JP4103798B2 - ニトリル基含有共重合ゴム、老化防止剤及び有機過酸化物を含有してなるゴム組成物、ならびにその加硫物 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、耐油劣化性にすぐれた加硫物と、それを製造するためのゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムの水素添加物に代表される不飽和結合が少ないニトリル基含有共重合ゴムは、種々のゴムの中でも耐熱性、耐油性、耐オゾン性などに優れ、様々な用途に使用されている。しかし、最近になって、技術の進歩にともない、そのような不飽和結合が少ないニトリル基含有共重合ゴムには、一層の高性能化が要求されている。例えば、自動車分野では様々な部品に小型化、高性能化が要求されている。その結果、自動車エンジンはその体積に対し高出力化し、より高温となり、エンジンの高温部分に近接した状態でゴム製の部材が使用されるようになった。また、エンジンの小型化にともなう設計変更などにより、120℃以上の高温で自動車オイルなどに接触または浸漬する状態で、ゴム製の部材が使用されることもあり、従来に比べて過酷な状況でも使用できるゴムが求められるようになった。
【0003】
種々のゴムの経時劣化を低減することを目的として老化防止剤を添加することは周知の技術である。そのような老化防止剤のなかでも、水や油によって抽出されにくい老化防止剤として、付加反応可能な基を有する老化防止剤を添加することが提案されている(日ゴム協誌51(6),454(1978)、同51(7),499(1978))。該文献には、未水添で不飽和結合が多いアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムに、付加反応可能な基を有する老化防止剤を添加する例が開示されているが、高温でのオイル浸漬後の引裂き強さ及び耐摩耗性などが不十分であり、益々高度化するゴムの要求性能を満足できるものではなかった。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、オイル浸漬後の引裂き性と耐磨耗性とに優れた、ニトリル基含有共重合ゴムの組成物及びその架橋物を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、特定の範囲の不飽和結合を有し、特定の範囲のニトリル基を含有する共重合ゴムと、付加反応可能な基を有する老化防止剤を組み合わせて使用することが好適であることを見出した。さらに、これらに組み合わせる加硫剤としては、硫黄や硫黄を含む化合物は不適当であり、有機過酸化物を特定の範囲の添加量で使用することにより、高温でのオイル浸漬後の引裂き強さ及び耐摩耗性が非常に優れたゴムの架橋物が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成したものである。
【0006】
かくして本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含む共重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素添加してなるヨウ素価が100以下で、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が10〜60重量%のニトリル基含有共重合ゴム(1)100重量部、付加反応可能な基として、アクリロイル基、メタクリロイル基またはビニル基を有する芳香族第二級アミン系老化防止剤またはフェノール系老化防止剤(2)0.1〜6重量部及び有機過酸化物(3)0.1〜10重量部を含有するゴム組成物及び該ゴム組成物を加硫してなる加硫物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に用いるニトリル基含有共重合ゴム(1)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体を他の単量体と共重合して得られるゴムであり、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量が10〜60重量%、好ましくは12〜55重量%、より好ましくは15〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体含有量が少なすぎると得られる加硫物の耐油性が劣り、逆に多すぎるとその耐寒性が劣る。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリルなどが挙げられ、これらの中ではアクリロニトリルが好ましい。
【0008】
ニトリル基含有共重合ゴム(1)において、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合させる単量体としては、共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体及びα−オレフィンなどが例示され、これらの中では共役ジエン単量体が好ましい。共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン及び1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、これらの中では1,3−ブタジエンが好ましい。非共役ジエン単量体は、好ましくは炭素数が5〜12のものであり、そのような例としては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン及びジシクロペンタジエンなどが挙げられる。α−オレフィンは、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、そのような例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンなどが挙げられる。ニトリル基含有共重合ゴム(1)において、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合させる単量体としては、上記の単量体と、芳香族ビニル系単量体、フッ素含有ビニル系単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸またはその無水物、共重合性の老化防止剤などとの併用であってもよい。
【0009】
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン及びビニルピリジンなどが挙げられる。フッ素含有ビニル系単量体としては、例えば、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル及びジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸としては、例えば、イタコン酸、フマル酸及びマレイン酸などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、例えば、無水イタコン酸及び無水マレイン酸などが挙げられる。共重合性の老化防止剤としては、例えば、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン及びN−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
【0010】
ニトリル基含有共重合ゴム(1)のヨウ素価は、100以下、好ましくは80以下、より好ましくは60以下である。ヨウ素価が大きすぎると耐熱性に劣る。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン系単量体を共重合してニトリル基含有共重合ゴムとする場合には、そのヨウ素価が大きくなることが多い。ヨウ素価が大きすぎる場合は、ニトリル基含有共重合ゴムの炭素−炭素不飽和結合を公知の方法で水素添加することによりヨウ素価を低くして上記の範囲となるようにして用いることが好ましい。水素添加の方法は、特に限定されず、公知の方法でよい。
【0011】
ニトリル基含有共重合ゴム(1)のムーニー粘度ML1+4,(100℃)は、好ましくは10〜300、より好ましくは20〜250、特に好ましくは30〜200である。ムーニー粘度が小さすぎると得られる加硫物の機械的物性が劣る場合があり、逆に大きすぎると加工性が劣る場合がある。
【0012】
本発明で用いる付加反応可能な基を有する老化防止剤(2)は、好ましくは付加反応可能な基を有する、芳香族第二級アミン系老化防止剤またはフェノール系老化防止剤である。これらの中でも特に好ましいものは、芳香族第二級アミン系老化防止剤である。好ましい老化防止剤を用いると、得られる加硫物は、耐オゾン性に特に優れる。
【0013】
付加反応可能な基を有する芳香族第二級アミン系老化防止剤は、ジフェニルアミンの2つのベンゼン環の水素原子の一つ又は幾つかが他の原子団に置換された構造を有する老化防止剤である。そのような老化防止剤としては、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、4−アニリノ−N−(2−(2−メチル)プロピニリデン)アニリン、4−アニリノ−N−(4−ビニルベンジル)アニリン、4−アニリノフェニル−4−ビニルベンジルエーテル及びN−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミドなどが例示される。
【0014】
付加反応可能な基を有するフェノール系老化防止剤は、フェノールのベンゼン環の水素原子の一つ又は幾つかが他の原子団に置換された構造を有する老化防止剤である。そのような老化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メタクリロイルアミノメチル−フェノール、2,6−ジエチル−4−メタクリロイルアミノメチル−フェノール、2,6−ジエチル−4−アクリロイルアミノメチル−フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメタクリレート及び2(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチルメタクリレートなどが例示される。
以上の付加反応可能な基を有する老化防止剤のうち、具体的な化学名を示したものの多くは、上市されており、一般に入手可能である。
【0015】
ニトリル基含有共重合ゴム(1)100重量部に対する付加反応可能な基を有する老化防止剤(2)の添加量は、0.1〜6重量部、好ましくは0.5〜4重量部、特に好ましくは1〜3重量部である。添加量が少なすぎると、得られる加硫物のオイル浸漬後の引裂き性と耐磨耗性が劣る場合がある。逆に添加量が多すぎるとその機械的特性が劣る場合がある。
【0016】
本発明で用いる有機過酸化物(3)は、加硫剤として機能する有機過酸化物であれば限定されないが、その例としては、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類が挙げられる。ジアルキルパーオキサイドの具体例としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及び1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。ジアシルパーオキサイドの具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド及びイソブチリルパーオキサイドなどが挙げられる。パーオキシエステルの具体例としては、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン及びt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどが挙げられる。これらの中では、ジアルキルパーオキサイド類が好ましい。
【0017】
有機過酸化物(3)の添加量は、ニトリル基含有共重合ゴム(1)100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜8重量部、特に好ましくは0.5〜6重量部である。有機過酸化物(3)の添加量が少なすぎると得られる加硫物中の加硫密度が低下し、加硫物の機械的特性が劣る場合があり、多すぎるとそのゴム弾性が不十分となる場合がある。有機過酸化物(3)は、通常、加硫助剤と併用される。加硫助剤の例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド及び1,2−ポリブタジエンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、複数種を併用してもよい。また、これらは、クレー、炭酸カルシウム又はシリカなどに分散させて、ゴム組成物の加工性を改良したものであってもよい。加硫助剤の添加量は特に限定されず、得ようとする加硫物の用途、要求性能、有機過酸化物(3)の種類、加硫助剤の種類などに応じて決めればよい。
【0018】
本発明のゴム組成物は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含む共重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素添加してなるヨウ素価が100以下で、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が10〜60重量%のニトリル基含有共重合ゴム(1)100重量部、付加反応可能な基として、アクリロイル基、メタクリロイル基またはビニル基を有する芳香族第二級アミン系老化防止剤またはフェノール系老化防止剤(2)0.1〜6重量部及び有機過酸化物(3)0.1〜10重量部を必須成分として含有してなる。本発明のゴム組成物には、一般的なゴムに使用される配合剤を必要に応じて更に添加してもよい。そのような配合剤の例としては、カーボンブラック及びシリカなどの補強剤;炭酸カルシウム、クレー、タルク及びケイ酸カルシウムなどの充填剤;α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩;可塑剤;顔料;加硫促進剤及び加硫遅延剤;付加反応可能な基を有しない老化防止剤などが挙げられる。本発明のゴム組成物は、ニトリル基含有共重合ゴム(1)以外のゴム、または樹脂を含有していてもよい。
【0019】
本発明のゴム組成物の調製方法は特に限定されない。その調製方法は、一般的なゴム組成物の調製方法でよく、そのような調製方法の例としては、密閉式混合機やオープンロールなどを用いて混練する方法が挙げられる。この調製方法において、加硫剤、加硫助剤および加硫促進剤などを添加した以降は、混練中に加硫が開始しないように、加硫開始温度以下になるように温度調整をすることが一般的である。通常は、加硫剤、加硫助剤および加硫促進剤を含有しない混合物を調製した後、得られた混合物に、これらの成分をそれらに応じた加硫開始温度より低い温度で添加し、混練する。
【0020】
本発明の加硫物は、上記のゴム組成物を加硫したものである。ゴム組成物を加硫する方法は、特に限定されない。ゴム組成物を、加硫開始温度以上の温度に加熱することにより加硫する。加硫時の温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上、特に好ましくは140℃以上であり、好ましくは200℃以下である。温度が低すぎると加硫時間が長時間必要となったり、得られる加硫物中の加硫密度が低くなったりする場合がある。温度が高すぎる場合は、成形不良になる場合がある。また、加硫時間は、加硫方法、加硫温度、得ようとする加硫物の形状などにより異なるが、1分以上、5時間以下の範囲が加硫密度と生産効率の面から好ましい。
【0021】
加硫するための加熱方法としては、プレスによる加熱、蒸気による加熱、オーブンによる加熱、熱風による加熱などのゴムの加硫に用いられる一般的な方法から適宜選択すればよい。
【実施例】
【0022】
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。部及び%は、特に記載のない限り、重量基準である。試験方法を、以下に示す。
ニトリル基含有共重合ゴム(1)のヨウ素価を、JIS K 6235に準じて測定した。
【0023】
ニトリル基含有共重合ゴム(1)のムーニー粘度ML1+4,(100℃)を、JIS K 6300に準じて測定した。
【0024】
加硫物の引張強さ、伸び及び100%引張応力を、JIS K 6251に準じて測定した。試験片は、シート状加硫物からダンベル状3号形の試験片を打ち抜いて作成した。引張速度は500mm/分の条件で測定した。
【0025】
加硫物の硬さを、JIS K 6253に準じて、デュロメーター硬さ試験機タイプAを用いて測定した。
【0026】
加硫物の引裂き強さをJIS K 6252に準じて測定した。試験片は、シート状加硫物を作製した後、これを切込み無しアングル形に打ち抜いて作成した。引張速度は500mm/分の条件で測定した。
【0027】
加硫物の摩耗抵抗指数を以下のように測定した。まず、加硫物の摩耗容積をJIS K 6264アクロン摩耗試験に準じて測定した。その際に、リング状加硫物を作成してこれを試験片として用い、荷重を27Nとし、摩耗輪を500回転予備的に回転して運転した後、1000回転の本試験回転をおこなった。本試験回転の摩耗容積の結果から、摩耗抵抗指数を以下の式によって算出した。
摩耗抵抗指数(%)=(S/T)×100
(式中、Sは比較例4の耐油試験前の摩耗容積を表し、Tは各試験片の摩耗容積を表す)。摩耗抵抗指数は比較例4の場合を100(基準)とし、大きい方が摩耗しにくいことを示す指数である。
【0028】
耐油試験後の加硫物の物性を試験した。試験片を、150℃のIRM903試験油に168時間浸せきした後、前述と同様に、伸び、引裂き強さ、摩耗抵抗指数を測定した。伸びについては、耐油試験前の伸びに対する変化率を算出した。
【0029】
耐油・耐オゾン性を試験した。短冊状加硫物(長さ60mm、幅10mm、厚さ2mm)を試験片として用い、試験用燃料油Cに40℃、80時間浸漬後、40℃、20kPaの絶対圧力で12時間真空乾燥した。得られた試験片に、JIS K 6259に準じて、40℃、オゾン濃度100pphmの条件で、動的オゾン劣化性試験を行い、最高引張ひずみ30%で、24時間後の状態を目視により観察した。試験片にクラックが発生したものは×、発生しなかったものは○とした。
【0030】
実施例1
ニトリル基含有共重合ゴム(1)としてアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム水素添加物(アクリロニトリル単位含有量36.2%、ヨウ素価28、ムーニー粘度ML1+4,(100℃)78)100部に、カーボンブラックN550を40部、可塑剤(チオコールTP−95、ローム・アンド・ハース社製)10部、ワックス(サンタイトS、精工化学社製)0.5部、有機過酸化物(3)として1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン40%含有品(有機過酸化物加硫剤、ペロキシモンF−40、日本油脂社製)6部(有機過酸化物量2.4部)、及び付加反応可能な基を有する老化防止剤(2)としてN−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン2部を添加し、混練し、ゴム組成物Aを調製した。ゴム組成物Aを170℃、20分、10MPaの圧力の条件でプレスにより加硫して、加硫物Aを得た。得られた加硫物Aの試験片の引張強さ、伸び、100%引張応力及び硬さを測定し、耐油試験を行い、伸びの変化率、引裂き強さ及び摩耗抵抗指数を測定し、更に、耐油・耐オゾン性を試験した。これらの結果を表1に示す。
【0031】
実施例2
付加反応可能な基を有する老化防止剤(2)として、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミンに代えて、4−アニリノ−N−(2−(2−メチル)プロピニリデン)アニリンを用いる以外は実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
【0032】
比較例1〜3
N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミンに代えて、付加反応可能な基を有する老化防止剤(2)には該当しない老化防止剤である2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(ノクラック224、大内新興化学社製)、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(ノクラック810NA、大内新興化学社製)、置換ジフェニルアミン(ナウガード445、ユニロイヤル社製)を、それぞれ用いる以外は実施例1と同様に実験した。結果を表1に示す。
【0033】
比較例4
付加反応可能な基を有する老化防止剤(2)を用いない以外は実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
【0034】
比較例5
加硫剤として、ペロキシモンF−40の代わりに、有機過酸化物(3)に該当しない硫黄を0.8部、テトラエチルチウラム・ジスルフィド(ノクセラーTT、大内新興化学工業社製)を1.5部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・ジスルファンアミド(ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製)を1.5部、ステアリン酸を1部及び酸化亜鉛1号を5部用いた以外は実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
老化防止剤として、付加反応可能な基を有する老化防止剤(2)以外のものを添加したゴム組成物(比較例1〜3)であっても、また、老化防止剤を用いない組成物(比較例4)であっても、得られる加硫物は高温のオイルに浸せきした後の引裂き強さ及び摩耗抵抗指数が小さかった(比較例1〜4)。過酸化物として硫黄を用いた場合(比較例5)も、得られる加硫物は高温のオイルに浸せきした後の引裂き強さ及び摩耗抵抗指数が小さかった。
【0037】
それに対し、付加反応可能な基を有する老化防止剤(2)を添加し、有機過酸化物(3)を用いたゴム組成物を加硫すると、高温のオイルに浸せきした後の引裂き強さ及び摩耗抵抗指数が大きな加硫物が得られた(実施例1及び実施例2)。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の加硫物は、高温のオイルに浸せきした後の引裂き強さ及び摩耗抵抗指数が大きく、オイルシール、パッキン、ダイヤフラム、ブーツ及びベルトなどの各種オイルと接触する部材に好適であり、本発明のゴム組成物は、そのような加硫物を製造するために用いることができる。
Claims (5)
- α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含む共重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素添加してなるヨウ素価が100以下で、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が10〜60重量%のニトリル基含有共重合ゴム(1)100重量部、付加反応可能な基として、アクリロイル基、メタクリロイル基またはビニル基を有する芳香族第二級アミン系老化防止剤またはフェノール系老化防止剤(2)0.1〜6重量部及び有機過酸化物(3)0.1〜10重量部を含有するゴム組成物。
- 前記ニトリル基含有共重合ゴム(1)が、アクリロニトリルと1,3−ブタジエンの共重合体の水素添加物である請求の範囲1に記載のゴム組成物。
- 前記芳香族第二級アミン系老化防止剤またはフェノール系老化防止剤(2)が、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、4−アニリノ−N−(2−(2−メチル)プロピニリデン)アニリン、4−アニリノ−N−(4−ビニルベンジル)アニリン、4−アニリノフェニル−4−ビニルベンジルエーテル及びN−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メタクリロイルアミノメチル−フェノール、2,6−ジエチル−4−メタクリロイルアミノメチル−フェノール、2,6−ジエチル−4−アクリロイルアミノメチル−フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメタクリレートまたは2(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチルメタクリレートである請求の範囲1に記載のゴム組成物。
- 前記有機過酸化物(3)がジアルキルパーオキサイドである請求の範囲1に記載のゴム組成物。
- 請求の範囲1に記載のゴム組成物を加硫してなる加硫物。
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