JP4105979B2 - 電動工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばハンマやハンマドリル等のように工具ビットを一定の周期で駆動する電動工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−170182号公報(特許文献1)では、駆動モータの回転運動を直線運動に変換してハンマビットを駆動するクランク機構を備えた電動ハンマが開示されている。電動ハンマでは、クランク機構の構成部品の1つであるコネクティングロッドの一端がクランクシャフトのクランクピンと連結され、他端がピストンと連結されている。またギアハウジングに形成されたバレル接合用の開口部にバレルの後端側を嵌め込んで結合している。そしてクランクピンがギアハウジング内に配置され、ピストンがバレル内に摺動可能に配置された構成とされる。したがって、コネクティングロッドはギアハウジングとバレルとの間にわたって配置される構成となっている。
【0003】
通常、コネクティングロッドとクランクピンとの組み付けは、コネクティングロッドの一端をギアハウジングのバレル接合用の開口部から差し込んで当該ギアハウジング内のクランクピンに連結するといった態様で行なわれる。すなわち、コネクティングロッドをギアハウジング内に当該コネクティングロッドの長軸方向に差し込んでクランクピンに対する取付孔の位置合わせを行なった後、当該コネクティングロッドを当該コネクティングロッドの長軸方向と交差する方向に移動させ、クランクピンに取付孔を挿入するといった手順で行なっている。
このようなことから、ギアハウジングに形成されるバレル接合用の開口部は、少なくともクランクピンの軸方向の長さに、コネクティングロッドの厚み(取付孔が貫通する方向の厚み)を加えた寸法に相当する寸法(内径)の間口が必要となる。すなわち、ギアハウジングには、コネクティングロッドとクランクピンとの組み付けを前提とした間口の広い開口部を設定せざるを得ず、結果としてギアハウジングが大型化し、そのことがギアハウジングのコンパクト化を阻害する一因となっている。また、上記の組み付け作業は、限られたスペースでの作業であり、特に取付孔とクランクピンとの位置合わせ作業が面倒であった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−170182号公報
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、上述した従来の問題に鑑みてなされたものであり、電動工具において、ギアハウジングのコンパクト化を図り、併せてコネクティングロッドとクランクピンとの組み付け作業の容易化を図る上で有効な技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、工具ビットと、駆動モータと、駆動モータの回転運動を直線運動に変換して工具ビットを駆動するクランク機構と、少なくともクランク機構を収容するハウジングとを有する電動工具が構成される。電動工具としては、典型的には、工具ビットとしてのハンマビットが長軸方向に直線運動してハンマ機能を奏する電動ハンマがこれに該当するが、このような電動ハンマのみならず、ハンマ機能に加え、ハンマビットがその周方向に回転運動してドリル機能を奏する電動ハンマドリルをも好適に包含する。クランク機構は、駆動モータの回転出力を直線運動に変換して工具ビットを駆動する。
【0007】
ハウジングには開口部が形成されている。クランク機構は、開口部からハウジング内に差し込まれるコネクティングロッドと、ハウジング内に配置されたクランクシャフトと、クランクピンとを有する。コネクティングロッドは、当該コネクティングロッドの長軸方向と交差する方向に貫通する取付孔を有する。クランクピンはクランクシャフトに当該クランクシャフトの回転中心からシフトした位置に組み付けられるとともに、取付孔に挿入することでコネクティングロッドに連結される。そしてコネクティングロッドにおけるクランクピンの挿入側面、すなわちクランクピンの挿入方向に関し、クランクピンと対向するコネクティングロッドの面領域には、コネクティングロッドとクランクピンとの組付け時において、コネクティングロッドをクランクピンの径方向へ相対的に移動させたとき、当該クランクピンを当該取付孔に向かって誘導する所定深さの切欠溝が形成され、切欠溝は一端がコネクティングロッドの端面に開口され、他端が取付孔に臨む構成とされる。ここで、「クランクピンを当該取付孔に向かって誘導する」態様としては、切欠溝がコネクティングロッドの長軸方向に延在されて同方向端面に開口されている態様のみならず、切欠溝の延在方向が、コネクティングロッドの長軸方向成分を有する態様であればこれを包含する。また「切欠溝の溝幅」の態様としては、切欠溝の延在方向につき、一定幅を保持する態様、幅が変化する態様のいずれをも包含し、そして幅が変化する態様としては、連続して変化する態様および段階的に変化する態様をそれぞれ包含する。さらに「所定深さ」の態様としては、切欠溝の延在方向につき、一定の深さを保持する態様、深さが変化する態様のいずれをも包含し、そして深さが変化する態様としては、連続して変化する態様および段階的に変化する態様をそれぞれ包含する。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、コネクティングロッドに切欠溝を設けたことにより、ピン挿入方向につき、クランクピンとコネクティングロッドとの相対的な移動量(挿入量)を切欠溝の深さに相当する分だけ減少することができる。このことから、ハウジング内に配置されたクランクピンに対してコネクティングロッドを、当該ハウジングのバレル接合用の開口部から差し込んで組み付ける場合において、クランクピンに対するコネクティングロッドのピン挿入方向への相対的な移動量が減少できた分だけバレル接合用の開口部の間口を小さく形成することが可能となり、その結果、ハウジングをコンパクト化できる。
【0009】
また請求項1に記載の発明では、上記構成を採用したことにより、ハウジング内のクランクシャフトに組み付けられたクランクピンに、当該ハウジングに形成されたバレル接合用の開口部を利用してコネクティングロッドを組み付ける場合において、まず、当該コネクティングロッドを当該コネクティングロッドの長軸方向に差し込むことによってクランクピンの先端に切欠溝を嵌め込む。つづいてコネクティングロッドの差し込み動作を更に継続すれば、クランクピンが切欠溝に沿って案内されて相対的に移動し、切欠溝の端部に対向する取付孔壁面に当接する。これによりクランクピンと取付孔との位置合わせがなされる。したがって、その後は、コネクティングロッドを当該コネクティングロッドの長軸方向と交差する方向、すなわちクランクピンの軸線方向へ移動させることにより、取付孔にクランクピンを挿入することができる。この場合、切欠溝の開口がコネクティングロッドの長軸方向端面に形成されているときは、クランクピンについては、コネクティングロッドをハウジングに差し込むときに想定される切欠溝の移動線上に対向するように、予めハウジングに対する組み付け位置を調整しておくことが好ましい。
このように、請求項1に記載の発明によれば、コネクティングロッドの取付孔とクランクピンとの位置合わせが楽になり、その結果、クランクピンとコネクティングロッドとの組み付け作業を容易に行うことが可能となった。
【0010】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の電動工具において、切欠溝は、前記開口の開口幅がクランクピンの外径よりも幅広に形成されるとともに、溝幅が取付孔側に向かって狭まるよう形成された構成とされる。この場合、溝の「幅」とは、水平面における溝の幅は勿論のこと、鉛直面における溝の長さ(深さ)をも包含する。また「狭まる」態様としては、連続して狭くなる態様のみならず、段階的に狭くなる態様であってもよい。このような構成を採用したときは、クランクピンの切欠溝への嵌め込みが幅広の開口を介して行なわれることでその嵌め込みがより容易化されることになり、しかも溝幅が狭まる構成のため、切欠溝がクランクピンを取付孔に向かって案内し、これによりクランクピンの取付孔に対する位置合わせを合理的に行なうことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明の実施の形態では、電動工具の一例として電動ハンマを用いて説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る電動ハンマ101は、概括的に見て、電動ハンマ101の外郭を形成する本体部103として、モータハウジング105、ギアハウジング107およびバレル109を有する。ギアハウジング107の先端領域にはツールホルダ111が接続され、そのツールホルダ111にハンマビット129が着脱自在に取り付けられている。ハンマビット129は本発明における「工具ビット」に対応する。またモータハウジング105およびギアハウジング107の後端側にはハンドグリップ113が設けられている。
【0012】
なお、図2に詳細に示されるように、バレル109の後端部109aがギアハウジング107の前端側上部に形成されたバレル接合用の開口部107aに嵌め込み形式(インロー嵌め)により接合されている。また開口部107aは、後述するコネクティングロッド145の組み付け作業孔としても使用される。
【0013】
また図1に示すように、モータハウジング105内には、駆動モータ121が配置されている。ギアハウジング107内にはクランク機構123が配置され、バレル109内にはクランク機構123を介して駆動される打撃機構125が配置されている。駆動モータ121の回転出力は、クランク機構123を介して直線運動に変換された上で打撃機構125に伝達され、当該打撃機構125を介してハンマビット129の長軸方向(図1における左右方向)への衝撃力を発生する。さらにギアハウジング107の上面部側には、打撃機構125がハンマビット129に打撃力を加えることによって発生する本体部103の振動を抑制するための制振機構127が着脱自在に配置されている。
【0014】
本実施の形態における電動ハンマ101のうち、クランク機構123および制振機構127の詳細な構成が図2に示される。クランク機構123は、駆動モータ121の出力軸131に形成されたギア部133に噛み合って水平面内で回転駆動される被動ギア135、当該被動ギア135と一体回転するクランクシャフト137、当該クランクシャフト137の回転中心から所定量シフト(偏心)した位置において被動ギア135の上面側に配置されたクランクピン(偏心軸)139、および一端側がクランクピン139に遊嵌状に取り付けられるとともに他端側が「駆動子」としてのピストン141に連結軸143を介して遊嵌状に取り付けられたコネクティングロッド145を備えた構成とされる。なお、ピストン141はバレル109内に収容されたシリンダ142に摺動自在に配置されている。
【0015】
クランクピン139は、コネクティングロッド145の長軸方向の一端側に形成された長軸方向と交差する取付孔147に下面側から遊嵌状に挿入されるとともに、その先端(上端)が取付孔147から所定長さで突出されている。このクランクピン139の突出上端部は、後述する制振機構127の動力取出し用(駆動力の入力用)として設定されている。またコネクティングロッド145のクランクピン139の挿入方向と対向する側面の一端側(下面側端部)には、クランクピン139との組み付け作業に使用される所定深さの切欠溝149が形成されている。切欠溝149は、クランクピン139が径方向に移動することが可能な溝幅(少なくともクランクピン139と等しい溝幅)を有する。すなわち、コネクティングロッド145をクランクピン139の径方向へ相対的に移動させたとき、当該クランクピン139を当該取付孔147に誘導する溝幅を有する。そして切欠溝149は、コネクティングロッド145の長軸方向に沿って延在されるとともに一端が長軸方向端面に開口149aされ、他端が取付孔147に臨む(開口される)構成とされる。
【0016】
打撃機構125は、図1に示すように、ピストン141とともにシリンダ142内に摺動自在に配置された「打撃子」としてのストライカ151と、ツールホルダ111内に摺動自在に配置されるとともに、当該ストライカ151の運動エネルギをハンマビット129に伝達する「中間子」としてのインパクトボルト153を主体に構成される。
【0017】
制振機構127は、図2に示すように、カウンタウェイト161と、当該カウンタウェイト161の駆動手段163を有する。カウンタウェイト151の駆動手段163は、ピンガイド孔165にクランク機構123のクランクピン139の先端(突出上端部)を嵌合して連接されるカウンタウェイト駆動クランク167、当該カウンタウェイト駆動クランク167の回転中心から所定量シフトされた位置に一体状に形成された偏心ピン169を有する。カウンタウェイト駆動クランク167はベアリング171を介してクランクキャップ173の内周面に軸止されつつ水平面内を回転可能に構成される。なお、カウンタウェイト駆動クランク167の回転中心と、前記クランク機構123のクランクシャフト137の回転中心とは、概ね同一軸線上に設定されている。
【0018】
またギアハウジング107の上面部には、クランク機構125を当該ギアハウジング107内に組み付けるための組み付け作業用の開口部107bが形成されており、この開口部107bは、クランク機構125の組み付け後において着脱自在なクランクキャップ173によって塞がれる構成となっている。したがって、制振機構127は、クランクキャップ173を介してギアハウジング107に着脱自在とされている。
【0019】
上記のように構成された電動ハンマ101において、駆動モータ121が通電駆動されると、その回転出力により、クランク機構123が駆動され、それによりピストン141がシリンダ142内を直線状に摺動動作される。そしてピストン141のハンマビット129側への摺動動作に伴う空気バネの作用を介してストライカ151がシリンダ142内を同方向へ直線運動し、インパクトボルト153に衝突することで、その運動エネルギ(打撃力)をハンマビット129へと伝達する。これによってハンマビット129がツールホルダ111内を摺動動作して被加工材に対するハンマ作業を遂行する。
このとき、ストライカ151の直線運動にタイミングを合わせて制振機構127のカウンタウェイト137が当該ストライカ137と対向状に直線運動し、ハンマビット129によるハンマ作業時に本体部103に発生する振動を抑制するように作用する。
【0020】
次にクランクピン139とコネクティングロッド145との組み付けを図3および図4を参照して説明する。
クランクピン139とコネクティングロッド145の組み付けは、図3に示すように、予めギアハウジング107内に組み付けられたクランクシャフト137のクランクピン139に対して、当該ギアハウジング107のバレル接合用の開口部107aからコネクティングロッド145を差し込んで行なう。なお、これに先立ち、クランクシャフト137、被動ギア135およびクランクピン139が作業用の開口部107bを利用してギアハウジング107内に組み付けられるが、そのとき、クランクピン139が、コネクティングロッド145をギアハウジング107内に差し込むときに想定される切欠溝149の移動線上に位置するように調整することが好ましい。例えば図3に示すように、クランクピン139が概ねバレル接合用の開口部107a寄り中央位置となるように調整する。
【0021】
また、コネクティングロッド145は、クランクピン139との組み付けに先立って、ピストン141に連結軸143を介して連結されており、当該ピストン141は、バレル109のシリンダ142内に組み付けられている。一方、ギアハウジング107に対する制振機構127の組み付けは、クランクピン139とコネクティングロッド145の組み付け後に遂行される。このような状態が図3に示されている。
【0022】
切欠溝149を下向きにしてコネクティングロッド145をバレル接合用の開口部107aからギアハウジング107内に差し込み、クランクピン139の先端を長軸方向端面側の開口149aから切欠溝149に嵌め込む。そしてコネクティングロッド145を更に差し込むと、クランクピン139が切欠溝149によって取付孔147に向かって案内されるとともに切欠溝149の端部に対向する取付孔147の孔壁に当接する。これにより、クランクピン139と取付孔147との位置合わせがなされる。その状態でコネクティングロッド145をクランクピン139に対して当該クランクピン139の軸線方向へ相対的に移動させることにより、クランクピン139を取付孔147に挿入する。かくして、コネクティングロッド145とクランクピン139との組み付けがなされる。
【0023】
なお、その後においては、バレル109の後端部109aがギアハウジング107の開口部107aに嵌め込んで接合される。また、予めクランクキャップ173に組み込まれた制振機構127がギアハウジング107の作業用開口部107bに組み付けられる。そのとき、コネクティングロッド145の取付孔147から貫通されたクランクピン139の突出端部がカウンタウェイト駆動用クランク167のピンガイド孔165内に差し込まれる。かくして、図2に示すような組み付け状態となる。
【0024】
以上のように、本実施の形態に係る電動ハンマ101においては、コネクティングロッド145に切欠溝149を設けたことにより、クランクピン139を取付孔147に挿入して組み付ける際に、ピン挿入方向につき、クランクピン139とコネクティングロッド145との相対的な移動量を切欠溝149の深さHに相当する分だけ減少することができる。すなわち、切欠溝149の深さH分だけコネクティングロッド145をクランクピン139の根元側(被動ギア135側)へ近づけた状態でギアハウジング107内に差し込むことができ、それに伴い開口部107aの間口寸法Lを切欠溝149の深さH相当分だけ小さく形成することが可能となる。その結果、ギアハウジング107をコンパクトに形成することができる。
【0025】
本実施の形態のように、クランク機構123の上方にカウンタウェイト式の制振機構127を配置し、当該制振機構127の駆動をクランクピン139によって行なう形式の電動ハンマ101においては、クランクピン139がコネクティングロッド145の取付孔147を貫通して上方へ所定長さで突出する長寸に設定するとともに、当該突出先端部によって制振機構127の駆動を行なわせる関係で、ギアハウジング107の開口部107aの間口寸法Lも大きく設定せざるを得なくなる。したがって、このような形式の電動ハンマ101につき、上記のようなコネクティングロッド145とクランクピン139との組み付け構造を採用したときは、ギアハウジング107の大型化を回避する上で有効となる。
【0026】
また本実施の形態においては、コネクティングロッド145をギアハウジング107内に差し込んだときに、切欠溝149がクランクピン139を取付孔147に向かって案内するガイド機能を奏するため、クランクピン139と取付孔147との位置合わせを楽に行なうことが可能となり、クランクピン139とコネクティングロッドと145の組み付け作業を容易に遂行できる。
【0027】
ところで、電動ハンマ101の駆動時においては、ピストン141がストライカ151側に向かって移動される、いわゆる前進時には、コネクティングロッド145に対してピストン141の後退時よりも大きい反力が作用する。しかしながらこの反力については、取付孔147における切欠溝149が存在しない側の孔壁、つまり切欠溝149の端部と対向する孔壁によって受ける。このため、切欠溝149が存在することによって強度が不足するといった虞れはない。
【0028】
なお、切欠溝149は、例えばコネクティングロッド145が成形型を用いて成形(鋳造または鍛造)される場合であれば、その成形と同時に形成することが好ましいが、機械加工により後加工で形成してもよい。
【0029】
(変更例)
図5は、コネクティングロッド145に形成される切欠溝149の変更例を示している。この変更例においては、切欠溝149は、図示のように、コネクティングロッド145の長軸方向の端面側に形成される開口149aの開口幅がクランクピン139の外径よりも大きい幅広に形成されるとともに、取付孔147に向かって溝幅が漸次狭まる構成とされている。すなわち、切欠溝149は取付孔147に向かって狭くなるテーパー面に形成されている。
【0030】
このような変更例によれば、コネクティングロッド145をギアハウジング107内に差し込んだときに、図5に二点鎖線で示すように、クランクピン139が切欠溝49の想定される移動線に対して多少シフトしていても、当該クランクピン139を幅広の開口149aを経て切欠溝149内にスムースに誘導することができる。また切欠溝149内に嵌まり込んだクランクピン139を、誘導面としてのテーパー面を介して取付孔147に向かって案内できる。
すなわち、変更例に係る切欠溝149は、クランクピン139を取付孔147に向かって誘導するガイド機能を奏するものであり、これにより取付孔147とクランクピン139の位置決め作用が合理的に達成される。
【0031】
ところで、図6に示すように、電動ハンマ101は、制振機構127を有しない形態で構成される場合もある。すなわち、制振機構127がギアハウジング107に対して着脱可能とされた構成の電動ハンマ101は、制振機構127付きの形態、あるいは制振機構127無しの形態のいずれかの形態で使用される。そして制振機構127無しの場合、すなわちギアハウジング107から制振機構127が取り外された場合は、ギアハウジング107の上面側の作業用開口部107bは、図示の如く、クランプキャップ173によって閉塞される。本発明のコネクティングロッド145とクランクピン139の取り付け技術は、このような使用形態が異なる電動ハンマ101に適用することができる。
【0032】
なお、本発明はハンマビット129が長軸方向に直線運動してハンマ機能を奏する電動ハンマ101のみならず、ハンマ機能に加え、ハンマビット129がその周方向に回転運動してドリル機能を奏する電動ハンマドリルに適用できるものである。また本発明は、駆動モータの回転運動を直線運動に変換する手段としてクランク機構を備え、当該クランク機構を介して工具ビットを駆動する形式の電動工具であれば、適用可能であり、例えばレシプロソーがこれに該当する。
【0033】
また実施の形態に係る変更例では、切欠溝149の形状につき、コネクティングロッド145の長軸方向の端面側に形成される開口149aの開口幅を最大として、溝幅が取付孔147に向かって漸次狭くなるテーパー形状とすることで誘導面を形成する構成とし、これによりクランクピン139を水平面内(左右方向)で案内するガイド機能を付加したが、このクランクピン139の誘導面によるガイド機能については、水平面内のガイド機能に加えて上下方向(水平面に交差する鉛直面内)のガイド機能を奏する構成に変更することが可能である。
【0034】
すなわち、水平面および鉛直面のガイド機構を奏するために、切欠溝149に形成される誘導面は、例えば変更例で説明した構成に加え、当該切欠溝149の溝底形状がコネクティングロッド145の長軸方向端面側の開口149a側から取付孔側に向かって連続して浅くなる、あるいは段階的に浅くなる構成とされる。または切欠溝149は、当該切欠溝149の溝底が凹球面によって形成されるとともに、当該凹球面状の溝底がコネクティングロッド145の長軸方向端面側の開口149a側から取付孔側に向かって浅くなる構成とされる。ただし、この場合における、切欠溝149の最も浅い部分の溝深さが、組み付けにおいて必要な深さ、すなわち、実施の形態において説明した溝深さHと概ね同程度となるように設定される。上記のような構成を採用することにより、コネクティングロッド145とクランクピン139とを組み付けるときの、クランクピン139の切欠溝149内への誘導およびクランクピン139の取付孔147への誘導を合理的に実現することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、切欠溝149がコネクティングロッド145の長軸方向に沿って延在されるとともに、同方向の端面に開口149aが形成される構成としたが、切欠溝149の延在方向および開口149aについては、必ずしも長軸方向に沿っている構成に限定されるものではない。例えば、長軸方向の軸線を基準にして当該軸線を挟んで両側に概ね各90度の範囲内であれば、強度的に特に問題を生ずることなく、ギアハウジング107の「コンパクト化効果」およびクランクピン139の取付孔147への「誘導機能」を得ることが可能である。
【0036】
さらに本発明の趣旨に鑑み、以下の各態様を構成することができる。
(態様1)
「請求項1または2に記載の電動工具であって、
前記工具ビットは、前記打撃機構を介して直線運動する打撃子による打撃力を受けて所定のハンマ作業を行うハンマビットとして構成され、
前記クランクピンは、前記コネクティングロッドの取付孔から貫通して突出する突出先端部を有し、その突出先端部が前記ハンマ作業時の振動を抑制する制振機構の駆動手段に連係されている構成としたことを特徴とする電動工具。」
【0037】
この態様1によれば、クランクピンを、制振機構を駆動する駆動力の入力源として利用することができる。この場合において、制振機構としては、典型的には、カウンタウェイトを打撃子と対向状に直線運動させることにより、当該打撃子がハンマビットを打撃するときの制振を行なう、いわゆる「カウンタウェイト」式の制振機構がこれに該当する。そして態様1によれば、クランクピンをコネクティングロッドの取付孔から所定長さで突出させた場合に生ずるギアハウジングの大型化を合理的に回避し、当該ギアハウジングのコンパクト化を図ることができる。
【0038】
(態様2)
「請求項1に記載の電動工具であって、
前記切欠溝は、前記クランクピンを当該切欠溝に誘導するとともに、当該切欠溝に誘導された当該クランクピンを前記取付孔に向かって誘導する誘導面を有することを特徴とする電動工具。」
【0039】
この態様2によれば、コネクティングロッドとクランクピンとを組み付けるときの、クランクピンの切欠溝内への誘導およびクランクピンの取付孔への誘導を合理的に実現することが可能となり、これによりコネクティングロッドとクランクピンとの組み付け作業性を向上できる。「誘導面」の態様としては、コネクティングロッドの長軸方向端面側開口をクランクピンの径よりも大きい開口幅とするとともに、溝幅が取付孔に向かって狭まる態様のほか、コネクティングロッドの長軸方向端面側開口をクランクピンの径よりも大きい開口幅とするとともに、溝幅が取付孔に向かって狭まる構成に加え、さらに溝底形状がコネクティングロッドの長軸方向端面側開口側から取付孔側に向かって浅くなる態様、あるいは溝底が凹球面によって形成されるとともに、当該凹球面状の溝底がコネクティングロッドの長軸方向端面側開口側から取付孔側に向かって浅くなる態様を好適に包含する。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、電動工具において、ギアハウジングのコンパクト化を図り、併せてコネクティングロッドとクランクピンとの組み付け作業の容易化を図る上で有効な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る電動ハンマの全体構成を示す断面図である。
【図2】本実施の形態に係る電動ハンマの要部を示す断面図である。
【図3】コネクティングロッドとクランクピンの組み付け作業を説明する図である。
【図4】コネクティングロッドとクランクピンの組み付け作業を説明するための平面的に示す模式図である。
【図5】切欠溝に関する変更例を平面的に示す模式図である。
【図6】制振機構が取り外された電動ハンマの部分断面図である。
【符号の説明】
101 電動ハンマ「作業工具」
103 本体部
105 モータハウジング
107 ギアハウジング
107a バレル接合用の開口部
107b 作業用の開口部
109 バレル
109a 後端部
111 ツールホルダ
113 ハンドグリップ
121 駆動モータ
123 クランク機構
125 打撃機構
127 制振機構
129 ハンマビット「工具ビット」
131 出力軸
133 ギア部
135 被動ギア
137 クランクシャフト
139 クランクピン
141 ピストン「駆動子」
142 シリンダ
143 連結軸
145 コネクティングロッド
147 取付孔
149 切欠溝
149a 長軸方向端面側の開口
151 ストライカ「打撃子」
153 インパクトボルト「中間子」
161 カウンタウェイト
163 駆動手段
165 ピンガイド孔
167 カウンタウェイと駆動クランク
169 偏心ピン
171 ベアリング
173 クランクキャップ
Claims (2)
- 工具ビットと、
駆動モータと、
前記駆動モータの回転運動を直線運動に変換して前記工具ビットを駆動するクランク機構と、
少なくとも前記クランク機構を収容するハウジングと、を有する電動工具であって、
前記ハウジングには、開口部が形成されており、
前記クランク機構は、前記開口部から前記ハウジング内に差し込まれるコネクティングロッドと、前記コネクティングロッドに当該コネクティングロッドの長軸方向と交差する方向に貫通して形成された取付孔と、前記ハウジング内に配置されたクランクシャフトと、前記クランクシャフトに当該クランクシャフトの回転中心からシフトした位置に組み付けられたクランクピンと、を有し、
前記ハウジング内に差し込まれた前記コネクティングロッドを、前記クランクピンに対し当該コネクティングロッドの長軸方向と交差する方向に相対移動させて前記取付孔に前記クランクピンを挿入し、これにより前記コネクティングロッドと前記クランクピンが組み付けられる構成とされ、
前記コネクティングロッドにおける前記クランクピンの挿入側面には、前記コネクティングロッドと前記クランクピンとの組付け時において、前記コネクティングロッドを前記開口部から前記ハウジング内に差し込まれ、予め当該ハウジング内に置かれた前記クランクピンの径方向へ相対的に移動させたとき、当該クランクピンを当該取付孔に誘導する所定深さの切欠溝が形成され、前記切欠溝は一端が前記コネクティングロッドの端面に開口され、他端が前記取付孔に臨む構成とされることを特徴とする電動工具。」 - 請求項1に記載の電動工具であって、
前記切欠溝は、前記開口の開口幅が前記クランクピンの外径よりも幅広に形成され、しかも溝幅が前記取付孔側に向かって狭まるよう形成されていることを特徴とする電動工具。
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