JP4108408B2 - 椅子のロッキング機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子のロッキング機構に関する。さらに詳述すると、本発明は、椅子のロッキング機構において、揺動した座や背凭れを原位置に復帰させる反力装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
椅子のロッキング機構において、揺動した座や背凭れを原位置に復帰させるために、従来、一般に圧縮コイルばねが用いられている(図8参照)。図8に示す椅子100は、脚101の上端側に取り付けられる支持体102と、前部が第1支持軸103を介して支持体102に支持される座受部材104と、基端側が第2支持軸105を介して支持体102に回転可能に取り付けられると共に、中間部において第3支持軸106を介して座受部材104の後部に回転可能に連結される背支桿107とを有して構成される。座受部材104には座108が取り付けられ、背支桿107には背凭れ(図示省略)が取り付けられる。支持体102には第1支持軸103をスライド可能且つ回転可能に支持する長孔109が形成されている。第1支持軸103は、圧縮コイルばね110により、長孔109の前端側に向かって付勢されている。この椅子100では、背支桿107が後傾することで、座受部材104の後部が後方に引かれると同時に、第1支持軸103が圧縮コイルばね110を圧縮させながら長孔109内を後方に摺動する。これにより、圧縮コイルばね110に背凭れ及び座108を原位置に復帰させる力が蓄えられる。
【0003】
また、この他、ロッキング機構の回転軸にトーションバーやゴム材を取り付けて、当該回転軸の回転に伴ってトーションバーやゴム材が捻じり弾性変形するように構成し、トーションバーやゴム材に蓄積された弾性力を座や背凭れの復帰に利用するものがある(特開平11−113670号公報など参考)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示すように圧縮コイルばね110を用いる場合、座108や背凭れの揺動即ち円弧運動をリンクを介して直線運動に変換して圧縮コイルばね110に伝達する必要があるため、機構が複雑となり、部品点数や組立工数が多くなり、コスト高となる。また、座108や背凭れの揺動のストロークを長くする、或いはばね力の調整範囲を大きくする、といった要請に対応するためには、ばね長さLを長くとる必要があり、ロッキング機構が大型化してしまう問題がある。
【0005】
また、トーションバーを用いる場合、座や背凭れの円弧運動を直接的にトーションバーに伝達することが可能ではあるが、トーションバーは長手方向の長さを必要とするために、椅子の幅方向(着座者の肩幅方向)にロッキング機構が大型化してしまう問題がある。
【0006】
さらに、圧縮コイルばね及びトーションバーは、一般にばね定数が高く、ばねの変形に対する反力の立ち上がりが大きい。このため、ロッキングの感触が重く硬く感じられる傾向にある。このため、着座者の背に負担をかけてしまう虞がある。
【0007】
これに対してゴム材は、一般にばね定数が小さく、比較的小さな力で大きく変形するため、ロッキングの感触が軽く柔らかく感じられる傾向にはあるが、従来のゴム材を用いたロッキング機構では、ゴム材に捻じり変形を与えるために、金属材料等にゴム材を焼き付け等で一体化してるため、廃棄時において金属材料等とゴム材とを分別することが極めて困難(事実上不可能)となっており、環境的に問題がある。
【0008】
そこで本発明は、コンパクトであり、しかも揺動のストロークを長くする或いは反力の調整範囲を大きくするといった要請にも容易に対応できる椅子のロッキング機構を提供することを目的とする。また本発明は、軽く柔らかいロッキング感覚を備えると共に、廃棄時における環境問題を解消した椅子のロッキング機構を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、脚と該脚の上端側に取り付けられる支持部材と該支持部材に支持される被支持部材とを有する椅子であって座と背凭れの一方または双方を有する被支持部材を支持部材にて揺動可能に支持する椅子のロッキング機構において、該ロッキング機構の可動要素に一端が取り付けられると共に該ロッキング機構の不動要素に他端が取り付けられて座や背凭れを原位置に復帰させる力を付勢する少なくとも1つの渦巻ばねを支持部材の内部に有し、可動要素は被支持部材の揺動に伴い回転する軸であり、渦巻ばねの一端は該軸に巻き付くように配置されてなり、被支持部材が原位置から揺動することによって被支持部材を原位置に復帰させる力を渦巻ばねに蓄積させるようにし、さらに、不動要素を変位させて渦巻ばねの復帰力を調整するようにしている。
【0010】
したがって、被支持部材が原位置から揺動すると、一端が可動要素に他端が不動要素に取り付けられた渦巻ばねが巻き締められて、被支持部材を原位置に復帰する反力が渦巻ばねに蓄積される。従って、被支持部材を揺動する外力が解除されれば、渦巻ばねの付勢力によって被支持部材が原位置に復帰する。
【0011】
また、請求項記載の発明は、不動要素を変位させて渦巻ばねの復帰力を調整するようにしている。したがって、不動要素を変位させることで、被支持部材が原位置にある場合における渦巻ばねの巻き締め量が変化し、ロッキング反力の大きさを調整することができる。
【0012】
さらに、請求項記載の発明は、可動要素は被支持部材の揺動に伴い回転する軸であり、渦巻ばねはこの軸に巻き付くように配置されてなるものとしている。この場合、回転軸の回転モーメントを渦巻ばねの復帰力の蓄積に直接的に利用できる。また、渦巻ばねは、軸に巻き付くように配置されるので、トーションバーのように一方向に突出することがなく、コンパクトな構成となる。
【0013】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の椅子のロッキング機構において、不動要素が、可動要素としての軸を中心とした円弧を描くように変位するものとしている。したがって、当該軸に巻き付くように配置される渦巻ばねの巻き締め量をスムーズに調整することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1から図4に本発明の椅子のロッキング機構の実施の一形態を示す。このロッキング機構は、座2と背凭れ3の一方または双方を有する被支持部材を支持部材4にて揺動可能に支持するものであり、該ロッキング機構の可動要素に一端が取り付けられると共に該ロッキング機構の不動要素に他端が取り付けられる少なくとも1つの渦巻ばね1を有し、被支持部材が原位置から揺動することによって被支持部材を原位置に復帰させる力を渦巻ばね1に蓄積させるようにしている。
【0016】
ロッキング機構は、座2と背凭れ3のどちらか一方を揺動可能に構成するものであっても良いが、例えば本実施形態のロッキング機構においては、座2と背凭れ3の双方が揺動可能であるように構成されている。従って、本実施形態における被支持部材は、座2および背凭れ3の双方が該当する。具体的には、本実施形態における椅子7は、脚8と、脚8の上端側に取り付けられる支持部材としての支持体4と、前方部分が第1支持軸9を介して支持体4に支持される座受部材10と、一端側が第2支持軸11を介して支持体4に取り付けられると共に他端側が第3支持軸12を介して座受部材10の後方部分に連結されるアーム13とを有して構成される。座受部材10には、座2が取り付けられる。本実施形態の背凭れ3は、座2と一体に設けられている。尚、座2および背凭れ3の構造は、特に限定されるものではなく、例えば図示しない芯材とその芯材を覆うクッション材とそのクッション材を更に覆う張り地等によって構成される。また、脚8は、例えば、キャスタ14を有する5本の脚羽根15と、脚羽根15の中心から垂直に立ち上がる脚柱16を有して構成される。尚、脚8の構造も特に限定されるものではない。例えば脚柱16は、昇降可能であるように、図示しないガススプリング機構が内部に組み込まれたものを採用しても良い。
【0017】
ロッキング機構の可動要素とは、被支持部材の揺動に伴って、移動または回転する部材である。換言すれば、ロッキング機構の可動要素とは、被支持部の揺動と連動する部材である。例えば本実施形態では、座2と背凭れ3の揺動に伴って回転する第2支持軸11を、渦巻ばね1の一端が取り付けられる可動要素としている。
【0018】
一方、ロッキング機構の不動要素とは、被支持部材の揺動とは連動するようには構成されてはおらず、被支持部材が揺動しても、当該揺動によっては移動または回転することのない部材である。ただし、この不動要素は椅子7において絶対的に不動である必要はなく、ただ被支持部材の揺動動作との関係において不動であれば良い。例えば本実施形態の不動要素は、渦巻ばね1のばね力を調整する反力調整機構5の一構成要素であり、反力調整機構5の操作によって変位可能であるものとしている。
【0019】
渦巻ばね1は、帯状の弾性素材を渦巻形に巻いたものである。渦巻ばね1の材質や寸法等は、目的とするばね力を得るためのものであれば特に限定されるものではない。例えば本実施形態では、渦巻ばね1の素材に、SWRH72B(JIS G 3506の硬鋼線材の1つ)を用いている。また、本実施形態における渦巻ばね1の寸法は、例えば、厚み3.4mm〜4.0mm、幅21mm、長さ470±10mmとしている。但し、これらの材質や寸法は、好適な例示であって、必ずしもこの例に限定されるものではない。また、本実施形態における渦巻ばね1の両端部は、ロッキング機構の可動要素と不動要素とにそれぞれ引っ掛けることで係止されるように、フック状に形成されている。以下、渦巻の中心側の端部に形成されたフックを内フック1aと呼び、渦巻の外側の端部に形成されたフックを外フック1bと呼ぶ。本実施形態の内フック1aと外フック1bは、応力集中による破損を防止するべく、角張る部分が無いように丸く曲面状に形成することが好ましい。この渦巻ばね1は、少なくとも1つ在れば良いが、目的とするばね力を得るために複数備えるようにしても良い。例えば本実施形態では、椅子7として望ましいロッキング反力を得るために、2つの渦巻ばね1を備えるようにしている(図2参照)。
【0020】
この渦巻ばね1は、支持部材としての支持体4に配置される。この支持体4は、例えば、脚柱16が取り付けられる底部4aと、この底部4aの四方を囲むように設けられる前壁4bおよび後壁4cおよび側壁4dと、側壁4dと一体に設けられて前壁4bよりも前方(椅子7の正面側)且つ上方に突き出た突出部4eとを有して構成される。支持体4の内部には、第2支持軸11が回転可能に貫通する軸支持部17が設けられている。この軸支持部17には2つの渦巻ばね1が配置されるスペースが形成されている。また、例えば本実施形態では、ばねワッシャ30を渦巻ばね1と共に軸支持部17の当該スペースに配置するようにして、渦巻ばね1が当該スペース内でガタついてしまうことを防止している。第2支持軸11には、渦巻ばね1の内フック1aが挿入される溝が形成されている。渦巻ばね1は、この第2支持軸11に巻き付くように、換言すれば第2支持軸11を中心に渦巻を形成するように配置される。
【0021】
側壁4dの外側には、一対のアーム13,13が第2支持軸11によって支持体4に対して回転可能に取り付けられる。アーム13は、第2支持軸11と一体となって支持体4に対して回転するように第2支持軸11に固定される。例えば第2支持軸11の端部には、非円形状(例えば本実施形態では六角形状)の取付部11cが形成されており(図3参照)、アーム13にはこの取付部11cが嵌め込まれる孔が形成されている。尚、アーム13と第2支持軸11とは、ボルト等の周知の締結手段で固定するようにしても良い。また、アーム13における第2支持軸11とは対極となる端側には、第2支持軸11と平行な軸方向を有する第3支持軸12を介して、座受部材10の後方部分が回転可能に取り付けられる。
【0022】
一方、突出部4eには、第2支持軸11と平行な軸方向を有する第1支持軸9を介して、座受部材10の前方部分が回転且つ摺動可能に取り付けられる。突出部4eには、第1支持軸9が回転且つ摺動可能に取り付けられる長孔18が形成されている。この長孔18は、第1支持軸9の軸方向と直交し且つ略水平となる方向を長手方向として形成されている。この長孔18は、被支持部材としての座2及び背凭れ3のロッキング(揺動)範囲を制限する機能を有する。
【0023】
ところで、背凭れ3が着座者の背面側に最も揺動した状態において、長孔18が第1支持軸9を支持することのみによって、背凭れ3を揺動させる荷重を支えることは、長孔18周辺の負担が大きく、長孔18の外周に亀裂を生じる等、部材の破損を招く虞がある。そこで、本実施形態では、第1支持軸9と平行なピン31をアーム13,13間を連結するように設けると共に、ピン31が摺動する円弧状の長溝32を側壁4dに設けるようにしている。長溝32は、座2及び背凭れ3のロッキング(揺動)範囲と適合するように、ピン31の円弧運動を規制するように形成される。これにより、背凭れ3が着座者の背面側に最も揺動した状態において、長孔18で第1支持軸9を支持すると共に、長溝32でピン31を支持するようにして、背凭れ3を揺動させる荷重を分担するようにし、長孔18への負担を軽減するようにしている。
【0024】
渦巻ばね1は、第2支持軸11およびアーム13および座受部材10を介して、第1支持軸9を長孔18の前方端部(着座者正面側の端部)に押し付けるように付勢し得るように、配置される。第1支持軸9が長孔18の前方端部に接触している状態が、本実施形態における被支持部材(座2及び背凭れ3)の原位置となる。座受部材10は当該原位置において水平となるように設定される。座受部材10は、例えば、平面視(図2参照)において枠状となるように形成されていて、第1支持軸9を介して支持体4の突出部4eに取り付けられる一対のブラケット10aと、第3支持軸12を介してアーム13に取り付けられる一対のブラケット10bとが一体に設けられている。
【0025】
ここで、座受部材10、支持体4、第1支持軸9、第2支持軸11、第3支持軸12、アーム13等の椅子7を構成する諸部材の材質は、特に限定されるものではなく、機械的強度や軽量性など必要な設計条件を満足し得る材料を適宜選択して良い。例えば、金属材料の採用は、椅子7として必要とされる剛性を確実に得られる点で好ましい。一方、第1支持軸9と長孔18、ピン31と長溝32、渦巻ばね1と第2支持軸11など、2つの部材が接触しながら相対運動するような箇所において、相対運動する双方の部材に金属材料を採用する場合には、金属同士が接触することによる異音の発生を防止する等のために、金属同士が直接接触することを防ぐ部材(例えば樹脂製のブシュ)を介在させることが好ましい。例えば図1に示すように、長孔18に嵌め込まれると共に第1支持軸9が摺動する樹脂製ブシュ33や、ピン31のうち長溝32を摺動する部分を被覆する樹脂製ブシュ34、第2支持軸11のうち渦巻ばね1と接触する部分を被覆する樹脂製ブシュ35,36、等を設けることが好ましい。ブシュ35は、渦巻ばね1の内フック1aが挿入される溝を被覆し、ブシュ36は、渦巻ばね1と接触する第2支持軸11の外周を被覆している。尚、ブシュ35の開口縁部分は、一点に応力が集中することを防止するために、内フック1aに対応した曲面状に形成することが好ましい。
【0026】
本実施形態の反力調整機構5は、渦巻ばね1の弾性変形によるロッキング反力の大きさ(換言すればロッキング硬さ)を調整するものである。この反力調整機構5は、渦巻ばね1の一端が取り付けられる不動要素としての変位部材19と、この変位部材19の位置を調整する調整手段20とを有して構成される。
【0027】
本実施形態における調整手段20は、例えば変位部材19の位置を調整する調整ねじである。具体的には、この調整手段20は、支持体4の外側に設けられた操作つまみ21と、支持体4の内側に設けられた雄ねじ部22とを備え、支持体4の前壁4bに回転可能に取り付けられている。操作つまみ21と雄ねじ部22とは、一体に固定されており、操作つまみ21を回転することにより雄ねじ部22も回転するように構成されている。変位部材19の移動方向を規定する雄ねじ部22の軸方向は、渦巻ばね1の第2支持軸11に対する巻き締めを調整し得るように設定している。
【0028】
一方、変位部材19は、例えば図2および図4に示すように、調整手段20の雄ねじ部22に螺合する雌ねじ部を有するスライド部材37と、雄ねじ部22が移動可能に貫通する長孔38を有すると共にスライド部材37の回転を禁止する受具39と、雄ねじ部22の軸方向と直交する方向に受具39から突出して渦巻ばね1の外フック1bが引っ掛けられるばね支持部41と、ばね支持部41を第2支持軸11に連結するリンク40とを有して構成される。スライド部材37は、例えば、略直方体状形状を成し、雄ねじ部22に螺合するナットが嵌め込まれている。受具39は、長孔38が形成される底部39aと、底部39aから起立してスライド部材37を回転不能に挟む側壁39b,39bとから構成される。そして、雄ねじ部22を挟むように配置される2つの渦巻ばね1を引っ掛け係止するように、ばね支持部41,41が、両側壁39b,39bに固定される。リンク40は、一端がばね支持部41に回転可能に取り付けられると共に、他端が第2支持軸11に回転可能に取り付けられる。
【0029】
したがって、操作つまみ21により雄ねじ部22を回転させると、受具39の側壁39b,39bに挟まれたスライド部材37は、回転することなく雄ねじ部22の長手方向に沿って移動する。また、受具39も、長孔38内で雄ねじ部22を移動させつつ、スライド部材37と共に移動する。スライド部材37および受具39の移動に伴って、リンク40が第2支持軸11回りに回転し、ばね支持部41も第2支持軸11を中心とした円弧を描くように移動する。変位部材19を操作つまみ21側に接近するように移動させると、渦巻ばね1の第2支持軸11に対する巻き締めが強まり、ロッキング反力を大きくすることができる。一方、変位部材19を操作つまみ21から遠ざかるように移動させると、渦巻ばね1の第2支持軸11に対する巻き締めが緩まり、ロッキング反力を小さくすることができる。さらに、本実施形態の反力調整機構5では、渦巻ばね1の外フック1bを支持するばね支持部41が、第2支持軸11を中心として円弧状に移動するので、第2支持軸11を中心として渦巻状を成す渦巻ばね1の巻き締め量をスムーズに調整することができ、操作つまみ21の回転に要する操作力が軽減される。さらに、2つのリンク40,40が同時に回転するので、ばね支持部41が傾くことなく移動し、2つの渦巻ばね1の巻き締め量を均等かつスムーズに調整することができる。この反力調整機構5によって、例えば本実施形態では、体重40kgから90kg程度の利用者までに対応し得るロッキング反力に適宜調整できるようにしている。
【0030】
尚、リンク40は、一端がばね支持部41に固定されると共に、他端が第2支持軸11に回転可能に取り付けられるものであっても良い。この場合、リンク40の回転に伴って、雄ねじ部22に対する姿勢を変化させる受具39に対応するために、例えば図5に示すように、受具39の底部39aに接触するスライド部材37の面37aを曲面状(例えば略半円状)に形成することが好ましい。これにより、受具39等に無理な負荷が作用することが防止され、ロッキング反力の調整をスムーズに行える。
【0031】
以上のように構成される本実施形態の椅子7では、次のようなロッキング(揺動)動作を行う。即ち、着座者が背凭れ3を後傾させると、第1支持軸9が長孔18内を後方(着座者の背面側)に移動し、座受部材10が着座者背面側に揺動する。これに伴ってアーム13も着座者背面側に回転し、アーム13と一体に第2支持軸11も回転する。第2支持軸11が回転することにより、第2支持軸11に一端が支持され且つ他端が変位部材19に係止されている渦巻ばね1が巻き締められる。これにより、座2及び背凭れ3を原位置に復帰する反力が渦巻ばね1に蓄積される。従って、背凭れ3を後傾する外力が解除されれば、渦巻ばね1の付勢力によって座2及び背凭れ3が原位置に復帰する。
【0032】
渦巻ばね1は、巻き締めることによりばね力を発生させるため、座2や背凭れ3の円弧運動による回転モーメントを直接的に利用できる。このため、座2や背凭れ3の円弧運動を直線運動に変換するためのリンクは不要であり、ロッキング機構の単純化、部品点数および組立工数の削減、ひいてはコスト低減に寄与する。さらに、渦巻ばね1は、渦巻状を成すが故に、トーションバーのように一方向に突出することなく即ち空間占有率を抑えつつ、目的のばね力を得ることができる。しかも、渦巻ばね1は、コンパクトでありながら、即ち空間占有率が小さいにもかかわらず、圧縮コイルばねやトーションバーと比較して、変位可能な範囲が大きい。従って、ロッキング機構をコンパクトな構成としつつ、座2や背凭れ3の揺動のストロークを長くしたり、ばね力の調整範囲を大きくすることが可能となる。
【0033】
加えて、渦巻ばね1は、ばね定数が圧縮コイルばねやトーションバーと比較して小さい。換言すれば、渦巻ばね1は、変位の増加に対する反力の増加が小さい。したがって、あたかもゴム材を用いた場合のように、着座者の背に負担がかからない軽く柔らかいロッキング感覚を得ることができる。しかも、本発明によれば、椅子7を廃棄する場合に、金属材料等と一体化されたゴム材を分別するといった手間や問題はない。
【0034】
また、渦巻ばね1は、変位の増加に対する反力の増加が小さいことから、ばね自体への負荷が少なく、耐久性も圧縮コイルばねやトーションバーと比較して高い。加えて、本実施形態のように、内フック1aを可動要素に取り付けることにより、外フック1bを可動要素に取り付ける場合よりも、被支持部材の揺動に対する渦巻ばね1の変位量が小さくなるため反力が小さくなり、ばね自体への負荷が少なく、渦巻ばね1の耐久性が向上する。
【0035】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、被支持部材の揺動に伴い回転する軸を、渦巻ばね1の一端が取り付けられる可動要素としたが、可動要素は回転軸には限らない。例えば、渦巻ばね1の中心側の端を例えば支持体4に固定された部材に取り付けておき、渦巻ばね1の外側の端を被支持部材と連動して揺動する部材(例えばアーム13の略中間に固定された部材、例えばピン31など)に取り付けるようにしても良い。
【0036】
また、反力調整機構5の構成は、上述の実施形態の例に限定されるものではない。例えば、不動要素としての変位部材19は、可動要素としての第2支持軸11を中心とした円弧を描くように変位するものに必ずしも限定されず、直線を描くように変位するものであっても良い。例えば、図6に示すように、変位部材19は、調整手段20の雄ねじ部22に螺合する雌ねじ部23と、雌ねじ部23の軸方向と直交する方向に雌ねじ部23の両側から突出して渦巻ばね1の外フック1bが引っ掛けられるばね支持部24とを備えるものであっても良い。2つの渦巻ばね1が雌ねじ部23を挟むように配置されているので、ばね支持部24と渦巻ばね1の外フック1bとが係合することにより、雌ねじ部23の回転が禁止される。したがって、操作つまみ21により雄ねじ部22を回転させることで、変位部材19が雄ねじ部22の長手方向に沿って移動し、これにより渦巻ばね1の巻き締め量が変化して、ロッキング反力の調整を行える。
【0037】
また、例えば渦巻ばね1の中心側の端を不動要素に取り付ける場合、反力調整機構5はこの不動要素を回転させて渦巻ばね1の巻き締め量を調整し且つ所望の巻き締め量の状態で不動要素を固定するものであっても良い。さらに、反力調整機構5は、必ずしも設けなくても良い。例えば安価型の椅子7を提供する場合等には、不動要素を単に移動不能に支持体4に固定された部材としても良い。
【0038】
また、渦巻ばね1の材質や寸法は上述の実施形態の例に限定されるものではない。目的の違いにより(例えば子供用椅子や医療用椅子など)、渦巻ばね1の材質や寸法を適宜選択することにより、目的に応じたばね力を得ることが可能である。また、椅子が備える渦巻ばね1の数は2つに限られるものではなく、目的に応じたばね力を得るために、1つであっても良く又は3つ以上であっても良い。
【0039】
また、椅子の構成は、図3に示すように、座2と背凭れ3が一体に構成された上述の実施形態に限らない。例えば、図7に示すように、上述のアーム13を背凭れ3まで延長させて背凭れ3を支持する背支桿13’とし、座2を座受部材10に取り付けて、背凭れ3を背支桿13’に取り付けるようにしても良い。図7に示す椅子7’は、脚8と、脚8の上端側に取り付けられる支持部材としての支持体4と、前方部分が第1支持軸9を介して支持体4に支持される座受部材10と、一端側が第2支持軸11を介して支持体4に取り付けられると共に略中間部が第3支持軸12を介して座受部材10の後方部分に連結される背支桿13’とを有して構成される所謂シンクロチルト機構の椅子である。また、座受部材10は、フレーム構造に限らず、シェル構造であっても良い。また、第1支持軸9と長孔18とを用いて座受部材10と支持体4とを連結する構成に限らず、一端が第2支持軸11と平行な回転軸により支持体4に連結されると共に、他端が第2支持軸11と平行な回転軸により座受部材10に連結されるリンクを用いて、当該リンクと、支持体4と、座受部材10と、アーム13(または背支桿13’)とで、座2および背凭れ3を揺動させる四節リンクを構成するようにしても良い。尚、当該リンクの、座受部材10および支持体4における取り付け位置は、特に前方、中央、後方のいずれに限定されるものではなく、座2および背凭れ3を揺動させ得るものであれば良い。さらに、ロッキング機構は、座2と背凭れ3の双方が揺動可能であるものには限らない。例えば座2が固定され、背凭れ3のみが揺動可能であっても良い。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の椅子のロッキング機構によれば、被支持部材を原位置に復帰させるために渦巻ばねを用いているので、座や背凭れの円弧運動による回転モーメントを直接的に利用でき、座や背凭れの円弧運動を直線運動に変換するためのリンクは不要となる。これにより、ロッキング機構の単純化、部品点数および組立工数の削減、コスト低減に寄与する。さらに、渦巻ばねは、トーションバーのように一方向に突出することがないので、空間占有率を抑えることができる。しかも、渦巻ばねは、コンパクトでありながら、圧縮コイルばねやトーションバーと比較して、変位可能な範囲が大きい。従って、ロッキング機構をコンパクトな構成としつつ、座や背凭れの揺動のストロークを長くしたり、ばね力の調整範囲を大きくすることが可能となる。加えて、渦巻ばねは、変位の増加に対する反力の増加が小さく、あたかもゴム材を用いた場合のように、着座者の背に負担がかからない軽く柔らかいロッキング感覚を得ることができる。しかも、椅子を廃棄する場合に、金属材料等と一体化されたゴム材を分別するといった手間や問題はない。
【0041】
また、請求項記載の椅子のロッキング機構によれば、不動要素を変位させて渦巻ばねの復帰力を調整するようにしているので、被支持部材が原位置にある場合における渦巻ばねの巻き締め量を変化させて、ロッキング反力の大きさを調整することができる。
【0042】
さらに、請求項記載の椅子のロッキング機構によれば、回転軸の回転モーメントを渦巻ばねの復帰力の蓄積に直接的に利用でき、また、渦巻ばねは軸に巻き付くように配置されるので、トーションバーのように一方向に突出することがなく、コンパクトな構成となる。
【0043】
さらに、請求項記載の椅子のロッキング機構によれば、渦巻ばねの一端が取り付けられる不動要素が、渦巻ばねの他端が取り付けられる可動要素としての軸を中心とした円弧を描くように変位するので、渦巻ばねの巻き締め量をスムーズに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の椅子のロッキング機構の実施の一形態を示す概略側面断面図であり、図2のI−I線で切断した断面を示す。
【図2】上記椅子のロッキング機構の概略平面図である。
【図3】上記椅子の概略側面図である。
【図4】上記椅子のロッキング機構の概略分解組立斜視図である。
【図5】上記椅子のロッキング機構の不動要素の他の態様の一例を示し、不動要素近傍を示す概略中央側面断面図である。
【図6】上記椅子のロッキング機構の不動要素の更に他の態様の一例を示し、不動要素近傍を示す概略側面断面図である。本図の切断面は、図1の切断面と対応する。
【図7】本発明の椅子のロッキング機構の他の実施形態を示し、椅子の他の態様を示す概略側面図である。
【図8】従来の椅子のロッキング機構を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1 渦巻ばね
2 座
3 背凭れ
4 支持体(支持部材)
7 椅子
11 第2支持軸(可動要素)
19 変位部材(不動要素)

Claims (2)

  1. 脚と該脚の上端側に取り付けられる支持部材と該支持部材に支持される被支持部材とを有する椅子であって座と背凭れの一方または双方を有する前記被支持部材を前記支持部材にて揺動可能に支持する椅子のロッキング機構において、該ロッキング機構の可動要素に一端が取り付けられると共に該ロッキング機構の不動要素に他端が取り付けられて前記座や前記背凭れを原位置に復帰させる力を付勢する少なくとも1つの渦巻ばねを前記支持部材の内部に有し、前記可動要素は前記被支持部材の揺動に伴い回転する軸であり、前記渦巻ばねの一端は該軸に巻き付くように配置されてなり、前記被支持部材が前記原位置から揺動することによって前記被支持部材を前記原位置に復帰させる力を前記渦巻ばねに蓄積させるようにし、さらに、前記不動要素を変位させて前記渦巻ばねの復帰力を調整するようにしたことを特徴とする椅子のロッキング機構。
  2. 前記不動要素は、前記可動要素としての軸を中心とした円弧を描くように変位することを特徴とする請求項記載の椅子のロッキング機構。
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