JP4106164B2 - ブロア装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロア装置に関し、特にファンモータの回転速度を制御するパワー素子の放熱構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のブロア装置の構造としては、ブロア装置のファンモータに一般的な電磁石を用いたモータを用いて、該ファンモータの回転速度を制御するために、パワートランジスタ等のパワー素子を用いたものが知られている。
【0003】
このパワートランジスタ等のパワー素子の放熱を図るために、ファンモータを保持し、ブロア装置のケーシングの一部であるモータ保持板を熱伝導性に優れた材料で形成して、該モータ保持板のパワー素子の配設部に直接、あるいは該モータ保持板に形成した放熱フィンに送風を当てることにより、上記パワー素子の熱を送風気流中に拡散,放熱し、冷却するようにしたものが知られており、これまで、これら放熱部を送気口に面する位置に設けたものが最善とされ、一般的であった(特開平1ー252318号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の構造によれば、放熱効率が十分でないため、ブロア装置の前記モータ保持板を大きく成形せざるえず、しかもこのようにケーシングの一部を成すモータ保持板が大きくなると、これに覆着するロアケーシングの開口もそれに伴って大きくなってしまうので、ロアケーシングの剛性が低下するという問題があった。また、熱伝導性を高めるために、モータ保持板に樹脂材等を使用することができず、モータ保持板の成形コストが高いという問題もあった。
【0005】
一方、前記モータ保持板を樹脂材で成形すると共に、該モータ保持板に熱伝導性に優れた材料で形成された放熱部材を設けて、該放熱部材や、該放熱部材に形成した放熱フィンに送風を当てることにより、上記パワー素子の熱を送風気流中に拡散,放熱し、冷却するようにしたもの(特開平9−88880号公報参照)も知られている。
【0006】
しかしながら、この構造においても、ケーシングの剛性面やモータ保持板に樹脂材使用して成形性を高めることはできるものの、ブロア装置のファンモータに一般的な電磁石を用いたモータを用いているので、該モータ自体が持つ熱を冷却するために、モータの本体部分を冷却する必要があり、この冷却ダクトをモータ保持板に形成しなくてはならないため、前記放熱部材の配設レイアウトに制限があり、送風流路中の最も流速の速い領域に前記放熱部材を配置することができず、冷却効率を高めるためには前記放熱部材を大きくしたり、別途手段を設ける必要があった(上記公報ではモータ保持板に放熱部材の配設位置まで、整流ガイドを設けている)。
【0007】
そこで、本発明では、前記送風流路中の最も流速の速い領域に放熱部を配置することにより、効果的に放熱部に送風をあて、冷却効率を高めると共に、モータ保持板を樹脂材で構成して、製造コストの低減を図ることのできるブロア装置の構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ケーシング内に収納されたファンの周囲に、前記ケーシングに設けた送気口ヘ至る送風流路を形成したブロア装置において、前記ケーシング下部に前記ファンを回転駆動するブラシレスモータを配置すると共に、前記送風流路中の最も流速の速い領域に面するケーシング内壁に、前記ブラシレスモータを制御する、パワー素子の放熱部を配置しており、前記ファンは遠心型多翼ファンで構成してあると共に、前記放熱部は、該遠心型多翼ファン下部の回転軌跡内に設けられると共に、複数の放熱フィンを備えた放熱部材で構成してあり、且つ該放熱フィンの高さ形状を、その上方に配置される前記遠心型多翼ファンの下面形状に沿って形成したことを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の放熱部は、複数の放熱フィンを備えた放熱部材で構成してあると共に、該放熱フィンを前記ブラシレスモータの中心を基準とした放射形状に形成したことを特徴としている。。
【0012】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、前記ケーシング下部に前記ファンを回転駆動するブラシレスモータを配置すると共に、前記送風流路中の最も流速の速い領域に面するケーシング内壁に、前記ブラシレスモータを制御する、パワー素子の放熱部を配置してあるため、効果的に放熱部に送風をあて、冷却効率を高めると共に、モータ保持板を樹脂材で構成して、製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明によれば、前記ファンは遠心型多翼ファンで構成してあると共に、前記放熱部は、該遠心型多翼ファン下部の回転軌跡内に設けてあるため、ブロア装置のケーシングの形状によるレイアウト規制を受けることがなく、ユニット化が可能でコスト的に有利に得ることができる。
また、本発明によれば、前記放熱部は、複数の放熱フィンを備えた放熱部材で構成してあると共に、該放熱フィンの高さ形状を、その上方に配置される前記遠心型多翼ファンの下面形状に沿って形成してあるため、前記放熱フィンに効果的に送風を当てて、冷却効率を高めることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、前記放熱部は、複数の放熱フィンを備えた放熱部材で構成してあると共に、該放熱フィンを前記ブラシレスモータの中心を基準とした放射形状に形成してあるため、効果的に前記放熱フィンに送風を当てて、冷却効率をさらに高めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0017】
図1はブロア装置の分解斜視図であり、ケーシング3は、前室を形成するアッパケーシング3Aと、ファン4を収納した主室を形成するロアケーシング3Bとから成っており、前記ケーシング3の上面には吸気口5が設けられている。
【0018】
また、前記ロアケーシング3Bの底壁3b略中央には開口部が設けられ、この開口部に樹脂製のモータ保持板1が、該モータ保持板1に取り付けられたブラシレスモータ2と共に装着してある。
【0019】
なお、本実施形態ではブラシレスモータ2のモータ本体は、該モータ本体はケース9によって保護されて、モータ保持板1上に配置されている。
【0020】
図2中、10はモータ本体を冷却するための冷却風を取り込み用の開口部である。
【0021】
このモータ保持板1はケーシング3の底壁3bの一部を兼ねており、その外周部の複数箇所(本構造では3箇所)の取付部8で図外のビス等によってケーシング3の底壁3bに締結固定されている。
【0022】
前記ファン4は図2,3に示すように平面視で円形の遠心型多翼ファンで、このファン4は円形の枠に沿って多数の翼部4aが設けられており、略円錐形の底壁部4bの中心で前記ブラシレスモータ2の出力軸2aに取り付けられている。
【0023】
前記ファン4の周囲には、図3に示すように、ケーシング3の側壁3aがファン4の外周から次第に離れるように形成され、渦巻き形状をした送風流路Sが形成してある。
【0024】
ここで、空気の流れを説明すると、前記ファン4が図3中の反時計方向(黒矢印)へ回転すると、前記吸気口5からファン4の中心部へ吸気が吸入され、翼部4aにより径外方向に送出される。そして、図3中の白矢印で示すように流路面積が次第に拡大される送風流路Sを送気口6へ向かって流れ、該送気口6から車室内等へ供給される。また、この流れのうち一部はファン4の翼部4aの下部とモータ保持板1との間(空間C)に入り込む。
【0025】
ところで、この構造においても、前記ブラシレスモータ2の回転速度を制御するために、従来の技術と同様にパワートランジスタ等のパワー素子が用いられており、これら駆動回路や制御用回路および制御用のパワー素子等は、前記モータ保持板1のアッパケース1Aとロアケース1Bとの間に納められている。
【0026】
そして、このパワー素子を冷却するための放熱部としてヒートシンク7をモータ保持板1の上面に設けてあり、特に該ヒートシンク7は、前記送風流路S中の最も流速の速い領域に面するケーシング3の内壁(本構造では底壁部3b)に配置してある。
【0027】
しかも本実施形態では、前記ファン4は前述のように遠心型多翼ファンで構成してあると共に、ケーシング3の形状によるレイアウト規制を受けることがないように、前記放熱部であるヒートシンク7を、該ファン4下部の回転軌跡内に設けてある。
【0028】
ここで、前記ヒートシンク7の配設位置について、図4に示す実験結果と共に、具体的に説明する。
【0029】
図4に示す表は、図3の周方向A〜Gおよび径方向1〜5の各ポイントにおける空気の流量を知るために、風速(m/s)を検出した結果の一部を示したものである。
【0030】
この図4によれば、前記ファン4の回転軌跡外では、ほぼ安定した風速が検知されていると共に、前記ファン4の回転軌跡内では、風速は各ポイントによってその値に大きな差があるのがわかる。
【0031】
ここで得られた結果から、風速の大きい領域にブラシレスモータ2の回転速度を制御するパワー素子の放熱部であるヒートシンク7を配置すれば、効果的に放冷をすることができるのは言うまでもないが、前述のように、ヒートシンク7は、ケーシング3の形状によるレイアウト規制を受けることがないように、前記ファン4下部の回転軌跡内に設けたいという要求がある。
【0032】
従って、前記ファン4の回転軌跡内であっても、比較的安定した数値が得られ、かつ前記ファン4の回転軌跡外とほぼ同等の風速が検知されているG1,G2の位置にヒートシンク7を配置すれば効果的に放冷することができるということになり、本実施形態では特にこのG1の位置にヒートシンク7を配置している。
【0033】
以上の実施形態の構造によれば、前記ケーシング3の下部に前記ファン4を回転駆動するブラシレスモータ2を配置すると共に、前記送風流路S中の最も流速の速い領域に面するケーシング3の底壁3bに、前記ブラシレスモータ2を制御する、パワー素子の放熱部としてのヒートシンク7を配置してあるため、効果的にヒートシンク7に風をあて、冷却効率を高めると共に、モータ保持板1を樹脂材で構成して、製造コストの低減を図ることができる。
【0034】
しかも、この発明ではファンを駆動するモータをブラシレスモータ2を用いているため、モータ本体がモータ保持板1上に配置されるので、従来のようにモータ保持板1の下方に向けてモータ冷却用のダクトを設ける必要がなく、ヒートシンク7を好きな位置に配置でき、レイアウト性を高める事ができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、前記ファン4は遠心型多翼ファンで構成してあると共に、前記放熱部であるヒートシンク7は、該遠心型多翼ファン4の下部の回転軌跡内に設けてあるため、ブロア装置のケーシング3の形状によるレイアウト規制を受けることがなく、ユニット化が可能でコスト的に有利に得ることができる。即ち、ユニット化が可能であるため、モータ保持板1以外の部品、例えばケーシング3等を従来のものと共用する事ができる。
【0036】
次に、このヒートシンク7の形状について図5,6と共に詳述する。
【0037】
図5は、放熱部材であるヒートシンク7の側面図、図6は平面図を示している。
【0038】
前記ヒートシンク7は、複数の放熱フィン7aを備えてあると共に、該放熱フィン7aの高さ形状を、図2に示すようにその上方に配置される前記遠心型多翼ファン4の下面形状に沿って形成してある。
【0039】
特に本実施形態では、該ヒートシンク7の複数の放熱フィン7aは、ブラシレスモータ2の中心、具体的には出力軸2aの中心を基準とした放射形状に形成してある。
【0040】
なお、該ヒートシンク7の下部の7bは、前述のパワー素子が取り付けられる取付部である。
【0041】
このような本実施形態におけるヒートシンクの構造によれば、前記放熱部としてのヒートシンク7は、複数の放熱フィン7aを備えると共に、該放熱フィン7aの高さ形状を、その上方に配置される前記遠心型多翼ファン4の下面形状に沿って形成してあるため、前記放熱フィン7aに効果的に風を当てて、冷却効率を高めることができる。
【0042】
しかも、前記ヒートシンク7は、該放熱フィン7aを前記ブラシレスモータ2の中心、具体的には出力軸2aの中心を基準とした放射形状に形成してあるため、効果的に前記放熱フィン7aに風を当てて、冷却効率をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるブロア装置の分解斜視図。
【図2】同実施形態の要部を示す側面図。
【図3】同実施形態の概略水平断面図。
【図4】風速の実験結果を示す表。
【図5】本発明の1実施形態における放熱部材を示す側面図。
【図6】図5の上視平面図。
【符号の説明】
2 ブラシレスモータ
3 ケーシング
3b ケーシング内壁(底壁)
4 ファン(遠心型多翼ファン)
7 放熱部材(ヒートシンク)
7a 放熱フィン
S 送風流路
Claims (2)
- ケーシング(3)内に収納されたファン(4)の周囲に、前記ケーシング(3)に設けた送気口(6)ヘ至る送風流路(S)を形成したブロア装置において、
前記ケーシング(3)下部に前記ファン(4)を回転駆動するブラシレスモータ(2)を配置すると共に、前記送風流路(S)中の最も流速の速い領域に面するケーシング内壁(3b)に、前記ブラシレスモータ(2)を制御する、パワー素子の放熱部を配置しており、
前記ファン(4)は遠心型多翼ファン(4)で構成してあると共に、
前記放熱部は、該遠心型多翼ファン(4)下部の回転軌跡内に設けられると共に、複数の放熱フィン(7a)を備えた放熱部材(7)で構成してあり、且つ該放熱フィン(7a)の高さ形状を、その上方に配置される前記遠心型多翼ファン(4)の下面形状に沿って形成したことを特徴とするブロア装置。 - 前記放熱部は、複数の放熱フィン(7a)を備えた放熱部材(7)で構成してあると共に、該放熱フィン(7a)を前記ブラシレスモータ(2)の中心を基準とした放射形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のブロア装置。
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