JP4105838B2 - 研磨剤及び研磨方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は研磨剤およびそれを用いた研磨方法に関する。さらに詳しくは、シリコンウェハ上に形成された層間絶縁膜(SiO2膜)や金属膜等を化学機械研磨する際に用いる新規な研磨剤およびそれを用いた研磨方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化に伴って、配線技術は益々微細化かつ多層化の方向に進んでいる。配線の微細化と多層化の進展によって層間の段差は大きくなり、且つ急峻になるため、その上に形成される配線の加工精度や信頼性を低下させる傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の問題点を解決するために、化学機械研磨(以下、CMPと略記する)法が注目されている。CMP法とは、半導体デバイスの製造工程中において、シリコン酸化膜等の層間絶縁膜や、配線層を形成するアルミニウムやタングステン等の金属膜を研磨によって平坦化する手法のことである。CMPにおいて使用される研磨剤に関しては、研磨速度が高いこと、研磨対象に対して汚染の少ないこと、スクラッチの少ないこと、選択比が高いことなどが求められている。
【0004】
上記に列記したような研磨剤の性能は、主原料であるシリカや酸化セリウムといった砥粒成分によるところが大きい。例えば、従来良く使われているフュームドシリカを砥粒に用いた研磨剤では、研磨速度が必ずしも十分とは言えず、さらに研磨速度を向上させることが望まれていた。特に、半導体製造工程では、研磨速度はデバイスの生産性に係わるため、研磨速度の向上が強く望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、従来の水とヒュームドシリカよりなる研磨剤にヒュームドシリカを除く平均一次粒子径が40〜600nmの球状シリカを配合することによって大幅に研磨速度が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、水、ヒュームドシリカおよび平均一次粒子径が40〜600nmの球状シリカを含んでなり、該球状シリカは、
(A1)アルコキシシランを加水分解するゾル−ゲル法により製造される球状シリカ
または
(A2)珪酸ソーダを原料にしてオストワルド法で製造される球状コロイダルシリカ
であり、且つ
(B)電子顕微鏡を用いて観察したときに、粒子に外接する円に対する内接する円の直径の比が0.6〜1.0であり、
球状シリカとフュームドシリカの平均一次粒子径の比(球状シリカ/ヒュームドシリカ)が1.5〜20であることを特徴とする研磨剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるヒュームドシリカは特に制限されず、公知のものを用いることができる。一般には、平均一次粒子径(以下、一次粒子径とも略記する)が7〜70nm(比表面積が400〜40m2/g)のヒュームドシリカが入手可能であり、本発明に用いることができる。特に一次粒子径が9〜60nm(比表面積が300〜45m2/g)のヒュームドシリカは、優れた研磨効果を発現するために好適である。なお、ここで言う比表面積とはBET法による比表面積を指し、また一次粒子径とは下記式で換算した粒子径を指す。
【0008】
d=6×103/(D×S) (式1)
ここで、dは一次粒子径(単位:nm)、Dは粒子の密度(単位:g/cm3)、SはBET比表面積(単位:m2/g)である。
【0009】
ヒュームドシリカの代わりにアルミナ、チタニア、ジルコニア等の他の無機酸化物粒子を用いた場合には、比較例2に示すように他の無機酸化物粒子と後述する球状シリカとが凝集し沈殿するため、研磨剤が不安定となり、また、被研磨物表面にスクラッチが発生する恐れがある。
【0010】
本発明における他の成分は、ヒュームドシリカを除く平均一次粒子径が40〜600nmの球状シリカであれば公知のものを制限なく用いることができる。研磨剤の研磨速度の向上効果を勘案すると、球状シリカの一次粒子径は60〜300nm、さらに90〜200nmであることが好ましい。
【0011】
球状シリカの一次粒子径は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡像より求めた平均粒子径を指す。また、上記電子顕微鏡像を用いて観察することによって、球状シリカの粒子形状や粒径分布を求めることができる。
【0012】
本発明に用いる球状シリカは、一次粒子径が40〜600nmであることと球状であることにより、フュームドシリカと併用したときにフュームドシリカの研磨速度を向上させることができる。沈殿法シリカのような一次粒子径が10〜30nmと小さいシリカ粒子を用いた場合には、後述する比較例1から明らかなようにフュームドシリカの研磨速度を向上させることができない。また、不定形のシリカ粒子や破砕状のシリカ粒子などを用いた場合にも、フュームドシリカの研磨速度を向上させることができず、また、被研磨物の表面にスクラッチが発生する傾向があり好ましくない。
【0013】
本発明における球状シリカは、電子顕微鏡を用いて観察したときに、粒子に外接する円に対する内接する円の直径の比が0.6〜1.0であり、0.7〜1.0であることがより好ましい。
【0014】
また、本発明に用いる球状シリカは、研磨速度の再現性の点から粒度分布がシャープであることが好ましい。粒度分布は、例えば、高精度の粒度分布計を用いたり、電子顕微鏡像を画像解析装置を用いて解析することによって測定できる。本発明に用いる球状シリカは、上記の装置で測定された一次粒子径の変動係数が40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
【0015】
球状シリカの種類は、アルコキシシランを加水分解するいわゆるゾル−ゲル法により製造される球状シリカ、または珪酸ソーダを原料にしてオストワルド法で製造される球状コロイダルシリカである。
【0016】
本発明における球状シリカは、乾燥粉末を用いるよりもコロイド状の分散液を用いた方が良い場合がある。即ち、本発明に用いる球状シリカは液相中で合成されたものであり、且つ乾燥工程を経ずに製造されたものであることが望ましい。液相中で合成されたシリカ粒子は分散性に優れており、且つシリカ粒子中にたくさんのシラノール基を有しており、シリカ粒子としては軟らかく、研磨対象に対して傷を付け難いという特徴がある。また、このようなシリカ粒子を用いた方が乾燥粉末や焼成粉末を用いるよりも研磨速度の向上効果が高い傾向にある。一方、シリカ粒子を乾燥させたり焼成してしまうと凝集が強くなり再分散しづらくなり、前述した一次粒子径の変動係数も低下するという問題もある。
【0018】
本発明の研磨剤はNa元素の含有量が100ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下、最も好ましくは0.1ppm以下である。その理由は、不純物、特にNa元素の含有量が高い研磨剤をデバイスの研磨に使用した場合、研磨後の洗浄に手間がかかることやデバイスの歩留まりを低下させる恐れがあるためである。研磨剤の純度、特にNa元素の含有量は、砥粒(ヒュームドシリカと球状シリカ)の純度によって左右される場合が多い。したがって、高純度のヒュームドシリカと高純度の球状シリカを用いることが望ましい。ヒュームドシリカに関しては一般に高純度のものが入手可能である。高純度の球状シリカとしては、アルコキシシランを加水分解して製造されるコロイダルシリカが代表的である。このような高純度のヒュームドシリカや高純度の球状シリカを用いれば、研磨剤中のNa元素の含有量を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下にすることが比較的容易である。
【0019】
球状シリカ中にNa等の不純物が多い場合は、酸洗浄やイオン交換等によって不純物イオンを十分に除去することが望ましい。
【0020】
本発明においては、球状シリカとヒュームドシリカの平均一次粒子径の比(球状シリカ/ヒュームドシリカ)が1.5〜20であることが、研磨速度の向上効果を大きくするために必要である。
【0021】
本発明の研磨剤は、ヒュームドシリカとヒュームドシリカを除く球状シリカとを合わせた全シリカの含有量が、研磨剤の重量を基準にして1〜40重量%の範囲であることが望ましい。全シリカの含有量が1重量%未満では研磨速度が低い場合がある。また、40重量%を超えると研磨剤の粘度が上昇しすぎて取り扱いが難しくなる場合がある。
【0022】
全シリカ中の球状シリカの割合は、研磨剤に用いるヒュームドシリカの一次粒子径と球状シリカの一次粒子径との組み合わせによってそれぞれ最適な添加割合がある。後述する実施例に記載しているように、例えば、層間絶縁膜(SiO2膜)の研磨においては、90m2/g(一次粒子径が30nm)のヒュームドシリカと一次粒子径が139nmの球状シリカを配合した場合、全シリカ中の球状シリカの割合は10〜20重量%の辺りで最も研磨速度を大きくすることができた。また、50m2/g(一次粒子径が55nm)のヒュームドシリカと一次粒子径が139nmの球状シリカを配合した場合、全シリカ中の球状シリカの割合は20〜30重量%の辺りで最も研磨速度を大きくすることができた。さらに、300m2/g(一次粒子径が9nm)のヒュームドシリカと一次粒子径が48nmの球状シリカを配合した場合、全シリカ中の球状シリカの割合は50〜90重量%の辺りで最も研磨速度を大きくすることができた。
【0023】
一方、金属膜(Cu膜)の研磨において、200m2/g(一次粒子径が14nm)のヒュームドシリカと一次粒子径が139nmの球状シリカを配合した場合、全シリカ中の球状シリカの割合は40〜70重量%の辺りで最も研磨速度を大きくすることができた。
【0024】
さらに、バリア膜(TaN膜)の研磨においては、200m2/g(一次粒子径が14nm)のヒュームドシリカと一次粒子径が139nmの球状シリカを配合した場合、全シリカ中の球状シリカの割合は60〜90重量%の辺りで最も研磨速度を大きくすることができた。
【0025】
以上の結果が示すように、本発明の研磨剤は、ヒュームドシリカと球状シリカの一次粒子径の組み合わせによって、あるいは研磨対象の種類によって、それぞれ好適な添加割合が異なる傾向にある。つまり、層間絶縁膜の研磨においては、一次粒子径が20〜60nm(比表面積が136〜45m2/g)のヒュームドシリカに対しては、一次粒子径が40〜600nmの球状シリカを全シリカ中に占める割合で5〜50重量%、さらに10〜40重量%の範囲で添加することが好ましい。また、一次粒子径が9〜20nm(比表面積が300〜136m2/g)のヒュームドシリカに対しては、一次粒子径が40〜600nmの球状シリカを全シリカ中に占める割合で40〜95重量%、さらに50〜90重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0026】
金属膜(Cu膜)やバリヤ膜(TaN膜)の研磨においては、一次粒子径が9〜20nm(比表面積が300〜136m2/g)のヒュームドシリカに対しては一次粒子径が40〜600nmの球状シリカを全シリカ中に占める割合で35〜95重量%、さらに40〜90重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0027】
本発明の研磨剤のpHについては特に制限はなく、pH1〜12までのどの値でもよく、研磨対象によって適宜調整することができる。
【0028】
本発明において特に研磨速度の向上効果が高いのは、層間絶縁膜(SiO2膜)を研磨する場合である。この場合にはアンモニアやKOH等のアルカリ剤を用いて研磨剤のpHを10〜11.5の範囲に調整することが好ましい。この場合、研磨剤中の全シリカの濃度は5〜15重量%の範囲が好適であるが、本発明の研磨剤は従来の研磨剤に比べて研磨速度が高いため、より低いシリカ濃度で従来品と同等の研磨速度を達成できるという特徴を有する。また、20〜40重量%の高濃度の研磨剤を調製し、2〜8倍に希釈して使用することも可能なため、本発明は研磨剤のコスト削減、物流費の削減、研磨後の廃棄物の削減等においても顕著な効果がある。
【0029】
また、本発明の研磨剤には、酸化剤、還元剤、水溶解性の塩類、水溶性高分子、界面活性剤等の添加剤を目的に応じて自由に添加することができる。例えば、層間絶縁膜上に存在するTi、TiN、Ta、TaN等のバリア膜やCu、W、Al等の金属膜の研磨に際しては、本発明の研磨剤に過酸化水素等の酸化剤を0.1〜10重量%添加することによって効果的にバリア膜や金属膜を研磨することができる。
【0030】
研磨剤の製造方法については特に制限はなく、公知の方法が採用できる。水とヒュームドシリカと球状シリカを所定量混合した後、比較的強力なせん断力を有する分散機で分散させることによって製造することができる。なお、このときにアルカリや酸、各種の添加剤を添加することができる。
【0031】
本発明は、水とヒュームドシリカと球状シリカよりなる研磨剤を用いて半導体デバイスを研磨することを特徴とする研磨方法をも提供する。ここでいう半導体デバイスとは、主にSiウェハ上に形成された集積回路を指し、本発明の研磨剤は集積回路を製造する際にデバイス上に形成した層間絶縁膜(SiO2膜)や金属膜を研磨し、平坦化する際に使用することができる。その際に、本発明の研磨剤は、従来の研磨剤に比べて研磨速度を高くすることができるため、生産性良くデバイスを製造できる。また、特定の研磨対象膜に対する研磨速度を向上させることも可能なため、選択性の高い研磨を行うこともできる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の研磨剤は、水とフュームドシリカよりなる研磨剤に特定のシリカ粒子を配合することによって研磨速度を向上させることができ、それによって、生産性の高いデバイス研磨を行うことができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を掲げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
(球状コロイダルシリカの合成例)
内容積約4リットルのジャケット付き反応器にメタノールおよびアンモニア水(25重量%)をそれぞれ1800gおよび200g仕込み、よく混合して反応液を調製した。次に、反応液の温度を20℃に保ちつつ、180rpmの回転数で攪拌しながらメチルシリケート(Si(OCH3)4)を2.5g/minの速度で、アンモニア水(12重量%)を1.4g/minの速度で、それぞれ別々に反応液中に液中同時滴下した。メチルシリケートの滴下を開始してから約10分後に徐々に反応液が白濁し始め、シリカ粒子が生成していることがわかった。滴下開始から8時間後に滴下を終了したが、合計でメチルシリケートを1200g、アンモニア水を660g滴下した。さらに1時間攪拌を続けた後、系内の懸濁液を取り出した。取り出した懸濁液は均一な乳白色スラリーで、その重量は約3800gで、シリカ粒子を約460g含んでいた。
【0034】
上記で合成したシリカスラリーは、エバポレーターを用いて溶媒のメタノールとアンモニアを除去した。純水を加えながらさらに蒸留を続け、スラリーが沸騰する90℃以上の温度で2時間以上加熱し、シリカ濃度が15重量%になるように調整した。なお、上記のシリカスラリーのpHは7.3であった。
【0035】
上記シリカ粒子の電子顕微鏡像を画像解析装置を用いて解析した結果、平均一次粒子径は139nm、一次粒子径の変動係数は19%、シリカ粒子の外接円に対する内接円の直径の比は0.78であった。
(諸物性の測定)
1.粘度
研磨剤の粘度は、B型粘度計(トキメック製、BL型)を用いて25℃で測定した。
2.比重
研磨剤の比重は、浮き秤比重計を用いて25℃で測定した。
3.pH
研磨剤のpHは、pHメーターを用いて25℃で測定した。
4.平均粒子径
研磨剤中に含まれる混合粒子の平均粒子径は、ディスク式高速遠心沈降法の粒度分布計(日機装製、BI−DCP)を用いて測定した。
5.Na元素の含有量
研磨剤中のNa元素の含有量は、原子吸光法によって測定した。
(研磨試験)
層間絶縁膜(SiO2膜)に対する研磨速度を調べるために、熱酸化膜付きの4インチのシリコンウェハを用いて研磨試験を行った。研磨パッドにはロデール製のIC1000/SUBA400を用い、加工圧力400g/cm2、定盤回転数40rpm、研磨剤の滴下速度120ml/minの条件でそれぞれ研磨試験を行った。
【0036】
また、金属膜(Cu膜)やバリア膜(TaN膜)の付いたウェハを用いて、上記と同様にして研磨試験を行い、それぞれの膜に対する研磨速度を調べた。
実施例1及び2
比表面積が90m2/g(一次粒子径は30nm)のヒュームドシリカと球状シリカとして上記合成例による球状コロイダルシリカを所定量混合し、さらにアンモニア(実施例1)またはKOH(実施例2)を所定量添加して、全シリカ量が13重量%になるように純水で希釈して原料スラリーを調製した。上記の原料スラリーを高せん断性の分散機(高圧ホモジナイザー;ナノマイザー製ナノマイザー、LA−31)を用いて研磨剤を調製した。上記研磨剤を用いて層間絶縁膜に対する研磨性能を評価した。
【0037】
アンモニア系研磨剤の研磨速度の結果を図1に、KOH系研磨剤の研磨速度の結果を図2にそれぞれ示した。アンモニア系、KOH系共に、ヒュームドシリカに対して球状コロイダルシリカの少量添加で研磨速度が増加する傾向を示し、10〜20重量%のときに研磨速度は最大値を示すことがわかった。この例ではヒュームドシリカのみの研磨剤に比べて、最大で約20%の研磨速度向上効果が見られた。
【0038】
アンモニア系研磨剤の諸物性を表1に、KOH系研磨剤の諸物性を表2に示した。pH、比重は球状コロイダルシリカの添加割合が変わってもあまり変化しなかった。粘度、平均粒子径は球状コロイダルシリカの添加割合にほぼ比例した。また、Na含有量はアンモニア系研磨剤では今回の検出下限である0.1ppm以下、KOH系研磨剤では0.2〜0.4ppmであった。KOH系研磨剤でNa含有量が高かった理由は、アルカリ剤として添加したKOH中に不純物としてNaが含まれていたためである。なお、Fe、Cr、Ni、Cu等の重金属の含有量も全て0.1ppm以下であった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
実施例3
比表面積が50m2/g(一次粒子径55nm)のヒュームドシリカと球状シリカとして上記合成例による球状コロイダルシリカを所定量混合し、さらにアンモニアを所定量添加して、全シリカ量が13重量%、pH約11の研磨剤を調製した。上記研磨剤を用いて層間絶縁膜に対する研磨性能を評価した。
【0042】
研磨速度の結果を図3に示した。この例では、ヒュームドシリカのみの研磨速度よりも球状コロイダルシリカのみの研磨速度の方が高かった。両者を混合したものでは、実施例1とは多少挙動は異なるが、球状コロイダルシリカの添加量が20〜30重量%のときに最も研磨速度が高くなることがわかった。この例では、ヒュームドシリカのみの研磨剤に比べて最大で約70%、球状コロイダルシリカのみの研磨剤に比べて最大で約40%もの研磨速度向上効果が見られた。なお、試作研磨剤中のNa含有量は0.1ppm以下であった。
実施例4
比表面積が300m2/g(一次粒子径は9nm)のヒュームドシリカと球状シリカとして上記合成例の条件を変えて調製した一次粒子径が48nmの球状コロイダルシリカ(シリカ粒子の外接円に対する内接円の直径の比は0.76、画像解析装置を用いて測定した一次粒子径の変動係数は17%)を所定量混合し、さらにアンモニアを所定量添加して、全シリカ量が13重量%、pH約11の研磨剤を調製した。上記研磨剤を用いて層間絶縁膜に対する研磨性能を評価した。
【0043】
研磨速度の結果を図4に示した。この例では、ヒュームドシリカのみよりも球状コロイダルシリカのみの方が研磨速度が高かった。また、両者を混合したものでは、前記実施例の場合とはかなり挙動は異なるが、球状コロイダルシリカの添加量が50〜90重量%のときに最も研磨速度が高くなることがわかった。球状コロイダルシリカのみの研磨剤に比べて、最大で約25%の研磨速度向上効果が見られた。なお、ここで試作した研磨剤中のNa含有量は0.1ppm以下であった。
実施例5
球状シリカとして、下記表3に示した種々の一次粒子径の球状コロイダルシリカを用いた以外は実施例1と同様にして研磨剤を調製し、層間絶縁膜に対する研磨性能を評価した。ここで用いた球状コロイダルシリカは、珪酸ソーダを原料として製造された市販のコロイダルシリカであるが、酸洗浄工程(希塩酸への浸漬と遠心分離、純水洗浄)を5回繰り返すことによってNa含有量を大幅に下げたものを使用した。球状コロイダルシリカの添加量は全シリカ中の10重量%とした。
【0044】
【表3】
【0045】
研磨試験の結果を、ヒュームドシリカのみよりなる研磨剤に対して球状シリカを10重量%添加した研磨剤の研磨速度の向上率を図5に示した。この結果より、添加する球状シリカの一次粒子径が40〜600nmの範囲で効果があり、特に90〜200nmのものは極めて高い効果を示すことがわかった。なお、研磨剤中のNa含有量は全て65〜90ppmの範囲にあった。
【0046】
実施例6
比表面積が200m2/g(一次粒子径14nm)のヒュームドシリカと球状シリカとして上記合成例による球状コロイダルシリカを所定量混合し、全シリカ量が4重量%、pH6〜7の中性の研磨剤を調製した。上記研磨剤に過酸化水素を1重量%(H2O2として)添加して、金属膜(Cu膜)、バリア膜(TaN膜)に対する研磨速度をそれぞれ調べた。方法としては、Cu膜、TaN膜が製膜されたシリコンウェハを用いた以外は実施例1と同様にして研磨試験を行った。
【0047】
研磨速度の結果を図6に示した。この例では、研磨対象によって挙動が異なることがわかった。即ち、Cu膜に対しては球状コロイダルシリカが40〜70重量%のときに、TaN膜に対しては60〜90重量%のときに、顕著な研磨速度向上効果を示すことがわかった。なお、試作研磨剤中のNa含有量は0.1ppm以下、Fe、Cr、Ni、Cu等の重金属の含有量も全て0.1ppm以下であった。
【0048】
上記の例で示されるように、本発明の研磨剤は、Cu膜あるいはTaN膜を選択的に研磨しようとする際においても極めて有効であることがわかった。
比較例1
球状シリカの代わりに不定形の沈殿法シリカを用いた。
【0049】
市販の珪酸ソーダと純水を反応槽中に珪酸ソーダの濃度が5%となるように投入した。反応槽の温度を40℃として、22重量%硫酸を用いて中和反応(中和率50%まで)を行った後、反応液の温度を95℃とした。この反応液に中和率が100%になるまで上記の硫酸を加えた。生成したシリカに濾過、洗浄操作を繰り返し、脱水ケーク(シリカ含有量15重量%)を得た。上記の脱水ケーク2kgに、純水500gを加え、プロペラミキサーで攪拌することにより予備混合を行った。得られたペースト状のシリカスラリーを高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製;ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力500kgf/cm2で3回処理してシリカ分散液を得た。
【0050】
上記シリカの電子顕微鏡像を解析したところ、一次粒子径が10〜30nmのシリカが数十〜数百個単位で凝集したものであった。
【0051】
球状シリカの代わりに、上記沈殿法シリカを用いた以外は実施例1と同様にして研磨剤を調製した。研磨剤の研磨速度の結果を図7に示した。球状シリカの代わりに沈殿法シリカを用いた場合は、研磨速度の向上効果は全く見られなかった。
比較例2
ヒュームドシリカの代わりに、チタニア、アルミナ、ジルコニアの各無機酸化物粒子を用いた以外は実施例1と同様にして研磨剤を調製し、層間絶縁膜に対する研磨性能を評価した。なお、球状シリカ粒子の添加量は全粒子中の20重量%とした。結果を表4に示す。
【0052】
実施例1のヒュームドシリカの場合と異なり、どの無機酸化物粒子を用いた場合も、調製した研磨剤は数時間経過すると容器の底部に沈殿が生成した。即ち、シリカ以外の無機酸化物粒子と球状シリカの組み合わせでは、粒子同志が凝集し易いことがわかった。このような凝集によって、被研磨面にスクラッチが発生する恐れがある。
【0053】
更に、強制的に研磨剤を攪拌しながら研磨実験を行ったが、どの無機酸化物粒子を用いた場合も、球状シリカ粒子を混合することによって研磨速度が向上することはなかった。
【0054】
【表4】
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の研磨剤について、全シリカ中に占める球状シリカの割合と研磨速度との関係を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例2の研磨剤について、全シリカ中に占める球状シリカの割合と研磨速度との関係を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例3の研磨剤について、全シリカ中に占める球状シリカの割合と研磨速度との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例4の研磨剤について、全シリカ中に占める球状シリカの割合と研磨速度との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、球状シリカの一次粒子径と研磨速度の向上率との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例7の研磨剤について、全シリカ中に占める球状シリカの割合と研磨速度との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、比較例1の研磨剤について、全シリカ中に占める沈殿法シリカの割合と研磨速度との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 水、ヒュームドシリカおよび平均一次粒子径が40〜600nmの球状シリカを含んでなり、該球状シリカは、
(A1)アルコキシシランを加水分解するゾル−ゲル法により製造される球状シリカ
または
(A2)珪酸ソーダを原料にしてオストワルド法で製造される球状コロイダルシリカ
であり、且つ
(B)電子顕微鏡を用いて観察したときに、粒子に外接する円に対する内接する円の直径の比が0.6〜1.0であり、
球状シリカとフュームドシリカの平均一次粒子径の比(球状シリカ/ヒュームドシリカ)が1.5〜20であることを特徴とする研磨剤。 - 請求項1記載の研磨剤を用いて半導体デバイスを研磨することを特徴とする半導体デバイスの研磨方法。
Priority Applications (1)
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