JP4101260B2 - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地紋画像を出力可能な画像処理装置および画像処理方法に関するものである。
近年のスキャナやプリンタあるいは複写機の高性能化に伴い、戸籍謄本、契約書等の機密文書の不正複写が問題となることがある。従来、このような機密文書の複写あるいはその複写物の使用を牽制するために、機密文書の印刷には複写偽造防止用紙と呼ばれる特殊な用紙が使用されてきた。複写偽造防止用紙は、人間の目には見えにくいが、複写機で複写すると隠されていた警告文字等が浮かび上がってくる特殊なパターンが予め印刷されている用紙である。この複写偽造防止用紙上に戸籍情報や契約情報などを印刷することにより、当該印刷物に対する不正な複写行為を心理的に抑止することができる。また、警告文字によって原本と複与物との違いを明確に認識させることができる。
特許文献1には、複写すると警告文字が浮かび上がる地紋画像を生成する構成が記載されている。そして、スキャナで読み取った主画像を複写記録する際に、当該生成された地紋画像を主画像に重ねあわせることで、通常の用紙を用いて複写偽造防止用紙を用いた場合と同様の印刷結果を得ることができる。後述するように、この地紋画像は、潜像部及び背景部により構成されている。そして潜像部及び背景部は、共通の反射濃度を有し、その一方で、異なるディザマトリックスを用いて生成されている。
この特許文献1では、地紋画像の生成部、および主画像と地紋画像の合成を行う画像合成部が、主画像の画像処理部より後段に位置している。これにより、主画像に施す画像処理を地紋画像に対して施すことがないようにすることができ、画像処理による地紋画像の劣化を防止することができる。
また、特許文献2には、地紋画像専用の転送経路とバッファを設ける構成が記載されている。これにより、主画像に対する画像処理を地紋画像には適用しないようにしている。
特開平7−231384号公報 特開2001−346032号公報
原稿画像データに行われるべき処理が、地紋画像データに対して行われないようにするために、特許文献1では、地紋画像データ専用のデータバスを原稿画像データの転送に利用されるデータバスとは別に設けている。しかしながら、このような構成では、地紋画像データ専用のデータバスを設けない場合に比べて余分なコストがかかっている。また、特許文献2でも、地紋画像データ専用のデータバスや地紋画像データ専用のバッファを、原稿画像データの転送に利用されるデータバスや原稿画像データの保存に利用されるバッファとは別に設けており、やはり余分なコストがかかっている。
本発明は、上述した問題を解決するために、既存のデータバスを用いて地紋画像データを転送するが、原稿画像データに対する処理によって地紋画像が劣化しないようにすることを目的とする。
ここで、原稿画像データに対する処理とは、画像処理やデータ圧縮・伸張などの処理を指す。
そのために本発明では、画像データと地紋画像データとの合成データを生成する画像処理装置であって、画像データに付帯した属性情報の一部を地紋画像データで置換する置換手段と、該置換手段によって属性情報の一部が置換された前記画像データに基づいて前記合成データを生成する合成手段と、を具え、前記合成手段による合成の前に、前記置換手段によってその一部が置換された属性情報を付帯した画像データに対して圧縮を行う圧縮手段を更に備え、前記圧縮手段は前記属性情報に対して可逆圧縮を行い、前記画像データに対して非可逆圧縮を行うことを特徴とする。
他の形態では、画像データと地紋画像データとの合成データを生成する画像処理装置であって、画像データに付帯した属性情報の一部を地紋画像データで置換する置換手段と、該置換手段によって属性情報の一部が置換された前記画像データに基づいて前記合成データを生成する合成手段と、を具え、前記合成手段による合成の前に、前記置換手段によってその一部が置換された属性情報を付帯した画像データのうち前記属性情報に対して非可逆圧縮を行わず、前記画像データに対して非可逆圧縮を行うことを特徴とする。
また、画像データと地紋画像データとの合成データを生成し、該合成データに基づいて印刷データを生成するための画像処理方法であって、画像データに付帯した属性情報の一部を地紋画像データで置換する置換工程と、該置換工程によって属性情報の一部が置換された前記画像データに基づいて前記合成データを生成する合成工程と、を有し、前記合成工程による合成の前に、前記置換工程でその一部が置換された属性情報を付帯した画像データに対して圧縮をする圧縮工程であって、前記属性情報に対して可逆圧縮を行う圧縮工程をさらに有したことを特徴とする。
他の形態では、画像データと地紋画像データとの合成データを生成し、該合成データに基づいて印刷データを生成するための画像処理方法であって、画像データに付帯した属性情報の一部を地紋画像データで置換する置換工程と、該置換工程によって属性情報の一部が置換された前記画像データに基づいて前記合成データを生成する合成工程と、を有し、前記合成手段による合成の前に、前記置換工程でその一部が置換された属性情報を付帯した画像データのうち前記属性情報に対して非可逆圧縮を行わず、前記画像データに対して非可逆圧縮を行う圧縮工程をさらに有したことを特徴とする
以上の構成によれば、既存のデータバスを用いて地紋画像データを転送することで、原稿画像に対する画像処理によって地紋画像が劣化しないようにすることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、実施例1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。本実施例1では、印刷部121と不図示のスキャナ部とを有する複写機を例にして説明する。
以下で説明する地紋付き原稿画像データ生成に係る各処理は、主にLSI形態のメインチップ1001およびプリントチップ1002によって実行される。
CPU101は、システムバス103を介してこれらチップの動作を制御する。システムメモリ102およびハードディスク装置105は、CPU101が実行するプログラムや原稿画像データや属性データや地紋画像データなどを格納する。
地紋データ生成部104は、ユーザによる地紋設定(色の設定や埋め込み文字列の設定)に基づいて地紋画像データを生成し、当該地紋画像データをシステムメモリ102に格納する。この生成された地紋画像データは、潜像部及び背景部を有し、1ビットのビットマップデータになっている。具体的には、地紋データ生成部104は、潜像部と背景部を切り分ける「COPY」などの文字列パターンや輪郭パターンなどと、2種類のディザマトリックスとに基づいて地紋画像データを生成する。なお、この文字列パターンや輪郭パターンはユーザにより設定されるものであり、また2種類のディザマトリックスはシステムメモリ102に格納されているものである。
ここで、地紋画像について説明を行う。地紋画像は複写物上で「残る」領域及び「消える」(あるいは「前記の残る領域に比べて薄くなる」)領域から構成される。なお、これら2つの領域における反射濃度は原本上ではほぼ同じとなっている。そのため、人間の目には「COPY」などの文字列が埋め込まれていることが分らない。ここで「残る」とは、原本における画像が複写物上で正確に再現されることである。また「消える」とは、原本における画像が複写物上では再現されないことである。なお、反射濃度は反射濃度計により測定される。
以降、複写物上で「残る」領域を「潜像部」と称し、複写物上で「消える」(あるいは「前記の残る領域に比べて薄くなる」)領域を「背景部」と称する。
図9は、地紋画像におけるドットの状態を示す図である。同図でドットが集中して配置されている領域が潜像部であり、ドットが分散して配置されている領域が背景部である。この2つの領域におけるドットは、それぞれ異なる網点処理や異なるディザ処理により生成されている。例えば、潜像部のドットは低い線数の網点処理により、また背景部のドットは高い線数の網点処理により生成されている。あるいは、潜像部のドットはドット集中型ディザマトリクスを用いて、また背景部のドットはドット分散型ディザマトリクスを用いて生成されている。
ところで、複写機の再現能力は、複写機が有する入力解像度や出力解像度に依存する。そのため、複写機の再現能力には限界が存在する。これにより、潜像部におけるドットが複写機で再現可能なドットより大きく形成され、かつ背景部におけるドットが再現可能なドットより小さく形成されている場合には、複写物上で潜像部におけるドットは再現されるが、背景部におけるドットは再現されにくい。結果として、複写物上では、潜像部が背景部に比べてより濃く再現される。以後、複写物上で潜像部が背景部より濃く再現されることで、潜像部として埋め込まれていた文字列などが浮び上がったように見えることを顕像化と称する。
図10(a)および(b)は、この顕像化を示す図である。集中したドット(大きなドット)は複写物上で再現され、分散したドット(小さなドット)は複写物上で正確に再現されないことを同図は概念的に示している。
なお、地紋画像は上記構成に限定されるものではなく、複写物上で人間が認識可能に「COPY」などの文字列や記号あるいは模様などが現れる(顕像化する)ように構成されていればよい。また、複写物上で「COPY」などの文字列が白抜き状態で示されても、その地紋画像は目的を達成しているといえる。この場合「COPY」の領域を背景部と呼ぶことは言うまでもない。以上で、地紋画像の説明を終了する。
画像データ生成部106は、スキャナから入力されたデータに対して所定の変換をすることによって原稿画像データを生成する。この原稿画像データはラスター形式となっている。
属性情報生成部107は、この生成された原稿画像データを解析し、一画素毎に属性を与えていく。例えば、文字を構成する画素と判断された場合には文字属性を与え、写真(又は自然画像)を構成する画素と判断された場合には写真属性を与える。この文字属性や写真属性などを表す属性データは、後述する画像処理部で高画質な画像処理を実現するために利用されている。なお、後述するように、本実施例では各画素が有する属性データを収容するために8ビットの領域を用意しているが、本発明はこれに限られるものではなく、任意のビット数であってよい。しかしながら、ハードウェアの設計変更を行うことなしに、属性情報を収容するためのビット数の変更を状況に応じて行うことはできないものとする。これは、例えば、属性データを転送するためのデータバスの本数などに限りがあるためである。なお、属性データは、輝度情報や濃度情報以外の画像データを意味する。具体的には、文字属性・写真属性などといった属性を表すデータを意味する。
図3は、1画素分のデータを収容するための領域を概念的に表した図でもある。1画素分のデータは、それぞれ8ビットのRの画像データ、Gの画像データ、Bの画像データ、属性データを有する。R収容領域301は、Rの画像データを収容する領域である。G収容領域302は、Gの画像データを収容する領域である。B収容領域303は、Bの画像データを収容する領域である。属性収容領域304は、属性データを収容する領域である。この属性収容領域304において、右側が8ビット中の最上位ビット(Least Significant Bit)側を、左側が8ビット中の最下位ビット(Most Significant Bit)側を示している。なお、以下の説明においては、Least Significant Bit及びMost Significant Bitを夫々、LSB及びMSBと称する。
ラスタータイル変換部108は、画像データ生成部106で生成された1ページ分のラスターデータを複数のタイルデータに分割する。そして、タイルデータ及び属性データをエンコーダ109に送る。図2は、ラスターデータ及びタイルデータについて概念的に表した図である。201は、1ページ分のラスターデータ表している。202は、32×32画素のタイルデータを表している。203は、タイルデータ202内の1画素分のデータを表している。
エンコーダ109は、タイルデータにJPEGなどの非可逆圧縮方式で圧縮を行い、属性データにパックビッツなどの可逆圧縮方式で圧縮を行う。そして、圧縮後のデータをパケット生成部110に送る。これらの圧縮は、システムメモリ102の使用量をできる限り抑えるために行われている。なお、一般に画像データは非可逆圧縮をかけても画質にそれほど影響がないため、原稿画像データに対してはJPEG方式で非可逆圧縮を行う。これに対し、属性データは、少しでも非可逆圧縮による劣化があるとその画素の属性そのものが変わってしまい画質に大きな影響が及ぶ可能性があるため可逆圧縮を行う。ところで、圧縮後のデータサイズは、圧縮の対象となるデータのデータサイズによって異なる。また、予め圧縮後のデータサイズを制御したり予測したりすることも困難である。このため、システムメモリ102には1ページ分の圧縮データを格納するメモリ領域を確保してあるが、データによっては圧縮後のデータサイズが予め確保したメモリ領域を上回る場合がある。この場合、圧縮後のデータをいったん破棄し、エンコーダ109の圧縮パラメータを変えて、再度圧縮前のデータに対し圧縮を行う。この処理を、圧縮後のデータが確保した領域におさまるまで繰り返す。以上の処理により、非可逆圧縮されるデータの再現性は低下していく。即ち、原稿画像データの画質は劣化する。なお、本実施形態として、スキャン原稿に基づいて原稿画像データを生成する例の説明を行っているが、本発明の適用はスキャン原稿に限定されるものでないことはもちろんである。なお、PDL原稿などについては、ホストから送られてきたPDLデータに対してレンダリングなどを行って原稿画像データを生成する。この際、属性データは、生成後の原稿画像データに基づいてスキャン原稿同様の方法で作られる場合と、PDLデータに含まれるオブジェクトデータに基づいて作られる場合が存在する。
パケット生成部110は、非可逆圧縮された原稿画像データ及び可逆圧縮された属性データをタイル単位でパッキングする。これによりパケットデータが作成される。図11は、このパケットデータを概念的に表した図である。1101は非可逆圧縮されたタイルデータを表し、1102は可逆圧縮された属性データを表す。
パケットライトDMAC111は、このパケットデータをシステムメモリ102に送り、格納させる。システムメモリ102上に格納されたパケットデータは、一旦ハードディスク装置105に送られ格納される。このことをディスクスプールという。なお、ディスクスプールは行われる場合と、行われない場合とがある。
パケットリードDMAC113は、システムメモリ102上のパケットデータを順次読み出し、地紋データ置換部114に送る。
続いて、地紋データ置換部114が行う処理について説明する。
まず、原稿画像に地紋画像の合成を行わず、そのまま出力する設定となっている場合(通常印刷設定の場合)には、この地紋データ置換部114では何も処理せず、受け取ったパケットデータをそのままパケット送信部115に送る。
一方、原稿画像に地紋画像を合成して出力する設定となっている場合(地紋印刷設定の場合)は、パケットリードDMAC113がパケットデータを地紋データ置換部114に送るのと並行して、地紋データリードDMAC112がシステムメモリ102上の地紋画像データを順次リードし当該地紋画像データを地紋データ置換部114に送る。地紋画像データは、原稿画像データ同様に32画素×32画素のタイル形式でシステムメモリ102上に格納されている。図4は、1画素分の地紋画像データを示している。同図に示すように、1画素分の地紋画像データは、1ビットで構成される。(例えば、該ビットには、ドットが打たれるべき画素の場合には1、ドットが打たれない画素の場合には0が入るものとして予め取り決めておくものとする。ここで、ドットが打たれるべき画素)なお、地紋画像データは、ハードディスク装置105に格納しておくことも可能である。また、ハードウェアで地紋データ生成部を構成することも可能である。
図5は、地紋データ置換部114の詳細な構成を示すブロック図である。同図に示すように、地紋データ置換部114は、パケット分離部601、可逆デコーダ602、属性情報置換部603、可逆エンコーダ604、パケット再生部605を有する。
原稿画像データ及び属性データを有するパケットデータはパケット分離部601で、原稿画像データと属性データに分離される。このうち、原稿画像データは、伸張されずに、そのままパケット再生成部605に送られる。一方、可逆圧縮がかけられていた属性データは可逆デコーダ602に送られ、伸張される。これにより、伸張された属性データの内容は、圧縮前の内容が完全に再現されたものとなる。図12は、伸張後の属性データを収容するための属性収容領域を表している。同じく、1201は、属性収容領域を表している。伸張された属性データは、属性情報置換部603に送られる。
属性情報置換部は、この伸張された属性データを受け取る一方で、地紋データリードDMAC112から地紋画像データを受け取る。そして、この属性情報置換部603は、属性収容領域のうちの1ビットを地紋画像データの収容に利用するための処理を行う。
図6は、1画素分の属性収容領域を表した図である。同様に、図6の504は、図3の304や図12の1201と同様に属性収容領域を表す。この属性収容領域には、上述した属性情報置換部603による処理により、地紋画像データ及び属性データが収容されている。即ち、本来、属性データが収容される属性収容領域504のうちの1ビットに、地紋画像データが収容されている。なお、属性収容領域504に属性データが収容されている場合には(空きの領域が無い場合には)、このうちの1ビット分の属性データが消去され、代わりに地紋画像データが収容されることになる。この処理のことを地紋画像データの上書き処理と称することにする。また、属性収容領域504に空きの領域がある場合には、その空き領域に地紋画像データが収容されることになる。以上のように、属性収容領域504に地紋画像データを収容する処理には二つのケースが考えられるが、これらの処理を総じて置換処理と称することにする。このように置換処理された地紋画像データは、非可逆圧縮が行われない。そのため、地紋画像の警告文字等が原本において既に浮き上がった状態となるなどの不具合の発生が防止できることになる。
属性情報置換部603により置換が行われると、属性収容領域504に含まれるデータ(属性データ及び地紋画像データ)を可逆エンコーダ604に送る。
可逆エンコーダ604は、32画素×32画素のタイル単位で可逆圧縮が行われる。そして、当該可逆圧縮後の属性データはパケット再生成部605に送る。このパケット再生成部605は、可逆エンコーダ604で可逆圧縮されたデータ(属性データ及び地紋画像データ)と、パケット分離部601で分離された原稿画像データとをパッキングし、パケットデータを再生成する。そして、再生されたパケットデータをパケット送信部115に送る。図13は、再生成されたパケットデータを表す図である。1301は非可逆圧縮された原稿画像データを表し、1302は可逆圧縮されたデータ(属性データ及び地紋画像データ)を表している。
本実施形態では、複数のLSIによって画像処理システムが構成されている。そして、上述したように、システムメモリ102が接続されているLSIをメインチップ1001とし、印刷部121が接続されているLSIをプリントチップ1002とする。これらのチップの境界はパケット送信部115とパケット受信部116の間にある。メインチップ1001からプリントチップ1002にパケットデータを送信するために地紋データ置換部114からパケット送信部115に送られたパケットデータは、そのパケット送信部115によってプリントチップ1002に送られる。プリントチップ1002のパケット受信部116は、送られてきたパケットデータを受信し、デコーダ117にパケットデータを送る。なお、メインチップ1001とプリントチップ1002がひとつのLSIで構成されている場合は、パケット送信部115とパケット受信部116は不要となることはもちろんである。
デコーダ117では、パケットデータ内の非可逆圧縮された原稿画像データと可逆圧縮されたデータ(属性データ及び地紋画像データ)とをそれぞれ伸張する。
その後、タイルラスター変換部118で、タイルデータからラスターデータを生成する。ラスターデータ形式に変換された原稿画像データは、画像処理部119で、画像処理が施される。更にこの時、原稿画像データは各色8ビットのRGBデータから各色8ビットのCMYKデータに変換される。また、この各色8ビットのCMYKデータには擬似中間処理を施され、各色1ビットのCMYKデータに変換される。このように、RGBの3プレーンにのせられていた原稿画像データはCMYKの4プレーンにのせられる。なお、Cのプレーンとは、画像データのシアンの輝度情報が載せられる領域のことを意味する。また、Cのプレーンは、原稿画像データ内のシアンの輝度データ自体を指す場合もある。以上のことは、他の色のプレーンについても同様である。
なお、この画像処理部119が原稿画像データに対して行う画像処理は、各画素の属性データ(文字属性、写真属性など)を用いた画像処理となっている。これにより、原稿画像データに対して、画素毎に異なる画像処理(各属性に適した画像処理)が行われる。なお、地紋印刷設定の場合には、原稿画像データに対してのみ画像処理が行われ、地紋画像データに対して画像処理が行なわれることはない。これは、地紋画像データは属性データが収容される領域に収容されているからである。結果として、画像処理部119で地紋画像の画質が劣化することはなく、警告文字等が原本において既に浮き上がってしまうなどの不具合が生じることを防止できるという、上述の可逆圧縮の場合と同様の効果を得ることができる。このように本発明では、既存のデータバス(属性データの転送に利用されるデータバス)を用いて地紋画像データの転送を行いつつ、地紋画像データに対して画像処理が施されることを防止している。また、これにより、劣化の無い地紋画像データを画像合成部120に出力している。
画像合成部120は、通常印刷設定の場合には、画像処理部119で画像処理が施された原稿画像データを受信する。そして、この画像合成部120は原稿画像データに対し何の処理もせず印刷部121に送る。一方、地紋印刷設定の場合の処理については、以下に詳細に説明する。
図7は、画像合成部120の詳細な構成を示すブロック図である。画像合成部120は、合成部702とビット拡張部701により構成される。
図7に示すように、画像合成部120は、原稿画像データ及び地紋画像データを受信する。
属性収容領域のうちLSB側のビットに収容されたデータ(地紋画像データ)は、ビット拡張部701に入力される。ここで、地紋画像データは、原稿画像データと同じCMYK各色1ビットの画像データに変換される。つまり、CMYKの4プレーンにのせられることになる。より詳細には、ビット拡張部701は、1ビットの地紋画像データを受け取り、その地紋画像データにおける各画素の値が0であるか1であるかや地紋画像の色が何色に設定されているかに応じた出力を行う。具体的には、地紋画像データを示すビット値が“1”であり、地紋画像の色がMに設定されている場合には、Cは0、Mは1、Yは0、Kは0を示す4ビットの地紋画像データを出力する。また、地紋画像データを示すビット値が“0”であり、地紋画像の色がMに設定されている場合には、Cは0、Mは0、Yは0、Kは0を示す4ビットの地紋画像データを出力する。なお、このビット拡張後の変換値はレジスタ設定によって決められる。次に、合成部702は、原稿画像データと、ビット拡張部701から出力される変換後の地紋画像データとを入力とし、ORなどの単純な画像合成を行い、地紋付き原稿画像データを生成する。
なお、本実施形態では、上述したようにパケット送信部115とパケット受信部116の間でチップ間をわたるデータ転送が行われる。そして、このデータ転送をできるだけ効率よく行うため、ビットの置換後に属性データを再度可逆圧縮した。しかし、チップ間をわたるデータ転送がないなど、データ転送の効率を上げる必要がない場合は、ビットの置換後に属性データに対し再度可逆圧縮を行う必要がない。
また、地紋画像データの1ビットは、LSB側のビットに収容されているが、本発明はこれに限られることはない。例えば、MSB側のビットに収容したり、中間のビットに収容したりしてもよい。また、レジスタ設定などにより、収容するビットを選択できるような構成にしてもよい。また、本実施形態では、地紋画像データを1ビットとしているが、1ビットに限定する必要はなく、地紋画像データを1画素2ビット以上とし、地紋画像をCMYK混色の画像としてもよい。その際には、属性データを収容する領域のうち複数ビットを地紋画像のために用いる必要がある。
ところで、属性データのうち画質向上に大きな効果を奏する情報は、本システムのように8ビットの領域を用意しているシステムでは、画像処理に大きな効果を奏する属性もあれば小さな効果を奏する属性もある。もちろん、大きな効果を奏する属性のみならず小さな効果を奏する属性を用いて原稿画像データに対する画像処理を行うと、大きな効果を奏する属性のみを用いて画像処理を行う場合に比べて、より高画質な原稿画像データを出力することができる。しかし、より高画質な原稿画像データを生成し出力したとしても、後の画像合成部120において地紋画像を合成してしまうため、高画質化の効果は薄れてしまう。従って、地紋画像を合成する場合、属性データのうち、小さな効果を奏する属性の一部を消去し、当該一部の属性を収容する領域を地紋画像データに使用したとしても画質に及ぼす影響は無いに等しい。
(実施例2)
図8は、実施例2に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
上述した第1実施例では、パケット送信部802で、エンコーダ109で可逆圧縮された属性データを一度伸張し、その後、地紋画像データによる置換処理を行った。そして、置換処理後、再度パケット送信部802で再度可逆圧縮を行い、パケットデータを再生成して転送を行った。この方法では、可逆圧縮された属性データの伸張を行い、当該伸張された属性データを再度圧縮している。そのため、属性データをほとんど圧縮できなかったり、可逆圧縮前の属性データのデータサイズよりも逆に大きくなったりする可能性がある。このため、メインチップ1001とプリントチップ1002の間のデータ転送量が増えてしまい、システムのボトルネックとなる可能性がある。
実施例2では、このような問題を解消するべく、パケット送信部801は、パケットデータを伸張せずに地紋画像データと共にプリントチップ1002に送る。そして、プリントチップ1002で、置換処理を行うことにより、2つのチップ間の転送データ量を減らようにする。
すなわち、プリントチップ1002のパケット受信部802は、原稿画像データ及び属性データを有するパケットデータと地紋画像データを受信し、パケットデータについてはデコーダ803に送る。また、地紋画像データについては、地紋データ置換部804に送る。
デコーダ803では、パケットデータ内の圧縮された原稿画像データ及び属性データをそれぞれ伸張し、地紋データ置換部804に送る。地紋データ置換部804では、属性収容領域のうちの1ビットを第1の実施例同様に地紋画像データを収容するために利用する。この後の処理は、実施例1と同様であるため省略する。なお、画像処理部119で原稿画像データに対して画像処理が行われるのに対し、地紋画像データには実施例1同様に画像処理は行われない。これにより、画像処理によって地紋画像の内容が損なわれることを防止できる。その結果、地紋画像の画質が劣化することがなく、警告文字等が原本において浮き上がってしまうなどの不具合が生じることを防止できる。
以上説明したように、本発明によれば、既存のデータバスを用いて地紋画像データを転送しつつ、劣化の無い地紋付き原稿画像データを生成できる。また、原稿画像データに対して非可逆の圧縮を行うことで、メモリ容量の削減やデータ転送量の削減を実現することができる。
また、本発明によれば、通常印刷の場合には、8ビットの属性データを持たせることができるので、より高画質な印刷が可能となる。
また、本発明の第二の実施形態によれば、チップ間の転送データ量の増大を防ぐことが可能となる。
本発明の第一の実施形態に係わる画像処理構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に関して、1ページ分のラスター画像をタイルに分割して扱うことを説明する図である。 上記タイル分割される1画素分のデータ収容領域を示す図である。 本発明の実施形態に係る1画素分の地紋画像データを示す図である。 図1に示す地紋データ置換部114の詳細な構成を示すブロック図である。 属性データ及び地紋画像データを収容する属性収容領域を示す図である。 図1に示す画像合成部120の詳細な構成を示すブロック図である。 本発明の第二の実施形態に係わる画像処理構成を示すブロック図である。 地紋画像を示す図 顕像化を示す図 パケットデータを示す図 属性データを収容する属性収容領域を示す図である。 パケットデータを示す図
符号の説明
101 CPU
102 システムメモリ
103 システムバス
104 地紋画像データ生成部
105 ハードディスク装置
106 画像データ生成部
107 属性情報生成部
108 ラスタータイル変換部
109 画像データおよび属性情報を圧縮するエンコーダ
110 パケット生成部
111 パケットライトDMAC
112 地紋画像データリードDMAC
113 パケットリードDMAC
114 地紋データ置換部
115 パケット送信部
116 パケット受信部
117 デコーダ
118 タイルラスター変換部
119 画像処理部
120 画像合成部
121 印刷部

Claims (16)

  1. 画像データと地紋画像データとの合成データを生成する画像処理装置であって、
    画像データに付帯した属性情報の一部を地紋画像データで置換する置換手段と、
    該置換手段によって属性情報の一部が置換された前記画像データに基づいて前記合成データを生成する合成手段と、
    を具え
    前記合成手段による合成の前に、前記置換手段によってその一部が置換された属性情報を付帯した画像データに対して圧縮を行う圧縮手段を更に備え、前記圧縮手段は前記属性情報に対して可逆圧縮を行い、前記画像データに対して非可逆圧縮を行うことを特徴とする画像処理装置。
  2. 画像データと地紋画像データとの合成データを生成する画像処理装置であって、
    画像データに付帯した属性情報の一部を地紋画像データで置換する置換手段と、
    該置換手段によって属性情報の一部が置換された前記画像データに基づいて前記合成データを生成する合成手段と、
    を具え、
    前記合成手段による合成の前に、前記置換手段によってその一部が置換された属性情報を付帯した画像データのうち前記属性情報に対して非可逆圧縮を行わず、前記画像データに対して非可逆圧縮を行うことを特徴とする画像処理装置。
  3. 前記置換手段は、画像データと地紋画像データとの合成データを生成しないときは、前記置換を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 前記画像データと前記属性情報は、それぞれ別々に圧縮を施され、メモリに格納されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
  5. 前記圧縮された画像データと前記圧縮された属性情報を、予め定められたタイル単位でパケットとしてパッキングして前記メモリに格納されることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 前記画像データと前記属性情報とを前記メモリからパケットとして読み出した後、圧縮されている前記属性情報を伸張し、そのビットの一部を、前記メモリから読み出した前記地紋画像データに置換し、再度パッキングをして前記合成のために転送を行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 前記合成手段による合成の前に、前記画像データに対して画像処理を行う画像処理手段をさらに具えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理装置。
  8. 画像データと地紋画像データとの合成データを生成し、該合成データに基づいて印刷データを生成するための画像処理方法であって、
    画像データに付帯した属性情報の一部を地紋画像データで置換する置換工程と、
    該置換工程によって属性情報の一部が置換された前記画像データに基づいて前記合成データを生成する合成工程と、
    を有し
    前記合成工程による合成の前に、前記置換工程でその一部が置換された属性情報を付帯した画像データに対して圧縮をする圧縮工程であって、前記属性情報に対して可逆圧縮を行う圧縮工程をさらに有したことを特徴とする画像処理方法。
  9. 画像データと地紋画像データとの合成データを生成し、該合成データに基づいて印刷データを生成するための画像処理方法であって、
    画像データに付帯した属性情報の一部を地紋画像データで置換する置換工程と、
    該置換工程によって属性情報の一部が置換された前記画像データに基づいて前記合成データを生成する合成工程と、
    を有し、
    前記合成手段による合成の前に、前記置換工程でその一部が置換された属性情報を付帯した画像データのうち前記属性情報に対して非可逆圧縮を行わず、前記画像データに対して非可逆圧縮を行う圧縮工程をさらに有したことを特徴とする画像処理方法。
  10. 前記置換工程では、画像データと地紋画像データとの合成データを生成しないときは、前記置換を行わないことを特徴とする請求項8または9に記載の画像処理方法。
  11. 前記画像データと前記属性情報は、それぞれ別々に圧縮を施され、メモリに格納されることを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
  12. 前記圧縮された画像データと前記圧縮された属性情報を、ブロック単位でパケットとしてパッキングして前記メモリに格納されることを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
  13. 前記画像データと前記属性情報とを前記メモリからパケットとして読み出した後、圧縮されている前記属性情報を伸張し、そのビットの一部を、前記メモリから読み出した前記地紋画像データに置換し、再度パッキングをして、前記メモリには戻さずに前記合成のために転送を行うことを特徴とする請求項12に記載の画像処理方法。
  14. 前記合成工程による合成の前に、前記置換工程によってその一部が置換された属性情報を付帯した画像データに対して画像処理を行う画像処理工程をさらに有したことを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の画像処理方法。
  15. コンピュータに請求項8乃至14のいずれかに記載の画像処理方法における各工程を実行させるためのプログラム。
  16. コンピュータに請求項8乃至14のいずれかに記載の画像処理方法における各工程を実行させるためのプログラムを格納した、コンピュータが読取り可能な記憶媒体。
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