JP4105978B2 - キャビネットの扉構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビネットに用いられる、キャビネット筐体の高さの変更に合わせて、上下寸法を変更しうるようにしたキャビネットの扉構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
スペースが限られたオフィスにおいて、収納物を増加した場合、本体キャビネットの上に、上置きキャビネットを複数段に積み重ねることがある。この場合、両キャビネットのための扉の態様については、従来2つのものが知られていた。
【0003】
その1つは、図11に示すように、前面が開口する筐体(51)の前面に、把手(52)付きの両開き式の扉(53)を設けた本体キャビネット(54)の上に、筐体(55)の前面に把手(56)付きの扉(57)を備える上置きキャビネット(58)を載置するものである。
【0004】
もう1つは、図12に示すように、図11のものと同様の本体キャビネット(54)の上に、扉のない上置きキャビネット用の筐体(55)を載置し、それらの前面に、両筐体(51)(55)の高さの和と等しい高寸の扉(59)を付け替えるものである。この態様では、扉(59)には、上述の扉(53)におけるのとほぼ同じ位置に、ただ1個の把手(60)が設けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者においては、上置きキャビネット(58)専用の扉(57)の把手(56)が高い位置にあるため、扉の開け閉めが不自由である。また、本体キャビネット(54)の扉(53)と上置きキャビネット(58)専用の扉(57)との間に境界線ができるので、意匠的な観点から、ユーザの嗜好に合わないこともある。
【0006】
他方、後者の態様においては、本体キャビネット(54)用の扉(53)とは別に、高寸の扉(59)を用意しておかなければならず、使用しない方の扉の保管が面倒である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、キャビネットの高さが変更する場合に、元の扉をそのまま使用しながら、キャビネット筐体全体にわたって、1枚の扉として使用することができるようにした、キャビネットの扉構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記課題は次のようにして解決される。
( 1 )縦枠と、この縦枠の上下端にそれぞれ取付けられる横枠と、これら縦枠と横枠に支持されるパネルからなるキャビネットの扉構造において、前記縦枠の上端から横枠を取外して前記縦枠の上端に連設されるアドオン縦枠と、このアドオン縦枠に両側を支持されながら前記パネルの上端の上に中間枠を介して連続して配置され、かつ前記横枠を前記アドオン縦枠に取付けることによって上端部を支持されるアドオンパネルを備え、前記アドオン縦枠は、前記縦枠とアドオン縦枠の双方に差し込み可能なアドオン連結金具を介して縦枠に連設する。
【0009】
(2)縦枠と、この縦枠の上下端にそれぞれ取付けられる横枠と、これら縦枠と横枠に支持されるパネルからなるキャビネットの扉構造において、前記縦枠の上端から横枠を取外して前記縦枠の上端に連設されるアドオン縦枠と、このアドオン縦枠に両側を支持されながら前記パネルの上端の上に中間枠を介して連続して配置され、かつ前記横枠を前記アドオン縦枠に取付けることによって上端部を支持されるアドオンパネルを備え、前記縦枠、横枠および中間枠は、前記パネルおよびアドオンパネルに面する側に溝が設けられ、前記パネルおよびアドオンパネルは、この溝に左右両側および上下端が差し込まれることによって支持されるようにする。
【0010】
(3)上記(2)項において、前記アドオン縦枠は、前記縦枠とアドオン縦枠の双方に差し込み可能なアドオン連結金具を介して縦枠に連設する。
【0011】
( 4 )上記( 1 ) 〜 ( 3 )項のいずれかにおいて、前記パネルおよびアドオンパネルはそれぞれ、仕切枠を介して縦方向に連続的に配置される分割パネルおよび分割アドオンパネルからなるものとする。
【0012】
( 5 )上記( 4 )項において、前記仕切枠の上面と下面には溝が設けられ、前記分割パネルと分割アドオンパネルは、上下端がこの溝に差し込まれることによって支持されるものとする。
【0013】
( 6 )上記( 1 ) 〜 ( 5 )項のいずれかにおいて、パネルの中間部に、把手を設ける。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、添付の図面を参照して説明する。なお、共通の要素には、各図にわたって同一の符号を付してある。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態を備える、キャビネットの扉(1)を示す正面図であり、図2は、図1の扉(1)に、アドオンパネル(2)等を取り付ける前の状態を示す正面図である。
【0016】
図2において、扉(1')は、2本の縦枠(3)と、その上下端にそれぞれ取付けられる横枠(4)とによってパネル(5)を支持してなる。パネル(5)は、仕切枠(6)を介して縦方向に配列される複数の分割パネル(5a)からなる。中ほどにある分割パネル(5a)には把手(7)が設けられている。複数の分割パネル(5a)の高さは、それぞれユーザの嗜好に応じて種々のものを選択でき、またどのような順序で配列することもできる。なお、パネル(5)を、ただ1枚の板で構成することもできる。
【0017】
図1において、扉(1)には、2本の縦枠(3)の上端に、それぞれアドオン縦枠(11)が連設され、これらアドオン縦枠(11)(11)の間には、アドオンパネル(2)が配置されている。アドオンパネル(2)は、パネル(5)の上に中間枠(12)を介して連設される。アドオンパネル(2)が取付けられたこと以外に変わったところはないため、把手(7)の位置は変わらない。
【0018】
図3は、図2に示す扉(1)の上端部の拡大背面図である。また、図4〜図6は、それぞれ、図3における横枠(4)、縦枠(3)および仕切枠(6)の断面図である。
【0019】
縦枠(3)には、その上端にL金具(13)を介して、横枠(4)の左右両端が、ねじ(14)によって連結されている。L金具(13)は、図4と図5にそれぞれ示すように、横枠(4)の段差部(4a)と縦枠(3)の段差部(3a)に当てがわれることによって容易に位置決めすることができる。
【0020】
また、図4に示す横枠(4)の下面には溝(4b)が設けられ、最上段の分割パネル(5a)は、上端がこの溝(4b)に差し込まれることにより支持される。なお、縦枠(3)の下端に取付けられる横枠の場合は、その上面に同様の溝が設けられ、最下段の分割パネル(5a)の下端が、この溝に差し込まれることによって支持される。
【0021】
他方、図5に示す縦枠(3)の右面には、溝(3b)が設けられているが、もう一方の縦枠(3)の左面にも同様に溝(3b)が設けられている。各分割パネル(5a)の左右両端がこれらの溝(3b)にそれぞれ差し込まれることによって、各分割パネル(5a)は確実に支持される。なお、縦枠(3)には、上下方向を向く中空部(3c)が設けられているが、これは、後述するアドオン連結金具(15)を挿入するためのものである。
【0022】
さらに、図3に示す2枚の分割パネル(5a)の間には仕切枠(6)が介在するが、この仕切枠(6)の上面と下面には、図6に示すようにそれぞれ上溝(6a)と下溝(6b)が設けられ、上方と下方からそれぞれ分割パネル(5a)の下端と上端が差し込まれて支持される。
【0023】
上述の扉(1)において、図1に示したようなアドオンパネル(2)を装着するには、次のようにする。図7は、アドオン縦枠(11)とアドオンパネル(2)を取付けたキャビネットの扉(1)の上部の拡大分解図である。
【0024】
まず、縦枠(3)とこの縦枠(3)に取付けた分割パネル(5a)と仕切枠(6)はそのままにして、L金具(13)を締結していたねじ(14)を緩めて、横枠(4)を縦枠(3)から取外す。次に、横枠(4)を取外した縦枠(3)の上端において、図5で説明した中空部(3c)に、アドオン連結金具(15)の下半部を挿入する。他方、このアドオン金具(15)の上半部は、長さ以外は図5で説明した縦枠(3)と同一形状であるアドオン縦枠(11)の中空部(図示せず)に挿入する。ボルト(16)を用いて、縦枠(3)とアドオン縦枠(11)をそれぞれアドオン連結金具(15)に締結することにより、縦枠(3)とアドオン縦枠(11)を面一に連設することができる。
【0025】
次に、すでに図6を参照して説明した仕切枠(6)と同一の形状を有する中間枠(12)の下面に設けた溝(図示せず)を、最上段の分割パネル(5a)に嵌合し、さらにこの中間枠(12)の上面に設けた溝(図示せず)に、アドオンパネル(2)の下端を差し込む。この際、アドオンパネル(2)は、アドオン縦枠(11)の側面に縦枠(3)と同様に設けてある溝(図示せず)内を摺動させ、最終的にはこの溝によって左右両側を支持される。なお、アドオンパネル(2)は、パネル(5)と同様に、間に仕切枠を介在させて支持される複数の分割アドオンパネルから構成することもできる。
【0026】
アドオンパネル(2)の装着が終わったら、この上端に、取外しておいた横枠(4)の溝(4b)を当てがい、最終的にL金具(13)を横枠(4)とアドオン縦枠(11)の各段差部に載置して位置合わせした後、ねじ(14)で連結し、図1の扉(1)を形成することができる。
【0027】
なお、分割パネル(5a)の高さと、アドオンパネル(2)の高さが異なる場合、アドオンパネル(2)を追加する際に、必要に応じて、最上段の分割パネル(5a)を上方に外し、その代りにアドオンパネル(2)を装着し、その上に、中間枠(12)を嵌合し、さらにその上に、先に外した最上段の分割パネル(5a)を装着して、上下寸法の大きい扉(1)を形成してもよい。すなわち、アドオンパネル(2)を、任意の分割パネル(5a)(5a)間に入れることができる。
【0028】
図8及び図9は、図1に示す扉(1')を、引き違い式の引戸として用いたキャビネットを示す。この例では、基本となる筐体(31)の上に、上置き用の筐体(32)を載置し、筐体(31)の下端前縁に下レール(33)を、また筐体(32)の上端前縁に上レール(34)をそれぞれ設け、上下のレール(34)(33)の対向面に設けた前後2条のガイド溝(34a)(34b)(33a)(33b)に、上下方向の長さを大とした扉(1)の上下の端部を、それぞれ左右方向に摺動自在に嵌合してある。
【0029】
上置き用の筐体(32)を外して、基本となる筐体(31)のみで使用する場合は、上レール(34)を筐体(32)から外して、筐体(31)の前上部に取り付け、かつ上記扉(1)からアドオンパネル(2)等を外して、図2に示すようにした、上下方向の長さを小とした扉(1)を、上下のレール(34)(33)間に上記と同様にして装着する。
【0030】
図10は、図1に示す扉(1)を、両開き式の扉として用いたキャビネットを示す。この例では、基本となる筐体(41)の上に、上置き用の筐体(42)を載置し、上下方向の長さを、両筐体(41)(42)の高さの和とほぼ等しくした、図1に示す扉(1)を、下方の筐体(41)の両側部に、上下1対ずつの蝶番(43)(43)をもって、それぞれ枢着してある。
【0031】
この例では、上置き用の筐体(42)を外して、基本となる筐体(41)のみで使用する場合は、各扉(1)を筐体(41)に枢着したままの状態で、各扉(1')から、アドオンパネル(2)等を、上述したのと逆の手順で外して、図2に示す上下寸法の短い扉(1')とすることができる。
【0032】
本発明の扉構造は、その他のタイプのキャビネット用扉にも適用できることはもちろんである。例えば、閉止時にすべての扉が左右方向に一直線状に並び、開くときは、いずれかの扉を、一旦前方に移動した後、左右方向に移動させるようにした、いわゆるフラット扉にも適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(a)請求項1記載の発明によると、基本となる筐体の上に、上置き用(下置きも可能)等の筐体を積み重ねて使用するキャビネットにおいて、基本となる筐体を閉塞していた元の扉の各構成部材をそのまま使用して、積み重ねた多段の筐体全体の高さにわたって覆うこ とのできる上下方向の長さが長い1枚の扉を簡単に形成することができ、高さ変更の可能性のあるキャビネット用の扉として、有意義に使用することができる。
また、長さ以外は縦枠と同一形状のアドオン縦枠を用いて、縦枠と面一に連設できるため、製造上の容易さとコスト面においてアドオン縦枠の製造を有利に行なうことができる。
【0034】
(b)請求項2記載の発明によると、基本となる筐体の上に、上置き用(下置きも可能)等の筐体を積み重ねて使用するキャビネットにおいて、基本となる筐体を閉塞していた元の扉の各構成部材をそのまま使用して、積み重ねた多段の筐体全体の高さにわたって覆うことのできる上下方向の長さが長い1枚の扉を簡単に形成することができ、高さ変更の可能性のあるキャビネット用の扉として、有意義に使用することができる。
また、特別なパネル固定部材を用いることなく、パネルおよびアドオンパネルの取付けを容易に行うことができる。
【0035】
(c)請求項3記載の発明によると、長さ以外は縦枠と同一形状のアドオン縦枠を用いて、縦枠と面一に連設できるため、製造上の容易さとコスト面においてアドオン縦枠の製造を有利に行なうことができる。
【0036】
( d )請求項4記載の発明によると、1枚の大きなパネルおよびアドオンパネルを用いることなく、扱いやすい大きさの分割パネル、および分割アドオンパネルを用いて取付けを容易に行うことができる。
【0037】
( e )請求項5記載の発明によると、特に支持部材を用意することなく、分割パネルおよび分割アドオンパネルの取付けを容易に行うことができる。
【0038】
( f )請求項6記載の発明によると、扉の上下寸法を大とする場合も、小とする場合も、把手の位置が変ることがなく、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るキャビネットの扉構造の正面図である。
【図2】 図1の扉構造に、アドオンパネルを取り付ける前の状態を示す正面図である。
【図3】 図2の扉構造の上端部の拡大背面図である。
【図4】 図1の扉構造で用いる横枠の縦断面図である。
【図5】 図1の扉構造で用いる縦枠の横断面図である。
【図6】 図1の扉構造で用いる仕切枠の縦断面図である。
【図7】 アドオン縦枠とアドオンパネルを取付けたキャビネットの扉構造の拡散分解背面図である。
【図8】 本発明に係る扉を引戸として筐体に取付けたキャビネットの正面図である。
【図9】 同じく、図8のIX−IX線に沿う縦断側面図である。
【図10】 本発明に係る扉を開き戸として筐体に取付けたキャビネットの正面図である。
【図11】 従来の本体キャビネットの上に上置きキャビネットを載置した状態を示す正面図である。
【図12】 基本となる筐体の上に上置き用の筐体を載置し、それらの前面に、高寸の扉を装着した従来のキャビネットを示す正面図である。
【符号の説明】
(1)(1')扉
(2)アドオンパネル
(3)縦枠
(3a)段差部
(3b)溝
(3c)中空部
(4)横枠
(4a)段差部
(4b)溝
(5)パネル
(5a)分割パネル
(6)仕切枠
(6a)上溝
(6b)下溝
(7)把手
(11)アドオン縦枠
(12)中間枠
(13)L金具
(14)ねじ
(15)アドオン連結金具
(16)ボルト
(31)(32)筐体
(33)下レール
(34)上レール
(33a)(33b)(34a)(34b)ガイド溝
(41)(42)筐体
(43)蝶番
(51)筐体
(52)把手
(53)扉
(54)本体キャビネット
(55)筐体
(56)把手
(57)扉
(58)上置きキャビネット
(59)扉
(60)把手
Claims (6)
- 縦枠と、この縦枠の上下端にそれぞれ取付けられる横枠と、これら縦枠と横枠に支持されるパネルからなるキャビネットの扉構造において、前記縦枠の上端から横枠を取外して前記縦枠の上端に連設されるアドオン縦枠と、このアドオン縦枠に両側を支持されながら前記パネルの上端の上に中間枠を介して連続して配置され、かつ前記横枠を前記アドオン縦枠に取付けることによって上端部を支持されるアドオンパネルを備え、前記アドオン縦枠は、前記縦枠とアドオン縦枠の双方に差し込み可能なアドオン連結金具を介して縦枠に連設されることを特徴とするキャビネットの扉構造。
- 縦枠と、この縦枠の上下端にそれぞれ取付けられる横枠と、これら縦枠と横枠に支持されるパネルからなるキャビネットの扉構造において、前記縦枠の上端から横枠を取外して前記縦枠の上端に連設されるアドオン縦枠と、このアドオン縦枠に両側を支持されながら前記パネルの上端の上に中間枠を介して連続して配置され、かつ前記横枠を前記アドオン縦枠に取付けることによって上端部を支持されるアドオンパネルを備え、前記縦枠、横枠および中間枠は、前記パネルおよびアドオンパネルに面する側に溝が設けられ、前記パネルおよびアドオンパネルは、この溝に左右両側および上下端が差し込まれることによって支持されることを特徴とするキャビネットの扉構造。
- 前記アドオン縦枠は、前記縦枠とアドオン縦枠の双方に差し込み可能なアドオン連結金具を介して縦枠に連設される請求項2記載のキャビネットの扉構造。
- 前記パネルおよびアドオンパネルはそれぞれ、仕切枠を介して縦方向に連続的に配置される分割パネルおよび分割アドオンパネルからなる請求項1〜3のいずれかに記載のキャビネットの扉構造。
- 前記仕切枠の上面と下面には溝が設けられ、前記分割パネルと分割アドオンパネルは、上下端がこの溝に差し込まれることによって支持される請求項4記載のキャビネットの扉構造。
- パネルの中間部に、把手を設けた請求項1〜5のいずれかに記載のキャビネットの扉構造。
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