JP4102596B2 - 超音波溶着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複数の被覆電線などの溶着対象物を溶着する超音波溶着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器にバッテリなどの電源から電力や制御装置から制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスを配索している。前述したワイヤハーネスは、複数の電線などを備えている。
【0003】
これらの電線には、それぞれの芯線に外部からのノイズが侵入することを防止するために、シールド電線が用いられることがある。シールド電線は、導電性を有する編組からなるシールド部を備えている。このシールド部が、前記芯線内にノイズが侵入することを防止する。
【0004】
ここで、近年、前述したワイヤハーネスの低コスト化を図ることが望まれている。このために、前記シールド部を備えない電線を複数本束ね、これらの複数本の電線に薄膜の導体層を有する導体薄膜シートを巻き付けて、ワイヤハーネスを構成することが提案されている。このような構成にすることによって、低コスト化とノイズの侵入防止とを図ることができる。
【0005】
また、このような構成においても、前記ノイズを取り出すために、前記導体層にアース電線または端子などを取り付ける必要がある。アース電線は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えている。芯線は、複数の導線からなる。被覆部は絶縁性の合成樹脂からなり、前記芯線を被覆している。
【0006】
前記導体層にアース電線などを取り付けるために、導体薄膜シートに孔を開けて、該孔に前述したアース電線などの端部を通した後、ワッシャ、ボルト、ナットなどを用いて導体薄膜シートとアース電線とを固定することが考えられる。
【0007】
この場合、前記アース電線の被覆部の一部を除去するなどの皮むき作業が必要となり、組み立てにかかる工数が増加することが考えられる。また、ワッシャ、ボルト、ナットなどの部品が必要になるので、部品点数が増加する。したがって、コストが高騰することが考えられる。さらに、前述したボルトとナットなどを締め付ける際に、導体層が破損して、確実に前述したアース電線を導体層に接続できないことが考えられる。このため、電線の芯線に侵入しようとするノイズを、外部に逃がすことが困難となる。
【0008】
前述した課題を解決するために、本発明の出願人は、導体薄膜シートとアース電線とを重ねて、これらを近づける方向に加圧した状態で、超音波振動エネルギを付与することを提案している。超音波振動エネルギを付与することにより、前記導体薄膜シートの導体層とアース電線の芯線とを金属結合(接合)する。こうして、導体薄膜シートの導体層とアース電線とを電気的に接続する。この方法では、周知の超音波溶着装置を用いる。
【0009】
前記超音波溶着装置は、チップ(工具ホーンともいう)と、このチップに相対するアンビルと、図示しない振動子などを備えている。超音波溶着装置は、前記チップとアンビルとの間に溶着対象物としての導体薄膜シートとアース電線とを挟む。超音波溶着装置は、振動子を振動させ、この振動をチップを介して溶着対象物に加える。超音波溶着装置は、これらの溶着対象物としての導体薄膜シートとアース電線とを接合する。
【0010】
このとき、超音波溶着装置は、溶着対象物に与えるエネルギに基づいて、前記チップなどの振動状況を制御している。溶着対象物に加える超音波振動エネルギが一定となるように、前記振動子の発振時間即ちチップの振動時間を制御している。超音波振動エネルギとは、発振時間と、チップが溶着対象物に加える仕事率(工率)と、の積である。チップが溶着対象物に加える仕事率(工率)とは、チップの振幅と、チップと溶着対象物との圧力と、の積である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の超音波溶着装置では、チップとアンビルとを予め定められる圧力で加圧した状態で、振動子を予め定められる振幅で振動する。そして、この振動をチップを介して、溶着対象物に伝える。振動子の発振時間が、予め定められる時間を超えると、振動子を停止して、溶着対象物の接合を停止する。このように、従来の超音波溶着装置は、振動子の振幅と、振動子の発振時間に基づいて、溶着対象物を接合する。
【0012】
また、前述した従来の超音波溶着装置では、前記発振時間に基づいて、溶着対象物の溶着状況の良否を判定している。即ち、実際に振動子が発振した時間が、予め定められる時間内であるか否かで良否を判定する。
【0013】
前述した従来の超音波溶着装置では、振動子の発振に関する情報を、制御に用いている。実際には、超音波溶着する際に、溶着対象物から異音が発生したり、該溶着対象物が発熱するなどの、振動子が発振して得られた超音波振動エネルギの全てが溶着対象物に加わるわけではない。このため、前述した超音波溶着装置は、溶着対象物を所望の強度で接合できるとはいえないとともに、溶着対象物の良否を正確に判定できない。
【0014】
このため、特開平5−206224号公報に示された超音波溶着装置(超音波接合装置ともいい、以下超音波接合装置と呼ぶ)では、チップが振動する際の振幅を測定している。前述した公報に示された超音波接合装置は、振動子の発振開始即ち超音波溶着(超音波接合ともいい、以下超音波接合と呼ぶ)の開始後、チップの振幅が予め定められる振幅を下回ると、振動子の発振即ち超音波接合を停止する。そして、振動子の発振時間が、予め定められる時間内であるか否かで良否を判定する。
【0015】
超音波接合では、溶着対象物の形状及び大きさなどによって、時間が経過に対するチップの振幅の変化が種々異なる。このため、前述した公報に記載された超音波接合装置では、チップの振幅が予め定められる振幅を下回ると超音波接合を停止するため、溶着対象物に実際に加わった超音波振動エネルギは、溶着対象物の変更により種々変化することとなる。また、振動子の発振時間に基づいて良否を判定するため、溶着対象物の溶着状況を正確に判定できないのは、勿論である。
【0016】
したがって、本発明の第1の目的は、溶着対象物を所望の強度で確実に接合できる超音波溶着装置を提供することにある。第2の目的は、溶着対象物の溶着状況を正確に判定できる超音波溶着装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前述した第1の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の超音波溶着装置は、駆動源により振動されるチップと、前記チップに相対するアンビルと、を備え、前記チップとアンビルとの間に複数の溶着対象物を挟みかつチップとアンビルとを互いに近づける方向に加圧した状態で、前記駆動源によりチップを振動させて該振動を前記溶着対象物に伝えることで、前記溶着対象物を互いに溶着する超音波溶着装置において、前記チップの振動する際の速度を検出可能な検出手段と、前記検出手段が検出した前記チップの振動する際の速度から超音波溶着開始からの前記チップの総変位量を算出する算出手段と、前記算出手段が検出した前記チップの総変位量が所定の値を超えると、前記チップの振動を停止する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0018】
前述した第1の目的にくわえ、第2の目的を達成するために、請求項2に記載の本発明の超音波溶着装置は、請求項1に記載の超音波溶着装置において、前記算出手段が算出した前記チップの総変位量が第2の所定の値を超えていると、前記溶着対象物の溶着状況を不良と判定するとともに、前記総変位量が前記第2の所定の値以下であると、前記溶着対象物の溶着状況を良と判定する判定手段を備えたことを特徴としている。
【0019】
前述した第2の目的を達成するために、請求項3に記載の本発明の超音波溶着装置は、駆動源により振動されるチップと、前記チップに相対するアンビルと、を備え、前記チップとアンビルとの間に複数の溶着対象物を挟んで、前記駆動源によりチップを振動させて該振動を前記溶着対象物に伝えることで、前記溶着対象物を互いに溶着する超音波溶着装置において、前記チップの振動する際の速度を検出可能な検出手段と、前記検出手段が検出した前記チップの振動する際の速度から超音波溶着開始からの前記チップの総変位量を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した前記チップの総変位量が第2の所定の値を超えていると、前記溶着対象物の溶着状況を不良と判定するとともに、前記総変位量が前記第2の所定の値以下であると、前記溶着対象物の溶着状況を良と判定する判定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項1に記載した本発明の超音波溶着装置によれば、チップの総変位量に基づいて、チップの振動即ち溶着対象物に加わる超音波振動エネルギを制御する。このため、チップを介して溶着対象物に実際に加わった超音波振動エネルギに基づいて、超音波溶着を制御する。このため、溶着対象物に所望の超音波振動エネルギを確実に付与できる。
【0021】
チップの総変位量が予め定められる値を超えると、チップの振動を停止するように、制御するのが望ましい。チップの総変位量の予め定められる値とは、溶着対象物を所望の接合強度で溶着できる総変位量を示している。このため、チップの総変位量の予め定められる値とは、溶着対象物及び求められる接合強度により、種々変化する。この場合、溶着対象物に所望の超音波振動エネルギをより確実に付与できる。
【0022】
なお、超音波振動エネルギとは、発振時間と、電源が振動子に印加する際の電力値(W:ワット数)と、の積である。しかし、実際に、溶着対象物に加わる超音波振動エネルギとは、溶着対象物同士の挙動に基づくこととなる。図7に示す超音波溶着装置1は、振動子により振動されるチップ9と、このチップ9と相対するアンビル10とを備えている。チップ9とアンビル10との間に溶着対象物2,3を挟み、これらの溶着対象物2,3が互いに近づく方向に加圧した状態でチップ9を矢印Sに沿って振動する。この図7に示された超音波溶着装置1において、チップ9の振幅をA、チップ9の角周波数をω=2πf、チップ9の振動速度をv=ωA=2πf・Aとすると、チップ9の出力(パワー)Wは、以下の式1で示される。なお、fはチップ9の振動の周波数である。
【0023】
W=μF×v………式1
なお、上記式1において、μは、溶着対象物2,3間の摩擦係数、Fは溶着対象物2,3が互いに近づけられる方向に加圧された荷重値である。
【0024】
前述した式1を用いて、溶着対象物2,3に加わる超音波振動エネルギEを示すと以下の式2のようになる。
E=∫W×dt=∫μF×ωA×dt………式2
【0025】
上記式2において、μFは、溶着対象物2,3間の圧力となり、∫ωA×dtは、チップ9の総変位量となる。このため、溶着対象物2,3に加わる超音波振動エネルギEは、溶着対象物2,3間の圧力と、チップ9の総変位量との積で示すことができる。したがって、チップ9の総変位量に基づいて、超音波溶着することにより所望の超音波振動エネルギを溶着対象物2,3に確実に付与できることが明らかとなった。さらに、チップ9の総変位量に基づいて、良否を判定することにより、溶着対象物2,3の良否を確実に判定できることが明らかとなった。
【0026】
請求項2に記載した本発明の超音波溶着装置によれば、チップの総変位量に基づいて、溶着対象物の溶着状況の良否を判定する。このため、チップを介して溶着対象物に実際に加わった超音波振動エネルギに基づいて、溶着対象物の良否を判定できる。このため、前述した請求項1の効果にくわえ、溶着対象物の溶着状況を正確に判定できる。
【0027】
請求項3に記載した本発明の超音波溶着装置によれば、チップの総変位量に基づいて、溶着対象物の溶着状況の良否を判定する。このため、チップを介して溶着対象物に実際に加わった超音波振動エネルギに基づいて、溶着対象物の良否を判定できる。このため、溶着対象物の溶着状況を正確に判定できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかる超音波溶着装置1を図1ないし図6を参照して説明する。図1などに示す超音波溶着装置1は、例えば金属板2,3などの複数の溶着対象物を超音波溶着(超音波接合または超音波溶接ともいう)する装置である。超音波溶着装置1は、図1に示すように、超音波溶着機4と、検出手段としてのレーザドップラ速度計5と、制御装置6と、を備えている。
【0029】
超音波溶着機4は、図1に示すように、駆動源としての振動子7と、ホーン8と、チップ9(工具ホーンともいう)と、このチップ9に相対するアンビル10と、図示しない加圧機などを備えている。振動子7は、図示しない電源などにより印加されて振動する。
【0030】
ホーン8は、振動子7に取り付けられている。チップ9は、ホーン8の先端部に取り付けられている。このため、振動子7は、ホーン8などを介してチップ9を図1中の矢印Sに沿って振動する。アンビル10は、チップ9との間に、溶着対象物としての金属板2,3を挟むことができる。加圧機は、チップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧する。加圧機は、チップ9とアンビル10とを加圧する荷重値(圧力値)を変更できる。
【0031】
超音波溶着機4は、チップ9とアンビル10との間に溶着対象物としての金属板2,3を挟み、加圧機でこれらのチップ9とアンビル10とを互いに近づける方向に加圧した状態で、振動子7を振動してこの振動をホーン8経由でチップ9に伝える。そして、超音波溶着機4は、チップ9とアンビル10との間に挟んだ溶着対象物としての金属板2,3に超音波振動エネルギを与えて該対象物を溶着する。
【0032】
また、本明細書でいう超音波振動エネルギとは、超音波溶着装置1が溶着対象物を溶着させる際に、該溶着対象物に与えるエネルギを示している。超音波振動エネルギとは、例えば、電源が振動子7に印加する際の電力値(W:ワット数)に、前記電源が振動子7に印加する時間を、かけて得られるエネルギである。さらに、溶着対象物としての金属板2,3に実際に加わる超音波振動エネルギとは、前述した式2に示すように、チップ9の総変位量と、金属板2,3間の圧力との積である。
【0033】
レーザドップラ速度計5は、レーザ発振器11と、ビームスプリッタ12と、レーザ集光ヘッド13と、反射ミラー14と、検出器15と、光ファイバ16とを備えている。レーザ発振器11は、レーザ光を出射する。ビームスプリッタ12は、レーザ発振器11が出射したレーザ光をレーザ集光ヘッド13に導く。レーザ集光ヘッド13は、レーザ光をチップ9のアンビル10寄りの先端部に向けて出射する。レーザ集光ヘッド13は、チップ9のアンビル10寄りの先端部が反射したレーザ光を受光する。
【0034】
レーザ集光ヘッド13が受光したレーザ光は、ビームスプリッタ12や反射ミラー14を介して検出器15に導かれる。光ファイバ16は、ビームスプリッタ12とレーザ集光ヘッド13とを光学的に接続している。検出器15は、受光したレーザ光のドップラ周波数(周波数変化)などから前述した矢印Sに沿ったチップ9の速度を算出して、この速度に基づいた情報を制御装置6に向かって出力する。
【0035】
こうして、レーザドップラ速度計5は、チップ9の先端部にレーザ光をあてることにより、チップ9の速度に比例した周波数変化(ドップラ周波数)を検出する。レーザドップラ速度計5は、前述した周波数変化(ドップラ周波数)を検出することにより、矢印Sに沿ったチップ9の速度を算出する。こうして、レーザドップラ速度計5は、チップ9の振動に関する情報(チップ9の速度)を検出する。
【0036】
制御装置6は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータであって、前述した超音波溶着機4と、レーザドップラ速度計5とに接続して、これらを制御することにより、超音波溶着装置1全体の制御をつかさどる。制御装置6は、算出手段としての算出部17と、制御手段としての制御部18と、判定手段としての判定部19とを備えている。算出部17は、検出器15に接続している。
【0037】
算出部17は、前記検出器15から入力したチップ9の振動に関する情報としてのチップ9の速度を積分などして、チップ9の変位量を算出する。算出部17は、算出したチップ9の変位量を累積して、超音波溶着開始(一組の金属板2,3の溶着開始)からのチップ9の総変位量を算出する。算出部17は、算出したチップ9の総変位量に関する情報を制御部18に向かって出力する。
【0038】
制御部18は、チップ9の総変位量が予め定められる所定の値を超えているか否かを判定する。制御部18は、チップ9の総変位量が所定の値を超えていると判定すると、振動子7を停止する。制御部18は、チップ9の総変位量が所定の値を超えていないと判定すると、振動子7をそのまま駆動する。こうして、制御部18は、チップ9の総変位量に基づいて、チップ9の振動を制御する。また、制御部18は、振動子7を停止した時のチップ9の総変位量に関する情報を、判定部19に向かって出力する。
【0039】
なお、総変位量の予め定められる所定の値とは、溶着対象物としての金属板2,3を所望の強度で接合できる総変位量であり、金属板2,3を接合する前に予め定められる値である。さらに、総変位量の予め定められる所定の値とは、溶着対象物や要求される接合強度などにより、種々変化する。
【0040】
判定部19は、振動子7を停止した時のチップ9の総変位量が予め定められる所定の第2の値を超えているか否かを判定する。判定部19は、チップ9の総変位量が所定の第2の値を超えていると判定すると、溶着対象物の溶着状況を不良であると判定する。判定部19は、チップ9の総変位量が所定の第2の値を超えていないと判定すると、溶着対象物の溶着状況を良であると判定する。こうして、判定部19は、チップ9の総変位量に基づいて、溶着対象物の良否を判定する。
【0041】
前述した構成の超音波溶着装置1を用いて、溶着対象物としての金属板2,3を溶着する際は、まず、チップ9とアンビル10との間に金属板2,3を挟む。そして、図2中のステップS1において、加圧機で所望の荷重値(圧力)でチップ9とアンビル10とを近づける方向に加圧して、振動子7を振動して、ステップS2に進む。すると、チップ9が矢印Sに沿って振動するとともに、金属板2が矢印Sに沿って振動する。金属板2,3が互いに接触しているので、これらの金属板2,3は徐々に溶融しない状態で固相のまま互いに金属結合する。
【0042】
ステップS2では、レーザドップラ速度計5がチップ9の速度を検出して、ステップS3に進む。ステップS3では、制御装置6の算出部17がチップ9の総変位量を算出して、ステップS4に進む。
【0043】
ステップS4では、制御部18がチップ9の総(累積)変位量が所定の値を超えているか否かを判定する。チップ9の総変位量が所定の値を超えていないとステップS1に戻り、ステップS1からステップS4を繰り返す。チップ9の総変位量が所定の値を超えるとステップS5に進む。ステップS5では、振動子7を停止して、ステップS6に進む。
【0044】
ステップS6では、判定部19がチップ9の総変位量が所定の第2の値を超えているか否かを判定する。チップ9の総変位量が所定の第2の値を超えていると溶着対象物を不良品と判定する。チップ9の総変位量が所定の第2の値を超えていないと溶着対象物を良品と判定する。こうして、金属板2,3は、いわゆる超音波溶着(超音波溶接または超音波接合ともいう)によって互いに接合される。
【0045】
本実施形態によれば、制御部18が、チップ9の総変位量に基づいて、チップ9の振動即ち溶着対象物に加わる超音波振動エネルギを制御する。このため、チップ9を介して溶着対象物に実際に加わった超音波振動エネルギに基づいて、超音波溶着を制御する。このため、溶着対象物に所望の超音波振動エネルギを確実に付与できる。したがって、所望の接合強度が得られるように溶着対象物を溶着できる。
【0046】
判定部19が、チップ9の総変位量に基づいて、溶着対象物の溶着状況の良否を判定する。このため、チップ9を介して溶着対象物に実際に加わった超音波振動エネルギに基づいて、溶着対象物の良否を判定できる。したがって、溶着対象物の溶着状況を正確に判定できる。
【0047】
次に、本発明の発明者らは、前述した超音波溶着装置1で、種々の溶着対象物を種々の条件で溶着した、そして、これらの溶着対象物の接合強度(図中には引張り強度と記す)と、種々のパラメータとの関係を調べた。結果を図3ないし図6に示す。図3は、振動子7の振動中の最大電力値(図中にピークパワーと記す)と、接合強度との関係を示している。図4は、振動子7の振動時間(図中には発振時間と記す)と、接合強度との関係を示している。図5は、チップ9の総変位量と、接合強度との関係を示している。図6は、チップ9とアンビル10とが近づいた距離と、接合強度との関係を示している。
【0048】
これらの図中において、実線P1,P2,P3,P4は、回帰直線(期間内データの中心を通る直線)を示している。実線P1,P2,P3,P4との相関係数が最も高いのは、図5である。このときの相関係数は、0.8を越える。このため、チップ9の総変位量に基づくことにより、所望の接合強度となるように溶着対象物を接合できることが明らかとなった。さらに、チップ9の総変位量に基づくことにより、溶着対象物の接合状況を正確に判定できることが明らかとなった。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、チップの総変位量に基づいて、チップの振動即ち溶着対象物に加わる超音波振動エネルギを制御する。このため、チップを介して溶着対象物に実際に加わった超音波振動エネルギに基づいて、超音波溶着を制御する。このため、溶着対象物に所望の超音波振動エネルギを確実に付与できる。したがって、所望の接合強度が得られるように溶着対象物を溶着できる。
【0050】
請求項2に記載の本発明によれば、チップの総変位量に基づいて、溶着対象物の溶着状況の良否を判定する。このため、チップを介して溶着対象物に実際に加わった超音波振動エネルギに基づいて、溶着対象物の良否を判定できる。したがって、前述した請求項1の効果にくわえ、溶着対象物の溶着状況を正確に判定できる。
【0051】
請求項3に記載の本発明によれば、チップの総変位量に基づいて、溶着対象物の溶着状況の良否を判定する。このため、チップを介して溶着対象物に実際に加わった超音波振動エネルギに基づいて、溶着対象物の良否を判定できる。したがって、溶着対象物の溶着状況を正確に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる超音波溶着装置の概略の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示された超音波溶着装置が超音波溶着を行う際のフローチャートである。
【図3】図1に示された超音波溶着装置で溶着対象物を溶着した際のピークパワーと引張り強度との関係を示す図である。
【図4】図1に示された超音波溶着装置で溶着対象物を溶着した際の発振時間と引張り強度との関係を示す図である。
【図5】図1に示された超音波溶着装置で溶着対象物を溶着した際のチップの総変位量と引張り強度との関係を示す図である。
【図6】図1に示された超音波溶着装置で溶着対象物を溶着した際のチップとアンビルとが近づいた距離と引張り強度との関係を示す図である。
【図7】この発明の超音波溶着装置で溶着対象物を溶着する状態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 超音波溶着装置
2,3 金属板(溶着対象物)
5 レーザドップラ速度計(検出手段)
7 振動子(駆動源)
9 チップ
10 アンビル
17 算出部(算出手段)
18 制御部(制御手段)
19 判定部(判定手段)

Claims (3)

  1. 駆動源により振動されるチップと、前記チップに相対するアンビルと、を備え、前記チップとアンビルとの間に複数の溶着対象物を挟みかつチップとアンビルとを互いに近づける方向に加圧した状態で、前記駆動源によりチップを振動させて該振動を前記溶着対象物に伝えることで、前記溶着対象物を互いに溶着する超音波溶着装置において、
    前記チップの振動する際の速度を検出可能な検出手段と、
    前記検出手段が検出した前記チップの振動する際の速度から超音波溶着開始からの前記チップの総変位量を算出する算出手段と、
    前記算出手段が検出した前記チップの総変位量が所定の値を超えると、前記チップの振動を停止する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする超音波溶着装置。
  2. 前記算出手段が算出した前記チップの総変位量が第2の所定の値を超えていると、前記溶着対象物の溶着状況を不良と判定するとともに、前記総変位量が前記第2の所定の値以下であると、前記溶着対象物の溶着状況を良と判定する判定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波溶着装置。
  3. 駆動源により振動されるチップと、前記チップに相対するアンビルと、を備え、前記チップとアンビルとの間に複数の溶着対象物を挟んで、前記駆動源によりチップを振動させて該振動を前記溶着対象物に伝えることで、前記溶着対象物を互いに溶着する超音波溶着装置において、
    前記チップの振動する際の速度を検出可能な検出手段と、
    前記検出手段が検出した前記チップの振動する際の速度から超音波溶着開始からの前記チップの総変位量を算出する算出手段と、
    前記算出手段が算出した前記チップの総変位量が第2の所定の値を超えていると、前記溶着対象物の溶着状況を不良と判定するとともに、前記総変位量が前記第2の所定の値以下であると、前記溶着対象物の溶着状況を良と判定する判定手段と、
    を備えたことを特徴とする超音波溶着装置。
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