JP4105369B2 - 作業車の走行制御装置 - Google Patents

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  • Control Of Fluid Gearings (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業車の走行制御装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、可変容積型油圧ポンプと可変容積型油圧モータを流体的に接続したHSTを有する作業車を制御する、走行制御装置は公知とされている。また、油圧ポンプの容積を車両の変速操作具の操作に応じて変更するとともに、前記油圧ポンプの容積が大きくなるに従って油圧モータの容積を小さくしてゆくように制御して、無段変速ができる範囲を拡大させるように構成したものも公知とされる。この構成は、油圧ポンプの容積を前記変速操作具の操作に応じて変更するのみの構成に比して、無段変速可能域がより小減速比側(高速側)に拡張されることとなるので、車両を高速で移動させる必要がある場合に有用である。
【0003】
しかし、車両によっては、その目的と場合に応じて、変更できる変速比の範囲を使い分けたい場合がある。例えば、芝刈り作業を行うためのモアトラクタにおいては、作業場への移動のために路上を走行する場合においては、車両を高速で走行できるようにすることが移動時間の短縮等の観点から有益であり、油圧ポンプの容積に応じて油圧モータの容積を制御する前述の構成は有用である。一方、モアトラクタに芝刈り作業を行わせる場合は、作業場を高速で走行する必要はなく、油圧ポンプの容積に応じて油圧モータの容積を制御する前述の構成は、むしろ、変速操作手段の操作量が微量でも車速が大きく変更されることとなって、車速の微調整が難しく、芝刈りにムラが生じ易い不都合がある。従って、このような車両においては、高速走行に適するモードと、低速かつ一定速の走行を容易にするモードとを併せて提供できることが望まれるのである。
【0004】
従って、従来は、このような車両においては、油圧ポンプの容積を前記変速操作具の操作に応じて変更し、前記油圧ポンプの容積が大きくなるに従って油圧モータの容積を小さくしてゆくように制御させるとともに、この油圧モータの出力側に歯車式等の副変速装置を配設して、該副変速装置により低速走行モードと高速走行モードを切り換えることができるようにして、前述の二つのモードを提供できるようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構成は、副変速装置を別途配設する必要があって、装置のコンパクト化の障害となり、また、製造のコストアップの要因ともなっていたのである。また、前記高速走行モードにおいては、高速領域においては車軸の負荷によるエンジンの負担が増大して、エンジン回転数が低下しやすく、負荷が相当に小さい場合でない限り安定した走行を実現することができなかった。従って、走行の不安定を嫌うオペレータは低速走行モードに切り換えざるを得ず、結果として高速走行モードが使いにくいものとなっていたのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
請求項1においては、可変容積型油圧ポンプ(11)と可変容積型油圧モータ(21)とを流体的に接続したHST(8)を、有する作業車に備えられる走行制御装置であって、第一のモードと第二のモードを切換自在とするためのモード切換手段(36)を備え、前記油圧ポンプ(11)に備えられて、車両の変速操作具(27)に連係されるポンプ容積操作具(13)と、前記油圧モータに備えられるモータ容積操作具(23)とを、前記モード切換手段(36)を前記第一のモードとした場合においては、前記油圧ポンプ(11)の容積の変更にかかわらず、前記油圧モータ(21)の容積は固定状態を維持するように制御し、前記モード切換手段(36)を前記第二のモードとした場合においては、前記油圧ポンプ(11)の容積がゼロから増大してゆくに従って、前記油圧モータ(21)の容積が所定の容積から減少されてゆくように制御することとなるよう、連動連係し、前記第二のモードにおいては、エンジン(2)に対する負荷が大きい場合において、前記油圧ポンプ(11)の容積がゼロより増大されるに従って、前記油圧モータ(21)の容積が前記所定の容積から減少される量は、エンジン(2)に対する負荷が小さい場合において、前記油圧ポンプの容積がゼロより増大されるに従って前記油圧モータの容積が前記所定の容積から減少される量よりも、小さくなるように、前記ポンプ容積操作具(13)と前記モータ容積操作具(23)とを連動連係したものである。
【0008】
請求項2においては、請求項1記載の作業車の走行制御装置において、前記第一のモードにおいても、前記第二のモードにおいても、前記油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときは、前記油圧モータの容積は前記所定の容積となるように制御し、かつ、前記第一のモードにおいては、前記油圧ポンプの容積の変更に関わらず、前記油圧モータの容積は前記所定の容積を維持するように制御するように構成したものである。
【0009】
請求項3においては、請求項1記載の作業車の走行制御装置において、前記第一のモードと第二のモードの切換は、前記油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときにのみ可能となるよう構成されたものである。
【0010】
請求項4 においては、請求項1記載の作業車の走行制御装置において、前記油圧ポンプ(11)の容積が実質的にゼロであるときの前記油圧モータ(21)の容積が、前記第一のモードと前記第二のモードとで異なるように構成したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。最初に、本発明の走行制御装置により制御されるHSTを備える、車軸駆動装置の全体構成を説明する。
【0012】
図1は本発明の走行制御装置により制御されるHSTを備える、車軸駆動装置の全体的な構成を示したスケルトン図、図2は車軸駆動装置の平面図一部断面図である。図3は図2におけるA−A断面矢視図、図4は図2におけるB−B断面矢視図である。また、図5は油圧モータの容積を変更させる構成を示した要部拡大図、図6は図5の状態から油圧モータの容積が減少される様子を示した図である。
【0013】
このトランスミッションはモアトラクタ用とされ、図1に示すように、車軸駆動装置1のハウジング9内部において、静油圧式無段変速装置(本明細書において「HST」と称する。)8や、該HST8の出力を車軸50L・50Rに伝達させるためのドライブトレーン30等を配置するとともに、ハウジング9外において前記HST8を構成する油圧ポンプ11・油圧モータ21それぞれの容積を変更制御するための機構を配置して構成される。
【0014】
この車軸駆動装置1のハウジング9は、上部ハウジング9tと下部ハウジング9bとを、互いにその周囲の水平で平坦な接合面で接合させて構成してある(図3)。この接合面には後述のモータ軸22の軸受部が設けられており、車軸50L・50Rを回転自在に支持する軸受部は上記接合面より上方へ偏位して、上部ハウジング9t内に配置させてある(図3)。図2に示すように、両車軸50L・50Rの内端側は、差動機構40にて差動的に結合される一方、外端側はハウジング9の左右外側壁からそれぞれ外方へ延出させている。
【0015】
ハウジング9の内部は図2に示すように、該ハウジング9に一体的に形成された隔壁9iによって第一の部屋R1と第二の部屋R2とに区画される。第一の部屋R1にはHST8が収納され、第二の部屋R2には、モータ軸22から差動機構40へ動力を伝達する歯車列からなるドライブトレーン30や、差動機構40及び車軸50L・50Rを収納させている。上記隔壁9iは図2に示すように、車軸50L・50Rに平行な長手部分と、該長手部に対して平面視略垂直に延伸する垂直部分とからなり、この両部分は連続的に設けられて、第一の部屋R1と第二の部屋R2とが互いに隣接して配置される構成としている。
【0016】
前記第一の部屋R1及び第二の部屋R2には油溜まりを形成して共通の潤滑油を充填し、該潤滑油は上記HST8の作動油としての役割も兼ねさせるようにしている。二つの部屋R1・R2を仕切る隔壁9iには油フィルタ81が配置され(図2・図3)、第一の部屋R1と第二の部屋R2とが該油フィルタ81を介して流通できるようにしている。また、ハウジング9の適宜位置に油流通ポートを設け(図外)、ゴムホース等で構成される図略のパイピングを介して、外部リザーバタンク(図外)を接続しており、HST8の駆動により油温が上昇して部屋R1及び部屋R2内の作動油の体積が増加しても、該増加分をリザーバタンクに流すことにより油量を調整できるようにしている。
【0017】
上記第一の部屋R1は図2に示す如く、ハウジング9内にて、一側の車軸50Rの前方で、かつ、モータ軸22から差動機構40へ動力を伝達するドライブトレーン30の側方に配置される。
【0018】
次に、上記第一の部屋に配置されるHST8を説明する。該第一の部屋R1内には、HST8のセンタセクション10が分離自在に取り付けられる。該センタセクション10は、その長手方向が車軸50L・50Rに対して平面視で垂直な向きとなるよう配設され、その前部には鉛直面(車軸50L・50Rに対して垂直な面)を形成し、該鉛直面をモータ付設面10mとしてここに油圧モータ21を配設している。一方、センタセクション10の後部には水平面を形成し、該水平面をポンプ付設面10pとしてここに油圧ポンプ11を配設している。上記ポンプ付設面10pの中央にはポンプ軸12が配置されて鉛直支持されている。
【0019】
上記油圧ポンプ11について、図2・図3を参照して説明する。即ち、センタセクション10の前記ポンプ付設面10p上にはシリンダブロック14が回転摺動自在に配置され、該シリンダブロック14には複数のシリンダ孔が形設され、それぞれの該シリンダ孔には付勢バネを介してピストン15・15・・・が往復動自在に嵌合されている。該ピストン15・15・・・の頭部には可動斜板13を当接させて、該可動斜板13を本実施例におけるポンプ容積変更操作具としている。上記ポンプ軸12は入力軸を兼ねたものであって上記シリンダブロック14の回転軸心に沿って鉛直に配置され、該シリンダブロック14にスプライン嵌合されて相対回転不能とされている。図3に示すように、ポンプ軸12の上端は上部ハウジング9tの上壁から上方へ突出して、該突出部分には入力プーリ6を固定し、更に冷却ファン7を取り付けている。該入力プーリ6には図1に示すように、エンジン2の出力軸3の動力が、出力プーリ4・ベルト5を介して入力される。この構成により、前記可動斜板13のピストン接当面を油圧ポンプ11の回転軸心に対して垂直な面(水平面)から任意角だけ傾動操作することで、油圧ポンプ11からの油の吐出量及び吐出方向を変更することができ、この吐出された圧油は、センタセクション10に穿設された後述の作動油循環回路(111・112)を介して、後述の油圧モータ21に送油される。
【0020】
上記可動斜板13はトラニオン型の可動斜板としており、その両端は下方に湾曲されてそれぞれの先端にトラニオン軸60・60を設けて、一端を上記隔壁9iに支持し、他端はハウジング9側壁に支持されながら貫通して、外部に延出されている(図2)。トラニオン軸60の該延出部分にはコントロールアーム61の基端が固定され、該コントロールアーム61は車両の運転席に設けられる変速ペダル27に連係される(図1)。この変速ペダル27は前後二つの踏面部を有するシーソー式に構成して、前側を踏むと前進し、後側を踏むと後進するようにし、また、その踏込み量に応じて増速できるように構成している。この構成において変速ペダル27を踏み込むことにより、コントロールアーム61が機体前後方向に回動され、トラニオン軸60まわりに可動斜板13が傾動して、上述の如く油圧ポンプ11の出力を変更することができる。
【0021】
上記可動斜板13には図2に示すように中立復帰アーム13aを一体的に凸状に形設しており、その先端には係合ピン67が突設される。一方、ハウジング9内のトラニオン軸60上にはねじりコイルバネである中立戻しバネ69を外嵌し、該中立戻しバネ69の両端は交差させながら上述の中立復帰アーム13aの方向に延出しており、上部ハウジング9tの内壁に設けた偏心軸66と上記係合ピン67とを、該延出部分の端部にて挟み込んである。上記の構成により、前記変速ペダル27の踏込みによりコントロールアーム61が回動操作されたときは、上記中立戻しバネ69はその一端側が係合ピン67によって拡開される一方、他端側は偏心軸66によって止められるので、コントロールアーム61に中立復帰の付勢力が付与される。従って、コントロールアーム61への操作力が解除されると、この中立戻しバネ69の復元力により、係合ピン67はその位置を上記偏心軸66によって規定される中立位置に復帰され保持される。上記偏心軸66のハウジング外に延出した部分は調整ネジに構成され、このネジ部分を介して該偏心軸66を任意に回動変位することによって、可動斜板13の中立位置を調整することができる。
【0022】
次に、油圧モータ21の構成を、主に図2及び図4を参照して説明する。図4は図2におけるB−B断面矢視図である。センタセクション10の上記モータ付設面10mには、シリンダブロック24がその回転軸心を車軸50L・50Rと平行な方向に向けて回転摺動自在に設置される。該シリンダブロック24には複数のシリンダ孔が穿設され、それぞれの該シリンダ孔内には付勢バネを介して複数のピストン25が往復動自在に嵌合されている。上部ハウジング9tと下部ハウジング9bとの間にはモータ容積変更操作具である可動斜板23が配置されており、上記ピストン25の頭部は該可動斜板23に接当している。そして、シリンダブロック24の回転軸心上にモータ軸22を相対回転不能にスプライン嵌合して、該モータ軸22は左右水平方向(車軸50L・50Rに平行な方向)に支持させている。このようにして、ピストン25・25・・・の向きがモータ軸22と平行に構成される、アキシャルピストン式の油圧モータを構成している。
【0023】
上記可動斜板23の傾動支点となる丸棒状の支点軸99がハウジング9の上記隔壁9iに一部埋入させつつ鉛直に設けられ(図5)、また該可動斜板23の背面には、支点軸99の外形に一致する断面略半円弧状の細長い溝が形成される。そして、該溝に支点軸99が入り込むように可動斜板23を配置して、該溝が支点軸99の周面に沿って摺動することにより可動斜板23が支点軸99まわりに傾動自在となるようにしている。また、図4・図5に示すように、上記可動斜板23の傾動操作を行うためのコントロール軸82が鉛直方向に配置されてハウジング9に支持され、該コントロール軸82の中途部には、断面を偏心半円状としたカム部82aを形成している。可動斜板23には操作アーム23aが一体的に凸状に設けられて、上記カム部82aが操作アーム23aに接当し押動することによって、可動斜板23が傾動操作されるようになっている。コントロール軸82の一端はハウジング9上方に突出させ、該突出部分にレバー83の基端を固定している。該レバー83の先端には図1・図4に示す如く、リンク比変更用の油圧シリンダ35の伸縮可動部35bが連結されて、該油圧シリンダ35の基部35aは後述するカムプレート58に枢結されている(図1)。従って、後述の如くカムプレート58が回動されると、油圧シリンダ35を介して前記レバー83が張引されるようになっている。また、該油圧シリンダ35には図示せぬ配管等を介して、後述するシャトルバルブ141の出力側が接続されている。
【0024】
この構成において、前記カムプレート58が張引を行わない状態の場合は、前記レバー83は後述する付勢バネ85(図1)の作用により、図1に示す如く、その原位置を規定するための後述するストッパ84に当接された状態とされ、この場合の前記カム部82aは図5に示す如きの最も後退された位置となるよう調整されている。これにより、ピストン25・25の突出方向の力を受ける可動斜板23はその傾動角を増大させる方向に自然に傾斜して図5に示す最大傾動角Amax となり、このときに前記油圧モータ21の容積が最大とされる。一方、前述の状態から前記カムプレート58が回動して張引作用を行うと、前記レバー83はその先端図6に示す矢視X方向に張引され、傾動される。従って、このレバー83の傾動量に応じて前記カム部82aが突出されて前記操作アーム23aを押動し、可動斜板23はその傾動角Aを減少させる方向に傾動され、油圧モータ21の容積が減少されるのである。
【0025】
次に、上述のセンタセクション10内部に形設された作動油循環回路111・112の構成について説明する。即ち、上記センタセクション10のポンプ付設面10pに第一及び第二の弓形ポートが一対で設けられ(図外)、モータ付設面10mにも第一の弓形ポート95及び第二の弓形ポート96が一対で設けられる(図3・図4)。また図3に示すように、該センタセクション10内にはその長手方向に沿うようにして、上下二本の油路(第一油路91・第二油路92)が平行に穿設される。そして、ポンプ付設面10pの第一の弓形ポートとモータ付設面10mの第一の弓形ポート95とが、上記第一油路91、及び、センタセクション10に斜状に穿設されて該第一油路91に接続された連絡油路90を介して連通され、ポンプ付設面10pの第二の弓形ポートとモータ付設面10mの第二の弓形ポート96とが、上記第二油路92を介して連通される。
【0026】
上述の構成により、上記第一油路91及び連絡油路90をもって油圧ポンプ11及び油圧モータ21を流体的に接続するための第一の回路111とし、上記第二油路92をもって油圧ポンプ11及び油圧モータ21を流体的に接続するための第二の回路112としている。この二つの回路111・112をもってHST8の作動油循環回路を構成し、該作動油循環回路を介して作動油が油圧ポンプ11と油圧モータ21との間で循環するようにしているのである。従って、上記変速ペダル27を前進側に踏み込んだ場合は、可動斜板13が傾動して油圧ポンプ11がポンプ作用を行い、第一の回路111側の圧力が高くなり、第二の回路112側は負圧となるので、油圧モータ21が前進方向に駆動される。一方、上記変速ペダル27を後進側に踏み込んだ場合は、可動斜板13の傾動方向が上記の場合と逆となるので、油圧ポンプ11のポンプ作用により第二の回路112側の圧力が高くなり、第一の回路111側は負圧となるので、油圧モータ21が後進方向に駆動される。そして、この油圧モータ21の駆動力が後述のドライブトレーン30や差動機構40を介して車軸50L・50Rに伝達され、車両が駆動されることとなる。
【0027】
次に、上記HST8において発生する作動油の減少を補償する構成を説明する。第一油路91及び第二油路92に交差させてチャージ油路93が穿設され(図3)、該交差する部分には作動油の該チャージ油路93への逆流を防止するためのチェックバルブ26・26がそれぞれ配設される。このチャージ油路93の下端(開口端)にはチャージポートが形成され、該チャージポートには、センタセクション10下面に配設されたチャージポンプ16の吐出ポートが接続される。該チャージポンプ16は通例のトコロイドポンプとされ、センタセクション10下面に取り付けられたチャージポンプケース16a内にインナーロータ及びアウターロータを収納し、その吸入ポートには油を濾過するためのサクションフィルタ17を設けている。更に、該チャージポンプケース16aには、チャージ圧を規定するためのリリーフバルブ76が設けられる(図1)。また、上記油圧ポンプ11のポンプ軸12はセンタセクション10を貫通しながら下方に延出されて、該チャージポンプ16のインナーロータ及びアウターロータを駆動するように構成し、該ポンプ軸12にチャージポンプ16の駆動軸としての役割をも兼ねさせるようにしている。この構成により、HST8内で循環する作動油をチャージポンプ16によって随時補給することで、HST8の内部的な油の漏れを補償して、作動油の油量低下を防止することができる。
【0028】
尚、チャージ油路93にはフリーホイル防止のためのチェック弁19が接続されて設けられ、車両を停止させて他の車両により牽引させる等の際に油圧モータ21が車軸50L・50R側から駆動されてポンプ作用を行うことによる作動油循環回路111・112内の作動油の減少を、該チェック弁19が負圧で開いてハウジング9内の油を自吸することによって防止している。
【0029】
更に、所要の場合に作動油循環回路111・112をバイパスさせる構成について説明する。即ち図4に示すように、カム軸77を鉛直に配置して上部ハウジング9tに回転自在に支持し、該カム軸77の一端はハウジング9上方に突出させて、該突出部分にはレバー78の基端を固設している。また、上記センタセクション10には、該カム軸77の下部を配置させるための上下方向の溝97を形設しており、該溝97はモータ付設面10mに近接させて設けている。上記カム軸77の下端は一部欠切されてカム部80を形成している。更にセンタセクション10にはモータ軸22と平行に小径の貫通孔を形設してあり、該貫通孔の一端はモータ付設面10mに開口され、他端は上記溝97に開口される。そして該貫通孔にはピン79を配置して往復動自在とし、該ピン79の一端はシリンダブロック24に近接させ、他端は上記溝97内に突出させて、カム軸77下端の上記カム部80に近接させている。
【0030】
この構成で上記レバー78を回動することにより、カム軸77が回転されてカム部80がピン79を押動し、ピン79の先端がモータ付設面10mから突出してシリンダブロック24を押動し、該シリンダブロック24とモータ付設面10mとを離間させる。これにより作動油循環回路111・112が弓形ポート95・96を介してハウジング9の油溜まりにバイパスされて、油圧モータ21のモータ軸22を自由に回転させることができるようにしている。この構成によれば、この車軸駆動装置1を備える車両を他の車両の後端に接続して牽引する等の際に、上記モータ軸22に連動連結される車軸50L・50Rの回転をフリーとして、該牽引に対する抵抗の発生を防止することができる。
【0031】
次に、上記モータ軸22から後述する差動機構40へ動力を伝達する、ドライブトレーン30について説明する。図2に示すように、上記モータ軸22の一端はセンタセクション10のモータ付設面10m中央に設けた軸受孔にて支持させてあり、他側は前記隔壁9iの接合面にて軸受29を介して支持させながら、その先端を第二の部屋R2内に突入させている。上記軸受29はシール付きとして、二つの部屋R1・R2の油が該軸受29部分を介して相互流通するのを防止している。即ち、モータ軸22の上記第二の部屋R2に突入する部分には出力ギア31が固定され、更にブレーキディスク32が設けられる。そして、該ブレーキディスク32に制動力を付与することによりモータ軸22を制動するためのブレーキ装置33が、上記ブレーキディスク32の近傍位置に配設される。
【0032】
上記モータ軸22の後方には、該モータ軸22と平行に減速軸39が回転自在に支持され、該減速軸39の外周には幅広状の小径ギア38が刻設される。更に、該小径ギア38の歯形と合致する中心孔を有する大径ギア37が、小径ギア38上に嵌着設置されて相対回転不能とされている。該大径ギア37は上記モータ軸22上に固定された上述の出力ギア31と噛合させ、小径ギア38は後述の差動機構40の入力ギア41と噛合させている。
【0033】
差動機構40について、図2を参照して説明する。同心させて配置させた左右一対の車軸50L・50Rの内端側にベベルギアであるデフサイドギア44・44をそれぞれ相対回転不能に設け、車軸50L・50Rは更に内方に突き合わせ状に延出されて、その内端側の突き合わせ部分に上記入力ギア41の中心孔を外嵌して配置し、左右車軸50L・50Rに対し回転摺動自在としている。更に入力ギア41には透孔48が設けられ、該透孔48の内部にピニオン軸49や、該ピニオン軸49に支持され左右のデフサイドギア44・44に対して噛合されるベベルピニオン43・43を配置している。ベベルピニオン43は摩擦体56を介してピニオン軸49に支持させ、これによりベベルピニオン43に対し所定の制動力が常時発生するようにしており、いわゆるリミテッドスリップデフ機構を構成している。
【0034】
また、この差動機構にはデフロック機構が配設されており、具体的には、一側の車軸50R上にロック体47を摺動自在に配置し、該ロック体47に設けられた係止爪47aを上記入力ギア41に開口された係合孔42に挿入係止し、この係止状態を維持しながらロック体47が車軸50R上を摺動自在となるよう構成している。更に一側のデフサイドギア44には凹部44aが形成されており、ロック体47の上記摺動により該凹部44aがロック体47に対し係脱自在となるように構成している。この構成により、オペレータの操作により差動機構40をロックして、左右の車軸50L・50Rを一体的に回転させることができるようになっている。
【0035】
次に、油圧ポンプ11の可動斜板13と油圧モータ21の可動斜板23とを連動連係させる、本発明の走行制御装置の構成について説明する。尚、以下において「ポンプ斜板」とは前記油圧ポンプ11の可動斜板13を、「モータ斜板」とは前記油圧モータ21の可動斜板23を、それぞれ意味するものとする。図7はポンプ斜板及びモータ斜板を連動連係させる構成を示した図、図8はクラッチ装置の構成例を示した図である。図9は図7の構成において、作業モードとして変速ペダルを踏み込んだ場合の作動の様子を示した図、図10は同じく、走行モードとして変速ペダルを踏み込んだ場合の作動の様子を示した図、図11は同じく、走行モードとして変速ペダルを踏み込み、かつエンジンの負荷が増大した場合の作動の様子を示した図である。また、図12は作業モード及び走行モードにおいて制御される、油圧ポンプの容積と油圧モータの容積の関係を示した図、図13は走行モードにおいてエンジンの負荷が大きい場合及び小さい場合における、油圧ポンプの容積と油圧モータの容積の関係を示した図である。図14は両モードにおいて制御される油圧ポンプの容積と油圧モータの容積の関係について、他の例を示した図、図15は両モードにおいて制御される油圧ポンプの容積と油圧モータの容積の関係について、さらに他の例を示した図である。
【0036】
即ち図7に示すように、ポンプ斜板13を傾動操作するための前記コントロールアーム61の先端には、リンク51を介して変速ペダル27の出力アーム部27aを連結している。従って、該変速ペダル27をオペレータが踏動すると、図9に示すようにコントロールアーム61が傾動され、前述のトラニオン軸60を介してポンプ斜板13が傾動され、油圧ポンプ11の容積が変更されることとなる。コントロールアーム61の基端には前記トラニオン軸60に加えて伝動軸53が固定されており、該コントロールアーム61と一体的に回転されるように構成している。該伝動軸53上にはクラッチスライダがスプラインを介して摺動自在に配置され、該伝動軸53と同心状に配置される中間軸55に対し係脱自在として、クラッチ装置54を構成している。該クラッチ装置54は、車両の運転席近傍に設けられるモード切換手段である、モード切換レバー36に連係される。該モード切換レバー36は二つの操作位置、即ち「作業モード」位置m1と「走行モード」位置m2を有するように構成され、かつ、この二つの操作位置を自在に切り換えることができるように構成している。
【0037】
これにより、モード切換レバー36が「作業モード」位置m1にあるときは前記クラッチ装置54は「断」状態となって、伝動軸53の回転をアーム部材57に伝達させない一方、モード切換レバー36が「走行モード」位置m2にあるときは、前記クラッチ装置54は「接」状態となって、伝動軸53とアーム部材57とを連結させて両者53・57が一体的に回転されることとなる。
【0038】
該アーム部材57には、二本の出力アームが形成されている。二本の出力アームは互いに180°位相を異ならせながら延出され、その先端に棒状のリンク62・63の一端をそれぞれ枢結している。一方、前記アーム部材57の近傍にはカムプレート58が配設される。該カムプレート58はその一端を回動可能に枢支され、また、その回動中心58aを中心とした同心円弧状の溝が二本形成されている。そして、この同心円弧状の溝にそれぞれ前記リンク62・63を連結して、前記変速ペダル27が踏み込まれない中立状態であるときは、図7・図9の如く該リンク62・63の端部がこの溝の端部にそれぞれ位置するように構成している。
【0039】
前記カムプレート58の適宜位置には前記油圧シリンダ35の基部35aが枢結され、該油圧シリンダ35の伸縮可動部35bの先端は、前記モータ斜板23を傾動させるためのレバー83の先端に連結される。該レバー83には付勢バネ85の一端が係止され、この付勢バネ85は、モータ斜板23の傾動角を増大させる方向の付勢力を、常時該レバー83に付与するよう構成している。従って、前記カムプレート58が油圧シリンダ35を介してレバー83を張引しないときは、該レバー83は、適宜位置に設けたストッパ84に図7に示す如くその端縁を接当させて静止することとなり、このときに前記モータ斜板23は、その傾動角を最大とする図5に示す如きの状態となる。
【0040】
この油圧シリンダ35を伸張駆動するために、図1に示す如く上記HSTの作動油循環回路を構成する二つの回路111・112の間にシャトルバルブ141が介設され、該シャトルバルブ141の出力側を油圧シリンダ35に接続させている。従って、車両の前進時には第一の回路111が、後進時には第二の回路112が、それぞれ高圧となるが、いずれの場合でもその高圧側の回路の圧油が該油圧シリンダ35に導かれるようになっている。
【0041】
また、油圧シリンダ35の基部35aと伸縮可動部35bとの間には戻しバネ45が介設され、該戻しバネ45は、伸縮可動部35bが伸張されると圧縮されて、その弾発力を増大させる関係にある。従って、該伸縮可動部35bの基部35aに対する位置は、前記シャトルバルブ141から導かれた圧油の油圧力と該戻しバネ45の弾発力とが等しい平衡位置となるように制御され、従って、前記油圧シリンダ35の長さは、前記作動油循環回路111・112のうち高圧となっている回路の、その圧力の大きさにより、定まることとなる。
【0042】
ここで前述のクラッチ装置54については、例えば図8に示されるように構成することができる。以下これを説明する。即ち、回転自在に支持される基軸121上に前記コントロールアーム61の基部を固定し、該コントロールアーム61の先端が前記変速ペダル27にリンク51を介して連係されている。該コントロールアーム61の基部には第二のアーム124が植設され、該第二のアーム124の先端が油圧ポンプ斜板13に、適宜のリンク機構を介して連係される。前記基軸121上には前述のモード切換レバー36が立設され、その下端部をピン125により基軸121に枢支している。前記ピン125は基軸121の回転軸線と直交させて配置し、該モード切換レバー36が前記基軸121の回転軸線を含む平面内において揺動できるようにし、一方に揺動すると前記「作業モード」位置m1、他方に揺動すると前記「走行モード」位置m2となるようにしている。更に、前記モード切換レバー36に隣り合う位置にて、前記基軸121には前述のアーム部材57の基部57aが支持され、回転自在とされている。アーム部材57の二本の出力アームは上述のとおり、リンク62・63を介してカムプレート58に連係している。一方、アーム部材57の基部57a上には板状の係止部材122を、前記モード切換レバー36に沿うように直上方に向けて固設している。該係止部材122の上部の一定幅部分は該モード切換レバー36に向けて折曲し、その端縁に、該モード切換レバー36の中途部を係入し得る、「U」字状の係合孔123を形設している。これにより、前記モード切換レバー36が「走行モード」位置m2にあるときはモード切換レバー36が係合孔123に係入し、「作業モード」位置m1にあるときは該係入が解除されることとなる。尚、本構成例においては、モード切換レバー36とアーム部材57とを直接係脱させる構成として、図1に図示される中間軸55を省略できるようにし、部品点数の低減を図っている。
【0043】
以上のクラッチ装置の作用を説明する。即ち、前記変速ペダル27が踏み込まれると、コントロールアーム61の先端がリンク51を介して押動又は張引され、該コントロールアーム61が揺動する。これにより、前記第二のアーム124も一体的に揺動し、ポンプ斜板13が傾動操作される。加えて、前記コントロールアーム61に固定される基軸121も一体的に回動されるので、前記モード切換レバー36も前記基軸121まわりに揺動される。ここで、前記モード切換レバー36が「走行モード」位置m2にあるときは、モード切換レバー36と前記アーム部材57とが前記係止部材122を介して係合され、コントロールアーム61の回動がアーム部材57に伝達される、「接」状態となる。一方、モード切換レバー36が前記「作業モード」位置m1にあるときは、モード切換レバー36と前記アーム部材57との係合が解除され、コントロールアーム61の揺動はアーム部材57に伝達されない。即ち、「断」状態である。
【0044】
以上の構成の走行制御装置の作用について説明する。即ち、変速ペダル27の前側の踏面部を踏込むと、図9に示すように該変速ペダル27にリンク51、コントロールアーム61を介して連係される伝動軸53が回転される。ここで、図10に示す如く前記クラッチ装置54が「接」状態にある場合は、伝動軸53と中間軸55とが連結されるので、中間軸55が回転されて、前記アーム部材57が図10に示す矢視yの方向に回転される。従って、リンク62は前記カムプレート58の溝の一端を張引して該カムプレート58を回動させるとともに、リンク63は前記カムプレート58の溝の内部を摺動する。回動される該カムプレート58は前記油圧シリンダ35の基部35aを張引し、油圧シリンダ35の先端が前記レバー83を張引し傾動させるので、該レバー83に連結されるモータ斜板23は、その傾動角が小となるように傾動される。一方、変速ペダル27の後側の踏面部を踏み込んだときには、前記アーム部材57が回転する方向は逆となり、リンク63は前記カムプレート58の溝の一端を張引して該カムプレート58を回動させるとともに、リンク62の一端は前記カムプレート58の溝の内部を摺動する。従ってこの場合もカムプレート58が回動する方向は同一であり、該カムプレート58は前記油圧シリンダ35の基部35aを張引し、油圧シリンダ35の先端が前記レバー83を回動させて、該レバー83に連結されるモータ斜板23は、その傾動角が小となるように傾動される。従って、前進・後進いずれの場合も、変速ペダル27の踏込み量に応じてモータ斜板23を容積減少側へ傾動する制御が行われ、前記ポンプ斜板13の容積増大側への傾動と併せて、HST8の変速比を変更させる制御が行われるのである。
【0045】
ここで、前記二本のリンク62・63のうち、変速ペダル27の前側の踏面部を踏み込んだときに前記カムプレート58を張引する側のリンク62は、該カムプレート58の回動中心58aに近い側の溝に連結され、他側のリンク63は、該回動中心58aから遠い側の溝に連結される。これにより、変速ペダル27を前側に踏み込んだ場合はカムプレート58の回動中心58aに近い側の部位がリンク62により張引され、後側に踏み込んだ場合はカムプレート58の回動中心58aから遠い側の部位がリンク63により張引されることとなる。従って、同じ踏込み量でも、後側に踏み込んだ場合の方が、前側に踏み込んだ場合よりもカムプレート58の回動角が小さく、その分だけ前記油圧シリンダ35の基部35aを張引する量が少なくなり、モータ斜板23を傾動させる量が少なくなる。この構成は換言すれば、後進時においては変速ペダル27の踏込み量に応じてHST8を小減速比側へ移行させる度合いを抑制する構成であり、従って、車両を高速で後進させることは稀である一般の使用態様に即した構成であるといえる。
【0046】
また、前記作動油循環回路111・112の圧力が増大した場合には、図11に示す如く前記油圧シリンダ35が伸張されるので、前記レバー83は大減速比側に傾動されることとなる。即ち、油圧シリンダ35の基部35aは前記変速ペダル27の踏込み量に応じた分だけ張引されるが、該油圧シリンダ35自体が伸張駆動されるので、油圧シリンダ35の伸縮可動部35b先端が前記レバー83を小減速比側に張引して傾動させる量は、前記伸張駆動の分だけ小さくなるのである。
【0047】
この作用に関連して、車両を駆動するエンジン2の負荷と、前記作動油循環回路111・112の圧力の関係を説明する。即ち、車両走行時には車軸50L・50Rに対し様々な形での抵抗が発生し、主なものを挙げれば路面抵抗、空気抵抗、加速抵抗、勾配抵抗等であるが、車軸50L・50Rに発生するこれらの抵抗は上記ドライブトレーン30を介して伝達されて、上記油圧モータ21のモータ軸22に、該モータ軸22を駆動するのに抗する向きのトルクとして入力される。従って、前述の抵抗が大きい場合は、上記トルクに抗してモータ軸22を回転させるために必要な力も大きくなるから、結果として油圧モータ21を駆動するために必要な油圧力が増大し、従って車両走行時には、車軸50L・50Rに入力される抵抗が大であればある程、前記第一の回路111(又は第二の回路112)の圧力も増大することとなる。一方、上記抵抗が大きいということは、エンジン2の負荷が大きくなるということをも意味する。従って、前記作動油循環回路111・112の圧力が大きければ大きいほど、エンジン2に作用する負荷が大きいということができる。このことからすれば、作動油循環回路111・112の圧力を検出して、それに基づいてモータ斜板23の傾動角を変更させる上述のような制御は、エンジン2の負荷の大きさに応じてモータ斜板23を傾動制御することと、実質的に同等なのである。
【0048】
次に、以上の構成とした走行制御装置が前記HST8の変速比をどのように制御するかについて、場合分けを行いながら説明する。
【0049】
即ち、モード切換レバー36を「作業モード」位置m1に操作した場合は、走行制御装置は第一のモードである作業モードとなって、ポンプ斜板13、モータ斜板23をそれぞれ以下の状態となるよう制御する。即ち、(1)前記ポンプ斜板13は図9に示すように、前記変速ペダル27の踏込み量に応じて傾動され、油圧ポンプ11の容積の変更を通じて変速比が変更される。また、前記モード切換レバー36に連係されるクラッチ装置が「断」の状態となっているので、変速ペダル27の踏込み量に応じて前記レバー83が回動されることはない。従って、(2)モータ斜板23は図9に示すように、前記変速ペダル27の踏込み量にかかわらず、前記レバー83に取り付けられる付勢バネ85により、その傾動角が最大である状態に保持され、これによりHST8全体で大減速比となる。
【0050】
この制御の関係は、油圧ポンプ11、油圧モータ21それぞれの容積の関係で述べれば、以下の如くである。即ち、この「作業モード」において前記変速ペダル27が中立位置にある場合は、ポンプ斜板13が中立位置となって油圧ポンプ11の容積は実質的にゼロとなる。そして該状態から前記変速ペダル27を踏み込むと、その踏込み量に応じてポンプ斜板13が傾動し、油圧ポンプ11の容積を増大させてゆく。一方、モータ斜板23は、変速ペダル27の踏込み量にかかわらず、その傾動角が最大である姿勢(図5に示す角度Amax の姿勢)で保持される。従って、油圧モータ21の容積は、このモータ斜板23の姿勢に応じた所定の容積(この場合は、最大の容積)に維持されるよう、制御される。即ち、この「作業モード」においては、図12のグラフの実線に示される如く、前記油圧ポンプ11の容積Vp がいかなる値に変更されても、前記油圧モータ21の容積Vm は前記所定の容積Vm1に維持される関係(Vm =Vm1)となるよう、ポンプ斜板13及びモータ斜板23が連動連係されているのである。
【0051】
即ち、作業場においてモアトラクタに芝刈り作業を行わせる際は、刈りムラを防止する観点から低い速度で走行できることが望まれ、また、速度の細かい調整が容易にできることが要請される。この点、本構成例によれば、モード切換レバー36を「作業モード」位置m1とすれば、上述のとおり油圧モータ21が容積大(減速比大)の状態に保持されるよう制御されているから、変速ペダル27の踏込み量が一定であれば車速は低い速度に一定に保持されることとなり、上述の必要性に即した適切な制御が行われるのである。また、変速ペダル27と油圧モータ21との連係が絶たれており、変速ペダル27に連動して変更制御されるのは油圧ポンプ11の容積のみとなる。従って、油圧ポンプ11と同時に油圧モータ21についてその容積を変更制御する場合に比べて、変速ペダル27の感度を鈍くすることでき、これは速度の微調整が容易であることを意味する。
【0052】
尚、本実施例では、油圧モータ21の前記所定の容積Vm1は、モータ斜板23がその傾動角を最大とした場合の油圧モータ21の容積としているが、それに限定するものではない。即ち、モータ斜板23の傾動角が前記最大の角度Amax から適宜の角度だけ小さい場合の油圧モータ21の容積を、前記所定の容積Vm1として採用することもできる。このためには、前記レバー83が前記ストッパ84に対しより小減速比側で当接することとなるよう、該ストッパ84の位置を定めればよい。
【0053】
一方、モード切換レバー36を「走行モード」位置m2に操作した場合は、走行制御装置は第二のモードである走行モードとなって、ポンプ斜板13及びモータ斜板23をそれぞれ以下の状態となるよう制御する。即ち、(1)前記ポンプ斜板13は図10に示すように、前記変速ペダル27の操作位置に応じて傾動され、油圧ポンプ11の容積の変更によりHST8の出力が変更される。
【0054】
一方、前記モード切換レバー36に連係される前記クラッチ装置54が「接」状態となるので、(2)前記モータ斜板23は図10に示すように、前記変速ペダル27の踏込みにより、その傾動角が小となる方向(油圧モータ21の容積を減少させる方向)に制御されることとなる。加えて、前述の作動油循環回路111・112のうち高圧側の回路の圧力が増大すると、図11に示す如く油圧シリンダ35が伸張駆動されるので、モータ斜板23は該伸張分だけ、その傾動角が大となる方向(油圧モータ21の容積を増大させる方向)に制御される。逆に高圧側の回路の圧力が減少した場合は、油圧シリンダ35が縮退されるので、モータ斜板23は該縮退分だけ、逆にその傾動角が小となる方向(油圧モータ21の容積を減少させる方向)に制御されることとなる。
【0055】
この制御の関係は、油圧ポンプ11、油圧モータ21それぞれの容積の関係で述べれば、以下の如くである。即ち、この「走行モード」において前記変速ペダル27が中立位置にある場合は、ポンプ斜板13が中立位置となって油圧ポンプ11の容積は実質的にゼロとなる。そして、この状態から前記変速ペダル27を踏み込むと、その踏込み量に応じてポンプ斜板13が傾動し、油圧ポンプ11の容積を増大させてゆく。一方、モータ斜板23については、予めその初期傾動角を設定しておき、前記変速ペダル27が中立位置にある場合はモータ斜板23が該初期傾動角となるように制御し、油圧モータ21の容積Vm が前記初期傾動角に応じた容積Vm2となるようにする。そして、この状態から前記変速ペダル27を踏み込むと、その踏込み量に応じて前記モータ斜板23は傾動角が減少されるよう制御されるので、油圧モータ21の容積Vm は前記所定の容積Vm2から減少されてゆく。即ち、この「走行モード」においては、図12のグラフの破線で示されるように、前記油圧ポンプ11の容積Vp が実質的にゼロであるときは、油圧モータ21の容積Vm は前記所定の容積Vm2となるよう制御される一方、前記油圧ポンプ11の容積Vp が増大すればその増大に応じて、油圧モータ21の容積Vm が前記所定の容積Vm2から減少されてゆくように、ポンプ斜板13とモータ斜板23を連動連係させてあるのである。
【0056】
加えて、エンジン2の負荷との関係でいえば、図13に示されるように、油圧ポンプ11の容積が等しい容積分Vp だけゼロから増大された場合でも、エンジン2の負荷が大きいときにおいて油圧モータ21の容積Vm (a) が前記所定の容積Vm2から減少した量(Vm2−Vm (a) )は、エンジン2の負荷が小さいときのそれ(Vm2−Vm (b) )に比して、小さくなるように、ポンプ斜板13とモータ斜板23を連動連係させてあるのである((Vm2−Vm (a) )<(Vm2−Vm (b) ))。
これにより、エンジン2の負荷の大きさに応じてHST8の変速比を変更する制御が行われる。
【0057】
即ち、作業場間の移動等のため路面上でモアトラクタを走行させる際は、移動時間の短縮の観点から高速で走行できることが望まれるのに加え、周囲の状況等に応じて頻繁に発進・停止を繰り返す必要があり、また、場合によっては登坂をさせる必要もある。この点、本構成例によれば、モード切換レバー36を前述の「走行モード」位置m2においた場合は、変速ペダル27により無段変速を行える範囲が高速側に拡張されることとなり、高速域においても滑らかな変速が可能である。また、エンジン2の負荷の大きさに応じてHST8の変速比を変更する制御が行われるので、上記の要請を満たしながら、エンジン2を過負荷から保護し、かつその能力を効率よく発揮させる制御がなされることとなる。
【0058】
ここで、本実施例においては図12に示すように、油圧ポンプ11の容積が実質的にゼロであるときの油圧モータ21の容積が、前記「作業モード」と「走行モード」とで、等しくなるように制御している(Vm1=Vm2)。しかし、これに限るものでもなく、油圧ポンプ11の容積が実質的にゼロであるときの両モードにおける油圧モータ21の容積が、互いに異なるように構成することもできる。
【0059】
例えば図14に示すように、油圧ポンプ11の容積が実質的にゼロである場合に、作業モードにおいて制御される油圧モータ21の容積Vm1が、走行モードにおいて制御されるそれVm2より、小さくなる構成とすることができる(Vm1>Vm2)。このためには、前述のレバー83を当接させるストッパ84を適宜の部材(例えば、モード切換レバー36)に連係させて、該ストッパ84の位置が前記モード切換レバー36の操作位置に応じて切り替わるようにし、モード切換レバー36が「作業モード」位置m1のときは「走行モード」位置m2のときよりも、より小容積側にて前記レバー83に当接するように制御すればよい。
【0060】
あるいは図15に示すように、油圧ポンプ11の容積が実質的にゼロである場合に、作業モードにおいて制御される油圧モータ21の容積Vm1が、走行モードにおいて制御されるそれVm2より、大きくなる構成とすることができる(Vm1>Vm2)。このためには、例えば、前記レバー83に前記ストッパ84の代わりに適宜の規制機構を設け、該規制機構は前記モード切換レバー36に連係した上で、(1)該モード切換レバー36が「走行モード」位置m2にあるときは、規制機構は、油圧ポンプの容積11に応じて変更制御する油圧モータ21の容積の範囲を、油圧モータ21の容積の変更可能範囲のうち容積小側の一部の範囲に制限し、(2)「作業モード」位置m1にあるときは、上述の制限を解除するとともに、レバー83を適宜の位置に保持すべく構成する。
【0061】
また、前記モード切換レバー36の切換操作を、前記油圧ポンプ11の容積が実質的にゼロである場合にのみ可能とする構成とすることもできる。以下、この構成を説明する。図16は油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときにのみ、モードの切換を許容する構成を示した図である。
【0062】
即ち図16に示すように、前記モード切換レバー36の近傍にカムプレート70を回動自在に枢支し、該カムプレート70には、その回動中心70aを中心とする同心円弧状の規制溝が二本形成されるとともに(86・87)、該二本の溝86・87の中途部同士の間には、前記モード切換レバー36の枢支点36aを中心とする円弧状の摺動溝88が接続されて設けられる。この三本の溝86・87・88をもって略「H」字状のガイド溝としており、該ガイド溝の内部には、前記モード切換レバー36の適宜位置に設けられたガイドピン72が位置され、このガイドピン72は該ガイド溝に沿って摺動自在としている。前記カムプレート70にはアーム部が形成され、該アーム部を、前記変速ペダル27の出力アーム部27aに、リンク71をもって連結している。
【0063】
この構成の作用を説明する。即ち、前記変速ペダル27が踏み込まれない中立位置にあるときは、前記ガイドピン72はカムプレート70のガイド溝のうち、摺動溝88に位置するように調整されているので、ガイドピン72が前記摺動溝を摺動することにより、前記モード切換レバー36を自由に切り換えることができる。一方、前記変速ペダル27を踏み込んだときは、カムプレート70が回動するので、前記ガイドピン72が規制溝(86又は87)に係入することとなる。従って、該状態からモード切換レバー36を切換操作することはできない。即ち、この構成は、オペレータがモード切換レバー36を切り換える場合は、変速ペダル27を中立位置として油圧ポンプ11の容積を実質的にゼロとしなければならない構成である。従って、車両を停止状態とさせてから確実に作業モードを切り換えさせるようにするこの構成によれば、走行中のモード切換による変速ショックの発生等が防止されることとなる。
【0064】
また、前記ポンプ斜板13とエンジン2のキャブレターとを連係させる構成として、エンジン2の回転数を同時に制御する構成とすることもできる。即ち、前述のポンプ斜板13及びモータ斜板23を上述とまったく同様に制御させるとともに、前記モード切換レバー36を「作業モード」位置m1としたときは前記変速ペダル27の踏込み量に関わらずエンジン2の回転数は一定とする制御を行わせる一方、前記「走行モード」位置m2としたときは、前記変速ペダル27の踏込み量に応じてエンジン2の回転数を上昇させる制御を行わせるのである。この構成は、走行モードにおいて急斜面等を上らせる際も力強く登坂することとなるので、自動車感覚に近い走行フィーリングをオペレータに提供できる。
【0065】
また、本実施例では上記モータ斜板23を機械的に制御する構成としたが、他の構成を採用しても構わない。例えば、前記モータ斜板23に電動アクチュエータを連結し、変速ペダル27又はポンプ斜板13にセンサ(例えば、ポテンショメータ)を設けて、変速ペダル27の操作量又はポンプ斜板13の傾動量を該センサにより検出して、該検出値に基づいて電動アクチュエータを駆動してモータ斜板23を傾動させる、電気的な制御構成とすることも差し支えない。
【0066】
以上に本発明の実施例を説明してきたが、本発明の技術的範囲は上記の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0067】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0068】
請求項1に示す如く、可変容積型油圧ポンプと可変容積型油圧モータとを流体的に接続したHSTを、有する作業車に備えられる走行制御装置であって、第一のモードと第二のモードを切換自在とするためのモード切換手段を備え、前記油圧ポンプに備えられて車両の変速操作具に連係されるポンプ容積操作具と、前記油圧モータに備えられるモータ容積操作具とを、前記モード切換手段を前記第一のモードとした場合においては、前記油圧ポンプの容積の変更にかかわらず、前記油圧モータの容積は固定状態を維持するように制御し、前記モード切換手段を前記第二のモードとした場合においては、前記油圧ポンプの容積がゼロから増大してゆくに従って、前記油圧モータの容積が所定の容積から減少されてゆくように制御することとなるよう、連動連係してあるので、前記第一のモードにおいては、油圧ポンプの容積の変更に関わらず油圧モータの容積は一定であるので、低速域での速度の微調整が容易であり、車両に一定の作業を行わせる際に有用である。
一方、前記第二のモードにおいては、油圧ポンプの容積の増大に応じて油圧モータの容積が減少される制御が行われるので、無段変速が可能である範囲が高速側に拡張されることとなり、高速走行が可能となるので、作業場から作業場への移動等の際に適している。
即ち、このような二つのモードを、ギア式の副変速装置を用いずに提供可能である構成とすることができ、従って、走行制御装置のコンパクト化や製造コストの低減に寄与できる。
【0070】
また、前記第二のモードにおいては、エンジンに対する負荷が大きい場合において、前記油圧ポンプの容積がゼロより増大されるに従って前記油圧モータの容積が前記所定の容積から減少される量は、エンジンに対する負荷が小さい場合において、前記油圧ポンプの容積がゼロより増大されるに従って前記油圧モータの容積が前記所定の容積から減少される量よりも、小さくなるように、前記ポンプ容積操作具と前記モータ容積操作具とを連動連係してあるので、
前述した効果に加えて、前記第二のモードにおいて、エンジンの負荷の大きさに応じて油圧モータの容積が容積増大側に制御されることとなるから、エンジンが過負荷から保護され、トラブルが防止できるのである。
即ち、作業場から作業場を移動するために路面上を走行するような際は、周囲の状況等に応じて頻繁に発進・停止を繰り返す必要があり、また、場合によっては登坂をさせる必要があるが、このような場合にはトランスミッションを前記第二のモードとすれば、減速比が自動的に適切に制御されることとなるから、エンジン回転数の低下やエンストが防止され、燃費の無駄が低減されるのである。
従って、小減速比(高速)側での使用により、車軸に入力される負荷の増大がエンジンの過負荷に結びつきやすい第二のモードにおいても、負荷の変動に対する走行の安定性に優れることとなる。これは、該第二のモードの使い勝手が向上することを意味する。
【0069】
請求項2に示す如く、請求項1記載の作業車の走行制御装置において、前記第一のモードにおいても前記第二のモードにおいても、前記油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときは、前記油圧モータの容積は前記所定の容積となるように制御し、かつ、前記第一のモードにおいては、前記油圧ポンプの容積の変更に関わらず、前記油圧モータの容積は前記所定の容積を維持するように制御するように構成してあるので、
前記請求項1の効果に加え、第一のモードにおいても第二のモードにおいても、油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときの油圧モータの容積(即ち、前記所定の容積)を基準として油圧モータの容積を制御する、シンプルな制御構成とできるから、そのために必要な連動連係構成も簡素とでき、製造コスト等が更に節減されることとなる。
また、この構成によれば、油圧ポンプの容積がゼロ近傍である場合に限っていえば、第一のモードと第二のモードとで油圧モータの容積はほとんど同じであり、これは、第一のモードと第二のモードにおいて、変速操作具を中立位置から操作し始めたときのHSTとしての変速比が特段に異ならないことを意味する。従って、変速操作具の操作し始めの加速フィーリングを両モードで似通ったものとすることが容易にでき、オペレータ側からみれば、一のモードの発進操作に慣れれば他のモードの発進操作にもすぐ慣れることができる。従って、全体として操作が容易な車両を簡素な構成で提供することができる。
【0071】
請求項3に示す如く、請求項1記載の作業車の走行制御装置において、前記第一のモードと第二のモードの切換は、前記油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときにのみ可能となるよう構成されるので、請求項1記載の効果のほか、油圧ポンプの容積が実質的にゼロである状態においてのみモードの切換が可能であるので、該切換時において油圧モータの容積が急激に変更されたとしても、変速ショックが発生することが防止されるのである。
即ち、油圧モータの容積はそれぞれ、第一のモードにおいては予め定められた容積となるよう固定制御され、第二のモードにおいては油圧ポンプの容積に応じて変更制御される。従って、切換時における油圧ポンプの容積や、第一のモードにおける油圧モータ容積の設定値等の条件によっては、第一のモードと第二のモードの間の切換えの際に、油圧モータの容積が急激に変更される可能性があり、それに応じて生じる変速ショックを防止する必要がある。
この必要性に関連して、(1)油圧ポンプの容積が大である状態において前記モードが切り換えられ、その際に前述の通り油圧モータの容積が急激に変更されると、激しい変速ショックが発生してオペレータを戸惑わせることになるが、(2)油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときは、油圧ポンプが圧油を吐出しないので油圧モータも駆動されず、このことより、前記モードが切り換えられてその際に油圧モータの容積が急激に変更されたとしても、前述のような変速ショックが生じる余地はないのである。
本発明は油圧ポンプの容積が実質的にゼロである場合(上記(2)の場合)にのみモードの切換操作を許容することとしているから、結果として切換時の変速ショックの発生が防止され、乗り心地の良い車両を提供できるのである。
【0072】
請求項4に示す如く、請求項1記載の作業車の走行制御装置において、前記油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときの前記油圧モータの容積が、前記第一のモードと前記第二のモードとで異なるように構成したので、前記請求項1に示す効果のほか、第一のモードと第二のモードとで切換え可能な、変速可能な領域のバリエーションを、簡素な機構で様々に設定できるのである。
例えば、第一のモードでは変速可能領域はより狭くなり、第二のモードでは変速可能領域が高速側に大幅に拡大される、といった特徴を有する走行制御装置を提供したい場合は、油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときの前記油圧モータの容積が、第一のモードの場合には大きくなり、第二のモードの場合には小さくなるよう構成すれば、簡素な構成で所望の目的を達成できることになる。
また逆に、第一のモードと第二のモードとで変速可能な領域がさほど異ならないような特徴を有する走行制御装置を提供したい場合は、油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときの前記油圧モータの容積が、第一のモードの場合には大きくなり、第二のモードの場合には小さくなるよう構成すればよい。
このように、油圧ポンプの容積がゼロのときの油圧モータ容積を、第一のモードと第二のモードとで異なるように構成することで、上述のようなバリエーションを、車両の用途や目的に対応させて容易に提供できることとなるのである。
換言すれば、歯車式の副変速機構により二つのモードを切り換える従来の構成には、その歯車の歯数比のバリエーションを変更することによって様々な変速領域切換のバリエーションを容易に現出できるという効果があったが、本発明によれば、該歯車式の副変速機構なしでも、同等の効果を容易に達成できることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の走行制御装置により制御されるHSTを備える、車軸駆動装置の全体的な構成を示したスケルトン図。
【図2】 車軸駆動装置の平面図一部断面図。
【図3】 図2におけるA−A断面矢視図。
【図4】 図2におけるB−B断面矢視図。
【図5】 油圧モータの容積を変更させる構成を示した要部拡大図。
【図6】 図5の状態から油圧モータの容積が減少される様子を示した図。
【図7】 ポンプ斜板及びモータ斜板を連動連係させる構成を示した図。
【図8】 クラッチ装置の構成例を示した図。
【図9】 図7の構成において作業モードとして変速ペダルを踏み込んだ場合の作動の様子を示した図。
【図10】 同じく、走行モードとして変速ペダルを踏み込んだ場合の作動の様子を示した図。
【図11】 同じく、走行モードとして変速ペダルを踏み込み、かつエンジンの負荷が増大した場合の作動の様子を示した図。
【図12】 作業モード及び走行モードにおいて制御される、油圧ポンプの容積と油圧モータの容積の関係を示した図。
【図13】 走行モードにおいてエンジンの負荷が大きい場合及び小さい場合における、油圧ポンプの容積と油圧モータの容積の関係を示した図。
【図14】 両モードにおいて制御される油圧ポンプの容積と油圧モータの容積の関係について、他の例を示した図。
【図15】 両モードにおいて制御される油圧ポンプの容積と油圧モータの容積の関係について、さらに他の例を示した図。
【図16】 油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときにのみ、モードの切換を許容する構成を示した図。
【符号の説明】
2 エンジン
8 HST
11 油圧ポンプ
13 ポンプ斜板(ポンプ容積変更操作具)
21 油圧モータ
23 モータ斜板(モータ容積変更操作具)
27 変速ペダル(変速操作具)
36 モード切換レバー(モード切換手段)

Claims (4)

  1. 可変容積型油圧ポンプ(11)と可変容積型油圧モータ(21)とを流体的に接続したHST(8)を、有する作業車に備えられる走行制御装置であって、第一のモードと第二のモードを切換自在とするためのモード切換手段(36)を備え、前記油圧ポンプ(11)に備えられて、車両の変速操作具(27)に連係されるポンプ容積操作具(13)と、前記油圧モータに備えられるモータ容積操作具(23)とを、前記モード切換手段(36)を前記第一のモードとした場合においては、前記油圧ポンプ(11)の容積の変更にかかわらず、前記油圧モータ(21)の容積は固定状態を維持するように制御し、前記モード切換手段(36)を前記第二のモードとした場合においては、前記油圧ポンプ(11)の容積がゼロから増大してゆくに従って、前記油圧モータ(21)の容積が所定の容積から減少されてゆくように制御することとなるよう、連動連係し、前記第二のモードにおいては、エンジン(2)に対する負荷が大きい場合において、前記油圧ポンプ(11)の容積がゼロより増大されるに従って、前記油圧モータ(21)の容積が前記所定の容積から減少される量は、エンジン(2)に対する負荷が小さい場合において、前記油圧ポンプの容積がゼロより増大されるに従って前記油圧モータの容積が前記所定の容積から減少される量よりも、小さくなるように、前記ポンプ容積操作具(13)と前記モータ容積操作具(23)とを連動連係してある、作業車の走行制御装置。
  2. 請求項1記載の作業車の走行制御装置において、前記第一のモードにおいても、前記第二のモードにおいても、前記油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときは、前記油圧モータの容積は前記所定の容積となるように制御し、かつ、前記第一のモードにおいては、前記油圧ポンプの容積の変更に関わらず、前記油圧モータの容積は前記所定の容積を維持するように制御するように構成してある、作業車の走行制御装置。
  3. 請求項1記載の作業車の走行制御装置において、
    前記第一のモードと第二のモードの切換は、前記油圧ポンプの容積が実質的にゼロであるときにのみ可能となるよう構成される、作業車の走行制御装置。
  4. 請求項1記載の作業車の走行制御装置において、前記油圧ポンプ(11)の容積が実質的にゼロであるときの前記油圧モータ(21)の容積が、前記第一のモードと前記第二のモードとで異なるように構成した、作業車の走行制御装置。
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