置は、掻き寄せ機を有する漏斗状底部を含む沈降部と、当該沈降部の上方に位置づけられている有機性排水導入管、及び当該有機性排水導入管の上方に設けられている緩速撹拌手段又はドラフトチューブを有する上向流分級部と、を有する構成であることが好ましく、粒径の大きな土砂は当該沈降部に沈降し、粒径の小さな無機粒子と有機性固形物は当該上向流分級部で分級され、前記嫌気性処理に送られる低濃度有機性排水から土砂及び無機粒子が除去される。
また、本発明によれば、有機性排水をメタン発酵処理するUASB槽、及びメタン発酵処理後の処理水を好気性生物処理する好気性生物処理槽を具備する有機性排水の処理装置であって、当該UASB槽の前段に、固液分離装置と、切り換え弁と、切り換え流路とを設け、有機性排水のVS/SSの値が0.5以下になった場合に、あるいは嫌気性処理でのガス発生量が、通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上連続した場合に、切り換え弁で流路を切り換えて固液分離装置を経由してUASB槽に有機性排水を導入する、有機性排水の処理装置も提供される。
流入下水のVS/SS比が0.5以下になった場合、あるいは嫌気性処理でのガス発生量が、通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上連続した場合に、UASB槽の前段で上向流固液分離装置を用いて、土砂などの無機物質を取り除くことにより、UASB槽内の嫌気性菌を含む有機性汚泥の活性を維持できるため、安定したUASB処理が可能となり、後段の好気性生物処理後の放流水質も安定する。
本発明の有機性排水の処理フローを示す説明図である。 上向流固液分離槽の一例を示す概略説明図である。 上向流固液分離槽の別の一例を示す概略説明図である。 上向流固液分離槽のまた別の一例を示す概略説明図である。 上向流固液分離槽の更に別の一例を示す概略説明図である。 上向流固液分離槽の更に別の一例を示す概略説明図である。 気固液分離部(GSS)を有するUASB槽の一例を示す断面図である。 気固液分離部(GSS)を具備しないUASB槽の一例を示す断面図である。 スカム捕集枠を具備するUASB槽の一例を示す断面図である。 図9のスカム捕集枠を示す上面図である。 気液接触槽(槽タイプ)を示す説明図である。 気液接触槽(塔タイプ)を示す説明図である。 好気性生物処理装置(活性汚泥法)の一例を示す説明図である。 好気性生物処理装置(活性汚泥法)の一例を示す説明図である。 好気性生物処理装置(活性汚泥法)の一例を示す説明図である。 好気性生物処理装置(散水ろ床法と砂ろ過との組み合わせ)の一例を示すフロー図である。 好気性生物処理装置(散水ろ床と活性汚泥との組み合わせ)の一例を示すフロー図である。 好気性生物処理装置(散水ろ床と生物膜ろ過法との組み合わせ)の一例を示すフロー図である。 好気性生物処理装置(生物膜ろ過法(無酸素槽)と生物膜ろ過法(硝化槽)との組み合わせ)の一例を示すフロー図である。 好気性生物処理装置(無酸素槽(生物膜ろ過法)と硝化槽(生物膜ろ過法)を一つの槽にしたもの)の一例を示すフロー図である。 散水ろ床装置の一例を示す概略説明図である。 図21に示す散水ろ床装置の一使用例を示す概略説明図である。 図21に示す散水ろ床装置の別の使用例を示す概略説明図である。 溶存メタン回収槽の好適例を示す説明図である。 溶存メタン回収槽の好適例を示す説明図である。 処理方法Aのフロー図である。 処理方法Bのフロー図である。 処理方法Cのフロー図である。 処理方法Dのフロー図である。 実施例1で用いた処理フローを示す説明図である。 原水のVS/SS比とUASB処理によるCODCr除去率との関係を示すグラフである。 原水のVS/SS比と好気性生物処理によるBOD濃度との関係を示すグラフである。 実施例2で測定したガス発生量及び強熱減量(VS)/懸濁物質(SS)の変動を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の有機性排水の処理フローを示す。本発明の有機性排水の処理方法は、好ましくはUASB処理による嫌気性処理水を好気性生物処理する方法であって、嫌気性処理工程の前段に固液分離工程を設け、嫌気性処理に供される有機性排水のVS/SS比が0.5以下になった場合に、有機性排水を固液分離した後に嫌気性処理することを特徴とする。有機性排水のVS/SS比が0.5を越える場合には、前段の固液分離工程を経由することなく、直接嫌気性処理工程に有機性排水を導入することができる。
[VS/SS測定]
[SS(suspended solids:懸濁物質)]
懸濁物質量は、試料をろ過材を用いてろ過し、ろ過材上に残留した物質を105〜110℃で2時間乾燥して測定する。ろ過材にはガラス繊維ろ紙(GFB)、有機性ろ過膜(MF)又は金属製ろ過板であって、いずれも孔径1μmのものを使用する。
[VS(volatile solids:強熱減量)]
強熱減量は、懸濁物質量から強熱残留物量を差し引くことで算出できる。
[懸濁物質の強熱残留物]
強熱残留物量は、懸濁物質を白金るつぼ、磁性皿等にいれ、600±25℃で約1時間強熱して灰化し、残留物を測定する。
なお、SSの測定方法及びVSの測定方法は、JIS K 0102(工場排水試験方法2013年版)及び下水試験方法2012年版に準拠する。
[前段固液分離]
UASB処理工程の前段に固液分離工程を設けることにより、有機性排水中に含まれる固形物、特に後段のUASB処理の障害となる無機物粒子を除去することができる。UASB工程の前段に設ける固液分離としては、自重による沈殿、ろ過、浮上分離、膜分離、遠心分離、上向流固液分離を用いることができる。有機性排水に含まれる無機物粒子が粒径の大きな土砂(粒径0.075mm〜2mm程度)の場合は沈降速度が大きいため沈殿、ろ過、浮上分離、膜分離、遠心分離などで良好に除去することができる。有機性排水に含まれる無機物粒子が粒径の小さなシルト土(粒径0.005mm〜0.075mm程度)の場合は、沈殿処理だけでは分離が困難であり、上向流固液分離が適している。
図2に上向流固液分離槽の一例を示す。上向流固液分離槽1は、槽本体11、槽底部に設けられている有機性排水導入管12、槽上部に設けられている越流水排水口13、槽下部に設けられている排泥管14を具備する。上向流固液分離は、無機物粒子を含む有機性排水を上向流固液分離槽底部より上向流にて通水して、沈降速度の大きい無機物粒子を槽下部に堆積させ、沈降速度の小さい有機性汚泥を槽上部に流動させて、越流面からオーバーフローさせ、後段のUASBメタン発酵槽に導入するものである。上向流固液分離槽下部に堆積した無機物粒子を含む汚泥は、槽底部に設けられている排泥管14より排泥され、汚泥処理設備に導入される。上向流固液分離装置の分離速度は、10mm/min〜50mm/minであり、好ましくは15mm/min〜25mm/minである。この固液分離の際に、凝集剤(無機凝集剤及び/又は高分子凝集剤)を添加して、有機性汚泥を凝集汚泥として分離してもよい。凝集剤を添加した場合の上向流固液分離装置の分離速度は、50mm/min〜200mm/minであり、好ましくは80mm/min〜140mm/minに向上する。凝集剤の添加及び混合方法としては、撹拌槽、管内注入及び管内混合(迂流管による混合、管内ミキサー混合など)のいずれも利用することができる。
図3に、上向流固液分離槽の別の一例を示す。図3の上向流固液分離槽1aは、槽の下部に沈殿部(図中「h2」で示す)を有し、槽の上部に上向流分級部(図中「h1」で示す)を有する。有機性排水導入管12aは槽の底部から高さP2の位置に接続され、有機性排水導入管12aの接続部から上方が上向流分級部h1となる。上向流分級部の頂部には図2に示す装置と同様に、越流水排水口(図示せず)が設けられている。槽の底部は、漏斗状に形成されており、漏斗出口に排泥管14aが接続されている。有機性排水に含まれる無機物粒子が粒径の大きな土砂と粒径の小さなシルト土の混在物である場合、沈降性の良い粒径の大きな土砂は沈殿部h2に沈降し、粒径の小さなシルト土(無機粒子)及び有機性固形物は上向流分級部h1に上向流に随伴されて上昇するが、無機粒子と有機性固形物との上昇速度が相違するため、効率用良く分級することができる。
図4に、上向流固液分離槽のまた別の一例を示す。図4の上向流固液分離槽は、上向流分級部h1が、底部から順番に小径部a1、拡径部a2及び大径部a3を有する点を除いて図3に示す上向流固液分離槽と同じ構造である。大径部a3の直径D2と小径部a1の直径D1の比、すなわちD2/D1は1.22〜1.41で、大径部a3の断面積S2と小径部a1の断面積S1の比、すなわちS2/S1は1.5〜2.0程度が適している。例えば、大径部a3の分離速度が15mm/min〜25mm/minの時、S2/S1比2.0で小径部a1の分離速度は30mm/min〜50mm/minとなる。このように上向流分級部の上方に拡径部及び大径部を設けて分離速度を変化させることで、粒径の小さなシルト土(無機粒子)と有機性固形物とを効率用良く分級することができる。
図5に、上向流固液分離槽の更に別の一例を示す。図5の上向流固液分離槽は、上向流分級部h1に撹拌機15を有し、下部沈降部h2に汚泥かき寄せ機16を有する点を除いて図3に示す上向流固液分離槽と同じ構造である。上向流分級部h1の撹拌機15の回転数は1〜60rpm、好ましくは5〜30rpmであり、下部沈降部h2の汚泥かき寄せ機16の回転数は0.5〜5回転/Hr(時間)、好ましくは1〜3回転/Hr(時間)と非常に緩速である。撹拌機15の撹拌翼は、プロペラ、パドル型等種々のタイプを使用できるが、低速型のパドルが適している。また撹拌翼は有機性排水導入管12cの位置から鉛直方向上向きにh3の高さ位置の間に取り付けることが好ましい。h3とh1は、h1に対してh3が0.2〜0.7倍、好ましくは0.4〜0.6倍の寸法となるように構成することが望ましい。上向流分級部h1での緩やかな撹拌を与えることにより、粒径の小さなシルト土(無機粒子)と有機性固形物を上向流分級部h1で効率用良く分級することができる。
図6に、上向流固液分離槽の更に別の一例を示す。図6の上向流固液分離槽は、撹拌機15の代わりにドラフトチューブ17及び散気管18を設けた点を除いて、図5に示す構造と同じある。有機性排水導入管12dの上方近傍に散気管18を設け、散気管18からの気泡がドラフトチューブ17の下端に供給されるように、ドラフトチューブ17及び散気管18が位置づけられている。ドラフトチューブ17は有機性排水導入管12dの位置から鉛直方向上向きにh4までの高さの間に取り付けることが好ましい。h1に対してh4は0.4〜0.9倍、好ましくは0.6〜0.8倍の寸法となるように構成することが望ましい。散気管18より空気を吹き込むことにより、ドラフトチューブ17内において粒径の小さなシルト土(無機粒子)と有機性固形物を効率用良く分級することが可能となる。分級された粒径の小さなシルト土(無機粒子)はドラフトチューブ17の外側より沈殿部h2に下降し、有機性固形物は上向流分級部h1の上部より越流される。空気吹込み量は0.1〜0.5m/m/min、好ましくは0.2〜0.35m/m/minである。
[嫌気性処理]
本発明の有機性排水処理方法において、嫌気性処理としてUASB処理を好適に用いることができる。UASB処理は、嫌気性微生物の集塊作用を利用して活性の高い菌体をグラニュールとして反応槽内に大量に保持し、反応槽の底部から有機性排水を導入して、嫌気状態で有機性排水中の有機物を分解する方法である。図7〜9に本発明の有機性排水の処理方法において用いることができるUASB槽の好適例を示す。
図7のUASB槽(メタン発酵処理装置)2は、その内部に、汚泥床32、気固液分離部(GSS)33及び嫌気性処理水を分離する越流堰34を具備する。槽の頂部には覆蓋35が設けられている。槽の上部には、気固液分離部(GSS)33に接続されている発生ガス排出管37、及び越流堰34に接続されている嫌気性処理水排出管38が設けられている。槽の底部には有機性排水を導入する導入口と該導入口に接続されている導入管が設けられている。槽の下部には嫌気性処理後の汚泥を排泥する排泥口と該排泥口に接続されている排泥管39が設けられている。
図7に示すUASB槽を用いる嫌気性処理において、有機性排水は、UASB槽2の底部から導入され、汚泥床32に拡散される。汚泥床32の下部では、グラニュール汚泥が流動床を構成している。汚泥床32に拡散された有機性排水中の溶解性有機物や有機酸(酢酸・プロピオン酸など)は、グラニュール汚泥に保持されている嫌気性菌によってメタンガスと二酸化炭素ガスに分解される。グラニュール汚泥及びメタンガスは処理水と共に浮上し、気固液分離部(GSS)33にて、メタンガス、グラニュール汚泥、嫌気性処理水に分離される。メタンガスは、発生ガス排出管37を通して排出され、エネルギー源として利用することができる。嫌気性処理水は、嫌気性処理水排出管38を通して後段の好気性生物処理に送られる。嫌気性処理汚後の汚泥は、排泥管39を通して脱水処理又は酸発酵処理に送ることができる。本構成のUASB槽は、発生するメタンガス量が多い場合に適している。
図8のUASB槽(メタン発酵装置)は、気固液分離部を設けず、気体を透過しない材料からなる屋根材36で槽の上部を密閉被覆し、屋根材36にガス排気口及び発生ガス排出管37を設けている点を除いて、図7に示すUASB槽と同様の構成を有する。図8に示す構成のUASB槽は、発生するメタンガス量が少ない場合に適している。
図9のUASB槽は、UASB槽の内部の越流堰34よりも中心寄りに、スカムを集めるスカム捕集枠51を設けている点を除いて、図8に示すUASB槽と同じ構成を有する。スカム捕集枠51は、図10に示すように、越流堰34と共にUASB槽本体50の内壁の対向する位置の間に固定してもよいし、昇降手段により昇降自在に設けてもよい。
[バイオガス処理]
UASB槽から発生するバイオガスは、メタン(60〜80vol%)及び二酸化炭素(20〜40vol%)の他に硫化水素(200〜2000ppm)を含むため、必要に応じて脱硫して脱硫後バイオガスとして、エネルギー源として利用してもよいし、水性媒体と気液接触させてバイオガス中のメタンガスを溶解させて、溶存メタンを含む水素供与源として後述する好気性生物処理に供給してもよい。
脱硫後バイオガスと水性媒体とを接触させる気液接触槽は、槽タイプ(図11)又は塔タイプ(図12)のいずれでもよい。気液接触効率を高めるため、液面高さは4m〜10mが好ましく、塔タイプ(図12)ではプラスチックろ材、繊維ろ材又は磁性ろ材などの充填材を充填することが好ましい。気液接触槽58内には、散気板、散気塔、メンブレン膜等の気泡発生手段を水中に浸漬させ、水中に供給する脱硫後バイオガスの気泡径をできる限り微細にすることが好ましい。気液接触槽への脱硫後バイオガスの供給は、脱硫塔と気液接触槽とを密閉された配管で接続して行うことができる。また、水性媒体へのメタンガスの溶解度は水温に依存するため、水性媒体の温度を調節する。
なお、ガス発生量の定量計測には、湿式流量計、乾式流量計、回転式流量計、差圧式流量計、面積式流量計、羽根車式流量計、超音波式流量計、渦式流量計などが適用できる。中でも、本発明には乾式流量計、回転式流量計、超音波式流量計を用いることができる。
[好気性生物処理]
本発明の有機性排水処理方法において、嫌気性処理水及び必要に応じてバイオガスを処理した溶存メタンを含む水性媒体は好気性生物処理に供される。本発明の有機性排水処理方法において、UASB処理による嫌気性処理水中の溶存メタンが大気中に放散することを防止しながら、有機物の分解により発生した溶存メタンを水素供与源として好気性生物処理する。硝化菌及び脱窒菌の作用により、嫌気性処理水中のNH−NをNO−N、NO−Nに変換する硝化、及び脱窒菌の作用によりNO−N、NO−Nを窒素(ガス)に変換させる脱窒の組合せからなる生物学的窒素処理工程である。硝化は好気槽で行われ、脱窒は無酸素槽で行われる。
本発明における好気性生物処理は、脱窒と硝化を交互に行う。嫌気性処理水中の溶存メタンは、溶存酸素の存在下でメタン酸化菌によりメタン酸化される。メタン酸化菌によるメタンの分解は下記式に示すように、中間生成物としてメタノール等の有機物を生成する。
本発明における好気性生物処理においては、メタン負荷が高い場合や酸素供給が不十分な場合には、メタン酸化菌によってメタンが二酸化炭素と水までに分解されず、中間生成物(主にメタノール)が残存し、脱窒のための水素供与体として作用する。
図13〜15に本発明の有機性排水の処理方法において用いることができる好気性生物処理装置の適用例を示す。ここでは、好気性生物処理装置は活性汚泥処理法を用いた例を示す。
図13の好気性生物処理装置は、無酸素槽と硝化槽で構成されている。後段の硝化槽で硝化を行い、硝化液を無酸素槽に循環させ、嫌気性処理水と混合することで脱窒処理される。図13の反応槽は、仕切板44で仕切られた3つの好気槽(硝化槽)21bの前段に、仕切板で仕切られた無酸素槽(脱窒槽)41を有する。無酸素槽41は、槽上部に嫌気性処理水を導入する嫌気性処理水排出管38が接続され、槽底部に水中撹拌機42を有し、槽頂部に蓋部43を有する。撹拌機42により脱窒菌と溶存メタンとを十分に接触させ、蓋部43により溶存メタンが大気中に放散されることを防止する。好気槽21bは、仕切板で無酸素槽41と仕切られているが、流体連通状態にある。好気槽21bの底部には曝気ライン22が設けられており、好気槽21b内に酸素を供給する。好気槽21bは1槽でもよいが、硝化反応を良好に進行させるために複数槽を設けることが好ましい。最終段の好気槽21bには、ポンプ45を有する循環ラインが接続されており、循環ラインを介して硝化液を無酸素槽41に戻して嫌気性処理水と混合して再び脱窒を行う。
図14の好気性生物処理装置は、脱窒→硝化→脱窒→硝化の順に繰り返す反応槽である。図14の反応槽は、仕切板44でそれぞれが仕切られているが流体連通状態にある無酸素槽41及び好気槽21bを交互に有する。図中2個の無酸素槽41には、それぞれ、嫌気性処理水を導入する嫌気性処理水排出管38が接続され、槽底部には水中撹拌機42が設けられ、槽頂部に蓋部43が設けられている。嫌気性処理水は無酸素槽41に導入され、脱窒された後、直後の好気槽21bに送られて硝化される。好気槽21bからの硝化液は、直後の無酸素槽41に送られ、嫌気性処理水導入管8から導入される嫌気性処理水と混合されて、脱窒された後、直後の好気槽21bに送られる。無酸素槽41と好気槽21bの槽数は各少なくとも2槽とすることが好ましく、好気性生物処理水のT−N(Total Nitrogen:総窒素)レベルに応じて設定することができる。図13の反応槽と異なり、硝化液を無酸素槽41に戻すためにポンプ及び循環路を必要としない。最初又は中間の好気槽21bは、溶存メタンが大気中に放散しないように蓋部32を有することが好ましい。最終段の好気槽21bでは、残存有機物の仕上げ処理等を行う。
図15の好気性生物処理装置は、硝化→脱窒→硝化→脱窒の順に繰り返す反応槽である。図15の反応槽は、仕切板44でそれぞれが仕切られているが流体連通状態にある好気槽21b及び無酸素槽41を交互に有する。図中2個の無酸素槽41には、それぞれ、嫌気性処理水を導入する嫌気性処理水排出管38が接続され、槽底部には水中撹拌機42が設けられ、槽頂部に蓋部43が設けられている。嫌気性処理水は無酸素槽41に導入され、脱窒された後、直後の好気槽21bに送られて硝化される。好気槽21bからの硝化液は、直後の無酸素槽41に送られ、嫌気性処理水導入管8から導入される嫌気性処理水と混合されて、脱窒された後、直後の好気槽21bに送られる。図14の反応槽と異なり、最初に好気槽21bを設けることで、嫌気性処理水に硝化液を混合することができる。一方、図14の反応槽と同様に硝化液を無酸素槽41に戻すためにポンプ及び循環路を必要としない。
図13〜15に示す好気性生物処理装置の後段には沈殿池を設け、好気性生物処理後の余剰汚泥と処理水とに分離すると共に曝気槽への沈殿汚泥の返送を行い、曝気槽の汚泥濃度の調整を行う。
図13〜15に示す好気性生物処理装置は活性汚泥法以外の方法も適用できる。例えば、図13の硝化液を無酸素槽に循環する方式について、活性汚泥処理法以外の例を図16〜図20に示す。
図16は、散水ろ床法と砂ろ過との組み合わせを示す。前段散水ろ床(TR−1〜TR−3)と後段砂ろ過(SF)を設け、最終段の散水ろ床(TR−3)にて硝化された硝化液を前段の散水ろ床(TR−1)に循環する。TR−1では、UASB処理水と硝化液が混合し、脱窒素処理される。散水ろ床法は槽内に充填材(プラスチック炉材等)を充填し、上部より排水を散布することで空気中の酸素を取り込みながら有機物処理を行う方式であり、曝気が不要なため、活性汚泥処理に比べて動力がかからない省エネルギー的な処理方法である。しかし、処理水SS濃度が高いため、散水ろ床の後段にろ過設備が必要となる。
図17は、散水ろ床と活性汚泥との組み合わせを示す。前段散水ろ床(TR−1、TR−2)、後段活性汚泥法(AT)及び沈殿池(ST)としたものである。後段活性汚泥処理で硝化を行い、前段散水ろ床でUASB処理水と硝化液が混合し、脱窒素処理される。
図18は、散水ろ床と生物膜ろ過法との組み合わせを示す。前段散水ろ床(TR)、後段生物膜ろ過(BAF)としたものである。後段生物膜ろ過で硝化を行い、前段散水ろ床でUASB処理水と硝化液が混合し、脱窒素処理される。生物膜ろ過法は槽内に3mm〜5mmのろ材を充填し、排水と接触することで、ろ材表面に生物膜を形成され、BOD処理、硝化が可能となると同時に、SSを捕捉するため、散水ろ床のように後段にろ過設備を設ける必要がない。 図19は、生物膜ろ過法(無酸素槽)と生物膜ろ過法(硝化槽)の組み合わせを示す。前段生物膜ろ過(無酸素槽)(BAF)、後段生物膜ろ過(硝化槽)(BAF)を組み合わせたものである。後段生物膜ろ過で硝化を行い、前段生物膜ろ過でUASB処理水と硝化液が混合し、脱窒素処理される。生物膜ろ過法(無酸素槽)と生物膜ろ過(硝化槽)を一つの槽にしてもよい(図20)。
図21〜23は、図16〜18における散水ろ床を、散水ろ床式装置と浸漬ろ床式装置の機能を両立する反応槽を少なくとも2槽連結し、これらに供給する原水の流路を所定のタイミングで切り替えることで、水処理装置の運転を停止させることなく、効率良く悪臭及びろ床バエの発生を防止する構成とした例を示す。散水ろ床法は標準活性汚泥法に比べ、曝気が不要であり、消費電力が少なく、汚泥発生量が少なく、余剰汚泥の処分コストを削減できるが、散水ろ床のろ材上に付着した汚泥が腐敗することにより発生する悪臭やろ床バエと呼ばれるチョウバエの発生が問題となる。図21〜23に示す散水ろ床と浸漬ろ床の切り換えができる反応槽は、かかる問題を解決するものである。図21〜23に示す反応槽において「散水ろ床槽」とは、処理流体をろ床上部から散布して、ろ床を構成する担体の表面に生物膜を付着させた後、装置上部から下方へと流れる処理流体と生物膜とを接触させることにより、処理流体を生物処理する槽を意味する。また、「浸漬ろ床槽」とは、処理流体中に担体を浸漬させて、槽の上方もしくは下方から処理流体を接触させることにより、担体の表面に生物膜を付着させた後、生物膜と処理流体とを接触させることにより処理流体を生物処理する槽を意味する。
図21に示すように、散水ろ床装置は、微生物を付着した第1の担体層131を備える第1槽103と、微生物を付着した第2の担体層141を備える第2槽104と、第1槽103又は第2槽104へ原水を供給可能な原水供給路112a、112bと、原水の供給を第1槽103と第2槽104との間で切り換える切換手段105とを備える。
図22に示すように、第1槽103及び第2槽104は、一方の槽が「散水ろ床槽」として機能する場合には、他方の槽が「浸水ろ床槽」として機能する。原水の供給が、ポンプ111及び切替手段105及び原水供給路112aを介して第1槽103に行われる場合には、第1槽103が、原水中に第1の担体層131を浸漬して生物処理する浸漬ろ床法により原水を処理する「浸漬ろ床槽」として機能し、第2槽104が、第1槽103で得られた処理水を第2の担体層141の上部から散布して生物処理する散水ろ床法により処理水を処理する「散水ろ床槽」として機能する。
一方、図23に示すように、原水の供給が、ポンプ111、切替手段105及び原水供給路112bを介して第2槽104に行われる場合には、第2槽104が、原水中に第2の担体層141を浸漬して生物処理する浸漬ろ床法により原水を処理する「浸漬ろ床槽」として機能し、第1槽103が、第2槽104で得られた処理水を、第1の担体層131の上部から散布して生物処理する散水ろ床法により処理水を処理する「散水ろ床槽」として機能する。
装置の切り替えのタイミングは、(1)処理水出口にスクリーンを設け、スクリーンに補足されたろ床バエ、およびその幼虫を目視、監視カメラで確認し、ろ床バエの発生が確認されたタイミングで切り替えを行う方法、(2)3〜30日のいずれかの期間で、一定期間ごとに切り替えを行う方法、(3)担体に付着した生物量を測定し、付着生物量が3000〜6000mg−SS/Lとなった場合にとなった場合に切り替えを行う方法、等が考えられる。
上記のように、浸漬ろ床槽と散水ろ床槽を定期的に切り替えながら通水させることで、装置の運転を停止させることなく、効率良く悪臭及びろ床バエの発生を抑制することができる。
[メタン回収槽]
本発明の有機性排水処理方法において、UASB処理による嫌気性処理水を好気性生物処理に供する前に、嫌気性処理水から溶存メタンを回収して、メタンガスとして脱窒処理に供給してもよい。この態様によれば、水素供与体としてのメタンガスの吹き込み量を調整することで、溶存メタンとして供給するよりも水素供与体の量を調整しやすい。
図24に、嫌気性処理水から溶存メタンを回収してメタンガスとして好気性生物処理に供するための溶存メタン回収槽の好適例を示す。溶存メタン回収槽70は、気泡塔型の反応槽であり、底部に嫌気性処理水を導入する嫌気性処理水排出管38が接続され、メタンガス以外の気体を吹き込むガス吹込ライン71が設けられている。槽頂部には、メタンガスを含む混合ガスを無酸素槽41に供給する配管72が接続され、槽上部には、メタンガス回収後の嫌気性処理水を無酸素槽41に送る配管が接続されている。溶存メタン回収槽70内に嫌気性処理水を滞留させ、槽底部からメタンガス以外の気体を吹き込んで溶存メタンを追い出し、槽頂部からメタンガスを回収し、無酸素槽41にメタンガスとして供給する。槽底部から吹き込むメタンガス以外の気体としては、二酸化炭素、窒素、空気、その他不活性ガス、及びこれらのすくなくとも1種以上の混合気体を挙げることができる。
図25に、溶存メタン回収槽80の別の例を示す。溶存メタン回収槽80は、一方の槽壁の上部に嫌気性処理水排出管38が接続され、嫌気性処理水排出管38とは反対側の槽壁の下部にメタンガス回収後の嫌気性処理水を無酸素槽41に送る配管が接続され、槽内部には仕切板81で流体連通状態に仕切った階段状の多段槽を設け、高低差を利用した自然流下により槽内に負圧を発生させ、溶存メタンを追い出す構成を具備する。最下段の槽の頂部にはメタンガスを含む混合ガスを無酸素槽41に供給する配管82が接続されている。
メタン回収槽からメタンガスを含む混合ガスを無酸素槽41へ送る配管72及び82にブロワを設けて、メタンガスを含む混合ガスをメタン回収槽から吸引してもよい。メタン回収槽内がより負圧となり、溶存メタンが大気中に放散することを防止することができる。
[メタン酸化槽]
本発明の有機性排水処理方法において、UASB処理による嫌気性処理水を好気性生物処理に供する前に、メタン酸化菌により処理してもよい。効率的なメタン酸化のために、担体に固定化されたメタン酸化菌を用いることが好ましく、UASB処理槽(嫌気性処理)と無酸素槽(好気性生物処理)との間に、メタン酸化菌を固定化した担体を充填したメタン酸化槽を設けてもよい。メタン酸化槽の底部から導入された嫌気性処理水中の溶存メタンは、ガス吹き込みラインにより供給される酸素の存在下で、メタン酸化菌と接触させると、上記式(1)に示すようにメタノールなどの中間生成物を経て水と二酸化炭素に分解される。
あるいは、メタン酸化槽の底部に、UASB槽からの嫌気性処理水と、好気性生物処理の好気槽からの硝化液(溶存酸素4mg/L〜8mg/L)を供給して、空気を吹き込まない状態で、担体に固定化されたメタン酸化菌により溶存メタンを酸化し、硝化液中の亜硝酸、硝酸性窒素を脱窒菌により脱窒処理してもよい。
担体に固定化したメタン酸化菌を充填したメタン酸化槽を設ける場合には、槽の大きさをコンパクトにすることができる。
担体としては、軽石、活性炭、プラスチックろ材等を好適に用いることができる。担体の表面にメタン酸化菌を固定するため、担体の表面はメタン酸化菌を担持することができる寸法の凹凸を有することが好ましい。担体は、粒径が5mm〜20mm、好ましくは7mm〜12mmの球状又は楕円体状であることが好ましい。
[好気性生物処理からの余剰汚泥の処理]
好気性生物処理により発生する余剰汚泥は、必要に応じて濃縮した後、濃縮余剰汚泥として再び好気性生物処理に戻してもよいし、さらに酸発酵処理をした後に嫌気性処理に供する有機性排水に添加してもよい。
[有機性排水]
本発明の処理方法によって処理する有機性排水は、CODCr値が1,000mg/L以下、好ましくは600mg/L以下、より好ましくは300mg/L以下の低濃度有機性排水であり、生活排水や下水など有機物質を含む一般の排水である。嫌気性処理に供する有機性排水は、好気性生物処理からの余剰汚泥又は濃縮余剰汚泥を酸発酵処理した酸発酵汚泥、又は酸発酵汚泥を脱ガス処理した後に添加したものでもよい。
酸発酵処理は、好気性生物処理からの余剰汚泥又は濃縮余剰汚泥中の有機物の一部を酢酸、プロピオン酸、乳酸等の有機酸に低分子化する。酸発酵処理において、酸生成に関与する微生物は通性嫌気菌であり、ORP(酸化還元電位)が−200mV〜50mVの範囲で生育させることが好ましい。酸発酵処理の際に、余剰汚泥又は濃縮余剰汚泥を20〜35℃、好ましくは20〜25℃に加温することが好ましく、熱源としてUASB槽から回収されたバイオガスを利用してもよい。酸発酵処理での酸発酵処理槽の最適なHRT(Hydraulic retention Time:水理学的滞留時間)は、溶解性有機物濃度(Soluble CODCr、以下「S−CODCr」と略す。)及び有機酸の生成量により決定することができ、固形性有機物が可溶化した割合である「CODCrの可溶化比(S−CODCr/CODCr)」と、溶解性有機酸CODCr中の有機酸の割合である「有機酸(asCODCr)/S−CODCr」が一定値を示すHRTを最適HRTとすることが好ましい。
酸発酵汚泥は、主として二酸化炭素、及び水素を含む発酵ガスを含む。発酵ガスは、嫌気性処理の際にUASB槽に流入すると、汚泥の浮上を促進し、汚泥と嫌気性菌との十分な接触を阻害し、UASB槽内にスカムを発生させる原因となるため、有機性排水を嫌気性処理に供する前に脱ガスすることが好ましい。発酵汚泥の脱ガスは、発酵汚泥を有機性排水に添加した後、嫌気性処理に供する前に、一定時間滞留させて大気と接触させて発酵ガスを分離する、又は迂流、自然流下又は越流などで発酵ガスを分離する、などの方法で行うことができる。
以下、本発明の処理方法の態様を例示して説明する。以下の例示における各処理装置(槽)及び処理条件などは、特に断らない限り、上述したとおりである。
[処理方法A]
図26は、好気性生物処理からの余剰汚泥を濃縮して酸発酵させた酸発酵汚泥を有機性排水に添加して脱ガスした後に、嫌気性処理を行う場合の本発明の処理方法のフローを示す。本処理フローは、嫌気性処理に供される有機性排水の温度が18℃以上、特に20℃〜25℃である場合に有効である。
まず、有機性排水のVS/SSを測定して、VS/SSが0.5以下の場合に上向流固液分離装置1にて有機性排水中の無機成分を除去し、上澄み液に酸発酵処理汚泥を混合した後、酸発酵処理汚泥を脱ガスして脱ガス混合水とする。有機性排水中のVS/SSが0.5を越える場合には、上向流固液分離装置を経由せずに、直接、有機性排水に酸発酵処理汚泥を混合して、脱ガスして脱ガス混合水とする。脱ガス混合水は、UASB槽2に送られる。UASB槽2にて嫌気性処理した後、嫌気性処理水を嫌気性処理水排出管38を介して好気性生物処理装置3に送り、好気性生物処理する。UASB槽2から発生するバイオガス(メタンガス)は発生ガス排出管37を介してバイオガス処理装置10に送られて脱硫後に酸発酵槽の加熱用熱源として利用してもよい。好気性生物処理装置3からの処理水は沈殿池5にて余剰汚泥と処理水に分離される。余剰汚泥の一部は、好気性生物処理装置3に戻される。余剰汚泥の残部は、必要に応じて濃縮装置16にて濃縮汚泥とされ、酸発酵槽4に送られる。酸発酵槽4からの酸発酵処理汚泥は、脱ガス装置6に送られる。UASB槽2からの嫌気性処理汚泥は脱水装置9にて脱水処理され、脱水ケーキを得る。
[処理方法B]
図27に示す処理方法Bは、UASB槽2からの嫌気性処理汚泥の一部又は全部を酸発酵処理槽4に送り、好気性生物処理装置3からの余剰汚泥又は濃縮余剰汚泥と混合して、酸発酵処理して形成される酸発酵処理汚泥を有機性排水に添加する点を除き、処理方法Aと同様である。本処理方法は、嫌気性処理に供される有機性排水の温度が13℃以上18℃未満である場合に有効である。低温の有機性排水を嫌気性処理する場合には、嫌気性菌の活性が低下し、UASB槽2内に懸濁物質(SS)が滞留し、メタン発酵が進行せず、UASB槽2内の汚泥界面が上昇することがある。そこで、UASB槽2から汚泥を引き抜き、酸発酵処理により低分子化して、再び脱ガス槽6経由でUASB槽2に戻すことにより、活性が低下した嫌気性菌であっても嫌気性処理が進行するようになる。酸発酵処理時の汚泥の加温には、バイオガス処理装置10にて脱硫した後のバイオガスを利用してもよい。
[処理方法C]
図28に示す処理方法Cは、まず有機性排水のVS/SSを測定して、VS/SSが0.5以下の場合に上向流固液分離槽1にて固液分離して無機成分を除去した後の有機物の割合が比較的大きいSSを含む上澄み液を最初沈殿池60に供給し、最初沈殿池60にて濃縮して分離水と汚泥に分離し、汚泥を好気性生物処理装置3からの余剰汚泥又は濃縮余剰汚泥と混合して酸発酵処理し、酸発酵処理汚泥を分離水と混合して脱ガス処理して得られる脱ガス混合水をUASB槽2に送り、VS/SSが0.5を越える場合には上向流固液分離槽1を経由せずに直接、最初沈殿池60に送り分離水と汚泥に分離し、汚泥を好気性生物処理装置3からの余剰汚泥又は濃縮余剰汚泥と混合して酸発酵処理し、酸発酵処理汚泥を分離水と混合して脱ガス処理して得られる脱ガス混合水をUASB槽2に送る点を除いて、処理方法Aと同様である。本処理方法は、嫌気性処理に供される有機性排水の温度が13℃未満の場合に有効である。最初沈殿池60にて有機性排水中の有機物成分を濃縮してから酸発酵処理することで、酸発酵処理槽4の温度の低下を防止することができる。酸発酵処理時の汚泥の加温には、バイオガス処理装置10にて脱硫した後のバイオガスを利用することができる。
[処理方法D]
図29は、UASB嫌気性処理におけるガス発生量に基づいて、UASB嫌気性処理前段での固液分離の有無(切り替え)を行う有機性排水の処理フローを示す。ここでは、UASB槽2からのガス発生量と、有機性排水が上向流固液分離槽1を経由する流路と経由しない流路との切り換えについてのみ説明する。UASB槽2の後段の好気性生物処理及び余剰汚泥の再利用、嫌気性処理汚泥の脱水などは、処理方法A〜Cにおいて説明したいずれの態様でもよい。
まず、有機性排水は上向流固液分離槽1を経由せずにUASB槽2に送られ、嫌気性処理される。このときのUASB槽2からのガス発生量をモニタリングし、2日以上連続する同程度のガス発生量を通常ガス発生量とする。嫌気性処理が進行するにつれて、UASB槽2内の有機性排水中の無機物は処理されずに蓄積されるため、有機物濃度が相対的に低下して、ガス発生量は低下する。UASB槽2からのガス発生量が通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上続いた場合に、有機性排水の流路を切り換えて上向流固液分離槽1を経由してUASB槽2に有機性排水を導入する。上向流固液分離槽1を経由することにより、有機性排水中の無機物は除去され、UASB槽2内の有機物濃度が相対的に上昇し、UASB槽2からのガス発生量が増加する。UASB槽2からのガス発生量が通常ガス発生量に戻った時点で、有機性排水の流路を切り換えて上向流固液分離槽1をバイパスさせ、直接UASB槽2に送る。UASB槽2からのガス発生量のモニタリング値が再び通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上続いた時点で、有機性排水の流路を切り換えて上向流固液分離槽1を経由してUASB槽2に有機性排水を導入する。以後、ガス発生量に基づいて流路切換えを行う。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示す性状の有機性排水(原水)を用い、図30に示す装置にて処理した。
図30において、上向流固液分離槽1は有効容量30L(直径20cm×高さ1.5m)、UASB槽2は有効容量10L、好気性生物処理装置3は有効総容量20L、無酸素槽(脱窒槽DN)−好気槽(硝化槽AT)−無酸素槽(脱窒槽DN)−好気槽(硝化槽AT)の構成を具備する。原水(有機性排水)のVS/SSが0.5以下の場合に、原水(有機性排水)を上向流固液分離槽1に供給し、越流水をUASB槽2の底部から導入し、嫌気性処理した後、UASB槽2からの越流水を好気性生物処理装置3の無酸素槽DN2槽にそれぞれ導入し、各無酸素槽DNの直後の好気槽ATに流入させ、好気性生物処理した。最終段からの好気性生物処理水を沈殿池5にて固液分離し、余剰汚泥を好気性生物処理装置3の初段の無酸素槽DNに戻し、上澄液を活性汚泥処理水槽に供給し、処理水を放流した。
上向流固液分離槽1の通水速度は0.4m/h〜1.0m/hに調整し、UASB槽2の通水条件はHRT8時間、線速度(LV)0.7m/hとした。好気性生物処理のBOD容積負荷は1.0kg/m/d、HRT8時間〜12時間の範囲とした。有機性排水の温度は15℃〜25℃の範囲であった。
表2及び図31に、原水のVS/SS比とUASB処理によるCODCr除去率を示す。
A系列(前処理なし:比較例)は原水VS/SS比0.8でCODCr除去率60%、原水VS/SS比0.5でCODCr除去率30%、原水VS/SS比0.3でCODCr除去率20%、原水VS/SS比0.15でCODCr除去率10%であり、原水VS/SS比が低下するとともにUASB処理のCODCr除去率は低下する傾向にあり、特に原水VS/SS比0.5以下の範囲で顕著であった。
一方、B系列(前処理有:実施例)は原水VS/SS比0.8でCODCr除去率60%、原水VS/SS比0.5でCODCr除去率60%、0.3でCODCr除去率58%、原水VS/SS比0.15でCODCr除去率55%であり、原水VS/SS比が低下してもUASB処理のCODCr除去率は安定していた。
VS/SSが0.5以下の場合に、UASB処理前に固液分離による前処理を行うことで、UASB処理の安定性を確保することができることが確認できた。
表3及び図32に、原水のVS/SS比と好気性生物処理によるBOD濃度を示す。
A系列(前処理なし:比較例)は原水VS/SS比0.8で活性汚泥処理水BOD濃度2mg/L、原水VS/SS比0.5で活性汚泥処理水BOD濃度5mg/L、原水VS/SS比0.3で活性汚泥処理水BOD濃度10mg/L、原水VS/SS比0.15で活性汚泥処理水BOD濃度20mg/Lであり、原水VS/SS比が低下するとともに活性汚泥処理水BOD濃度は増加する傾向にあり、特に原水VS/SS比0.5以下の範囲で顕著であった。
一方、B系列(前処理有:実施例)は原水VS/SS比0.8で活性汚泥処理水BOD濃度2mg/L、原水VS/SS比0.5で活性汚泥処理水BOD濃度2mg/L、原水VS/SS比0.3で活性汚泥処理水BOD濃度2mg/L、原水VS/SS比0.15で活性汚泥処理水BOD濃度2mg/Lであり、原水VS/SS比が低下しても活性汚泥処理水BOD濃度は一定値を示していた。
VS/SSが0.5以下の場合に、UASB処理前に固液分離による前処理を行うことで、UASB後段の好気性生物処理(活性汚泥処理)の安定性を確保できることが確認できた。
[実施例2]
表4に示す性状の有機性排水(原水)を用い、図29に示す処理方法Dを行った。有機物の比率の高い期間として原水性状VS/SS比0.8を用い、有機物の比率が低い期間として原水性状VS/SS比0.3を用いた。
図29において、上向流固液分離槽1は有効容量6.9L(直径9.4cm×高さ1m)、UASB槽2は有効容量15L(直径6.2cm、高さ5m)とした。実験(ガス発生量測定結果に基づいて有機性排水の流路を切り換えた)、対照(有機性排水の流路を切り換えず常に上向流固液分離槽1をバイパスした)の2系列の実験を行った。
まず、有機性排水は上向流固液分離槽1を経由せずにUASB槽2に送られ、嫌気性処理される。このときのUASB槽2からのガス発生量をモニタリングし、5.2〜7.0L/dの範囲を通常ガス発生量とした。UASB槽2からのガス発生量をモニタリングし続け、通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上続いた時点で、有機性排水の流路を切り換えて上向流固液分離槽1を経由してUASB槽2に有機性排水を導入した。UASB槽2からのガス発生量が通常ガス発生量に戻った時点で、有機性排水の流路を切り換えて上向流固液分離槽1をバイパスさせ、直接UASB槽2に送った。UASB槽2からのガス発生量のモニタリング値が再び通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上続いた時点で、有機性排水の流路を切り換えて上向流固液分離槽1を経由してUASB槽2に有機性排水を導入するUASB槽2のガス発生量が2日以上の期間、通常ガス量の1/2以下になった場合、UASBの前段で固液分離した後にUASB処理した。対照として、有機性排水の流路を切り換えずに、常時、有機性排水を直接UASB槽2に通水して、USAB槽2からのガス発生量をモニタリングした。
実験系列及び対照系列共に、上向流固液分離槽1の通水速度は0.4m/h〜1.0m/hに調整し、UASB槽2の通水条件はHRT8時間、線速度(LV)0.7m/hとした。表5にガス発生量の経日変動と、流路切り換えを行った時点をあわせて示す。
実験経過日数0〜25日目、実験経過日数75〜116日目、実験経過日数155〜200日目の期間は有機物の比率の高い期間として原水性状VS/SS比0.8を用いた。一方、実験経過後27〜70日目、実験経過後121〜148日目の期間は有機物の比率が低い期間として原水性状VS/SS比0.3を用いた。
実験系列及び対照系列共に、実験開始後20日目まで6.6〜7.1L/dと約6.8d/L程度で安定していたため、約6.8d/Lを通常ガス発生量とした。実験系列では、実験開始後27日目でガス発生量5.2L/d、実験開始後29日目でガス発生量2.6L/d、実験開始後30日目でガス発生量2.5L/dとなり、通常ガス発生量6.8L/dの1/2以下となる期間が2日以上連続したので、有機性排水の流路を切り換えて、上向流固液分離装置1を経由した後にUASB槽2に通水させた。その結果、実験開始後44日目でガス発生量3L/d、実験開始後70日目でガス発生量2.5L/dと通常ガス発生量の1/2以下で安定していた。その後、ガス発生量は微増し、実験開始後88日目でガス発生量は4.6L/d、実験開始後89日目でガス発生量4.7L/dとなり、2日間連続して通常ガス発生量の1/2を超えるようになったので、有機性排水の流路を切り換えて、上向流固液分離装置1をバイパスして、UASB槽2に直接通水させた。その結果、実験開始後95日目にガス発生量6.3L/dとなり、実験開始後110日目までガス発生量7L/d前後で安定していた。その後、ガス発生量は減少し、実験開始後127日目で3.1L/d、実験開始後128日目で2.9L/dと通常ガス発生量6.8L/dの1/2以下に2日間連続で低下したので、有機性排水の流路を切り換えて上向流固液分離装置1を経由してUASB槽2に通水させた。その結果、ガス発生量は微増し、実験開始後155日目で3.9L/d、実験開始後156日目で4L/dと通常ガス発生量の1/2を超える期間が2日間連続したため、再び有機性排水の流路を切り換えて、上向流固液分離装置1をバイパスして、UASB槽2に直接通水させた。ガス発生量は増加し続け、実験開始後200日目まで5〜6.5L/dで安定していた。
一方、対照系列では、実験開始後27日目でガス発生量5L/d、実験開始後29日目でガス発生量2L/d、実験開始後30日目でガス発生量1.9L/dとなり、ガス発生量が急激に低下したが、有機性排水の流路を切り換えることなく、そのままUASB槽2に直接通水させ続けた。その結果、UASB槽2からのガス発生量は低下し続け、実験開始後55日目ではガス発生量0 L/dとなり、実験開始後63日までガス発生量0 L/dが連続したため、実験を中止した。UASB槽2内の汚泥を採取するとシルト土が大半を占めていたことがわかった。
また、実験系列において、UASB槽2に供給する有機性排水の強熱減量(VS)/懸濁物質(SS)も測定した。図33に、ガス発生量及び強熱減量(VS)/懸濁物質(SS)の変動を合わせて示す。UASB槽2からのガス発生量が低下した時点での流路切り換えのタイミングは、強熱減量(VS)/懸濁物質(SS)が0.5以下になった時点での流路切り替えのタイミングとよく一致していることがわかる。実験開始後89日目のUASB槽2からのガス発生量に基づく流路切り替えは、通常ガス発生量の1/2を超えた3.8L/dを検出した実験開始後80日目で行うべきであったことがわかる。
以上、嫌気性処理からのガス発生量が、通常ガス量の1/2以下になる期間が2日以上連続した時点あるいは嫌気性処理に供される低濃度有機性排水の強熱減量(VS)/懸濁物質(SS)の値が0.5以下になった時点で、有機性排水を直接嫌気性処理する流路から、有機性排水を固液分離してから嫌気性処理する流路に切り換え、嫌気性処理からのガス発生量が、通常ガス発生量の1/2を超える期間が2日以上連続した時点あるいは嫌気性処理に供される低濃度有機性排水の強熱減量(VS)/懸濁物質(SS)の値が0.5をこえるようになった時点で、有機性排水を固液分離してから嫌気性処理する流路から有機性排水を直接嫌気性処理する流路に切り換えることで、ガス発生量が極端に低下することなく、安定したガス発生量が得られ、安定した嫌気性処理を行うことができることが確認できた。
1:上向流固液分離槽
11:槽本体
12、12a、12b、12c、12d:有機性排水導入管
13:越流水排水口
14:排泥管
15:撹拌機
16:掻き寄せ機
17:ドラフトチューブ
18:散気管
h1:上向流分級部
h2:下部沈降部
a1:小径部
a2:拡径部
a3:大径部
2:UASB槽(メタン発酵処理装置)
32:汚泥床
33:気固液分離部(GSS)
34:越流堰
35:覆蓋
36:屋根材
37:発生ガス排出管
38:嫌気性処理水排出管
39:排泥管
50:UASB槽本体
51:スカム捕集枠
3:好気性生物処理装置
21b:好気槽
22:曝気ライン
41:無酸素槽(脱窒槽)
42:水中撹拌機
43:蓋部
44:仕切板
45:ポンプ
4:酸発酵槽
5:沈殿池
6:脱ガス装置
9:脱水装置
10:バイオガス処理装置
16:濃縮装置
58:気液接触槽
60:最初沈殿池
70:溶存メタン回収槽
71:ガス吹込ライン
72:配管
80:溶存メタン回収槽
81:仕切板
82:配管
103:第1槽(散水ろ床槽又は浸水ろ床槽)
104:第2槽(散水ろ床槽又は浸水ろ床槽)
105:切換手段
112a、112b:原水供給路
131:第1の担体層
141:第2の担体層

Claims (8)

  1. CODCr値が1,000mg/L以下の低濃度有機性排水を嫌気性処理し、嫌気性処理水を好気性生物処理する方法において、嫌気性処理に供される低濃度有機性排水の強熱減量(VS)/懸濁物質(SS)の値が0.5以下になった場合に、嫌気性処理の前段で当該低濃度有機性排水を固液分離することを特徴とする有機性排水の処理方法。
  2. CODCr値が1,000mg/L以下の低濃度有機性排水を嫌気性処理し、嫌気性処理水を好気性生物処理する方法において、嫌気性処理でのガス発生量が、通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上連続した場合に、嫌気性処理の前段で当該低濃度有機性排水を固液分離することを特徴とする有機性排水の処理方法。
  3. 前記固液分離は、上向流固液分離装置を用いて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性排水の処理方法。
  4. 前記上向流固液分離装置は、掻き寄せ機を有する漏斗状底部を含む沈降部と、当該沈降部の上方に位置づけられている有機性排水導入管、及び当該有機性排水導入管の上方に設けられている緩速撹拌手段又はドラフトチューブを有する上向流分級部と、を有し、粒径の大きな土砂は当該沈降部に沈降し、粒径の小さな無機粒子と有機性固形物は当該上向流分級部で分級され、前記嫌気性処理に送られる低濃度有機性排水から土砂及び無機粒子が除去される、請求項3に記載の有機性排水の処理方法。
  5. 有機性排水をメタン発酵処理するUASB槽、及びメタン発酵処理後の処理水を好気性生物処理する好気性生物処理槽を具備する有機性排水の処理装置であって、
    当該UASB槽の前段に、固液分離装置と、切り換え弁と、切り換え流路とを設け、
    有機性排水のVS/SSの値が0.5以下になった場合に、切り換え弁で流路を切り換えて固液分離装置を経由してUASB槽に有機性排水を導入する、有機性排水の処理装置。
  6. 有機性排水をメタン発酵処理するUASB槽、及びメタン発酵処理後の処理水を好気性生物処理する好気性生物処理槽を具備する有機性排水の処理装置であって、
    当該UASB槽の前段に、固液分離装置と、切り換え弁と、切り換え流路とを設け、
    嫌気性処理でのガス発生量が通常ガス発生量の1/2以下となる期間が2日以上連続した場合に、切り換え弁で流路を切り換えて固液分離装置を経由してUASB槽に有機性排水を導入する、有機性排水の処理装置。
  7. 前記固液分離装置は、上向流固液分離装置である、請求項5又は6に記載の処理装置。
  8. 前記上向流固液分離装置は、掻き寄せ機を有する漏斗状底部を含む沈降部と、当該沈降部の上方に位置づけられている有機性排水導入管、及び当該有機性排水導入管の上方に設けられている緩速撹拌手段又はドラフトチューブを有する上向流分級部と、を有する、請求項7に記載の処理装置。
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