JP4093027B2 - シート形電子部品モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高速ICやプロセッサのノイズ吸収、あるいはフィルタ等に使用されるシート形電子部品モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータや通信機器の高速化が進められている中で、これらに使用される電子部品の小型化や高周波対応化が要求されている。これに伴い電子部品の一つであるコンデンサについても大容量化、低インピーダンス化が必要となり、特に、コンピュータのCPU駆動用電源回路は、回路設計上、高周波対応としてノイズやリプル電流の吸収性が要求され、低ESR(等価直列抵抗)化、低ESL(等価直列インダクタンス)化、耐高リプル電流化、大容量化を実現することができる電解コンデンサが強く求められており、このような要求に対応するため、CPUの周辺にはCPUに近接する位置に小形のチップ形コンデンサが多数配置されているのが実態であった。
【0003】
図6はPentium(R)4で代表されるCPU周りの構成を示したものであり、図6において1はCPUに代表されるIC、2はこのIC1の下面に設けられた接続用ピン、3はICソケット、4はこのICソケット3が半田付けされたプリント配線板であり、このように構成されたCPUに近接するようにチップ形コンデンサ34を実装しているものであった。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−130150号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来のCPU周りのコンデンサの実装状態では、IC1には478本の接続用ピン2があり、かつICソケット3のプリント配線板4上においてはIC1からの引き出し用の配線パターン(図示せず)が設けられているためにIC1周辺のチップ形コンデンサ34や図示しない他の電子部品の実装位置が遠ざかりつつあると共に、実装面積が不足しつつあるという問題を有していた。
【0007】
一方、CPUの動作周波数は上昇の一途をたどっており、ノイズ吸収及び電流供給のために大容量で低ESR、かつ低ESLのチップ形コンデンサ34をCPUにできるだけ近付けなければならないという相反する状況となっており、現行技術のみでは対応し切れなくなりつつあるというのが実態であった。
【0008】
その一要因として、CPUのICソケット3の高さが約3mm、ICソケット3からチップ形コンデンサ34までの距離が数十mmあるため、CPUに対してESLが上昇し、構造上高周波になるほどインピーダンスが上昇し、高周波領域で低ESLのコンデンサの性能を十分に発揮できないことが挙げられる。
【0009】
本発明はこのような従来の課題を解決し、大容量で低ESLの電子部品をICのすぐ近傍で接続することにより、ICの周辺回路の実装面積を増やすことができるシート形電子部品モジュールを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、電気的に接続できる弾性を有したコンタクト部を内側に設けた第1貫通孔と前記コンタクト部を含む配線パターンとを備えた基板に、電子部品素子を実装してなるシート形電子部品モジュール本体部と、この本体部の基板面に摺動自在に配設され、前記第1貫通孔のピッチに対応して設けられた第2貫通孔を備えたスライド板と、このスライド板の摺動を付勢する付勢手段とからなり、前記第1貫通孔と第2貫通孔に、ICの接続用ピンを挿通した際に、このピンを、スライド板の付勢により第1貫通孔と第2貫通孔の内面で挟み込んで前記コンタクト部に接触させるように構成したものである。
【0011】
この構成により、スライド板の第2貫通孔とシート形電子部品モジュール本体部の第1貫通孔を一致させた状態でICの接続用ピンを第1,2貫通孔に容易に挿抜することができ、また、使用状態では、スライド板の各第2貫通孔と各第1貫通孔内のコンタクト部にICの接続用ピンを挟み込む方向に弾性が働くため、接続用ピンをロックすると共にコンタクト部と接続用ピンの電気接続を確実に行うことができるという作用効果を有する。
【0012】
また、スライド板の摺動方向に弾性を有するコンタクト部を、第1貫通孔内に設けたものであり、この構成により、ICの接続用ピンにピッチずれがあった場合でも、コンタクト部の弾性によりピッチズレを吸収することができるという作用効果を有する。
【0013】
また、前記コンタクト部が、弾性を有する導電性シートに形成されており、この導電性シートに設けた半円状の第1貫通孔とその第1貫通孔に隣接したスリットとの間の部分で ある構成としたことにより、ICの接続用ピンにピッチずれがあった場合でも、スリット部が応力を緩和することができるためにコンタクト部が湾曲し、ピッチずれを吸収することができるという作用効果を有する。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明についても、請求項1に記載の発明により得られる作用効果と同様の作用効果を有する。特に、前記コンタクト部が、弾性を有する導電性シートに形成されており、この導電性シートに設けた第1貫通孔の内に備えた突起を折り曲げて弾性を有するようにした部分である構成としたことにより、接続用ピンを挟んで弾性を有したコンタクト部は、外側に撓むように変形し、接続用ピンのピッチずれがあった場合でも、そのピッチずれを吸収することができる。
【0015】
本発明の請求項3に記載の発明は、電子部品素子としてコンデンサ素子を用いた構成のものであり、この構成により、大容量で低ESLのコンデンサ素子の性能を十分に発揮することができるという作用効果を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の請求項1〜3に記載の発明について説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態1によるシート形電子部品モジュールとこの使用状態を示した分解斜視図である。
【0018】
図1において、1はCPUに代表されるIC、2はこのIC1の下面に設けられた接続用ピンを示し、このIC1として本実施の形態ではPentium(R)4(2.8GHz)用のICパッケージで、478ピンのFC−PGA2を用いた例を示したものである。3はICソケット、4はこのICソケット3が半田付けされたプリント配線板である。
【0019】
5は本発明のシート形電子部品モジュールであり、このシート形電子部品モジュール5には上記IC1の接続用ピン2が貫通する貫通孔6が複数設けられ、かつそれらの貫通孔6の中でIC1の接続に必要な接続用ピン102が貫通する第1貫通孔106にのみ、接続用ピン102と導通するコンタクト部7(図中の黒色塗り潰し部分)が複数形成された構成となっているものである。
【0020】
図2は同シート形電子部品モジュール5にIC1を組み合わせた場合の構成を示した断面図、図3は同シート形電子部品モジュール5の分解斜視図とIC1の斜視図である。
【0021】
図2において、8はシート形電子部品モジュール5内に実装された電子部品素子としてのコンデンサ素子であり、このコンデンサ素子8は表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔9上に導電性高分子層10と、カーボンと銀ペースト等からなる陰極層11を積層形成することにより形成されている。
【0022】
また、上記陽極箔9は、陽極取り出し用配線パターンと基板を兼ねるSUSやバネ用リン青銅等の導電性の陽極シート112に接続され、その陽極シート112の第1貫通孔106aの内面のコンタクト部133を介してIC1の陽極側接続用ピン102aと接続されている。
【0023】
さらに、陰極層11は、陰極取り出し用配線パターンと基板を兼ねるSUSやバネ用リン青銅等の導電性の陰極シート114に接続され、その陰極シート114の第1貫通孔106bの内面のコンタクト部115を介して他のIC1の陰極側接続用ピン102bと接続されている。
【0024】
このように構成されたコンデンサ素子8は、絶縁体のカバーシート16で密閉されることによって、本発明のシート形電子部品モジュール本体部105が構成されているものである。
【0025】
なお、絶縁体のカバーシート16には、第1貫通孔106a,106bに対応する位置に第3貫通孔116が設けられている。
【0026】
また、図3に示すように、17は、上面開放の箱形に形成されたスライド板、18はこのスライド板17の上端に対向して設けられたガイドであり、このガイド18がシート形電子部品モジュール本体部105の上面端部に載置されるようにしてスライド板17をシート形電子部品モジュール本体部105に装着することにより、電子部品スライド板17がシート形電子部品モジュール本体部105に対し、図3中の左右方向に摺動自在に保持されているものである。
【0027】
また、このスライド板17は、前記シート形電子部品モジュール本体部105に設けられた第1貫通孔106のピッチに対応して、第2貫通孔21を備えている。
【0028】
なお、この第2貫通孔21は、前記接続用ピン102よりも大きく形成されている。
【0029】
また、20は、付勢手段として用いたバネであり、このバネ20をスライド板17内のシート形電子部品モジュール本体部105との間に形成された空洞部であるバネ収納部19にバネ20を圧縮して挿入することにより、上記スライド板17が図3中の右側方向に、シート形電子部品モジュール本体部105が同左側方向に移動する力が発生するようになる。
【0030】
これにより、図2に示すように、スライド板17に設けられた第2貫通孔21と陽極シート112の第1貫通孔106a内のコンタクト部113とが、陽極側接続用ピン102aを挟み込み、また第2貫通孔21と陰極シート114の第1貫通孔106b内のコンタクト部115とが、陰極側接続用ピン102bを挟み込む構成となる。
【0031】
この構成において、バネ20を圧縮した状態では、接続用ピン102よりも大きく形成された第2貫通孔21が同左側方向に移動するため、極めて容易にシート形電子部品モジュール5の挿抜、入れ替えが可能になるものである。
【0032】
なお、図2において、22はバネ20を支える補強部、23はコンデンサ素子8の陰極層11の上下を貫通するように設けられたスルホールである。
【0033】
このように構成された本発明によるシート形電子部品モジュール5は、IC1とプリント配線板4の間に挟まれるように配設され、IC1の接続用ピン102をシート形電子部品モジュール5の第1貫通孔106を貫通させ、ICソケット3に装着することにより、コンタクト部113,115を含む全てのコンタクト部7を介してIC1とシート形電子部品モジュール5を導通させることができるものであり、簡単な構成で薄型化を図った電子部品モジュールを実現することができるものである。
【0034】
ここで、図4(a),(b)は本発明の実施の形態1によるシート形電子部品モジュール本体部105のコンタクト部113の構成の詳細を示した平面図である。
【0035】
図4において、102aは、IC1の陽極側接続用ピン、106aは、弾性を有する導電性の陽極シート112に形成された直線部を有する半円状の第1貫通孔、25は、この半円状の第1貫通孔106に隣接して形成されたスリット、113は、半円状の第1貫通孔106とスリット25の間に形成された弾性を有するコンタクト部、116は、カバーシート16に設けられた第3貫通孔であり、第1貫通孔106aに対応する位置にあり、陽極側接続用ピン102aよりも大きく形成されている。21は、スライド板17に設けられた第2貫通孔である。
【0036】
このように構成されたコンタクト部113は、図4(b)に示すように、IC1の陽極側接続用ピン102aを、第1〜3貫通孔に挿入し、スライド板17が図4中の矢印方向に移動した場合に、第2貫通孔21も同方向に移動するために、陽極側接続用ピン102aを挟んで弾性を有したコンタクト部113は、スリット25側に撓むように変形するようになる。
【0037】
従って、この変形により接続用ピン102のピッチずれがあった場合でも、弾性を有したコンタクト部113,115を含む全てのコンタクト部により、接続用ピンとコンタクト部の接触が確実に行えるようになるものである。
【0038】
また、図4(a)の状態においては、スライド板17の第2貫通孔21は、陽極側接続用ピン102aに接触していない。これによって、第1,2貫通孔への接続用ピンの挿抜が容易に行えるものである。
【0039】
図5(a),(b)は、陽極シ−トのコンタクト部の構成の他例を示したものである。
【0040】
図5において、102aは、IC1の陽極側接続用ピン、206aは、弾性を有する導電性の陽極シート212に形成され、その内部に突起を有する第1貫通孔であり、この第1貫通孔206a内に陽極側接続用ピン102aを挿入して上記突起を折り曲げることにより、弾性を有するコンタクト部213を構成するようにしたものである。
【0041】
なお、214は、対極側の弾性を有する導電性の陰極シートであり、この陰極シート214の第1貫通孔206bは、陽極シート212と導通する陽極側接続用ピン102aと導通しないように大きく形成されている。
【0042】
32は、一対の導電性シート212,214間の絶縁を保つための絶縁シート、116は、カバーシート16に設けた第3貫通孔であり、陽極側接続用ピン102aよりも大きく形成されている。21は、スライド板17に設けられた第2貫通孔である。
【0043】
このように構成されたコンタクト部213は、図5(b)に示すように、IC1の陽極側接続用ピン102aを挿入してスライド板17が図5中の矢印方向に移動した場合に、第2貫通孔21も同方向に移動するために、陽極側接続用ピン102aを挟んで弾性を有したコンタクト部213は外側に撓むように変形するようになる。
【0044】
従って、この変形により接続用ピン102のピッチずれがあった場合でも弾性を有したコンタクト部213を含む全てのコンタクト部により、接続用ピンとコンタクト部の接触が確実に行えるようになるものである。
【0045】
また、図5(a)の状態においては、スライド板17の第2貫通孔21は、陽極側接続用ピン102aに接触していない。これによって、第1,2貫通孔への接続用ピンの挿抜が容易に行えるものである。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明によるシート形電子部品モジュールは、電気的に接続できる弾性を 有したコンタクト部を内側に設けた第1貫通孔と前記コンタクト部を含む配線パターンとを備えた基板に、電子部品素子を実装してなるシート形電子部品モジュール本体部と、この本体部の基板面に摺動自在に配設され、前記第1貫通孔のピッチに対応して設けられた第2貫通孔を備えたスライド板と、このスライド板の摺動を付勢する付勢手段とからなり、前記第1貫通孔と第2貫通孔に、ICの接続用ピンを挿通した際に、このピンを、スライド板の付勢により第1貫通孔と第2貫通孔の内面で挟み込んで前記コンタクト部に接触させるようにした構成となっている。
【0047】
そして、前記コンタクト部が、弾性を有する導電性シートに形成されており、この導電性シートに設けた半円状の第1貫通孔とその第1貫通孔に隣接したスリットとの間の部分であることにより、または、導電性シートに設けた第1貫通孔の内に備えた突起を折り曲げて弾性を有するようにした部分であることにより、スライド板の第2貫通孔とシート形電子部品モジュール本体部の第1貫通孔を一致させた状態でICの接続用ピンを第1,2貫通孔に容易に挿抜することができる。また、使用状態では、スライド板の各第2貫通孔とシート形電子部品モジュール本体部の各第1貫通孔内のコンタクト部にICの接続用ピンを挟み込む方向に弾性が働くため、接続用ピンをロックすると共にコンタクト部と接続用ピンの電気接続を確実に行うことができる。さらにICの接続用ピンにピッチずれがあった場合でも、コンタクト部が変形、湾曲してピッチずれを吸収することができるという作用効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1によるシート形電子部品モジュールとこの使用状態を示した分解斜視図
【図2】 同シート形電子部品モジュールにICを組み合わせた場合の構成を示した断面図
【図3】 同シート形電子部品モジュールの分解斜視図とICの斜視図
【図4】 (a),(b)同シート形電子部品モジュールのコンタクト部の構成を示した平面図
【図5】 (a),(b)同シート形電子部品モジュールのコンタクト部の構成の他例を示した平面図および断面図
【図6】 従来のCPU周りの構成を示した分解斜視図
【符号の説明】
1 IC
2 接続用ピン
3 ICソケット
4 プリント配線板
5 シート形電子部品モジュール
6 貫通孔
7,113,115,213 コンタクト部
8 コンデンサ素子
9 陽極箔
10 導電性高分子層
11 陰極層
112,212 陽極シート
114,214 陰極シート
16 カバーシート
17 スライド板
18 ガイド
19 バネ収納部
20 バネ
21 第2貫通孔
22 補強部
23 スルホール
25 スリット
32 絶縁シート
102 接続用ピン
102a 陽極側接続用ピン
102b 陰極側接続用ピン
105 シート形電子部品モジュール本体部
106 第1貫通孔
106a,206a 陽極シートの第1貫通孔
106b,206b 陰極シートの第1貫通孔
116 第3貫通孔
Claims (3)
- 電気的に接続できる弾性を有したコンタクト部を内側に設けた第1貫通孔と前記コンタクト部を含む配線パターンとを備えた基板に、電子部品素子を実装してなるシート形電子部品モジュール本体部と、
この本体部の基板面に摺動自在に配設され、前記第1貫通孔のピッチに対応して設けられた第2貫通孔を備えたスライド板と、
このスライド板の摺動を付勢する付勢手段とからなり、
前記第1貫通孔と第2貫通孔に、ICの接続用ピンを挿通した際に、このピンを、スライド板の付勢により第1貫通孔と第2貫通孔の内面で挟み込んで前記コンタクト部に接触させるようにした構成のシート形電子部品モジュールにおいて、
前記コンタクト部が、弾性を有する導電性シートに形成されており、この導電性シートに設けた半円状の第1貫通孔とその第1貫通孔に隣接したスリットとの間の部分であることを特徴としたシート形電子部品モジュール。 - 電気的に接続できる弾性を有したコンタクト部を内側に設けた第1貫通孔と前記コンタクト部を含む配線パターンとを備えた基板に、電子部品素子を実装してなるシート形電子部品モジュール本体部と、
この本体部の基板面に摺動自在に配設され、前記第1貫通孔のピッチに対応して設けられた第2貫通孔を備えたスライド板と、
このスライド板の摺動を付勢する付勢手段とからなり、
前記第1貫通孔と第2貫通孔に、ICの接続用ピンを挿通した際に、このピンを、スライド板の付勢により第1貫通孔と第2貫通孔の内面で挟み込んで前記コンタクト部に接触させるようにした構成のシート形電子部品モジュールにおいて、
前記コンタクト部が、弾性を有する導電性シートに形成されており、この導電性シートに設けた第1貫通孔の内に備えた突起を折り曲げて弾性を有するようにした部分であることを特徴としたシート形電子部品モジュール。 - 電子部品素子としてコンデンサ素子を用いた請求項1または2に記載のシート形電子部品モジュール。
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