JP4101976B2 - ヒト由来シアル酸転移酵素及びそれをコードするdna - Google Patents

ヒト由来シアル酸転移酵素及びそれをコードするdna Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シアル酸転移酵素及びそれをコードするDNAに関する。より詳細にはラクトシルセラミドのガラクトース残基にシアル酸を転移してガングリオシドGM3を合成する酵素及びその酵素をコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒト骨髄性白血病細胞株HL−60は悪性転換により無限増殖能を獲得した細胞株であり、白血病細胞のモデルとして一般的に広く用いられている(Collins, S.J., Gallo, R.C., and Gallagher, R.E., Nature (London), 270, 347-349(1977); Collins, S.J., Blood, 70, 1223(1987))。上記細胞株は、培養を続けた際にも分化することはなく未分化な細胞のまま増殖を続けるが、上記細胞株の培養培地に分化誘導剤として広く用いられているホルボールエステルを添加して培養を続けると、細胞増殖を停止し、単球或いはマクロファージと同様な形態を示すようになり、分化が誘導される。その過程でガングリオシドの一種であるGM3量が顕著に増大すること(Nojiri, H., Takaku, F., Tetsuka, T., and Saito, M., Blood, 64, 534-541(1984))、及び上記ガングリオシドGM3を外来性に添加した際もホルボールエステルを添加した際と同様の変化、すなわち単球系分化が細胞に起こることが報告されている(Saito, M., Terui, Y., and Nojiri, H., Biochem. Biophys. Res. Commun., 132, 223-231(1985))。また、この分化の過程において、GM3そのものが分化誘導活性を有していること(Nojiri, H., Takaku., F., Miura, Y., and Saito, M., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 83, 782-786(1986))、さらに化学合成GM3によっても分化が誘導されることが証明されている(Sugimoto,M. and Ogawa,T., Glycoconj. J., 2, 5-9(1985); Saito, M., Nojiri, H., Ogino, H., Yuo, A., Ogura, H., Itoh, M., Tomita, K., Ogawa, T., Nagai, Y., and Kitagawa, S., FEBS Lett., 271, 85-88(1990))。
【0003】
一方、シアル酸含有糖脂質、その中でも特にガングリオシドが様々な生物現象において重要な機能を担っていることが明らかとなり、その機能のみならず生合成が解明されつつある。脊椎動物において、多くのガングリオシド(ガングリオ系ガングリオシド)は主要ガングリオシドのうちで最も単純な構造を持つGM3を共通の前駆体としており、主要な機能を持つガングリオシドの生合成の根幹をGM3の合成がなしている。
【0004】
上述のようにガングリオシドGM3はそれ自体が細胞・組織の増殖・分化に関与するとともに脊椎動物においては様々な機能を有するより高級なガングリオシド群の前駆体となっていることが示唆されている。
【0005】
M3は、CMP−シアル酸:ラクトシルセラミドシアル酸転移酵素(CMP-NeuAc;Galβ1-4Glcβ1-1'Cerα2,3-sialyltransferase:SAT-1)によってラクトシルセラミド中のガラクトース残基にシアル酸が転移することによってラクトシルセラミドから合成されると考えられているが、ヒト由来の当該酵素は単離されておらず、またその遺伝子も特定されていない。
【0006】
ガラクトシド構造にシアル酸をα2−3ケトシド結合を介して転移する酵素としては、Wienstein et al., J. Biol. Chem., 257, 13835(1982)、Gillespie et al., Glycoconj., 7, 469(1990)、Gillespie,W., Kelm,S. and Paulson,JC., J. Biol. Chem., 267, p21001-21010(1992)、Lee,YC., Kojima,N., Wada,E., Kurosawa,N., Nakaoka,T., Hashimoto,T. and Tsuji,S., J. Biol. Chem., 269, p10028-10033(1994)、Kim,YJ., Kim,KS., Kim,SH., Kim,CH., Ko,JH., Choe,IS., Tsuji,S. and Lee,YC., Biochem. Biophys. Res. Commun., 228, p324-327(1996)、特開平5−336963号公報などが知られているが、いずれの酵素もGM3の合成への関与は知られておらず、ラクトシルセラミドにシアル酸をα2−3ケトシド結合で転移する酵素活性を示してはいない。Sandhoff,K.らは、α2−8シアル酸転移酵素(SAT4)と、GM3を合成する酵素が同一であると推定している(J. Biol. Chem., 268, 5341(1993))が、それは間接的な方法に基づく推定であり、物質として同一であることを裏付けているものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ガングリオシドGM3の重要性が明らかになるにつれてその生合成を解明、制御する試みがなされてきたが、GM3の合成に深く関わる上記シアル酸転移酵素はその酵素タンパク質精製の困難性のため未だヒトからは単離されておらず、遺伝子発現調節機構はもとより、タンパク質化学的解析及び酵素学的解析でさえ未だなされていない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記シアル酸転移酵素の遺伝子発現調節機構、タンパク質化学的解析及び酵素学的解析を進めることにより、細胞分化の制御を解明すべく鋭意検討を重ねた結果、発現クローニング法により上記GM3の合成に関与するシアル酸転移酵素をコードする塩基配列を有するヒト由来のcDNAの単離に成功し、当該cDNAの塩基配列をもとに上記シアル酸転移酵素の構造を明らかにした。その結果、当該酵素が既知のシアル酸転移酵素と相同性が低く、また前記Sandhoff,K.らが同一と推定したα2−8シアル酸転移酵素とも別の新規酵素であることが明らかとなった。
【0009】
すなわち、本発明は、配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号41〜362のアミノ酸配列を少なくとも含むポリペプチドを含み、ガラクトース残基の3位水酸基にシアル酸を転移する作用を有するシアル酸転移酵素を提供する。
【0010】
本発明のシアル酸合成酵素は、好ましくは、配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1〜362のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0011】
本発明のシアル酸合成酵素は、好ましくは、ラクトシルセラミドのガラクトース残基にシアル酸を転移してα2→3結合を形成し、ガングリオシドGM3を生成する活性を有する。
【0012】
本発明は、また、配列番号5記載のアミノ酸配列を少なくとも含むポリペプチドを含み、ガラクトース残基の3位水酸基にシアル酸を転移する作用を有するシアル酸転移酵素を提供する。
【0013】
また、本発明は、配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号41〜362のアミノ酸配列を少なくとも含みポリペプチド及びそれをコードするDNAを提供する。このポリペプチドは、好ましくは、配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1〜362のアミノ酸配列を有する。
上記DNAとしては、配列番号1記載の塩基配列を有するものが挙げられる。
【0014】
さらに、本発明は、上記DNAを含む組換えベクター、上記DNAが導入され、かつ該DNAが発現可能な形質転換体、および、この形質転換体を、好適な培地で培養し、上記DNAがコードするシアル酸転移酵素又はそのポリペプチドを培養物中に生成蓄積させ、その培養物からシアル酸転移酵素又はそのポリペプチドを採取することを特徴とする、シアル酸転移酵素又はそのポリペプチドの製造方法を提供する。
【0015】
なお、本明細書において「酵素をコードする」とは、当該酵素のポリペプチドをコードすることを意味する。また、本明細書中では、以下、シアル酸供与体からシアル酸受容体であるラクトシルセラミドに含まれるガラクトース残基の3位水酸基へ選択的にシアル酸を転移してα2→3結合を形成しガングリオシドGM3を生成する活性を有する本発明のシアル酸転移酵素を便宜的にシアル酸転移酵素−1又はSAT−1とも記載する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
<1>本発明のシアル酸転移酵素−1(本発明酵素)及びそれをコードするDNA(本発明DNA)
本発明酵素は、配列番号2のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号41〜362のアミノ酸配列を少なくとも含むポリペプチドを含み、ガラクトース残基の3位水酸基にシアル酸を転移する作用を有する。
【0018】
本発明酵素は、通常には、以下のような理化学的性質を有する。
▲1▼作用:
シアル酸供与体から、シアル酸受容体であるラクトシルセラミドに含まれるガラクトース残基の3位水酸基へ選択的にシアル酸を転移してガングリオシドGM3を生成する。すなわち、上記シアル酸受容体のガラクトース残基の3位の水酸基以外には実質的にシアル酸を転移しない。シアル酸供与体としてはCMP−シアル酸が好適には挙げられる。
【0019】
好ましくは、さらに、以下のような理化学的性質を有する。
▲2▼至適反応pH:
本酵素は、実施例中に記載の酵素活性測定方法において、酵素反応液のpH6.0〜7.0の範囲、特にpH6.5付近で高いシアル酸転移活性を有する。
▲3▼阻害及び活性化:
10mM Mn2+存在下で、非存在下と比して1.5倍以上に活性が上がる。
【0020】
また、本発明酵素には、ガラクトース残基の3位水酸基にシアル酸を転移する作用(好ましくは上記▲1▼の作用)を有し、配列番号5のアミノ酸配列を少なくとも含むポリペプチドを含むものも包含される。配列番号5のアミノ酸配列は一般的にシアル酸転位酵素に存在するいわゆるシアリルモチーフに相当する配列であり、通常には、シアル酸転移酵素−1のポリペプチドのアミノ酸配列において、配列番号2のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号136〜183の部分に相当する部分に存在する。
【0021】
本発明DNAには、上記のポリペプチドをコードしているものが包含され、これらのポリペプチドをコードしているのであればその塩基配列は特に限定されない。
【0022】
すなわち、配列番号2のアミノ酸配列は、ガラクトース残基の3位水酸基へシアル酸を転移する活性を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入又は転位を有していてもよく、そのようなアミノ酸配列の置換、欠失、挿入又は転位を有するポリペプチドをコードする、塩基配列の置換、欠失、挿入及び転位を有するDNAのいずれもが本発明DNAに包含される。本明細書における「アミノ酸の数個」とは当該酵素の活性が失われない程度の、変異を起こしてもよいアミノ酸の数を示し、例えば360アミノ酸残基からなるポリペプチドの場合、20程度以下、好ましくは10程度以下の数を示す。当該酵素の活性の測定法は公知の方法(特開平7−327678号公報)において宿主細胞に導入するcDNAと酵素の基質を変更することによって容易に行うことが可能であり、例えば本明細書中において具体的に示した方法により当業者であれば容易に実施可能であるため、目的とする酵素活性の有無を指標として、該活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入又は転位を容易に選択することができる。DNAの塩基配列の置換、欠失、挿入又は転位は、両末端に制限酵素切断末端を持ち、変異点の両側を含む配列を合成し、未変異DNAが有する塩基配列の相当する部分と入れ換えることにより、DNAに導入することができる。また、部位特異的変異法(Kramer,W. and Frits, H. J., Meth. in Enzymol., 154, 350(1987); Kunkel,T.A. et al., Meth. in Enzymol., 154, 367(1987))などの方法によっても、DNAに置換、欠失、挿入又は転位を導入することができる。
【0023】
また、配列番号2のアミノ酸配列は、ヒト由来のものであるが、個体間においてアミノ酸配列に活性に影響を与えない相違があり得ること(同等の活性の変異体が存在し得ること)が当然に予想される。従って上記のガラクトース残基の3位水酸基へシアル酸を転移する活性を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入又は転位は、個体間変異程度の範囲内であることが好ましい。
【0024】
本発明DNAとして具体的には配列番号2のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列又はその部分塩基配列を有するDNAが挙げられ、かつ好ましいがこれに限定はされない。上記の「部分塩基配列を有するDNA」とは、例えばシアル酸転移酵素−1のポリペプチド(特に、配列番号2のアミノ酸配列においてアミノ酸番号30〜362、38〜362、41〜362又は136〜183のアミノ酸配列の部分)をコードするDNAとハイブリダイズしシアル酸転移酵素−1のDNAを検出するためのプローブとして使用することができる又はそれによってコードされるポリペプチドがシアル酸転移酵素−1活性を有するあるいはシアル酸転移酵素−1と同様の抗原性を有するDNA又はそれに相補的なDNAもしくはRNAを示す。上記ハイブリダイズは、一般にスクリーニング等のDNA又はRNAとDNAをハイブリダイズさせる際に用いられている方法によって行えばよく、例えば、DNAのスクリーニングなどに使用される条件としては、50%ホルムアミド、5×SSPE(塩化ナトリウム/リン酸ナトリウム/EDTA緩衝液)、5×デンハルト溶液(Denhardt's solution)、0.5%SDSと50μg/mlの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で目的DNAをプレハイブリダイズし、32Pラベルした本発明DNA(例えば配列番号1記載の塩基配列を有するDNA)を添加し、42℃で16時間ハイブリダイズさせた後、55℃で1×SSPE、1%SDS、さらに0.1×SSPE、0.1%SDSにより洗浄することが挙げられる。一般的なハイブリダイズは上述のような条件下で行われることが多いが、当業者であれば同様のハイブリダイズを目的として各溶液の組成や詳細な条件を変更することにより同様のハイブリダイズを行うことが可能であるため、同様な効果を得ることが可能な条件であれば上述の条件に特に限定はされない。
【0025】
本発明DNAが有する塩基配列としてより具体的には、配列番号1に示す全塩基配列又はその部分配列を有するDNAが挙げられ、かつ好ましい。このようなDNAとして具体的には、配列番号1における塩基番号278〜1363、365〜1363、389〜1363、398〜1363又は682〜826の塩基配列からなるDNAが挙げられる。
【0026】
配列番号1に示す塩基配列においては、シアル酸転移酵素−1のcDNAのオープンリーディングフレームの5'末端部に3つのイン・フレームのATGコドンが含まれている。3つのATGコドンの周囲の塩基配列は、全て−3の位置のプリンが保存されている。このことは効率的な翻訳に関するKozakの知見(Kozak, M. (1986) Cell, 44, 283-292)を満足しており、いずれのATGコドンも開始コドンとして機能する可能性がある。
【0027】
ところで、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼは、フレーム内に2つのATGコドンを含むことが知られている(Nakazawa, K. et al. (1988) J. Biochem, 104, 165-168、Shaper, N. et al. (1988) J. Biol. Chem., 263, 10420-10428)。また、Shaperらは、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼは、2箇所からの翻訳開始の結果、長いものと短いものとの両方の形態が合成されることを示している。さらに、Lopezらは、長い形態のものは原形質膜を優先的に標的とし、短い形態のものは主としてゴルジ体内に存在することを示唆する証拠を示している(Lopez, L. et al. (1991) J. Biol. Chem., 266, 15984-15591)。同様に、シアル酸転移酵素−1についても、複数のATGコドンが開始コドンとして機能する可能性はあるが、定かではない。しかし、いずれのATGコドンが開始コドンであっても、上記のシアル酸転移酵素−1のポリペプチドをコードする点では同じであり、第2番目、第3番目のATGコドンから始まる塩基配列を有するDNAも本発明に包含されるものである。従って、シアル酸転移酵素−1のポリペプチドは配列番号2記載のアミノ酸配列において少なくともアミノ酸番号41〜362に相当する領域を有するものである。
【0028】
配列番号1の最初のATGコドンで始まる単一のオープンリーディングフレームからは、362アミノ酸残基からなり、分子量41,754Da、N−結合グリコシレーション部位である可能性がある2カ所の部位を有するタンパク質が予測される。このアミノ酸配列から作成したハイドロパシープロット(図1)から、N末端から16〜29番目のアミノ酸残基に渡る長さ14残基の連続した1つの顕著な疎水性部分が認められ、トランスメンブレンドメイン(膜貫通領域)を有することが予想される。
【0029】
尚、遺伝暗号の縮重による異なった塩基配列を有するDNAも本発明DNAに包含されることは、当業者であれば容易に理解されるところである。
【0030】
また、本発明DNAには、本発明DNAに相補的なDNA又はRNAも包含される。さらに本発明DNAは、SAT−1をコードするコード鎖のみの一本鎖であってもよく、この一本鎖およびこれと相補的な配列を有するDNA鎖又はRNA鎖からなる二本鎖であってもよい。
【0031】
また、本発明DNAは、SAT−1のポリペプチド全体をコードするコード領域全長の塩基配列を有していてもよく、またSAT−1のポリペプチドの一部分をコードする塩基配列を有するものであってもよい。
【0032】
上述のようにSAT−1のポリペプチドは膜貫通領域を有するが、膜内の末端にあたるN末端部から当該膜貫通領域を含む領域を欠失したSAT−1のポリペプチドの部分もまた本発明のポリペプチドに包含される。また、このようなポリペプチドがSAT−1としての活性を有する限り、本発明のシアル酸転移酵素に含まれるポリペプチドの範疇である。このようなポリペプチドを具体的に例示すると、例えば配列番号2に示すアミノ酸配列におけるアミノ酸番号30〜362、38〜362又は41〜362などが挙げられる。
【0033】
<2>本発明DNAの製造方法
以下、本発明DNAを得る方法について説明する。本発明によりSAT−1のポリペプチドのアミノ酸配列が明らかにされたので、その配列に基づいて作成したオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCR法(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション法)によって染色体DNAあるいはmRNAから本発明DNAを増幅することによって取得することも可能である。また、特に以下の各工程からなる発現クローニング法により製造することが可能である。
(1)ヒト由来の癌細胞を分化誘導剤で処理することにより分化させる。
(2)分化した癌細胞からcDNAライブラリーを作成し、宿主細胞に導入する。
(3)ガングリオシドを細胞膜上に発現した宿主細胞を検出する。
(4)上記で検出された宿主細胞をソーティングして、ライブラリーを濃縮する。
(5)濃縮したライブラリーから導入した遺伝子を切り出す。
【0034】
スクリーニングによって、通常には上記SAT−1の完全長cDNAを選択する。
【0035】
以下に、本発明DNAを製造する方法の一例を具体的に説明する。
(1)癌細胞の分化誘導
癌細胞としては、ヒト由来の浮遊系細胞が好ましく、そのような癌細胞として血球系のリンパ種及び白血病のヒト由来の細胞が挙げられ好ましい。そのような細胞として、例えばヒト由来のHL−60(ATCC CCL240)、MOLT−4(ATCC CRL1582)、U937(ATCC CRL1593)等の細胞が好ましく、新鮮骨髄性白血病細胞なども用いることが可能である。そのような癌細胞の中でも、特にHL−60が分化誘導を行いやすいため好ましい。培養したこの癌細胞株に分化誘導剤を添加して20時間以上、好ましくは24〜48時間程度培養することによって分化を誘導する。培養法としては使用する細胞によって適した条件下で行えばよいが、通常、一般的な細胞培養条件として5〜7vol%CO2、95〜93vol%空気条件下で37〜38℃が挙げられる。分化誘導剤としては例えばホルボールエステル(12-O-テトラデカノイルホルボールエステル(TPA)など)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、レチノイン酸(RA)及び1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1α,25(OH2)D3)等が挙げられ、特に限定はされないが、その中でもTPAが多くの白血病細胞株に対して比較的同様な分化誘導活性を有するため好ましい。例えば癌細胞としてHL−60、分化誘導剤としてTPAを使用する場合は、24nM程度のTPA存在下で48時間培養することにより、HL−60は単球・マクロファージ様に分化し、形態の変化が観察される。
【0036】
(2)分化した癌細胞からのcDNAの構築
▲1▼分化した癌細胞からのRNAの調製
上記(1)で分化を誘導した癌細胞を好ましくは500〜2000×gで遠心処理により回収し、細胞から例えばグアニジンチオシアネート/CsCl法(Kingston, R. E.,(1991) in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, New York)等の公知の方法により全RNAを調製する。このようにして得られる全RNAから、オリゴdT(oligo-(dT))セルロースカラムクロマトグラフィー等によってポリ(A)+RNAを精製する。
【0037】
▲2▼ポリ(A)+RNAからのcDNAの構築
上記ポリ(A)+RNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチドプライマーを用いた逆転写PCRにより、癌細胞由来のcDNAを増幅することができる。PCRは、通常の方法と同様にして行えばよいが、具体的方法を示すならば以下の通りである。1μlのポリ(A)+RNA、それぞれ100pmolのオリゴdTとランダムオリゴヌクレオチドプライマー、それぞれ500μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、200単位のM−MLV逆転写酵素(ギブコBRL(Gibco BRL))、1mMジチオスレイトール(DTT)、120単位のRNase(リボヌクレアーゼ)インヒビター(宝酒造(株)製)を含む緩衝液(終体積20μl)を50℃で60分間インキュベートし、cDNA一次鎖を合成する。次に、上記の逆転写反応混合液5μl、各100pmolのランダムオリゴヌクレオチドプライマー、それぞれ250μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、1.25単位のTaqポリメラーゼを含む反応液(終体積50μl)に対し、95℃1分、46〜62℃1分、72℃2分を35サイクル繰り返して行う。
【0038】
このようにして得られた癌細胞のcDNAは、発現ベクターに保持させた後、宿主細胞に導入して宿主細胞をスクリーニングするために使用される。宿主細胞としては、哺乳類由来の細胞株で、ラクトシルセラミド陽性である細胞であれば用いることができる。そのような細胞株としては例えばヒトナマルバ(Namalwa)細胞(細井ら:Cytotechnology, 1, 151(1988))、チャイニーズハムスター由来のCHO細胞(ATCC CCL61等)、サル由来のCOS細胞(ATCCCRL1650等)、マウス由来の3LL細胞(Taniguchi,S.(信州大学加齢適応研究センター))などが挙げられる。しかし、本発明においてSAT−1の酵素活性の検出をより容易にすることが可能であるため、更にGM3陰性の培養細胞が好ましい。そのような細胞としては3LL細胞の突然変異株である3LL−HK46細胞(Inokuchi,J.(生化学工業(株)))が挙げられ、好ましい。発現ベクターとしてはpCEV18(Maruyama,K.(東京大学医科学研究所、現東京医科歯科大学)より恵与)、pCXN2(Niwa, H., Yamamura, K. and Miyazaki, J. (Gene, 108, p193-200(1991))、pFLAG−CMV−2(Eastman Kodak製)、pAGE107(Miyajiら, Cytotechnology, 3, 133(1990))、pAS3−3(特開平2−227075号公報)、pAMoERC3Sc(特開平5−336963号公報)、pcD2(Chen,C.ら, Mol. Cell. Biol., 7, 2745-2452(1987))などが挙げられ、使用する宿主細胞に合わせて適宜選択される。例えば宿主細胞として3LL−HK46を使用した場合は、pCEV18を発現ベクターとして使用することが好ましい。上記で癌細胞のポリ(A)+RNAを基に調製されたPCR産物のベクターへの導入は、公知の方法から使用するベクターに適した方法が選択される。
【0039】
▲3▼cDNAライブラリーの宿主細胞への導入
上記の方法により構築したcDNAライブラリーを公知の手法を用いて宿主細胞へトランスフェクションする。具体的には、例えばエレクトロポレーション法(Miyajiら,Cytotechnology, 3, 133(1990))、リン酸カルシウム法(特開平2−227075号公報)及びリポフェクション法(Philip, L.F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413(1987))などが挙げられ適宜選択されるが、エレクトロポレーション法が好ましい。また、ヒトα2−8シアル酸転移酵素は、GM3からGD3を合成する酵素であり、該酵素をコードするDNAを導入した細胞はGM3合成が可能になると細胞膜上にGD3を発現し、このGD3の検出は容易であるので、SAT−1をコードするcDNAを検出する際に、より正確な酵素活性の検出を行うため、ヒトα2−8シアル酸転移酵素をコードするDNA(特開平7−327678号公報など)を宿主細胞に前もってトランスフェクションしておくこと、及び、同時にトランスフェクションすることも可能であり、また、好ましい。従って、例えばベクターとしてpCEV18を使用して構築したcDNAライブラリーを、宿主細胞としてのGD3合成経路を持たない3LL−HK46細胞に導入する際には、ライブラリーのcDNAを保持したpCEV18を、通常の3LL−HK46細胞に直接トランスフェクションしてもよいし、また、α2−8シアル酸転移酵素のcDNA導入したベクターと同時に3LL−HK46細胞にトランスフェクションしてもよい。また更に、予めα2−8シアル酸転移酵素を発現する3LL−ST28細胞に上記ライブラリーのcDNAを保持したpCEV18等の真核生物発現ベクターを用いてトランスフェクションしてもよい。なお、3LL−ST28は、3LL−HK46細胞にα2−8シアル酸転移酵素のcDNAを、pCEV18を用いて導入して作成したものである。
【0040】
(3)ガングリオシドを発現した宿主細胞の検出
cDNAライブラリーを導入した宿主細胞は、一般的な細胞培養条件下で培養される。cDNAを導入して24時間後以降、好ましくは36〜48時間後に宿主細胞を抗ガングリオシド抗体あるいはガングリオシドに結合するレクチンを用いた免疫染色により染色するが、抗体を用いる染色法がより正確であり好ましい。例えば、宿主細胞として3LL−HK46を用いた場合には、細胞膜上に発現したGM3を認識する例えば抗GM3モノクローナル抗体 M2590〔L612(ATCC CRL10724)が産生するモノクローナル抗体:J. Biol. Chem., 260, 13328-13333(1985)〕を用いて検出する。免疫染色は一般的な方法に従って行えばよい。また、宿主細胞として例えば上記の3LL−ST28を用いた場合には、本発明DNAが導入された際に生成されるGD3を検出する。GD3を検出するための免疫染色法としては通常用いられる一般的な方法(特開平2−327678号公報)によって行うことができる。その際に、使用する一次抗体としてはGD3を認識する抗体であれば特に限定はされないが、モノクローナル抗体が好ましく、そのような抗体としては例えば抗GD3モノクローナル抗体 R24〔ハイブリドーマ(ATCC HB8445)が産生するモノクローナル抗体:Cancer Res., 49, p191-196(1989)〕などが挙げられ、好ましい。上記の一般的な抗体を用いる免疫染色法が具体例として挙げられる。すなわち、上記培養後の宿主細胞(1×105個)をBSA溶液(0.1%BSA PBS(+))で2〜3回程度遠心洗浄し、一次抗体を含む100μlの前記BSA溶液に懸濁する。30分間氷冷下で反応させた後、上記BSA溶液で2回程度洗浄する。さらに一次抗体に対するFITC標識二次抗体1μlを含むBSA溶液100μl中で、氷冷条件下で30分間反応させる。BSA溶液で1回洗浄し、フローサイトメーター(FACScalibur:ベクトン・デッキンソン(Becton Dickinson)製)で、蛍光が強い細胞を検出する。蛍光の強い、例えば全体の5%の細胞をセルソーターで選別し、これからプラスミドDNAを抽出する。プラスミドDNAの宿主細胞からの抽出は一般的な公知の方法によって行われる。
【0041】
(4)SAT−1のcDNAのソーティングとcDNAの取得
上記の操作により得られたプラスミドDNAを、適当な宿主細胞株にトランスフェクションし、例えば上記抗GM3抗体を用いる免疫染色とフローサイトメーターによる全体の5%の強い蛍光を発する細胞の回収の操作を2回以上繰り返し、目的のcDNAをソーティングにより濃縮する。前記ソーティングに用いる宿主細胞としては、哺乳類の培養細胞が好ましく、特に3LL−HK46が好ましい。また、使用するベクターとしては哺乳類細胞用の発現ベクターであれば特に限定はされないが、pCEV18が好ましい。ソーティングによって濃縮した目的のcDNAを保持した前記ベクターを、pBKCMV(ストラタジーン社製)などの哺乳類細胞用の発現ベクターにヒトα2−8シアル酸転移酵素のcDNAを導入して作成した発現ベクターと同時に、3LL−HK46細胞等のGD3合成経路を有さない哺乳類由来の培養細胞にトランスフェクションし、上記と同様に免疫染色及びフローサイトメーターによる検出を行い、強蛍光を発する全体の5%の細胞を得る。この細胞から公知の方法によりプラスミドDNAを抽出する。
このプラスミドDNAから一般的な方法によってcDNAを切り出して得られたcDNAにより、大腸菌DH10B(E. coli DH10B:ギブコ社製)を形質転換し、これらを一穴あたり100コロニーを形成するよう植菌し、シブセレクションを行うことにより、最終的に約2.1Kbpのインサート(4C7)を含む単一のクローン、pCEV4C7を得ることができる。
【0042】
(5)SAT−1をコードするcDNA 4C7の塩基配列の決定
上記のようにして得られたcDNAはそのままあるいはpCRIIなどの適当なプラスミドにサブクレーニングして、既知の一般的な方法により塩基配列を決定することができる。
【0043】
上記のようにして決定されたSAT−1をコードするcDNAの塩基配列及びこの塩基配列から予想されるアミノ酸配列を配列番号1に、アミノ酸配列のみを配列番号2に示す。
【0044】
また、膜貫通領域を欠失した、すなわち可溶化タンパク質形態のSAT−1のポリペプチドをコードするDNAは以下のようにして取得することが可能である。すなわち、まず配列番号1に示す塩基配列に基づき、当該酵素のポリペプチドのN−末端側で適当な短縮化形態となるように選択したプライマーを合成し、クローン化したSAT−1のcDNAを鋳型としてPCR法により増幅する。例えば、N−末端の37アミノ酸残基が欠失した短縮化形態のポリペプチドをコードするDNAを得る場合には、例えば目的とする塩基配列の3'及び5'末端部に存在する塩基配列を基にオリゴヌクレオチドプライマーを合成する。例えば配列番号3及び4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーをそれぞれ5'プライマー及び3'プライマーとして用いてPCRを行えばよい。次いで、増幅して得られたPCR産物を必要により精製して目的DNAを得ることが可能である。
【0045】
<3>本発明DNAの塩基配列によってコードされるSAT−1のポリペプチド本発明は、上記の本発明DNAによってコードされるSAT−1のポリペプチドも提供する。本ポリペプチドは単独であってもよいし、他のポリペプチドと融合していてもよい。また、膜貫通領域を欠失していてもよい。
【0046】
本ポリペプチドは、糖鎖を有していても有していなくてもよい。また、糖鎖の種類にも特に限定はない。
【0047】
このようなポリペプチドは、例えば、後記のポリペプチドの製造方法によって得ることができ、また、上記の活性ないし機能の有無を判定することは、特開平7−327678号公報記載の酵素活性測定法において、宿主細胞に導入するcDNAと酵素の基質を変更することにより実施することが可能であり、例えば本明細書中に具体的に記載されている方法により、当業者であれば容易に行うことができる。
【0048】
<4>本発明DNAを利用したSAT−1又はそのポリペプチドの製造方法
上記本発明DNAで形質転換された細胞を、好適な培地で培養し、本発明DNAがコードするSAT−1又はそのポリペプチドを培養物中に生成蓄積させ、その培養物からSAT−1又はそのポリペプチドを採取することによって、SAT−1又はそのポリペプチドを製造することができる。
【0049】
本発明DNAで形質転換された細胞は、公知の発現ベクターに本発明DNAの断片を挿入して組換えプラスミドを構築し、この組換えプラスミドを用いて形質転換を行うことによって得ることができる。なお、本発明は、本発明酵素の製造に使用できる、本発明DNAを含む組換えプラスミドすなわち組換えベクター及び本発明DNAが導入されており、かつ該DNAが発現可能な形質転換体(例えば、上記組換えベクターを含む形質転換体)も提供するものである。
細胞としては大腸菌等の原核細胞や、哺乳類細胞等の真核細胞が例示される。大腸菌などの原核細胞を用いた際は、本発明DNAの発現によって生じるSAT−1のポリペプチドに糖鎖の付加が起こらないため、純粋にSAT−1のポリペプチドのみを得ることが可能であり、また、哺乳類細胞等の真核細胞を用いた際は、本発明DNAの発現によって生じるSAT−1のポリペプチドに糖鎖が付加される。そのため、糖鎖も含む通常のSAT−1と同様の形態で得ることが可能である。
【0050】
本製造方法においては、タンパク質の製造に通常用いられる宿主−ベクター系を使用することができる。3LL−HK46細胞、3LL−ST28細胞又はCOS−1細胞等の哺乳類由来の培養細胞とpCEV18、pME18S(丸山ら,Med. Immunol., 20, 27(1990))等の哺乳類細胞用発現ベクターとの組み合わせを採用することが好ましいが、特に限定はされない。培地や培養条件は、用いる宿主すなわち細胞に合わせて適宜選択される。
【0051】
本発明DNAは全長を直接発現させてもよいが、他のポリペプチドとの融合ポリペプチドとして発現させてもよい。また、本発明DNAの一部を部分ペプチドとして発現させてもよい。
【0052】
上記融合ポリペプチドを発現する組み換えプラスミドの構築の具体例としては以下の方法が挙げられる。すなわち、pGIR201protA(Kitagawa,H. and Paulson,J.C., J. Biol. Chem., 269, 1394-1401(1994))等のプラスミドに導入した遺伝子を融合タンパクとして発現させるように構築されたベクターに通常の方法により本発明のDNAを組み込み、複数のタンパク質の遺伝子を同一読み出し領域に有するベクターを構築する。ついで、このベクターから融合タンパク質をコードするNheI断片を切り出し、上記と同様の操作によりpCEV18等の適当なベクターに連結させる。
【0053】
培養物からのSAT−1又はそのポリペプチドの採取は、公知のポリペプチドの精製方法によって行うことができる。具体的には例えば、ラクトシルセラミドあるいはCMP−シアル酸などを結合したセファロースカラムを用いたアフィニティ−クロマトグラフィーが挙げられる。また融合ポリペプチドとして発現させた場合は、宿主細胞の培養物を、SAT−1と融合したポリペプチドに対し親和性の高い物質(例えば抗体など)を結合したアフィニティークロマトグラフィーに付することによって融合ポリペプチドを精製することが可能である。さらに、SAT−1と他のポリペプチドとの間にリンカー、例えば特定のタンパク分解酵素が認識して切断するアミノ酸配列を有するリンカーを予め組み込んでおくことにより、融合ポリペプチドを精製した後にリンカー部位で融合ポリペプチドを切断することにより、SAT−1を得ることが可能である。上記特定のタンパク質分解酵素とそれが認識する特定の配列の組合せとしては例えばプロインスリンの合成時に働くシグナルペプチダーゼとインスリンのシグナルペプチドの組合せが挙げられる。なお上記の培養物には、培地および当該培地中の細胞が包含される。
【0054】
シアル酸転移酵素の活性の測定方法としては、一般的なガングリオシド合成の測定法(特開平7−327678号公報など)において酵素の基質を変更することにより実施することが可能である。例えば上記培養物又は上記方法によって精製した酵素適量を、100mM カコジル酸ナトリウム、10mM 塩化マンガン、0.2mM CMP−放射性物質標識シアル酸、0.4mM ラクトシルセラミド、0.3%Triton CF−54を含む反応液をpH6.5に調整し、37℃で2時間保温した後、一般的な薄層クロマトグラフィーにより反応産物を展開し、フジックスBAS2000バイオ・イメージング・アナライザー(富士写真フィルム(株)製)により活性の測定を行うことができる。
【0055】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに詳説するが、本発明の目的を超えない限りこれに限定されるものではない。
【0056】
(1)HL−60細胞の分化誘導とcDNAの構築
2〜3×105個/mlHL−60をTPA 24nM、及10%牛胎児血清を含むRPMI−1640(ニッスイ製)中で5vol%CO2、95vol%空気、37℃の条件下で48時間培養し、分化を誘導した。上記細胞から、インビトロゲン社製のFast Track mRNA単離キットを用いてポリ(A)+シグナルを有するRNAを単離した。
【0057】
このポリ(A)+RNAを逆転写反応の鋳型とし、DNAの一次鎖を構築し、更にこのDNAを用いて2本鎖cDNAを合成した(Gubber, V. and Hoffman, B.J., Gene, 25, 283(1983))。
【0058】
このようにして得られた2本鎖cDNAに、制限酵素BstX1アダプター(インビトロゲン社製)を連結し、pCEV18のBSTX1部位に導入してcDNAライブラリーを構築した。このcDNAライブラリーを8つに分け、E.coli DH10B(ライフテクノロジー社製)に導入して増幅した。増幅したcDNAは、Qiagen社製のQiagen Tipを用いてプラスミドDNAを精製した。
【0059】
(2)cDNAの3LL−HK46細胞へのトランスフェクション
上記のcDNAライブラリーを含むプラスミドDNA100μgを、5×106個の3LL−HK46細胞にエレクトロポレーション法(180 V、600μF)を用いて導入し、38〜48時間、5vol%CO2、95vol%空気、37℃条件下で培養をした。
【0060】
(3)ガングリオシドを発現した宿主細胞の検出とcDNAの調製
培養後の3LL−HK46細胞を回収してPBS(-)で洗浄した後、抗GM3抗体であるM2590と30分間、氷冷下で反応させ、さらに氷冷下で30分間、FITC標識ウサギ抗マウスIgMモノクローナル抗体により免疫染色を行った。この染色した細胞をフローサイトメーター(FACScalibur)で蛍光が陽性の細胞を検出し、陽性側の5%の細胞をコウルター社製のEPICS Elite ESP セルソーターで回収し、プラスミドDNAを調製した後、さらに2回、3LL−HK46細胞へのエレクトロポレーション法による導入と48時間培養、免疫染色及びフローサイトメーターによる検出、回収を繰り返した。
【0061】
この方法で最終的に得られたプラスミドを、pBKCMVGD3(ストラタジーン社製のpBKCMVプラスミドベクターにヒトα2−8シアル酸転移酵素(GD3合成酵素)を導入したプラスミド)と共に5×106個の3LL−HK46細胞に導入した。この細胞を48時間培養した後、抗GD3抗体であるR24とFITC標識ウサギ抗マウスIgG抗体で免疫染色して、フローサイトメーターにより蛍光の強い細胞を検出し、蛍光が強い側の0.6%の細胞を、ベクトンディッキンソン社製のFACS Vantageセルソーターを用いて回収した。
【0062】
この細胞から、プラスミドDNAを調製し、エレクトロポレーション法によりこのプラスミドDNAで大腸菌DH10B(ライフテクノロジー社製)を形質転換した。トランスフェクションとアンピシリンによる選別とを2回繰り返した後、陽性コロニー群を96穴マイクロプレート1穴あたり100コロニーの割合で小分けした。9枚のマイクロプレートに植菌し、シブセレクション法を行い1穴に絞り込み、この1穴に由来する2,400コロニーを1穴あたり1コロニーの割合で、96穴マルチプレート25枚に広げ、更にシブセレクションを行い陽性クローン(pCEV4C7)を得た。
【0063】
特に3LL−ST28細胞を宿主細胞として使用すると、3LL−HK46細胞に本発明DNAを含むプラスミドDNAとpBKCMVGD3を共導入する方法と比較してフローサイトメトリー上で3倍以上の蛍光強度が得られたので、上述のシブセレクションにおいては共導入法ではなく、宿主細胞として3LL−ST28細胞を用いた。
【0064】
(4)塩基配列の決定
pCEV4C7の二本鎖DNAの塩基配列を、オートサイクルシークエンシングキット(ファルマシア社製)と、ファルマシア A.L.F. DNAシークエンサー(ファルマシア社製)を用いたデオキシチェーンターミネーション法により決定した。このように決定された塩基配列とその塩基配列から予測されるアミノ酸配列を配列番号1に、アミノ酸配列のみを配列番号2に示す。pCEV4C7が有するcDNAインサート4C7は2,359bpであり、278番目の塩基を翻訳開始点とする362アミノ酸残基を有するタンパク質(分子量41,754Da)をコードすることが明かとなった。アミノ酸配列から予測される構造の模式図を図1に示す。ハイドロパシープロットによる解析の結果、N末端部15番目から33番目のアミノ酸残基の領域に膜貫通領域が存在する2型膜タンパク質であることが判明した。この配列をGenBankに登録されている遺伝子データベースで検索した結果、高度に相同性を示す配列は認められなかった。しかし、シアル酸転移酵素の配列の中央部及びC末端側領域に存在するシアル酸転移酵素相同領域のシアリルモチーフ(L及びS)については、多少の置換が見られたものの、比較的高い相同性が認められた(図2)。比較に用いたシアル酸転移酵素は、ST3N-1; Biochem. Biophys. Res. Commun., 194, 375-382, 1993、ST3N-2; J.Biol. Chem., 268, 22782-22787, 1993、ST30-1; J. Biol. Chem., 269, 17872-17878, 1994、ST30-2; Eur. J. Biochem., 247, 558-566, 1997、SThM; GenBankTMデータベース、受入番号U14550、ST6N; J. Exp. Med., 172, 641-643, 1990、SAT-II; Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 91, 7952-7956, 1994、 STX; J. Biol. Chem., 270, 22685-22688, 1995、ST8SiaIII; GenBankTMデータベース、受入番号AF004668、 PST-1; Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 92, 7031-7035, 1995、ST8SiaV; Biochem. Biophys. Res. Commun., 235, 327-330, 1997のそれぞれに記載の11種である。この結果から、pCEV4C7のインサート4C7がコードするSAT−1はシアル酸転移酵素ファミリーに属すると裏付けられた。本発明DNAがコードするSAT−1には、シアリルモチーフL中に存在する177番目のアミノ酸において、他のシアル酸転移酵素と比較して特徴的なアミノ酸の置換が存在し(アスパラギン酸からヒスチジンへの置換)、またアミノ酸配列からN−グリコシレーションサイトにコンセンサスな配列が2つ存在することが示された(図1中、△で示す)。
【0065】
(5)SAT−1のcDNAを発現した細胞のGM3合成
上記SAT−1をコードするcDNA(4C7)を発現ベクターpCEV18に導入したpCEV4C7を、エレクトロポレーション法により3LL−HK46及び3LL−ST28に導入し、48時間培養後のこの細胞のGM3合成活性を以下の方法により測定した。対照としては、pCEV18を上記と同様に3LL−HK46及び3LL−ST28に導入した。0.1mM CMP−[14C]−シアル酸(2×103CPM)、0.4mMラクトシルセラミド、0.3%(W/V) Triton CF−54、10mM MgCl2、100mM カコジル酸ナトリウム、150μgのpCEV4C7(又は対照ベクター)を導入した宿主細胞のホモジナイズ液及び1mMのシアリダーゼ阻害剤(2,3−デヒドロ-2-デオキシ-N-アセチルシアル酸(2,3-dehydro-2-deoxy-NeuAc):ベーリンガー・マンハイム社製)を含むpH6.5の20μlの反応液を、37℃で2時間インキュベートした後、SepPak C18カラム(メルク社製)で脂質成分を精製した。精製物を乾固後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー 60HPTLCプレート(メルク社製)に供した。クロロホルム−メタノール−0.5%CaCl2水溶液(55:45:10, V/V/V)にて展開後、オルシノール硫酸により発色すると共に、ガングリオシドに取り込まれた放射活性をフジックスBAS2000バイオ・イメージング・アナライザー(富士写真フィルム(株)製)で測定した。その結果、pCEV4C7導入細胞において、14CのガングリオシドGM3への取り込みが検出され、SAT−1によるGM3合成が起こっていることが明らかになった。
【0066】
M3合成活性は、pH6.0〜7.0、特にpH6.5付近で高く、また、10mM Mn2+存在下で1.5倍以上上昇した。
【0067】
また、上述のpCEV4C7を導入した3LL−HK46細胞及び3LL−ST28細胞を、導入24時間後に免疫蛍光染色(3LL-HK46細胞については抗GM3抗体M2590、3LL-ST28細胞については抗GM3抗体R24をそれぞれ一次抗体として使用し、FITCを結合した抗マウスIgM抗体又はIgG抗体を二次抗体として使用した)し、フローサイトメトリーを用いて、染色された細胞の分布を測定した。対照としてpCEV18を導入したそれぞれの宿主細胞を免疫染色した細胞を使用した。結果を図4に示す。a及びbは3LL−ST28細胞、c及びdは3LL−HK46細胞であり、a及びcはpCEV18を導入したもの(対照)、b及びdはpCEV4C7を導入したものである。本発明DNAを保持したプラスミドDNAを導入した3LL−ST28が顕著な染色性を示していることが明らかである。3LL−HK46細胞においてこの方法によるGM3の検出が難しかったことは、細胞系により、細胞表面でのGM3の局在性等が異なることを示唆している。
【0068】
(6)組織等におけるSAT−1の発現
組織等におけるSAT−1の発現をノザンブロッティング法により確認した。すなわち、クロンテック社製のMTNブロットを使用し、pCEV4C7からEcoRIで切り出した2,066 bpのcDNAをアガロースゲル電気泳動で調製し、常法に従って[α32P]dCTPを用いて放射能ラベルを行って、放射能ラベルプローブを調製した。サンプル中のRNA量の標準化を行うために、内部標準としては放射能ラベルをしたヒトグリセルアルデヒド−3リン酸デヒドロゲナーゼのプローブを使用した。その結果、脳、胎盤、骨格筋、及び精巣において特にSAT−1が強く発現していることが明らかとなり、肝臓、腎臓、膵臓、及び大腸においては発現量が特に少ないことが明らかとなった。また、脳、胎盤、肺、骨格筋、脾臓、及び末梢血において、約7 kbの薄いバンドが現れた。
【0069】
脳におけるSAT−1の発現を詳細に調べるために、同じプローブを用いて小脳、大脳皮質、髄質、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、脊髄のノザンブロッティングも行った結果、大脳皮質、前頭葉、及び被殻において若干強く発現していたが、全体に渡って比較的強く発現していることが判明した。
【0070】
【発明の効果】
本発明によりラクトシルセラミドから細胞分化を誘導するガングリオシドGM3を合成するα2−3シアル酸転移酵素(SAT−1)のDNAが提供される。また、本発明により、GM3合成酵素であるα2−3シアル酸転移酵素が、上記DNAを使用することで容易に得られる。
【0071】
本発明により、SAT−1をコードするDNAが得られたので、その発現機構を解明することによる細胞分化のメカニズムの解明が期待される。
【0072】
【配列表】
<110> 生化学工業株式会社
<120> ヒト由来シアル酸転移酵素及びそれをコードするDNA
<130> P-6547
<160> 5
<210> 1
<211> 2359
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> CDS
<222> (278)..(1363)
<400> 1
ctgagcgggg gagcggcggc ccccagctga atgggcgcga gagcggcgct gggggcgggt 60
gggggcgcgg ggtaccgggc tggcggccgg ccggcgcccc ctcattagta tgcggacgaa 120
ggcggcgggc tgcgcggagc ggcgtcccct gcagccgcgg accgaggcag cggcggcacc 180
tgccggccga gcaatgccaa gtgagtacac ctatgtgaaa ctgagaagtg attgctcgag 240
gccttccctg caatggtaca cccgagctca aagcaag atg aga agg ccc agc ttg 295
Met Arg Arg Pro Ser Leu
1 5
tta tta aaa gac atc ctc aaa tgt aca ttg ctt gtg ttt gga gtg tgg 343
Leu Leu Lys Asp Ile Leu Lys Cys Thr Leu Leu Val Phe Gly Val Trp
10 15 20
atc ctt tat atc ctc aag tta aat tat act act gaa gaa tgt gac atg 391
Ile Leu Tyr Ile Leu Lys Leu Asn Tyr Thr Thr Glu Glu Cys Asp Met
25 30 35
aaa aaa atg cat tat gtg gac cct gac cgt gta aag aga gct cag aaa 439
Lys Lys Met His Tyr Val Asp Pro Asp Arg Val Lys Arg Ala Gln Lys
40 45 50
tat gct cag caa gtc ttg cag aag gaa tgt cgt ccc aag ttt gcc aag 487
Tyr Ala Gln Gln Val Leu Gln Lys Glu Cys Arg Pro Lys Phe Ala Lys
55 60 65 70
aca tca atg gcg ctg tta ttt gag cac agg tat agc gtg gac tta ctc 535
Thr Ser Met Ala Leu Leu Phe Glu His Arg Tyr Ser Val Asp Leu Leu
75 80 85
cct ttt gtg cag aag gcc ccc aaa gac agt gaa gct gag tcc aag tac 583
Pro Phe Val Gln Lys Ala Pro Lys Asp Ser Glu Ala Glu Ser Lys Tyr
90 95 100
gat cct cct ttt ggg ttc cgg aag ttc tcc agt aaa gtc cag acc ctc 631
Asp Pro Pro Phe Gly Phe Arg Lys Phe Ser Ser Lys Val Gln Thr Leu
105 110 115
ttg gaa ctc ttg cca gag cac gac ctc cct gaa cac ttg aaa gcc aag 679
Leu Glu Leu Leu Pro Glu His Asp Leu Pro Glu His Leu Lys Ala Lys
120 125 130
acc tgt cgg cgc tgt gtg gtt att gga agc gga gga ata ctg cac gga 727
Thr Cys Arg Arg Cys Val Val Ile Gly Ser Gly Gly Ile Leu His Gly
135 140 145 150
tta gaa ctg ggc cac acc ctg aac cag ttc gat gtt gtg ata agg tta 775
Leu Glu Leu Gly His Thr Leu Asn Gln Phe Asp Val Val Ile Arg Leu
155 160 165
aac agt gca cca gtt gag gga tat tca gaa cat gtt gga aat aaa act 823
Asn Ser Ala Pro Val Glu Gly Tyr Ser Glu His Val Gly Asn Lys Thr
170 175 180
act ata agg atg act tat cca gag ggc gca cca ctg tct gac ctt gaa 871
Thr Ile Arg Met Thr Tyr Pro Glu Gly Ala Pro Leu Ser Asp Leu Glu
185 190 195
tat tat tcc aat gac tta ttt gtt gct gtt tta ttt aag agt gtt gat 919
Tyr Tyr Ser Asn Asp Leu Phe Val Ala Val Leu Phe Lys Ser Val Asp
200 205 210
ttc aac tgg ctt caa gca atg gta aaa aag gaa acc ctg cca ttc tgg 967
Phe Asn Trp Leu Gln Ala Met Val Lys Lys Glu Thr Leu Pro Phe Trp
215 220 225 230
gta cga ctc ttc ttt tgg aag cag gtg gca gaa aaa atc cca ctg cag 1015
Val Arg Leu Phe Phe Trp Lys Gln Val Ala Glu Lys Ile Pro Leu Gln
235 240 245
cca aaa cat ttc agg att ttg aat cca gtt atc atc aaa gag act gcc 1063
Pro Lys His Phe Arg Ile Leu Asn Pro Val Ile Ile Lys Glu Thr Ala
250 255 260
ttt gac atc ctt cag tac tca gag cct cag tca agg ttc tgg ggc cga 1111
Phe Asp Ile Leu Gln Tyr Ser Glu Pro Gln Ser Arg Phe Trp Gly Arg
265 270 275
gat aag aac gtc ccc aca atc ggt gtc att gcc gtt gtc tta gcc aca 1159
Asp Lys Asn Val Pro Thr Ile Gly Val Ile Ala Val Val Leu Ala Thr
280 285 290
cat ctg tgc gat gaa gtc agt ttg gcg ggt ttt gga tat gac ctc aat 1207
His Leu Cys Asp Glu Val Ser Leu Ala Gly Phe Gly Tyr Asp Leu Asn
295 300 305 310
caa ccc aga aca cct ttg cac tac ttc gac agt caa tgc atg gct gct 1255
Gln Pro Arg Thr Pro Leu His Tyr Phe Asp Ser Gln Cys Met Ala Ala
315 320 325
atg aac ttt cag acc atg cat aat gtg aca acg gaa acc aag ttc ctc 1303
Met Asn Phe Gln Thr Met His Asn Val Thr Thr Glu Thr Lys Phe Leu
330 335 340
tta aag ctg gtc aaa gag gga gtg gtg aaa gat ctc agt gga ggc att 1351
Leu Lys Leu Val Lys Glu Gly Val Val Lys Asp Leu Ser Gly Gly Ile
345 350 355
gat cgt gaa ttt tgaacacaga aaacctcagt tgaaaatgca actctaactc 1403
Asp Arg Glu Phe
360
tgagagctgt ttttgacagc cttcttgatg tatttctcca tcctgcagat actttgaagt 1463
gcagctcatg tttttaactt ttaatttaaa aacacaaaaa aaattttagc tcttcccact 1523
ttttttttcc tatttatttg aggtcagtgt ttgtttttgc acaccatttt gtaaatgaaa 1583
cttaagaatt gaattggaaa gacttctcaa agagaattgt atgtaacgat gttgtattga 1643
tttttaagaa agtaatttaa tttgtaaaac ttctgctcgt ttacactgca cattgaatac 1703
aggtaactaa ttggaaggag aggggaggtc actcttttga tggtggccct gaacctcatt 1763
ctggttccct gctgcgctgc ttggtgtgac ccacggagga tccactccca ggatgacgtg 1823
ctccgtagct ctgctgctga tactgggtct gcgatgcagc ggcgtgaggc ctgggctggt 1883
tggagaaggt cacaaccctt ctctgttggt ctgccttctg ctgaaagact cgagaaccaa 1943
ccagggaagc tgtcctggag gtccctggtc ggagagggac atagaatctg tgacctctga 2003
caactgtgaa gccaccctgg gctacagaaa ccacagtctt cccagcaatt attacaattc 2063
ttgaattcct tggggatttt ttactgccct ttcaaagcac ttaagtgtta gatctaacgt 2123
gttccagtgt ctgtctgagg tgacttaaaa aatcagaaca aaacttctat tatccagagt 2183
catgggagag tacacccttt ccaggaataa tgttttggga aacactgaaa tgaaatcttc 2243
ccagtattat aaattgtgta tttaaaaaaa agaaactttt ctgaatgcct acctggcggt 2303
gtataccagg cagtgtgcca gtttaaaaag atgaaaaaga ataaaaactt ttgagg 2359
<210> 2
<211> 362
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 2
Met Arg Arg Pro Ser Leu Leu Leu Lys Asp Ile Leu Lys Cys Thr Leu
1 5 10 15
Leu Val Phe Gly Val Trp Ile Leu Tyr Ile Leu Lys Leu Asn Tyr Thr
20 25 30
Thr Glu Glu Cys Asp Met Lys Lys Met His Tyr Val Asp Pro Asp Arg
35 40 45
Val Lys Arg Ala Gln Lys Tyr Ala Gln Gln Val Leu Gln Lys Glu Cys
50 55 60
Arg Pro Lys Phe Ala Lys Thr Ser Met Ala Leu Leu Phe Glu His Arg
65 70 75 80
Tyr Ser Val Asp Leu Leu Pro Phe Val Gln Lys Ala Pro Lys Asp Ser
85 90 95
Glu Ala Glu Ser Lys Tyr Asp Pro Pro Phe Gly Phe Arg Lys Phe Ser
100 105 110
Ser Lys Val Gln Thr Leu Leu Glu Leu Leu Pro Glu His Asp Leu Pro
115 120 125
Glu His Leu Lys Ala Lys Thr Cys Arg Arg Cys Val Val Ile Gly Ser
130 135 140
Gly Gly Ile Leu His Gly Leu Glu Leu Gly His Thr Leu Asn Gln Phe
145 150 155 160
Asp Val Val Ile Arg Leu Asn Ser Ala Pro Val Glu Gly Tyr Ser Glu
165 170 175
His Val Gly Asn Lys Thr Thr Ile Arg Met Thr Tyr Pro Glu Gly Ala
180 185 190
Pro Leu Ser Asp Leu Glu Tyr Tyr Ser Asn Asp Leu Phe Val Ala Val
195 200 205
Leu Phe Lys Ser Val Asp Phe Asn Trp Leu Gln Ala Met Val Lys Lys
210 215 220
Glu Thr Leu Pro Phe Trp Val Arg Leu Phe Phe Trp Lys Gln Val Ala
225 230 235 240
Glu Lys Ile Pro Leu Gln Pro Lys His Phe Arg Ile Leu Asn Pro Val
245 250 255
Ile Ile Lys Glu Thr Ala Phe Asp Ile Leu Gln Tyr Ser Glu Pro Gln
260 265 270
Ser Arg Phe Trp Gly Arg Asp Lys Asn Val Pro Thr Ile Gly Val Ile
275 280 285
Ala Val Val Leu Ala Thr His Leu Cys Asp Glu Val Ser Leu Ala Gly
290 295 300
Phe Gly Tyr Asp Leu Asn Gln Pro Arg Thr Pro Leu His Tyr Phe Asp
305 310 315 320
Ser Gln Cys Met Ala Ala Met Asn Phe Gln Thr Met His Asn Val Thr
325 330 335
Thr Glu Thr Lys Phe Leu Leu Lys Leu Val Lys Glu Gly Val Val Lys
340 345 350
Asp Leu Ser Gly Gly Ile Asp Arg Glu Phe
355 360
<210> 3
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic DNA
<400> 3
atgaaaagaa tgcacta 17
<210> 4
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic DNA
<400> 4
tcagtggatg ccgctga 17
<210> 5
<211> 48
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 5
Cys Arg Arg Cys Val Val Ile Gly Ser Gly Gly Ile Leu His Gly Leu
1 5 10 15
Glu Leu Gly His Thr Leu Asn Gln Phe Asp Val Val Ile Arg Leu Asn
20 25 30
Ser Ala Pro Val Gln Gly Tyr Ser Glu His Val Gly Asn Lys Thr Thr
35 40 45
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のα2−3シアル酸転移酵素(SAT−1)の構造の模式図。△は、アミノ酸配列から推定されるN−グリコシレーション部位である。TMはアミノ酸配列から推定される膜貫通領域である。
【図2】 SAT−1のシアリルモチーフ(L及びS)領域のアミノ酸配列と、他のシアル酸転移酵素のシアリルモチーフ領域との対比を示す図。白抜き文字は1種類のシアル酸転移酵素のみが他と異なったアミノ酸残基を示す部位である。
【図3】 本発明DNAから推定したSAT−1のアミノ酸配列のハイドロパシープロット。
【図4】 形質転換細胞におけるガングリオシドGM3の発現の、フローサイトメトリーによる分析結果。縦軸は細胞数、横軸は蛍光強度を示す。

Claims (12)

  1. 下記(a)又は(b)のDNAを3LL−ST28細胞に導入し、当該導入後の3LL−ST28細胞を生育させるステップを少なくとも含むことを特徴とする、ガングリオシドGM3合成酵素の発現方法:
    (a)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号41〜362のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA、
    (b)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号41〜362のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、且つラクトシルセラミドのガラクトース残基にシアル酸を転移してα2→3結合を形成し、ガングリオシドGM3を生成する活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  2. 下記(d)又は(e)のDNAを3LL−ST28細胞に導入し、当該導入後の3LL−ST28細胞を生育させるステップを少なくとも含むことを特徴とする、ガングリオシドGM3合成酵素の発現方法:
    (d)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1〜362のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA、
    (e)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1〜362のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、且つラクトシルセラミドのガラクトース残基にシアル酸を転移してα2→3結合を形成し、ガングリオシドGM3を生成する活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  3. ポリペプチドをコードするDNAが、配列番号1における配列番号398〜1363の塩基配列を含むものである、請求項1又は2に記載の発現方法。
  4. ポリペプチドをコードするDNAが発現ベクターに導入されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発現方法。
  5. 下記(a)又は(b)のDNAを3LL−ST28細胞に導入し、当該導入後の3LL−ST28細胞を生育させるステップを少なくとも含むことを特徴とする、ガングリオシドGM3の合成方法:
    (a)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号41〜362のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA、
    (b)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号41〜362のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、且つラクトシルセラミドのガラクトース残基にシアル酸を転移してα2→3結合を形成し、ガングリオシドGM3を生成する活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  6. 下記(d)又は(e)のDNAを3LL−ST28細胞に導入し、当該導入後の3LL−ST28細胞を生育させるステップを少なくとも含むことを特徴とする、ガングリオシドGM3の合成方法:
    (d)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1〜362のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA、
    (e)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1〜362のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、且つラクトシルセラミドのガラクトース残基にシアル酸を転移してα2→3結合を形成し、ガングリオシドGM3を生成する活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  7. ポリペプチドをコードするDNAが、配列番号1における配列番号398〜1363の塩基配列を含むものである、請求項5又は6に記載の合成方法。
  8. ポリペプチドをコードするDNAが発現ベクターに導入されたものである、請求項5〜7のいずれか1項に記載の合成方法。
  9. 下記(a)又は(b)のDNAが導入された3LL−ST28細胞:
    (a)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号41〜362のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA、
    (b)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号41〜362のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、且つラクトシルセラミドのガラクトース残基にシアル酸を転移してα2→3結合を形成し、ガングリオシドGM3を生成する活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  10. 下記(d)又は(e)のDNAが導入された3LL−ST28細胞:
    (d)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1〜362のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA、
    (e)配列番号2記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1〜362のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、且つラクトシルセラミドのガラクトース残基にシアル酸を転移してα2→3結合を形成し、ガングリオシドGM3を生成する活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  11. ポリペプチドをコードするDNAが、配列番号1における配列番号398〜1363の塩基配列を含むものである、請求項9又は10に記載の3LL−ST28細胞。
  12. ポリペプチドをコードするDNAが発現ベクターに導入されたものである、請求項9〜11のいずれか1項に記載の3LL−ST28細胞。
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