JP4108511B2 - 水中翼、ストラット、側璧型エアクッション船 - Google Patents

水中翼、ストラット、側璧型エアクッション船 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中翼付き側壁型エアクッション船における水中翼及び該水中翼を取り付けるストラット並びに水中翼付き側壁型エアクッション船に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶には単胴、双胴、側壁型エアクッション船とあらゆるタイプのものがあるが、波浪中航行時における安定性を得る為に、水中翼を備えるものがある。この水中翼は、鉛直下方に垂下する様に設けられたストラットに取り付けられ、波浪中における航行時においては、そのダンピング効果によって船体運動を軽減する機能を果たす。また、高速航行時においては、船体を浮上させることによって船体抵抗を軽減する機能を果たす場合もある。
【0003】
ここで、特開平6−305413号公報(特許文献1)には、左右の水中翼によって発生する揚力を調整してストラットに加わる曲げ力を緩和すべく、左右の水中翼を左右で非対称とした水中翼付き側壁型エアクッション船が開示されている。即ち、エアクッション室側の水面は船外側の水面に比してレベルが低く、従って船外側の水中翼によって発生する揚力がエアクッション室側の水中翼によって発生する揚力よりも大なることから、水中翼の取付部に曲げ力が働くといった問題に鑑みて、左右の水中翼を非対称とし、揚力のバランスをとる様に構成したものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−305413号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、側壁型エアクッション船においては、両側壁の間にエアクッション室の圧力部が存在する為、航行時には水中翼周辺にエアクッション室から船外へと向かう水流、或いは、船外からエアクッション室へと向かう水流が発生し、これによって水中翼及びストラットには一定方向の荷重が加わることになる。図9乃至図12はこの様子を示すものであり、図9は船体の横断面図、図10は図9の部分拡大図、図11は船体を下方から見た平面図、図12(A)は水中翼の平面図、図12(B)、(C)は水中翼の側面図である。図9において符号Pはエアクッション室を、符号8は船体を、符号9、9は側壁を、符号50及び53はストラットを(符号50は右舷側、符号53は左舷側)、符号51及び54は船外側の水中翼(以下「外側水中翼」と言う)を(符号51は右舷側、符号54は左舷側)、符号52及び55はエアクッション室側の水中翼(以下「内側水中翼」と言う)を示している(符号52は右舷側、符号55は左舷側)。また、図12において符号CL’は船体センターラインCL(図11)と平行な線を、符号BL’は船底ベースラインBL(図4(A))と平行な線を、符号Cは翼型の翼弦線(CL’及びBL’に平行)を示している。更に、図11及び12における矢印は、船の進行方向を示している。
【0006】
図9に示す様に、ストラット及び水中翼はエアクッション室Pの両側に位置する側壁9、9の双方に設けられている。ここで、エアクッション室Pは船外に比して高圧である為、船首シールの前方からエアクッション室Pに流入した水は圧力で押し下げられ、その逃げ場として図11に示す様に船体平面視において、エアクッション室Pの中央位置Mから船首側では、エアクッション室Pから船外へと向かう水流Rhが発生する。尚、エアクッション室Pの中央位置Mから船尾側においては、圧力が無くなり元に戻ろうとするため、船外からエアクッション室Pへと向かう水流Rh’となる。
【0007】
以下、右舷側のストラット50、外側水中翼51、内側水中翼52を具体例として説明する。ストラット50には、図10(A)に示す様に船体の横断面視においてほぼ水平であり、図12(A)に示す様に水中翼の平面視においてはエアクッション室側前方から船外側後方へ斜めに向かう水流Rhが作用する。また、外側水中翼51には、図10(A)に示す様に船体の横断面視においてエアクッション室P側下方から船外側上方へ斜めに向かい、水中翼の側面視においては図12(B)に示す様に進行方向下から後方上へ斜めに向かう水流Roが作用する。更に、内側水中翼52には、図10(A)に示す様に船体の横断面視においてはエアクッション室P側上方から船外側下方へ斜めに向かい、水中翼の側面視においては図12(C)に示す様に進行方向上から後方下へ斜めに向かう水流Riが作用する。
【0008】
すると、これら水流がストラット50、外側水中翼51、内側水中翼52に、揚力及び抗力を発生させ、それぞれに、符号Fs、Fo、Fiで示すような方向の力を発生させ、これによって図10(A)の例ではストラット50の付け根部分において時計回りのモーメント力が発生し、一方で反対側(左舷側)のストラット53(図9の右側)では、反時計まわりのモーメント力が発生する。従ってこれにより、側璧型エアクッション船においては、上記モーメント力によって側壁9、9を拡開する方向の力が船体8に作用し、船体強度上問題が生じることになる。
【0009】
尚、図10(B)は、参考として、図11において仮想線及び符号50’、51’、52’で示す様にエアクッション室Pの中央位置Mから船尾側に設けられた場合を比較として示すものである。図示する様に、全ての水流及び力の向きが図10(A)とは逆になる。従って、符号50’、51’、52’で示す位置にストラット及び水中翼が設けられた場合には、これらにより、側壁9、9を閉じる方向の力が船体8に作用し、同様に船体強度上問題が生じることになる。
【0010】
しかし、上述した従来技術においては、エアクッション室と船外との圧力差によって発生する水流(エアクッション室から船外に向かう水流、或いは、船外からエアクッション室に向かう水流)により、水中翼及びストラットに加わる荷重に対しては何ら考慮されてはおらず、前記水流によって船体に加わる力(側壁を拡げる方向或いは閉じる方向)は発生し、船体強度上の問題がなお生じることになる。
【0011】
そこで本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、その課題は、エアクッション室と船外との圧力差によって生じる水流によってストラット及び水中翼に加わる力を効果的に低減することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る水中翼は、船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、船外側の翼と前記エアクッション室側の翼とを備えて構成された、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、を有する水中翼付き側壁型エアクッション船における前記水中翼であって、前記エアクッション室の中央位置(以下、「エアクッション室の中央位置」とは、船の長さ方向における中央位置を意味する)より船首側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向上向きの角度を成す様に、及び/又は、前記船外側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向下向きの角度を成す様に構成され、前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向下向きの角度を成す様に、及び/又は、前記船外側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向上向きの角度を成す様に構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記第1の態様によれば、側壁型エアクッション船に設けられる、船外側の翼とエアクッション室側の翼とを備えた水中翼は、エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向上向きの角度を成し、又は、前記船外側の翼の取り付け角が喫水線と平行な線に対して進行方向下向きの角度を成している。或いは、前記いずれの条件をも備えている。従って、エアクッション室と船外との圧力差によって生じるエアクッション室から船外へ向かう水流による流体力を低減することができる。
【0014】
即ち、エアクッション室から船外へ向かう水流は、エアクッション室側の翼に対しては、上から下へ向かう方向の力を与え、船外側の翼に対しては、下から上へ向かう方向の力を与える。そして、いずれか一方或いは双方の翼は、この様な水流による流体力を低減する様に、この様な水流に対する仰角が小さくなる様に取り付けられる。従って、揚力及び抗力が減少し、これにより側壁型エアクッション船における両側壁を拡開する方向の力を低減することが可能となる。
【0015】
また、エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、エアクッション室と船外との圧力差によって生じる水流は船外からエアクッション室へ向かうことから、前記エアクッション室側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向下向きの角度を成す様に、及び/又は、前記船外側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向上向きの角度を成す様に構成される。従ってこれにより、上記と同様に船外からエアクッション室に向かう水流に対する仰角が小さくなり、揚力及び抗力が減少し、側壁型エアクッション船における両側壁を閉じる方向の力を低減することができる。
【0016】
尚、ここでの「喫水線」とは、エアクッション室に圧力が発生し船体が浮上した状態における喫水線を意味し、殆どの場合、船底ベースラインに平行な線である。従って、エアクッション室に圧力が発生し船体が浮上した状態における喫水線と船底ベースラインとが平行な場合には、船底ベースラインを基準として上記取り付け角を調整することで、上述の作用効果を得ることが可能となる。また、「取り付け角」とは、ある直線(ここでは、上記喫水線と平行な線)と、翼の翼弦線との成す角度を言う。
【0017】
本発明の第2の態様に係る水中翼は、上記第1の態様において、前記エアクッション室側の翼の取り付け角及び/又は前記船外側の翼の取り付け角が可変となる様に構成されていることを特徴とする。
上記第2の態様によれば、両翼のいずれか一方又は双方の取り付け角が可変となる様に構成されていることから、エアクッション室と船外との圧力差、船の航行速度、等の種々の状況に応じて最適な取り付け角とすることができ、もってより適切に側壁型エアクッション船における、両側壁を拡開または閉じる方向の力を低減することが可能となる。
【0018】
本発明の第3の態様に係る水中翼は、船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、船外側の翼と前記エアクッション室側の翼とを備えて構成された、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、を有する水中翼付き側壁型エアクッション船における前記水中翼であって、前記エアクッション室側の翼及び/又は前記船外側の翼の後方側に揺動自在なフラップを備え、前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼が前記フラップを備える場合に、当該エアクッション室側フラップが喫水線と平行な線に対して後端を下げたフラップ角をとる第1の条件と、前記船外側の翼が前記フラップを備える場合に、当該船外側フラップが喫水線と平行な線に対して後端を上げたフラップ角をとる第2の条件と、のいずれか一方又は双方を備える様に構成され、前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼が前記フラップを備える場合に、当該エアクッション室側フラップが喫水線と平行な線に対して後端を上げたフラップ角をとる第1の条件と、前記船外側の翼が前記フラップを備える場合に、当該船外側フラップが喫水線と平行な線に対して後端を下げたフラップ角をとる第2の条件と、のいずれか一方又は双方を備える様に構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記第3の態様によれば、水中翼は両翼のいずれか一方又は双方にフラップを備えている。そして、エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼が備えるフラップが、喫水線と平行な線に対して後端を下げたフラップ角をとる第1の条件と、前記船外側の翼が備えるフラップが、喫水線と平行な線に対して後端を上げたフラップ角をとる第2の条件と、のいずれか一方又は双方を有している。従って上述した第1の態様と同様に、エアクッション室から船外へ向かう水流による流体力を低減することができ、側壁型エアクッション船における、両側壁を拡開する方向の力を低減することが可能となる。尚、ここでの「喫水線」は、上述した第1の態様と同義である。
【0020】
また、エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、エアクッション室と船外との圧力差によって生じる水流は船外からエアクッション室へ向かうことから、フラップ角はエアクッション室の中央位置より船首側に設けられる上記の場合と逆になる。そして、これにより、船外からエアクッション室へ向かう水流による流体力を低減することができ、側壁型エアクッション船における、両側壁を閉じる方向の力を低減することが可能となる。
【0021】
本発明の第4の態様に係る水中翼は、上記第2のまたは第3の態様において、前記エアクッション室側の翼及び/又は前記船外側の翼に加わる荷重を検出する荷重検出手段と、該荷重検出手段によって検出された荷重に基づいて前記取り付け角又は前記フラップ角を制御する角度制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0022】
上記第4の態様によれば、エアクッション室側の翼又は船外側の翼、或いは、双方の翼に、それぞれの翼に加わる荷重を検出する荷重検出手段が設けられ、それぞれの翼の取り付け角或いはフラップ角を制御する角度制御手段が、前記荷重検出手段によって検出された荷重に基づいて前記取り付け角或いはフラップ角を制御するので、航行速度やエアクッション室と船外との圧力差に応じて適切にエアクッション室と船外との圧力差によって生じる水流による流体力を低減できる。従って、より適切に側壁型エアクッション船における両側壁を拡開または閉じる方向の力を低減することが可能となる。尚、この場合において、エアクッション室側の翼と船外側の翼とは、それぞれ別個独立に制御する様にしても良いし、双方共に同じ角度となる様同期して制御する様にしても良い。
【0023】
本発明の第5の態様に係る水中翼は、船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、船外側の翼と前記エアクッション室側の翼とを備えて構成された、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、を有する水中翼付き側壁型エアクッション船における前記水中翼であって、前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼が、上方に凸となるキャンバーラインを有する様に形成され、及び/又は前記船外側の翼が、下方に凸となるキャンバーラインを有する様に形成され、前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼が、下方に凸となるキャンバーラインを有する様に形成され、及び/又は前記船外側の翼が、上方に凸となるキャンバーラインを有する様に形成されていることを特徴とする。
【0024】
上記第5の態様によれば、エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、水中翼においてエアクッション室側の翼が、上方(海面側)に凸となるキャンバーラインを有する様に形成され、又は、船外側の翼が、下方(海底側)に凸となるキャンバーラインを有する様に形成されている。或いは、前記いずれの条件をも備えている。従って、エアクッション室と船外との圧力差によって生じる、エアクッション室から船外へ向かう水流に対向する面に凸曲面を備えたことにより、エアクッション室から船外へ向かう水流による流体力を低減でき、これにより、側壁型エアクッション船における両側壁を拡開する方向の力を低減することが可能となる。また、船体への取り付け作業において取り付け角を精密に調整する必要がなく、船体への取り付け作業が容易となる。
【0025】
尚、エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、エアクッション室と船外との圧力差によって生じる水流は船外からエアクッション室へ向かうことから、キャンバーラインの凸方向は上記の場合と逆になる。そして、これにより、船外からエアクッション室へ向かう水流による流体力を低減でき、これにより、側壁型エアクッション船における両側壁を閉じる方向の力を低減することが可能となる。
【0028】
本発明の第の態様に係るストラットは、船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、を備えた水中翼付き側壁型エアクッション船における前記エアクッション室の両側壁において下方に垂下する様に設けられるとともに前記水中翼を取り付けるストラットであって、前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、前記側壁型エアクッション船に設けられた際の取り付け角が、船体センターラインと平行な線に対して進行方向内向きの角度を成す様に構成され、前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、前記側壁型エアクッション船に設けられた際の取り付け角が、船体センターラインと平行な線に対して進行方向外向きの角度を成す様に構成されていることを特徴とする。
【0029】
上記第の態様によれば、水中翼を取り付けるストラットは、エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、側壁型エアクッション船に設けられた際の取り付け角が、船体センターラインと平行な線に対して進行方向内向きの角度を成す様に設けられているので、エアクッション室と船外との圧力差によって生じるエアクッション室から船外へ向かう水流による流体力を低減することができる。
【0030】
即ち、エアクッション室から船外へ向かう水流は、ストラットに対し、船体内側から船外側へ向かう力を付与するので、この様な水流に対する仰角を小さくすることにより、前記水流によって発生する揚力及び抗力を低減でき、前記水流による流体力を低減してストラットに加わる荷重を低減することができる。そして、これにより、側壁型エアクッション船における両側壁を拡開する方向の力を低減することが可能となる。尚、「取り付け角」とは、ある直線(ここでは、上記船体センターラインと平行な線)と、翼の翼弦線との成す角度を言う
また、エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、エアクッション室と船外との間の圧力差によって生じる水流は、船外からエアクッション室へ向かうので、前記取り付け角は上記の場合と逆となる。そして、これにより、船外からエアクッション室へ向かう水流によって生じる揚力及び抗力を低減でき、側壁型エアクッション船における両側壁を閉じる方向の力を低減することが可能となる。
【0031】
本発明の第の態様に係るストラットは、上記第の態様において、前記取り付け角が可変となる様に構成されていることを特徴とする。
上記第の態様によれば、ストラットの取り付け角が可変となる様に構成されているので、船の航行速度能力等の種々の状況に応じて最適な取り付け角とすることができ、もってより適切に側壁型エアクッション船における両側壁を拡開または閉じる方向の力を低減することができる。
【0032】
本発明の第の態様に係るストラットは、船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、を備えた水中翼付き側壁型エアクッション船における前記エアクッション室の両側壁において下方に垂下する様に設けられるとともに前記水中翼を取り付けるストラットであって、該ストラットの後方側に揺動自在なフラップを備え、前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、該フラップの後端が、船体センターラインと平行な線に対して船外方向を向く様なフラップ角をとる様に構成され、前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、該フラップの後端が、船体センターラインと平行な線に対して船内方向を向く様なフラップ角をとる様に構成されていることを特徴とする。
【0033】
上記第の態様によれば、ストラットは後方側にフラップを備え、エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、該フラップの後端が、船体センターラインと平行な線に対して船外方向を向く様なフラップ角をとる様に構成されているので、上述した第の態様と同様に、エアクッション室から船外へ向かう水流による流体力を低減することができる。そして、これにより、側壁型エアクッション船における両側壁を拡開する方向の力を低減することが可能となる。
【0034】
尚、エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、エアクッション室と船外との間の圧力差によって生じる水流は船外からエアクッション室へ向かうので、フラップは上記と逆のフラップ角をとる。そして、これにより、側壁型エアクッション船における両側壁を閉じる方向の力を低減することが可能となる。
【0035】
本発明の第の態様に係るストラットは、上記第または第の態様において、前記ストラットに加わる荷重を検出する荷重検出手段と、該荷重検出手段によって検出された荷重に基づいて前記取り付け角又は前記フラップ角を制御する角度制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0036】
上記第の態様によれば、ストラットには該ストラットに加わる荷重を検出する荷重検出手段が設けられ、ストラットの取り付け角或いはフラップのフラップ角を制御する角度制御手段が、前記荷重検出手段によって検出された荷重に基づいて前記取り付け角或いはフラップ角を制御するので、航行速度やエアクッション室と船外との圧力差に応じて適切にエアクッション室と船外との間の圧力差によって生じる水流による流体力を低減できる。従って、より適切に側壁型エアクッション船における両側壁を拡開または閉じる方向の力を低減することが可能となる。
【0037】
本発明の第10の態様は、船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、を備えた水中翼付き側壁型エアクッション船における前記エアクッション室の両側壁において下方に垂下する様に設けられるとともに前記水中翼を取り付けるストラットであって、前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、エアクッション室側に凸となるキャンバーラインを有する翼型によって形成され、前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、船外側に凸となるキャンバーラインを有する翼型によって形成されていることを特徴とする。
【0038】
上記第10の態様によれば、エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、ストラットはエアクッション室側に凸となるキャンバーラインを有する翼型によって形成されているので、エアクッション室と船外との圧力差によって生じる、エアクッション室から船外へ向かう水流に対向する面に凸曲面を備えたことにより、前記水流による流体力を低減でき、これにより、側壁型エアクッション船における両側壁を拡開する方向の力を低減することが可能となる。また、船体への取り付け作業において取り付け角を精密に調整する必要がなく、船体への取り付け作業が容易となる。
【0039】
尚、エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、エアクッション室と船外との間の圧力差によって生じる水流は船外からエアクッション室へ向かうので、上記キャンバーラインは逆の方向に凸となる。そして、これにより、前記水流による流体力を低減でき、側壁型エアクッション船における両側壁を閉じる方向の力を低減することが可能となる。
【0042】
本発明の第11の態様に係る水中翼付き側壁型エアクッションは、上記第から第10の態様のいずれかに記載された前記ストラットと、上記第1から第の態様のいずれかに記載された前記水中翼とを備えていることを特徴とする。
上記第11の態様によれば、側壁型エアクッション船は上記第から第10の態様のいずれかに記載された前記ストラットと、上記第1から第の態様のいずれかに記載された前記水中翼とを備えているので、側壁型エアクッション船において、上述した第から第10の態様のいずれかと同様な作用効果、及び、上述した第1から第の態様のいずれかと同様な作用効果を、得ることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図8を参照しながら説明する。先ず、図1乃至図4は本発明の第1実施形態を示すものであり、図1は水中翼及びストラットの外観斜視図、図2は水中翼の平面図、図3は水中翼の側面図、図4(A)は側壁型エアクッション船の概略側面図、図4(B)は同概略横断面図である。以下では、これらをもとに第1実施形態について説明する。
【0044】
図1乃至図3に示すストラット及び水中翼は右舷船首側に設けられるストラット及び水中翼を示すものであり、符号1aは船外側の水中翼(以下「外側水中翼」と言う)を、符号1bはエアクッション室側の水中翼(以下「内側水中翼」と言う)を、符号2はストラットを示し、図の矢印方向は、船の進行方向を示している。また、図1及び図2において符号BL’で示すラインは、水中翼1a、1bを通る、船底ベースラインBL(図4)と平行な線であって、符号CL’で示すラインは、ストラット2を通る、船体センターラインCL(進行方向に平行:図11)と平行な線を示している。更に、符号Cで示すラインは、翼型の形状における翼弦線を示している。尚、本実施形態に係る側壁型エアクッション船S1(図4(A))は、エアクッション室Pに圧力が発生して浮上した状態における喫水線WLと、船底ベースラインBLとが平行となっている。
【0045】
図4(B)において、船体8内部にはエアクッション室Pが設けられ、図示しない圧力発生手段によってエアクッション室P内に圧力が発生すると、当該圧力によって船体8が浮上する。エアクッション室Pの両側に位置する側壁9、9の下部には、下方に垂下する様にストラット2がそれぞれ設けられ、該ストラット2の下端には、エアクッション室P側に内側水中翼1bが、船外側に外側水中翼1aが設けられられている。水中翼1a、1bは、側壁型エアクッション船S1の波浪航行中、ダンピング効果によって船体運動を低減する機能を果たす。尚、本実施形態においては、外側水中翼1a、内側水中翼1b、ストラット2は、長手方向の断面視において、対称形状を成す翼型(キャンバーゼロ)によって形成されている。また、本実施形態においては、ストラット2、外側水中翼1a、内側水中翼1bは、図4(A)に示す様にエアクッション室Pの中央位置Mから船首側に設けられている。
【0046】
図1に示す外側水中翼1a、内側水中翼1b、ストラット2は、いずれも、エアクッション室Pと船外との圧力差によって発生するエアクッション室Pから船外へ向かう水流(図10乃至図12参照)による流体力を低減する定常流体力低減手段を有している。即ち、図1及び図3(A)に示す様に、外側水中翼1aの取り付け角βoは、ラインBL’に対して進行方向下向きの角度を成している。また、図1及び図3(B)に示す様に、内側水中翼1bの取り付け角βiは、ラインBL’に対して進行方向上向きの角度を成す様に設定されている。また、図1及び図2に示す様に、ストラット2の取り付け角αは、ラインCL’に対して、進行方向内向きの角度を成す様に設定されている。尚、取り付け角とは、翼弦線Cと、ラインBL’或いはラインCL’との成す角度である。
【0047】
つまり、エアクッション室Pから船外へ向かう水流は、内側水中翼1bにおいては、前方上から後方下へ向かい、外側水中翼1aにおいては、前方下から後方上へ向かう。また、ストラット2においては、エアクッション室P前方から船外後方へ向かう。従ってこの様な水流により、ストラット2の取付部分(付け根部分)には船外側へ向かう様なモーメント力が発生する。そして、これらモーメント力が、側壁9、9を拡開する方向に作用し、船体8の強度上問題となる。
【0048】
この様な問題に対処すべく、外側水中翼1a及び内側水中翼1b並びにストラット2は、上述の様な取り付け角により、エアクッション室Pから船外へ向かう水流に対する仰角が小さくなり、これにより、揚力及び抗力が低減され、前記水流による流体力を低減している。従ってこの様な定常流体力低減手段により、外側水中翼1a及び内側水中翼1b並びにストラット2に加わる力が低減され、側壁9、9を拡開する方向に作用するモーメント力が低減される。即ち、船体8の強度上問題が生じなくなる。
【0049】
ここで、本実施形態においては、外側水中翼1aの取り付け角βoの絶対値は、0°<βo≦5°に設定される。また、内側水中翼1bの取り付け角βiの絶対値は、同様に0°<βi≦5°に設定される。更に、ストラット2の取り付け角αの絶対値は、0<α≦5°に設定される。
【0050】
尚、上述した外側水中翼1a、内側水中翼1b、ストラット2については、本実施形態に示した様にその全てについて所定の取り付け角を有する様に設けることもできるが、外側水中翼1a、内側水中翼1b、ストラット2のうちの少なくとも1つか、或いは、任意の2つの組み合わせにおいて所定の取り付け角を設定することもできる。
【0051】
また、外側水中翼1a、内側水中翼1b、ストラット2がエアクッション室Pの中央位置Mから船尾側に設けられる場合には、エアクッション室Pと船外との間の圧力差によって生じる水流は、上記とは逆に船外からエアクッション室Pへ向かうから、この場合には、上記取り付け角は、それぞれの全てについて逆になる。そして、これにより、船外からエアクッション室Pへ向かう水流に対する仰角が小さくなり、揚力及び抗力が低減され、前記水流による流体力を低減して側壁9、9を閉じる方向に作用する力が低減される。
【0052】
続いて、図5は本発明の第2実施形態を示すものであり、(A)、(B)共に船首側に取り付けられる場合の内側水中翼の側面図(断面形状を示す図)である。以下、当該第2実施形態について説明する。
図5(A)において符号1b’は内側水中翼を示し、図の矢印は船の進行方向を示している。内側水中翼1b’は、エアクッション室Pから船外へ向かう水流(図10乃至図12)による流体力を低減する定常流体力低減手段を有している。即ち、図示する様に、内側水中翼1b’は、図1に示した内側水中翼1bとは異なり、取り付け角は船底ベースラインと平行な線BL’に対して0度であるが、上方(海面)に対して凸となるキャンバーラインを有する様に形成されている(上下非対称の形状)。尚、図に示す線Dはキャンバーラインを示すものであり、図示する様に、線BL’に対して上に凸となっている。
【0053】
従って、エアクッション室Pと船外との圧力差によって生じる水流に対向する面(上面)に凸曲面が形成されたことにより、前記水流によって生じる下向きの揚力が減少し、これによって前記水流による流体力が低減され、上述した第1実施形態と同様に、側壁9、9(図4(B))を拡開する方向に作用するモーメント力を低減することができる。ここで、図5では内側水中翼を示しているが、上下逆(上下対称)の形状とすれば、外側水中翼とすることができる。
【0054】
尚、図5(B)において符号1b’’で示す内側水中翼は、図5(A)に示す内側水中翼1b’の変形例である。内側水中翼1b’’はフラットボトム形状によって形成され、下面がほぼフラットな面であるが、上面、即ちエアクッション室Pと船外との圧力差によって生じる水流に対向する面が凸曲面となる様なキャンバーラインDが形成され、従ってこれにより、図5(A)に示す内側水中翼1b’と同様に、前記水流による流体力を低減することができる。
【0055】
また、ストラットについても、同様に前記水流による流体力を低減することができる。即ち、図5(A)、(B)における符号2’、2’’をそれぞれストラットを示すものとし、線BL’が船体センターラインと平行な線CL’、該線CL’の上側をエアクッション室側、下側を船外側とすれば、ストラットにおいて、エアクッション室Pと船外との圧力差によって生じる水流に対向する面に凸曲面が形成され、これによって前記水流による流体力を低減することができる。
【0056】
尚、図5(A)、(B)に示す様な非対称断面翼の形状を有する水中翼及びストラットであっても、上述した第1実施形態と同様に、所定の取り付け角を有する様に設けることもできる。これにより、より一層前記水流による流体力を低減することが可能となる。
【0057】
また、外側水中翼、内側水中翼、ストラットがエアクッション室Pの中央位置Mから船尾側に設けられる場合には、エアクッション室Pと船外との間の圧力差によって生じる水流は、上記とは逆に船外からエアクッション室Pへ向かうから、この場合には、上記キャンバーラインDは、それぞれについて逆に凸(外側水中翼の場合は上に凸、内側水中翼の場合は下に凸)となる。そして、これにより、船外からエアクッション室Pへ向かう水流による流体力を低減して側壁9、9を閉じる方向に作用するモーメント力が低減される。
【0058】
続いて、図6乃至図8は本発明の第3実施形態を示すものであり、図6は水中翼の側面図、図7は同平面図、図8は側壁型エアクッション船の概略側面図(概念図)である。以下、当該第3実施形態について説明する。
図6乃至図8に示すストラット、外側水中翼、内側水中翼は右舷船首側に設けられるストラット、外側水中翼、内側水中翼を示すものであり、符号4は外側水中翼を、符号5は内側水中翼を、符号3はストラットを示し、図の矢印方向は、船の進行方向を示している。また、外側水中翼4において、符号4aは外側水中翼本体を、符号4bは外側水中翼本体4aの後方側において揺動可能に設けられるフラップ(以下「外側フラップ」と言う)を示している。内側水中翼5においても同様に、符号5aは内側水中翼5本体を、符号5bは本体5aの後方側において揺動可能に設けられるフラップ(以下「内側フラップ」と言う)を示している。更に、ストラット3において、符号3aはストラット本体を、符号3bはストラット本体3aの後方側に設けられるフラップ(以下「垂直フラップ」と言う)を示している。
【0059】
尚、これら外側水中翼4及び内側水中翼5並びにストラット3は、図4に示した第1実施形態に係る側壁型エアクッション船S1と同様な位置(側壁9、9の前方側下部:図8参照)に設けられている。また、本実施形態においては、外側水中翼4、内側水中翼5、ストラット3は、長手方向の断面視において、対称形状を成す翼型(キャンバーゼロ)によって形成され、符号Cで示すラインは、フラップの形状における翼弦線を示している。
【0060】
図6及び図7に示す外側水中翼4、内側水中翼5、ストラット3は、いずれも、上述した第1、第2実施形態と同様に、エアクッション室Pから船外へ向かう水流(図10乃至図12参照)による流体力を低減する定常流体力低減手段を有している。即ち、外側水中翼4を構成する外側フラップ4bは、ラインBL’に対して後端を上げたフラップ角βoをとり、内側水中翼5を構成する内側フラップ5bは、ラインBL’に対して後端を下げたフラップ角βiをとる様に構成されている。また、図7に示す様に、ストラット3を構成する垂直フラップ3bは、ラインCL’に対して、後端が船外方向(図の左方向)を向く様なフラップ角αをとる様に構成されている。従って、エアクッション室Pから船外へ向かう水流に対してそれぞれのフラップが傾斜面を形成し、これにより、水流による流体力を低減することが可能となる。従ってこの様な定常流体力低減手段により、外側水中翼4及び内側水中翼5並びにストラット3に加わる力が低減され、側壁9、9を拡開する方向に作用する力が低減される。即ち、船体8の強度上問題が生じなくなる。
【0061】
尚、外側水中翼、内側水中翼、ストラットがエアクッション室Pの中央位置Mから船尾側に設けられる場合には、エアクッション室Pと船外との間の圧力差によって生じる水流は、上記とは逆に船外からエアクッション室Pへ向かうから、この場合には、上記フラップ角は、それぞれについて逆方向となる。そして、これにより、船外からエアクッション室Pへ向かう水流による流体力を低減して側壁9、9を閉じる方向に作用する力が低減される。
【0062】
ところで、外側水中翼本体4a及び内側水中翼本体5a並びにストラット本体3aには、図6及び図7に示す様に、それぞれに加わる荷重を検出する「荷重検出手段」としての歪みセンサ(それぞれ符号14、13、11で示す)が設けられている。歪みセンサ14、13、11は、それぞれ一般的なストレインゲージであり、外側水中翼本体4a及び内側水中翼本体5a並びにストラット本体3aに発生する歪み(翼幅方向の撓み)を検出することにより、それぞれに加わる荷重を検出する。
【0063】
図8に示す様に、これらの荷重検出手段は、「角度制御手段」としての中央演算処理装置10に接続されている。中央演算処理装置10は図示しないCPU、ROM、RAM等や、歪みセンサ14、13、11の状態変化(主に抵抗値)を電圧変化に変換する回路によって構成されている。中央演算処理装置10は、外側水中翼本体4a、内側水中翼本体5a、ストラット本体3aに加わる荷重を求め、それぞれに加わる荷重を低減させるべく、外側フラップ4b、内側フラップ5b、垂直フラップ3bの角度制御量を求める。そして、現在のフラップ角の状態からいずれの方向へどの程度揺動させるかを、それぞれのフラップを制御するフラップ制御装置(図8では図面の簡単の為垂直フラップ3bのフラップ制御装置17及び外側フラップ4bのフラップ制御装置20のみを図示する)へ指示する。フラップ制御装置は、中央演算処理装置10からの指示に基づいてフラップを揺動させる駆動モータ(図示せず)の駆動電流を制御する。
【0064】
尚、実際には、外側水中翼5、内側水中翼4、ストラット3は、左右の側壁9、9にそれぞれ設けられることから、左右それぞれの外側水中翼本体5a、内側水中翼本体4a、ストラット本体3aに対して、1つの歪みセンサが設けられる。また、同様にそれぞれの外側フラップ4b、内側フラップ5b、垂直フラップ3bに対して制御装置が設けられる。
【0065】
以上により、外側水中翼4、内側水中翼5、ストラット3には、それぞれに加わる荷重を検出する荷重検出手段(歪みセンサ14、13、11)が設けられ、それぞれが有するフラップのフラップ角を制御する角度制御手段(中央演算処理装置10)が、前記荷重検出手段によって検出された荷重に基づいてそれぞれのフラップ角を制御するので、航行速度や、エアクッション室Pと船外との圧力差に応じて、エアクッション室Pから船外へ向かう水流による流体力を適切に低減できる。
【0066】
尚、本実施形態においては、外側フラップ4bと内側フラップ5bとをそれぞれ別個独立に制御する様にしているが、双方共に同じ角度となる様、それぞれのフラップを同期して駆動する様に構成することもできる。また、外側フラップ4b、内側フラップ5b、垂直フラップ3bの全てに歪みセンサを設けているが、例えば、垂直フラップ3bにのみ歪みセンサを設けても構わない。即ち、ストラット本体3aに加わる荷重をより適切に低減でき、以て側壁9、9を拡開する方向の力を低減可能に構成すれば良い。
【0067】
また、本実施形態の様に、ストラット、内側水中翼、外側水中翼のそれぞれにフラップを設けずに、ストラット、内側水中翼、外側水中翼それ自体の取り付け角(仰角)を可変とし、当該取り付け角を制御する様に構成することもできる。
【0068】
以上第1乃至第3実施形態について説明したが、その他にも、エアクッション室Pと船外との圧力差によって生じる水流による流体力を低減できる定常流体力低減手段であれば、どの様なものであっても構わない。
【0069】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、側壁型エアクッション船に設けられる、船外側の翼とエアクッション室側の翼とを備えた水中翼は、エアクッション室の中央位置から船首側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向上向きの角度を成す第1の条件と、前記船外側の翼の取り付け角が喫水線と平行な線に対して進行方向下向きの角度を成す第2の条件と、のいずれか一方又は双方の条件を備えている。即ち、エアクッション室から船外へ向かう水流は、エアクッション室側の翼に対しては、上から下へ向かう方向の力を与え、船外側の翼に対しては、下から上へ向かう方向の力を与える。そして、いずれか一方或いは双方の翼は、この様な水流による流体力を低減する方向に傾いているので、これにより、側壁型エアクッション船における両側壁を拡開する方向の力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る水中翼及びストラットの外観斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る水中翼の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る水中翼の側面図である。
【図4】(A)は本発明の第1実施形態に係る側壁型エアクッション船の概略側面図であり、(B)は同概略横断面図である。
【図5】(A)、(B)ともに本発明の第2実施形態に係る水中翼の側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る水中翼の側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る水中翼の平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る側壁型エアクッション船の概略側面図(概念図)である。
【図9】側壁型エアクッション船の横断面図である。
【図10】側壁型エアクッション船の横断面図(拡大図)である。
【図11】側壁型エアクッション船を下方から見た平面図である。
【図12】(A)は従来技術に係る水中翼の平面図、(B)、(C)は従来技術に係る水中翼の側面図である。
【符号の説明】
1a 外側水中翼(第1実施形態)
1b 内側水中翼(第1実施形態)
1b’ 内側水中翼(第2実施形態)
1b’’ 内側水中翼(第2実施形態)
2 ストラット(第1実施形態)
3 ストラット(第3実施形態)
3a ストラット本体
3b 垂直フラップ
4 外側水中翼(第3実施形態)
4a 外側水中翼本体
4b 外側フラップ
5 内側水中翼(第3実施形態)
5a 内側水中翼本体
5b 内側フラップ
10 中央演算処理装置
11、13、14 歪みセンサ
17 垂直フラップ制御装置
20 外側フラップ制御装置
P エアクッション室
S1、S2 側壁型エアクッション船
C 翼弦線
D キャンバーライン
BL 船底ベースライン
CL 船体センターライン
M エアクッション室船長方向中央位置
Lc エアクッション室長さ

Claims (11)

  1. 船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、
    船外側の翼と前記エアクッション室側の翼とを備えて構成された、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、
    を有する水中翼付き側壁型エアクッション船における前記水中翼であって、
    前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向上向きの角度を成す様に、及び/又は、前記船外側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向下向きの角度を成す様に構成され、
    前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向下向きの角度を成す様に、及び/又は、前記船外側の翼の取り付け角が、喫水線と平行な線に対して進行方向上向きの角度を成す様に構成されている、
    ことを特徴とする水中翼。
  2. 請求項1において、前記エアクッション室側の翼の取り付け角及び/又は前記船外側の翼の取り付け角が可変となる様に構成されている、
    ことを特徴とする水中翼。
  3. 船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、
    船外側の翼と前記エアクッション室側の翼とを備えて構成された、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、
    を有する水中翼付き側壁型エアクッション船における前記水中翼であって、
    前記エアクッション室側の翼及び/又は前記船外側の翼の後方側に揺動自在なフラップを備え、
    前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼が前記フラップを備える場合に、当該エアクッション室側フラップが喫水線と平行な線に対して後端を下げたフラップ角をとる第1の条件と、
    前記船外側の翼が前記フラップを備える場合に、当該船外側フラップが喫水線と平行な線に対して後端を上げたフラップ角をとる第2の条件と、のいずれか一方又は双方を備える様に構成され、
    前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼が前記フラップを備える場合に、当該エアクッション室側フラップが喫水線と平行な線に対して後端を上げたフラップ角をとる第1の条件と、
    前記船外側の翼が前記フラップを備える場合に、当該船外側フラップが喫水線と平行な線に対して後端を下げたフラップ角をとる第2の条件と、のいずれか一方又は双方を備える様に構成されている、
    ことを特徴とする水中翼。
  4. 請求項2または3において、前記エアクッション室側の翼及び/又は前記船外側の翼に加わる荷重を検出する荷重検出手段と、
    該荷重検出手段によって検出された荷重に基づいて前記取り付け角又は前記フラップ角を制御する角度制御手段と、
    を備えていることを特徴とする水中翼。
  5. 船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、
    船外側の翼と前記エアクッション室側の翼とを備えて構成された、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、
    を有する水中翼付き側壁型エアクッション船における前記水中翼であって、
    前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼が、上方に凸となるキャンバーラインを有する様に形成され、及び/又は前記船外側の翼が、下方に凸となるキャンバーラインを有する様に形成され、
    前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、前記エアクッション室側の翼が、下方に凸となるキャンバーラインを有する様に形成され、及び/又は前記船外側の翼が、上方に凸となるキャンバーラインを有する様に形成されている、
    ことを特徴とする水中翼。
  6. 船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、を備えた水中翼付き側壁型エアクッション船における前記エアクッション室の両側壁において下方に垂下する様に設けられるとともに前記水中翼を取り付けるストラットであって、
    前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、前記側壁型エアクッション船に設けられた際の取り付け角が、船体センターラインと平行な線に対して進行方向内向きの角度を成す様に構成され、
    前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、前記側壁型エアクッション船に設けられた際の取り付け角が、船体センターラインと平行な線に対して進行方向外向きの角度を成す様に構成されている、
    ことを特徴とするストラット。
  7. 請求項において、前記取り付け角が可変となる様に構成されている、
    ことを特徴とするストラット。
  8. 船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、を備えた水中翼付き側壁型エアクッション船における前記エアクッション室の両側壁において下方に垂下する様に設けられるとともに前記水中翼を取り付けるストラットであって、
    該ストラットの後方側に揺動自在なフラップを備え、
    前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、該フラップの後端が、船体センターラインと平行な線に対して船外方向を向く様なフラップ角をとる様に構成され、
    前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、該フラップの後端が、船体センターラインと平行な線に対して船内方向を向く様なフラップ角をとる様に構成されている、
    ことを特徴とするストラット。
  9. 請求項またはにおいて、前記ストラットに加わる荷重を検出する荷重検出手段と、
    該荷重検出手段によって検出された荷重に基づいて前記取り付け角又は前記フラップ角を制御する角度制御手段と、
    を備えていることを特徴とするストラット。
  10. 船体下部に設けられ左右の船体側壁と船首尾のシールとにより囲まれたエアクッション室と、前記エアクッション室の側壁の下部に設けられる水中翼と、を備えた水中翼付き側壁型エアクッション船における前記エアクッション室の両側壁において下方に垂下する様に設けられるとともに前記水中翼を取り付けるストラットであって、
    前記エアクッション室の中央位置より船首側に設けられる場合には、エアクッション室側に凸となるキャンバーラインを有する翼型によって形成され、
    前記エアクッション室の中央位置より船尾側に設けられる場合には、船外側に凸となるキャンバーラインを有する翼型によって形成されている、
    ことを特徴とするストラット。
  11. 水中翼付き側壁型エアクッション船であって、
    請求項から10のいずれか1項に記載された前記ストラットと、
    請求項1からのいずれか1項に記載された前記水中翼と、
    を備えていることを特徴とする側壁型エアクッション船。
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