JP4100973B2 - 運搬車両の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてバラ物の貨物を運搬する車両の荷台部内側て、自動操作で荷降ろしを行なうための荷受スライド板と荷台ボディとの可動空間に運搬物が進入するのを防止する、運搬車両の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、主としてバラ物の貨物を直接荷台に積載して運搬する車両(トラック)では、貨物の積み下ろしを効率よく行なう必要がある。そのため、例えば土砂などを積載して運搬するトラックでは、荷台への積み込み作業を効率よくするのに、グラブバケットなどを用いて行なわれ、荷降ろし時には荷台を傾斜させて排出するような方式が採用されている。このほかに、見掛け比重の小さいバラ物貨物(例えば、チップ材など)を運搬する場合には、積載容積が大きくなるので長尺荷台の車両が使用されている。このようなバラ物を取扱う場合、荷台を傾斜させて積荷を排出することが構造的に無理であるので、専用のプラットフォーム上に車両を載せて、車両全体を傾斜させて荷台に積み込まれている積荷を荷台後端から排出させるような手段を講じている。
【0003】
ところで、トラックの荷台から積荷を荷降ろし操作を能率よくする手段としては、荷台を傾斜させる以外に、荷台上で運転室側から後端に向かって隔壁板を移動させて徐々に積荷を降ろす方式が既に開示されている。例えば、特許第3062568号公報によって知られるように、荷台上をキャビン側から後端へ向けて前後動可能な荷受スライド板と、この荷受スライド板上で左右の荷台側板に側端を係止可能で、係止時には荷受スライド板のみ移動して非係止時にその荷受スライド板とともに移動するようにされた隔壁板とを備え、その荷受スライド板の前進によってともに隔壁板を移動させて積荷を押出し、隔壁板を係止状態にした後に荷受スライド板を後退させて次の前進動作に対応させるようにされ、この動作の繰り返しによって順次積荷を荷台の後方へ押し出して排出する荷降ろし装置が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような隔壁板(押し板)を間欠移動させて順次積荷を受支した状態で押出して排出する方式を採用する場合には、まず、その積荷をの荷受スライド板が剛性のある構造でなければならない。そのためには横断面構造を剛性のある構造にするために平板の両側に側壁構造を形成することになる。そうすると、当然のことながら荷受スライド板の進退移動にともない荷台側板(ボディ)とその荷受スライド板の側壁構造部との間に生じる間隙に積荷が進入して摩擦抵抗が増大し、円滑な動きが困難になるという問題が生じる。さりとて、荷受スライド板に側壁構造部を形成することなく剛性を高めるのは、構造的に困難であること明白である。したがって、スライド部分に積荷(異物)が進入しないようにする対策が目的を達成するために重要となる。
【0005】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、荷受スライド板に設けられる側壁構造部と荷台側板との間に異物が進入して、その荷受スライド板の作動不能になるのを簡単な構成で防止できるようにされた運搬車両の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、本発明による運搬車両の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構は、
荷台部でキャビン側から荷台後端部に向けて往復動する荷受スライド板とその上で係止・非係止の動作を加えられて荷降ろしする押し板を備える運搬車両において、
前記荷受スライド板の幅方向の両側には所要高さの側壁構造部が全長に亙り立設され、その両側の側壁構造部と荷台側板の内側面との空隙部分を、少なくとも前記荷受スライド板のほぼ全長に亙る範囲で荷台側板に基部を固定される防護カバーによって覆う構成とされることを特徴とするものである(第1発明)。
【0007】
本発明によれば、荷台部でキャビン側から荷台後端部に向けて往復動する荷受スライド板を作動させてその上で、係止・非係止の動作を加えられて後端に向けて荷降ろしする押し板を間欠移動させる操作を行うにあたり、荷台側板の内側面と前記荷受スライド板の側壁構造部との間に形成される僅かな空隙部分を、荷台側板に基部を固着される防護カバーで全長に亙り覆うように設けることで、空隙部分に異物の進入が確実に防止されて荷受スライド板が円滑に作動でき、スライド機構を阻害されることがないという効果が得られる。
【0008】
前記発明において、荷受スライド板の両側に設けられる側壁構造部は、所要幅の箱型構造にされて、その上部を内側へ下がり勾配の傾斜面に形成され、前記防護カバーは前記側壁構造部の傾斜面に対応する勾配を付されて側壁構造部と荷台側板の内側面との空隙部分の上側を覆うように設けられる構成であるのがよい(第2発明)。こうすると、荷台内部に投入されるバラ荷が防護カバーによって荷台側板と荷受スライド板の側壁構造部との間に形成される空隙部分に進入するのを確実に防止でき、貨物量が少なくなっても防護カバーの傾斜面によって流れ落ちるので異物が空隙部分に進入することがないという効果を奏する。
【0009】
また、前記発明において、荷台側板の内面側に、荷受スライド板の側壁構造部が入り込む寸法の凹所を荷台のほぼ全長に亙り形成され、その凹所内に荷受スライド板の側壁構造部が収まるようにして、前記凹所の上端よりも上位置に基端部を固着されて防護カバーを、少なくとも前記荷受スライド板のほぼ全長に亙る範囲で垂設される構成であるのがよい(第3発明)。このようにすると、荷受スライド板における荷受スペースを拡大できて、かつ作動空隙部分への異物の進入を防止してスライド機能を阻害されることなく荷降ろし操作が行える。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による運搬車両の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1には本実施形態の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構を備える運搬車両の全体縦断概要図が示されている。図2には積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構を表わす要部の拡大断面図が、図3には防護カバーの取付要領を表わす図が、それぞれ示されている。
【0012】
本実施形態の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構を備える運搬車両1(以下単にトラック1という)は、主にバラ物の貨物を運搬する長尺の荷台2を備えるロングボディ型のもので、その荷台2にはキャビン3側から後端に向って積荷を押し出して荷降ろしする押し板4とその駆動手段5(油圧シリンダ)によって所要距離往復動される荷受スライド板10とが備えられ、荷台2の両側板2a,2aを高くして、その上部には開閉構造の天蓋6(天板)が付設されている。
【0013】
前記荷台2内下部に設けられる荷受スライド板は、車体のキャビン側における幅方向の中央部に設置される駆動手段5(油圧シリンダ、以下駆動シリンダ5という)によってその1ストローク分前後に進退操作される。この荷受スライド板10は、その両側上部に所要高さ寸法で適宜厚みのボックス構造にされた側壁構造部11,11が、全長に亙り付設されて全体の剛性を付与される構造になっている。また、前記側壁構造部11は、その上部を内側に向けて下がり勾配の傾斜面12に形成され、積荷が上部に止まらないで排出できる形状とされている。
【0014】
前記荷受スライド板10の側壁構造部11の上側位置には、その側壁構造部11の外側面11aと荷台側板2aの内側面と間に形成される荷受スライド板の可動空間14を覆うようにして、基部15'を荷台側板2aの内側面に所要の間隔にて固定されて防護カバー15が荷台2のほぼ全長に亙り取付けられている。この防護カバー15は、薄金属板で前記荷受スライド板10の側壁構造部11の上部傾斜面12と僅かな隙間を取って平行するように屈曲形成され、頭部が突出さないようにして、例えば所要寸法の座金17を介して皿頭小ねじ18を用いて所要間隔で固定されている。なお、前記防護カバー15は、必要に応じて荷受スライド板10の全長の範囲に設けるようにしてもよい。
【0015】
前記荷受スライド板10の上には荷降ろし用の押し板4が載置されており、その押し板4は、荷台2の両側板2a,2aの内幅にほぼ合致する幅寸法で、かつその荷台側板2aの高さ寸法に相応した高さ寸法を有する隔壁板構造にされて、かつ上端部の両肩部(側板側)に係止爪を有するラッチ可動部4aが取り付けられている。また、荷台両側板2a,2aの上縁には、前記押し板4側のラッチ可動部4aの係止爪が係合するラッチ歯7が所定のピッチでほぼ全長に亙り付設されている。なお、この押し板4は、前記荷受スライド板10の側壁構造部11および防護カバー15に対応する部分で、それらに当接しない範囲で荷台側板2aの内側面から切込んだ形状にされている。
【0016】
このように構成される本実施形態では、荷受スライド板10が駆動シリンダ5によってその1ストローク相当の距離スライドする際に、両荷台側板2a,2aに対して側壁構造部11が移動するに要する可動空間14を、その荷台側板2aの全長に亙って付設されている防護カバー15によって覆われているので、積荷がバラ荷であっても荷受スライド板10の進退に関連して前記可動空間14に進入することはなく、移動機能を阻害されることなく円滑に作動させることができる。また、防護カバー15は金属板で形成されていて、側壁構造部11の上側でその傾斜面12に平行するように屈曲形成されているから、適度な剛性を備え、積荷による負荷で変形するのを防止できる。また、バラ荷の場合その傾斜面12に沿って滑り落ちるので、当該防護カバー15の上面に残留することもない。
【0017】
次に、図4には積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構の他の実施形態を表わす要部縦断面図が示されている。
【0018】
この実施形態の荷受スライド板の可動空間保護機構は、基本的な技術構成において前記実施形態と同様であるが、構造上において一部相違する。したがって、前記実施形態と同一もしくは同様の部分については、前述のものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0019】
この実施形態では、荷台側板2aの内側下部に荷受スライド板10の側壁構造部11Aが左右いずれにおいても嵌り込む寸法で凹所9が全長に亙り設けられている。また、荷受スライド板10は、その両側に設けられる側壁構造部11Aが前記荷台側板2aに設けられる凹所9内に収まるボックス構造にされている。そして、前記荷台側板2aに設けられた凹所9を形成された上側位置で、その凹所9と荷受スライド板10の側壁構造部11Aの上端11bとの間に形成される空間19を覆うように、防護カバー15Aが基端部を所要ピッチにて複数箇所で締結具(前記実施形態と同様)により締着されて設けられている。このようにされるその防護カバー15Aは、薄金属板で所要寸法にて垂直に配される。
【0020】
したがって、その荷受スライド板10上に配置される押し板4は、その幅方向両側を前記防護カバー15Aの配置部分を交わすように切り込んで、全体的には垂直状態にされている。
【0021】
このように構成される実施形態においても、荷受スライド板10の側壁構造部11Aと荷台側板2aとの関係が、その荷台側板2aに設けられる凹所9内でスライドすることになり、積荷が搭載される部分とそのスライド個所の上側の可動空間19の部分を防護カバー15Aによって覆われ、異物の進入を阻止するようにされているので、何等問題が生じることなく円滑に作動させることができるのである。また、この実施形態では荷台側板2a側に凹所9を形成する必要があるが、防護カバー15Aは平板を用いて目的達成できることと、荷台2内部の貨物収容容積を大きくできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構を備える運搬車両の全体縦断概要図である。
【図2】図2は、積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構を表わす要部の拡大断面図である。
【図3】図3は、防護カバーの取付要領を表わす図である。
【図4】図4は、積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構の他の実施形態を表わす要部縦断面図である。
【符号の説明】
1 運搬車両(トラック)
2 荷台
2a 荷台側板
3 キャビン
4 荷降ろしのための押し板
4a ラッチ可動部
5 駆動手段(駆動シリンダ)
9 荷台側板に設けられる凹所
10 荷受スライド板
11,11A 側壁構造部
12 傾斜面
14 可動空間
15,15A 防護カバー
18 皿頭小ねじ
19 空間
Claims (3)
- 荷台部でキャビン側から荷台後端部に向けて往復動する荷受スライド板とその上で係止・非係止の動作を加えられて荷降ろしする押し板を備える運搬車両において、
前記荷受スライド板の幅方向の両側には所要高さの側壁構造部が全長に亙り立設され、その両側の側壁構造部と荷台側板の内側面との空隙部分を、少なくとも前記荷受スライド板のほぼ全長に亙る範囲で荷台側板に基部を固定される防護カバーによって覆う構成とされることを特徴とする運搬車両の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構。 - 荷受スライド板の両側に設けられる側壁構造部は、所要幅の箱型構造にされて、その上部を内側へ下がり勾配の傾斜面に形成され、前記防護カバーは前記側壁構造部の傾斜面に対応する勾配を付されて側壁構造部と荷台側板の内側面との空隙部分の上側を覆うように設けられる構成である請求項1に記載の運搬車両の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構。
- 荷台側板の内面側に、荷受スライド板の側壁構造部が入り込む寸法の凹所を荷台のほぼ全長に亙り形成され、その凹所内に荷受スライド板の側壁構造部が収まるようにして、前記凹所の上端よりも上位置に基端部を固着されて防護カバーを、少なくとも前記荷受スライド板のほぼ全長に亙る範囲で垂設される構成である請求項1に記載の運搬車両の積込みボディと荷受スライド板の可動空間保護機構。
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