JP4100433B2 - めっき方法及びめっき装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば超臨界流体など、めっき液の拡散力を高める拡散流体を用いて、めっきを行うめっき方法及びめっき装置に関する。
表面に金属膜を形成する技術の一つとして、めっきが知られている。このめっきの中でも、成膜速度が速いという理由などから電解めっきが広く用いられている。この電解めっきでは、電解質溶液(めっき液)に電流を流して、電解質である金属を析出させて表面に金属膜を形成する。近年、良好なめっきを行うために、超臨界状態にした物質と電解質溶液とを用いてめっき処理を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1においては、めっき液中に超臨界状態にした物質を含めることにより、イオンが拡散されて反応性が高まるため、良好なめっきを行えるとしている。
しかし、この電解めっきを行う場合、めっき対象物の表面が導電体でなければならない。そこで、絶縁物であるセラミックなどの表面にめっきを行う方法として、無電解めっきが行われている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2においては、非導電性の無機多孔体に、無電解めっき法によりパラジウム又はその合金の薄膜を形成する。そして、この薄膜の上に、パラジウム膜を化学蒸着法により堆積させて水素分離膜を形成する。これにより、膜厚が薄い場合であっても、欠陥のない薄膜を比較的簡易な方法で製造できるとしている。
特許第3571627号公報(第1頁、第11頁) 特開2004−122006号公報(第1頁、第4頁)
ところが、特許文献2において用いられる化学蒸着方法は、めっき処理に比べて成膜速度が遅く、生産性が劣るという欠点があった。また、通常、化学蒸着法を行う場合、減圧する必要があり、真空引きなどの処理が必要である。更に、この化学蒸着方法によって形成される膜は密着性が悪いことが多い。加えて、複数の処理工程を用いて金属膜を形成する場合には、工程の切り替えに時間がかかる。また、上述の超臨界状態を利用しためっき処理においては、超臨界状態にするために高圧の雰囲気を形成する必要がある。このため、めっき雰囲気の形成に時間がかかり、効率的にめっきを行うことはできていなかった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、ピンホールなどの欠陥が少ない良好なめっきを効率的に行うことができるめっき方法及びめっき装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、めっき液と、めっき液の拡散力を高める拡散流体とを、電解めっきを行うための電極を備えためっき槽に導入してめっきを行う方法であって、第1めっき液を前記めっき槽に導入した無電解めっき処理により、対象物の表面に第1金属膜を形成する第1工程と、第2めっき液と前記拡散流体とを前記めっき槽に導入し、前記電極に電圧を印加した電解めっき処理により、前記第1金属膜に対して第2金属膜を形成する第2工程とを含み、前記第1工程は、前記第1めっき液とともに、この第1めっき液の拡散力を高める拡散流体を用いてめっきを行い、前記第1工程から前記第2工程への移行時においても、前記拡散流体を連続的に供給することを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のめっき方法において、前記第1工程から前記第2工程は、第1金属膜の形成状況を検出する検出手段の出力に基づいて移行されることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のめっき方法において、少なくとも前記第2工程において、フッ素系化合物からなり、めっき液の分散を促進する分散促進剤が前記めっき槽に更に導入されることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、めっき液の供給源、めっき液の拡散力を高める拡散流体の供給源に接続されるめっき槽と、この電解めっきを行うための電極と、この電極に印加する電圧及び各供給源を制御する制御手段とを備えためっき装置であって、前記制御手段が、第1めっき液を前記めっき槽に導入した無電解めっき処理により、対象物の表面に第1金属膜を形成する第1工程を実行するために各供給源を制御し、第2めっき液と前記拡散流体とを前記めっき槽に導入し、前記電極に電圧を印加した電解めっき処理により、前記第1金属膜に対して第2金属膜を形成する第2工程を実行するために各供給源と、電極に印加する電圧とを制御するとともに、前記第1工程においても、前記第1めっき液とともに前記拡散流体を前記めっき槽に導入させるように制御し、前記第1工程から前記第2工程への移行時においても、前記拡散流体を連続的に流すように制御することを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のめっき装置において、前記めっき槽には、第1金属膜の形成状況を検出する検出手段を備え、前記検出手段の出力に基づいて、前記制御手段が、第1工程から第2工程に移行させるように制御することを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載のめっき装置において、前記拡散流体は、超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素であることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項4から請求項のいずれか一項に記載のめっき装置において、前記めっき装置が、フッ素系化合物からなり、めっき液の分散を促進する分散促進剤の供給源を更に備え、前記制御手段が、少なくとも前記第2工程において、前記第2めっき液と拡散流体とともに前記分散促進剤をめっき槽に導入するように各供給源からめっき槽への供給を制御することを要旨とする。
(作用)
請求項1又はに記載の発明によれば、めっき槽において、第1めっき液を用いて無電解めっきを行い、第1金属膜を対象物の表面に形成する。次に、第1めっき液の代わりに第2めっき液とこの拡散力を高める拡散流体とを用いて電解めっきを行う。このため、対象物の表面に形成された第1金属膜に連続して、電解めっきにより第2金属膜が形成される。このとき、第2金属膜は、拡散流体を用いためっきにより形成されるので、めっき皮膜の付き回りがよく、ピンホールなどの欠陥の少ない良好なめっきを形成することができる。また、対象物が不導体であり電解めっきが行えない場合であっても、対象物の表面に、無電解めっきにより第1金属膜が形成される。そして、この第1金属膜が形成された後は、高速の電解めっきで、第2金属膜を形成することができる。このため、第1金属膜と第2金属膜から構成される膜の生産性を向上することができる。
また、第2金属膜を形成するときには拡散流体を用いる。めっき液を拡散させる拡散流体は洗浄能力が高いので、第2めっき液より先に拡散流体を流すことにより、第1めっき液を洗い流した上で第2金属膜を形成することができる。
また、第1工程の無電解めっき処理においても超臨界流体を用いる。そして、第1工程及び第2工程に用いられる拡散流体は、連続して供給されるので、拡散流体によって形成される雰囲気を維持しながら、第1工程と第2工程とを連続的に行うことができる。従って、第1金属膜及び第2金属膜から構成される膜を、効率よく形成することができる。
請求項又はに記載の発明によれば、制御手段は、第1の金属膜の形成状況を検出する検出手段の出力に基づいて、第1工程から第2工程に移行させるように制御する。このため、無電解めっきの第1工程において第1金属膜が形成されたことを検出した場合には、迅速に、高速の電解めっきの第2工程に移行することができる。従って、より効率よく膜を形成することができる。
請求項に記載の発明によれば、拡散流体は、超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素である。このため、拡散流体として用いる超臨界状態のCO2は、めっきの副反応によって発生した水素を溶解するので、ピンホールの発生をいっそう抑えることができる。
請求項又はに記載の発明によれば、分散促進剤を用いない場合や炭化水素系界面活性剤を用いた場合に比べて、第1及び第2金属膜として形成される膜をより均一に形成することができる。
本発明によれば、ピンホールなどの欠陥が少ない良好なめっきを効率的に行うことができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。本実施形態では、超臨界状態の二酸化炭素(以下、「CO2」と記載する)を拡散流体として用いて電解めっきを行うめっき装置を想定して説明する。なお、CO2の臨界点は、31℃で7.4MPaである。
(全体構成)
まず、本実施形態のめっき装置全体の装置構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態のめっき装置は、洗浄液タンク11、拡散流体の供給源としてのCO2タンク21、高純度CO2タンク26、分散促進剤タンク31、めっき液の供給源としての無電解めっき液タンク41及び電解めっき液タンク51を有している。更に、本実施形態のめっき装置は、混合分散部60及びめっき槽61を有している。以下に、上記の構成を詳述する。
洗浄液タンク11は、洗浄液を収容する。本実施形態では、洗浄液として純水を用いる。この洗浄液タンク11は、混合分散部60に洗浄液供給管を介して接続されている。この洗浄液供給管には、液ポンプ12、加熱部13及び供給弁14が設けられている。液ポンプ12は洗浄液を加圧するために用いられ、加熱部13は、洗浄液を加熱するために用いられる。供給弁14は、開閉制御されることにより、洗浄液タンク11と混合分散部60との連通・遮断を行い、混合分散部60への洗浄液の供給又は供給停止を制御する。
CO2タンク21は、拡散流体としての超臨界CO2を液化したCO2を収容する。このCO2タンク21は、混合分散部60にCO2供給管を介して接続されている。このCO2供給管には、切換弁21a、液ポンプ22、加熱部23及び供給弁24aが設けられている。切換弁21aと液ポンプ22との間には、切換弁26aが設けられた供給管を介して、高純度CO2タンク26が接続されている。高純度CO2タンク26は、CO2タンク21よりも高純度のCO2が収容され、CO2タンク21中のCO2が汚れた場合の交換や、配管系の洗浄のために使用される。切換弁21a,26aの開閉制御により、CO2タンク21からのCO2又は高純度CO2タンク26からのCO2のいずれかが、混合分散部60へと供給される。
一方、液ポンプ22はCO2を加圧するために用いられ、加熱部23はCO2を加熱するために用いられる。これらにより、CO2タンク21から供給されるCO2を高圧の超臨界状態にして、混合分散部60に供給する。供給弁24aは、開閉制御されることにより、CO2タンク21と混合分散部60との連通・遮断を行い、混合分散部60へのCO2の供給又は供給停止を制御する。
更に、CO2供給管は途中で分岐され、供給弁24bを介してめっき槽61に接続される。この供給系は、CO2を直接、めっき槽61に供給する場合に用いられる。このCO2の供給系は、後述する実施例において、めっき処理中の圧力調整用に用いられる圧力調整用流体供給管として機能する。この圧力調整用流体供給管において、供給弁24bの開閉制御により、CO2タンク21とめっき槽61との連通・遮断を行い、めっき槽61へのCO2の供給又は供給停止を制御する。なお、この圧力調整用流体供給管から供給されたCO2は、後述するように圧力調整用流体排出管からCO2タンク21に還流される。
一方、分散促進剤タンク31は、分散促進剤を収容する。本実施形態では、分散促進剤としてフッ素系化合物を用いる。
フッ素系化合物は、フッ素基と親水性基とを有する。本発明で使用されるフッ素系化合物として望ましいものには、非イオン性親水基を有するフッ素系化合物が挙げられる。この非イオン性親水基を有するフッ素系化合物は高圧CO2中で良好な分散促進機能を発現する。
また、フッ素基としては、直鎖或いは枝分かれを有するペルフルオロアルキル基、またはペルフルオロポリエーテル基を始めとした炭素鎖中にヘテロ原子を含むものが挙げられる。これらのうちでも炭素鎖長がペルフルオロアルキル基では3〜15程度、炭素鎖中にヘテロ原子を含むものでは3〜50程度のものが使用可能である。
また、親水性基にはエーテル、エステル、アルコール、チオエーテル、チオエステル、アミド等の極性基が挙げられる。これらのうちでも本実施例で挙げたフッ素基がペルフルオロポリエーテル基であり、親水性基が短鎖のポリエチレングリコール基であるものが特に優れている。
また、従来の分散促進剤である炭化水素系の界面活性剤は長鎖のポリエチレングリコール基を有しているため化学的な安定性に課題があった。これに比べて、フッ素系化合物はより安定なため、長期間の繰り返し使用に対する耐久性を期待できる。また炭化水素系界面活性剤の分解物に由来する異物混入の可能性も少なくなる。
フッ素系化合物は、疎水性のフッ素基を有しているため、CO2とめっき液とが安定した分散状態を維持している時間(分散保持時間)が短く、めっき液とCO2との分離が容易であり、操作性の面でも優れている。このフッ素系化合物を用いた場合、分散操作を停止すると例えば数秒〜数十秒程度で、めっき分散体はCO2とめっき液に分離する。
分散促進剤タンク31は、混合分散部60に分散促進剤供給管を介して接続されている。分散促進剤供給管には、液ポンプ32、加熱部33及び供給弁34が設けられている。液ポンプ32は、分散促進剤タンク31から供給される分散促進剤を加圧するために用いられる。加熱部33は、分散促進剤を加熱するために用いられる。供給弁34は、開閉制御されることにより、分散促進剤タンク31と混合分散部60との連通・遮断を行い、分散促進剤の混合分散部60への供給又は供給停止を制御する。
更に、無電解めっき液タンク41は、本実施形態における第1めっき液としての無電解めっき液を収容する。この無電解めっき液タンク41は、加熱・保温手段を備え、無電解めっき液を所定の温度になるように加熱し保温する。更に、この無電解めっき液タンク41は、無電解めっき液供給管を介して混合分散部60に接続されている。この無電解めっき液供給管には、液ポンプ42及び供給弁44が設けられている。液ポンプ42は、無電解めっき液を加圧するために用いる。供給弁44は、開閉制御されることにより、液タンク41と混合分散部60との連通・遮断を行い、混合分散部60への無電解めっき液の供給又は供給停止を制御する。なお、この無電解めっき液供給管においては、めっき液の成分が析出しない温度以上に常時保温されている。
また、電解めっき液タンク51は、本実施形態における第2めっき液の供給源であり、第2めっき液としての電解めっき液を収容する。この電解めっき液タンク51は、加熱・保温手段を備え、電解めっき液を所定の温度になるように加熱し保温する。更に、この電解めっき液タンク51は、混合分散部60に電解めっき液供給管を介して接続されている。この電解めっき液供給管には、液ポンプ52と供給弁54が設けられている。液ポンプ52は、電解めっき液を加圧するために用いる。供給弁54は、開閉制御されることにより、電解めっき液タンク51及び混合分散部60との連通・遮断を行い、混合分散部60への供給又は供給停止を制御する。なお、この電解めっき液供給管においては、めっき液の成分が析出しない温度以上に常時保温されている。
一方、各タンク11,21,26,31,41,51が接続されている混合分散部60は、めっき液、CO2及び分散促進剤をCO2の臨界点以上の温度圧力条件で、めっき処理に適した比率で混合し、攪拌して分散状態のめっき分散体を生成する。本実施形態では、この混合分散部60は、上流側の混合器と、これに接続された下流側の分散機とを含んで構成されている。混合器は、供給弁14,24a,34,44,54のうち2つ以上が選択されて開かれると、洗浄液を含む洗浄分散体、無電解めっき液を含む無電解めっき分散体、電解めっき液を含む電解めっき分散体のいずれかを生成する。分散機は、めっきに適するめっき分散体とするために、その成分を分散状態にする。分散機は、その内部に、永久磁石に取り付けられたメッシュのロータが配置され、その外部に、コイルが取り付けられたステータが配置されている。このステータに流す電流の制御により、磁場を発生させ、この磁場の強さでロータの回転速度及び回転方向が制御される。この回転されるロータのメッシュ等により、混合機器から供給されためっき混合液をせん断することで、めっきに適した分散体を形成する。
混合分散部60は、めっき槽61に接続されている。めっき槽61は、混合分散部60の分散機から供給されるめっき分散体を用いて、無電解めっき及び電解めっきを行うための槽である。具体的には、めっき槽61の内部には、電解めっきを行うための一対の電極が配設されている。これら一対の電極は、スイッチを有した電源62に接続されている。
このめっき槽61には、分離槽65が接続されている。この分離槽65には、めっき槽61において使用されためっき分散体が排出される。分離槽65は、CO2とめっき液とを分離する。なお、めっき分散体に分散促進剤が含まれている場合には、この分散促進剤はCO2に混合されたまま、めっき液から分離される。
分離槽65は、CO2タンク21及びめっき液排出部70に接続されている。分離されたCO2(又は分散促進剤を含むCO2)は、これに含まれている水素や酸素などのガスが除去された後、圧力が調整されて、CO2タンク21に供給される。一方、CO2が分離されためっき液は、めっき液排出部70に排出される。このめっき液排出部70は、排出切換弁を介して、電解めっき液再生装置又は廃液タンクと連通可能になっている。電解めっき液再生装置は、分離槽65から排出された電解めっき液から不純物を除去し、その成分を調整して再生しためっき液を電解めっき液タンク51に供給する。
更に、本実施形態のめっき装置は、制御手段としての制御部80を備える。この制御部は、CPU、RAM、ROM等から構成され、格納されたプログラムにより、液ポンプ12,22,32,42,52、加熱部13,23,33、供給弁14,24a,24b,34,44,54、切換弁21a,26a及び電源62等についての制御を実行する。
また、制御部80には、基体Wに形成される膜の形成状況を検出する検出手段が接続されている。本実施形態では、この検出手段として、所定の距離を離して基体Wの表面に接触させて設置させた1対の端子を設け、その間に電圧を印加して流れる電流を計測する電流センサ64を用いる。本実施形態では、基体Wとして不導体(例えばアルミナなど)を用いるため、表面に金属膜が形成されると電流値が変化する。これを利用して、電流センサ64は基体Wの表面に形成される膜の形成状況を検出する。
更に、制御部80は、電解めっきを開始するための基準値をメモリに記憶しておく。この基準値としては、金属膜が基体Wの表面全体に形成された場合に流れる電流値を用いる。そして、制御部80は、電流センサ64から取得した電流値と、メモリに記憶されている基準値とを比較し、基準値を超えた場合、めっき液の供給を切り換えるとともに、形成した金属を陰極とするために電源62のスイッチをオンにする。
(めっき処理工程)
次に、上述しためっき装置を用いた本実施形態のめっき方法について、図1及び図2を参照して説明する。本実施形態においては、図2に示すように、前処理工程、第1めっき工程、第2めっき工程及び後処理工程の順に説明する。
まず、前処理工程として、本実施形態では、基体Wの洗浄を行う。具体的には、制御部80は、供給弁14,24aを開き、加熱部13,23において加熱を行うとともに、液ポンプ12,22を駆動する。また、制御部80は、切換弁21aを閉じ、切換弁26aを開いて、高純度CO2タンク26と混合分散部60とを連通する。この場合、洗浄液タンク11からの洗浄液が加圧及び加熱されて、高純度CO2タンク26からのCO2が加圧及び加熱されて超臨界状態となって、混合分散部60に供給される。そして、混合分散部60において、洗浄液とCO2とが混合されて攪拌される。この結果、CO2と洗浄液とが均一に分散された状態の洗浄分散体が生成され、混合分散部60からめっき槽61に供給されて、基体Wの洗浄が行われる。なお、このめっき槽61において洗浄に用いられた洗浄分散体は、分離槽65に排出されて、CO2と洗浄液とに分離される。この分離されたCO2は、不要なガスが除去された後、再生されてCO2タンク21に供給される。また、分離された洗浄液は、排出切換弁を介して廃液タンクに排出される。そして、制御部80は、所定時間、洗浄分散体をめっき槽61に供給することにより、前処理工程としての洗浄を終了する。
次に、第1めっき処理工程として無電解めっきを行う。具体的には、制御部80は、供給弁14を閉じ、供給弁34,44を開く。また、液ポンプ12の駆動を停止し、液ポンプ32,42を駆動する。更に、加熱部13における加熱を停止し、加熱部33における加熱を開始する。これにより、分散促進剤タンク31からの分散促進剤と、無電解めっき液タンク41からの無電解めっき液とが混合分散部60に供給される。また、制御部80は、液ポンプ22及び加熱部23の駆動を継続し、供給弁24aの開状態を維持することにより、CO2の供給を継続する。このとき、制御部80は、切換弁21a,26aを切り換えて、CO2タンク21と混合分散部60とを連通する。この結果、混合分散部60においては、CO2タンク21からの超臨界CO2と無電解めっき液と分散促進剤とが混合され、更に攪拌されて、より均一な分散状態となって、無電解めっき液を含むめっき分散体が形成される。そして、このめっき分散体は、混合分散部60からめっき槽61に供給される。めっき槽61では、内部に導入されためっき分散体中の無電解めっき液の金属が、基体Wの表面に析出して第1金属膜91が形成される。
この場合、本実施形態では、制御部80は、分散体の分散保持時間内に、めっき分散体がめっき槽61内を流れきるように、各液ポンプ22、32、42の駆動を制御する。
このように無電解めっきを継続することにより、基体Wの表面に第1金属膜91が形成される。制御部80は、電流センサ64により、第1金属膜91の形成に伴う電流値の変化を検出する。この電流値が基準値を超えた場合、制御部80は、第1めっき工程から第2めっき工程に切り替えて、電解めっきを行う。具体的には、まず、供給弁44を閉じ、液ポンプ42の駆動を停止して、無電解めっき液の混合分散部60への供給を停止する。そして、この代わりに、制御部80は、供給弁54を開き、液ポンプ52を駆動し、電解めっき液を電解めっき液タンク51から混合分散部60に供給する。更に、制御部80は、電源62のスイッチをオンして、めっき槽61内に配設した電極に電圧を印加する。
このとき、制御部80は、液ポンプ22,32及び加熱部23,33の駆動を継続し、供給弁24a,34の開状態を維持することにより、CO2と分散促進剤との供給を継続する。これにより、混合分散部60においては、超臨界CO2と電解めっき液と分散促進剤とが混合され攪拌されて、より均一に分散された状態のめっき分散体となり、めっき槽61に供給される。めっき槽61では、内部に導入されためっき分散体中の電解めっき液の金属が、第1金属膜91が陰極となるために、基体Wに引き寄せられ、第1金属膜91の上に第2金属膜92が形成される。
この電解めっき処理を行なっている間、制御部80は、各液ポンプ22,32,52を駆動し続け、混合分散部60において混合分散されためっき分散体をめっき槽61に継続的に供給しながら電解めっき処理を行う。そして、分散体の分散保持時間内に、めっき分散体がめっき槽61内を流れきるように、各液ポンプ22、32、52の駆動を制御する。これにより、めっき処理によりめっき分散体中に溶解した水素ガスや基体Wの表面から剥離した不純物は速やかにめっき槽61から排出される。
分離槽65に排出されためっき分散体は、分散促進剤が含まれたCO2が分離されて、不要なガスが除去された後、CO2タンク21に還流される。一方、CO2と分散促進剤が分離された残りの電解めっき液は、めっき液排出部を介して電解めっき液再生装置に排出される。そして、この電解めっき再生装置において再生された電解めっき液は、電解めっき液タンク51に供給される。
そして、制御部80は、各液ポンプ22,32,52を駆動し、かつ加熱部23,33において加熱を行い、混合分散させためっき分散体を、めっき槽61において供給・排出を継続し、所定の厚さの膜を形成するために要する時間だけ電解めっき処理を継続する。
そして、所定の時間が経過すると、制御部80は後処理工程を行う。なお、本実施形態では、後処理工程として洗浄及び乾燥を行う。具体的には、制御部80は、電源62のスイッチをオフして、かつ供給弁34,54を閉じ、再び供給弁14を開く。更に、切換弁21aを閉じ、切換弁26aを開く。この場合、分散促進剤及び電解めっき液の供給が停止し、洗浄液と高純度CO2とが混合分散部60に供給される。そして、前処理工程の洗浄と同様に、CO2と洗浄液とが混合された洗浄分散体が、混合分散部60からめっき槽61に供給されて、洗浄が行われる。
そして、所定時間、洗浄液を含む洗浄分散体をめっき槽61に供給した後、制御部80は、乾燥を行うために供給弁14を閉じる。この場合、洗浄液タンク11からの洗浄液の供給が停止し、高純度CO2タンク26からのCO2が、混合分散部60を介してめっき槽61に供給され、乾燥を行う。具体的には、めっき槽61の内壁や基体Wに付着した洗浄液(水)を、CO2の流れにより洗い流すとともに、超臨界状態となっているCO2に溶解させて除去する。
そして、CO2のみを所定時間、供給した後、乾燥を終了し、供給弁24aを閉じ、CO2の供給を停止する。更に、液ポンプ12の駆動及び加熱部13の加熱を停止する。以上により、処理を完了する。
(水素分離構造への応用)
次に、上述した実施形態を更に具体化した態様について、以下説明する。なお、以下の各態様において、上述の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
以下の各態様においては、水素分離構造100に適用した場合を想定する。この水素分離構造100は、図3に示すように、基体管101の一方の表面に水素透過層102が形成され、他方の表面に触媒層103が配置される。この水素分離構造100には、触媒層103、基体管101及び水素透過層102の順にガスを透過させて、高純度の水素ガスに精製する。触媒層103は、水素分離の妨げとなる一酸化炭素(CO)の除去するためにシフト反応を行う層であり、例えば高温用鉄・クロム系触媒や低温用銅・亜鉛系触媒が用いられる。基体管101は、多孔体であり、例えばアルミナ(Al)などから構成される。更に、水素透過層102は、水素のみを透過させる層であり、例えばパラジウム(Pd)などから構成される。また、この水素透過層102は、基体管101にめっきにより形成される。
以下の態様では、基体Wとしての基体管101に、水素透過層102となるPd膜を形成する。ここでは、円筒状の基体管101を用い、この基体管101の表面に第1及び第2金属膜91,92としてのPd膜を形成する。そこで、無電解めっき液タンク41には、無電解めっきによりPd膜を形成するためのめっき液を収容させ、電解めっき液タンク51には、電解めっきによりPd膜を形成するためのめっき液を収容させる。なお、触媒層103は、Pd膜を形成する反対側(Pd膜を内側に形成する場合には外側、外側に形成する場合には内側)にあるものとし、以下の態様においては説明を省略する。
(水素分離構造の製造用のめっき槽の構造)
また、以下の態様では、基体管101にPd膜を形成するために、図4及び図5に示すめっき槽61を用いる。このめっき槽61は、図4に示すように、円筒体の筐体110により構成される。この筐体110には、1対の支持部材111,112が収容される。支持部材111は、この筐体110から脱着可能な蓋として機能し、シール部材113を介して筐体110に固定される。
また、支持部材111,112には、互いに対向する面には円環状の溝が形成されている。この溝にはシール部材114が収容されている。支持部材111,112は、このシール部材114を介してめっき処理の対象である基体管101を支持する。
このような構成により、基体管101が取り付けられると、図4に示すように、めっき槽61内は、基体管101の内側となる内側領域115と、外側の外側領域116とに区画される。
更に、支持部材111には、内側領域115に流体を供給するための内側用供給管117が設けられている。一方、支持部材112には、内側領域115から流体を排出するための内側用排出管118が設けられている。従って、基体管101が取り付けられた場合、この内側用供給管117及び内側用排出管118を介して、内側領域115に、外側領域116とは独立して、特定の流体を供給し、排出できる。
更に、筐体110には、外側領域116に流体を供給するための外側用供給管119と、この領域から流体を供給するための外側用排出管120がそれぞれ設けられている。従って、この外側用供給管119及び外側用排出管120を介して、内側領域115に流れる流体とは独立して、特定の流体を外側領域116に流すことができる。
また、めっき槽61には、後述する図7又は図9に示すように、圧力計121が設けられている。この圧力計121は、内側領域115内の圧力と、外側領域116内の圧力との差圧を測定し、この差圧値を制御部80に供給する。制御部80は、この差圧値を用いて、内側領域115と外側領域116との差圧が大きくならないように、内側領域115又は外側領域116に供給する流体の圧力を調整する。
なお、このめっき槽61に、基体管101を取り付ける場合には、図5に示すように、支持部材111を筐体110から取り外す。そして、支持部材112の円環状の溝に、基体管101の一端部を遊嵌させた後、基体管101の他端部を支持部材111の円環状の溝に遊嵌させる。そして、この状態で、支持部材111の端面をシール部材113に接触させて、支持部材111を筐体110に固定する。
(水素分離構造のめっきの態様1)
次に、図6に示すように、水素透過層102となるPd膜を基体管101の内側に形成した水素分離構造100に関する態様について、図7を用いて説明する。この水素分離構造100は、基体管101の外側から内側へガスを流すことにより水素ガスを精製する場合に用いられる。
本態様では、めっき槽61の内側用供給管117は、混合分散部60に接続される。また、内側用排出管118は、分離槽65に接続される。そして、混合分散部60において生成されためっき分散体は、内側用供給管117からめっき槽61の内側領域115に供給され、内側領域115内を通過して、内側用排出管118から分離槽65に排出される。
一方、外側用供給管119には圧力調整用流体を供給する。具体的には、圧力調整用流体供給管を介して、CO2を供給する。この圧力調整用流体供給管は、外側用供給管119に接続され、CO2タンク21から加圧及び加熱されて超臨界状態となったCO2が、めっき槽61の外側領域116に供給する。更に、外側用排出管120は、圧力調整用流体排出管を介して、上述したCO2タンク21に接続されている。このため、外側領域116に供給されたCO2が、外側用排出管120及び圧力調整用流体排出管を介して、CO2タンク21に排出される。なお、圧力調整用流体排出管には、圧力調整弁25が設けられている。この圧力調整弁25は、制御部80により制御されて、圧力調整用流体供給管の供給弁24bと協働することにより、めっき槽61の外側領域116の圧力を調整する。
また、本態様では、めっき槽61に設けられているプラス電極が、内側領域115内に、基体管101の軸方向と並行して設けられている。更に、電流センサ64は、筐体110の内表面の両端部間に流れる電流を測定する。
次に、本態様のめっき処理について、図1及び図7を用いて説明する。
まず、前処理工程としての洗浄工程を行う。このとき、混合分散部60において、洗浄液とCO2とが混合された洗浄分散体が形成される。そして、この混合分散部60に接続されている内側用供給管117を介して、めっき槽61の内側領域115に、洗浄分散体が供給されて、基体管101の内側が洗浄される。ここで、使用された洗浄分散体は、内側領域115から内側用排出管118を介して分離槽65へと排出される。この工程以降、制御部80は、基体管101の内側領域115と外側領域116との圧力差が大きくならないように、供給弁24b及び圧力調整弁25を制御し、外側領域116に供給するCO2の圧力を調整する。
次に、制御部80は、第1めっき処理工程として無電解めっきを行う。すなわち、超臨界CO2と分散促進剤と無電解めっき液とが混合されためっき分散体が、混合分散部60において生成され、めっき槽61の内側領域115に供給される。そして、この内側領域115に供給されためっき分散体中のPdが、基体管101の内側表面に析出する。これにより、基体管101の内側表面に無電解めっきによるPd膜が、第1金属膜91として形成される。
その後、制御部80は、電流センサ64により基体管101の表面を覆うようにPd膜が形成されたことを検出した場合、無電解めっき液タンク41と電解めっき液タンク51とを切り換えて、超臨界CO2と分散促進剤と電解めっき液とが混合されためっき分散体を、混合分散部60からめっき槽61に供給する。更に、制御部80は、電源62のスイッチをオンして、めっき槽61内の電極に電圧を印加する。この場合、基体管101の内側表面に形成されたPd膜が陰極として機能し、めっき槽61に供給されためっき分散体に溶解しているPdは陰極に引き寄せられて付着する。そして、第1金属膜91として形成されたPd膜上に連続して、第2金属膜92としてPd膜が形成される。
その後、めっき分散体の供給及び電圧の印加を継続して、所定時間の電解めっきを行う。所定の厚さの第2金属膜92が形成された場合、めっき処理を終了して、後処理工程を行う。このようにして、基体管101の内側表面に、第1及び第2金属膜91,92から構成されるPd膜が形成する。
(水素分離構造のめっきの態様2)
次に、図8に示すように、水素透過層102となるPd膜を基体管101の外側に形成した水素分離構造100に関する態様について、図9を用いて説明する。この水素分離構造100は、基体管101の内側から外側へガスを流すことにより水素ガスを精製する場合に用いられる。本態様は、上記態様1において、内側領域115に供給する流体と、外側領域116に供給する流体とを入れ替えることにより、基体管101の外側にPd膜を形成する。
具体的には、本態様では、めっき槽61の外側用供給管119を混合分散部60に接続し、外側用排出管120を分離槽65に接続する。そして、混合分散部60において生成しためっき分散体を、めっき槽61の外側領域116を通過させて分離槽65に排出する。
また、内側用供給管117には、圧力調整用流体供給管を介して、CO2タンク21からの加圧されたCO2を供給する。すなわち、外側領域116とは独立して、めっき槽61の内側領域115にCO2を供給する。
なお、圧力調整用流体排出管には、態様1と同様に圧力調整弁25が設けられている。制御部80が、供給弁24bと圧力調整弁25とを制御することにより、内側領域115の圧力を調整する。
また、本態様では、めっき槽61において、外側領域116内に、基体管101の軸方向と並行させてプラス電極を設ける。
次に、本態様のめっき処理について、図1及び図9を用いて説明する。
まず、前処理工程としての洗浄工程が行われる。このとき、混合分散部60において生成された洗浄液とCO2とを含む洗浄分散体を、外側用供給管119を介して、めっき槽61の外側領域116に供給し、基体管101の外側を洗浄する。そして、洗浄に使用された洗浄分散体は、外側領域116から外側用排出管120を介して分離槽65に排出される。なお、本態様においても上記態様1と同様に、制御部80は、基体管101の内側領域115と外側領域116との間で圧力差が生じないように、供給弁24b及び圧力調整弁25の制御を行う。
次に、第1めっき処理工程として無電解めっきが行われる。すなわち、超臨界CO2と分散促進剤と無電解めっき液とが混合されためっき分散体を、混合分散部60からめっき槽61の外側領域116に供給する。そして、この外側領域116に供給されためっき分散体中のPdが、基体管の外側表面に析出して、基体管101の外側表面に無電解めっきによるPd膜が、第1金属膜91として形成される。
そして、制御部80は、電流センサ64によりPd膜の形成状況を取得し、上述した態様1と同様に、無電解めっき液タンク41と電解めっき液タンク51とを切り換えて、電源62のスイッチをオンして電圧を印加する。この場合、電解めっき液を含むめっき分散体が、混合分散部60からめっき槽61に供給されて、これに溶解しているPdが、基体管101の外側表面に形成された第1金属膜91のPd膜に付着する。そして、第1金属膜91として形成されたPd膜の外側に連続して、第2金属膜92としてのPd膜が電解めっきにより形成される。
その後、この電解めっきにより所定の厚さの第2金属膜92が形成されると、後処理工程が行われる。このようにして、基体管101の外側表面に、第1及び第2金属膜91,92から構成されるPd膜が形成される。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態の各態様では、めっき槽61において、無電解めっき液及びこれの拡散力を高める超臨界CO2を含むめっき分散体を用いて無電解めっきを行い、第1金属膜91としてのPd膜を基体管101の表面に形成する。そして、無電解めっきによるPd膜の形成に連続して、超臨界CO2と電解めっき液とを含むめっき分散体を用いて電解めっきを行う。このため、基体管101の表面に形成された第1金属膜91としてのPd膜に連続して、電解めっきにより第2金属膜92としてのPd膜を形成することができる。このとき、第1及び第2金属膜91,92は、超臨界CO2を用いためっきにより形成されるので、基体管101に対するめっき皮膜の付き回りがよく、ピンホールなどの欠陥の少ない良好なめっきを形成することができる。また、不導体である基体管101に、電解めっきを行い、Pd膜を高速で形成することができ、生産性を向上させることができる。従って、水素透過層102となるPd膜を形成した基体管101の生産性を向上することができ、水素分離構造100及びこれを用いた構造物のコスト低減を期待できる。
更に、電解めっきにより第2金属膜92の形成を行う第2工程において、超臨界CO2を用いる。このため、超臨界CO2の洗浄能力により、先に導入されていた無電解めっき液を洗い流した後で第2金属膜92を形成するので、良好な金属膜を形成することができる。
・ 本実施形態では、めっき槽61において、めっき分散体を流しながらめっき処理を行う。超臨界状態の物質を用いてめっきを行う場合、この物質とめっき液とを混合拡散させる必要がある。めっき対象物の外表面に対してめっきを行う場合には、めっき槽内に攪拌子などを設けて攪拌させることも可能であるが、本態様にあるような長物の表面にめっきを行うことは困難である。特に、管状物の内面のように、狭く限られた空間では、攪拌子を回転させることはできない。従って、このような空間においても、本態様1のように、めっき分散体を流しながらめっきを行うことにより、良好なめっきを行うことができる。
また、管状物の外表面にめっきを行う場合には、めっき槽をこの管状物の形状に合わせて構成し、このめっき槽と管状物との隙間にめっき液を流すことにより、効率的にめっきを行うことができる。このため、ピンホール発生の要因となる水素を排出しながらめっきを行うことができるため、より良好なめっきを行うことができる。
・ 本実施形態では、めっき分散体を流しながらめっき処理を行う。このため、めっきにより発生する不純物を迅速にめっき槽61から排出することができるので、良好なめっきを行うことができる。更に、めっき液と超臨界CO2とが分離する前に、めっき分散体がめっき槽61を通過させるように流速を制御する。従って、めっき混合液が安定して分散された状態を保ったまま、めっき槽61においてめっきが行われるので、基体Wに、より均一なめっきを施すことができる。
また、分散促進剤にフッ素系化合物を用いてめっきを行なった場合、実験結果では、分散促進剤を用いない場合や従来の炭化水素系界面活性剤を用いた場合に比べてより平坦な皮膜を形成することができた。従って、第1及び第2金属膜91,92として良好なPd膜を均一に形成することができる。
更に、めっき液の拡散力を高める拡散流体として用いた超臨界状態のCO2が、副反応によって発生した水素を溶解するので、ピンホールの発生をいっそう抑えることができる。
・ 本実施形態の各態様では、めっき槽61において、内側用供給管117が設けられた支持部材111と、内側用排出管118が設けられた支持部材112により、基体管101を支持させた。これにより、めっき槽61内に内側領域115及び外側領域116を区画する。このため、内側領域115と外側領域116とに対して独立して流体を供給することができる。従って、基体管101の内側表面又は外側表面に選択的にめっきを行うことができる。なお、基体管101の内側表面又は外側表面にめっきを行う場合には、めっき槽61の内側領域115又は外側領域116にめっき分散体を供給するだけでよいので、少ないめっき分散体でめっきを行うことができる。
・ 本実施形態の各態様では、制御部80は、めっき分散体を流さない内側領域115又は外側領域116にCO2を供給し、めっき分散体が流れる外側領域116又は内側領域115との圧力差を調整する。特に、超臨界状態の物質を用いる場合、高圧にする必要があり、内側領域115又は外側領域116のいずれか一方にのみ、このような流体を供給すると、めっき対象物が歪んだり破断したりする可能性がある。このため、内側領域115と外側領域116との圧力差による基体管101の変形や破断を回避しながら、めっきを行うことができる。
・ 本実施形態の各態様では、第1めっき工程における無電解めっき処理や第2めっき工程における電解めっき処理において、めっき分散体を連続的に供給しながらめっきを行う。このため、制御部80が、供給弁44,54の開閉制御により、超臨界CO2によって形成される雰囲気を維持しながら、めっき分散体を変更することができる。更に、電源62のスイッチのオン・オフ制御と電解めっき・無電解めっきの供給の切換制御とを行うことにより、第1めっき工程と第2めっき工程とを連続的に行うことができ、Pd膜を効率よく形成することができる。
・ 本実施形態の各態様では、電流センサ64を用いて基体管101の表面に設置された端子間の電流を測定することにより、不導体であるアルミナの基体管101の表面上のPd膜の成膜状況を把握することができる。従って、制御部80は、電流センサ64の電流値に基づいて、基体管101の表面が、無電解めっきによりPd膜が形成された後には、迅速に電解めっきの第2工程に移行することができ、Pd膜を効率よく形成することができる。
・ 本実施形態では、態様1のように基体管101の内側にPd膜を形成する場合、態様2のように基体管101の外側にPd膜を形成する場合にも、流体の供給方法を変更するだけで、図5に示す同じ構造のめっき槽61を用いて形成することができる。
・ 本実施形態では、無電解めっきのためのめっき溶液の供給側に対して、反対側から陰極のための電圧の供給を行う。このため、無電解めっきにおいて、めっき溶液の供給側の皮膜の膜厚が厚くなった場合においても、電解めっきにおいては溶液の排出側から成膜を行うため、膜厚の均一化を図ることができる。
また、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態においては、第1金属膜91の形成状況を検出する検出手段として、電流センサ64を用いた。これに限らず、検出手段は、基体Wに形成される第1金属膜91の形成状況が把握できれば、他の機器でもよい。例えば、基体Wの端子間の抵抗を測定する抵抗計測器や、基体Wの表面の反射光量を計測する光度計測器などを用いてもよい。
○ 上記実施形態においては、めっきを行う基体Wは、アルミナなどの不導体とした。これに限らず、基体Wは、例えば、ガラスや陶器などの非金属などの他の不導体であってもよいし、不導体に限らず、導電体や半導体であってもよい。この場合にも、同様な効果を得ることができる。
○ 上記実施形態において、フッ素系化合物を例示した。フッ素系化合物は、これに限定されず、上述の分散促進機能を有するフッ素系化合物であればよい。さらに、分散促進剤を省略してもよい。
○ 上記実施形態においては、拡散流体として超臨界状態のCO2を用いた。これに限らず、拡散流体としては、亜臨界状態のCO2を用いてもよいし、またCO2に限らず、亜臨界状態又は超臨界状態の他の流体を用いてもよい。
○ 上記実施形態においては、水素分離構造100の水素透過層102を基体管101に形成する場合について適用した。これに限らず、本発明は、例えば、内燃機関やガス燃焼装置等において使用される酸素センサの電極を形成する場合や半導体ウェハ上にめっき法において不導体の上に金属膜を形成する場合などに適用してもよい。
次に、実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
第1工程では、第1めっき液としてPd無電解めっき液(PdCl2:0.01mol/L、Ethylendiamine:0.08mol/L、Na2HPO3:0.02mol/L、Thiodiglycollic acid:30mg/L、pH:10.6)を用いて、アルミナ製の基体管101に対して第1金属膜としてのPd膜を形成した。基体管101には、予め、感受性化(sensitization)及び活性化(activation)処理を施した後、上記Pd無電解めっき液を用いて、10分間、Pd無電解めっき処理を施した。そのアルミナ製の基体管101を、めっき槽61に装着した後、そのめっき槽61に、50℃、12MPaの条件で、超臨界状態のCO2を供給した。そして、めっき槽61内の温度及び圧力が、前記条件にて安定したことを確認した。その後、上記Pd無電解めっき液(還元剤を除く)、フッ素系化合物としてのエチルパーフルオロオクタノート(F(CF2)7COOCH2CH3)、及び還元剤を、混合分散部60へ供給するとともに混合分散部60からめっき槽61へ供給することにより、Pd無電解めっき処理を開始した。電流センサ64が基準値となるまで、Pd無電解めっき処理を継続した後、Pd無電解めっき液(還元剤を除く)、フッ素系化合物、及び還元剤のめっき槽61への供給を停止することにより、Pd無電解めっき処理を終了した。続いて、50℃、12MPaの条件の二酸化炭素を用いて、Pd無電解めっき液等を含む残留液を、めっき槽61から排出した後、水と二酸化炭素をめっき槽61の内部に流通させることによって、めっき槽61の内部及び基体管101の洗浄を行った。
第2工程では、第2めっき液としてのパラジウムめっき浴と、拡散流体としての超臨界状態のCO2と、フッ素系化合物としてのエチルパーフルオロオクタノート(F(CF2)7COOCH2CH3)とを用いて、第2金属膜としてのPd膜を形成した。パラジウムめっき浴の組成は、PdCl2:0.10mol/L、KBr:4.00mol/L、KNO2:0.10mol/L、H3BO3:0.49mol/L、Glycine:0.10mol/Lであり、パラジウムめっき浴のpHは6.6である。また、超臨界状態のCO2とパラジウムめっき液との配合比は、体積比率で4対6とした。第2工程の条件としては、温度40℃、圧力12MPa、電流密度1.0A/dm、及びめっき時間3分である。第2金属膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、ピンホールの発生は確認されなかった。
実施形態における電解めっきを行うめっき装置のシステム配管の概略図。 実施形態におけるめっき処理の処理手順を説明する説明図。 水素分離構造の概略図。 めっき槽の概略構成図。 めっき槽に、基体である基体管の取り付けを説明する説明図。 Pd膜が内側表面にめっきされた基体管の概略構成図。 めっき槽の概略構成図。 Pd膜が外側表面にめっきされた基体管の概略構成図。 めっき槽の概略構成図。
符号の説明
W…対象物としての基体、61…めっき槽、91…第1金属膜、92…第2金属膜、101…基体としての基体管。

Claims (7)

  1. めっき液と、めっき液の拡散力を高める拡散流体とを、電解めっきを行うための電極を備えためっき槽に導入してめっきを行う方法であって、
    第1めっき液を前記めっき槽に導入した無電解めっき処理により、対象物の表面に第1金属膜を形成する第1工程と、
    第2めっき液と前記拡散流体とを前記めっき槽に導入し、前記電極に電圧を印加した電解めっき処理により、前記第1金属膜に対して第2金属膜を形成する第2工程と
    を含み、前記第1工程は、前記第1めっき液とともに、この第1めっき液の拡散力を高める拡散流体を用いてめっきを行い、
    前記第1工程から前記第2工程への移行時においても、前記拡散流体を連続的に供給することを特徴とするめっき方法。
  2. 前記第1工程から前記第2工程は、第1金属膜の形成状況を検出する検出手段の出力に基づいて移行されることを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
  3. 少なくとも前記第2工程において、フッ素系化合物からなり、めっき液の分散を促進する分散促進剤が前記めっき槽に更に導入されることを特徴とする請求項1又は2に記載のめっき方法。
  4. めっき液の供給源、めっき液の拡散力を高める拡散流体の供給源に接続されるめっき槽と、この電解めっきを行うための電極と、この電極に印加する電圧及び各供給源を制御する制御手段とを備えためっき装置であって、
    前記制御手段が、
    第1めっき液を前記めっき槽に導入した無電解めっき処理により、対象物の表面に第1金属膜を形成する第1工程を実行するために各供給源を制御し、
    第2めっき液と前記拡散流体とを前記めっき槽に導入し、前記電極に電圧を印加した電解めっき処理により、前記第1金属膜に対して第2金属膜を形成する第2工程を実行するために各供給源と、電極に印加する電圧とを制御するとともに、前記第1工程においても、前記第1めっき液とともに前記拡散流体を前記めっき槽に導入させるように制御し、
    前記第1工程から前記第2工程への移行時においても、前記拡散流体を連続的に流すように制御することを特徴とするめっき装置
  5. 前記めっき槽には、第1金属膜の形成状況を検出する検出手段を備え、
    前記検出手段の出力に基づいて、前記制御手段が、第1工程から第2工程に移行させるように制御することを特徴とする請求項4に記載のめっき装置。
  6. 前記拡散流体は、超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のめっき装置。
  7. 前記めっき装置が、フッ素系化合物からなり、めっき液の分散を促進する分散促進剤の供給源を更に備え、
    前記制御手段が、
    少なくとも前記第2工程において、前記第2めっき液と拡散流体とともに前記分散促進剤をめっき槽に導入するように各供給源からめっき槽への供給を制御することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のめっき装置。
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