JP4106919B2 - 溶融金属の非接触流速測定方法並びに非接触流速測定装置 - Google Patents

溶融金属の非接触流速測定方法並びに非接触流速測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属の非接触流速測定方法とその装置に関し、例えば、溶融金属の連続鋳造において、タンディッシュから鋳型内に浸漬ノズルを通じて注入される溶融金属の流速を非接触で精密に測定することができる流速測定方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶鋼の連続鋳造過程においては、タンディッシュから鋳型に浸漬ノズルを通じて溶鋼を分配注入する工程が存在する。浸漬ノズルには複数の吐出口が設けられ、これら複数の吐出口から同量の溶鋼を吐出するように構成されている。この浸漬ノズルから吐出される溶鋼は、鋳型内における界面高さがほぼ同じ水準に維持されるように管理しながら供給され、鋳型内に満たされた溶鋼を鋳型により抜熱して冷却凝固させながら下部側から連続的に引き抜くことで鋳片を連続的に得ることを可能にしている。
【0003】
ところで、このような浸漬ノズルによる鋳型内への溶鋼の注入に関し、いくつかの問題が従来より指摘されている。例えば、浸漬ノズルを長期間使用し続けると、各吐出口から流れ出る溶鋼の吐出量に不均等が生ずることが知られている。これは脱酸素目的で溶鋼中に添加されているアルミニウムが酸化してアルミナとなり、これが浸漬ノズルの内壁に付着堆積して浸漬ノズルを閉塞させ、ノズル内溶鋼の円滑な流通を阻害するためである。
【0004】
この結果、鋳型内に注入される溶鋼の吐出量に、方向による偏りが生じ、鋳型内での不均一凝固や溶鋼表面の乱れが惹き起こされるとともに、当該浸漬ノズルから供給される溶鋼の給湯量と下部側からの引き抜き量のアンバランスも生じ、鋳片品質の低下や鋳造能率の低下をもたらすことが知られている。
【0005】
このような事態を回避するには、浸漬ノズルから噴出される吐出流の偏りや上記アンバランス等で発生する鋳型内のレベル変動を早期に検知し、これを防止するための対策を講ずることが重要であり、このために、従来より吐出流の偏りやレベル変動を検知するための流速測定技術やレベル測定技術が多数存在している。
従来からの流速測定技術は、何れも導体である溶融金属が磁界中を移動する際、その流速に応じて検出コイルに起電力が発生する原理に基づくものである。
また、レベル測定技術は、従来から渦電流レベル計が一般的に用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の流速測定技術では、検出コイルに発生する起電力が検出コイルと溶融金属との間の距離、すなわち溶融金属レベルの影響を強く受けることから、流速を精度よく測定することができなかった。
ここで、別途レベル計を用いて溶融金属レベルを測定し、これにより補正を実施することも技術的に可能であるが、鋳型内のレベル変動を測定すべく実用化されているレベル計の精度では前記補正が不可能であり、専用に高精度の補正用レベル計が新たに必要となるため、工業的には意味がない。
【0007】
また、前記検出コイルは、感度を上げるために大きなものが必要となるが、このような検出コイルの大型化はM/D表面の監視や鋳造パウダー(フラックス)の散布の邪魔になり、溶融金属の流速の方向も精度よく測定できなくなり、更には、当該検出コイルを設置するための自動化機器も大型化し、設備費が高くなるといった問題もあった。
【0008】
このような従来の流速測定装置とともにレベル測定装置を併設すれば、渦電流レベル計の励振コイルや誘導コイルが更に必要となることから、装置の大型化による弊害がさらに大きくなることは言うまでもない。
【0009】
本発明は係る現況に鑑みなされたもので、溶融金属のレベル変動によっても測定精度が大きく影響を受けることなく、装置の小型化が実現され、更には鋳型内のレベル変動をも同時に測定可能とした溶融金属の非接触流速測定技術を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、溶融金属の表面に1Hz以上の帯域の周波数に設定される高周波磁界を印加して、ローレンツ力により前記表面に微小な波立ちを発生させる手順と、前記波立ちの発生部に対し上流側と下流側の双方を含む二以上の複数箇処において、前記波立ちによる溶融金属のレベル変動(以下、「波立ちレベル変動」と称す。)を測定する手順と、溶融金属の流速が反映された各箇処の波立ちレベル変動の伝播状態に基づき、二箇処の伝播の位相差を算出し、該位相差と当該二箇処の離間距離に基づいて溶融金属の流速を算出する手順とを備えた溶融金属の非接触流速測定方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、溶融金属の表面に1Hz以上の帯域の周波数に設定される高周波磁界を印加して、ローレンツ力により前記表面に微小な波立ちを発生させる手順と、前記波立ちの発生部に対し上流側と下流側の双方を含む二以上の複数箇処において、波立ちレベル変動を測定する手順と、溶融金属の流速が反映された各箇処の前記波立ちレベル変動の伝播状態に基づき、波立ちの発生部における基準となる状態と前記伝播状態から各箇処の伝播の位相差を算出し、該位相差と当該箇処の前記波立ち発生部からの離間距離に基づき各箇処の伝播速度を算出して、これら伝播速度から溶融金属の流速を算出する手順とを備えた溶融金属の非接触流速測定方法をも提供する。
【0014】
前記レベル変動は、望ましくは溶融金属の2軸の速度方向を検出可能な所定の複数箇処で測定し、流速の方向と絶対値を算出する。
【0015】
複数箇処におけるレベル変動の測定手段として、検知コイルを用い、前記印加した高周波磁界により生じる溶融金属表面の渦電流に基づき、発生した波立ちレベル変動と、波立ちのベースとなる溶融金属表面のレベル変動(以下、「ベースレベル変動」と称す。)とを同時に測定すること、すなわちローレンツ力発生用の高周波励振を渦電流発生用励振コイルとして、前記検知コイルとともに渦電流レベル計を構成すれば、渦電流レベル計を別途設ける必要がなくなり、装置の小型化が実現する。
尚、このベースとなる溶融金属表面のレベル変動は、波立ち発生手段以外の他の要因から生じる溶融金属表面のレベル変動であって、その多くは、M/D内における給湯量と引き抜き量のバランス変動から生じるレベル変動である。
【0016】
ここで、ローレンツ力により発生させる前記波立ちの周波数を、溶融金属表面のベースレベル変動の周波数と異なる帯域に設定し、前記波立ちレベル変動と前記ベースレベル変動を、信号処理により弁別して同時に測定することが好ましい。
【0017】
また、本発明は、溶融金属の表面に1Hz以上の帯域の周波数に設定される高周波磁界を印加して、ローレンツ力により前記表面に微小な波立ちを発生させる波立ち発生手段と、前記波立ちの発生部に対し上流側と下流側の双方を含む二以上の箇処に配置され、前記波立ちによる溶融金属のレベル変動を測定するための複数のレベル測定手段と、溶融金属の流速が反映された各箇処のレベル変動(波立ちレベル変動)の伝播状態に基づき、二箇処の伝播の位相差を算出し、該位相差と当該二箇処の離間距離に基づいて溶融金属の流速を算出する演算手段とからなる非接触流速測定装置をも提供する。さらに、本発明は、溶融金属の表面に1Hz以上の帯域の周波数に設定される高周波磁界を印加して、ローレンツ力により前記表面に微小な波立ちを発生させる波立ち発生手段と、前記波立ちの発生部に対し上流側と下流側の双方を含む二以上の箇処に配置され、前記波立ちによる溶融金属のレベル変動を測定するための複数のレベル測定手段と、溶融金属の流速が反映された各箇処の前記波立ちによる溶融金属のレベル変動の伝播状態に基づき、波立ちの発生部における基準となる状態と前記伝播状態から各箇処の伝播の位相差を算出し、該位相差と当該箇処の前記波立ち発生部からの離間距離に基づき各箇処の伝播速度を算出して、これら伝播速度から溶融金属の流速を算出する演算手段とからなる非接触流速測定装置をも提供する。
【0018】
このような非接触流速測定装置は、上記と同様、レベル測定の精度はそれほど必要とされず、鋳型内における溶融金属のレベル変動の影響を受けることなく流速を精密に測定できる。
【0019】
また、前記レベル測定手段は、波立ち発生部に対して溶融金属表面に平行なXY方向にそれぞれ対象な箇処に配置することが好ましい実施例である。
【0020】
また、前記レベル測定手段として検知コイルを設け、前記波立ち発生手段の高周波磁界により生じた溶融金属表面の渦電流に基づき、波立ちレベル変動とベースレベル変動とを同時に測定してなるものが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る流速測定装置の構成を示す概念図であり、図中符号1は波立ち発生手段、2はレベル測定手段、3は演算手段をそれぞれ示している。
【0023】
本発明に係る流速測定装置Aは、図1に示すように、溶融金属の表面Sに高周波磁界を印加して、ローレンツ力により前記表面に微小な波立ちを発生させる波立ち発生手段1と、この波立ちの発生部10に対し上流側と下流側の双方を含む二以上の箇処に配置され、前記波立ちによる溶融金属のレベル変動を測定するための複数のレベル測定手段2、2と、溶融金属の流速が反映された各箇処のレベル変動の伝播状態に基づき、溶融金属の流速を算出する演算手段3とを備えた非接触の流速測定装置であり、電磁誘導により流速に応じた誘導起電力が発生する原理を利用した従来の測定装置と異なり、鋳型内における溶融金属のレベル変動(ベースレベル変動)の影響を受けることなく流速を精密に測定できることを特徴としている。
【0024】
波立ち発生手段1には、馬蹄型のローレンツ力発生コイル11と高周波電源12を備えたローレンツ力印加装置が用いられており、馬蹄型コイル11に高周波磁界を印加することにより、馬蹄型コイル先端11a、11aの直下の溶鋼表面において、それぞれ磁束線の周りに渦電流が誘導発生し、馬蹄型コイル先端11a、11aの略中央部が臨む溶鋼の表面では、誘導電流が図1の紙面垂直方向に流れ、これにより上下にローレンツ力が作用して当該溶鋼表面に波立ちが発生するのであり、このローレンツ力が作用する溶鋼表面が波立ち発生部10となる。
本実施形態のローレンツ力印加装置では、略100kHzの高周波電源が用いられ、溶鋼表面の波立ちは微小なものである。
【0025】
尚、前記馬蹄型コイル11を用いる代わりに通常の円筒型コイルを用いることも可能である。例えば、一対の円筒型コイルをM/Dの外部に水平に対置させ、これに高周波電流を印加して溶鋼表面に平行な磁力線を発生させれば、同様にローレンツ力が作用し、波立ちを発生させることができる。
ただし、前記馬蹄型コイルは、M/D壁に磁力線を通過させる必要がないことから印加電流を小さく抑えられ、湯面レベルに応じたコイル位置の調整も特に必要でない点で、より好ましい実施例である。
【0026】
波立ちによるレベル変動を測定するためのレベル測定手段2には、従来からと同様の種々の変位レベル計を用いることができ、本実施形態では特に、検知コイル21が用いられている。
【0027】
一般に渦電流レベル計5は、図2に示すように、励起コイル51(1次コイル)で溶融金属の表面に渦電流を発生させ、それにより検知コイル21(2次コイル)に誘導発生する高周波電流の強度が当該検知コイル21と溶融金属面との距離rの二乗に反比例することを利用して、高周波検波によりその強度(振幅)を検知し、検量演算してレベル測定を行うものであり、従来からM/D内における給湯量と引き抜き量のバランス変動によるレベル変動を測定する手段として用いられている。
【0028】
本実施形態では、ローレンツ力印加装置からなる波立ち発生手段1により溶鋼表面に渦電流が発生することに着目し、当該ローレンツ力印加装置の馬蹄型コイル11を渦電流レベル計の励振コイル51として兼用化して、その周囲に配置させた検知コイル21、・・・により波立ちレベル変動ととともに、給湯量と引き抜き量のバランス変動等により生じた前記波立ちのベースとなる溶鋼表面のレベル変動をも検出することで、当該流速測定装置Aに渦電流レベル計5としての機能を一体的に付加したものであり、流速とベースレベル変動を同時に測定し、装置の小型化、低コスト化が実現される。
尚、ローレンツ力による波立ちを有効に発生させるため、馬蹄型コイル11に印加する高周波電流は、オフセットによるが5〜10A程度必要であり、これが従来の渦電流レベル計の励振コイルと異なる点である。
【0029】
そして、前記検知コイル21を用いて双方のレベル変動を同時に測定するため、本実施形態では、馬蹄型コイル11(1次コイル)の励起高周波磁界を適当な周波数で振幅変調或いはON/OFFさせる信号処理により各レベル変動を互いに弁別している。
【0030】
具体的には、バランス変動によるベースレベル変動の周波数が高々1Hzであることから、前記励起高周波磁界の周波数をこれ以上の帯域に設定することで互いに弁別でき、図3に示すように、BPF(狭帯域バンドパスフィルタ)を通じてローレンツ力波動の波立ちレベル変動を検出する一方、LPF(低帯域通過フィルタ)を通じてベースレベル変動を検出することができる。
【0031】
検知コイル21は、ローレンツ力が作用する溶鋼表面の前記波立ち発生部10に対して、溶鋼の上流側と下流側の双方を含む二以上の複数箇処に配置され、これにより前記波立ちレベル変動を測定し、溶融金属の流速が反映された各箇処の波立ちの伝播状態を検知するものであり、詳しくは、溶融金属の2軸の速度方向を検出可能な所定の複数箇処に設けられ、好ましくは、図4に示すように、波立ち発生部10に対して、溶融金属表面に平行なXY方向にそれぞれ対象な箇処に合計4つ配置され、演算の便宜上、それぞれ前記波立ち発生部10から同一距離に設定されている。
【0032】
演算手段3は、検知コイルからの信号を受けて、ローレンツ力による波立ちレベル変動とバランス変動によるベースレベル変動を弁別処理し、波立ちレベル変動の伝播状態を解析し、溶鋼の流速を算出する演算装置を備えている。
流速は、溶融金属の流速の影響を受けた波立ちの伝達時間をレベル変動の測定により二点間で検知し、その位相差を信号解析して算出するものであり、レベル自体の測定精度はそれほど必要とされない。
【0033】
これら演算装置による流速の演算方法として、以下の2つの方法が代表的なものとして考えられる。
【0034】
第1の演算方法は、図5に示すように、相互相関或いは位相フィルタからなる位相差演算ブロック31を用いて、前記波立ち発生部に対して上流側と下流側の二箇処の伝播の位相差tを算出し、該位相差tと当該二箇処の検知コイルの離間距離に基づき溶融金属の流速Vmfを算出するものである。
2信号の位相差を検知する位相差演算ブロック31のうち、一方の相互相関は位相差を相関最大値として検知するものであり、他方の位相フィルタは、掛け算器とLPFからなり、周期信号の積をLPFで位相を検知するものである。
これら演算ブロックを用いれば、工業用パソコン程度の演算装置で高精度・高速演算が可能となる。
【0035】
ここで、流速演算ブロック32における流速Vmfの演算は、およそ溶鋼容器(連続鋳造鋳型等)の形状と粘性に応じて決定される溶鋼表面上の波動速度Vwを用いて、下記式(1)或いは式(2)により近似的に算出される。尚、各検知コイルは波立ち発生部を通る同一直線上の上流側と下流側に、それぞれ波立ち発生部から距離Lだけ離間した位置に設けられている。
すなわち、二箇処の位相差tは、
【0036】
【数1】
Figure 0004106919
【0037】
となり、これをVw≫Vmfで近似することで、
【0038】
【数2】
Figure 0004106919
【0039】
が得られる。
尚、より良い精度を得る場合には、式(a)を変形して、下記式(b)を得、その根でVw−Vmf>0を満たす式(2)を用いることも好ましい。
【0040】
【数3】
Figure 0004106919
【0041】
第2の演算方法は、波立ちの発生部の基準状態(基準信号)に対する各箇処の伝播の位相差(位相遅れ)を算出し、該位相差と当該箇処の前記波立ち発生部からの離間距離に基づき各箇処の伝播速度を算出した上で、これら伝播速度から溶融金属の流速を算出するものである。
【0042】
図6は、前記波立ち発生部に対してX軸上の上流側と下流側の二箇処の伝播速度からX軸方向の流速が算出される例を示しており、波立ち発生部の基準信号を用いて、該基準信号と上流側の箇処の伝播信号から同じく位相差演算ブロック31で位相差t1を算出し、該位相差t1と当該箇処の波立ち発生部からの離間距離L1に基づいて当該上流側の箇処の伝播速度Vfが算出され、同様にして下流側の箇処の伝播速度Veも位相差t2と距離L2より算出した後、下記式(3)によりX軸方向の流速Vmfが算出される。
【0043】
【数4】
Figure 0004106919
【0044】
この演算方法は、基準信号が必要ではあるが、予測値である波動速度Vwを用いることなく算出でき、上述の第1の演算方法に比べてより精密に演算できる手法である。
そして、Y軸方向の流速も同様にして算出し、これらの合成により溶鋼流速の方向と絶対値を演算する。
【0045】
尚、その他の演算方法として、図7に示すように、第2の演算方法と同じく、位相差演算ブロック31を用いて、基準信号からの位相差(位相遅れ)tを算出し、該位相差tと当該箇処の検知コイル21の離間距離Lに基づき溶融金属の流速Vmfを算出した上、第1の演算方法と同様、溶鋼表面上の波動速度Vwを用いて上述の式1により溶融金属の流速Vmfを近似的に算出することも可能であり、この方法によれば単一の検知コイルを用いて溶鋼の流速を測定することも原理的に可能である。
【0046】
溶鋼表面のベースレベル測定は、上述したように、同じく従来からの渦電流レベル計の測定手法が用いられており、図3に示すように、高周波検波した後、さらにLPFでレベル変動成分を抽出し、その信号を検量線によりモールド内の湯面レベルに変換する。検量線の湯面レベルとレベル変動成分電圧の特性は、レベル(検知コイルと湯面の距離)の二乗に反比例するのであり、一般的には、非鋳造時にステンレス板やアルミ板を模擬湯面として実験的に測定される。
【0047】
以下、低融点金属バスを用いて、第1の演算方法、第2の演算方法による測定実験を行った結果について説明する。
【0048】
波動速度を1000mm/sec、波立ち発生部と検知コイルの距離を100mm、低融点金属流速を250mm/secとし、演算結果が250mm/secと表示されることを確認した。
【0049】
図8は、第1の演算方法で位相差演算ブロック31に相互相関を用いて演算した結果表示である。
演算結果は良く一致している。
【0050】
図9は同じく第1の演算方法において、位相差演算ブロック31に位相フィルタを用いて演算した結果表示である。
演算結果は良く一致している。
【0051】
図10は、第2の演算方法で相互相関演算ブロックを用いて演算した結果表示である。
上流側、下流側の遅れの測定値は、それぞれ0.074、0.119と誤差があるが、上下流で相殺され、演算結果は255.5mm/secと2%の誤差に納まった。
【0052】
図11は同じく第2の演算方法において、位相フィルタ演算ブロックを用いて演算した結果表示である。
演算結果は良く一致している。
【0053】
図12は、550mm/秒から300mm/秒、さらに反転させ、−300mm/秒から−550mm/秒と流速を変化させて測定した結果であり、位相差演算ブロック31に相互相関を用いて第1の演算方法により演算した結果表示である。測定精度、応答性とも充分な結果が得られた。
【0054】
以上の実施形態においては、流速測定装置Aを渦電流レベル計として兼用し、流速と同時にベースレベル変動を測定する例を説明したが、本発明はこれに限らず流速のみ計測する装置、或いは別途渦電流レベル計の励起コイルを設けて独立に計測することも可能である。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融金属上を伝播する前記ローレンツ力による波立ちの波動の伝播が溶融金属の流速の影響を受け、その波動の伝達時間をレベル変動の測定により二点間で検知し、その位相差を信号解析して流速を算出しているため、レベル自体の測定精度はそれほど必要とされず、電磁誘導により流速に応じた誘導起電力が発生するといった原理を採用していた従来の方法とは異なり、鋳型内における溶融金属のレベル変動の影響を受けることなく流速を精密に測定できる。
【0056】
また、レベル変動の測定手段として検知コイルを用い、前記印加した高周波磁界により生じる溶融金属表面の渦電流に基づき、発生した波立ちによるレベル変動と、該波立ちのベースとなる溶融金属表面のレベル変動とを同時に測定したので、渦電流レベル計の励振コイルを別途設ける必要がなくなり、流速測定装置とレベル測定装置を一体化でき、装置の小型化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的実施形態に係る非接触流速測定装置の構成を示す説明図。
【図2】渦電流レベル計の構成を示す説明図。
【図3】ローレンツ力波動変動とレベル変動の周波数帯域による弁別の様子を示す説明図。
【図4】検知コイルの配置を示す説明図。
【図5】第1の演算方法を示す説明図。
【図6】第2の演算方法を示す説明図。
【図7】演算方法の変形例を示す説明図。
【図8】第1の演算方法で位相差演算ブロックに相互相関を用いて演算した結果の表示画面。
【図9】同じく第1の演算方法において、位相差演算ブロックに位相フィルタを用いて演算した結果の表示画面。
【図10】第2の演算方法で相互相関演算ブロックを用いて演算した結果の表示画面。
【図11】同じく第2の演算方法において、位相フィルタ演算ブロックを用いて演算した結果の表示画面。
【図12】第1の演算方法において、相互相関ブロックを用い、流速を変化させて演算した結果の表示画面。
【符号の説明】
A 流速測定装置
F ローレンツ力
S 表面
r 距離
1 波立ち発生手段
2 レベル測定手段
3 演算手段
5 渦電流レベル計
10 波立ち発生部
11 馬蹄型コイル
11a 先端
12 高周波電源
21 検知コイル
31 位相差演算ブロック
32 流速演算ブロック
51 励起コイル

Claims (9)

  1. 溶融金属の表面に1Hz以上の帯域の周波数に設定される高周波磁界を印加して、ローレンツ力により前記表面に微小な波立ちを発生させる手順と、
    前記波立ちの発生部に対し上流側と下流側の双方を含む二以上の複数箇処において、前記波立ちによる溶融金属のレベル変動を測定する手順と、
    溶融金属の流速が反映された各箇処の前記波立ちによる溶融金属のレベル変動の伝播状態に基づき、二箇処の伝播の位相差を算出し、該位相差と当該二箇処の離間距離に基づいて溶融金属の流速を算出する手順と、
    を備えた溶融金属の非接触流速測定方法。
  2. 溶融金属の表面に1Hz以上の帯域の周波数に設定される高周波磁界を印加して、ローレンツ力により前記表面に微小な波立ちを発生させる手順と、
    前記波立ちの発生部に対し上流側と下流側の双方を含む二以上の複数箇処において、前記波立ちによる溶融金属のレベル変動を測定する手順と、
    溶融金属の流速が反映された各箇処の前記波立ちによる溶融金属のレベル変動の伝播状態に基づき、波立ちの発生部における基準となる状態と前記伝播状態から各箇処の伝播の位相差を算出し、該位相差と当該箇処の前記波立ち発生部からの離間距離に基づき各箇処の伝播速度を算出して、これら伝播速度から溶融金属の流速を算出する手順と、
    を備えた溶融金属の非接触流速測定方法。
  3. 前記レベル変動を、溶融金属の2軸の速度方向を検出可能な所定の複数箇処で測定し、流速の方向と絶対値を算出する請求項1又は2記載の非接触流速測定方法。
  4. 複数箇処におけるレベル変動の測定手段として、検知コイルを用い、前記印加した高周波磁界により生じる溶融金属表面の渦電流に基づき、発生した波立ちによるレベル変動と、波立ちのベースとなる溶融金属表面のレベル変動とを同時に測定する請求項1〜の何れか1項に記載の非接触流速測定方法。
  5. ローレンツ力により発生させる前記波立ちの周波数を、該波立ちのベースとなる溶融金属表面のレベル変動の周波数と異なる帯域に設定し、前記波立ちによるレベル変動と前記ベースとなる溶融金属表面のレベル変動を、信号処理により弁別して同時に測定する請求項記載の非接触流速測定方法。
  6. 溶融金属の表面に1Hz以上の帯域の周波数に設定される高周波磁界を印加して、ローレンツ力により前記表面に微小な波立ちを発生させる波立ち発生手段と、
    前記波立ちの発生部に対し上流側と下流側の双方を含む二以上の箇処に配置され、前記波立ちによる溶融金属のレベル変動を測定するための複数のレベル測定手段と、
    溶融金属の流速が反映された各箇処の前記波立ちによる溶融金属のレベル変動の伝播状態に基づき、二箇処の伝播の位相差を算出し、該位相差と当該二箇処の離間距離に基づいて溶融金属の流速を算出する演算手段と、
    からなる非接触流速測定装置。
  7. 溶融金属の表面に1Hz以上の帯域の周波数に設定される高周波磁界を印加して、ローレンツ力により前記表面に微小な波立ちを発生させる波立ち発生手段と、
    前記波立ちの発生部に対し上流側と下流側の双方を含む二以上の箇処に配置され、前記波立ちによる溶融金属のレベル変動を測定するための複数のレベル測定手段と、
    溶融金属の流速が反映された各箇処の前記波立ちによる溶融金属のレベル変動の伝播状態に基づき、波立ちの発生部における基準となる状態と前記伝播状態から各箇処の伝播の位相差を算出し、該位相差と当該箇処の前記波立ち発生部からの離間距離に基づき各箇処の伝播速度を算出して、これら伝播速度から溶融金属の流速を算出する演算手段と、
    からなる非接触流速測定装置。
  8. 前記レベル測定手段を、波立ち発生部に対して溶融金属表面に平行なXY方向にそれぞれ対象な箇処に配置してなる請求項6又は7記載の非接触流速測定装置。
  9. 前記レベル測定手段として検知コイルを設け、前記波立ち発生手段の高周波磁界により生じた溶融金属表面の渦電流に基づき、波立ちによるレベル変動と、波立ちのベースとなる溶融金属表面のレベル変動とを同時に測定してなる請求項6〜8の何れか1項に記載の非接触流速測定装置。
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