JP4105018B2 - 釣竿 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣りに用いる釣竿の竿元側に位置する竿体の周面に装着する肘当てに関する。
【0002】
【従来の技術】
釣竿は、竿体と、竿体の竿元側に配置されリールを装着するためのリールシートと、竿体の周面に軸方向に間隔を隔てて配置される釣糸ガイド等とを有している。釣りを行う際には、釣人は、リールシートにリールを装着した上で、リール脚を指に挟み込みながら一方の手でリールシート付近を把持し、他方の手でリール操作を行いまたは竿体の竿元側端部を把持し、さらにはいずれかの手の腕乃至肘を竿体周面に当てる等して釣りを行う。
【0003】
このため、従来の釣竿の中には、竿体の竿元側端部に肘や腕を当接するための部材を配置したものもある。ある従来の釣竿は、竿体の竿元側端部に肱宛がボールジョイントされている。釣人は肘を肱宛に載せたまま任意の釣り操作が可能となるものである(特許文献1参照)。また、別の従来の釣竿では、竿体の竿元側の周面から大きく一対のアームが竿体の軸方向に平行に配列されており、釣人はこのアームに腕を載せて釣り操作を容易になしえるものとなっている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−289121号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−197850号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、釣りをおこなう場合、釣糸の先端の仕掛けに魚がかかると、釣竿を大きく振り上げて魚を引き寄せ、釣竿を戻しながらリールを巻き上げてゆく。この際、魚をできるだけ強く引き寄せるためには、釣竿をできるだけ、大きな角度をもって(上空方向よりもさらに釣人の背中側まで釣竿を)振り上げたい(図3参照)。そして、上述の従来の肘当てなどが竿体の竿元側端部に設けられている場合、肘当ての分だけ振り上げ時の角度を大きくとれる(上空方向よりもさらに釣人の背中側に釣竿を傾けやすい)。
【0007】
しかし、このような釣竿の振り上げは、魚の引きとの間でタイミングをあわせて行う駆け引きであり、ある程度のテクニックが必要である。下手に釣竿を振り上げると釣糸の切断なども生じ、かかる操作は初心者には難しい。
本発明の課題は、釣竿の角度を利用して、誰にでも魚との駆け引きを円滑に行うことができる釣竿を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1の釣竿は、周面にリールを脱着自在に装着するためのリールシートを有する竿体と、竿体の竿元側端部の周面に装着された腕当てとを備えている。
この腕当ては、竿体の軸方向に対して竿元側ほど竿体周面から離れる方向に斜行して起立し、穂先側端部を中心として揺動自在である腕受部と、腕受部をその竿元側ほど竿体周面から離れる方向に付勢する付勢手段とを有する。
【0009】
釣人は、リールシートに取り付けたリールと共にこのリールシート付近を一方の手で把持し、その手の腕乃至肘をこの腕当ての腕受部に載せ、他方の手でリール操作などを行う。この腕当ては、腕受部が竿元側ほど竿体周面より離れる方向に傾斜しており、腕乃至肘を載せておくことで、釣竿の振り上げ操作の中心となる肘を竿体周面から離して当該操作を行うことができる。よって、この竿体周面からの距離の分だけ振り上げ時の角度を大きくとれる(上空方向よりもさらに釣人の背中側に釣竿を傾けやすい)。
【0010】
一方、このような釣竿の振り上げ時に、魚が突然に強く仕掛けを引き、釣竿が前方向に突然に引き戻されて大きなテンションが釣糸乃至釣竿にかかると、腕受部が揺動して付勢手段がそのテンションを吸収する。そして、再び、付勢手段により釣竿の振り上げ時の角度をとることができる。
発明2の釣竿は、発明1の釣竿であって、腕当ては、竿体のリールシートの装着位置と周方向に於いて一致する。
【0011】
このような位置にリールシートと腕当てとを配置することで、両軸リールをリールシートに装着する場合に対応できる。
発明3の釣竿は、発明1の釣竿であって、腕当ては、竿体のリールシートの装着位置と周方向において180度変位する側に装着されている。
このような位置にリールシートと腕当てとを配置することで、スピニングリールをリールシートに装着する場合に対応できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本発明のある実施形態にかかる釣竿は、複数の竿体を振出若しくは並継形式等によって連結し一本の長い釣竿としたものである。その中で、最も竿元側に位置する太径の竿体である元竿1は、図1に示すように、周面にリールRを脱着自在に装着可能なリールシート2と、リールシート2の竿元側の周面に装着されている腕当て3と、竿元側端部に脱着自在に装着された尻栓4とを有する。また、穂先側の周面には、例えば、外通し竿であれば釣糸ガイドが、中通し竿であれば釣糸導入口などが形成されることになる(何れも図示せず)。
【0013】
元竿1は炭素繊維強化樹脂等の素材を焼成してなる先細りテーパの施されたパイプ状の部材である。このパイプ状の部材の竿元側の周面、具体的には、竿元側端部から400〜500mm程度の位置にリールシート2が設けられている。このリールシート2は別途加工したものを元竿1のパイプ状の部材の周面に装着して一体的に形成しても良いが、必要なパーツを巻糸などで個々に取り付けてもよい。このリールシート2は、穂先側にリールRの脚部の一端を係止するための固定フードを、竿元側にリールRの脚部の他端を係止するための移動フードを有し、移動フードを穂先側にスライド移動させて、ロック機構でリールRの脚部を挟み込みながら固定するものである。
【0014】
尻栓4は、パイプ状の元竿1の竿元側端部を閉塞するための栓である。例えば、元竿1の竿元側端部内周面に雌ねじを形成しておき、ここに尻栓4を螺着される。複数の竿体を元竿1の穂先側に連結する釣竿において、穂先側の竿体を元竿1から分解する際に用いる。
図1及び図2に詳しく示すように、腕当て3は、元竿1の竿元側端部の周面、例えば、竿元側端部より100〜150mm程度の位置に装着されている。周方向位置は、上述のリールシート2の装着位置と周方向において180度変位する側である。そして、この肘当て3は、本体部10と、本体部10の穂先側端部に設けられた回動軸11と、回動軸11を介して前記本体部10に揺動自在に連結されている腕受部12と、板バネ13とを有している。
【0015】
本体部10は、元竿1の所定の周面に当接された薄板状の部材である。金属若しくは硬質合成樹脂などから形成される。元竿1に当接する側の板面は元竿1の周面の形状に合わせて湾曲面としてもよい。この本体部10の長手方向を元竿1の軸方向として元竿1の周面に固定している。本体部10の穂先側端部は起立して幅方向に一対の軸受け部分が形成されている。この軸受け部分に回動軸11が配置される。
【0016】
腕受部12も薄板状の部材であり、金属若しくは硬質合成樹脂等から形成される。長手方向を元竿1の軸方向として、穂先側の端部に回動軸11が内在している。そして、この回動軸11によって本体部10の上に揺動自在に連結されている。この腕受部12はその表面(本体部10と反対側の面)が幅方向中央付近において最も凹入するような湾曲面となっている。この表面に釣人が腕乃至肘を載せるので、左右方向(幅方向)への腕乃至肘のぶれの防止の趣旨である。必要に応じて、その表面には滑り止めゴムや凹凸を形成しても良い。
【0017】
この本体部10と腕受部12との間に板バネ13が介在する。板バネ13は回動軸11を中心にして、腕受部12の竿元側端部を本体部10より離間させる方向に付勢している。従って、腕受部12は竿元側端部ほど元竿1の周面から離れるように斜行していることになる。この元竿1との間の斜行の角度(∠α:図1参照)は、30度程度に設定しておくのが好ましい。
【0018】
ここでは、板バネ13を利用しているが、その他、板ゴムを腕受部12と本体部10との間に介在させる方法や、コイルバネを腕受部12の竿元側端部と本体部10との間に介在させる等の手法を採用しても良い。なお、この本体部10は元竿1に例えば、巻糸14などで固定される。即ち、巻糸14を本体部10と元竿1との周面に巻回し、合成樹脂によるコーティングを施す。
【0019】
この釣竿では、釣人は、図1に示すように、リールシート2に取り付けたリールRと共にこのリールシート2付近を一方の手で把持し、その手の腕乃至肘を腕当て3の腕受部12に載せ、他方の手でリール操作などを行う。
この腕当て3は、腕受部12が竿元側ほど元竿1の周面より離れる方向に傾斜しており、腕乃至肘を載せておくことで、釣竿の振り上げ操作の中心となる肘を竿体周面から離して当該操作を行うことができる。よって、図3(a)に示すような一般の釣竿に比較して、図3(b)に示すように、この元竿1の周面からの距離の分だけ振り上げ時の角度を大きくとれる(∠αだけ、上空方向よりもさらに釣人の背中側に釣竿を傾けやすい)。
【0020】
一方、このような釣竿の振り上げ時に、魚が突然に強く仕掛けを引き、釣竿が前方向に突然に引き戻されて大きなテンションが釣糸乃至釣竿にかかると、腕受部12が揺動して板バネ13がそのテンションを吸収する。そして、再び、魚の引きが弱くなると、板バネ13により釣竿の振り上げ時の角度を大きくとることができる。従って、かかる釣り操作時に釣糸が切断するなどの事故も生じにくく、高度な技術を持たない釣人でも、大きな釣竿の角度を保ちながら魚とのやり取りを円滑に行うことができる。
【0021】
なお、この実施形態では、腕当て3を元竿1の周面に固定した脱着不能な場合を示しているが、腕当て3自体を元竿1に対して脱着自在としても良い。釣人によって肘乃至腕を置く軸方向位置が異なる場合もあるので、個々の釣人の状況にあわせて円滑な釣りをおこなうことが可能となるのである。
【0022】
【発明の効果】
本発明の釣竿によれば、釣竿の角度を活かして、誰にでも魚との駆け引きを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用した釣竿の元竿1を示した図。
【図2】図1の元竿1の腕当て3を示した図。
【図3】(a)従来の釣竿での釣竿振り上げ時の状態と、(b)本発明の釣竿での釣竿振り上げ時の状態を示した図。
【符号の説明】
1 元竿
3 腕当て
10 本体部
11 回動軸
12 腕受部
13 板バネ

Claims (3)

  1. 周面にリールを脱着自在に装着するためのリールシートを有する竿体と、
    前記竿体の竿元側端部の周面に装着された腕当てとを備え、
    前記腕当ては、前記竿体の軸方向に対して竿元側ほど前記竿体周面から離れる方向に斜行して起立し、穂先側端部を中心として揺動自在である腕受部と、前記腕受部をその竿元側ほど前記竿体周面から離れる方向に付勢する付勢手段とを有する、釣竿。
  2. 前記腕当ては、前記竿体のリールシートの装着位置と周方向に於いて一致する、請求項1に記載の釣竿。
  3. 前記腕当ては、前記竿体のリールシートの装着位置と周方向において180度変位する側に装着されている、請求項1に記載の釣竿。
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