JP4107925B2 - 中継ポンプ槽 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、台所や厨房等におけるディスポーザなどの排水源からの排水を受け入れる中継槽内に、排水を排水処理装置へ排出するためのポンプとフロートスイッチとを備えた中継ポンプ槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、流し台のシンクに取り付けられたディスポーザからの排水を屋外に設置された排水処理装置に流し込む場合、ディスポーザの排出口より排水処理装置の流入口が低い場合には、ディスポーザの排出口と排水処理装置の流入口を直接配管で接続すれば、ディスポーザからの排水を自然流下により排水処理装置に流し込むことができる。
【0003】
しかし、ディスポーザの排出口と排水処理装置の流入口が略同じ高さか、あるいは、ディスポーザの排出口より排水処理装置の流入口の方が高い場合には、自然流下を利用することができないので、間に中継ポンプ槽を介在させる必要がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図4は、上記特許文献1に開示された排水処理システムの全体構成を示すシステム構成図であり、図において、屋内のシンク1の排水口にはディスポーザ2が取り付けられており、このディスポーザ2に給水管3が接続され、この給水管3には給水弁4が取り付けられている。
【0005】
ディスポーザ2の排出口に接続された排水管6には、途中に封水のためのU字状のトラップ6aが形成されて、屋外に埋設された中継槽7に配管され、中継槽7の側壁上部にその流入口7aが形成されている。中継槽7内には圧送ポンプ8とフロートスイッチ9が設けられており、圧送ポンプ8の吐出口に接続された吐出管10が中継槽蓋7bを貫通して地上に設置された排水処理装置11に接続されている。
【0006】
上記排水処理装置11で浄化処理された処理水は、排水処理装置11の近傍に埋設された下水ます12に配管13を介して排出される。この下水ます12には下水管14が接続されており、上記排水処理装置11から排出された処理水は下水管14を介して下水道に放流されるようになっている。
【0007】
また、前記中継槽7の側壁には、ディスポーザ2からの排水の流入口7aよりも低い位置で、かつ圧送ポンプ8やフロートスイッチ9の正常動作時における中継槽7の最高水位よりも高い位置に排出口7cが形成されており、この排出口7cに接続された配管15がやや下り勾配を持たせて前記下水ます12に接続されている。
【0008】
また、前記下水ます12に設けられた下水管14の排出口14aは、下方に折曲形成して常時水没するように構成することにより、封水トラップ14bが設けられており、下水管14からの臭気や害虫の進入を防げるようになっている。
【0009】
以上のような従来例においては、台所の流し台のシンク1に備えられたディスポーザ2から排水管6を介して通常の台所排水や粉砕生ごみ排水が中継槽7に送られ、中継槽7内に設けられたフロートスイッチ9が所定以上の水位を検知すると、制御部により圧送ポンプ8の運転が開始されて、中継槽7内の台所排水や粉砕生ごみ排水が吐出管10を介して排水処理装置11に送られる。
【0010】
排水処理装置11に送られた台所排水や粉砕生ごみ排水の各排水は、排水処理装置11内部を巡って一定時間後に処理済み排水となって配管13から下水ます12,下水管14へと排水される。また、フロートスイッチ9で中継槽7内の水位が一定以下になったのを検知すると、制御部により圧送ポンプ8の運転が停止され、排水処理装置11への送水を止める。
【0011】
また、停電等で圧送ポンプ8が動作せず、ディスポーザ2が使用できない場合でも、通常の台所排水が流せなくなると困るので、中継槽7の側壁にはオーバーフロー用の排出口7cが形成されており、台所排水が流入して水位が正常時の最高水位を超えてオーバーフロー用排出口7c位置まで上昇すると、この排出口7cから自然流下によりオーバーフロー配管15を介して下水ます12に流出し、下水管14に流される。これにより、中継槽7から地上に排水が溢れたり、台所のシンク1から水が抜けなくなるといった不具合が生じないようになっている。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−186987号公報(図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来はフロートスイッチ9により中継槽7の水位を検出して、圧送ポンプ8の運転を開始させたり停止させているが、フロートスイッチ9に磁気を利用したもの,具体的には安価で使い易いマグネットとリードスイッチを用いたものを使用すると、以下のような問題が生じる畏れがある。
【0014】
図5は、その場合の図4の要部拡大図であり、流入口7aから排水が流入し、水位WLが上昇すると、図6に示すようにフロートスイッチ9が浮上し、その内部のマグネット9aが移動してリードスイッチ9bの接点をオンにする。これにより、圧送ポンプ8が運転を開始して徐々に水位WLが低下する。
【0015】
ところが、図7に示すように、圧送ポンプ8に内蔵されたモータによる磁場MFにより、フロートスイッチ9が影響を受け、その結果、水位WLが所定の低水位まで低下しているのにフロートスイッチ9のリードスイッチ9bがオンのままで、フロートスイッチ9が浮上したままであるかのように読み取ってしまい、いつまでも圧送ポンプ8の運転が継続して、圧送ポンプ8の寿命が短くなったり、電気代が増大するといった問題が生じる。
【0016】
一方、上述したようにフロートスイッチ9を中継槽7の槽壁に単独で直接取り付けるのではなく、図8に示すように圧送ポンプ8に棒状の取付部材8aを設けて、これにフロートスイッチ9を取り付けることもできる。
【0017】
図8に示すような場合は、棒状の取付部材8aによりフロートスイッチ9が圧送ポンプ8より離れているため、磁場MFの影響を受けない。よって、図9に示すように水位WLが下がると、フロートスイッチ9のリードスイッチ9bは磁場MFの影響を受けずにオフするので、水位WLの低下を正しく検知することができる。
【0018】
しかし、この場合は、フロートスイッチ9の位置が高くなることから、図10に示すように、フロートスイッチ9がオンになって圧送ポンプ8が動作を始める水位WLから排出口7cよりオーバーフロー配管15へ槽内の排水が流出するまでの安全容積SC(網掛けで図示)が減少してしまう。もし、図4〜図7の場合と同じ安全容積を確保するためには、フロートスイッチ9が高くなった分だけ中継槽7を深くしなければならない。さもないと、流入口7aからの時間当たりの流入排水量が圧送ポンプ8の時間当たりの汲み上げ量よりも多い場合などは、ディスポーザ2による粉砕生ごみ排水が排水処理装置11で浄化処理されぬままにオーバーフロー配管15から下水ます12,下水管14を介して公共下水道へ流出してしまうという問題が生じる。
【0019】
ところが、中継槽7を深くするためには、施工時にさらに穴を深く掘る作業を強いられることになる。また、図4〜図7の場合で中継槽7の直径を大きくすれば、フロートスイッチ9と圧送ポンプ8の距離を取ることができ、フロートスイッチ9が磁場MFの影響を受けぬ部位に設置することができるが、これも施工時に大きな穴を掘るために多大な労力が必要なばかりか、設置する場所が広い必要があり、設置場所にも制限が出てくる。
【0020】
そこで、本願発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、マグネットとリードスイッチのような磁気を利用したフロートスイッチを使用しても、ポンプのモータ磁場による誤動作や上述したような種々の不具合が生じない中継ポンプ槽を提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本願発明は、排水源からの排水を受け入れる中継槽内に、排水を排水処理装置へ排出するためのポンプとフロートスイッチとを備え、このフロートスイッチの出力に基づき制御手段によって前記ポンプの運転が制御される中継ポンプ槽において、前記フロートスイッチに磁気を利用したものを使用すると共に、前記制御手段は、前記フロートスイッチの出力に基づき中継槽内の水位が所定以上となったときに前記ポンプの運転を開始する一方、所定時間毎にポンプの運転を停止して前記フロートスイッチの出力に基づきポンプの運転を制御することを特徴とするものである。
【0022】
また、前記フロートスイッチとして、マグネットとリードスイッチを用いたものを使用することを特徴とするものである。
【0023】
また、前記フロートスイッチをポンプに直接取り付けたことを特徴とするものである。
【0024】
また、前記排水源が、台所や厨房等における流し台のシンクに取り付けられたディスポーザであることを特徴とするものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の一実施形態を図1〜図3を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1,図2は、本願発明に係る中継ポンプ槽の一実施形態の構成及び作用を示す縦断面図であり、前記図4〜図10と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0027】
本実施形態の中継ポンプ槽は、上中下3部品から成って地中に埋設される中継槽7の中部品の上部に、前記図4に示したようなディスポーザ2からの排水管6が連結される流入口7aと、オーバーフロー管15が連結される排出口7cが形成されると共に、圧送ポンプ8からの吐出管10が貫通して外側に配管され、図4に示したような排水処理装置11に接続されている。
【0028】
また、地上に露出する中継槽蓋7bには、先端開口が下向きに形成された空気抜き管71が取り付けられると共に、圧送ポンプ8に電力を供給するための電源コード8cとフロートスイッチ9の信号コード9cが貫通するように配線されている。
【0029】
そして、本実施形態においては、マグネット9aとリードスイッチ9bを用いたフロートスイッチ9を中継槽7の底部に設置される圧送ポンプ8に直接取り付けると共に、図示しない制御部を構成するマイクロコンピュータによって、図3のフローチャートで示すような制御を実行するようにしたものである。
【0030】
すなわち、電源が投入されて図3のフローチャートで示す制御が開始すると、先ず、フロートスイッチ9の出力を読み取る(処理101)。そして、フロートスイッチ9がオンになっているか否かをチェックし、オンになっていなければ上記を繰り返す(判断102のN→処理101のループ)。
【0031】
図1に示すように、中継槽7内の水位WLが所定の高水位まで上昇したのをフロートスイッチ9の出力がオンになったことにより検知すると、圧送ポンプ8の運転を開始し(判断102のY→処理103)、中継槽7内の排水を汲み上げて図4に示したような排水処理装置11に送る。
【0032】
そして、所定時間が経過するのを待って(判断104のNループ)、圧送ポンプ8の運転を停止してからフロートスイッチ9の出力を読み取る(判断104のY→処理105→処理101)。このフロートスイッチ9の出力読取り時には、圧送ポンプ8内のモータが停止しており、図1に示したような磁場MFは図2に示すように発生しないため、フロートスイッチ9が圧送ポンプ8に直接取り付けられていても誤動作のない正確な状態を読み取ることができる。
【0033】
このフロートスイッチ9の出力読取りによって、出力がオンのままであれば、まだ中継槽7内の水位WLが所定の低水位まで下がっていないことになるので、再度、圧送ポンプ8を所定時間運転する(判断102のY→処理103→判断104のY→処理105)。
【0034】
そして、圧送ポンプ8の運転停止後のフロートスイッチ9の出力読取りによって、出力がオフになっていれば(処理105→処理101→判断102のN)、中継槽7内の水位WLが確実に所定の低水位まで下がったことになるので、圧送ポンプ8の運転を停止したままフロートスイッチ9の出力読取りと出力チェックを繰り返す(処理101→判断102のNループ)。
【0035】
なお、上記の制御においては、圧送ポンプ8の運転開始と停止を繰り返すことになるが、この繰り返しにより圧送ポンプ8の寿命が短くならないように運転開始から運転停止までの所定時間を設定するようにする。すなわち、フロートスイッチ9がオンして圧送ポンプ8の運転を開始してから、運転中に排水の流入がなければ運転を停止すべき低水位に下がるまでの時間は予め実測することができるので、この時間を考慮して出来るだけ少ない運転回数で済むように運転開始から運転停止までの所定時間を設定する。
【0036】
以上のように、本実施形態では、圧送ポンプ8が運転されているときは、図1に示すように圧送ポンプ8の内蔵モータによる磁場MFが発生しているので、フロートスイッチ9の出力は読み取らず、図2に示すように磁場発生のない圧送ポンプ8の停止時にフロートスイッチ9の出力を読み取って判定することにより、フロートスイッチ9の誤動作のない正確な状態を検出することができる。
【0037】
従って、水位WLが十分に低下しているのにも拘わらずフロートスイッチ9の誤動作で、いつまでも圧送ポンプ8の運転が継続して、圧送ポンプ8の寿命が短くなったり、電気代が増大するといった不具合を防ぐことができる。
【0038】
また、フロートスイッチ9を圧送ポンプ8から離して取り付ける必要がないので、安全容積が減少してディスポーザ2による粉砕生ごみ排水が排水処理装置11で浄化処理されぬままにオーバーフロー配管15から公共下水道へ流出してしまったり、中継槽7を深くしたり直径を大きくして施工時の作業が大変になったり、設置場所が制限されるといった種々の不具合も生じなくなる。
【0039】
また、フロートスイッチ9として、マグネット9aとリードスイッチ9bを用いたものを誤動作なく使用することができるので、安価で、使い易いといった利点も得られる。
【0040】
また、フロートスイッチ9を圧送ポンプ8に直接取り付けても誤動作なく使用することができるので、施工時には、地上で圧送ポンプ8の所定位置にフロートスイッチ9を取り付けてから、埋設された中継槽7内に圧送ポンプ8を設置すれば、フロートスイッチ9も中継槽7内の所定の高さに自動的に配置されるので、施工時の作業が容易になる。
【0041】
また、本実施形態のように、排水源が流し台のシンク1に取り付けられたディスポーザ2である場合、粉砕生ごみが多量に流入して、圧送ポンプ8の寿命が短くなりやすいので、特に効果的である。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本願発明によれば、排水源からの排水を受け入れる中継槽内に、排水を排水処理装置へ排出するためのポンプとフロートスイッチとを備え、このフロートスイッチの出力に基づき制御手段によってポンプの運転が制御される中継ポンプ槽において、フロートスイッチに磁気を利用したものを使用すると共に、前記制御手段は、フロートスイッチの出力に基づき中継槽内の水位が所定以上となったときにポンプの運転を開始する一方、所定時間毎にポンプの運転を停止してフロートスイッチの出力に基づきポンプの運転を制御するようにしたことにより、磁気を利用したフロートスイッチを使用しても、ポンプの内蔵モータによる磁場発生のないポンプ停止時に検知されるフロートスイッチの誤動作のない正確な状態に基づき、ポンプの運転を制御できるので、水位が十分に低下しているのにも拘わらずフロートスイッチの誤動作で、いつまでもポンプの運転が継続して、圧送ポンプの寿命が短くなったり、電気代が増大するといった種々の不具合を防ぐことができる。
【0043】
また、前記フロートスイッチとして、マグネットとリードスイッチを用いたものを使用することにより、誤動作なく使用することができる共に、安価で、使い易いといった利点も得られる。
【0044】
また、前記フロートスイッチをポンプに直接取り付けたことにより、誤動作なく使用することができると共に、施工時には、地上でポンプの所定位置にフロートスイッチを取り付けてから、埋設された中継槽内にポンプを設置すれば、フロートスイッチも中継槽内の所定の高さに自動的に配置されるので、施工時の作業が容易になる。
【0045】
また、前記排水源が、台所や厨房等における流し台のシンクに取り付けられたディスポーザである場合、粉砕生ごみが多量に流入して、ポンプの寿命が短くなりやすいので、特に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態に係わる中継ポンプ槽の構成及び作用を示す縦断面図。
【図2】同じく実施形態の中継ポンプ槽の構成及び作用を示す縦断面図。
【図3】上記実施形態の制御例を示すフローチャート。
【図4】従来の中継ポンプ槽を用いた排水処理システムの全体構成例を示すシステム構成図。
【図5】フロートスイッチにマグネットとリードスイッチを用いたものを使用した場合の上記図4の要部拡大縦断面図。
【図6】同じく、作用を示す縦断面図。
【図7】同じく、課題を示す縦断面図。
【図8】圧送ポンプに棒状の取付部材を介してフロートスイッチを取り付けた場合の作用を示す縦断面図。
【図9】同じく、作用を示す縦断面図。
【図10】同じく、課題を説明するための縦断面図。
【符号の説明】
1 シンク
2 ディスポーザ
6 排水管
7 中継槽
7a 流入口
7c オーバーフロー排出口
8 圧送ポンプ
9 フロートスイッチ
9a マグネット
9b リードスイッチ
10 吐出管
11 排水処理装置
WL 水位
MF 磁場
Claims (4)
- 排水源からの排水を受け入れる中継槽内に、排水を排水処理装置へ排出するためのポンプとフロートスイッチとを備え、このフロートスイッチの出力に基づき制御手段によって前記ポンプの運転が制御される中継ポンプ槽において、
前記フロートスイッチに磁気を利用したものを使用すると共に、前記制御手段は、前記フロートスイッチの出力に基づき中継槽内の水位が所定以上となったときに前記ポンプの運転を開始する一方、所定時間毎にポンプの運転を停止して前記フロートスイッチの出力に基づきポンプの運転を制御することを特徴とする中継ポンプ槽。 - 前記フロートスイッチとして、マグネットとリードスイッチを用いたものを使用することを特徴とする請求項1記載の中継ポンプ槽。
- 前記フロートスイッチをポンプに直接取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の中継ポンプ槽。
- 前記排水源が、台所や厨房等における流し台のシンクに取り付けられたディスポーザであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の中継ポンプ槽。
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