JP4107108B2 - 画像処理方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誤差拡散法を適用して擬似中間調表現を行うための画像処理方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーザプリンタまたは複写機などにおいて、写真画像などの中間調の原画像を忠実に再現するために、ディザ法又は誤差拡散法などの低値化処理法が用いられている。
【0003】
誤差拡散法は、写真画像などの中間調の原画像を低値化して再現することができる擬似中間調表現法の一つである。誤差拡散法では、原画像の階調レベルを一定の閾値によって低値化データに低値化し、注目画素の濃度値(データ値)とそれに対応する低値化データの濃度値との誤差を一定範囲の複数の周辺画素に重み付けして分配する。誤差拡散法によると、原画像の濃度が保たれるので比較的忠実な画像を得ることができる。ディザ法と比較しても、解像度および階調性ともに優れる。
【0004】
しかし、誤差拡散法によった場合は、画像の粒状性が悪いという欠点がある。特に、ハイライト部(低濃度部分)における粒状性の悪さが目立ち、これが画像全体の画質を低下させることとなる。これは、ハイライト部において、ある特定方向にドットがつながったテクスチャが発生することに起因する。そのようなテクスチャは一般にワームノイズと呼ばれている。
【0005】
また、誤差拡散法では、特定の階調においてパターンが整然と配列され、これによって擬似階調が発生し、例えば画像の階調に段差ができてその境界部分に直線が存在するかのように見えることがある。
【0006】
このような欠点を補うために、入力データにランダムノイズを重畳することが行われている(特開2000−287086)。
【0007】
【特許文献】
特開2000−287086
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上に述べた文献に記載の方法によると、入力される画素データの階調レベルに応じてランダムノイズを生成し、画素データが多値誤差拡散処理される前に、ランダムノイズを画素データに重畳する。
【0009】
この従来の方法によると、ある程度の改善効果は得られるが、ハイライト部の様にドットがまばらに分布している画像(低周波画像)に対しては、スクリーンのような高周波ノイズを単純に重畳するだけでは変調効果が得られず、ワームノイズをなくすことができない。
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、誤差拡散法を適用した画像処理において、ハイライト部でのワームノイズの発生を防止し粒状性を改善することを目的とする。
【0011】
本発明に係る方法は、入力データに対して誤差拡散法を適用し階調数を低減した出力データを出力する画像処理方法であって、前記入力データの低濃度部分または高濃度部分に対し、2次元のサブマトリクスの要素であってデータ値が2次元的に所定の周期で繰り返されるノイズデータを前記入力データの注目画素にそれぞれ加え、その際に、前記入力データの注目画素の濃度値に応じて前記サブマトリクスのサイズが変更されこれによって前記ノイズデータの周期が変更されるようにし、前記入力データの低濃度部分におけるオンドットまたは高濃度部分におけるオフドットが、前記ノイズデータの特定のデータ値が配置された位置に現れるように誘導する。
【0012】
本発明に係る装置は、入力データに対して誤差拡散法を適用し階調数を低減した出力データを出力する画像処理装置であって、2次元のサブマトリクスの要素であってデータ値が2次元的に所定の周期で繰り返されるノイズデータからなり、かつ前記入力データの注目画素の濃度値に応じて前記サブマトリクスのサイズが変更されこれによって前記ノイズデータの周期が変更されるスクリーンノイズ、そのようなスクリーンノイズを生成するスクリーンノイズ生成部と、前記入力データに前記スクリーンノイズを加算するノイズ加算部と、を有し、前記入力データに前記スクリーンノイズを加算した画像データに対して誤差拡散処理を行い、前記入力データの低濃度部分におけるオンドットまたは高濃度部分におけるオフドットが、前記スクリーンノイズにおいて特定のデータ値が前記ノイズデータとして配置された位置に現れるように誘導するように構成される。
【0013】
好ましくは、前記スクリーンノイズのスクリーン角は、周期の変更にかかわらず一定である。
また、前記入力データは、Y、M、C、Kの各カラーのデータであり、前記スクリーンノイズのスクリーン角は、Y、M、C、Kの各カラーに対して互いに異なる。
【0014】
また、前記スクリーンノイズ生成部は、複数のノイズデータを格納するノイズテーブルと、前記ノイズテーブルからノイズデータを読み出すためのアドレスを前記入力データの注目画素の濃度値に応じて生成するアドレス生成部と、複数のゲインデータを格納するゲインテーブルと、前記ノイズテーブルから読み出したノイズデータに前記ゲインテーブルから読み出したゲインデータを掛け合わせて前記スクリーンノイズを出力する演算部とを有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る一実施形態の画像処理装置1を示すブロック図、図2は周期倍率テーブルTB1の例を示す図、図3は入力データD1と周期倍率MPとの関係の例を示すグラフ、図4はノイズテーブル112の読み出しのためのアドレスの例を示す図、図5はノイズテーブル112の例を示す図、図6はサブマトリクスSNMの例を示す図、図7はスクリーンノイズSNの例を示す図、図8はサブマトリクスSNMのノイズデータDNの実際のデータ値の例を示す図、図9はゲインテーブル113の例を示す図、図10は入力データD1のデータ値とゲインとの関係の例を示すグラフ、図11はスクリーンノイズSNの例を示す図である。
【0016】
図1に示す画像処理装置1は、256階調数(8ビット)の入力データ(入力画像データ)D1に対して誤差拡散処理を行い、それよりも階調数の低い2値の出力データ(出力画像データ)D4を出力する。出力データD4の階調数としては、出力装置の階調数に応じて、例えば、4階調(2ビット)、8階調(3ビット)、16階調(4ビット)などとしてもよい。
【0017】
このような画像処理装置1は、例えば、複写機、プリンタ装置、画像読取り装置、またはパーソナルコンピュータなどを用いた画像処理装置の一部の機能として用いられる。つまり、例えば、CCDイメージセンサ、A/D変換部、シェーディング補正部、log変換部、HVC変換部、UCR処理部、BP処理部、色補正部などを経由して出力されるカラーの入力データD1に対して誤差拡散処理を行い、出力データD4を出力する。出力データD4は、その後、例えば、γ補正部、印字位置制御部、D/A変換部などを経由してプリントエンジンに出力される。またはディスプレイ装置に出力される。
【0018】
さて、図1に示すように、画像処理装置1は、スクリーンノイズ生成部31、加算部32、比較部33、および誤差算出部34からなる。
本実施形態の画像処理装置1においては、誤差拡散処理を行うに当たり、入力データD1のハイライト部(低濃度部分)または高濃度部分に対し、データ値(濃度値、または階調値)が2次元的に所定の周期で繰り返されるノイズデータを加える。これにより、入力データD1のハイライト部におけるオンドット(黒ドットまたはカラードット)または高濃度部分におけるオフドット(白ドット)が、ノイズデータの特定のデータ値が配置された位置に周期的に現れるように誘導する。
【0019】
スクリーンノイズ生成部31は、スクリーンノイズを生成する。加算部32は、入力データD1にスクリーンノイズおよび誤差データを加算する。比較部33は、加算された入力データD3としきい値DSとを比較し、入力データD3が大きい場合に出力をオンし、小さい場合に出力をオフする。このオンオフの信号が出力データD4である。なお、出力データD4は、「H」と「L」または「1」と「0」の1ビットの状態値で表すこともできる。誤差算出部34は、2値化後の出力データD4と2値化前の入力データD3との誤差を算出する。
【0020】
図6に示すように、入力データD1に重畳されるノイズデータは、二次元のサブマトリクスSNMからなるスクリーンノイズである。図6に示す小さい方のサブマトリクスSNM1は、13個の要素(画素領域)からなり、基本となるサブマトリクス(基準サブマトリクス)である。大きい方のサブマトリクスSNM2は、縦横ともにサブマトリクスSNM1の2倍の大きさであり、52個の要素からなる。
【0021】
これらのサブマトリクスSNMは、図7に示すように、それぞれ隙間がないように繰り返して二次元的に配置される。これによって、入力データD1の画像領域の全体に重畳するスクリーンノイズSNが形成される。
【0022】
サブマトリクスSNMが繰り返される周期は、サブマトリクスSNM2の場合がサブマトリクスSNM1の場合の2倍である。基準サブマトリクスであるサブマトリクスSNM1の周期を基準とした場合に、つまりサブマトリクスSNM1の周期倍率を「1」とした場合に、サブマトリクスSNM2の周期倍率は「2」となる。
【0023】
また、図7によく示されるように、スクリーンノイズSNはスクリーン角を持っており、この例の場合は33.7度である。図7で分かるように、サブマトリクスSNMのサイズが異なってもスクリーン角は一定である。
【0024】
図6に示すサブマトリクスSNM1は、図5に示すノイズテーブル112の一部を切り取ったものと考えてよい。図5に示すノイズテーブル112は、水平方向(横方向またはx方向)および垂直方向(縦方向またはy方向)にそれぞれ0〜12のアドレスを有する13×13のサイズのマトリクス(ノイズマトリクス)である。マトリクスの各枡目(各画素)には、ノイズデータDNが格納されている。ノイズテーブル112からサブマトリクスSNM1を図7に示す配列のように切り出したときに、いずれのサブマトリクスSNM1も互いに同じ内容のノイズデータDNを同じ配置で有するように、ノイズテーブル112の各枡目のノイズデータDNのデータ値が決められている。
【0025】
したがって、ノイズテーブル112を右から左へ且つ上から下へとスキャンするように、ノイズデータDNを読み出すことによって、図7の左側に示すスクリーンノイズSN1のノイズデータDNを得ることができる。
【0026】
また、その際に、ノイズテーブル112の各枡目を2回ずつ重複して読み出すことにより、図7の右側に示すスクリーンノイズSN2のノイズデータDNを得ることができる。
【0027】
すなわち、ノイズテーブル112からノイズデータDNを読み出すためのアドレスの指定の仕方によって、サイズの異なるサブマトリクスSNMを得ることができ、且つ、周期の異なるスクリーンノイズSNを得ることができる。
【0028】
いずれの場合も、スクリーンノイズSNにおける各サブマトリクスSNMの右上の画素または画素群のノイズデータDNのデータ値(13)が最も大きいので、その位置(図7の黒ドットの位置)に対応する入力データD1が入力されたときに比較部33に入力される入力データD3の値が最も大きくなり、その位置に実際のドット(オンドット)が現れ易くなる。つまり、スクリーンノイズSNによって、各サブマトリクスSNMの右上の位置にドットが現れるように誘導される。
【0029】
また、スクリーンノイズSNにおける各サブマトリクスSNMの右下の画素または画素群のノイズデータDNのデータ値(1)が最も小さいので、その位置に対応する入力データD1が入力されたときに比較部33に入力される入力データD3の値が最も小さくなり、その位置に実際のオフドットが現れ易くなる。
【0030】
なお、ノイズテーブル112およびサブマトリクスSNMに示すノイズデータDNのデータ値として、1〜13までの数値が示されているが、これは説明のための便宜上の数値である。実際には、例えば図8に示すように、各サブマトリクスSNMにおいてノイズデータDNの値の平均値が「0」となるような数値が選定される。
【0031】
次に、画像処理装置1の各部について詳しく説明する。
図1において、スクリーンノイズ生成部31は、パラメータ格納部110、アドレス生成部111、ノイズテーブル112、ゲインテーブル113、および乗算器114からなる。加算部32は、ノイズ加算部121、および誤差加算部122からなる。誤差算出部34は、誤差積分部141、および減算器142からなる。
【0032】
パラメータ格納部110は、入力データD1のデータ値(濃度値)に対するスクリーンノイズの周期倍率MPについての情報である周期倍率テーブルTB、スクリーンノイズのマトリクスサイズについての情報、その他の情報またはパラメータを格納する。
【0033】
図2に示す周期倍率テーブルTB1は、データ値とスクリーンノイズの周期倍率MPとの対応を示すテーブルである。周期倍率テーブルTBによると、例えば、入力データD1のデータ値が「1」である場合に、周期倍率MPは「4.44」である。同様に、入力データD1のデータ値が「2」「3」「4」である場合に、周期倍率MPは「3.14」「2.56」「2.22」である。データ値が「1」〜「16」および「240」〜「255」の場合に、周期倍率MPが「1.1」を越える。データ値が「17」〜「239」の場合には周期倍率MPが「1.1」以下であり、特にデータ値が「20」〜「236」の場合には周期倍率MPが「1」である。
【0034】
これらの値は、次の(1)式に基づいて算出される。但し、算出された値に対して、下限が「1」となるようにクリップされている。
MPh=[256/(データ値×サブマトリクスの面積)]-2
MPs=[256/〔(256−データ値)×サブマトリクスの面積〕]-2……(1)
但し、MPhは、ハイライト側(データ値<128)の周期倍率
MPsは、シャドー側(データ値≧128)の周期倍率
なお、サブマトリクスの面積は、サブマトリクスSNMに含まれる画素数である。例えば、図6のサブマトリクスSNM1では面積が「13」であり、サブマトリクスSNM2では「52」である。
【0035】
また、これらの関係をグラフで示したものが図3である。
このように、周期倍率MPは入力データD1のデータ値に応じて変化する。そして、入力データD1のデータ値が「1」〜「16」および「240」〜「255」の場合に、それに対応する周期倍率MPによって生成されるサブマトリクスSNMの面積は、入力データD1の階調数である「256」に等しくなる。データ値が「17」〜「239」の場合には、生成されるサブマトリクスSNMの面積は、常に「13」となる。
【0036】
これによって、入力データD1のデータ値が「1」〜「16」であるハイライト部、および「240」〜「255」である高濃度部分(シャドー部)に対して、データ値に適切に対応したサイズのサブマトリクスSNMによるスクリーンノイズSNが重畳される。つまり、入力データD1のデータ値に応じてスクリーンノイズSNが最適化される。したがって、ハイライト部および高濃度部分においてドットに対する適切な変調がかけられ、ドットが連続してワームとならないよう、規則正しく分散して現れるよう、ドットの誘導が行われる。
【0037】
そして、入力データD1のデータ値が「20」〜「236」である中間部分に対しては、同じサブマトリクスSNM1によるスクリーンノイズSN1を重畳することにより、スクリーンノイズSNによる影響が余り現れないようになっている。
【0038】
なお、本実施形態では、入力データD1のデータ値に対応する周期倍率MPを周期倍率テーブルTBから読み出すようにしたが、周期倍率テーブルTBを設けることなく、上の(1)式に基づいてその都度算出するようにしてもよい。
【0039】
アドレス生成部111は、処理対象である入力データD1の注目画素の2次元アドレス(水平アドレスおよび垂直アドレス)と入力データD1のデータ値とに基づいて、上で説明したようにノイズテーブル112の読み出しのためのアドレスADを生成する。
【0040】
例えば、入力データD1のデータ値が「1」または「255」のときは、周期倍率テーブルTBから周期倍率「4.44」が得られるので、図4に示すように、ノイズテーブル112の各ノイズデータDNを平均して4.44回読み出すようなアドレスADが生成される。周期倍率MPが「2.56」の場合は、ノイズテーブル112の各ノイズデータDNを平均して2.56回読み出すようなアドレスADが生成される。なお、4.44回読み出すとは、4回の読み出しと5回の読み出しとを混合することによって、平均として4.44回の読み出しとなるようにすることである。しかし、例えば少数点以下を切り捨てて整数としてもよい。また、データ値が「20」〜「236」のときは、周期倍率MPが「1」であるので、ノイズテーブル112のノイズデータDNがそれぞれ1回ずつ読み出すように、アドレスADが入力データD1のアドレスに応じて1つずつインクリメントされる。
【0041】
これら、水平アドレスADhおよび垂直アドレスADvは、例えば次のようにして算出することができる。
すなわち、水平アドレスADhは、入力データD1の注目画素の水平アドレスを周期倍率MPで除し、その商をノイズテーブル112のマトリクスの水平サイズで除したときの余りの値とする。垂直アドレスADvは、入力データD1の注目画素の垂直アドレスを周期倍率MPで除し、その商をノイズテーブル112のマトリクスの垂直サイズで除したときの余りの値とする。
【0042】
なお、本実施形態では、ノイズテーブル112のマトリクスの水平サイズおよび垂直サイズはともに「13」である。周期倍率MPは、上に述べたように入力データD1のデータ値に応じて変化する。
【0043】
ところで、入力データD1の注目画素のデータ値が途中で変化した場合であっても、それぞれの時点での注目画素に対するアドレスADを算出し、算出したアドレスADによってノイズテーブル112を読み出す。つまり、例えば、入力データD1のデータ値が「1」であり、それに応じてテーブル112からデータを読み出しているときに、途中でデータ値が「2」に変わったとすると、アドレスADを0に戻すのではなく、その時点でのデータ値「2」に対するアドレスADを算出し、算出したアドレスADによってノイズテーブル112を読み出す。
【0044】
ゲインテーブル113は、入力データD1のデータ値に対するゲインGAについての情報を格納したテーブルである。つまり、図9に示すように、ゲインテーブル113には、データ値に対応したゲインGAが格納されている。例えば、入力データD1のデータ値が「1」の場合に、ゲインGAは「3」である。
【0045】
ノイズテーブル112から読み出されたノイズデータDNは、ゲインテーブル113から読み出されたゲインGAと、乗算器114によって掛け合わされる。したがって、ノイズデータDNの値は、入力データD1のデータ値に応じて可変される。つまり、ゲインテーブル113に設定された値によって、スクリーンノイズSNの振幅が可変される。本実施形態では、ハイライト部および高濃度部分においてスクリーンノイズSNの振幅が大きくなる。
【0046】
なお、ゲインテーブル113に設定されるゲインGAの値は、ハイライト部および高濃度部について中間濃度部よりも大きくすることが好ましいが、具体的な数値は実験的にまたは経験的に決めることができる。図10には入力データD1のデータ値とゲインGAとの関係がグラフで示されている。図10に示すように、グラフは変曲点がなく滑らかに変化する。入力データD1のデータ値の中央付近の特性によって、擬似中間調(濃度の段差)の発生が防止される。
【0047】
乗算器114から出力されたノイズデータDNaは、ノイズ加算部121において入力データD1と加算される。加算された入力データD2には、さらに誤差加算部122において誤差データが加算される。これが2値化前の入力データD3として比較部33に入力される。
【0048】
比較部33は、上に述べたように、入力データD3としきい値DSとを比較し、その大小に応じて出力をオンまたはオフする。減算器142において2値化後の出力データD4と2値化前の入力データD3との誤差を算出する。その際に、出力データD4と入力データD3との階調性を合わせるために出力データD4に対する適当倍数の乗算が行われる。誤差積分部141は、誤差を蓄積し、蓄積した誤差を注目画素の周辺画素に分散するようにして誤差加算部122に出力する。
【0049】
なお、比較部33および誤差算出部34による誤差拡散処理それ自体は公知であり、従来から行われている種々の手法または回路を適用することができる。
上に述べた処理が行われる結果、画像処理装置1から出力される出力データD4は、ハイライト部において、図7の黒ドットで示す位置となる。図7の左側に示すスクリーンノイズSN1に示される黒ドットは、各基準サブマトリクスにおいて1つずつ現れているので、入力データD1のデータ値が「16」の近辺のハイライト部における処理結果であるということになる。また、図7の右側に示すスクリーンノイズSN2に示される黒ドットは、周期倍率MPが「2」である各サブマトリクスSNM2において1つずつ現れているので、入力データD1のデータ値が「5」の近辺のハイライト部における処理結果であるということになる。
【0050】
このように、ハイライト部において、入力データD1のデータ値がどのような場合であっても、それに応じてオンドット(黒点)が規則正しく正しい密度で分散して現れることとなる。その結果、入力データD1に応じた正しい中間調表現が行われるとともに、従来においてハイライト部に生じていたドットの連続によるワームの発生が防止されることとなる。
【0051】
つまり、ハイライト部における入力データD1に対し、入力データD1に応じた周波数の周期性をもったスクリーンノイズSNを与えることにより、入力データD1による画像を再現するためのドットをスクリーンノイズSNの周期に合わせた配置となるように誘導して強制的に変えてしまうのである。
【0052】
また、ハイライト部とは逆である高濃度部分においても、ハイライト部と同様の原理によってドット(オフドット)の誘導が行われる。これによって正しい中間調表現が行われ、且つオフドットによるワームの発生を防止することができる。
【0053】
因みに、従来においてワームを除去できなかった理由は、ハイライト部においてはドットの密度が低く、したがって空間周波数が低いにも係わらず、それに合ったノイズを重畳することができなかったためであると考えられる。
【0054】
また、入力データD1のデータ値に応じてゲインGAが可変され、ノイズデータDNaが最適化されるため、誤差拡散処理によるドットの配列が正確で最適となる。このようにして、ハイライト部および高濃度部分における粒状性が改善される。また、入力データD1のデータ値に係わらず、スクリーンノイズSNのスクリーン角が一定であるため、ドットの配列方向が一定となり、ハイライト部の画質を向上することができる。これとともに、擬似階調(濃度の段差)の発生を防止することもできる。
【0055】
ところで、上に述べた画像処理は、カラー画像データの各カラーのデータに対して行われる。つまり、減法混色系において、入力データD1は、Y、M、C、Kの各カラーのデータである。したがって、上に述べた画像処理装置1は、各カラーに対して設けられる。そして、スクリーンノイズSNのスクリーン角は、Y、M、C、Kの各カラーに対して互いに異なるように、それぞれのスクリーンノイズSNが選択される。例えば、図11に示すように、各カラーについて種々のスクリーンノイズSNが用いられる。
【0056】
図11(A)(B)(C)(D)に示すスクリーンノイズSN11〜14において、それぞれのスクリーン角は、76度、63度、53度、45度である。このように、スクリーンノイズSNとして、種々のものを用いることができる。
【0057】
上に述べたように、本実施形態においては、誤差拡散処理において、入力データD1にスクリーンノイズSNを重畳するとともに、そのスクリーンノイズSNの周期および振幅を入力データD1のデータ値に応じて制御する。これによって、ハイライト部および高濃度部分でのワームノイズの発生を防止し粒状性を改善することができる。また、入力データD1のデータ値に応じてゲインGAが可変され、周波数が低くなるほどゲインGAが高くなるので、ドットの現れる位置が正確となる。
【0058】
上の実施形態において、周期倍率MPが1を越える場合、例えば周期倍率MPが2の場合には、最大値「13」を有するノイズデータDNが2つ現れるので、ドットはその2つのどちらかに現れることとなる。しかし、この程度の位置のずれは実用上問題とはならない。
【0059】
上の実施形態において、Y,M,C,Kの各カラーでのドットの位置は重ならないようにするのが望ましい。上で述べたように、各カラーでスクリーンノイズSNのスクリーン角を異ならせることによって、ドットの位置が原則として重ならないようにすることができる。また、上の例ではノイズテーブル112が13×13のものを用い、基準サブマトリクスとして13個の画素を持つものを用いたが、これ以外の種々のサイズのノイズテーブルおよび基準サブマトリクスを用いてよい。入力データD1が256階調である場合を説明したが、他の階調数の入力データD1に対しても適用することができる。
【0060】
上の実施形態においては、入力データD1が、Y、M、C、Kの減法混色系のカラーデータである場合について説明した。しかし、入力データD1が加法混色系であるR、G、Bのカラーデータであってもよい。その他、種々のカラー画像データに対して適用することができる。また、その場合に、全部のカラーに対して適用するのではなく、特定のカラーのみに対して上に述べた処理を適用するようにしてもよい。
【0061】
上に実施形態において、画像処理装置1の各部の処理内容は、ハードウエア回路により、または、CPUおよび適当なプログラムを記憶したメモリなどを用いてソフトウエアにより、またはそれらの組み合わせにより、実現することが可能である。その他、画像処理装置1の各部又は全体の構成、回路、個数、処理内容などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【0062】
本発明には以下の付記に記載する発明が含まれる。
[付記1]
前記スクリーンノイズの周期は、前記入力画像データの注目画素の濃度値が中間濃度部分である場合に短く設定され、低濃度部分および高濃度部分である場合に長く設定される、
請求項3または4記載の画像処理装置。
【0063】
【発明の効果】
本発明によると、誤差拡散法を適用した画像処理において、ハイライト部でのワームノイズの発生を防止し粒状性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の画像処理装置を示すブロック図である。
【図2】周期倍率テーブルの例を示す図である。
【図3】入力データと周期倍率との関係の例を示すグラフである。
【図4】ノイズテーブルの読み出しのためのアドレスの例を示す図である。
【図5】ノイズテーブルの例を示す図である。
【図6】サブマトリクスの例を示す図である。
【図7】スクリーンノイズの例を示す図である。
【図8】サブマトリクスのノイズデータの実際のデータ値の例を示す図である。
【図9】ゲインテーブルの例を示す図である。
【図10】入力データのデータ値とゲインとの関係の例を示すグラフである。
【図11】スクリーンノイズの例を示す図である。
【符号の説明】
1 画像処理装置
31 スクリーンノイズ生成部
32 加算部
33 比較部
34 誤差算出部
111 アドレス生成部
112 ノイズテーブル
113 ゲインテーブル
114 乗算器(演算部)
121 ノイズ加算部
D1 入力データ
D4 出力データ
DN ノイズデータ
SN スクリーンノイズ
Claims (6)
- 入力データに対して誤差拡散法を適用し階調数を低減した出力データを出力する画像処理方法であって、
前記入力データの低濃度部分または高濃度部分に対し、2次元のサブマトリクスの要素であってデータ値が2次元的に所定の周期で繰り返されるノイズデータを前記入力データの注目画素にそれぞれ加え、その際に、前記入力データの注目画素の濃度値に応じて前記サブマトリクスのサイズが変更されこれによって前記ノイズデータの周期が変更されるようにし、
前記入力データの低濃度部分におけるオンドットまたは高濃度部分におけるオフドットが、前記ノイズデータの特定のデータ値が配置された位置に現れるように誘導する、
ことを特徴とする画像処理方法。 - 前記ノイズデータを格納したノイズテーブルから、前記入力データの注目画素の濃度値に応じて変化する周期倍率に応じた回数を重複して前記ノイズデータを読み出すことにより、前記サブマトリクスのサイズを変更しこれによって前記ノイズデータの周期を変更する、
請求項1記載の画像処理方法。 - 入力データに対して誤差拡散法を適用し階調数を低減した出力データを出力する画像処理装置であって、
2次元のサブマトリクスの要素であってデータ値が2次元的に所定の周期で繰り返されるノイズデータからなり、かつ前記入力データの注目画素の濃度値に応じて前記サブマトリクスのサイズが変更されこれによって前記ノイズデータの周期が変更されるスクリーンノイズ、そのようなスクリーンノイズを生成するスクリーンノイズ生成部と、
前記入力データに前記スクリーンノイズを加算するノイズ加算部と、
を有し、
前記入力データに前記スクリーンノイズを加算した画像データに対して誤差拡散処理を行い、前記入力データの低濃度部分におけるオンドットまたは高濃度部分におけるオフドットが、前記スクリーンノイズにおいて特定のデータ値が前記ノイズデータとして配置された位置に現れるように誘導するように構成されてなる、
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記スクリーンノイズのスクリーン角は、前記ノイズデータの周期の変更にかかわらず一定である、
請求項3記載の画像処理装置。 - 前記入力データは、Y、M、C、Kの各カラーのデータであり、
前記スクリーンノイズのスクリーン角は、Y、M、C、Kの各カラーに対して互いに異なる、
請求項4記載の画像処理装置。 - 前記スクリーンノイズ生成部は、
複数のノイズデータを格納するノイズテーブルと、
前記ノイズテーブルからノイズデータを読み出すためのアドレスを前記入力データの注目画素の濃度値に応じて生成するアドレス生成部と、
複数のゲインデータを格納するゲインテーブルと、
前記ノイズテーブルから読み出したノイズデータに前記ゲインテーブルから読み出したゲインデータを掛け合わせて前記スクリーンノイズを出力する演算部と、
を有する請求項3ないし5のいずれかに記載の画像処理装置。
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