JP2022189283A - 磁気識別センサ及び磁気識別装置 - Google Patents
磁気識別センサ及び磁気識別装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2022189283A JP2022189283A JP2021097784A JP2021097784A JP2022189283A JP 2022189283 A JP2022189283 A JP 2022189283A JP 2021097784 A JP2021097784 A JP 2021097784A JP 2021097784 A JP2021097784 A JP 2021097784A JP 2022189283 A JP2022189283 A JP 2022189283A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic
- magnetic detection
- detection
- block
- detection block
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】磁気検出ユニット端部においても精度よく媒体の磁気検知を行うことができるようにする。【解決手段】磁性体を含む媒体を搬送面に沿って相対的に移動させ、磁性体の磁気パターンを検出する磁気識別センサは、搬送面に沿って、第一の磁石と、磁気検出素子と、第二の磁石とが順に配置された磁気検出ユニットを備え、磁気検出素子は、複数の磁気検出体がそれぞれ配置された第一の磁気検出ブロックと第二の磁気検出ブロックとを有し、搬送面の垂直方向に第一の磁気検出ブロック、第二の磁気検出ブロックの順で配置され、第一の磁気検出ブロックの中央部における検出感度と第二の磁気検出ブロックの中央部における検出感度とは同等であり、第一の磁気検出ブロックの端部における検出感度よりも第二の磁気検出ブロックにおける検出感度が小さく、磁気検出ユニットの出力は、第一及び第二の磁気検出ブロックの検出信号を差動処理することによって得られる。【選択図】図1
Description
本開示は、磁性体を含む媒体に対して磁気の検知を行う磁気識別センサ及び磁気識別装置に関する。
従来、紙幣に印刷された磁気インクを磁気識別センサ内の磁石の磁場により磁化し、磁気インクの印刷パターンに関わる磁場の変化を磁気識別センサ内の磁気検出素子により検知することで、紙幣の種類判別や真贋判定が行われている。磁気識別センサ内で磁石と磁気検出素子とを含むユニットを、磁気検出ユニットともいう。
媒体の磁気パターンを精度よく検出するためには、媒体を搬送するモーターやベアリングなどによって発生する外乱磁界ノイズの影響を除去して、媒体が発する磁界を効率よく検出する必要があり、ホイートストンブリッジ回路を組み込む事例が知られている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、磁気抵抗素子はバイアス磁界量による感度変動の影響が微小であるため、磁気検出ユニット端部の磁石が発生する磁界量の乱れについては考慮されていない。そのため、磁気検出ユニット端部における磁気検知の精度が低下してしまっていた。
このような問題に鑑み、本開示の目的は、磁気検出ユニット端部においても精度よく媒体の磁気検知を行うことができる磁気識別センサ及び磁気識別装置を提供することにある。
本開示の一態様による磁気識別センサは、磁性体を含む媒体を搬送面に沿って相対的に移動させ、前記磁性体の磁気パターンを検出する磁気識別センサであって、前記搬送面に沿って、第一の磁石と、磁気検出素子と、第二の磁石とが順に配置された磁気検出ユニットを備え、前記磁気検出素子は、複数の磁気検出体がそれぞれ配置された第一の磁気検出ブロックと第二の磁気検出ブロックとを有し、前記搬送面の垂直方向に前記第一の磁気検出ブロック、前記第二の磁気検出ブロックの順で配置され、前記第一の磁気検出ブロックの中央部における検出感度と前記第二の磁気検出ブロックの中央部における検出感度とは同等であり、前記第一の磁気検出ブロックの端部における検出感度よりも前記第二の磁気検出ブロックにおける検出感度が小さく、前記磁気検出ユニットの出力は、前記第一の磁気検出ブロックの検出信号と前記第二の磁気検出ブロックの検出信号とを差動処理することによって得られることを特徴とする。
また、本開示の一態様による磁気識別装置は、上記磁気識別センサと、前記磁気識別センサの前記第一の磁気検出ブロックと前記第二の磁気検出ブロックから検出信号を受け取り、前記検出信号を用いて差動処理を行う処理部とを備えたことを特徴とする。
本開示の一態様によれば、磁気検出ユニット端部においても精度よく媒体の磁気検知を行うことができる。
以下、添付の図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。本明細書及び添付の図面を通して同じ要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
(磁気識別センサの構成例)
図1は、一実施形態に係る磁気識別センサの構成例を示す斜視図である。
図1は、一実施形態に係る磁気識別センサの構成例を示す斜視図である。
磁気識別センサ10は、磁性体2を含む紙状の媒体1(以下、磁気媒体1ともいう)の磁気検知を行うために、磁気検出素子3と、2つの磁石4a、4bと、ヨーク6とを備える磁気検出ユニット20を備える。磁石4a、磁気検出素子3、磁石4bの順でY方向に並んで配置される。磁気媒体1の一例としては、磁性体を含む磁気インクを用いて印刷された紙幣が挙げられる。磁気識別センサ10は、磁気媒体1を磁気検出素子3に対して相対的に移動させ、相対移動に伴って磁石4a、4bが発生する磁界により磁性体2に生じる磁気パターンもしくは磁気パターンの変化(磁界量)を磁気検出素子3によって検出する。なお、以下の説明において、2つの磁石4a、4bを特に区別しなくてもよい場合は、単に磁石4ともいう。磁石4aと磁石4bをそれぞれ、第一の磁石及び第二の磁石ともいう。また、磁気検出素子3は、XZ平面に磁気検出体12を備える。磁気検出体12の詳細については後述する。
このように、磁気識別センサ10は、磁気媒体1の磁性体2が発生する磁界量を検出して、磁気媒体1の磁気パターンを検出する。また、磁性体2は、硬磁性体や軟磁性体を含む。軟磁性体は、磁界がないときは発生磁界量が極めて少ないため、磁石4によって磁界を印加しながら、磁気媒体1が発生する磁気を検出する。
磁気検出ユニット20はホルダ8に組み込まれ、摺動部30の摺動面31(搬送面ともいう)の下部に、矢印で示す媒体搬送方向7(すなわち、Y方向)に沿って並んで磁石4、磁気検出素子3が配置される。
摺動部30は、非磁性材料の平板からなる。摺動部30は、磁気媒体1の通過による摩耗を避けるために、銅系などの非磁性の金属板を適用してもよい。また、磁気媒体1と磁気検出素子3のスペーシングロスを低減するためには、摺動部30には、薄板が好適である。
磁石4は直方体の構造であり、ブロック材から切り出される。基本的には磁場分布を対称の構成とするために、同一形状の部品を用いることが好ましい。しかしながら、同一形状に限定されるものではなく、2つの磁石4a、4bは異なる形状で構成されてもよい。また、磁石4は、磁気検出素子3に対してY方向の片側だけに配置されてもよい。
磁石4の材料としては、摺動面31上で少なくとも数百ガウス以上の磁場を必要とするため、Nd-Fe-BやSm-Co系の希土類磁石が適している。
磁石4のNS方向を摺動面31に垂直な方向(すなわち、Z方向)へ向けるため、直方体磁石における摺動面31の下部に近接する面に対して垂直方向がNS方向となるように材料取りを行う。
2つの磁石4a、4bは、図示されるように、一対の磁石として所定の間隔dで平行に媒体搬送方向7へ並べる。一対の磁石極性は互いに逆極性になるように配置される。従って、摺動面31と接する一方の磁石4aの磁極はN極であり、他方の磁石4bの磁極はS極である。
ヨーク6は、2つの磁石4a、4bについて、摺動面31とは反対側の磁極(他方側の磁極)を橋渡しして接続するように配置される。一対の磁石4a、4bの片方の磁極同士の磁束をヨーク6内に閉じることで、コの字状(言い方を変えれば馬蹄形)の磁石体を構成し、センサとしての着磁部を形成する。ヨーク6の要件は、飽和磁束密度の高いことが優先され、透磁率自体はそれほど重要ではない。鉄系の鋼板は、飽和磁束密度が2T(テスラ)を超えるものは安価で容易に入手できるため、ヨーク6の材料として好ましい。また、ヨーク6には、磁気検出素子3を電気的に接続する接続部材(端子9)を通すための貫通穴が開けられていてもよいし、途中が途切れていたりしてもよいが、一続きになっていることが磁束の閉じ込め効果は高いため好ましい。
ヨーク6を使用することにより、摺動面1側の磁場を2倍近くに大きくでき、媒体を磁化するための磁力を大きくすることができる。磁気媒体1が軟磁性体を含む場合は、印加される磁場が強化されるほどセンサ出力が増大される。ヨーク6の形状は、平面性を有する板状(平板状)のものでよく、少なくとも2つの磁石4a、4bが同一平面上に着座できることが好ましい。磁石4とヨーク6との間に隙間が生じないようにすることによって、磁石4とヨーク6との間に磁極が発生することを防ぎ、一体の着磁部としての磁石体を簡易に形成することができる。また、ヨーク6を基準として磁石4a、4bおよび磁気検出素子3を取り付けることができる。すなわち、ヨーク6の平面性を確保することで、所望の磁界を安定して形成することができ、検出精度を向上させることができる。
また、ヨーク6は、センサ部の背骨的な役割を果たし、センサ部の剛性を決定することになるため、組み込み時の応力変形や媒体搬送時のたわみ強度を考えると、0.5mm以上の板厚を確保しておくことが好ましい。また、磁石4とは吸着の力関係にあるため、磁石体の構成としては極めて安定しており、磁石4の相対変位に起因する疑似出力が生じてしまうことも少ない。
磁気検出素子3は、磁石4とヨーク6とで構成される磁石体におけるコの字状の内側の空間で摺動面31の下部、すなわち、一対の磁石4とヨーク6とによって三方が囲まれた空間内に設置され、磁気媒体1の磁性体2が真上を通過する際の磁化を検知する。このとき、磁気検出素子3の磁界検知方向は摺動面31に垂直になるように配置される。高感度の磁気検出素子3は、大きなバイアス磁界が印加されると、磁気飽和して動作しなくなるため、基本的には2つの磁石4a、4bのほぼ中点であるゼロ磁場の位置に磁気検出体12が位置するように磁気検出素子3を設置することが好ましい。バイアス磁界が必要な磁気検出素子でも、その位置から少しずらすことで、必要なバイアス磁界(数から数十Oe(エルステッド)程度)を確保することが可能である。なお、磁気検出素子3は、空間を形成する磁石4やヨーク6から離隔している必要はなく、磁石4やヨーク6と当接して配置されていてもよい。また、磁石4のみで生じる磁束によって磁性体2の検出が可能な場合には、ヨーク6は必ずしも配置しなくても良い。
図2は、本実施形態に係る磁気識別センサの構成例を示す断面図である。2つの磁石4a、4bは、XZ平面に対して対称的な位置に配置され、Z方向に磁界検出感度を持つように磁気検出素子3が配置される。磁気検出素子3の検知面(感磁面)は、XZ平面である。
摺動面31の上側では2つの磁石4a、4b間で発生する磁束によりY方向にはかなり強い磁場が掛かるが、磁石4a、4bの中点におけるZ方向ではその磁場とは直交することになり、ゼロ磁場の環境が得られる。
図3は、一実施形態に係る磁気検出ユニットの構成例を示す。図3(a)は、2つの磁石4a、4bと磁気検出素子3とヨーク6とを含む磁気検出ユニット20がX方向に複数接続された構成を示し、図3(b)は、1つの磁気検出ユニット20において、1組の磁石4a、4bおよびヨーク6に対して複数の磁気検出素子3がX方向に接続された構成を示す。
磁石4と磁気検出素子3は扱いやすい長さがあり、紙幣のような幅広い検知用途では、図3(a)に示すように、複数の磁気検出ユニット20を接続して使用することが好ましい。つまり、図1で示した磁気検出ユニット20を複数並べて連結した構成となる。あるいは、図3(b)に示すように、1つの磁気検出ユニット20において、1組の磁石4とヨーク6が、複数の磁気検出素子3をカバーする単一のもので構成されてもよい。
(磁気検出素子について)
図4は、一実施形態に係る磁気検出素子の構成例を示す。図4では、XZ平面に向かって見た磁気検出素子3を示している。
図4は、一実施形態に係る磁気検出素子の構成例を示す。図4では、XZ平面に向かって見た磁気検出素子3を示している。
磁気検出素子3は、非磁性基板11上に形成された磁性薄膜であって、線分状の磁気検出体12を有する。磁気検出体12は、Z方向に平行に複数配置され、X方向に延びる銅膜13でつづら折りに接続され、単一の電流路を形成している。磁性薄膜は、パーマロイ、Fe-Co-Si-B系アモルファス、Fe-Ta-C系微結晶薄膜等を用いて形成される。また、磁気検出素子3は、フロント側ブロック17の正電極14、リア側ブロック18の正電極15、及び共通のGND電極16を有し、それぞれ銅膜13と同じ銅膜で形成されている。
非磁性基板11は、直方体のセラミックやガラスなどの材料であってもよい。磁気検出体12は、FeやCoを含有する軟磁性体であってもよく、スパッタリング法や蒸着法などで非磁性基板11上に成膜して、イオンミリング法やエッチングなどで任意の形状に加工される。銅膜13なども同様の方法を用いて非磁性基板11上にパターニングされる。
磁気検出素子3は、磁性薄膜に高周波電流を通電する磁気インピーダンス素子として駆動すると好適である。磁気インピーダンス素子は、外部磁界の変化量を電圧に変換して取り出すことができる。
磁気インピーダンス素子は、ゼロ磁界のときは検出感度が極微小であるため、バイアス磁界を印加して駆動する。バイアス磁界の印加は、一対の磁石4と磁気検出素子3との距離を調整することで、容易に設定することが可能である。
あるいは、磁気検出素子3は、磁気検出体12の周囲にコイルを更に備えて直交フラックスゲートセンサとして駆動してもよい。例えば、図5に示すように薄膜コイル19を積層させてもよいし、外付けでコイルを巻き回してもよい。薄膜コイル19は、電極19a、19bに接続される。直交フラックスゲートセンサは、磁気検出体12に高周波電流を通電して、磁気検出素子3を通過する磁束変化量をコイルで検出するセンサであり、磁気バイアスを掛けずに駆動することもできる。
磁気検出素子3の磁界検出方向をZ方向に向けると、磁石4で発生するY方向の磁界と直交するため、磁気検出素子3の飽和を抑制できて好適である。
磁気検出素子3への信号入力および信号出力は、フレキシブル基板や接続ピンなどを用いて、ヨーク6に設けられる貫通穴を通過して、外部に取り出してもよい。
非磁性基板11上には、Z方向で摺動部30に近い方から順にフロント側ブロック17及びリア側ブロック18が配置される。フロント側ブロック17とリア側ブロック18のZ方向の距離は、後述するように、磁気媒体1が発生させる磁界の減衰量と、外乱磁界ノイズの除去率との関係から決めるとよい。フロント側ブロック17及びリア側ブロック18をそれぞれ、第一の磁気検出ブロック及び第二の磁気検出ブロックともいう。
フロント側ブロック17とリア側ブロック18には、それぞれX方向に複数の磁気検出体12が所定の間隔で配置される。所定の間隔は、検出対象の磁気媒体1のサイズなどから検出漏れが発生しないような間隔を決定するとよい。
フロント側ブロック17とリア側ブロック18の磁気検出体12は、それぞれのブロックにおいて電気的に接続される。上述した例においては、非磁性材料である銅膜13で接続されている。フロント側ブロック17とリア側ブロック18は、独立した磁気検出素子として機能する。
フロント側ブロック17とリア側ブロック18の磁気検出体12は、図4に示すようにX方向における位置が一致するように配置される。X方向を一致させることで、外乱磁界ノイズが対称に印加されることになり、差動処理による外乱磁界ノイズの除去効果を高めることができる。
リア側ブロック18のX方向の端部18a、18bは、フロント側ブロック17の端部17a、17bと比較して、磁気検出体12が間引かれて、磁気検出体12の数が少なくなっている。図4は、一例として、X方向の両端部でフロント側ブロック17に3個の磁気検出体12がある区間に、リア側ブロック18は1個の磁気検出体12が配置されているが、この限りではない。
また、図4では、フロント側ブロック17及びリア側ブロック18に配置される磁気検出体12の本数はそれぞれ、フロント側ブロック17が38本、リア側ブロック18は34本を記しているが、この限りではなく、それより多くてもよいし、少なくてもよい。
磁気検出ユニット20の検出信号は、以下の式(1)に示すように、フロント側ブロック17の検出信号からリア側ブロック18の検出信号の減算処理(差動処理)により得られる。なお、差動処理は、後述する制御ユニットによって実施される。
磁気検出ユニットの検出信号=フロント側ブロック検出信号-リア側ブロック検出信号・・・式(1)
磁気検出ユニットの検出信号=フロント側ブロック検出信号-リア側ブロック検出信号・・・式(1)
リア側ブロック18の磁気検出体12の数は、フロント側ブロック17の磁気検出体12の数より少ないが、フロント側ブロック17の検出感度とリア側ブロック18の検出感度が一様磁界に対して同等になるように補正しておくことで、一様な外乱磁界ノイズの除去率を高めることができる。
フロント側ブロック17とリア側ブロック18の検出感度の補正は、オペアンプなどを用いるアナログ回路で補正してもよいし、検出信号をAD変換器でデジタル信号に変換した後にデジタル的に補正をしてもよい。
磁気媒体1が通過する摺動面31に近いフロント側ブロック17に印加される磁束密度は、リア側ブロック18に印加される磁束密度より大きくなる。そのため、差動処理では、磁気媒体1が局所的に発生させる検出磁界は完全に除去されず、一様に印加される外乱磁界ノイズは除去することができる。よって、差動処理により外乱磁界ノイズの除去効果を向上させることができる。
リア側ブロック18は磁気媒体1が発生する磁界を検知できない位置にフロント側ブロック17から離して配置すると、差動処理をした信号は、磁気媒体1が発生する磁界をロスなく検出できる。しかし、フロント側ブロック17とリア側ブロック18との距離が離れることで外乱磁界に対して位相が回り、差動処理での外乱磁界ノイズの除去効果が低下してしまうことがあるため、フロント側ブロック17とリア側ブロック18が検出する磁気媒体1が発生する磁界の磁界量と、外来磁界ノイズのバランスを鑑みて距離を調整することが重要である。本実施形態においては、フロント側ブロック17とリア側ブロック18のZ方向長さLに対し、フロント側ブロック17と非磁性基板11の周縁までの長さを0.4L~0.6L、フロント側ブロック17とリア側ブロック18との間の距離を1.5L~2L程度とした場合に、好適なS/N比が得られた。
(リア側ブロックの磁気検出体を間引くことの効果について)
次いで、磁気媒体1が発生させる局所的な磁界に対してリア側ブロック18の磁気検出体12を間引くことの効果を説明する。
次いで、磁気媒体1が発生させる局所的な磁界に対してリア側ブロック18の磁気検出体12を間引くことの効果を説明する。
一対の磁石4のX方向の端部は、中央部と比較して発生磁界量が非連続になり、さらに摺動面31上の磁気媒体1に印加される磁界量は低下する。
また、複数の磁気検出ユニット20を隣接して配置する場合、磁気検出ユニット20の境界部では、隣接する磁石4の磁界の加算値がバイアス磁界として磁気検出体12に印加されることになる。そのため、隣接する磁石4の磁界が加算されたときも磁気検出体12に印加されるバイアス磁界は非連続になり、磁界の乱れが発生する。
磁気検出素子3の動作点の設定では、フロント側ブロック17とリア側ブロック18の検出感度が同等となる点が動作点になるように、磁石4の位置を調整してバイアス磁界量を設定する。しかし、磁石4のX方向の端部は中央部と比較して発生磁界量が乱れるため、磁気検出素子3の動作点の設定が難しくなる。
例えば、フロント側ブロック17とリア側ブロック18の動作点がそれぞれ、図6に示す磁気検出素子3の出力特性における動作点Bと動作点Aである場合、リア側ブロック18の検出感度(動作点A)は、フロント側ブロック17の検出感度(動作点B)より高くなる。このときの差動処理結果は、リア側ブロック18の検出感度の方が高いため、磁気検出素子3に印加される実際の磁界量より小さな値になり、不感帯が発生することになる。
不感帯は、磁気媒体1の通過時のフロント側ブロック17とリア側ブロック18の検出信号量が同等レベルになるときに発生する。この場合、式(1)に基づく差動処理の結果、検出信号が0に近づく。本来、検出感度は、磁気媒体1との距離が近いフロント側ブロック17の方が、リア側ブロック18より十分に大きい(フロント側ブロックの出力>>リア側ブロックの出力)。しかしながら、磁気検出ユニット20の端部では、磁石によるバイアス磁界が乱れ(すなわち、バイアス磁界が低下し)、上述したように、リア側ブロック18の検出出力がフロント側ブロック17の検出出力と同等となることがある(フロント側ブロックの出力≒リア側ブロックの出力)。このときに、不感帯が発生する。
具体的には、図6に示すような磁気検出素子の出力特性に対してバイアス磁界が低下すると、磁気検出ユニット20の中央部は動作点Bで動作するように調整されていたとしても、磁気検出ユニット20の端部は動作点Aで動作するようになってしまう。その場合、リア側ブロック18の検出信号が大きく出力されてしまい、フロント側ブロック17とリア側ブロック18の検出信号量が同等レベルになってしまう。すなわち、不感帯が発生してしまう。
ここで図7を参照して、隣接する磁気検出ユニット20の境界付近での検出感度について説明する。図7(a)及び図7(b)はそれぞれ、隣接する磁気検出ユニット20aと20bとの境界付近における検出感度を抜き出して表している。なお、図では、磁気検出ユニット20a、20bのそれぞれの磁気検出素子3を示している。図7(a)は、フロント側ブロック17に対してリア側ブロック18の磁気検出体12の数を減らした場合の検出感度を示し、図7(b)は、フロント側ブロック17とリア側ブロック18の磁気検出体12の数が同数である場合の検出感度を示す。横軸は、磁性体2が通過した磁気検出ユニット20のX方向の位置を示している。破線は、隣接する磁気検出ユニット20の境界を示している。縦軸は、磁気検出ユニット20の中央部の出力を100%としたときの検出感度を示している。
図7(a)に示すように、リア側ブロック18の端部の磁気検出体12の数をフロント側ブロック17よりも少なくした場合は、隣接する磁気検出ユニット20の境界部で感度の低下はみられない。一方、図7(b)に示すように、リア側ブロック18とフロント側ブロック17の磁気検出体12の数が同数の場合は、隣接する磁気検出ユニット20の境界部で感度の低下(すなわち、不感帯)が発生している。
本実施形態では、不感帯の発生を抑えるために、上述した通り、リア側ブロック18のX方向端部の磁気検出体12の数を間引いている。このとき、磁気検出体12を間引きした区間では磁性薄膜の体積が減るため、リア側ブロック18の検出感度が低下することになる。検出感度は、磁気検出体12の体積に比例するので、磁気検出体12の体積が減ったリア側ブロック18の端部の検出感度は低下する。そのため、フロント側ブロック17の端部における検出感度はリア側ブロック18の端部における検出感度に対して十分大きくなり、フロント側ブロック17とリア側ブロック18の差動処理後の信号は常に一定レベル以上になるため、図7(a)に示すように不感帯の発生を抑制することができる。
図4では、フロント側ブロック17の磁気検出体12の数は38本であり、リア側ブロック18の磁気検出体12の数は34本である。本数の差は約10%であり、検出感度の差も10%程になる。また、図4では、磁気検出体12の本数を減らすことにより磁性薄膜の体積を減少させているが、磁気検出体12のY方向の長さを短くすることにより、磁性薄膜の体積を減少させてもよい。
また、一様磁界の外乱磁界ノイズに対しては、フロント側ブロック17とリア側ブロック18全体としての磁界検出になる。さらにフロント側ブロック17とリア側ブロック18の感度補正で、一様磁界に対する検出感度を合わせこむことで、差動処理によって外乱磁界ノイズの除去効果を高めることができる。すなわち、本実施形態に係る磁気検出素子によると、外乱磁界に対する耐性を低下させずに、不感帯の発生を抑制することができる。
磁気検出ユニット20の中央部については、磁石が発生するバイアス磁界量の不連続性は端部と比較して抑制されるため、不感帯は発生しにくい。
まとめると、本実施形態における磁気検出ユニット20においては、フロント側ブロック17のX方向における端部に対し、リア側ブロック18のX方向における端部の検出感度を低下させることによって、不感帯の発生を抑制することができる。また、フロント側ブロック17全体の検出感度とリア側ブロック18全体の検出感度を感度補正により合わせ込むことで、一様磁界の除去効果も発揮することができる。なお、フロント側ブロック17全体の検出感度とリア側ブロック18全体の検出感度を合わせる感度補正としては、上述した通り、オペアンプなどを用いるアナログ回路で補正してもよいし、検出信号をAD変換器でデジタル信号に変換した後にデジタル的に補正をするなど、種々の方法が適用可能である。
従来、磁気検出ユニット20における磁石端部の磁界乱れの制御は非常に難しく、バイアス磁界の制御だけでは、フロント側ブロック17の検出信号がリア側ブロック18の検出信号より十分に大きい状態を作ることは困難であった。しかしながら、本実施形態に係る磁気検出素子によると、磁気検出ユニット20の端部においても精度よく媒体の磁気検知を行うことができる。
(紙葉類識別装置に磁気識別センサを搭載した例)
図8は、上述した磁気識別センサを紙葉類取引装置へ搭載した例の概略図を示す。一実施形態に係る磁気識別センサは、紙葉類取引装置への組込が想定され、紙葉類取引装置の具体的な例としては銀行等金融機関やコンビニエンスストア等に設置される現金自動取引装置(ATM)がある。ここでは、一実施形態に係る磁気識別センサ10を搭載した現金自動取引装置100を例に挙げて説明する。
図8は、上述した磁気識別センサを紙葉類取引装置へ搭載した例の概略図を示す。一実施形態に係る磁気識別センサは、紙葉類取引装置への組込が想定され、紙葉類取引装置の具体的な例としては銀行等金融機関やコンビニエンスストア等に設置される現金自動取引装置(ATM)がある。ここでは、一実施形態に係る磁気識別センサ10を搭載した現金自動取引装置100を例に挙げて説明する。
現金自動取引装置100には、顧客の操作を受け付けるタッチパネル部104が入力手段として装置表面に設置され、その近くの紙幣投入口103より紙幣が投入される。
紙幣投入口103から投入された紙葉の一例としての紙幣は、搬送路105上を搬送ローラー106や磁気識別センサ10に紙幣を押し付けて搬送するプラテンローラー40により搬送されていき、先ず紙葉類識別装置101で金種判別や真偽判別を行う。紙葉類識別装置101は、光学センサ41及び磁気識別センサ10等の複数のセンサを搭載したメカユニットである。メカやセンサの制御及び信号の受け取りは制御ユニット102が行い、金種や真偽判別を経て搬送路105下流で振り分けをし、各金種がそれぞれの金種別収納庫108A~108Dに入れられる。偽造券については、スイッチバックでもとに戻してもよいし、リジェクト収納箱107に入れてもよい。
図9は、現金自動取引装置100の制御ユニット102の構成例を示す。CPU201は、ROM202にある識別装置制御、金種判定制御、真偽判定制御、閾値設定等のプログラムを利用して、紙葉類識別装置101を制御する。各種センサのデータはRAM203に格納され、それぞれの閾値に照らし合わせて判定が行われる。CPU201が真偽判定のプログラムを実行することにより、磁気識別センサ10から出力された出力波形は、金種毎に予め記録された磁気波形と照合され、真偽判定が行われる。CPU201は、通信部204を介してホストコンピュータ300とデータの送受信が可能である。
換言すると、制御ユニット102は、現金自動取引装置100全体の制御を実行する制御部である。また、制御ユニット102には、ローラー106などの構成部品の動作を制御する制御部、磁気検出ユニット20を駆動する駆動電流を制御する駆動部が含まれる。さらに、制御ユニット102には、不図示の構成として磁気検出ユニット102からの検出出力信号を受信しそれを増幅する信号増幅部や、上述した磁気識別センサ10のフロント側ブロック17とリア側ブロック18から検出信号を受け取り、当該検出信号を用いて差動処理を行う差動処理部が含まれる。当該差動処理により、外乱磁界ノイズの除去効果を高めることができる。磁気識別センサ10と制御ユニット102とを組み合わせた装置を、磁気識別装置ともいう。
このように、現金自動取引装置100の紙葉類識別装置101に本実施形態に係る磁気識別センサ10を組み込み、上述した実施形態における磁気識別センサ10による磁界検出処理を、識別装置制御、金種判定制御、真偽判定制御、閾値設定等のプログラムに利用することで、金種判定や真偽判定の精度を向上させることができる。
なお、上記実施形態においては、ローラー等の搬送手段によって紙葉類を搬送カバー上の搬送路に沿って搬送する形態を説明したが、磁気識別センサを移動させることで、紙葉類等の磁気媒体による磁界の変化を検知するようにしてもよい。すなわち、磁気識別センサに対して紙葉類を相対的に移動させることができればよく、紙葉類も移動させつつ、磁気識別センサも移動させるようにしてもよい。
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、上記説明は本開示を限定するものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 磁気媒体
2 磁性体
3 磁気検出素子
4a、4b 磁石
6 ヨーク
7 媒体搬送方向
8 ホルダ
9 端子
10 磁気識別センサ
20 磁気検出ユニット
30 摺動部
31 摺動面
2 磁性体
3 磁気検出素子
4a、4b 磁石
6 ヨーク
7 媒体搬送方向
8 ホルダ
9 端子
10 磁気識別センサ
20 磁気検出ユニット
30 摺動部
31 摺動面
Claims (9)
- 磁性体を含む媒体を搬送面に沿って相対的に移動させ、前記磁性体の磁気パターンを検出する磁気識別センサであって、
前記搬送面に沿って、第一の磁石と、磁気検出素子と、第二の磁石とが順に配置された磁気検出ユニットを備え、
前記磁気検出素子は、複数の磁気検出体がそれぞれ配置された第一の磁気検出ブロックと第二の磁気検出ブロックとを有し、前記搬送面の垂直方向に前記第一の磁気検出ブロック、前記第二の磁気検出ブロックの順で配置され、
前記第一の磁気検出ブロックの中央部における検出感度と前記第二の磁気検出ブロックの中央部における検出感度とは同等であり、前記第一の磁気検出ブロックの端部における検出感度よりも前記第二の磁気検出ブロックにおける検出感度が小さく、
前記磁気検出ユニットの出力は、前記第一の磁気検出ブロックの検出信号と前記第二の磁気検出ブロックの検出信号とを差動処理することによって得られることを特徴とする磁気識別センサ。 - 前記第二の磁気検出ブロックの端部に配置された磁気検出体の体積は、前記第一の磁気検出ブロックの端部に配置された磁気検出体の体積より少ないことを特徴とする請求項1に記載の磁気識別センサ。
- 前記複数の磁気検出体は、前記第一の磁気検出ブロック及び前記第二の磁気検出ブロックに線分状に形成され、
前記第二の磁気検出ブロックの前記端部に配置された前記磁気検出体の本数は、前記第一の磁気検出ブロックの前記端部に配置された前記磁気検出体の数より少ないことを特徴とする請求項2に記載の磁気識別センサ。 - 前記複数の磁気検出体は、前記第一の磁気検出ブロック及び前記第二の磁気検出ブロックに線分状に形成され、
前記第二の磁気検出ブロックの前記端部に配置された前記磁気検出体の長さは、前記第一の磁気検出ブロックの前記端部に配置された前記磁気検出体の長さより短いことを特徴とする請求項2に記載の磁気識別センサ。 - 前記磁気検出ユニットが、前記搬送面に沿って複数並べられたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気識別センサ。
- 前記第一の磁石と前記第二の磁石は、互いに逆極性になるように配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気識別センサ。
- 前記磁気検出ユニットは、前記第一の磁石と前記第二の磁石の、前記搬送面とは反対側の磁極を橋渡しして接続するヨークをさらに含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の磁気識別センサ。
- 前記第一の磁気検出ブロックに配置された前記複数の磁気検出体は電気的に接続されて、一つの磁気検出素子として機能し、
前記第二の磁気検出ブロックに配置された前記複数の磁気検出体は電気的に接続されて、一つの磁気検出素子として機能することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に磁気識別センサ。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載された磁気識別センサと、
前記磁気識別センサの前記第一の磁気検出ブロックと前記第二の磁気検出ブロックから検出信号を受け取り、前記検出信号を用いて差動処理を行う処理部と
を備えたことを特徴とする磁気識別装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021097784A JP2022189283A (ja) | 2021-06-11 | 2021-06-11 | 磁気識別センサ及び磁気識別装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021097784A JP2022189283A (ja) | 2021-06-11 | 2021-06-11 | 磁気識別センサ及び磁気識別装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022189283A true JP2022189283A (ja) | 2022-12-22 |
Family
ID=84533070
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021097784A Pending JP2022189283A (ja) | 2021-06-11 | 2021-06-11 | 磁気識別センサ及び磁気識別装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022189283A (ja) |
-
2021
- 2021-06-11 JP JP2021097784A patent/JP2022189283A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101413952B1 (ko) | 자기 패턴 검출 장치 | |
JP5719515B2 (ja) | 磁気センサ装置 | |
RU2610341C1 (ru) | Устройство детектирования магнитного свойства | |
JP6359858B2 (ja) | 磁界検出装置および磁気識別装置 | |
US9470766B2 (en) | Magnetic sensor | |
KR20140051385A (ko) | 측정 장치의 주위 환경들의 자기 특성들을 측정하기 위한 측정 장치 | |
US20090152356A1 (en) | Non-contact magnetic pattern recognition sensor | |
JP4867391B2 (ja) | 紙葉類識別センサ | |
JP2013206439A (ja) | 紙葉類磁性評価装置及び紙葉類磁性評価方法 | |
JP3283931B2 (ja) | 磁気質検出装置 | |
JP2006293575A (ja) | 紙葉類の識別装置及び識別方法 | |
JP2004206316A (ja) | 磁気検出装置 | |
WO2017175308A1 (ja) | 磁気ラインセンサおよびこれを用いた鑑別装置 | |
CN113302693B (zh) | 磁识别传感器 | |
EP3309570B1 (en) | Magnetic sensor device | |
JP2022189283A (ja) | 磁気識別センサ及び磁気識別装置 | |
JP2014010118A (ja) | 磁気センサ装置 | |
JP2005062089A (ja) | 磁気センサ | |
JP2016206070A (ja) | 磁気センサ装置 | |
JP2005129009A (ja) | 紙葉類鑑別装置及び紙葉類鑑別方法 | |
JP2006293574A (ja) | 紙葉類の識別装置、識別方法及び磁気特性検出装置 | |
JP4104923B2 (ja) | 磁性体検出装置 | |
JP4818792B2 (ja) | 磁気検出素子及びそれを用いた磁気識別センサ | |
JP5534842B2 (ja) | 磁気パターン検出装置 | |
JP2019179435A (ja) | 磁気識別センサおよび磁気識別装置 |