JP4101461B2 - 天井用剪断補強鉄筋構造およびこの剪断補強鉄筋構造のためのダウエルストリップ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、それぞれ一本のダウエルレール (Duebelschiene) と多数本のダウエル (Duebel) とから成り、これらのこのダウエルがダウエルレールに垂直に、平行にかつ互いに間隔をおいて設けられており、ダウエルがそれぞれ一本の細長いダウエル軸 (Duebelschaft) および少なくともダウエルレールとは反対側の端部に幅広なダウエルヘッド (Duelkopf) を備えている様式の、支持体の軸線対して半径方向に設けられている多数本のダウエルストリップ（ Duebelleiste) を備えている、支持領域内における平天井用剪断補強鉄筋構造 (Schubbewehrung) およびこのような剪断補強鉄筋構造用ダウエルストリップに関する。
【０００２】
このような剪断補強鉄筋構造は、支持体領域内で生じる垂直方向力を鉄筋コンクリートから成る平天井と同様に荷重を受けるコンクリート板内に導入する働きを行う（ドイツ連邦共和国特許第２７ ２７１５９号参照）。板面に対して垂直に設けられているダウエルは、支持体領域内で生じる剪断力を受容する。これにより、ダウエル軸は引張り応力も受ける。
【０００３】
ダウエルストリップに沿った等しい間隔でダウエルの製造技術上特に好都合な配設以外に、互いにダウエルを異なる間隔でダウエルストリップに設けることも知られている。特に、支持体の直ぐ近傍における高い荷重がかかる領域内においては、狭いダウエル間隔が選択される。荷重が僅かな支持体から遠く離れている領域内にあっては、ダウエル間隔は大きく選択される。しかし、この場合所定のダウエル間隔を超過することは許されない。何故なら、超過した場合剪断力の不均一な分布が生じるからである。
【０００４】
このことは実地にあって、剪断補強鉄筋構造が支持体の直ぐ近傍における荷重条件に従ってのみ寸法が設定され、従って支持体から遠く離れている領域内にあっては過度の寸法設定となる。
【０００５】
本発明の根底をなす課題は、冒頭に記載した様式の剪断補強鉄筋構造を、その都度生じる応力に良好な適合が達せられるように形成することである。
【０００６】
この課題は、本発明により、支持体に隣接しているダウエルのダウエル軸の直径が、支持体から離れている他のダウエルのダウエル軸の直径よりも大きいことによって解決される。
【０００７】
この剪断補強鉄筋構造は、支持体に隣接している領域内において外方の明白に大きい領域内におけると同様な垂直方向の荷重を捕捉し、しかもこの場合外方の領域内において剪断補強鉄筋構造の過度の寸法設定は行われることなく、特にダウエルの静力学的理由から生じる最大の間隔を超過することがないことにより、静力学的的理由から生じる要件を充足する。
【０００８】
支持体から遠く離れている他のダウエルの寸法を比較小さく選択することにより、、ダウエルの実際の荷重分布に即応した、より以上に均一な応荷重が可能となる。比較的小さな軸直径を有している多数本のダウエルは、比較的大きな直径を有している僅かなダウエルよりも、担持挙動にあってより良好である。
【０００９】
ダウエルが少なくとも一端に、しかし特に両端にそれぞれ一つの熱間据込み加工されたダウエルヘッドを備えており、このダウエルヘッドの頭部直径が軸直径の３倍であることにより、ダウエルヘッドの据込み加工の際の必要とするエネルギーの消費が軸の直径が僅かである場合よりは著しく僅かである。これにより、製造がより迅速かつより環境に優しく行われる。
【００１０】
ダウエルストリップの長さの大部分における、軸の直径が僅かなダウエルを使用することにより、ダウエルストリップの材料の消費と重量とが低減される。このことは、移送を容易にし、かつ現場での組立てを容易にする。ダウエルストリップが、通常極めて狭隘な状態にある上方および下方の天井鉄筋と共に敷設されるので、ダウエルの大きな頭部直径は敷設の際邪魔となる。何故なら、二つの隣接している鉄筋棒間の間隔がしばしば極めて僅かであるからである。この場合、頭部直径が比較的小さいと言うことは、敷設に好都合である。鉄筋の取付けは軸直径がより小さい場合に容易になる。
【００１１】
本発明による優れた構成により、支持体の近傍の帯域内において、支持体から遠く離れている帯域内に設けられている残りのダウエルのダウエル直径よりも大きいダウエル直径を有しているダウエルが設けられている。この場合、支持鉄筋は静力学的に所定の荷重挙動に適合し、この荷重挙動により例えば支持体の近傍において、支持体より遠く離れている帯域におけると同様な荷重が捕捉される。
【００１２】
支持体の近傍の帯域と支持体から遠く離れている帯域は、特に互いに堺を接していて、かつそれぞれ環状リング形の、支持体を中心にして同心的に配設された帯域であり、この場合支持体から遠く離れている帯域の直径は支持体の近傍の帯域の直径の少なくとも２倍の大きさである。
【００１３】
荷重挙動に対して十分な適合を有しているが、しかし著しい製造経費を条件とする、ダウエルの支持体から外方へと連続して低減している軸直径による、本発明による思想の枠内における発明の実施形以外に、特に製造技術上の特性を考慮して、支持体の周囲の領域を二つの帯域に、即ち高い荷重を受ける支持体の近傍の帯域と低い荷重を受ける支持体から遠く離れている帯域とに分割し、これによりこれらの帯域内のダウエルの軸直径を異となった直径に選択することが極めて好都合であることが分かった。この場合二つの異となる軸直径が採用されているので、製造経費は等しい軸直径を有している実施形におけるよりも僅かに上回るに過ぎない。しかも、他方生じる荷重状態に対して好都合に適合する。
【００１４】
本発明による優れた他の構成により、支持体の近傍の帯域内と、支持体から遠く離れている帯域内に、それぞれ別個の内方のおよび外方のダウエルストリップが設けられている。特に、支持体の近傍の帯域内の内方のダウエルストリップに、支持体から遠く離れている帯域内の上記のダウエルストリップと同列位置の外方のダウエルストリップが設けられている。それぞれ内方のダウエルストリップと外方のダウエルストリップとに分割したことにより、これらの両様式のダウエルストリップを別個に製造することが可能となり、特にこれらのダウエルストリップを一様に構成されたダウエルを備えている比較的長いダウエルストリップから分断することが可能となる。この場合、特に内方のダウエルストリップと外方のダウエルストリップのために、軸直径に関して異となるばかりでなく、ダウエルを担持しているダウエルレールの機能に関しても異となる、異となった実施形を採用することが可能である。
【００１５】
特に、内方のダウエルストリップのダウエルがそのダウエル軸の一方の端部でもって内方のダウエルレールと溶接されており、その他方の端部にダウエルヘッドを備えており、外方のダウエルストリップのダウエルが二重頭部ダウエルとして形成されていて、かつ外方のダウエルレールに設けられている。
【００１６】
製造の際比較的多くの経費を要するダウエルのダウエルレールとの溶接は、この場合内方のダウエルストリップにとってのみ適用される。何故なら、この場合ダウエルレールを力伝達のため周囲のコンクリート取付けることが、静力学的理由から有利であり、しばしば必要ですらある。この高度の静力学的要件が課されることのない、支持体から遠く離れている帯域内に、ダウエルの位置安定にのみ働くダウエルレールが使用される。従って、この場合、製造技術上より簡単な結合様式を選択することが可能である。経費を要しかつ環境を汚化する溶接作業は避けられる。これらの外方のダウエルストリップは僅かな重量として製造することができ、これにより製造利点と組立て利点とが得られる。
【００１７】
静力学的な要件と組立てとを考慮して、内方のダウエルストリップが下方に存在しているダウエルレールと共に、そして外方のダウエルストリップが上方に存在しているダウエルレールと共に設けられているのが有利である。
【００１８】
本発明による思想の他の構成にあっては、このような剪断補強鉄筋構造のための一部分から成るダウエルストリップは、ダウエルレールに垂直なダウエルの少なくとも二つの群が平行にかつ互いに間隔をおいて設けられており、これらの群がそれぞれ一本の細長いダウエル軸を、そして少なくともダウエルレールとは反対側の端部に幅広のダウエルヘッドを備えていること、およびダウエルの第一の群のダウエル軸の直径がダウエルの少なくとも一つの第二の群のダウエル軸の直径よりも大きいことを特徴とする。
【００１９】
以下に、本発明を図面に図示した発明の実施の態様につき詳細に説明する。
【００２０】
図１には、鉄筋コンクリートから成る平天井１の断面を支持体２の領域内で平面図で示した。剪断補強鉄筋構造３は支持力を平天井１に導入する働きを行い、従って平天井１の打抜き鉄筋(Durchstanzbewerung)を形成している。
【００２１】
図２に示したように、平天井１は従来の方法により、上鉄筋層４と下鉄筋層５とから成る天井鉄筋を有している。剪断補強鉄筋構造３は多数のダウエルストリップ６によって形成されており、これらのダウエルストリップは支持体２の軸線に対して半径方向で、即ち支持体の中心領域に向かう方向で設けられている。これらのダウエルストリップ６の各々は、ダウエルレール７から成り、これらのダウエルレールに垂直な多数本のダウエル８と８′が平行にかつ互いに間隔をもって設けられている。
【００２２】
ダウエル８と８′の各々は、細長い、特に円筒形のダウエル軸９，９′を有しており、両端に据込み加工された幅広いダウエルヘッド１０，１０を有している。図２に示したように、ダウエルストリップ６は、ダウエルレール７が上鉄筋層４上に存在し、ダウエル８と８′が下方へと下鉄筋層５に達するように、上鉄筋層４と下鉄筋層５内に挿入されている。
【００２３】
図３に示したように、ダウエルレール７のダウエルストリップ６の各々にはダウエル８と８′の二つの群１１，１２が設けられている。ダウエル８の第一の群１１内において、ダウエル軸９はダウエル８′のダウエル軸９′よりも大きい直径を有している。
【００２４】
図１と図２に示すように、ダウエルストリップ６は、より大きな直径のダウエル軸９を有する第一の群に所属するダウエル８が支持体の近傍の帯域１３内に存在しており、他方をより小さな直径のダウエル軸９′を有する第二の群に所属するダウエル８′が支持体から遠く離れている帯域１４内に存在するように、設けられている。支持体の近傍の帯域１３と支持体から遠く離れている帯域１４は、環状リングの形状の帯域であり、これらの帯域は支持体２を中心として同心的に互いに境を接して設けられている。支持体から遠く離れている帯域１４の直径は、図示した発明の実施態様にあっては、支持体の近傍の帯域１３の直径の２倍よりも大きい。
【００２５】
図４と図５に図示した発明の実施形は上記の発明の実施形と支持体の近傍の帯域１３と支持体から遠く離れている帯域１４内に、互いにそれぞれ同列位置にある内方のダウエルストリップ６と外方のダウエルストリップ６′がそれぞれ設けられている点で異なる。外方のダウエルストリップ６′が既に上に述べた様式により構成されており、この場合二重頭ダウエルとして構成されているダウエル８′が、例えば鋲或いはねじ−これらはこの場合ただ位置安定のみを行う−により、上方に存在しているダウエルレール７′と結合されているが、他方内方のダウエルストリップ６″のダウエル８″は、そのダウエル軸９″の一方の端部でもって、下方に存在している内方のダウエルレール７″と溶接されている。この場合、この内方のダウエルレール７″の支持体側の端部は支持体２内にまで突出している。この内方のダウエルレール７″はダウエル８″の位置安定を行うのみならず、周囲のコンクリートからこのダウエル８″への力の導入も行う。
【００２６】
この場合、既に述べた発明の実施形におけるように、この発明の実施形にあっても、内方のダウエルストリップ６″のダウエル８″のダウエル軸９″の軸直径は、支持体から遠く離れている帯域１４内の外方のダウエルストリップ６′のダウエル軸９′の軸直径よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【図１】 中に剪断補強鉄筋構造が形成されている平天井の支持体領域内における概略平面図であり、この場合天井鉄筋は図面を見やすくするために省略してある。
【図２】 天井鉄筋を描いた、図１の切断剪断補強鉄筋構造ＩＩ−ＩＩに沿った拡大断面図である。
【図３】 図１および図２による剪断補強鉄筋構造に使用されたダウエルストリップの側面図である。
【図４】 支持体の近傍の帯域と支持体から遠く離れている帯域のために設けられているダウエルストリップを備えた変形された発明の実施形の図１に相当する図である。
【図５】 図４の切断線Ｖ−Ｖに沿った断面図である。

Claims (9)

1. それぞれ一本のダウエルレール（７）と多数本のダウエル（８，８′）とから成り、この場合これらのダウエル（８，８′）がダウエルレール（７）垂直に、平行にかつ互いに間隔をもって設けられており、ダウエル（８，８′）がそれぞれ一本の細長いダウエル軸（９，９′）および少なくともこのダウエルレール（７）とは反対側の端部に幅広なダウエルヘッド（１０）を備えている様式の、支持体の軸線対して半径方向に設けられている多数本のダウエルストリップを備えている、支持領域内における平天井用剪断補強鉄筋構造において、支持体（２）に隣接しているダウエル（８，８′）のダウエル軸（９）の直径が、支持体（２）から遠く離れている他のダウエル（８′）のダウエル軸（９′）の直径よりも大きいことを特徴とする平天井用剪断補強鉄筋構造。
2. 支持体の近傍の帯域（１３）内において、支持体から遠く離れている帯域（１４）内に設けられている残りのダウエル（８′）のダウエル直径よりも大きいダウエル直径を有しているダウエル（８，８″）が設けられていることを特徴とする請求項１に記載の剪断補強鉄筋構造。
3. 支持体の近傍の帯域（１３）と支持体から遠く離れている帯域（１４）とが、互いに境を接していて、かつそれぞれ環状リング形の、支持体（２）を中心にして同心に配設された帯域であることを特徴とする請求項２に記載の剪断補強鉄筋構造。
4. 支持体から遠く離れている帯域（１４）の直径が支持体の近傍の帯域（１３）の直径の少なくとも２倍の大きさであることを特徴とする請求項３に記載の剪断補強鉄筋構造。
5. 支持体の近傍の帯域（１３）内と、支持体から遠く離れている帯域（１４）内に、それぞれ別個の内方のおよび外方のダウエルストリップ（６′と６″）が設けられていることを特徴とする請求項２に記載の剪断補強鉄筋構造。
6. 支持体の近傍の帯域（１３）内の内方のダウエルストリップ（６″）に、支持体から遠く離れている帯域（１４）内の上記のダウエルストリップと同列位置で外方のダウエルストリップ（６′）が設けられていることを特徴とする請求項５に記載の剪断補強鉄筋構造。
7. 内方のダウエルストリップ（６″）のダウエル（８″）がそのダウエル軸（９″）の一方の端部でもって内方のダウエルレール（７″）と溶接されており、その他方の端部にダウエルヘッド（１０）を備えていることを、および外方のダウエルストリップ（６′）のダウエル（８′）が二重ダウエルヘッドとして形成されていてかつ外方のダウエルレール（７′）に設けられていることを特徴とする請求項５或いは６に記載の剪断補強鉄筋構造。
8. 内方のダウエルストリップ（６″）が下方に存在しているダウエルレール（７″）と共に、そして外方のダウエルストリップ（６′）が上方に存在しているダウエルレール（７′）と共に設けられていることを特徴とする請求項７に記載の剪断補強鉄筋構造。
9. ダウエルレール（７）に垂直なダウエル（８；８′）の少なくとも二つの群（１１，１２）が平行にかつ互いに間隔をおいて設けられており、これらの群がそれぞれ一本の細長いダウエル軸（９；９′）を、そして少なくともダウエルレールとは反対側の端部に幅広のダウエルヘッド（１０）を備えていること、およびダウエル（８）の第一の群（１１）のダウエル軸（９）の直径がダウエル（８′）の少なくとも一つの第二の群（１２）のダウエル軸（９′）の直径よりも大きいことを特徴とする請求項１に記載の剪断補強鉄筋構造用のダウエルストリップ。

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