JP4107089B2 - シート形電子部品付icソケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高速ICやプロセッサのノイズ吸収、あるいはフィルタ等に使用されるシート形電子部品付ICソケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータや通信機器の高速化が進められている中で、これらに使用される電子部品の小型化や高周波対応化が要求されている。これに伴い電子部品の一つであるコンデンサについても大容量化、低インピーダンス化が必要となり、特に、コンピュータのCPU駆動用電源回路は、回路設計上、高周波対応としてノイズやリプル電流の吸収性が要求され、低ESR(等価直列抵抗)化、低ESL(等価直列インダクタンス)化、耐高リップル電流化、大容量化を実現することができる電解コンデンサが強く求められており、このような要求に対応するため、CPUの周辺にはCPUに近接する位置に小形のチップ形コンデンサが多数配置されているのが実態であった。
【0003】
図6はPentium(登録商標)4で代表されるCPU周りの構成を示したものであり、図6において1はCPUに代表されるIC、2はこのIC1の下面に設けられた接続用ピン、40はICソケット、41はこのICソケット40が半田付けされたプリント配線板であり、このように構成されたCPUに近接するようにチップ形コンデンサ42を実装しているものであった。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−130150号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来のCPU周りのコンデンサの実装状態では、IC1には478本の接続用ピン2があり、かつICソケット40のプリント配線板41上においてはIC1からの引き出し用の配線パターン(図示せず)が設けられているためにIC1周辺のチップ形コンデンサ42や図示しない他の電子部品の実装位置が遠ざかりつつあると共に、実装面積が不足しつつあるという問題を有していた。
【0007】
一方、CPUの動作周波数は上昇の一途をたどっており、ノイズ吸収及び電流供給のために大容量で低ESR、かつ低ESLのチップ形コンデンサ42をCPUにできるだけ近付けなければならないという相反する状況となっており、現行技術のみでは対応し切れなくなりつつあるというのが実態であった。
【0008】
その一要因として、CPUのICソケット40の高さが約3mm、ICソケット40からチップ形コンデンサ42までの距離が数十mmあるため、構造上CPUに対してラインインダクタンスが上昇し、結果として高周波になるほどインピーダンスが上昇し、高周波領域で低ESLのコンデンサの性能を十分に発揮できないことが挙げられる。
【0009】
本発明はこのような従来の課題を解決し、大容量で低ESLの電子部品をICのすぐ近傍で接続することにより、ICの周辺回路の実装面積を増やすことができるシート形電子部品付ICソケットを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、ICの接続用ピンが嵌まり込む貫通孔と、この貫通孔の中で上記ICの接続用ピンとの電気的接続が必要な貫通孔内に形成されたコンタクト部と、このコンタクト部を含む配線パターンと、この配線パターンに接続されたシート形電子部品とを備えて構成されたスライド部と、ICの接続用ピンが嵌まり込む貫通孔と、この貫通孔の中で上記ICの接続用ピンとの電気的接続が必要な貫通孔内に形成された固定接点部と、この固定接点部を含む配線パターンとを備えてプリント配線板に接合されたブラケット部からなり、このブラケット部にカムとレバーを設けることにより上記スライド部をブラケット部に対して摺動自在に係合した構成としたものであり、これにより、スライド部の貫通孔とシート形電子部品の貫通孔を一致させた状態でICの接続用ピンを貫通孔内に容易に挿抜することができ、また、使用状態では、スライド部の各貫通孔のコンタクト部と固定接点によりICの接続用ピンを挟み込む方向に弾性が働くため、接続用ピンをロックすると共にコンタクト部と接続用ピンの電気的接続を確実に行うことができるという作用効果を有する。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、ICの接続用ピンが嵌まり込む貫通孔と、この貫通孔の中で上記ICの接続用ピンとの電気的接続が必要な貫通孔内に形成されたコンタクト部と、このコンタクト部を含む配線パターンとを備えた導電性の陰極シートと、この陰極シートと同様に形成された導電性の陽極シートと、上記陰極シートと陽極シートの間に設けられた絶縁層と、上記陰極シートと陽極シートに一対の取り出し電極部が夫々接続された電子部品素子と、これらを一体に積層接合した状態で外表面の少なくとも一部を被覆した絶縁性の外装部材によりスライド部を構成したものであり、これにより、ICの接続用ピンの根元から電子部品素子を接続することができるため、電子部品素子とCPU間の配線によるESLを大幅に下げることができるという作用効果を有する。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、弾性を有する導電性シートにICの接続用ピンが嵌まり込む半円状の貫通孔と、この半円状の貫通孔に隣接したスリットを設けることにより、上記半円状の貫通孔とスリット間に弾性を有するコンタクト部を構成したものであり、これにより、ICの接続用ピンにピッチずれがあった場合でも、スリット部で応力を緩和することができるためにコンタクト部が湾曲し、ピッチずれを吸収することができるという作用効果を有する。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、弾性を有する導電性シートにICの接続用ピンが嵌まり込む内部に突起を備えた貫通孔を設け、この突起を折り曲げることにより弾性を有するコンタクト部を構成したものである。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、電子部品素子としてコンデンサ素子を用いたという構成にしたものであり、これにより、大容量で低ESLのコンデンサ素子の性能を十分に発揮することができるという作用効果を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、2、5に記載の発明について説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態1によるシート形電子部品付ICソケットとこの使用状態を示した分解斜視図であり、図1において1はCPUに代表されるIC、2はこのIC1の下面に設けられた接続用ピンを示し、このIC1として本実施の形態ではPentium(登録商標)4(2.8GHz)用のICパッケージで、478ピンのFC−PGA2を用いた例を示したものである。
【0017】
3は本発明のシート形電子部品付ICソケット(以下、ICソケットと呼ぶ)であり、このICソケット3は後述するシート形電子部品を備えたスライド部4と、プリント配線板13に半田付けされたブラケット部5に分割された構成となっており、上記スライド部4には上記IC1の接続用ピン2が貫通する貫通孔6が接続用ピン2に対応して複数設けられ、かつIC1の接続に必要な接続用ピン2が貫通する貫通孔6にのみ、接続用ピン2と導通するコンタクト部7(図中の黒色塗り潰し部分)が複数形成されている。
【0018】
また、上記ブラケット部5には上記スライド部4に設けられた貫通孔6と対応する貫通孔8が同様に設けられ、さらにスライド部4を図中の左右方向に摺動自在に係合保持するためのガイド9が図中の手前側と奥側(図示せず)に一対で対向して設けられると共に、このスライド部4の駆動機構として軸穴10と、この軸穴10を中心に回転するカム11と、このカム11を回転させるレバー12を設けた構成としているものである。
【0019】
図2は上記ICソケット3を構成するスライド部4の分解斜視図であり、図2において14はシート形電子部品22内に実装された電子部品素子としてのコンデンサ素子であり、このコンデンサ素子14は表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔15上に図示しない導電性高分子層を形成し、この上にカーボンと銀ペースト等からなる陰極層16を積層形成することにより構成されている。
【0020】
また、上記陽極箔15は陽極取り出し用配線を兼ねるSUSやバネ用リン青銅等の導電性の陽極シート17に溶接、あるいは銀やカーボンペースト等の導電性接着剤により接続されることにより、陽極側コンタクト部18を介してIC1の(陽極)接続用ピン2と接続されている。また、陰極層16は陰極取り出し用配線を兼ねるSUSやバネ用リン青銅等の導電性の陰極シート19に銀やカーボンペースト等の導電性接着剤により接続されることにより、陰極側コンタクト部20を介してIC1の(陰極)接続用ピン2と接続されており、さらに上記陽極シート17と陰極シート19は、その間に配設されたPET・PC・PVC・PA・PI・PAI等の高分子材料からなる絶縁シート21を介して絶縁され、これによりシート形電子部品22が構成されているものである。
【0021】
また、このように構成されたシート形電子部品22は上記ブラケット部5に摺動自在に係合保持されるスライドカバー23と絶縁シート24で被覆されることによりスライド部4が構成されているものである。
【0022】
このように構成された本実施の形態によるシート形電子部品付ICソケットの動作について図3を用いて説明すると、IC1の接続用ピン2をICソケット3に設けられた貫通孔6内に挿入し、この状態でスライド機構27を構成するレバー12を操作することによりカム11を図中の矢印方向に回転させる。これによりカム11がスライド部4に設けられた突起部25を図中の左方向に押し付けてスライド部4が同方向に移動し、図中の点線で示す位置まで移動する。その結果、固定接点部26と陽極側コンタクト部18、陰極側コンタクト部20が夫々IC1の接続用ピン2を挟み込んでロックすると共に、接続用ピン2と陽極側コンタクト部18、陰極側コンタクト部20が夫々接続されて電気的に導通するようになるものである。
【0023】
また、上記動作と逆の動作を行うことにより、上記固定接点部26と陽極側コンタクト部18、陰極側コンタクト部20によるIC1の接続用ピン2を挟み込んだロック状態を夫々解除して元の状態に戻すことができ、このロックが解除された状態においてはICソケット3からIC1の接続用ピン2を容易に抜き取ることができるものである。
【0024】
なお、図3において28はシート形電子部品22に設けられた凹部、29はプリント配線板13に実装された他の電子部品であり、上記凹部28はIC1の突起を避けるために設けられたものである。
【0025】
このように構成された本発明のシート形電子部品付ICソケットは、IC1の接続用ピン2の根元からコンデンサ素子14等の電子部品を接続することができるため、コンデンサ素子14等の電子部品とIC1間の接続距離を短くしてラインインダクタンスとライン抵抗を低く抑えることができるようになるものである。
【0026】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項3、4に記載の発明について説明する。
【0027】
図4(a)、(b)は本発明の実施の形態2によるシート形電子部品付ICソケットのコンタクト部の構成を示したものであり、同図において2はIC1の接続用ピン、6はこの接続用ピン2よりも大きく形成された接続用ピン2の貫通孔、8はICソケット3のブラケット部5に設けられた貫通孔である。30は弾性を有する導電性シートに形成された直線部を有する半円状の貫通孔、31はこの半円状の貫通孔30に隣接して形成されたスリット、32は半円状の貫通孔30とスリット31間に形成された弾性を有するコンタクト部である。
【0028】
このように構成されたコンタクト部32は、同図(b)に示すように、IC1の接続用ピン2を挿入してスライド部4が図中の矢印方向に移動した場合に貫通孔6と半円状の貫通孔30も同方向に移動するために接続用ピン2を挟んで弾性を有したコンタクト部32の両端は半円状の貫通孔30側に引張られるように変形するようになり、従って、この変形により接続用ピン2のピッチずれがあった場合でも弾性を有したコンタクト部32により接続用ピン2とコンタクト部32の接触が確実に行えるようになるものである。また、同図(a)の状態においてはブラケット部5の貫通孔8は接続用ピン2に接触していないため、接続用ピン2の挿抜が容易に行えるものである。
【0029】
図5(a)、(b)は同コンタクト部の他の例を示したものであり、同図において2はIC1の接続用ピン、6は接続用ピン2よりも大きく形成された接続用ピン2の貫通孔、8はICソケット3のブラケット部5に設けられた貫通孔である。33は弾性を有する導電性シート17に形成された内部に突起を有する貫通孔であり、この貫通孔33内に接続用ピン2を挿入して上記突起を折り曲げることにより弾性を有するコンタクト部34を構成するようにしたものである。19は対極側の導電性シートであり、接続用ピン2と導通しないように開口部35が大きく形成されている。21は一対の導電性シート17、19間の絶縁を保つための絶縁シート、23はスライドカバー、26は固定接点部である。
【0030】
このように構成されたコンタクト部34は、同図(b)に示すように、IC1の接続用ピン2を挿入してスライド部4が図中の矢印方向に移動した場合に貫通孔6と内部に突起を有する貫通孔33も同方向に移動するために、固定接点部26との間に接続用ピン2を挟んで弾性を有したコンタクト部34は外側に撓むように変形するようになり、従って、この変形により接続用ピン2のピッチずれがあった場合でも弾性を有したコンタクト部34により接続用ピン2とコンタクト部34の接触が確実に行えるようになるものである。また、同図(a)の状態においてはブラケット部5の貫通孔8と固定接点部26は接続用ピン2に接触していないため、接続用ピン2の挿抜が容易に行えるものである。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によるシート形電子部品付ICソケットは、ICの接続用ピンが嵌まり込む貫通孔と、この貫通孔の中で上記ICの接続用ピンとの電気的接続が必要な貫通孔内に形成されたコンタクト部と、このコンタクト部を含む配線パターンと、この配線パターンに接続されたシート形電子部品とを備えて構成されたスライド部と、ICの接続用ピンが嵌まり込む貫通孔と、この貫通孔の中で上記ICの接続用ピンとの電気的接続が必要な貫通孔内に形成された固定接点部と、この固定接点部を含む配線パターンとを備えてプリント配線板に接合されたブラケット部からなり、このブラケット部にカムとレバーを設けることにより上記スライド部をブラケット部に対して摺動自在に係合した構成としたことにより、スライド部の貫通孔とシート形電子部品の貫通孔を一致させた状態でICの接続用ピンを貫通孔内に容易に挿抜することができ、また、使用状態では、スライド部の各貫通孔のコンタクト部と固定接点によりICの接続用ピンを挟み込む方向に弾性が働くため、接続用ピンをロックすると共にコンタクト部と接続用ピンの電気的接続を確実に行うことができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるシート形電子部品付ICソケットとこの使用状態を示した分解斜視図
【図2】同ICソケットを構成するスライド部の分解斜視図
【図3】同シート形電子部品付ICソケットの正面断面図
【図4】(a)、(b)本発明の実施の形態2によるシート形電子部品付ICソケットのコンタクト部の構成を示した平面図
【図5】(a)、(b)同コンタクト部の他の例を示した平面図と断面図
【図6】従来のCPU周りの構成を示した分解斜視図
【符号の説明】
1 IC
2 接続用ピン
3 ICソケット
4 スライド部
5 ブラケット部
6、8 貫通孔
7、32、34 コンタクト部
9 ガイド
10 軸穴
11 カム
12 レバー
13 プリント配線板
14 コンデンサ素子
15 陽極箔
16 陰極層
17 陽極シート
18 陽極側コンタクト部
19 陰極シート
20 陰極側コンタクト部
21、24 絶縁シート
22 シート形電子部品
23 スライドカバー
25 突起部
26 固定接点部
27 スライド機構
28 凹部
29 他の電子部品
30 半円状の貫通孔
31 スリット
33 内部に突起を有する貫通孔
35 開口部
Claims (5)
- ICの接続用ピンが嵌まり込む貫通孔と、この貫通孔の中で上記ICの接続用ピンとの電気的接続が必要な貫通孔内に形成されたコンタクト部と、このコンタクト部を含む配線パターンと、この配線パターンに接続されたシート形電子部品とを備えて構成されたスライド部と、ICの接続用ピンが嵌まり込む貫通孔と、この貫通孔の中で上記ICの接続用ピンとの電気的接続が必要な貫通孔内に形成された固定接点部と、この固定接点部を含む配線パターンとを備えてプリント配線板に接合されたブラケット部からなり、このブラケット部にカムとレバーを設けることにより上記スライド部をブラケット部に対して摺動自在に係合したシート形電子部品付ICソケット。
- ICの接続用ピンが嵌まり込む貫通孔と、この貫通孔の中で上記ICの接続用ピンとの電気的接続が必要な貫通孔内に形成されたコンタクト部と、このコンタクト部を含む配線パターンとを備えた導電性の陰極シートと、この陰極シートと同様に形成された導電性の陽極シートと、上記陰極シートと陽極シートの間に設けられた絶縁層と、上記陰極シートと陽極シートに一対の取り出し電極部が夫々接続された電子部品素子と、これらを一体に積層接合した状態で外表面の少なくとも一部を被覆した絶縁性の外装部材によりスライド部を構成した請求項1に記載のシート形電子部品付ICソケット。
- 弾性を有する導電性シートにICの接続用ピンが嵌まり込む半円状の貫通孔と、この半円状の貫通孔に隣接したスリットを設けることにより、上記半円状の貫通孔とスリット間に弾性を有するコンタクト部を構成した請求項2に記載のシート形電子部品付ICソケット。
- 弾性を有する導電性シートにICの接続用ピンが嵌まり込む内部に突起を備えた貫通孔を設け、この突起を折り曲げることにより弾性を有するコンタクト部を構成した請求項2に記載のシート形電子部品付ICソケット。
- 電子部品素子としてコンデンサ素子を用いた請求項2に記載のシート形電子部品付ICソケット。
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