JP4109347B2 - 乗用運搬車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷台に木材や土砂や農作物等を載置して運搬する運搬車のフレームの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の運搬車は、クローラ式やホィール式の走行装置に支持される主フレームに荷台を載置し、該主フレームの前後一側にエンジンを配置し、該エンジンからの動力をミッションケースに伝えて変速し、該ミッションケースから動力伝達機構を介して走行装置に伝達して走行するようにしていた。例えば、特開平7−132746号の技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術のフレーム構成は上下平行に主フレームと副フレームが配置され、両者を上下方向に配置した支柱で連結する構成とし、後部のハンドルの後部にエンジンを配置し、その前部に無段変速装置を配置し、前端にミッションケースを配置していたので、荷台の位置が高くなり、重心も高くなるという問題があった。また、エンジンは機体後部に突出した構成となっているのでバックした時など障害物に当たり損傷が及ぶことがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、走行機体のフレームを、側面視前下がりに構成した傾斜フレーム(3)と、側面視L字状に構成したL型フレーム(6)より構成し、該傾斜フレーム(3)上に運転席(2)を設け、該L型フレーム(6)上方に荷台(4)を配置し、前記傾斜フレーム(3)の後部をL型フレーム(6)の前上部と連結し該傾斜フレーム(3)とL型フレーム(6)の垂直部の間に形成される、側面視三角形状の空間にミッションケース(9)を配置し、該ミッションケース(9)にて、該傾斜フレーム(3)とL型フレーム(6)を連結したものである。
請求項2においては、請求項1記載の乗用運搬車において、前記左右のL型フレーム(6・6)の水平部(6b・6b)の前部間に、エンジン載置プレート(23)を横架し、該エンジン載置プレート(23)上にエンジン(5)を載置し、前記ミッションケース(9)の後側下方のL型フレーム(6・6)の前下角部に、該エンジン(5)を配置したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の車体フレームを有する乗用型運搬車の側面図、図2は乗用型運搬車のフレーム構成を示す平面図、図3は乗用型運搬車の正面図である。
【0006】
まず、本発明の乗用型運搬車1の概略構成を図1〜図3により説明する。乗用型運搬車1は、前部に運転部を形成し、後部に荷台4を配置し、前輪7と後輪8の間の前後中央部にエンジン5を配置した構成としている。この乗用型運搬車1のフレームは、運転席2を載置して前部に配置する傾斜フレーム3と、荷台4やエンジン5等を支持して後部に配置するL型フレーム6と荷台フレーム30に前後分割できる構成としている。前記傾斜フレーム3とL型フレーム6は軽量かつ高剛性となるように丸型または角型のパイプで構成されている。前記L型フレーム6後部に後輪8・8の車軸が回転自在に軸受け支持され、前記傾斜フレーム3の前後中央部下方に操向駆動輪となる前輪7・7が配置され、傾斜フレーム3前部左右中央上にフロントコラム10が立設され、該フロントコラム10に操向ハンドル11やアクセルレバー12等が配置されている。
【0007】
前記傾斜フレーム3は、平面視で略U字型に構成され、略U型の開放側の後部を連結フレーム20で連設し、該連結フレーム20は側面視で開放面を上方に向けた「コ」字状のとして、左右方向に傾斜フレーム3の後部を連結している。更に、傾斜フレーム3の後部上に正面視門型に形成した安全フレーム29が前後方向に回動可能または着脱可能に立設されている。前記傾斜フレーム3の幅は荷台4の幅よりも同等もしくは広く構成され、運転席2に乗る作業者による車幅の確認を容易にし、操作性を向上して道幅の狭い山間部の林道等も容易に走行できるようにしている。また、前記連結フレーム20と安全フレーム29により傾斜フレーム3の剛性を高めているのである。
【0008】
また、前記傾斜フレーム3前部は、略水平状としてこの間に基部プレート13が左右方向に横設され、該基部プレート13の左右中央部より前記フロントコラム10が立設されている。また、前記傾斜フレーム3の左右間には傾斜に沿って運転部カバー14が固定され、前部上をステップとし、運転部カバー14の後中央部上に運転席2が載置固定され、該運転席2の左側に走行変速レバー15が配置されている。
【0009】
また、前記傾斜フレーム3後部は、徐々に上がるように傾斜して後部は略水平となるように折り曲げて構成され、この後部において該傾斜フレーム3と前記L型フレーム6の垂直部6aにより、側面視で略三角形状の空間ができ、この空間にミッションケース9を配置しているのである。即ち、前記傾斜フレーム3の前後途中部の左右下部にそれぞれステーを介して支持パイプ16が横架され、該支持パイプ16の中央部上に前記運転席2の取付ブラケット16aを設け、その両側下部にブラケット17・17を垂設している。該ブラケット17・17は、ミッションケース9前部より両側方に突設した図示せぬフロントアクスルケースを固設するようにしており、該フロントアクスルケースを介してミッションケース9の前部が傾斜フレーム3に固設されるようにしている。
【0010】
従って、前記傾斜フレーム3の間上に運転席2を配置し、その下方にミッションケース9を配置でき、機体の全長を短くしてコンパクトなレイアウトにできる構成としている。
【0011】
また、前記ミッションケース9は、前後方向に長く幅狭く形成され、該ミッションケース9の左右側方に配置される前輪7・7との間の空間ができるだけ大きくなるように構成されて、該前輪7・7を大きく操向回動してもミッションケース9と干渉しないようにしている。また、前記前輪7・7は側面視で運転席2の下方に配置され、前輪7と後輪8とのホイールベースが短くなるようにし、前輪7の操向回動角度を大きくできるようにしたことに加えて、最小旋回半径ができるだけ小さくなるように構成している。
【0012】
次に後部のフレーム構成について説明する。前記L型フレーム6・6は左右一対対称に配置され、前部は側面視L字状に構成し、垂直部6aの上端間に側面視逆L型の取付プレート21が固設され、該取付プレート21上に前記連結フレーム20を載置してボルト等を用いて前記傾斜フレーム3と連結固定できるようにしている。また、L型フレーム6・6の垂直部6a・6aの下部間は、エンジン5のガード部材となる下部連結フレーム26によって連結され、該下部連結フレーム26の左右途中部より前方に載置ステー27・27が突設され、前記ミッションケース9後下部を固設して支持するようにしている。
【0013】
該L型フレーム6・6の水平部6b・6bの前部間は、エンジン載置プレート23が横架され、該エンジン載置プレート23上にエンジン5が横向きに載置されて前後方向の長さが短くなるようにしている。そして、ミッションケース9後側下方のL型フレーム6・6の前下角部にエンジン5が配置されることで、エンジン5が低所に配置されて重心を低くすることができるのである。また、L型フレーム6・6とエンジン載置プレート23によって補強されるとともに、前記エンジン5下面を被装し、また、エンジン5前方には下部連結フレーム26が配置されて剛性を高めるとともに、走行時に障害物がエンジン5に当接されることを防ぐようにしている。また、エンジン5の上方は後述する荷台4の前下面によって覆われて保護される構成としている。
【0014】
更に、L型フレーム6・6の左右一側の前記エンジン5後方位置上に、固定プレート25が固設され、該固定プレート25上に燃料タンク24が載置固定されている。
【0015】
前記L型フレーム6・6の後部は側面視で「へ」字状に曲げて後端部がやや高くなるように構成し、該L型フレーム6・6間の後端下部面には、軸受け支持プレート40が固設され、該支持プレート40下面に軸受け部材41・41が固設され、該軸受け部材41・41に後輪8・8の車軸が回転自在に軸支されるのである。このようにして後輪8・8の車軸上にL型フレーム6・6の後部が位置するようにしている。更に、L型フレーム6・6の後部は平面視で「へ」字状に内側へ曲げて、後端部の左右幅が狭くなるように構成し、この狭めた両側に後輪8・8が位置するようにしている。
【0016】
次に、前記荷台4を載置固定する荷台フレーム30の構成について説明する。前記L型フレーム6・6の垂直部6a・6aの上下途中位置(後輪8の直上方高さ位置)より後方に荷台フレーム30・30が水平方向に突設され、該荷台フレーム30・30と前記L型フレーム6・6の水平部6b・6bとの間にエンジン5が配設されるようにしている。前記荷台フレーム30・30後部の間には、横フレーム31・31が前後平行に横架されている。該横フレーム31・31と前記支持プレート40の間には後連結フレーム32・32・33・33が傾斜して連結固定され、荷台フレーム30・30とL型フレーム6・6の剛性を高めている。該荷台フレーム30・30上に荷台4が載置固定される。
【0017】
また、前記後側の横フレーム31の後部の左側にはステー36を介して固定ケース34が固設され、該固定ケース34にマフラー35が固定されている。そして、エンジン5の排気管37を荷台フレーム30とL型フレーム6の水平部との間を通過させて保護されてマフラー35に連結し、運転席2より離れた位置にマフラー35を配置して排気する構成としているので、排気音が作業者に伝わり難くなり、作業環境を良好に保てるのである。
【0018】
このように中空の丸または角型のパイプを用いているので軽量でありながら強度が高く、傾斜フレーム3は支持パイプ16と連結フレーム20と安全フレーム29によって枠状に連結されて剛性を高め、L型フレーム6・6は取付プレート21と下部連結フレーム26とエンジン載置プレート23と支持プレート40によって左右が連結されて剛性を高め、更に、水平部6bの上方に配置した荷台フレーム30を連結固定することで更に剛性を高めているのである。そして、この傾斜フレーム3の後部とL型フレーム6・6の前部上が連結され、更に、支持パイプ16と下部連結フレーム26の間がミッションケース9を介して連結されて、強度アップが図られているのである。
【0019】
そして、前記傾斜フレーム3の下部とL型フレーム6・6の垂直部6a・6aの間に形成される側面視三角状の空間内にミッションケース9を配置し、L型フレーム6・6の前下部上にエンジン4を配置することでコンパクトにレイアウトすることができ、機体の全長を短くすことができ、また、低重心な構成とすることができる。
【0020】
また、前記荷台とL型フレームの水平部との間の前部にエンジンを配置し、その後部に燃料タンクを配置したことによって、荷台とエンジンと燃料タンクが干渉することなく配置でき、荷台下方にできる空間を利用して、エンジンと燃料タンクを配置でき、コンパクトなレイアウト構成とすることができ、機体の全長を短くでき、低重心とすることも可能となった。
【0021】
また、前記傾斜フレームの左右幅を、荷台の左右幅より広くしたので、傾斜フレームで支持した運転席上に着座した作業者は車幅の確認を容易にでき、操作性が向上でき、山間部の道幅の狭い林道等を容易に走行させることができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1記載の如く、走行機体のフレームを、側面視前下がりに構成した傾斜フレーム(3)と、側面視L字状に構成したL型フレーム(6)より構成し、該傾斜フレーム(3)上に運転席(2)を設け、該L型フレーム(6)上方に荷台(4)を配置し、前記傾斜フレーム(3)の後部をL型フレーム(6)の前上部と連結し該傾斜フレーム(3)とL型フレーム(6)の垂直部の間に形成される、側面視三角形状の空間にミッションケース(9)を配置し、該ミッションケース(9)にて、該傾斜フレーム(3)とL型フレーム(6)を連結したことにより、強度が十分に得られて機能的なフレームとなり、運搬車をコンパクトなレイアウトとすることが可能となった。
【0023】
また、前記傾斜フレームとL型フレームの垂直部の間に形成される側面視三角形状の空間にミッションケースを配置したことによって、傾斜フレームの間上に運転席を配置し、その下方にできる空間にミッションケースを配置して、その空間を有効に利用でき、機体の全長を短くしてコンパクトなレイアウトにできる。
【0024】
また、前記傾斜フレームとL型フレームの垂直部の間にミッションケースを配置し、該ミッションケースにて両者を連結したことによって、特別な補強部材を設けることなく強度アップが図られて、部品点数が多くならず、剛性の高いフレーム構成とすることができ、荷台に乗せる運搬能力も向上できたのである。
【0025】
請求項2記載の如くに、前記左右のL型フレーム(6・6)の水平部(6b・6b)の前部間に、エンジン載置プレート(23)を横架し、該エンジン載置プレート(23)上にエンジン(5)を載置し、前記ミッションケース(9)の後側下方のL型フレーム(6・6)の前下角部に、該エンジン(5)を配置したことによって、エンジンを低所に配置して重心を低くすることができ、山間部の傾斜地等における走行性能を向上することができ、運搬作業の汎用性を向上できたのである。
【0026】
また、左右一対のL型フレームの垂直部の下部を下部連結フレームで連結し、L型フレームの水平部の前部をエンジン載置プレートで連結し、該下部連結フレームとエンジン載置プレートでエンジンを保護すべく構成したことによって、運搬作業時に下方からの障害物に対してエンジンを保護して、損傷することを防止できる。
【0027】
また、前記傾斜フレームの下部にミッションケースを配置し、前記L型フレームの水平部の前部にエンジンを配置し、該ミッションケースをエンジンの前方の上方に配置したので、ミッションケースから前輪への動力伝達経路を短くできて、動力損失を低減でき、軽量化も量ことができる。また、エンジンが低い位置にあるので重心を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のパイプ状の車体フレームを有する乗用型運搬車の側面図である。
【図2】 乗用型運搬車のフレーム構成を示す平面図である。
【図3】 乗用型運搬車の正面図である。
【符号の説明】
1 小型乗用運搬車
2 運転席
3 傾斜フレーム
4 荷台
5 エンジン
6 L型フレーム
7 前輪
8 後輪
9 ミッションケース
20 連結部材
23 エンジン台
26 ガード部材
30 荷台フレーム

Claims (2)

  1. 走行機体のフレームを、側面視前下がりに構成した傾斜フレーム(3)と、側面視L字状に構成したL型フレーム(6)より構成し、該傾斜フレーム(3)上に運転席(2)を設け、該L型フレーム(6)上方に荷台(4)を配置し、前記傾斜フレーム(3)の後部をL型フレーム(6)の前上部と連結し、該傾斜フレーム(3)とL型フレーム(6)の垂直部の間に形成される、側面視三角形状の空間にミッションケース(9)を配置し、該ミッションケース(9)にて、該傾斜フレーム(3)とL型フレーム(6)を連結したことを特徴とする乗用運搬車。
  2. 請求項1記載の乗用運搬車において、前記左右のL型フレーム(6・6)の水平部(6b・6b)の前部間に、エンジン載置プレート(23)を横架し、該エンジン載置プレート(23)上にエンジン(5)を載置し、前記ミッションケース(9)の後側下方のL型フレーム(6・6)の前下角部に、該エンジン(5)を配置したことを特徴とする乗用運搬車。
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