JP4102416B2 - ゲル状殺菌消毒用組成物 - Google Patents
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Description
項1. 下記の(a)、(b)、及び(c)を含むことを特徴とする殺菌消毒用組成物。
(a) エタノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール
(b) ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸とポリアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、及びポリアクリル酸塩とポリアクリル酸アルキルエステルとの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボキシビニルポリマー
(c) 寒天
項2. アルコールの含有比率が、組成物全体に対して40〜95%(v/v)である項1に記載の殺菌消毒用組成物。
項3. 寒天が、天然寒天より分子が短い低強度寒天である項1又は2に記載の殺菌消毒用組成物。
項4. 低強度寒天が、寒天濃度1.5%(w/w)のゲルである場合のゼリー強度が10〜250g/cm2である寒天である項3に記載の殺菌消毒用組成物。
項5. 低強度寒天が、酸処理、アルカリ処理、又は熱処理により天然寒天の分子を切断することにより得られるものである項3に記載の殺菌消毒用組成物。
項6. 寒天の含有量が、組成物全体に対して0.05〜5%(w/v)である項1〜5のいずれかに記載の殺菌消毒用組成物。
項7. カルボキシビニルポリマーの含有量が、組成物全体に対して0.01〜4%(w/v)である項1〜6のいずれかに記載の殺菌消毒用組成物。
項8. さらに、セルロース及びセルロース誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む項1〜7のいずれかに記載の殺菌消毒用組成物。
項9. さらに、炭素数12〜22の脂肪族高級アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む項1〜8のいずれかに記載の殺菌消毒用組成物。
本発明の殺菌消毒用組成物は、以下の(a)、(b)、及び(c)を含むことを特徴とする。
(a) エタノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール
(b) ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸とポリアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、及びポリアクリル酸塩とポリアクリル酸アルキルエステルとの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボキシビニルポリマー
(c) 寒天
殺菌成分のアルコールはエタノール、イソプロパノール、及びそれらの組み合わせのいずれであってもよい。特にエタノールが好ましい。
本発明の組成物にカルボキシビニルポリマーが含まれることにより、組成物に粘性を与えるとともに、アルコール濃度が高い場合の寒天の析出が防止される。カルボキシビニルポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸とポリアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、及びポリアクリル酸塩とポリアクリル酸アルキルエステルとの共重合体からなる群より選ばれるポリマーの1種又は2種以上を使用する。
各成分の混合時にポリアクリル酸を使用する場合でも、後述するようにアルカリを添加してpHを調整すると、結果として得られる組成物中では、その一部又は全部がポリアクリル酸塩になっている場合がある。好ましくは、アルコールとカルボキシビニルポリマーと寒天とを混合する時に低粘度のポリアクリル酸を使用し、pH調整によりその一部又は全部をポリアクリル酸塩として粘度を上げればよい。また、混合時からポリアクリル酸塩を使用するのも好ましい。
ポリアクリル酸塩としては、ポリアクリル酸;ポリアクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;ポリアクリル酸のモノエタノールアミン、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩のようなアミン塩;ポリアクリル酸のアンモニウム塩などを使用できる。中でも、アルカリ金属塩が好ましい。
ポリアクリル酸アルキルエステルとしては、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸プロピルなどが挙げられる。
本発明では、増粘剤として、カルボキシビニルポリマーと寒天とを組み合わせ使用することにより、アルコール殺菌剤を含む組成物に、実用上十分な粘性、糊感のない使用感、及び保湿性を与えることができる。
中でも、寒天濃度1.5%(w/w)のゲルである場合のゼリー強度が10〜250g/cm2程度の低強度寒天が好ましい。上記ゼリー強度範囲であれば、組成物の粘性を十分に保ちつつ、低強度寒天使用の効果を十分に得ることができる。
また、上記ゼリー強度の低強度寒天は、伊那食品工業株式会社から「ウルトラ寒天」の名称で市販されている。
低強度寒天としては、寒天ゲルの圧縮モードにおけるレオロジー特性において、シェアレート(Share rate)0.005(1/s)で20%変形時の応力が20,000Pa以上であり、かつ応力が初期応力の半分になるまでの応力緩和時間が8秒以上であるものも好ましい。
このような応力及び応力緩和時間を有する低強度寒天は、例えば、原料海藻をその硫酸根含量に応じて度合いが調整されたアルカリ処理を行った後、水洗により十分にアルカリを除去し、より中性付近の熱水で寒天成分を抽出濾過し、ゲル化した後脱水及び乾燥することにより製造することができる。アルカリ処理は、苛性ソーダ,苛性カリ,消石灰,生石灰及び水酸化アンモニウムから選ばれた処理液を用いて行い、処理液濃度0.1〜10.0%程度、処理温度0〜100℃程度、及び処理時間1〜180分程度の範囲で処理度合いを調整すればよい。硫酸根含量が1〜10%の原料海藻の場合、原料海藻のアルカリ処理を行うことなく、また抽出後の酸処理を行うことなく、中性の熱水による抽出により、上記応力及び応力緩和時間を有する低強度寒天を得ることができる。アルカリ処理も酸処理も行わないことにより透明なゲルが得られる。上記応力及び応力緩和時間を有する低強度寒天は、具体的には、特開2000−157225号公報に記載の方法で製造することができる。
また、上記応力及び応力緩和時間を有する低強度寒天は、伊那食品工業株式会社から「ウルトラ寒天」の名称で市販されている。
本発明の組成物には、炭素数12〜22の直鎖又は分岐鎖の脂肪族高級アルコールが含まれることが好ましい。組成物にこのような高級脂肪族アルコールが含まれることにより、組成物を手にとって手を擦り合わせるときに一層滑らかに良くのびるようになり、乾燥させた後にも一層サラッとした使用感が得られる。また、乾燥する瞬間にも摩擦感又はツッカカリ感を感じないものとなる。
炭素数12〜22の脂肪族高級アルコールは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の補助的な増粘剤が含まれていてよい。その他の増粘剤としては、セルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;アクリル酸−澱粉グラフト共重合体架橋物、N−ビニルアセトアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体等のアクリル酸又はその塩を構成成分のひとつとする共重合体;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリエチレンオキサイド;メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体;ポリアクリルアミド;アルギン酸;アルギン酸ナトリウム;アルギン酸プロピレングリコールエステル;ゼラチン;アラビアゴム;トラガントゴム;ローカストビーンガム;グアガム;タマリンドガム;キサンタンガム;ジェランガム;カラギーナン等が挙げられる。補助的な増粘剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の組成物は、カルボキシビニルポリマーの増粘のために、pHが4〜9程度であることが好ましい。このため、本発明の組成物には、必要に応じてpH調整剤が含まれる。pH調整剤は、医薬品や化粧品などの皮膚外用に適したものであればよく、特に限定されない。このようなpH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウムのようなアンモニウムの水酸化物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンのようなアルカノールアミン;2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールのようなアルキルアミン;リジン、アルギニンのような塩基性アミノ酸;POEアルキルアミンなどが挙げられる。中でも、アルコールへの溶解性が良い点で、アルカノールアミンが好ましく、ジイソプロパノールアミンがより好ましい。
pH調整剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の殺菌消毒剤を含んでいてよい。このような殺菌消毒剤としては、アクリノール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、セチルリン酸化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化メチルロザニリン、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ポビドンヨード等のヨードホール、ヨードホルム、マーキュロクロム、アルキルポリアミノエチルグリシン、チメロサール、プロノポール、レゾルシン、ヒノキチオール、トリクロサン、フェノール及びその誘導体、グルコン酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンのようなクロルヘキシジン塩等が挙げられる。
なお、本発明の組成物は手に塗った後に洗い流さずに乾燥させるものであるため、グルコマンナンのように、水やアルコールと均一に混ざり合わない成分は含まれないことが好ましい。
本発明の組成物は、各成分を混合し、加温して寒天、及び場合により脂肪族高級アルコールなどの常温で固体の成分を溶解させ、通常はpHを調整することにより得ることができる。
(1)殺菌消毒用組成物の調製
後掲の表1に示す各成分を順次撹拌混合し、100mLとした。尚、寒天は90℃付近の熱水に溶解し、撹拌冷却後、混和した。カルボキシビニルポリマーは、ノベオン社製のカーボポールUlterz10を用いた。寒天は、伊那食品工業社製の低強度寒天AX−30を用いた。この低強度寒天の濃度は1.5%(w/w)のゲルとした場合のゼリー強度は約30g/cm2である。ゼリー強度は、日寒水式ゼリー強度測定計を用いて測定した。
実施例1及び比較例2(ゴージョーMHS)の各殺菌消毒用組成物を適量(500円玉程度の大きさ)手に取り、手指全体に馴染むように擦り込んで乾燥させた。各パネラーがこの動作を1日5回行い、手からの組成物の液ダレを、「こぼれる」、「少しこぼれる」、「こぼれない」の3段階で評価した。パネラーの数は実施例1の組成物については31人とし、比較例2の組成物については30人とした。各段階の評価を下したパネラーの人数の比率を下記の表2に示す。
(3-1)ベタツキ感・乾燥感の評価
実施例1及び比較例2(ゴージョーMHS)の各組成物を、前述した液ダレ評価の場合と同様にしてパネラーが使用し、乾燥後の状態を評価した。評価は、「ベタツキ又は乾燥を感じる」、「ややベタツキ又は乾燥を感じる」、及び「適当」の3段階で評価した。パネラーの数は実施例1の組成物については31人とし、比較例2の組成物については30人とした。各段階の評価を下したパネラーの人数の比率を下記の表3に示す。
実施例1〜5、及び比較例1の各組成物を、前述した液ダレ評価の場合と同様にしてパネラーが使用し、乾燥後の状態を、「ベタツキ又はザラツキを感じる」、「ベタツキ又はザラツキを殆ど感じない」、及び「ベタツキ又はザラツキを感じない」の3段階で評価した。パネラーの数は2人とした。結果を下記の表4に示す。
実施例1及び比較例2の各組成物について、平均摩擦係数(MIU)及び平均摩擦係数の変動(MMD)を測定した。MIUは、人が物体の表面を擦るときに感じる「滑り易さ」又は「のび」と相関があり、この値が大きいほど滑り難く、即ちのび難いことを示す。MMDは、人が物体の表面を擦るときに感じる「滑らかさ」と相関があり、この値が大きいほど滑らかさが大きいことを示す。
MIUはシリコーン製摩擦感センサーにより感知される摩擦抵抗値の積分に0.1の係数を掛け、MMDはシリコーン製摩擦感センサーにより感知される摩擦抵抗の変動値の積分に0.01の係数を掛けて算出した。具体的には、KES−FB SYSTEM データ計測プログラムを用いたデータ処理により算出した。
結果を以下の表5及び図1に示す。
実施例1及び比較例2(ゴージョーMHS)の各組成物の100μLを、8人のパネラーが腕に塗布し、30分間放置した後、精製水10μLを滴下し、30秒後に拭き取り、その直後、30秒後、60秒後、90秒後、及び120秒後に、皮膚角質部分の水分含有量を測定した。皮膚角質部分の水分含有量は、皮膚角質水分量測定装置(アイ・ビイ・エス社製、SKICON−200EX)を用いて測定した。30秒後、60秒後、90秒後、及び120秒後の各水分保持量の平均値の、精製水拭き取り直後の水分含有量に対する比率(水分保持率)を求めた。水分保持率が大きいほど保湿性がよいことを示す。
Claims (7)
- 下記の(a)、(b)、及び(c)を含むことを特徴とする殺菌消毒用組成物。
(a) エタノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール
(b) ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸とポリアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、及びポリアクリル酸塩とポリアクリル酸アルキルエステルとの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボキシビニルポリマー
(c) 天然寒天より分子が短く、寒天濃度1.5%(w/w)のゲルである場合のゼリー強度が10〜250g/cm 2 である低強度寒天 - アルコールの含有比率が、組成物全体に対して40〜95%(v/v)である請求項1に記載の殺菌消毒用組成物。
- 低強度寒天が、酸処理、アルカリ処理、又は熱処理により天然寒天の分子を切断することにより得られるものである請求項1又は2に記載の殺菌消毒用組成物。
- 低強度寒天の含有量が、組成物全体に対して0.05〜5%(w/v)である請求項1〜3のいずれかに記載の殺菌消毒用組成物。
- カルボキシビニルポリマーの含有量が、組成物全体に対して0.01〜4%(w/v)である請求項1〜4のいずれかに記載の殺菌消毒用組成物。
- さらに、セルロース及びセルロース誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜5のいずれかに記載の殺菌消毒用組成物。
- さらに、炭素数12〜22の脂肪族高級アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜6のいずれかに記載の殺菌消毒用組成物。
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