JP4101942B2 - 鋳造方法及び鋳型 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋳造方法及びこの鋳造方法に用いるのに特に適した鋳型に関し、より詳しくは車両用ホイールなどを重力鋳造により鋳造する方法及びこの重力鋳造に用いる鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばアルミニウム合金溶湯を用いて車両用ホイールを鋳造して製造する場合には、湯道形成空間を介して鋳型内のキャビティに溶湯を注入し、この溶湯が凝固してから鋳型の型ばらしを行って鋳造品を取り出し、その後、鋳造品に必要な処理作業を施して車両用ホイールを製造している。型ばらし後の処理作業ではホイール製品部分に連続している湯道部分を除去する作業が必要となるが、この除去作業は凝固したアルミニウム合金に対して切削手段などを用いることにより行われているため、比較的長い作業時間を要している。そこで、湯道部分を簡単に除去できるようにするために、特開昭55−42115号公報には、鋳型の湯道形成空間の下側にパンチングメタルを配置してから溶湯の注入を行う鋳造方法が提案されている。特開昭55−42115号公報に記載されているこの鋳造方法を用いれば、製品部分と湯道部分とはパンチングメタルを介して接続されることとなるので、湯道部分の製品部分への接続強度は低くなり、剪断手段を用いて比較的簡単に湯道部分を切断して除去することが可能となるので、全体的な製造時間のある程度の短縮を図ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、型ばらしは最も遅く凝固する湯道が十分に凝固した後に行われなくてはならないので鋳造サイクルが長く、型ばらし後の処理作業時間を短縮しても全体的な製造時間の効果的な短縮は期待できない。鋳造サイクルを短くするためには、湯道を強冷して湯道の凝固を早めればよいが、湯道は通常、押湯として機能しているので強冷手段を構成するのは適当でない場合が多い。
【0004】
そこで、本発明は型ばらし作業を早い時点で行うことができ、その結果、製造時間又は鋳造サイクルを十分に短縮することが可能な鋳造方法及び鋳型の提供を目的とする。
本発明はまた、型ばらし後の処理作業時間をより短縮することが可能な鋳造方法及び鋳型の提供をも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明の鋳造方法は、湯道形成空間を介して鋳型内のキャビティに溶湯を注入し、この溶湯が凝固してから前記鋳型の型ばらしを行って鋳造品を取り出す鋳造方法であって、前記湯道形成空間内の溶湯が半凝固状態となったときにこの溶湯を除去し、その後、前記鋳型の型ばらしを行うものである。溶湯の湯道部分は型ばらし前に除去されるが、除去時の湯道部分は半凝固状態なので、適切な除去手段を用いることにより簡単かつ迅速に除去することが可能である。具体的には、湯道形成空間のキャビティ側、多くは下側、すなわち湯道形成空間の下部あるいは湯道形成空間下端の下側に、多数の流通孔が形成された高い融点を有する、より具体的には溶湯よりも高い融点を有する区画部材を湯道形成空間を遮断するように予め配置しておく。溶湯を注入すると湯道部分と製品部分とは(あるいは大部分の湯道部分、すなわち液体収縮用押湯部分と、製品部分に付随した僅かな湯道部分、すなわち凝固収縮用押湯部分とは)、流通孔を介して連結されるが、湯道形成空間内の溶湯が半凝固状態のときにこの区画部材を鋳型本体から離れる方向に、多くの場合上方に移動させると、区画部材位置で湯道部分が製品部分から分離され、このキャビティ側の湯道部分(区画部材内に浸透している溶湯も含まれる場合が多い)は区画部材に支えられて区画部材とともに移動する。湯道部分を分離してしまえば直ちに、あるいは製品部分の十分な凝固までの僅かな時間の後に型ばらしを行うことができる。流通孔は溶湯のキャビティ内への流入を阻害しないような、しかしながら半凝固状態の溶湯が漏れ出さないような大きさに形成されるべきである。溶湯中の不純物がキャビティ内に流入してしまうのを防止するために、区画部材としてセラミックス多孔質体などのフィルタ、あるいはストレーナを用いることが好ましい。型ばらし前に湯道部分を全部除去する必要は必ずしもなく、大部分の湯道部分、すなわち液体収縮用押湯部分あるいはより遅く凝固する部分を除去すれば、鋳造サイクルを十分に短縮することができる。この場合には、型ばらし後に製品部分に多少の湯道部分が接続されて付随することとなるが、このような湯道部分は製品形状加工過程において除去すればよい。
【0006】
また、このような鋳造方法に用いる本発明の鋳型は、キャビティを有する鋳型本体と、湯道形成空間を有し、この湯道形成空間が前記キャビティに連なるように前記鋳型本体に直接又は他の湯道構成部材を介して接続された湯道部材と、を具備する鋳型であって、前記湯道部材は、前記湯道形成空間の前記キャビティ側にフィルタを備え、前記鋳型本体から分離する方向に相対的に移動できるように構成されているものである。湯道形成空間内の溶湯が半凝固状態のときに湯道部材をフィルタとともに鋳型本体から離れるように、多くは上方に移動させ、あるいは鋳型本体を湯道部材から離れるように、多くは下方に移動させ、湯道部材内の溶湯、すなわち湯道部分を製品部分から分離させる。湯道部材は多くの場合筒状あるいは円柱状に形成される。また、湯道部材は鋳型本体に連結部を介して接続され、鋳型本体から離れる方向に、多くは上方に移動させることによりこの連結部から分離するように、あるいは連結部側を湯道部材から離れる方向に、多くは下方に移動させることにより湯道部材から分離するように構成される場合もある。
【0007】
安定して接続できかつ簡単に分離できるように、しかも溶湯もれが生じないように、湯道部材と鋳型本体(湯道部材が連結部を介して鋳型本体に接続される場合は連結部)とは嵌め合いによって接続されるのが普通であるが、溶湯が接続部分に浸入して外側に漏れ出す溶湯もれを十分に防ぐためには、湯道部材と鋳型本体との嵌め合い部、又は嵌め合い面部あるいは嵌め合い合わせ面部に溶湯上昇部分を形成するのが得策である。溶湯上昇部分は下端が湯道形成空間に連なり、上端が鋳型の外側に連なって、溶湯が通過する場合には上昇移動する部分である。ここで、鋳バリの発生をできるだけ防止するためには溶湯上昇部分の下端を湯道形成空間に臨ませるのが好ましい。嵌め合い部の湯道形成空間側に水平部分又はほぼ水平部分が形成されていると大きな横バリが生じるおそれがあるからである。そして、溶湯上昇部分での湯道部材と鋳型本体との接触圧を大きくしておけば、溶湯が溶湯上昇部分に入り込んで上昇すること、すなわち嵌め合い部の内端側に入り込んでしまうことを効果的に防止できる。なお、嵌め合い部の溶湯上昇部分の高さは、湯道形成空間の断面積の大きさに対応して決定する必要がある。嵌め合い部内端位置における湯道形成空間の断面積の数値に対する溶湯上昇部分の高さの数値の割合は(同一の長さ単位を用いた場合)、0.5%以上2.5%以下であることが好ましい。溶湯上昇部分の長さの数値の割合が2.5%を越えると不必要に嵌め合い部の長さが長くなって鋳型の原料コストが増大し、また0.5%未満では溶湯が溶湯上昇部分を通過してしまうおそれがある。
【0008】
湯道部材と鋳型本体との嵌め合い構造は、鋳型本体の接続開口内側、多くの場合上端開口内側に、湯道部材の接続端、多くの場合下端を嵌め込むあるいは嵌め入れるものが好ましい。鋳型本体は通常、キャビティ内への湯回り不良を防止するために一定の高温に保たれるので、鋳造時には湯道部材よりも鋳型本体の方が熱膨張が大きく、鋳型本体を湯道部材内に嵌め込む構造を採用すると、嵌め合い部の寸法又は形状を精密に設計しなければ湯道部材を分離できなくなるといった事態も生じ得るからである。
【0009】
本発明はまた、次のように表現することもできる。
(1)湯道形成型によって形成された湯道形成空間を介して鋳型(鋳型本体)内のキャビティに溶湯を注入し、この溶湯が凝固してから前記鋳型の型ばらしを行って鋳造品を取り出す鋳造方法であって、前記鋳型の型ばらし前に前記湯道形成型の一部又は全部を湯道とともに、型締めされている前記鋳型と分離させる、鋳造方法。
(2)キャビティを有する鋳型と、湯道形成空間を有し、この湯道形成空間が前記キャビティに連なるように前記鋳型(鋳型本体)に接続された湯道形成型と、を具備する鋳型であって、前記湯道形成型は、一部又は全部が前記鋳型と分離可能に構成されている、鋳型。
(3)前記湯道形成型が分離する位置には、溶湯が通過可能であって、かつ溶湯とは異なる材質の、しかも溶湯よりも高い融点を有する区画部材が配置されている、(2)記載の鋳型。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は本発明に係る鋳型であって車両用ホイールを鋳造するためのものの断面図、図2は湯道構成部位置の詳細を示すための拡大断面図である。
【0012】
鋳型1は鋳型本体3及びこの鋳型本体3に接続された湯道構成部5(湯道形成型)を備え、鋳型本体3は上型7、下型9及び横型11、13から構成されていて、この上型7、下型9及び横型11、13に囲まれて、車両用ホイールA(図5参照)の形状に対応し、上型7の中央で開口する(符合23参照)キャビティ15が形成されている。キャビティ15の中央部はホイールハブB(図5参照)を成形する部分であり、この中央部には車軸孔C(図5参照)を形成するための砂中子17が下型9に載せられた状態で配置されている。砂中子17の上側部19は、上端が丸みを帯びた、下側に向かって緩やかに拡径する円錐形状に形成され、この円錐形状の上側部19の下側には環状の凹部21が形成されていて、上側部19のほぼ上半分は上型7の中央開口23から上方外側(湯道形成空間73側:図3参照)に突出している。なお、図中25、27は上型7と横型11、13との間に形成された押湯空間である。
【0013】
湯道構成部5は、上型7の中央開口23周縁に固定用リング29を用いて固定的に取り付けられた短い筒状の固定湯道部31と、この固定湯道部31の上端に分離可能に接続された状態で配置された漏斗状の湯道部材33とから構成されていて、湯道部材33は上側の溶湯受け35と、この溶湯受け35の下側に一体的に形成された筒状の湯道本体37とから構成されている。固定湯道部31の内周面は下方に向かって漸次多少拡径するように形成され、そして湯道部材33の溶湯受け35は、上端の大径部39及び下方に向かって漸次縮径する下側のテーパ部41から一体的に形成されていて、テーパ部41の下端外周には水平な下面43を有する環状の突出部分45が一体的に形成されている。湯道部材33は、上型7に固定された可動プレート47に設けられている支柱49に支えられた支持部材51の支持孔53内に挿入され、突出部分45の下面43がこの支持部材51の支持孔53周縁に支えられて湯道本体37の下端が固定湯道部31の上端外周に気密的に嵌まるように配置されている。湯道部材33の湯道本体37は下方に向かって漸次緩やかに縮径するように形成され、この湯道本体37の下端には内向きの支持フランジ55が設けられていて、湯道本体37内の下端位置にはこの支持フランジ55に支えられるように多孔質の円盤状又は短円柱状のセラミックス製フィルタ57が入れられている。固定湯道部31の上端内周は支持フランジ55内周と同一径に、そして上端外周は多少小径に、かつ下方に向かって緩やかに拡径するように形成されていて、固定湯道部31の上端には環状の幅が狭い上端面59、テーパ外周面61及び下方に位置する環状水平面63からなる嵌め合い形状が構成されている。湯道本体37の下端内周側には固定湯道部31の上端の嵌め合い形状と気密的に嵌まり合う嵌め合い形状が形成されていて、この嵌め合い形状は環状の幅が狭い下端面65、下方に向かって漸次拡径するテーパ内周面67及び上方に位置する環状水平面69から構成されている。湯道本体37の下端面65及びテーパ内周面67はそれぞれ、固定湯道部31の環状水平面63及びテーパ外周面61と接触するように構成されているが、湯道本体37の環状水平面69と固定湯道部31の上端面59との間には僅かな隙間が設けられるように設定されている。なお、図中71は支持台である。
【0014】
図3乃至図5は鋳型1を用いた車両用ホイールAの鋳造過程を説明する図である。
【0015】
湯道部材33の溶湯受け35に注ぎ込まれたアルミニウム合金溶湯Dは、湯道部材33の湯道本体37及び固定湯道部31によって構成されている湯道形成空間73を通過する際にフィルタ57によって濾過されてキャビティ15内に充填される。湯道形成空間73内のアルミニウム合金溶湯Dが押湯として十分に機能するように、アルミニウム合金溶湯Dは湯道部材33の湯道本体37上端位置まで注入される(図3)。そして、湯道形成空間73内のアルミニウム合金溶湯Dが半凝固状態となった時に湯道部材33を上方に移動させて支持部材51の支持孔53から引き抜く(図4:矢印参照)。引き抜き前に湯道部材33内で半凝固状態となっていたアルミニウム合金D(液体収縮用押湯部分)はフィルタ57のほぼ下面位置で下側の半凝固アルミニウム合金Dと分離されて湯道部材33内にそのまま残留する。その後は、キャビティ15内のアルミニウム合金Dが十分凝固してから鋳型本体3の型ばらしを行い、ホイール鋳造品を取り出す。取り出したホイール鋳造品に加工処理を施して車両用ホイールAを製造するが(図5)、ホイール鋳造品に付随している湯道部分(固定湯道部31内の凝固アルミニウム合金D:凝固収縮用押湯部分)は僅かであるので、湯道部分を除去するための特別の大がかりな剪断等の作業を行うことなく、押湯部分(押湯空間25、27によって形成される:図1参照)を除去した後に直ちに製品形状の加工処理を行うことができる。
【0016】
砂中子17の上側部19は下側に向かって緩やかに拡径する円錐形状に形成されているので、フィルタ57を通過したアルミニウム合金溶湯Dは砂中子17の中間部に激しく衝突することなく上側部19のテーパ状外周面に導かれてキャビティ15内に整流されて充填される。砂中子17の整流機能を十分なものとするためには、上側部19の垂直方向からの傾きを比較的大きくすることが必要であるが、傾きを大きくすると上側部19の下端の径が大きくなりすぎて、車軸孔Cに、必要な小径部を形成できなくなってしまう。ここでは、砂中子17の上側部19の傾きを比較的大きくするとともに、上側部19の下側に環状の凹部21を形成しているので、この凹部21位置に車軸孔Cの小径部を構成することができる(図4に仮想線で示す製品ライン参照)。
【0017】
湯道部材33の引き抜きは、湯道形成空間73内のアルミニウム合金溶湯Dが十分な流動性を失って押湯(特に液体収縮用押湯)としての機能を喪失した時、あるいはフィルタ57を通過するだけの流動性を失った時に行われるが、引き抜きはまた、湯道形成空間73内のアルミニウム合金溶湯Dが簡単に切断分離できる軟質状態の時に行われなければならない。湯道部材33の引き抜きを手作業で行う場合には、アルミニウム合金溶湯Dの注入からの経過時間を基準として引き抜き作業を行うこととなるが、引き抜き作業を自動化する場合には、図3に示すように湯道形成空間73内、好ましくはフィルタ57付近のアルミニウム合金溶湯Dの温度を検出する熱電対75(温度センサ)を設置し、この熱電対75の検出結果を基準として自動的に引き抜き作業が行われるように構成すればよい(図3では熱電対75を固定湯道部31の上端に取り付けてフィルタ57の真下のアルミニウム合金溶湯Dの温度を検出している)。引き抜き作業開始の基準温度は550℃乃至600℃に設定すべきである。550℃未満だとアルミニウム合金溶湯Dの凝固が進みすぎて簡単に切断分離できないおそれがあり、また600℃を超えているとアルミニウム合金溶湯Dの流動性が大きすぎて引き抜き時に湯道部材33内のアルミニウム合金溶湯Dがフィルタ57から漏れてしまう(垂れ落ちる)おそれがあるし、そもそもアルミニウム合金溶湯Dが液体収縮用押湯としての機能を有しているうちに除去するのは適当ではない。
【0018】
引き抜かれた湯道部材33内で凝固したアルミニウム合金Dはハンマーなどによりフィルタ57側から叩かれ又は押されてフィルタ57とともに取り除かれるが、取り除き作業が簡単になるように、図6に示すように湯道部材33の大径部39下端位置に支持用鍔部77を形成しておく場合がある(図6は湯道部材33内で凝固したアルミニウム合金Dを除去する場合を説明する図)。そして、溶湯受け35を下側にして、この支持用鍔部77が支持体79に支持されるように湯道部材33を配置し、上方から手動ハンマー81を作動させてフィルタ57部分を叩いてアルミニウム合金Dを落下させる。なお、手動ハンマー81に代えて上方に配置されたシリンダを用い、このシリンダのシリンダロッドを伸張させてフィルタ57部分を下側に押すように構成してもよい。このように構成することによりアルミニウム合金Dの取り除き作業を自動化することが可能となる。
【0019】
図7は別の構造の湯道構成部を示す断面図である。
【0020】
湯道構成部83は湯道構成部5のフィルタ部分構造を変更したものであり、湯道部材85と固定湯道部87との接続は、湯道本体89の下端部を固定湯道部87の内周面に気密的に嵌め込むことにより行われる。固定湯道部87の内周面の上下方向中央よりやや下側には環状の支持面91が内側に広がるように形成され、この支持面91には適当な開口率を有するグラスウール93(フィルタ)の外縁部が載せられている。湯道本体89は環状の下端面95がグラスウール93外縁を介して支持面91に当接するように固定湯道部87に嵌め込まれるので、グラスウール93の外縁部は支持面91と湯道本体89の下端面95とに挟まれて支持されることとなる。湯道形成空間73内に注入されたアルミニウム合金溶湯が半凝固状態となると、グラスウール93よりも下側のアルミニウム合金溶湯は収縮してグラスウール93との接着面積を狭める。したがって、湯道部材85を引き抜くとグラスウール93は湯道部材85(湯道本体89)内のアルミニウム合金溶湯を保持するように、湯道本体89の下端面95に付着した状態で湯道部材85に付随する。なお、グラスウールに代えてスチールウールを用いる場合もある。
【0021】
図8乃至図10はさらに別の構造の3種類の湯道構成部を示す図である。
【0022】
図8に示す第1の湯道構成部97では、固定湯道部99の上側内周に湯道部材101の湯道本体103下側が気密的に嵌め込まれて接続されている。固定湯道部99の上側内周面は下方に向かって緩やかに縮径する上側テーパ内周面105と、この上側テーパ内周面105に連続し、下方に向かってやや急に縮径する下側テーパ内周面107とから形成されていて、固定湯道部99の上端には環状の幅が狭い上端面109が設けられている。湯道本体103の下側外周面は、固定湯道部99の上側内周面と嵌まり合うように、すなわち嵌め合い部が形成されるように上側テーパ内周面105と対応して下方に向かって縮径する上側テーパ外周面111と、この上側テーパ外周面111に連続し、下側テーパ内周面107と対応して下方に向かって縮径する下側テーパ外周面113とから形成されていて、湯道本体103の下端にはフィルタ57を支える内向きの支持フランジ115が形成され、上側テーパ外周面111上端位置には固定湯道部99の上端面109によって支えられる載置外向きフランジ117が設けられている。固定湯道部99の上側テーパ内周面105及び下側テーパ内周面107と、湯道本体103の上側テーパ外周面111及び下側テーパ外周面113との嵌まり合いによって形成される溶湯上昇部分の下端あるいは内端は湯道形成空間73に直接連なることとなる。なお、湯道本体103の内周面には、載置外向きフランジ117位置に半凝固状態の溶湯の滑り落ちを防止するための狭い棚部119が形成されている。
【0023】
なお、湯道形成空間73の断面積πD2/4の数値に対する溶湯上昇部分の高さHの数値の割合は約1.6%に設定されている。
【0024】
図9に示す第2の湯道構成部121では、第1の湯道構成部97の固定湯道部99と湯道部材101の湯道本体103との嵌め合い形状が変更されている。固定湯道部123の上側内周面には下方に向かって緩やかに縮径するテーパ内周面125が形成され、上端には環状の幅が狭い上端面127が設けられているが、テーパ内周面125の下端に連続して幅が狭い環状水平面129が形成されている。湯道部材131の湯道本体133の下側外周面には、固定湯道部123の上側内周面と気密的に嵌まり合うように、幅が狭い環状水平面135(載置外向きフランジ117の下面)、テーパ外周面137及び環状の幅が狭い下端面139が形成されていて、テーパ内周面125及びテーパ外周面137によって形成される溶湯上昇部分は湯道形成空間73に、環状水平面129及び下端面139によって形成される水平部分を介して連続することとなる。
【0025】
図10に示す第3の湯道構成部141は図2に示す湯道構成部5の固定湯道部31と湯道部材33の湯道本体37との嵌め合い形状を変更したものである。
【0026】
湯道本体143の下端面145は外側に向かって上昇傾斜するように形成され、環状水平面は内側に向かって下降傾斜させられて下降傾斜面147に形成されていて、固定湯道部149の上端面151は内側に向かって下降傾斜するように形成され、環状水平面は外側に向かって上昇傾斜させられて上昇傾斜面153に形成されている。湯道本体143の下端面145と固定湯道部149の上昇傾斜面153、および湯道本体143の下降傾斜面147と固定湯道部149の上端面151(隙間は形成されない)とによって内側及び外側に1つずつ溶湯上昇部分が形成されることとなる。このように2つの溶湯上昇部分を形成する場合には、それぞれの溶湯上昇部分の高さの合計の数値が湯道形成空間の断面積の数値に対して所定の割合となるように設計する。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の鋳造方法又は鋳型を用いれば、最も遅く凝固する湯道部分を半凝固状態の時点で除去してしまうので、製品部分(あるいは製品部分及び僅かな残存湯道部分)が凝固すると同時に型ばらしを行うことができる。したがって、溶湯の注入から型ばらしまでの鋳造作業時間を大幅に短縮することが可能となる。また、型ばらし前に湯道部分の少なくとも大部分を除去するので、型ばらし後の特別な湯道部分取り除き作業を簡略化できる可能性があり、さらに特別の取り除き作業を省略することも可能である。
【0028】
次ぎに、ここに述べた技術的事項を包含するいくつかの発明を記載する。
(1)湯道形成空間を介して鋳型内のキャビティに溶湯を注入し、この溶湯が凝固してから前記鋳型の型ばらしを行って鋳造品を取り出す鋳造方法であって、前記湯道形成空間の前記キャビティ側にフィルタを配置してから溶湯を注入し、前記湯道形成空間内の溶湯の温度を検出することによりこの溶湯の凝固状態を検知し、前記溶湯が半凝固状態となったことが検知されたときに前記フィルタを移動させることによってこのフィルタよりも前記キャビティと反対側の溶湯を除去し、その後、前記鋳型の型ばらしを行う、鋳造方法。
(2)前記フィルタよりも前記キャビティ側であって、このフィルタに隣接する位置の溶湯の温度を検出することにより前記湯道空間内の溶湯の凝固状態を検知する、(1)記載の鋳造方法。
(3)キャビティを有する鋳型本体と、短い第1の湯道形成空間を有し、この短い第1の湯道形成空間が前記キャビティに連なるように前記鋳型本体に固定して取り付けられた短い筒状の固定湯道部と、第2の湯道形成空間を有し、この第2の湯道形成空間が前記短い第1の湯道形成空間に連なるように前記固定湯道部に嵌められて接続された筒状の湯道部材と、を具備した鋳型であって、前記湯道部材は、前記第2の湯道形成空間の前記キャビティ側に溶湯が通過可能であって、かつ溶湯とは異なる材質の、しかも溶湯よりも高い融点を有する区画部材を備え、前記キャビティから離れる方向に移動させることにより前記固定湯道部から分離されるように構成されている、鋳型。
(4)前記湯道部材の内周面を分離する方向に向かって漸次拡径するように形成した、(3)記載の鋳型
(5)前記湯道部材に前記区画部材を支持するための係止突部を形成した、(3)又は(4)記載の鋳型。
(6)前記湯道部材は前記固定湯道部に嵌め合わされて接続されていて、前記湯道部材と前記固定湯道部との嵌め合い部には溶湯上昇部分が形成され、かつこの溶湯上昇部分は連結部を介して内側と外側とに1つずつ形成されている、(3)記載の鋳型。
(7)前記湯道部材は前記固定湯道部に嵌め合わされて接続されていて、前記湯道部材と前記固定湯道部との嵌め合い部には溶湯上昇部分が形成され、この溶湯上昇部分は湯道形成空間に直接連結されている、(3)記載の鋳型。
(8)前記湯道部材の内周面に棚部を形成した、(3)記載の鋳型。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋳型であって車両用ホイールを鋳造するためのものの断面図である。
【図2】湯道構成部位置の詳細を示すための拡大断面図である。
【図3】本発明に係る鋳型を用いた車両用ホイールの鋳造過程を説明する図であって、アルミニウム合金溶湯を注入する場合を示す図である。
【図4】本発明に係る鋳型を用いた車両用ホイールの鋳造過程を説明する図であって、湯道部材を上方に移動させる場合を示す図である。
【図5】本発明に係る鋳型を用いた車両用ホイールの鋳造過程を説明する図であって、製造された車両用ホイールを概略的に示す図である。
【図6】湯道部材内で凝固したアルミニウム合金を除去する場合を説明する図である。
【図7】別の構造の湯道構成部を示す断面図である。
【図8】さらに別の構造の第1の湯道構成部を示す図である。
【図9】さらに別の構造の第2の湯道構成部を示す図である。
【図10】さらに別の構造の第3の湯道構成部を示す図である。
【符号の説明】
1 鋳型
15 キャビティ
73 湯道形成空間
A 車両用ホイール(鋳造品)
D アルミニウム合金溶湯

Claims (8)

  1. 湯道形成空間を介して鋳型内のキャビティに溶湯を注入し、この溶湯が凝固してから前記鋳型の型ばらしを行って鋳造品を取り出す鋳造方法であって、
    前記湯道形成空間内の溶湯が半凝固状態となったときにこの溶湯を除去し、その後、前記鋳型の型ばらしを行う、ことを特徴とする鋳造方法。
  2. 湯道形成空間を介して鋳型内のキャビティに溶湯を注入し、この溶湯が凝固してから前記鋳型の型ばらしを行って鋳造品を取り出す鋳造方法であって、
    前記湯道形成空間の前記キャビティ側にフィルタを配置してから溶湯を注入し、前記湯道形成空間内の溶湯が半凝固状態となったときに、前記フィルタとともにこのフィルタよりも前記キャビティと反対側の溶湯を除去し、その後、前記鋳型の型ばらしを行う、ことを特徴とする鋳造方法。
  3. キャビティを有する鋳型本体と、湯道形成空間を有し、この湯道形成空間が前記キャビティに連なるように前記鋳型本体に接続された湯道部材と、を具備する鋳型であって、
    前記湯道形成空間内の溶湯の温度を検出する温度センサを有し、
    前記湯道部材は、前記湯道形成空間の前記キャビティ側にフィルタを備え、かつ、前記温度センサの温度検出結果に基づき、前記鋳型本体から分離する方向に相対的に移動するように構成されている、ことを特徴とする鋳型。
  4. 前記湯道部材は、前記鋳型本体に嵌め合わされて接続されていて、前記湯道部材と前記鋳型本体との嵌め合い部には溶湯上昇部分が形成されている、ことを特徴とする請求項3記載の鋳型。
  5. 前記湯道部材は、前記鋳型本体内に嵌め込まれて接続されている、ことを特徴とする請求項3記載の鋳型。
  6. 前記湯道部材は、前記キャビティ側に向かってテーパ状に縮径する筒状の湯道本体と、この湯道本体の前記キャビティと反対側に一体的に設けられた溶湯受けと、を有し、この溶湯受けは、前記湯道本体よりも急な角度で前記キャビティと反対側に向かって拡径するように形成されている、ことを特徴とする請求項3、4又は5記載の鋳型。
  7. 前記湯道部材の前記キャビティ側には、前記キャビティ側に向かって漸次拡径する湯道形成空間が連続して形成されている、ことを特徴とする請求項6記載の鋳型。
  8. 前記温度センサは、前記フィルタ付近の溶湯の温度を検出する、ことを特徴とする請求項3、4、5、6又は7記載の鋳型。
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