JP4109388B2 - ウインチ装着バックホー作業機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋回作業車等に搭載されるバックホー作業機に関し、特に、ブームにウインチを装着したバックホー作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、旋回作業車等に搭載されるバックホー作業機は、例えばブームの先端部にアームを回動自在に取り付け、該アームの先端部に作業用アタッチメントを取り付けて構成されている。このように旋回作業車に搭載したバックホー作業機を、例えば林業用の作業に用いる場合、前記作業用アタッチメントとしてグラップルを取り付けるとともに、アーム先端部の側面等、バックホー作業機の一部にウインチ、該ウインチの駆動装置、及びウインチから繰り出されるワイヤーをガイドするガイドローラを取り付けて、切り倒した材木等の移動作業や牽引作業を行うように構成していた。また、大型の旋回作業車の場合は、旋回作業車の本機にウインチを設置し、ガイドローラをブームの先端に取り付けたものがあった。
【0003】
バックホー作業機の作業用アタッチメントとしてグラップルを取り付けるとともに、ブームの途中部にウインチを装着した、従来の旋回作業車の例を図10に示す。旋回作業車101においては、バックホー作業機102は、旋回作業車101の前端部に回動自在に取り付けられたブーム111、該ブーム111の先端部に回動自在に取り付けられたアーム112、及び該アーム112の先端部に取り付けられたグラップル113により構成されており、該ブーム111の途中部にはウインチ121が装着されている。さらに、ブーム111の先端部にはガイドローラ122が設けられている。そして、該ウインチ121により牽引作業を行う場合は、該ウインチ121から延出されるワイヤー123をガイドローラ122によりガイドして前方へ引き出して作業を行うようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の如く、ウインチ121からガイドローラ122を介してワイヤー123を引き出すように構成して、該ウインチ121によりワイヤー123を巻き取る場合、該ワイヤー123をウインチ121のドラムに整列させて巻き取るためには、図11に示すように、ガイドローラ122にガイドされるワイヤー123がウインチ121の左右端部で巻き取られている際の、該ワイヤー123の傾斜角度θ1が一定角度以下であることが必要であり、従って、ウインチ121とガイドローラ122との間隔D1を、ある一定寸法以上確保することが必要である。または整列装置が必要となる。
【0005】
しかし、バックホー作業機102が搭載される旋回作業車101が小型であった場合には、本機に取り付けるためのスペースがなく、ブームに取り付けることになるが、ブーム111が短く前記間隔D1を大きく確保することができないため、ワイヤー123が整然と巻き取られずに乱巻きされたり、ウインチの巻取ドラム脇に巻き込まれたり絡まったりする場合があった。特に、ワイヤー123にかかる力が左右に振れる場合には、ワイヤー123の巻取不良の発生が顕著であった。また、ワイヤー123は、ウインチ121からガイドローラ122へ向けて前方へ引き出されていたので、該ウインチ121の後方に位置する旋回作業車101の運転席からは、ワイヤー123がドラムに対してどのような巻取・繰出状態になっているかを確認することが困難であり、牽引作業が難しいものとなっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
請求項1においては、ブーム(6)の先端部にアーム(5)を回動自在に取り付け、該アーム(5)の先端部に作業用アタッチメントとしてのグラップル(4)を取り付け、該ブーム(6)の屈曲部(6a)よりも上方の前面側途中部に、ウインチ(21)を装着したウインチ装着バックホー作業機(7)において、該ブーム(6)のウインチ(21)の取付け位置よりも下方の基端部側である、ブームブラケット(12)部に下部ガイドローラ(22)を設け、該ブーム(6)のウインチ(21)取付け位置よりも上方の、先端部側に上部ガイドローラ(23)を設け、該ウインチ(21)から繰出されるワイヤー(W)を、まず下方に引き出して下部ガイドローラ(22)によりガイドし、該下部ガイドローラ(22)から上方に引き出して上部ガイドローラ(23)によりガイドした後に、被牽引物の方向へ引き出し、該ワイヤー(W)を下部ガイドローラ(22)と、上部ガイドローラ(23)の間で往復させて順に引き出すように配索したものである。
【0007】
請求項2においては、請求項1記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記下 部ガイドローラ(22)は、該バックホー作業機(7)を支持するブームブラケット(12)にローラアーム(22b)を介して取り付けられ、該ローラアーム(22b)を上下回動自在に構成したものである。
【0008】
請求項3においては、請求項2記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記ローラアーム(22b)又はブームブラケット(12)に、該ローラアーム(22b)の上方回動位置及び下方回動位置を規制するストッパ(33a・37)を設けたものである。
【0009】
請求項4においては、請求項1記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記下部ガイドローラ(22)を、二つの円錐形状の小径側端同士を向かい合わせて連結した、端部から中央部へ行くに連れて小径となるローラ形状に形成したものである。
【0010】
請求項5においては、請求項1記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記ウインチ(21)の巻取ドラム(21a)によるワイヤー(W)の巻取・繰出を、該巻取ドラム(21a)の運転操作部(15)側から行うように、該ワイヤー(W)を配索したものである。
【0011】
請求項6においては、請求項1記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記ウインチ(21)を、ウインチ(21)の巻取ドラム(21a)の回転軸に直交する方向へ回動可能に装着したものである。
【0012】
請求項7においては、請求項6記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記ウインチ(21)を任意の回動位置で位置固定可能とする固定手段を装備したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は本発明のウインチ装着バックホー作業機が搭載される旋回作業車を示す側面図、図2は同じくバックホー作業機を示す側面図、図3は下部ガイドローラの構成を示す側面図、図4は同じく正面図、図5はウインチに巻き取られるワイヤーの傾斜角度を示す図、図6はウインチのブームへの装着構造を示す正面断面図、図7はウインチのブームに対する回動状態を示す平面図、図8はガイドローラを介さずに作業を行った場合にワイヤーにかかる力が左右にずれた状態でのウインチによるワイヤーの巻取・繰出状況を示す平面図、図9はワイヤーの傾斜角度に応じてウインチを回動させた状態を示す平面図、図10は従来のウインチ装着バックホー作業機が搭載される旋回作業車を示す側面図、図11は従来のバックホー作業機におけるウインチに巻き取られるワイヤーの傾斜角度を示す図である。
【0014】
まず、本発明のウインチ装着バックホー作業機が搭載される旋回作業車の構成について説明する。図1において、旋回作業車は、クローラ式走行装置1の上部中央に旋回体2を左右旋回可能に支持しており、該クローラ式走行装置1の前後一端部には、ブレード3を上下回動自在に配設している。旋回体2の上方にはエンジン等を被覆するボンネット14が配設されるとともに、運転部を構成する運転操作部15及びシート16が設けられ、該運転操作部15及びシート16の上方にはキャノピー8が配設されている。
【0015】
また、旋回体2の前端部にはブームブラケット12が左右回動自在に取り付けられ、該ブームブラケット12上端部の支持ブラケット12aにはブーム6の下端部が上下回動自在に支持されている。ブーム6は途中部で前方に屈曲して、側面視において屈曲部6dを有する略「く」字状に形0されており、該ブーム6の上端部にはアーム5が回動自在に支持され、該アーム5の先端部には作業用アタッチメントとしてのグラップル4が取り付けられれている。これらのブーム6、アーム5、及びグラップル4等によりバックホー作業機7が構成されている。
【0016】
次に、バックホー作業機7の構成について説明する。前記ブーム6はブームシリンダ11により回動動作され、アーム5はアームシリンダ10により回動動作され、グラップル4はグラップルシリンダ9により回動動作されている。該ブームシリンダ11、アームシリンダ10、及びグラップルシリンダ9は油圧シリンダに構成され、各シリンダ9・10・11は、運転操作部15に配設される操作レバーを操作することにより、該運転操作部15内に配設されるコントロールバルブを介して、旋回台2のボンネット4内に配設される油圧ポンプから油圧ホースを通じて作動油が供給されることで伸縮駆動される。
【0017】
また、ブームシリンダ11はブームブラケット12のシリンダ支持部12bとブーム6の途中部前面に設けられたブームシリンダブラケット36との間に介装され、アームシリンダ10はブーム6の途中部背面に設けられるアームシリンダボトムブラケット31とアーム5基端部に設けられるアームシリンダアッパシリンダブラケット30との間に介装され、グラップルシリンダ9はアーム5基端部に設けられるグラップルシリンダブラケット29とグラップル4に連結されるグラップルリンク28との間に介装されている。
【0018】
また、ブーム6の屈曲部6aよりも上方における、前面側の途中部にはウインチ21が装着されており、該ウインチ21が装着される側と同じ側の面の該ブーム6の基端部及び先端部側には、下部ガイドローラ22及び上部ガイドローラ23がそれぞれ設けられている。該ウインチ21は巻取ドラム21aに駆動モータを一体的に内蔵しており、該駆動モータによりワイヤーWの巻取・繰出を行っている。該下部ガイドローラ22は、ブームブラケット12のシリンダ支持部12bに上下回動自在に支持され、上部ガイドローラ23は、ブーム6先端部の前面に前後・左右回動自在に取り付けられている。
【0019】
ウインチ21から繰出されるワイヤーWは、まず下方に引き出されて下部ガイドローラ22にガイドされ、該下部ガイドローラ22から上方に引き出されて上部ガイドローラ23にガイドされた後に、被牽引物の方向へ引き出されている。即ち、ウインチ21からのワイヤーWは、ブーム6基端部側の下部ガイドローラ22とブーム6先端部側の上部ガイドローラ23とにより順にガイドされて引き出されているのである。尚、上部ガイドローラ23のローラ23a及び下部ガイドローラ22のローラ22aは、例えば、ワイヤーWをガイドするための溝を外周に形成したローラであるシーブにより構成されている。
【0020】
ワイヤーWがガイドされる下部ガイドローラ22のローラ22aには、ウインチ21及び上部ガイドローラ23が取り付けられるブーム6上部の方向へワイヤーWの張力が働いており、図2に示すように、シリンダ支持部12bにローラアーム22bを介して上下回動自在に支持されている該ローラ22aは、ブーム6の上下回動動作に追従して上下回動する。これにより、例えば、ブーム6が上方回動位置から下方へ回動動作した際にも、下部ガイドローラ22とブーム6の前方に配置されるブームシリンダ11とは略一定の間隔を保持することができ、互いに接触することを防止することができる。
【0021】
また、図3、図4に示すように、ブームブラケット12のシリンダ支持部12bにおいては、ブームシリンダ11の下端部が支持ピン32により回動自在に支持されている。該支持ピン32の一端部には回り止めプレート33を固設し、該回り止めプレート33の端部をボルト34によりブームブラケット12に締結することで、該支持ピン32の回り止めを行っている。そして、前記下部ガイドローラ22のローラ22aを支持するローラアーム22b・22bは、前記支持ピン32の両端部に回動自在に支持されており、該支持ピン32の一端部側のローラアーム22bは、シリンダ支持部12bと回り止めプレート33との間に配置されている。
【0022】
シリンダ支持部12bと回り止めプレート33との間に配置されるローラアーム22bの内側面には上方回動ストッパ37を固設しており、該ローラアーム22bが一定角度まで上方回動すると、上方回動ストッパ37がブームブラケット12の端面12cに当接して、ローラアーム22bがそれ以上上方回動しないように構成している。また、シリンダ支持部12bと回り止めプレート33との間に介装されるローラアーム22bが一定角度まで下方回動すると、該ローラアーム22bの前端面22cが、回り止めプレート33から内側方向へ突出する下方回動ストッパ33aに係止して、ローラアーム22bがそれ以上下方回動しないように構成している。即ち、ローラアーム22b側には該ローラアーム22bの上方回動位置を規制する上方回動ストッパ37が設けられ、ブームブラケット12側にはローラアーム22bの下方回動位置を規制する回り止めプレート33の下方回動ストッパ33aが設けられている。
【0023】
そして、上方回動ストッパ37により規制されるローラアーム22bの最大上方回動位置は、ローラ22aがブームシリンダ11に接触しない位置に設定され、回り止めプレート33の下方回動ストッパ33aにより規制されるローラアーム22bの最大下方回動位置は、旋回体2が旋回した際等にローラ22a及びローラアーム22bが旋回体2の下部やクローラ式走行装置1やブレード3等に接触しないような位置に設定されている。
【0024】
このように、ブーム6の基端部側に設けられる下部ガイドローラ22をブームブラケット12へ上下回動自在に取り付け、該下部ガイドローラ22に上方回動ストッパ37を設けるとともに、ブームブラケット12に下方回動ストッパ33aが形成される回り止めプレート33を設けることにより、下部ガイドローラ2がブームシリンダ11や旋回体2やクローラ式走行装置1やブレード3等に接触することを防止でき、下部ガイドローラ22の破損を防ぐとともに、ワイヤーWの円滑な巻取・繰出を確保することができる。
【0025】
また、前述の如く、ブーム6の上部に装着されるウインチ21から延出されるワイヤーWは、まずブーム6の下端部近傍に配置される下部ガイドローラ22を介して引き出されているので、図5に示すように、ワイヤーWをガイドする下部ガイドローラ22とウインチ21との間隔Dを大きく確保することができ、ワイヤー123がウインチ21の左右端部で巻き取られている際の、該ワイヤーWの傾斜角度θを一定角度以下の小さい角度に構成することができる。
【0026】
これにより、小型の旋回作業車に搭載されるバックホー作業機7のブーム6上部にウインチ21を装着して、該ウインチ21とブーム6の先端部に設けられる上部ガイドローラ23との間隔を大きく確保することができない場合においても、ワイヤーWをウインチ21へ整然と巻き取ることが可能となり、該ワイヤーWの巻取不良を防止することができる。また、ワイヤーWは、ブーム6先端部の上部ガイドローラ23とウインチ21との間で、左右回動しない下部ガイドローラ22にガイドされているので、ワイヤーWにかかる力が左右に移動して上部ガイドローラ23が左右回動したとしても、ウインチ21における巻取状態は変化せず、確実に一定の状態で整然と巻き取ることが可能となる。
【0027】
さらに、前記下部ガイドローラ22のローラ22aは、図4に示すように、二つの円錐形状の小径側端同士を向かい合わせて連結した、端部から中央部へ行くに連れて小径となるローラ形状に形成されているので、該ローラ22aによりガイドされるワイヤーWが、巻取・繰出途中に左右に振れることなく常にローラ22a左右略中央部にてガイドされることとなり、ウインチ21の巻取ドラム21aによるワイヤーWの巻取・繰出状態をさらに安定させることができる。
【0028】
また、前記ウインチ21をブーム6上部における前面側に配置し、該ウインチ21の巻取ドラム21aによるワイヤーWの巻取・繰出を、巻取ドラム21aの後部、即ち巻取ドラム21aの運転部側から行うように、該ワイヤーWを配索して下方へ向けて引き出しているので、ウインチ21の後方に位置する運転部からでもワイヤーWの巻取・繰出状態を簡単に確認することができ、牽引作業を容易化することができる。但し、前記下部ガイドローラ22はブーム6下部や旋回体2前下部にステー等を介して取り付けることが可能であり、また、上部ガイドローラ23はアーム5の下面に設けることも可能であり、いずれにしても、ブームが短いバックホーではウインチ21を上部ガイドローラ23と下部ガイドローラ22の間に配置して、ワイヤーWを下方へ引き出して下部ガイドローラ22、上部ガイドローラ23と順にガイドさせて、ウインチ21とガイドローラの間の距離を長くする構成であれば良い。
【0029】
また、ウインチ21は、次の如くブーム6へ装着して左右方向へ回動可能に構成している。図6、図7に示すように、ブーム6には固定プレート51が固設され、該固定プレート51にはスペーサー52・52を介して支持プレート53が取り付けられている。該支持プレート53には、下端部に取付プレート54を固設した支持軸55が回動自在に支持され、該取付プレート54にウインチ21の巻取ドラム21aを回転自在に支持する外装枠21bを取り付けて、これにより、ウインチ21をブーム6に対して回動自在に取り付けている。
【0030】
左右一側の固定プレート51、スペーサー52及び支持プレート53には、これらを上下方向に貫通する固定孔58が形成されており、取付プレート54には複数の位置決めボス56が形成されている。そして、ウインチ21をブーム6に対して回動し、複数の位置決めボス56のうちの一つと固定孔58との位置を合わせて、固定ピン57を該固定孔58及び位置決めボス56に嵌挿することにより、ウインチ21を所定の回動角度にて位置固定することができる。例えば、本例の場合は、位置決めボス56を五箇所に形成し、角度θ2の範囲内で五段階に左右回動位置を固定可能に構成している。尚、左右回動位置の固定段及び回動範囲は任意に設定でき、左右回動位置を無段階的に固定するように構成することも可能である。
【0031】
このように、ウインチ21を左右に回動可能に構成することにより、例えば、ウインチ21からのワイヤーWによって、上部ガイドローラ23及び下部ガイドローラ22を介さずに、木材等を直接牽引する場合、図8に示すように、被牽引物がバックホー作業機7の左方又は右方にあり、該ワイヤーWにかかる力が左右の一方向にずれて、ワイヤーWが中心から角度θ3だけ傾斜して引っ張られたとしても、図9に示すように、該ワイヤーWの傾斜角度に応じて、ウインチ21をワイヤーWの傾斜方向と同じ方向に前述の如く回動して巻取方向を角度θ3だけずらせば、ウインチ21の巻取方向とワイヤーWとの引っ張り方向とのずれをなくすることができ、ワイヤーWの乱巻きや巻取ドラム21aへの巻き込みを防止して該ワイヤーWを確実に整然と巻き取ることが可能となる。また、ワイヤーWが巻取ドラム21aの周縁部に接触して該ワイヤーWが切断されることを防止することもできる。
【0032】
また、ウインチ21の回動位置は、任意の位置で固定可能に構成されているので、該ウインチ21を牽引方向に合わせて回動させた後に該ウインチ21を固定することで、ワイヤーWの巻取状態を安定させることができ、該ワイヤーWを確実に整列させて巻き取ることが可能となる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、請求項1の如く、ブーム(6)の先端部にアーム(5)を回動自在に取り付け、該アーム(5)の先端部に作業用アタッチメントとしてのグラップル(4)を取り付け、該ブーム(6)の屈曲部(6a)よりも上方の前面側途中部に、ウインチ(21)を装着したウインチ装着バックホー作業機(7)において、該ブーム(6)のウインチ(21)の取付け位置より も下方の基端部側である、ブームブラケット(12)部に下部ガイドローラ(22)を設け、該ブーム(6)のウインチ(21)取付け位置よりも上方の、先端部側に上部ガイドローラ(23)を設け、該ウインチ(21)から繰出されるワイヤー(W)を、まず下方に引き出して下部ガイドローラ(22)によりガイドし、該下部ガイドローラ(22)から上方に引き出して上部ガイドローラ(23)によりガイドした後に、被牽引物の方向へ引き出し、該ワイヤー(W)を下部ガイドローラ(22)と、上部ガイドローラ(23)の間で往復させて順に引き出すように配索したので、ウインチとブームの先端部に設けられるガイドローラとの間隔を大きく確保することができない場合においても、距離を長くしてワイヤーをウインチへ整然と巻き取ることが可能となり、該ワイヤーの巻取不良を防止することができる。
また、ワイヤーは、ブーム先端部側の上部ガイドローラ(23)とウインチ(21)との間で、該上部ガイドローラ(23)とウインチ(21)に対して左右位置が変化しないブーム基端部側の下部ガイドローラ(22)にガイドされているので、ワイヤーにかかる力が左右に移動して、ブーム先端部側の上部ガイドローラ(23)に対して、ワイヤー(W)が左右に移動したとしても、ウインチにおける巻取状態は変化せず、確実に一定の状態で整然と巻き取ることが可能となる。
これにより、ウインチ(21)による作業能率を向上させることができる。
【0034】
更に、請求項2の如く、記下部ガイドローラ(22)は、該バックホー作業機(7)を支持するブームブラケット(12)にローラアーム(22b)を介して取り付けられ、該ローラアーム(22b)を上下回動自在に構成したので、例えば、ブームが上方回動位置から下方へ回動動作した際にも、基端部側の下部ガイドローラ(22)と、ブーム(6)の前方に配置されるブームシリンダ(36)との関係位置は、略一定の間隔を保持することができ、互いに接触することを防止することができる。
これにより、該ガイドローラの破損を防ぐとともに、ワイヤーの円滑な巻取・繰出を確保することができウインチによる作業能率を向上させることができる。
また、ローラアーム(22b)の支持はブームシリンダ(36)のボトムを枢支するピンを利用することができ、部品点数の増加を必要最小限に抑えて、構成も簡単とすることができる。
【0035】
更に、請求項3の如く、前記ローラアーム(22b)又はブームブラケット(12)に、該ローラアーム(22b)の上方回動位置及び下方回動位置を規制するストッパ(33a・37)を設けたので、基端部側のガイドローラがブームシリンダや旋回体やクローラ式走行装置やブレード等に接触することを防止でき、ガイドローラの破損を防ぐとともに、ワイヤーの円滑な巻取・繰出を確保することができる。
これにより、ウインチによる作業能率を向上させることができる。
【0036】
更に、請求項4の如く、前記下部ガイドローラ(22)を、二つの円錐形状の小径側端同士を向かい合わせて連結した、端部から中央部へ行くに連れて小径となるローラ形状に形成したので、該ガイドローラによりガイドされるワイヤーが、巻取・繰出途中に左右に振れることなく常にガイドローラの左右略中央部にてガイドされることとなり、ウインチによるワイヤーの巻取・繰出状態をさらに安定させることができる。
これにより、ウインチによる作業能率を向上させることができる。
【0037】
更に、請求項5の如く、前記ウインチ(21)の巻取ドラム(21a)によるワイヤー(W)の巻取・繰出を、該巻取ドラム(21a)の運転操作部(15)側から行うように、該ワイヤー(W)を配索したので、ウインチの後方に位置する運転操作部(15)からでもワイヤーの巻取・繰出状態を簡単に確認することができ、ウインチによる牽引作業を容易化して作業能率を向上させることができる。
【0038】
更に、請求項6の如く、前記ウインチ(21)を、ウインチ(21)の巻取ドラム(21a)の回転軸に直交する方向へ回動可能に装着したので、例えば、ウインチからのワイヤーによって、ガイドローラを介さずに木材等を直接牽引する場合、該ワイヤーにかかる力が左右の一方向にずれて中心からある角度だけ傾斜して引っ張られたとしても、該ワイヤーの傾斜角度に応じて、ウインチを同じ方向に回動して、該ウインチの巻取方向をワイヤーの傾斜角度と同程度の角度だけずらせば、ウインチの巻取方向とワイヤーとの引っ張り方向とのずれをなくすることができ、該ワイヤーを確実に整然と巻き取ることが可能となる。また、ワイヤーが巻取ドラムの周縁部に接触して該ワイヤーが切断されることを防止することもできる。
これにより、ウインチによる作業能率を向上させることができる。
【0039】
更に、請求項7の如く、前記ウインチ(21)を任意の回動位置で位置固定可能とする固定手段を装備したので、ウインチを牽引方向に合わせて回動させた後に該ウインチを固定することで、ワイヤーの巻取状態を安定させることができ、該ワイヤーを確実に整列させて巻き取ることが可能となる。
これにより、ウインチによる作業能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のウインチ装着バックホー作業機が搭載される旋回作業車を示す側面図である。
【図2】 同じくバックホー作業機を示す側面図である。
【図3】 下部ガイドローラの構成を示す側面図である。
【図4】 同じく正面図である。
【図5】 ウインチに巻き取られるワイヤーの傾斜角度を示す図である。
【図6】 ウインチのブームへの装着構造を示す正面断面図である。
【図7】 ウインチのブームに対する回動状態を示す平面図である。
【図8】 ガイドローラを介さずに作業を行った場合にワイヤーにかかる力が左右にずれた状態でのウインチによるワイヤーの巻取・繰出状況を示す平面図である。
【図9】 ワイヤーの傾斜角度に応じてウインチを回動させた状態を示す平面図である。
【図10】 従来のウインチ装着バックホー作業機が搭載される旋回作業車を示す側面図である。
【図11】 従来のバックホー作業機におけるウインチに巻き取られるワイヤーの傾斜角度を示す図である。
【符号の説明】
W ワイヤー
5 アーム
6 ブーム
7 バックホー作業機
12 ブームブラケット
12b シリンダ支持部
21 ウインチ
21a 巻取ドラム
22 下部ガイドローラ
22a ローラ
22b ローラアーム
22c (ローラアームの)前端面
23 上部ガイドローラ
33 回り止めプレート
33a 下方回動ストッパ
34 ボルト
37 上方回動ストッパ
56 位置決めボス
57 固定ピン
58 固定孔

Claims (7)

  1. ブーム(6)の先端部にアーム(5)を回動自在に取り付け、該アーム(5)の先端部に作業用アタッチメントとしてのグラップル(4)を取り付け、該ブーム(6)の屈曲部(6a)よりも上方の前面側途中部に、ウインチ(21)を装着したウインチ装着バックホー作業機(7)において、該ブーム(6)のウインチ(21)の取付け位置よりも下方の基端部側である、ブームブラケット(12)部に下部ガイドローラ(22)を設け、該ブーム(6)のウインチ(21)取付け位置よりも上方の、先端部側に上部ガイドローラ(23)を設け、該ウインチ(21)から繰出されるワイヤー(W)を、まず下方に引き出して下部ガイドローラ(22)によりガイドし、該下部ガイドローラ(22)から上方に引き出して上部ガイドローラ(23)によりガイドした後に、被牽引物の方向へ引き出し、該ワイヤー(W)を下部ガイドローラ(22)と、上部ガイドローラ(23)の間で往復させて順に引き出すように配索したことを特徴とするウインチ装着バックホー作業機。
  2. 請求項1記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記下部ガイドローラ(22)は、該バックホー作業機(7)を支持するブームブラケット(12)にローラアーム(22b)を介して取り付けられ、該ローラアーム(22b)を上下回動自在に構成したことを特徴とするウインチ装着バックホー作業機。
  3. 請求項2記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記ローラアーム(22b)又はブームブラケット(12)に、該ローラアーム(22b)の上方回動位置及び下方回動位置を規制するストッパ(33a・37)を設けたことを特徴とするウインチ装着バックホー作業機。
  4. 請求項1記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記下部ガイドローラ(22)を、二つの円錐形状の小径側端同士を向かい合わせて連結した、端部から中央部へ行くに連れて小径となるローラ形状に形成したことを特徴とするウインチ装着バックホー作業機。
  5. 請求項1記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記ウインチ(21)の巻取ドラム(21a)によるワイヤー(W)の巻取・繰出を、該巻取ドラム(21a)の運転操作部(15)側から行うように、該ワイヤー(W)を配索したことを特徴とするウインチ装着バックホー作業機。
  6. 請求項1記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記ウインチ(21)を、ウインチ(21)の巻取ドラム(21a)の回転軸に直交する方向へ回動可能に装着したことを特徴とするウインチ装着バックホー作業機。
  7. 請求項6記載のウインチ装着バックホー作業機において、前記ウインチ(21)を任意の回動位置で位置固定可能とする固定手段を装備したことを特徴とするウインチ装着バックホー作業機。
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