JP4104923B2 - 磁性体検出装置 - Google Patents

磁性体検出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4104923B2
JP4104923B2 JP2002195387A JP2002195387A JP4104923B2 JP 4104923 B2 JP4104923 B2 JP 4104923B2 JP 2002195387 A JP2002195387 A JP 2002195387A JP 2002195387 A JP2002195387 A JP 2002195387A JP 4104923 B2 JP4104923 B2 JP 4104923B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic field
detected
core
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002195387A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004038611A (ja
Inventor
政夫 小浜
將史 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2002195387A priority Critical patent/JP4104923B2/ja
Publication of JP2004038611A publication Critical patent/JP2004038611A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4104923B2 publication Critical patent/JP4104923B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Inspection Of Paper Currency And Valuable Securities (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば紙葉類等の印刷に使用するインキに含まれる微量の磁性体や薄膜状の磁性体で、特に残留磁気特性を有する磁性体を検出する磁性体検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、紙幣や有価証券などの偽造防止対策として、磁気インクによる印刷や用紙に細長い帯状の磁性薄膜を漉き込んだものを使用して、流通段階でこれらの磁気インクや帯状の磁性薄膜を検知して真偽判定の手段としていることは広く知られている。
【0003】
このような紙葉類の印刷や漉き込み薄膜に使用される磁性体の検出技術として、S字型のコアの中央部に1次巻線を巻装して交流付勢し、微小な隙間に設定した2箇所の開口部側のそれぞれに2次巻線を巻装して、一方の開口部上に接近して紙葉類を通過させ、2つの2次巻線による誘導電圧の差を出力とする差動巻線型トランス方式がある。
【0004】
また、巻線を設けた環状コアの一部に微小な隙間を設けて、その隙間上を磁性体が通過する際の環状コア内の磁束の変化を、環状コア巻線のインピーダンス変化として検出するインピーダンス方式がある。
【0005】
または、1次巻線と2次巻線を設けた環状コアの一部に微小な隙間を設けて、1次巻線を交流または直流電流で付勢し、隙間上を磁性体が通過する際の環状コア内の磁束の変化を2次巻線の誘導電圧の変化から検出する方法がある。
【0006】
さらには、1次巻線と2次巻線を巻いて一部に微小な隙間を設けた環状のコア2個を組み合わせてそれぞれの1次巻線を交流付勢し、一方のコアの隙間上に磁性体を通過させ、他方を補償出力用として両者の2次巻線出力の差を信号として取り出す方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、紙葉類の印刷や漉き込み薄膜に使用される磁性体が強磁性体であった場合に、何らかの不作為要因により、例えば永久磁石に接触して磁化されると永久磁石が取り除かれても残留磁気が生じ、この残留磁気の大きさや極性がさまざまになる。
【0008】
この場合、従来の検出方法によれば、この残留磁気の大きさや極性によって、検出装置での磁気変化量や磁気特性を示すB−H曲線上での動作点が異なるために検出信号も異なり、結果として正確な磁気特性を検出することができない場合がある。
【0009】
そこでこの発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、残留磁気の影響を取り除き正確な磁気信号を得ることができ、かつ残留磁性体の特性の判別が可能な磁性体検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、搬送される被検出物と相対向され、前記被検出物の磁性体を磁化させる直流磁界を発生する直流磁界発生手段と、この直流磁界発生手段に対して搬送方向下流に設けられ、前記直流磁界発生手段による磁界によって磁化された前記被検出物の磁性体の残留磁気を検出する磁気検出手段を備えた磁性体検出装置であって、前記直流磁界発生手段は、磁気コアに巻回した巻線に供給する直流電流を可変する電流可変手段と、この電流可変手段により不特定な外部磁界よりも大きな飽和磁界を与える直流電流を供給する直流電源と、前記磁気コアの一方の極が前記被検出媒体の表面と相対向する部分に非磁性材を配置し、それ以外の部分を磁性材で囲繞して構成した保護用ケースと、を備え、前記磁気検出手段は、微小な隙間を有する磁気コアを励磁するために1次巻線に直流電流を供給する励磁用直流電源と、前記被検出物が前記磁気コアの隙間上を通過する際、当該磁気コアの2次巻線に誘起される信号を検出する信号処理手段と、を備え、この磁気検出手段の出力信号から前記被検出物の残留磁気を検出することを特徴とする。
【0011】
また、請求項記載の発明は、搬送される被検出物と相対向され、前記被検出物の磁性体を磁化させる交流磁界を発生する交流磁界発生手段と、この交流磁界発生手段に対して搬送方向下流に設けられ、前記交流磁界発生手段による磁界によって磁化された前記被検出物の磁性体を検出する磁気検出手段を備えた磁性体検出装置であって、前記交流磁界発生手段は、磁気コアに巻回した巻線に供給する交流電流を可変する電流可変手段と、この電流可変手段により最大振幅の交流磁界を与える交流電流を供給する交流電源と、前記磁気コアの一方の極が前記被検出媒体の表面と相対向する部分に非磁性材を配置し、それ以外の部分を磁性材で囲繞して構成した保護用ケースと、を備え、前記磁気検出手段は、微小な隙間を有する磁気コアを励磁するために1次巻線に交流電流を供給する励磁用交流電源と、前記被検出物が前記交流磁界発生手段の上を通過し遠ざかることにより、前記被検出物の磁界強度が前記最大振幅の交流磁界強度から徐々に小さくなり、当該被検出物の磁性体の残留磁束密度が無い状態である消磁状態にした後、前記被検出物が前記磁気コアの隙間上を通過する際、前記磁気コアの2次巻線に誘起される信号を検出する信号処理手段と、を備え、残留磁性体及び非残留磁性体のいずれも検出することを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項10記載の発明は、搬送される被検出物と相対向され、前記被検出物の磁性体を消磁させるための交流磁界を発生させる交流磁界発生手段と、この交流磁界発生手段に対して前記被検出物の搬送方向下流に設けられ、1次巻線と2次巻線を有する磁気検出手段と、前記交流磁界発生手段と前記磁気検出手段の1次巻線を同一の周波数で駆動する駆動手段とを有することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、第1の実施の形態に係る、磁性体検出装置10の構成を概略的に示すものである。被検出物1は、たとえば紙幣などの紙葉類であり、その表面に印刷された磁気インクなどの磁性体2を有し、図示しない搬送ベルトなどにより挟持されながら図示矢印A方向に搬送される。
【0016】
搬送される紙葉類1の表面に相対向して磁性体検出装置10が配置される。この磁性体検出装置10は、一方の極(例えばN極)が紙葉類1の表面と相対向するように配置され、被検出物1の磁性体2を飽和させる直流磁界発生手段としての永久磁石12と、この永久磁石12を囲繞して保護用ケース14に固定する磁性材で構成したシールド11と、この保護用ケース14内で紙葉類1に対して搬送方向下流に1次巻線16と2次巻線17を巻装した磁気コア15からなる磁気検出手段としての磁気検出部13から構成されている。
【0017】
なお、シールド11は遮蔽体で、永久磁石12から発生した磁力線が磁気コア15へ影響を与えるのを防止する。
【0018】
また、励磁用直流電源18は、1次巻線16に励磁電流を付与し、磁気コア15に励磁磁界を発生させる。
【0019】
一方、信号処理回路19は、紙葉類1に印刷されている磁性体2が搬送され、磁気コア15の測定用隙間(微小な隙間)15aを通過する際に検出した磁気信号を増幅し処理を行う。
【0020】
これらを収納する保護用ケース14は、永久磁石12や磁気コア15を保護するとともに、埃や磁性粉などが永久磁石12や磁気コア15に付着するのを防止するためのものである。
【0021】
しかしながら、永久磁石12と搬送される紙葉類1が接近する保護用ケース上面14aは、永久磁石12からの磁束を通す必要があるため耐磨耗性樹脂等の非磁性体を用い、それ以外の部分は磁性材で構成し、外部からの磁気ノイズの混入を防止する。
【0022】
次に、紙葉類1の磁性体2の磁気特性を図2を用いて説明する。
【0023】
図2は、残留磁気を有する磁気インクの磁気特性を示す図で、いわゆるB−H曲線である。横軸が加えられた磁界H,縦軸が磁性体内の磁束密度Bである。
【0024】
紙葉類1に含まれる磁性体2が強磁性体の場合、流通段階において、何らかの要因で不特定の磁界にさらされることがある。例えば、不特定磁界の値が図に示した横軸の磁界H1の強度であるとすると、外部磁界Hがゼロになっても、残留磁束密度がa1の残留磁気を示す。この残留磁束密度a1は外部磁界の強度や極性によって、a2やa1’、あるいはa2’等になり一定値とならない。
【0025】
このように不揃いの残留磁束密度状態で、磁性体2を検出すると、磁気信号が一定値にならず、残留磁束密度の大小や極性に左右される。
【0026】
図2では、3種類の外部磁界が加わり3種類のヒステリシスループL1,L2,L3を例に示したが、これに限るものではない。
【0027】
以下、本実施の形態の作用を説明する。
【0028】
図1において、紙葉類1が矢印Aの方向に搬送されると、紙葉類1上に例えば印刷された磁性体2は、直流磁界発生手段である永久磁石12のN極により磁化された後に、磁気コア15の測定用間隙15a上を通過する。磁性体2がこの測定用間隙15a上を通過する際、もし、1次コイル16に励磁用直流電源18から直流電流が付与されていれば、この測定用間隙15a上の磁力線は磁性体2によって変化し、その磁力線の変化が2次巻線17によって検出される。この検出された2次巻線17の信号は磁力線の変化速度に比例する。したがって、紙葉類1の磁性体量と搬送速度に概略比例した値となる。
【0029】
そこで、不特定な外部磁界より大きな飽和磁界を被測定対象である磁性体2に与えて、常に一定の残留磁束密度になるようにする。
【0030】
すなわち、紙葉類1が矢印Aの方向に搬送され、図1の保護用ケース上面14aに達すると、紙葉類1上に印刷された磁性体2は永久磁石12のN極により磁化される。このとき、この永久磁石12により、図2に示す磁束密度Bが飽和に達する磁界HがH0以上になるような磁界を与える。
【0031】
次に、紙葉類1がさらに搬送され、永久磁石12から離れることにより、永久磁石12の磁界の影響が少なくなり、磁界がゼロ(H=0)になったとき、磁性体2の残留磁束密度がa0になる。このようにすることにより、磁性体2は、磁性体の種類と量によって決定される、常に一定の残留磁束密度a0を示す。
【0032】
この残留磁束密度がa0になった状態で、紙葉類1がさらに搬送され磁気コア15の測定用間隙15a上を通過すると、磁気コア15の2次巻線17から磁性体2の残留磁気による磁気信号が出力される。
【0033】
この磁気信号は、信号処理回路19で処理される。
【0034】
図3は、信号処理回路19の動作を説明するブロック図である。上述した磁気信号は差動増幅回路40で増幅され、紙葉類1の種類によって定めた、たとえば複数の検出範囲について、磁気信号をサンプリングする。このサンプリングデータは判別回路42で紙葉類1の種類毎に設定された判別レベルと比較され、真偽が判別(真券か偽券かの判別をすること)される。
【0035】
尚、上述した実施の形態では、1次巻線16に直流電流を付与したが、1次巻線16に交流電流を付与し、この交流電流の周期を磁性体2が磁気コア15の測定用間隙15a上を通過する時間よりも十分小さい値とすれば、2次巻線17に誘起される交流信号の、磁性体2による変化分は磁性体量に概略比例した値となる。
【0036】
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0037】
図4は、第2の実施の形態に係る、磁性体検出装置20の構成を概略的に示すものである。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付してその説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
第2実施の形態では、磁気検出手段としての磁気検出部23は、磁気抵抗素子25a、25bを使用している。これらの磁気抵抗素子25a、25bが永久磁石26によりバイアス磁界が与えられ、紙葉類1の磁性体2によってバイアス磁界が変化され、磁気抵抗素子25a、25bにより検出される。これらの磁気抵抗素子25a、25bで検出される磁気信号は、残留磁性体(残留磁気特性を有する磁性体)及び非残留磁性体(残留磁気特性のない磁性体)の何れでも検出され、信号処理手段としての信号処理回路29で処理される。
【0039】
図5は、信号処理回路29の動作を説明するブロック図である。ブリッジ回路50は、上述した磁気抵抗素子25a、25bと、2個の固定抵抗器R1,R2と、ブリッジ回路のバランスを調整するための可変抵抗器rとを直列に接続して構成されている。
【0040】
定電圧回路55は、ブリッジ回路50に直流電流を供給して付勢するものである。定電圧回路55からの直流電圧は、固定抵抗器R1と磁気抵抗素子25aとにより分圧された値と、固定抵抗器R2と磁気抵抗素子25bとにより分圧された値として、差動増幅回路51に供給される。この差動増幅回路51を介して検出した磁気抵抗素子25a,25bの抵抗値の変化に応じた磁気信号は、フィルタ・増幅回路52を介してさらに増幅され、必要周波数の帯域の磁気信号として出力される。
【0041】
この磁気信号は、図3と同様にサンプリング回路53でサンプリングされ、判別回路54で真偽判別される。
【0042】
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0043】
図6は、第3の実施の形態に係る磁性体検出装置60の構成を概略的に示すものである。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付してその説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
第3の実施の形態では、磁気検出手段としての磁気検出部63は、永久磁石66と、この永久磁石66の一方の極(例えばN極)に密着固定された第1のホール素子61と、永久磁石66の他方の極(例えばS極)に密着固定された第2のホール素子62と、この第2のホール素子62を固定するホルダ67で構成され、保護用ケース64に収納される。第1のホール素子61は、搬送される紙葉類1の表面と近接するように相対向して配置されている。
【0045】
これら第1のホール素子61及び第2のホール素子62で検出した磁気信号は信号処理手段としての信号処理回路69で処理される。
【0046】
図7は、信号処理回路69である。図の直流電源部69eは、定電流あるいは低電圧を発生し、ホール素子61、62の各一方の電源端子61a、62aに接続され、これらホール素子61、62の各他方の電源端子61b、62bは接地される。
【0047】
このようにして、これらのホール素子61、62を付勢する。
【0048】
ホール素子61の両信号端子61c、61dは、差動増幅回路69aの両入力端子に接続される。
【0049】
ホール素子62の両信号端子62c、62dは、差動増幅回路69bの両入力端子に接続される。
【0050】
上記差動増幅回路69a、69bの各出力端子は、これら差動増幅回路69a、69bの信号出力の極性が反対になるようにして可変抵抗器69cの両端に接続される。この可変抵抗器の可動端子は、直流増幅回路69dの入力端子に接続される。
【0051】
ここで、上記信号処理回路のゼロ点調整について説明する。ゼロ点調整とは、これら第1の信号処理回路の出力信号が磁性体を検出していない状態で0Vになるように設定することをいう。
【0052】
具体的には、検出面64b上に磁性体2が存在しない状態で、直流増幅回路69dの出力信号が0Vになるように、可変抵抗器69cの可動端子を動かして設定する。
【0053】
このような構成において、永久磁石66のN極から出力された磁力線はS極に戻るが、その磁力線の一部は第1のホール素子61、第2のホール素子62をそれぞれ貫通する。この際、これらのホール素子61、62の各電源端子に概略同等の電圧あるいは電流を印加することにより、ホール素子の各信号端子に磁束密度に比例した電圧が出力される。
【0054】
第1のホール素子61と第2のホール素子62は、永久磁石66のN極、S極の対称位置に配置して概略同等の磁束密度下にあるため、概略等しい電圧が出力される。
【0055】
永久磁石66は、これらのホール素子61、62に一定のバイアス磁界を付与するもので、このバイアス磁界が紙葉類1の磁性体2により乱されて第1のホール素子61を貫通する磁束密度が増減する。この磁束密度の増減が第1のホール素子61の出力信号となる。
【0056】
このようにして検出された出力信号は、この出力信号を前述したように、サンプリング回路71でサンプリングされ、判別回路72で真偽判別される。
【0057】
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0058】
図8は、第4の実施の形態に係る磁性体検出装置30の構成を概略的に示すものである。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付してその説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0059】
ここで使用される磁界を発生する磁界発生手段は、磁気コア32とコイル32a及び直流電源34で構成される。直流電源34は、図示していない電流可変手段により可変した直流電流をコイル32aに供給し、保護用ケース上面34aから発生する磁界の大きさ(磁界強度)を調整するものである。
【0060】
磁気検出手段としての磁気検出部33は、2個の磁気コア35a、35bを使用しており、1次巻線36及び2次巻線37を巻装し、1次巻線36に交流電流を印加する。磁気コア35bを補償コアとして2次巻線37を差動に結線し、磁性体2が測定用間隙35c上にあるときに2次巻線37に磁性体2の磁気信号が得られるように構成したものである。
【0061】
このような構成において、磁性体を飽和磁化するための直流磁界は磁性体により概略一定であるため、たとえば、図2に示した磁性体の場合は、磁界H0より大きい磁界を付与しても、残留磁気による磁束密度Bはa0となるため、H0より大きい磁界を付与しても効果がなく、ロスとなる。
【0062】
すなわち、H0より大きい磁界を発生させるための電流は、余分な発熱をもたらし、また、発生した余分な磁界は外部に漏れ、信号処理回路や記載していない近傍の電子機器に悪影響を及ぼす場合も考えられる。紙幣などの紙葉類は使用されている磁性体の磁気特性が均一であることから、これら磁性体の磁気特性に合わせた磁界を与えて残留磁界を検出するのが好ましい。
【0063】
このように、磁気特性の異なる各種磁性体の飽和磁界強度に合わせ、上記電流可変手段によって磁界強度を変え、磁性体2を飽和させて磁気信号の検出を行うことにより、安定した磁気信号の検出が可能になる。
【0064】
また、1次巻線36に印加した交流電流により、磁界Hの大きさが0(ゼロ)の近傍で正負の振幅になる交流磁界を磁性体2に付与する。このときの動作を図9に示す。
【0065】
図9は、残留磁気特性の異なる磁性体の交流磁界―磁気信号図で、交流磁界を付与した場合の2次巻線に検出される磁気信号を示している。
【0066】
交流磁界HAac、HBacは、付与された交流磁界で、そのときの検出信号は磁気信号SA、SBとなる。
【0067】
図9(A)は、磁化しやすい磁性体で、小さい磁界で磁束密度が飽和する磁気特性を有する残留磁気特性の交流磁界―磁気信号図である。図に示すように磁気信号SAの振幅が小さいのが特徴である。
【0068】
図9(B)は、磁化しにくい磁性体で、大きい磁界で磁束密度が飽和する磁気特性を有する残留磁気特性の交流磁界―磁気信号図である。図に示すように磁気信号SBの振幅が大きいのが特徴である。
【0069】
したがって、この特性を用いた、図示していない信号振幅の大きさを弁別する手段を持つことにより、磁性体2の特性を判別することが可能になる。
【0070】
次に、第5の実施の形態について説明する。
【0071】
図10は、第5の実施の形態に係る磁性体検出装置80の構成を概略的に示すものである。なお、第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付してその説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
ここで使用される磁界を発生する磁界発生手段は、磁気コア32とコイル32a及び交流電源84で構成される。交流電源84は、図示していない電流可変手段により可変した交流電流をコイル32aに供給し、保護用ケース上面34aから発生する交流磁界の大きさ(磁界強度)を調整するものである。このときの交流磁界強度は、検出する磁性体の飽和磁界強度により設定する。
【0073】
これは、前述した直流磁界強度を可変する場合と同様、すなわち、図2に示す磁界H0より大きい磁界を発生させるための電流は、余分な発熱をもたらし、また、発生した余分な磁界は外部に漏れ、信号処理回路や記載していない近傍の電子機器に悪影響を及ぼす場合が考えられためである。
【0074】
このような構成において、コイル32aに交流電流を付与して、磁気コア32から交流磁界を発生させると紙葉類1の磁性体2は磁気コア32上を通過するとき最大振幅の交流磁界を受け、磁気コア32から遠ざかるに従って磁界の振幅は小さくなる。
【0075】
これは、磁気コア32の上を通過することにより磁性体2は残留磁束を徐々に小さくして消すことになり、残留磁束が無い状態(消磁)とすることである。したがって、磁気コア35a、35bでは残留磁束の無い状態で信号を検出することになり、安定した磁気信号を得ることができる。この場合は励磁用交流電源38による交流磁界により、残留磁性体及び非残留磁性体のいずれの場合も磁気信号が出力される。
【0076】
また、図10において、磁界発生手段の交流磁界を発生するためのコイル32aに付与する交流電源84の周波数と、磁気検出部33の磁気コア35a,35bの1次巻線36に付与する励磁用交流電源38の周波数を同一の周波数駆動手段85で駆動することにより、異なる周波数を発生する回路が不用になるため、回路が単純で低価格な磁界発生手段を作成することができる。
【0077】
以上説明したように、上記実施の形態によれば、
(1)磁界発生手段の直流磁界強度を、検出する磁性体により可変し、磁性体を飽和させ、残留磁束密度を一定にした後に磁気検出を行うことにより、安定した残留磁気検出が可能になる。
【0078】
(2)磁気検出手段の1次巻線に交流電流を与え、交流磁界を発生して残留磁性体を検出し、検出信号の大きさを弁別することにより、残留磁性体の特性を判別することができる。
【0079】
(3)磁界発生手段の磁界を交流磁界にし、被検出媒体を通過させることにより、与える磁界強度を徐々に小さくでき、残留磁束の無い状態で磁気信号を検出することができる。
【0080】
(4)磁界発生手段の交流電源周波数と磁気検出手段の磁気コアの交流電源周波数とを同一とすることにより、周波数の異なる2種類の電源を準備する必要がないため、シンプルで低価格な磁界発生手段を提供できる。
【0081】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、被検出物の残留磁気の影響を取り除き、正確な磁気信号を得ることのできる磁性体検出装置を提供できる。また残留磁性体の特性の判別が可能な磁性体検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る磁性体検出装置の構成を概略的に示す縦断側面図。
【図2】 残留磁気を有する磁気インクの磁気特性を示す図。
【図3】 信号処理回路の動作を説明するブロック図。
【図4】 本発明の第2の実施の形態に係る磁性体検出装置の構成を概略的に示す縦断側面図。
【図5】 信号処理回路の動作を説明するブロック図。
【図6】 本発明の第3の実施の形態に係る磁性体検出装置の構成を概略的に示す縦断側面図。
【図7】信号処理回路の動作を説明するブロック図。
【図8】 本発明の第4の実施の形態に係る磁性体検出装置の構成を概略的に示す縦断側面図。
【図9】 残留磁気特性の異なる磁性体の交流磁界―磁気信号図
【図10】 本発明の第4の実施の形態に係る磁性体検出装置の構成を概略的に示す縦断側面図。
【符号の説明】
1 被検出物
2 磁性体
10、20、30、60、80 磁性体検出装置
11 シールド
12 永久磁石
13、23、33、63 磁気検出手段
14、24、34、64 保護用ケース
14a、24a、24b、34a、64a 保護用ケース上面
15、32、35a、35b 磁気コア
15a、35c 測定用間隙
16、36 1次巻線
17、37 2次巻線
18 励磁用直流電源
38 励磁用交流電源
19、29、39 信号処理回路
25a、25b 磁気抵抗素子
27、67 ホルダ
32a コイル
34 直流電源
84 交流電源
85 周波数駆動手段
L1,L2,L3 ヒステリシスループ
61 第1のホール素子
62 第2のホール素子

Claims (2)

  1. 搬送される被検出物と相対向され、前記被検出物の磁性体を磁化させる直流磁界を発生する直流磁界発生手段と、この直流磁界発生手段に対して搬送方向下流に設けられ、前記直流磁界発生手段による磁界によって磁化された前記被検出物の磁性体の残留磁気を検出する磁気検出手段を備えた磁性体検出装置であって、
    前記直流磁界発生手段は、
    磁気コアに巻回した巻線に供給する直流電流を可変する電流可変手段と、
    この電流可変手段により不特定な外部磁界よりも大きな飽和磁界を与える直流電流を供給する直流電源と、
    前記磁気コアの一方の極が前記被検出媒体の表面と相対向する部分に非磁性材を配置し、それ以外の部分を磁性材で囲繞して構成した保護用ケースと、
    を備え、
    前記磁気検出手段は、
    微小な隙間を有する磁気コアを励磁するために1次巻線に直流電流を供給する励磁用直流電源と、
    前記被検出物が前記磁気コアの隙間上を通過する際、当該磁気コアの2次巻線に誘起される信号を検出する信号処理手段と、
    を備え、
    この磁気検出手段の出力信号から前記被検出物の残留磁気を検出することを特徴とする磁性体検出装置。
  2. 搬送される被検出物と相対向され、前記被検出物の磁性体を磁化させる交流磁界を発生する交流磁界発生手段と、この交流磁界発生手段に対して搬送方向下流に設けられ、前記交流磁界発生手段による磁界によって磁化された前記被検出物の磁性体を検出する磁気検出手段を備えた磁性体検出装置であって、
    前記交流磁界発生手段は、
    磁気コアに巻回した巻線に供給する交流電流を可変する電流可変手段と、
    この電流可変手段により最大振幅の交流磁界を与える交流電流を供給する交流電源と、
    前記磁気コアの一方の極が前記被検出媒体の表面と相対向する部分に非磁性材を配置し、それ以外の部分を磁性材で囲繞して構成した保護用ケースと、
    を備え、
    前記磁気検出手段は、
    微小な隙間を有する磁気コアを励磁するために1次巻線に交流電流を供給する励磁用交流電源と、
    前記被検出物が前記交流磁界発生手段の上を通過し遠ざかることにより、前記被検出物の磁界強度が前記最大振幅の交流磁界強度から徐々に小さくなり、当該被検出物の磁性体の残留磁束密度が無い状態である消磁状態にした後、前記被検出物が前記磁気コアの隙間上を通過する際、前記磁気コアの2次巻線に誘起される信号を検出する信号処理手段と、
    を備え、残留磁性体及び非残留磁性体のいずれも検出することを特徴とする磁性体検出装置。
JP2002195387A 2002-07-04 2002-07-04 磁性体検出装置 Expired - Fee Related JP4104923B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002195387A JP4104923B2 (ja) 2002-07-04 2002-07-04 磁性体検出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002195387A JP4104923B2 (ja) 2002-07-04 2002-07-04 磁性体検出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004038611A JP2004038611A (ja) 2004-02-05
JP4104923B2 true JP4104923B2 (ja) 2008-06-18

Family

ID=31703779

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002195387A Expired - Fee Related JP4104923B2 (ja) 2002-07-04 2002-07-04 磁性体検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4104923B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5641157B2 (ja) * 2012-01-26 2014-12-17 Tdk株式会社 磁気測定装置
JP6034731B2 (ja) 2013-03-26 2016-11-30 浜松光電株式会社 磁性体検出装置
JP6523122B2 (ja) * 2015-09-30 2019-05-29 旭化成エレクトロニクス株式会社 磁性体検出装置
KR102516301B1 (ko) * 2016-05-02 2023-04-03 기산전자 주식회사 자성물질 식별 장치 및 지폐 계수기
JP7186419B2 (ja) * 2018-07-26 2022-12-09 浜松光電株式会社 磁性体検出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004038611A (ja) 2004-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4764725A (en) Apparatus for detecting counterfeit currency using two coils to produce a saturating magnetic field
JP5127440B2 (ja) 磁気パターン検出装置
JP3283931B2 (ja) 磁気質検出装置
JP4104923B2 (ja) 磁性体検出装置
JP2004206316A (ja) 磁気検出装置
JP3580905B2 (ja) 磁気センサ
JP2005030872A (ja) 磁性体量検出装置
CN108271414B (zh) 磁传感器装置
JP4267271B2 (ja) 磁性体検出装置
JP3028380B2 (ja) 磁気質検出方法およびこれを用いた磁気質検出装置
WO2005017547A1 (ja) 磁気センサ
JP2014010118A (ja) 磁気センサ装置
JP2006293574A (ja) 紙葉類の識別装置、識別方法及び磁気特性検出装置
JP3283930B2 (ja) 磁気質検知方法
JP2005129009A (ja) 紙葉類鑑別装置及び紙葉類鑑別方法
JP3799448B2 (ja) 印刷物、その真偽判別方法及び真偽判別装置
JP2002350405A (ja) 紙葉類の磁気式検出装置
WO2020149375A1 (ja) 磁気識別センサ
JPH1196430A (ja) 磁気検出装置
JP2005181173A (ja) 磁性体量検出装置
JP2002202353A (ja) 磁気ヘッド、および磁性体検出装置
JP3534129B2 (ja) 差動型磁気ヘッド
JP2000099788A (ja) 磁気ヘッド装置および識別装置
JP2022189283A (ja) 磁気識別センサ及び磁気識別装置
EP0595915B1 (en) Method and device for measuring the distance between two mutually opposing surfaces by means of the reluctance method

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050415

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050606

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050704

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080325

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080326

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4104923

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110404

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140404

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees