JP4103551B2 - チャックのクランプ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、旋盤やその他の工作機械等におけるチャックを、手動操作でクランプするときに用いられるチャックのクランプ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、旋盤やその他の自動運転工作機械においても、主軸チャックや他のチャックに対して、手動操作でワークをクランプさせることが必要な場合がある。例えば、試し加工や、単品加工、保守等において、このような手動操作が必要となる。この手動操作は、操作盤の押しボタンスイッチにより行われる。
このような手動操作の際の操作性向上対策として、従来より、押しボタンを押している間だけ動作し、押しボタンから指を離すとクランプ動作が止まるようにした制御手段が用いられている。作業者は、ワークを手に持ってチャックに押しつけた状態で、押しボタンを押し、クランプ具合を調整する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、手動でワークを搬入する際に、ワーク中心とチャック中心とがずれることがある。上記制御手段であると、押しボタンから指を離し、クランプ完了前にワーク姿勢を調整することが可能であるが、指を離すタイミングが思うように加減できず、上記の心ずれを生じることがある。心ずれ状態でチャックに無理にクランプさせると、チャックを破損する恐れがある。
【0004】
この発明の目的は、手動操作でクランプさせる場合に、ワークとチャックの位置関係を確認しながらクランプ操作が行えて、容易に精度良くクランプさせることのできるチャックのクランプ制御装置を提供することである。
この発明の他の目的は、一定ストロークずつクランプ動作させる制御を簡易な構成で可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、チャックのホールドのタイミングを簡単な構成で確実に知ることができるものとすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明のチャックのクランプ制御装置(20)は、ワーク(W)を把持するチャック(1)のクランプ動作を制御する装置であって、手動でオンオフ操作される操作手段(24)と、チャック(1)にクランプ指令を出力する指令出力手段(25)とを設ける。この指令出力手段(25)は、上記操作手段(24)がオン操作されると、上記クランプ指令としてチャック(1)を全ストロークよりも短い一定ストローク分だけ動作させて停止させる定距離クランプ指令(b)を出力し、上記操作手段(24)が一旦オフとされた後にオン操作されることで、再度上記定距離クランプ指令(b)を出力するものとする。
この構成によると、操作手段(24)がオン操作される毎に、指令出力手段(25)の制御により、チャック(1)を一定ストローク分だけクランプ動作させ、停止させる。操作手段(24)のオン操作が長く続いても、チャック(1)は一定ストローク分しか動作せず、一旦オフとされた後にオン操作されることで、再度一定ストローク分だけ動作する。このように、オン操作毎に一定ストロークずつクランプ動作するため、作業者は、操作手段(24)のオン操作持続時間を気にすることなく、手に持ったワーク(W)とチャック(1)の位置だけを注意すれば良い。そのため、ワーク(W)とチャック(1)の位置関係を確認しながらクランプ操作が行えて、容易に精度良くクランプさせることができる。
【0006】
上記指令出力手段(25)は、上記操作手段(24)がオン操作された時から経過した時間を計測する計時手段(26)を有し、上記オン操作時から上記計時手段(26)の計測時間が設定時間に達するまで続くパルス信号として上記定距離クランプ指令(b)を出力するものとしても良い。
この構成の場合、計時手段(26)の計測により、定距離クランプ指令(b)となるパルス信号のパルス幅を制御するため、一定ストロークずつクランプ動作させる制御が簡易な構成で行える。
【0007】
この発明において、上記指令出力手段(25)による定距離クランプ指令(b)の出力回数をカウントするカウント手段(27)と、出力回数が設定回数になったときにチャック(1)のホールドを行わせるホールド手段(28)とを設けても良い。
この構成によると、定距離クランプ指令(b)の出力回数をカウントすることにより、チャック(1)がクランプ完了位置まで動作したことを認識することになるため、チャック(1)のホールドのタイミングを簡単な構成で確実に知ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。このクランプ制御装置20の制御対象となるチャック1は、旋盤やその他各種の工作機械に設けられてワークWを把持するものである。ここでは、チャック1は、旋盤の主軸2に設けられたものを例に説明する。チャック1は、チャック部1Aとこのチャック部1Aを開閉駆動するチャック駆動源1Bとでなる。チャック部1Aは、チャック部本体3の正面に複数(例えば2〜4個)のチャック爪4が放射状に設けられ、これら複数のチャック爪3が半径方向に進退することで、ワークWのクランプおよびアンクランプを行うものである。図示の例は、チャック爪3がチャック中心O側へ移動することでワークWを外径面からクランプするものとしてあるが、チャック爪3がチャック部外径側へ移動することで円筒状等のワークWを内径面からクランプするものであっても良い。チャック駆動源1Bは油圧シリンダからなり、そのピストンの進退駆動は、主軸2内を貫通したチャックドローバ5を介してチャック部3に伝えられる。チャック部本体3では、内蔵の動作変換機構6により、チャックドローバ5の進退動作をチャック爪4の半径方向移動に変換する。
【0009】
チャック駆動源1Bには、油圧回路8が接続されていて、この油圧回路8にチャック駆動源1Bの動作方向を切り換える電磁弁7が設けられている。電磁弁7は、例えばソレノイド7a,7bのオフ状態で油路の閉鎖状態となり、片方のソレノイド7aのオンでチャック駆動源1Bを後退側(この例ではクランプ側)へ駆動させ、もう片方のソレノイド7bのオンでチャック駆動源1Bを前進側(この例ではアンクランプ側)へ駆動させるように切り替わるものとされる。具体的には、電磁弁7は4ポート3位置の切換弁とされている。
【0010】
工作機械全体の制御系を説明する。チャック1を備えた工作機械(図示せず)は、機械制御装置21により制御される。機械制御装置21は、数値制御装置とプログラマブルコントローラ等により構成され、常時は自動運転を行うが、手動モードへの切換が可能とされている。機械制御装置21には操作盤22が付設されており、操作盤22に画面表示装置23や、各種のスイッチ類、およびランプ類等の表示機器が設けられている。
【0011】
このチャックのクランプ制御装置20は、このような工作機械において、手動モードにおけるチャック1の制御に適用される。
このチャックのクランプ制御装置20は、手動でオンオフ操作される操作手段24と、この操作手段24の操作に応答してチャック1の動作を制御する手操作入力処理手段29とを有している。この手操作入力処理手段29を構成する手段の一つとして、チャック1にクランプ指令を出力する指令出力手段25が設けられている。操作手段24は、操作盤22のスイッチ類の一つとして設けられ、例えば押しボタンスイッチとされる。手操作入力処理手段29は、機械制御装置21に設けられる。
なお、操作盤22および機械制御装置21には、このチャックのクランプ制御装置20とは別に、チャック1を手動でアンクランプさせるアンクランプ制御装置30として、操作手段34および手操作入力処理手段39が設けられている。このアンクランプ制御装置30は、チャック1の動作方向がアンクランプ方向であることを除き、クランプ制御装置20と同じ構成のものである。アンクランプ制御装置30は、アンクランプ制御の他に、チャック1がワークWを内径側からクランプするようにチャック爪4を交換した場合に、クランプ制御装置として使用される。アンクランプ制御装置30については、その説明を省略する。
【0012】
クランプ制御装置20において、指令出力手段25は、操作手段24がオン操作されると、上記クランプ指令としてチャック1を一定ストロークs(図3)分だけ動作させて停止させる定距離クランプ指令bを出力し、上記操作手段24が一旦オフとされた後にオン操作されることで、再度、上記定距離クランプ指令bを出力するものとされている。上記一定ストロークsは、全ストロークAS(図3)よりも短い距離であり、例えば全ストロークASの数分の一(図示の例では1/4)とされる。操作手段24は、オン操作されると、その操作されている間だけ、操作信号a(図2(A))のオン状態を維持するものとされている。
【0013】
指令出力手段25は、操作手段24がオン操作された時から経過した時間を計測する計時手段26を有しており、上記オン操作時から計時手段26の計測時間が設定時間Tに達するまで続くパルス信号として、上記定距離クランプ指令b(図2(B))を出力する。指令出力手段25は、具体的には、操作手段24の出力する操作信号aの立ち上がりを検出してクランプ指令出力(ソレノイド駆動指令)をオンとすると共に計時手段26による計時を開始し、設定時間Tに達するとクランプ指令出力をオフとし、計時手段26をリセットする。
【0014】
手操作入力処理手段29には、指令出力手段25の他に、カウント手段27とホールド手段28とが設けられている。カウント手段27は、指令出力手段25による定距離クランプ指令bの出力回数をカウントする手段である。ホールド手段28は、カウント手段27でカウントされた出力回数が設定回数C(図2(B))になったときにチャック1のホールドを行わせる手段である。設定回数Cは、例えば、上記一定ストロークsの動作の繰り返すことで全ストロークASに達する繰り返し回数、またはこの繰り返し回数に余裕回数を加えた回数とされる。余裕回数は、例えば1〜2回とされる。ホールド手段28によるホールドは、チャック1にクランプ側への移動力を加え続ける処置であり、具体的には電磁弁7のクランプ動作側のソレノイド7aに対するクランプ指令出力をオン状態に維持する処理とされる。ホールド手段28は、設定回数Cに達してホールドするときに、操作盤22のランプ等の完了報知手段41をオン動作させる。
なお、カウント手段27は、設定回数Cに達するまでに逆側の動作、すなわちアンクランプの操作があると、カウント値をクリアし、再度、指令出力手段25による定距離クランプ指令bがあったときから、カウントを開始する。
【0015】
上記構成の動作を説明する。いま、チャック1のチャック爪4が図3のように最開き位置にあるとする。この状態で押しボタンスイッチからなる操作手段24をオンすると、指令出力手段25は定距離クランプ指令bを出力し、チャック駆動源1Bの駆動によりチャック爪4は、一定ストロークsのクランプ動作を行う。操作手段24の操作を解除した後に、再度、操作手段24をオンすると、チャック爪4は、再度一定ストロークsのクランプ動作を行う。操作手段24を長くオンし続けても、1回の操作のストロークは、一定ストロークsであり、変わらない。このような操作を繰り返すことにより、チャック爪4がワークWをクランプし、そのクランプ状態をホールドする。ホールドされたことは、ランプ等からなる完了報知手段41が点灯することで確認される。
【0016】
この動作を図2と共に具体的に説明する。操作手段24をオン操作すると、指令出力手段25に入力される操作信号aがオンになる。指令出力手段25は、この操作信号aの立ち上がりに応答して、クランプ指令信号を出力すると共に、計時手段26で計時を開始する。計時された時間が設定時間Tに達すると、指令出力手段25はクランプ指令信号をオフとする。計時手段26はクリアされる。したがって、上記クランプ指令として、設定時間Tだけオンとするパルス信号の定距離クランプ指令bが出力されることになる。操作手段24は押しボタンスイッチであり、押し続け限り操作信号aのオン状態は続くが、クランプ指令は設定時間Tでオフとなり、チャック1は一定ストロークsしかクランプ動作しない。
操作手段24が再度オン操作されると、上記と同様に定距離クランプ指令bが出力され、チャック1は一定ストロークsだけさらにクランプ側へ動作する。このような動作を繰り返す。
【0017】
定距離クランプ指令bの出力回数はカウント手段27でカウントされ、設定回数Cに達すると、クランプ側端までチャック爪4が移動したと判定して、そこでチャック駆動源1Bをホールドする。チャック1のホールドは、図2(B)のようにクランプ指令信号のオン状態を維持することであり、これにより電磁弁7のソレノイド7aがオンし続け、チャック駆動源1BはワークWを把持した状態でクランプ側への押し付け力を維持する。そのため、チャック1によりワークWが堅固にクランプされる。
上記設定回数Cは、一定ストロークsの動作の繰り返すことで全ストロークASに達する繰り返し回数、またはこの回数に余裕回数を加えた回数である。このように、チャック1がクランプ完了位置まで動作したことを操作回数のカウントで認識するため、完了認識が容易であり、チャック1のホールドのタイミングを簡単な構成で確実に知ることができる。設定回数Cとして上記余裕回数を加えた場合は、誤カウントがあっても確実にクランプすることができる。
一定ストロークsのクランプ動作を繰り返す過程で、途中でチャック1の逆側への操作、つまりアンクランプ側の操作手段34のオン操作を行った場合は、操作手段34の操作信号に応答してカウント手段27はゼロクリアされ、再度、クランプ側の操作手段24により操作をしたときにカウントが再開される。そのため、設定回数Cに達するまでにクランプ側への移動端に達することになるが、設定回数Cに達するまではチャック1のホールドは行われない。
【0018】
このクランプ制御装置によると、このように操作手段24がオン操作される毎に、チャック1を一定ストローク分だけクランプ動作させるようにしたため、作業者は、操作手段24のオン操作持続時間を気にすることなく、手に持ったワークWとチャック1の位置だけを注意すれば良い。そのため、ワークWとチャック1の位置関係を確認しながらクランプ操作が行えて、容易に精度良くクランプさせることができる。
【0019】
【発明の効果】
この発明のチャックのクランプ制御装置は、手動でオンオフ操作される操作手段と、チャックにクランプ指令を出力する指令出力手段とを設け、この指令出力手段は、上記操作手段がオン操作されると、上記クランプ指令としてチャックを全ストロークよりも短い一定ストローク分だけ動作させて停止させる定距離クランプ指令を出力し、上記操作手段が一旦オフとされた後にオン操作されることで、再度上記定距離クランプ指令を出力するものとしたため、手動操作でクランプさせる場合に、ワークとチャックの位置関係を確認しながらクランプ操作が行えて、容易に精度良くクランプさせることができる。
上記指令出力手段が、上記操作手段がオン操作された時から経過した時間を計測する計時手段を有し、上記オン操作時から上記計時手段の計測時間が設定時間に達するまで続くパルス信号として上記定距離クランプ指令を出力するものである場合は、一定ストロークずつクランプ動作させる制御が簡易な構成で行える。上記指令出力手段による定距離クランプ指令の出力回数をカウントする出力カウント手段と、出力回数が設定回数になったときにチャックのホールドを行わせるホールド手段とを設けた場合は、チャックのホールドのタイミングを簡単な構成で確実に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかるチャックのクランプ制御装置の概念構成を示すブロック図である。
【図2】その操作信号とクランプ指令信号の関係を示すタイムチャートである。
【図3】そのチャックのクランプ動作の説明図である。
【符号の説明】
1…チャック
1B…チャック駆動源
3…チャック部本体
5…チャックドローバ
7…電磁弁
20…クランプ制御装置
24…操作手段
25…指令出力手段
26…計時手段
27…カウント手段
28…ホールド手段
a…操作信号
b…定距離クランプ指令
s…一定ストローク
AS…全ストローク
T…設定時間
W…ワーク
Claims (3)
- ワークを把持するチャックのクランプ動作を制御する装置であって、手動でオンオフ操作される操作手段と、チャックにクランプ指令を出力する指令出力手段とを設け、この指令出力手段は、上記操作手段がオン操作されると、上記クランプ指令としてチャックを全ストロークよりも短い一定ストローク分だけ動作させて停止させる定距離クランプ指令を出力し、上記操作手段が一旦オフとされた後にオン操作されることで、再度上記定距離クランプ指令を出力するものとしたチャックのクランプ制御装置。
- 上記指令出力手段は、上記操作手段がオン操作された時から経過した時間を計測する計時手段を有し、上記オン操作時から上記計時手段の計測時間が設定時間に達するまで続くパルス信号として上記定距離クランプ指令を出力するものとした請求項1に記載のチャックのクランプ制御装置。
- 上記指令出力手段による定距離クランプ指令の出力回数をカウントするカウント手段と、そのカウントされた出力回数が設定回数になったときにチャックのホールドを行わせるホールド手段とを設けた請求項1または請求項2に記載のチャックのクランプ制御装置。
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