JP4106956B2 - 抽選券とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抽選に用いる番号類を隠蔽した抽選券(宝くじ等)、秘密情報を隠蔽したカード(プリペイド式テレホンカード等)の隠蔽部を除去すると隠蔽した情報が出てくる抽選券、カードに関するものであり、特に、機械にかけることによって初めて隠蔽層が除去できる抽選券、カードであって、ゲーム性を有する抽選券においては、追加でさらに先のゲームにチャレンジできる機能を有する抽選券に関する。
【0002】
【従来の技術】
隠蔽層で剥離可能な状態に隠蔽してなるくじ付き印刷物は、例えば、アルミ粉を用いたシルバー色のゴム系隠蔽インキを用いて、抽選情報部や秘密情報部を隠蔽し、誰でもがその場で抽選券(くじ)の情報をコイン等で削って情報を取り出していた。これは抽選情報が固定されていて既に当たりはずれが定っており、その確認のための開封(隠蔽層除去)を利用者がおこなうものである。
従来のくじ構成では、人間の手で簡単に開封できるという利便性もあったが、削る順番で抽選券の価値が変化するようなシステムに対しては、削っておいてまた隠蔽する等の不正が比較的容易にできるため使用できなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、機械による開封しかできないセキュリティ性の高い抽選券(くじ)であって、開封する順番で抽選券としての価値が変化するようなシステムに適応できる抽選券とその製造方法を提供することを課題とするものである
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、厚さ10μm以上の透明基材の一方の側に、該透明基材に近い側から少なくとも低融点金属薄膜層と透明性を有する保護層とが設けてあり、他方の側に、該透明基材に近い側から少なくとも抽選情報層と光反射層とが設けてあり、該抽選情報層には抽選に用いられる情報が記録されてあり、該低融点金属薄膜層は該保護層がある側から該情報を見えないようにする隠蔽性を有していることを特徴とする抽選券である。
【0005】
また、本発明は、上記発明による抽選券において、前記光反射層は前記抽選に用いられる情報を該光反射層がある側から見えないようにする隠蔽性も有していることを特徴とする抽選券である。
【0006】
また、本発明は、上記発明による抽選券において、前記他方の側には、前記透明基材に近い側から、少なくとも前記抽選情報と前記光反射層及び裏面隠蔽層が設けてあり、該裏面側隠蔽層は前記抽選に用いられる情報を該光反射層がある側から見えないようにする隠蔽性を有していることを特徴とする抽選券である。
【0007】
また、本発明は、上記いずれかの発明による抽選券において、前記低融点金属薄膜層は、前記保護層を介して加熱されることにより少なくとも一部が溶融し、前記保護層がある側から前記情報を見えないようにする前記隠蔽性を失うことを特徴とする抽選券である。
【0008】
また、本発明は、厚さ10μm以上のシート状の透明基材の一方の側に、該透明基材に近い側から、少なくとも低融点金属薄膜層と透明性を有する保護層を設けてある隠蔽シートの該透明基材側を、光反射層の上に抽選情報層を設けた抽選シートの該抽選情報層上に貼りあわせること特徴とする抽選券の製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による抽選券の一実施例を示す断面図である。図1に示すように、本発明による抽選券は、透明基材11の一方の側に低融点金属薄膜層12、保護層13が設けられ、他方の側に抽選情報層14と光反射層15が設けられたものである。
低融点金属薄膜層12は、下方の抽選情報層14に記録されている情報を隠蔽するものであり、従来のゴム系隠蔽インキを用いた抽選券(くじ)と異なり、金属の融点以上の温度になるようにサーマルヘッド等で加熱することによって隠蔽性を失い、透明基材を介して抽選情報をみることができるようにした抽選券(くじ)である。
【0018】
抽選情報を印刷した面に金属薄膜層を直接に蒸着法によって設けたり、プライマー層を設けてから蒸着法によって設けたりしても、その層厚が薄いと抽選情報が肉眼で見えてしまい完全な隠蔽が困難であった。
本発明においては、抽選情報と金属薄膜層との間に間隙を設け、抽選情報を暈し肉眼での視認性をなくしたものである。
この間隙としては、略10μm以上を必要とする。本発明においては、厚さ10μm以上の透明基材の一方の側に低融点金属薄膜層を、また他方の側に抽選情報層を設けることによって、この間隙を保ち、低融点金属薄膜層の下方にある抽選情報の視認性をなくしたものである。
【0019】
抽選情報層14は、抽選に用いられる情報の層である。抽選情報層は、インクを使用して文字、記号、数字、図形、又は画像の少なくともいずれかが透明基材の低融点金属薄膜層がない側の面に設けられる。抽選情報層が設けられる面は光反射層上の透明基材側に向いた面、あるいは透明基材と光反射層との間に透明層が設けてある時は、その透明層の上下いずれかでもよい。
抽選情報層とは、抽選に用いられる情報がインクによって表示された層を指すが、この透明層が設けてある場合はインクと透明層を合わせて抽選情報層と考えてよい。
【0020】
本発明による抽選券の製造方法としては、例えば、透明基材の片側に低融点金属薄膜層と保護層及び印刷層を設けたシートを用意し、そのシートに対して低融点金属薄膜層と反対側に抽選情報を印刷したのち、光反射層を印刷又はコーティングによって設け、抽選券とする製造方法が挙げられる。
しかし、例えば、図2に示すように、光反射層を1枚の基材16とし、その上にレーザープリンタやインキジェットプリンタ等による可変情報(抽選情報層14)を印字した抽選シート21を用意し、あらかじめ用意した、透明基材11上に低融点金属薄膜層12と保護層13を設けた隠蔽性シート20を貼り合わせる方法がコスト的にも管理的にも有利である。
【0021】
【実施例】
本発明を、具体的な実施例をあげて詳細に説明する。
<実施例1>
図3は、実施例1における抽選券の断面図である。先ず、透明基材11としてのPET188μm上にグラビアコーティング法により接着アンカー層17(ポリエステル樹脂)を3μm設け、その上に低融点金属蒸着層12として蒸着法によりSn(融点230℃)を100nmの厚さで設けた。
その上に保護層13として、グラビアコーティング法によりアクリル樹脂(+ワックス系滑材)を厚さ3μmで設けた上にグラビア印刷法により所定の柄(宝くじ)の絵柄印刷層18を設けた。
【0022】
次に、絵柄印刷層18などが設けられた透明基材11の低融点金属蒸着層12と反対側に、グラビア法によりインキジェット受像層19を15μm設けた上に、あらかじめプログラムされたゲームの情報をインキジェットプリンターにより逆文字(鏡面文字)にて印字して抽選情報層14を形成した。
さらに、該抽選情報層上にスクリーン印刷法により銀インキ(東洋インキSS6K+アルミペースト)を印刷後の膜厚が10μmになるように設け光反射層15とした。こうして加熱によって不可逆的に情報を開封できる抽選券を得た。
【0023】
<実施例2>
図4は、実施例2における抽選券の断面図である。先ず、透明基材11としてのPET25μm上にグラビアコーティング法により接着アンカー層17(ポリエステル樹脂)を3μm設け、その上に低融点金属蒸着層12として蒸着法によりSn(融点230℃)を200nmの厚さで設けた。
その上に保護層13として、アクリル樹脂(+ワックス系滑材)からなる保護層を3μm設け、さらに絵柄印刷層18を設けた。その反対面側にグラビアコーティング法により接着剤層22としてアクリル樹脂を5μm設け、抽選券用上側シート30を作製した。
【0024】
次に、上質紙23(135kg)にグラビアコーティング法によりインキジェット用受像層19を15μm塗布し、あらかじめプログラムされたゲームの情報をインキジェットプリンターにより正文字にて印字して抽選情報層14を形成し、抽選券用下側シート31を作製した。
こうして得られた抽選券用上側シート30と抽選券用下側シート31をロールプレス機により140℃の温度で貼り合わせ、1枚のシートにした。
こうして加熱によって不可逆的に情報を開封できる抽選券を得た。
【0025】
【発明の効果】
実施例1及び実施例2で得られた抽選券は十分な隠蔽性をもっており、各種光源による透過光及び反射光に対して抽選情報を完全に目視不可能となっている。
こうして製造された抽選券は、例えば、サーマルヘッドによる局所加熱により低融点金属薄膜は溶融破壊され隠蔽性を失い、その抽選情報は透明基材を介して視認できるものとなる。従来のコインで削るタイプのものと異なり、機械によってのみ開封可能であり、不正に開封した後に開封した部分(低融点金属薄膜層の溶融破壊部分)を復元することは極めて困難である。この抽選券は、開封の順序によって価値が異なってくる抽選システムに採用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による抽選券の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明による抽選券の製造方法の説明図である。
【図3】実施例1における抽選券の断面図である。
【図4】実施例2における抽選券の断面図である。
【符号の説明】
11・・・透明基材
12・・・低融点金属薄膜層
13・・・保護層
14・・・抽選情報層
15・・・光反射層
16・・・基材
17・・・接着アンカー層
18・・・絵柄印刷層
19・・・インキジェット受像層
22・・・接着剤層
23・・・上質紙

Claims (5)

  1. 厚さ10μm以上の透明基材の一方の側に、該透明基材に近い側から少なくとも低融点金属薄膜層と透明性を有する保護層とが設けてあり、他方の側に、該透明基材に近い側から少なくとも抽選情報層と光反射層とが設けてあり、該抽選情報層には抽選に用いられる情報が記録されてあり、該低融点金属薄膜層は該保護層がある側から該情報を見えないようにする隠蔽性を有していることを特徴とする抽選券。
  2. 前記光反射層は前記抽選に用いられる情報を該光反射層がある側から見えないようにする隠蔽性も有していることを特徴とする請求項1に記載の抽選券。
  3. 前記他方の側には、前記透明基材に近い側から、少なくとも前記抽選情報と前記光反射層及び裏面隠蔽層が設けてあり、該裏面側隠蔽層は前記抽選に用いられる情報を該光反射層がある側から見えないようにする隠蔽性を有していることを特徴とする請求項1に記載の抽選券。
  4. 前記低融点金属薄膜層は、前記保護層を介して加熱されることにより少なくとも一部が溶融し、前記保護層がある側から前記情報を見えないようにする前記隠蔽性を失うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の抽選券。
  5. 厚さ10μm以上のシート状の透明基材の一方の側に、該透明基材に近い側から、少なくとも低融点金属薄膜層と透明性を有する保護層を設けてある隠蔽シートの該透明基材側を、光反射層の上に抽選情報層を設けた抽選シートの該抽選情報層上に貼りあわせること特徴とする抽選券の製造方法。
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