JP5187500B2 - 被処理物の表面処理方法及び表面処理装置 - Google Patents

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本発明は、被処理物の表面処理方法及び表面処理装置に関し、特に電気メッキが高温・高圧下の超臨界流体又は亜臨界流体を使用して行われる被処理物の表面処理方法及び処理装置において、広い面積に亘って均一なメッキ被膜が高速で得られる被処理物の表面処理方法及び表面処理装置に関する。
従来の電気メッキ工程は大別すると、前処理工程、メッキ工程及び後処理工程に分けられる。前処理工程には酸洗工程、脱脂工程が含まれる。酸洗工程は硫酸や硝酸等の酸水溶液に被処理物を浸漬することにより表面の酸化物等を溶解させる工程であり、また脱脂工程は水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液に燐酸ナトリウムや珪酸ナトリウム等を添加した溶液を用いてケン化作用により脱脂するアルカリ脱脂や有機溶剤を用いた溶剤脱脂、石油と水と界面活性剤とを混ぜてエマルジョン化作用を利用するエマルジョン脱脂、或いは電解時に発生した油による撹拌作用を利用した電解脱脂等が使用されている。
従来のこれらの前処理工程は、通常、専用の電気メッキ槽に所定の処理薬剤を収容して加温し、この処理薬剤に被処理物を所定時間浸漬或いは処理液の蒸気に曝すことにより行なっているため、複数の電気メッキ槽が必要であるとともに作業スペ−スを要するため、設備費が高価になり、しかも、処理薬剤の飛散や有害なガスが発生するために作業環境が悪く、また、浸漬処理には長時間を要するために生産性が悪いというような問題点が存在していた。
また、従来の電気メッキ法は、概してメッキのつき廻りが悪く、電流密度の低い被処理物の裏面や凹部にはメッキが殆ど付かないため、このような場所をメッキする場合、非メッキ物の向きを変えてメッキするか、補助極を配置する必要があり、特に異形の被処理物のメッキに対応し難いという問題点が存在している。
更に、従来の電気メッキ工程後の後処理工程としては、電気メッキ後にメッキ液を洗い流すために水洗工程が必要であるため、電気メッキ処理装置に隣接して複数の水洗槽を必要とし、その主要な水洗槽に常時給水するため、設備費が高価になるとともに水の使用料が嵩む等の問題が存在している。しかも、被処理物へのメッキ後、水洗ないし湯洗いして乾燥していたが、この乾燥に時間が掛かり、生産性が悪かった。加えて、メッキ槽から被メッキ物を取り出す際のメッキ液の回収工程、いわゆるくみ戻し工程が非常に煩雑で手間が掛かり、しかもその回収液に濃縮工程が必要であるため、生産性が非常に低いという問題点が存在している。
更に、メッキ工場から排出される排水はその水質が法規制されているが、メッキ作業から発生する排水のうち、洗浄排水は一般に所定の薬品を添加し無害化処理してからPH調整により重金属を水酸化物として除去し、濃厚排水は洗浄排水に少しずつ加えて処理するか、別途処理してその処理液を薄い洗浄排水中に混合して処理していたため、従来の排水処理工程は高価な設備と種々の薬品、多量の水及び多くの時間を要し、生産性が非常に悪いという問題点も存在している。
このような従来の電気メッキ法の問題点を改善するため、下記特許文献1及び2には、二酸化炭素によって超臨界状態ないし亜臨界状態となされた流体を用い、電気メッキの前処理工程、電気メッキ工程及び後処理工程を密閉雰囲気下で行うようにした被処理物の表面処理方法及び処理装置の発明が開示されている。このうち、下記特許文献1に開示されている被処理物の表面処理装置を図4を用いて説明する。
この下記特許文献1に開示されている被処理物の処理装置50は、その内面が塩化ビニ−ルや硬質ゴムでライニングされており、その上側の開口部に蓋体(図示略)が気密かつ着脱可能に装着されているステンレス鋼製のメッキ槽51を備えている。このメッキ槽51内には、対極52及び被処理物53が取り付けられた負極が備えられていると共に、撹拌子69が配置されている。更に、メッキ槽51の下部には第1メッキ液供給タンク54、第2メッキ液供給タンク55及び酸洗剤供給タンク56がそれぞれ接続されており、送液ポンプ57を介して第1メッキ液、第2メッキ液及び酸洗剤がそれぞれ選択的に切換供給されるようになされている。また、メッキ槽51の上部には圧縮ポンプ58及びヒータ59を介して外部の二酸化炭素容器60からの二酸化炭素が臨界圧7.38MPa以上、及び臨界温度31.1℃以上の高温・高圧にされて供給されるようになされている。
更に、メッキ槽51の下部には、第1メッキ液回収タンク61、第2メッキ液回収タンク62及び酸洗剤回収タンク63が接続され、メッキ槽51で使用された第1メッキ液、第2メッキ液及び酸洗剤がそれぞれ選択的に各回収タンク61〜63に集められ、必要な処理を経た後にそれぞれ第1メッキ液供給タンク54、第2メッキ液供給タンク55及び酸洗剤供給タンク56に戻されて再利用されるようになされている。また、メッキ槽51の上部には、二酸化炭素滞留槽64が接続され、この二酸化炭素滞留槽64からの二酸化炭素は、水分及び油脂分の吸着カラム65を経て浄化された後に、圧縮ポンプ58に戻されて再利用されるようになされている。なお、洗浄水槽66には送液ポンプ57内を洗浄するための洗浄水が注入されており、また、エントレーナ66内には頑固な油脂分の除去用のアルコール等が注入されている。
このような被処理物の処理装置50を使用して電気メッキを行なう場合は、先ずメッキ槽51の負極側に、例えば表面を研磨処理し終えた被処理物53を取り付け、蓋(図示略)を閉めてメッキ槽51を密閉する。次に圧縮ポンプ58及びヒータ59を経て二酸化炭素容器60からの二酸化炭素ガスを臨界圧以上に加圧すると共に臨界温度以上に加熱し、超臨界二酸化炭素を生成してメッキ槽51へ導入する。この超臨界二酸化炭素はメッキ槽51に高速に拡散し、メッキ槽51内の二酸化炭素も超臨界状態になって被処理物53に接触し、被処理物53及び対極52に付着している油脂分や水分、異物等を高速かつ効率良く洗浄する。
そして、所定時間洗浄後、圧縮ポンプ58の駆動を停止し、二酸化炭素を二酸化炭素滞留槽64へ回収すると、臨界条件が維持されなくなるために二酸化炭素は急激に気化又は液化し、二酸化炭素に捕集された油脂分や水分、異物等は二酸化炭素滞留槽64へ移動し、かつ前記二酸化炭素の移動時に系に流れが発生して、対極52及び被処理物53を洗浄し、前述の洗浄と相俟って洗浄精度を高める。次に、酸洗剤供給タンク56内の酸溶液に界面活性剤溶液タンク68から所定の界面活性剤を添加してこれらをメッキ槽51内へ送り込むと、酸溶液と界面活性剤はメッキ槽51内で二層を形成する。この状況の下で圧縮ポンプ58及びヒータ59を経て二酸化炭素容器60からの二酸化炭素ガスを臨界圧以上に加圧すると共に臨界温度以上に加熱し、超臨界二酸化炭素を生成してメッキ槽51へ導入すると、超臨界状態の二酸化炭素がメッキ槽51に高速に拡散し、酸溶液と界面活性剤と急速に混合してエマルジョン化させ、その微粒子が被処理物53の表面に接触して錆ないしは酸化皮膜を除去して、表面を活性化する。
そして、所定時間酸洗後、バルブを開いてメッキ槽51と回収タンク61とを連通すると、メッキ槽51内が減圧されて臨界点以下の状態に移行し、メッキ槽51内に使用後の酸溶液と界面活性剤との二層状態が回復される。その間、圧縮ポンプ58から高圧の二酸化炭素がメッキ槽51内に導入され、その圧力によって使用後の酸溶液と界面活性剤とが押し出されて回収タンク61に回収される。その後、脱脂工程の場合と同様にしてメッキ槽51内に超臨界状態の二酸化炭素を導入して、被処理物53及び対極52に付着している水分を高速かつ効率良く洗浄し乾燥するとともに、二酸化炭素を二酸化炭素滞留槽64へ回収する。
ついで、第1メッキ液供給タンク54内のメッキ液に界面活性剤溶液タンク68から所定の界面活性剤を添加してこれらをメッキ槽51内へ送り込むと、メッキ液と界面活性剤はメッキ槽51内で二層を形成するから、ここで圧縮ポンプ58及びヒータ59を経て二酸化炭素容器60からの二酸化炭素ガスを臨界圧以上に加圧すると共に臨界温度以上に加熱し、超臨界二酸化炭素を生成してメッキ槽51へ導入すると、超臨界状態の二酸化炭素がメッキ槽51に高速に拡散し、メッキ液と界面活性剤とが急速に混合されてエマルジョン化され、二酸化炭素が分散されたメッキ液、あるいはメッキ液の泡がメッキ槽51内に高密度に拡散し、被処理物53の表面に接触する。
この状況の下で対極52及び負極に通電すると、対極片(例えば純ニッケル)が電解してエマルジョン化したメッキ液に溶出し、これが被処理物53の表面に析出してメッキされる。その際、ニッケルイオンの電解溶出、析出ないし付着を超臨界状態で行なっているから、ニッケルイオンがメッキ槽51内を速やかに拡散し、かつ高密度で均一に分布して、被処理物53の表面だけでなく裏面にも付着する。したがって、従来の電解メッキ法に比べて、いわゆるメッキのつき廻りが非常に良く、被処理物53の表面及び裏面に均一かつ緻密なメッキ状態を得られ、良好な仕上がり面を得られる。
このメッキ工程の終了後に、バルブを開いてメッキ槽51と第2メッキ液回収タンク62とを連通すると、メッキ槽51内が減圧されて臨界点以下の状態に移行し、メッキ槽51内に使用後のメッキ液と界面活性剤との二層状態が回復される。その間、圧縮ポンプ58から高圧の二酸化炭素がメッキ槽51内に導入され、その圧力によって使用後のメッキ液と界面活性剤とが押し出されて第2メッキ液回収タンク62に回収される。その後、脱脂工程の場合と同様にしてメッキ槽51内に超臨界状態の二酸化炭素を導入して、被処理物53及び対極52に付着している水分を高速かつ効率良く洗浄し乾燥するとともに、二酸化炭素を二酸化炭素滞留槽64へ回収する。このようにして被処理物53を洗浄し乾燥した後、圧縮ポンプ58を停止して二酸化炭素の導入を停止し、メッキ槽51の蓋(図示略)を開けて、メッキ処理後の被処理物53を取り出せば、一連のメッキ作業が終了する。
なお、使用後の二酸化炭素は、二酸化炭素滞留槽64から吸着カラム65を二酸化炭素中の水及び油脂分を吸収し、初期状態に再生して適時、圧縮ポンプ58へ還流し、再利用する。また、使用後の酸溶液及びメッキ液等は、各回収タンク61〜62を経て混入された界面活性剤を分離ないしは若干高濃度に調製して再生した後に、各溶液供給タンク54〜56へ還流される。
この被処理物の処理装置50は、脱脂、酸洗、洗浄のメッキ前処理、電気メッキ処理、被処理物の回収、乾燥のメッキ後処理を単一のメッキ槽51内で行うことができる。そのため、各処理毎に専用の浴槽を要する従来のメッキ処理法及び設備に比べて、構成が簡単で設置スペ−スがコンパクトになり、設備費の低減を図ることができる。また、各工程から排出する種々の排出物の外部への排出を回避できるから、従来のような高価かつ大形の排水処理設備を必要としなくなる。更に、これらの各処理工程は非常に良好な拡散性を有する超臨界二酸化炭素を利用して行なっているから、メッキ液に被処理物を浸漬する従来のメッキ法に比べて酸溶液やメッキ液の使用量が非常に少量で足りるため、排出処理設備の小型化、軽量化及び排水処理設備の省略化を図れるとともに、被処理物の洗浄や回収、乾燥、メッキ液の回収を容易かつ速やかに行えるという効果を奏するものである。
ところで、この被処理物の処理装置50においては、脱脂、酸洗、洗浄のメッキ前処理、電気メッキ処理、被処理物の回収、乾燥のメッキ後処理を単一のメッキ槽51内で行っているが、このメッキ槽51は、メッキ槽51内の流体が高温・高圧の超臨界流体ないし亜臨界流体となされるため、耐熱性及び耐圧性を備えている必要がある。このような、耐熱性及び耐圧性を備えたメッキ槽の具体例を図5及び図6を用いて説明する。なお、図5は下記特許文献2に開示されている超臨界流体ないし亜臨界流体を用いる電気メッキ槽の断面図である。図6は図5の電極及びプーリを省略して表した平面図であり、蓋体とクランプリングのロック直前の状態を示している。
この電気メッキ槽70は、有底筒状の槽本体71と、槽本体71の開口部を閉塞する蓋体72と、蓋体72の閉塞状態を保持するクランプリング73とを備え、これらは肉厚のステンレス鋼で構成され、その周面を塩化ビニ−ルや硬質ゴムでライニングして絶縁している。この槽本体71の上部外周面には、縮径状のクランプシ−ル部74が設けられ、クランプシ−ル部74の中高部周面に舌片状の複数のクランプ爪75が形成されている。
クランプリング73は、クランプシ−ル部74に回動可能に取り付けられ、その内周面の中高部にクランプ爪75と係合可能なリング状の係止部76を形成し、この係止部76の上下に環状溝77、78を形成している。このうち、環状溝77にクランプ爪75が係合し、環状溝77の直下に舌片状の複数のクランプ爪79が形成され、クランプ爪79をクランプ爪75に係合可能にしている。
環状溝78には後述する蓋体72のクランプ爪が係合し、この環状溝78の直上に舌片状の複数のクランプ爪80が形成され、クランプ爪80を蓋体72のクランプ爪に係合可能にしている。蓋体72は大小複数段の円板状に形成され、その最大径部周面に複数のクランプ爪81が形成され、クランプ爪81がクランプ爪80と係脱可能にされていて、蓋体72を着脱可能にしている。
蓋体72の下部に導電性の枠体からなり、被処理物を掛け止め若しくはクリップ可能にした被処理物収納容器82が着脱可能に取り付けている。また、蓋体72の中央部とその両側に大小異径の貫通孔83、84が設けられ、このうち中央部の貫通孔83に撹拌軸85が挿入され、撹拌軸85の下端部にファン86が取り付けられ、この撹拌軸85はモ−タに連係するベルトプーリによって回転駆動されている。大径側の貫通孔84、84には同様な電極棒87、88が挿入され、これらに正電位と負電位が印加されている。
このうち、正電位を印加する電極棒87の下端部は撹拌軸85の周面に装着した電極管89に通電可能に接続されている。電極管89は、カ−ボンやフェライト等の不溶性電極部材で構成され、電解溶液に晒され、かつ電界内に置かれても溶出不可能にされている。また、負電位を印加した電極棒88は前記被処理物収納容器82の上端部に通電可能に接続されている。前記槽本体71の外面には槽本体71内に連通するポ−ト90〜94がそれぞれ開口されて、所定の導管が接続されている。
この電気メッキ槽70によれば、被処理物収納容器82内に配置された多数の被処理物に対して表面及び裏面にも均一かつ緻密なメッキ状態が得られ、良好な仕上がり面が得られるというものである。
特開2003−321798号公報 特開平2003−147591号公報
このように、超臨界流体ないし亜臨界流体を用いて電気メッキを行うことにより、従来の一般的な電気メッキ法に比してメッキのつき廻りが非常に良く、被処理物の表面及び裏面に均一かつ緻密なメッキ状態を得られ、良好な仕上がり面が得られる等の効果が奏されることが知られている。しかしながら、これらの超臨界流体ないし亜臨界流体を用いた電気メッキ法を面積の広い被処理物に対して適用すると、必ずしも均一なメッキ表面が得られないことが見出された。本来、臨界流体ないし亜臨界流体を用いた電気メッキ法では一般的な電気メッキ法に比してメッキのつき廻りが非常に良いことが知られている。しかも、電気メッキ槽内では例えば撹拌子69(図3参照)ないしファン86(図4参照)によって強力に撹拌されているため、電解液は均質に被処理物の表面に接触して均一なメッキ表面が得られるものと予測されていた。
発明者等はこのような超臨界流体ないし亜臨界流体を用いて面積の広い被処理物に対して電気メッキを行った際に必ずしも均質なメッキ表面が得られない原因について種々検討を重ねた結果、連続流通法であってもバッチ法であっても、部分的に超臨界流体ないし亜臨界流体の定常流が生じ、この定常流に沿って被処理物の表面に不均質なメッキ表面が形成されることがあることを見出した。すなわち、超臨界流体ないし亜臨界流体は、本来電気メッキ槽内では高速に移動し、しかも高拡散性であるために実質的に撹拌や処理流体の流れに影響を受けないはずである。しかしながら、超臨界状態ないし亜臨界状態となった電気メッキ液の移動速度が早いにしても、電気メッキ液からの金属の析出速度も早いため、部分的に生じた定常流によって電気メッキ液中の金属イオンの供給が不足する部分が生じ、これによって部分的に不均質なメッキ表面が得られることが原因と推定された。
本願発明はこのような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、その目的は、臨界流体ないし亜臨界流体を用いて面積の広い被処理物に対して電気メッキを行った際に、広い面積に亘って均一なメッキ被膜が高速で得られる被処理物の表面処理方法及び表面処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、二酸化炭素及び不活性ガスの少なくとも一方及び界面活性剤を含む電気メッキ液を超臨界状態又は亜臨界状態で被処理物の表面に電気メッキする被処理物の表面処理方法において、前記被処理物を対極と互いに対向させると共に、前記被処理物及び対極を同時に同方向又は互いに異なる方向に回転運動させながら電気メッキを行うことを特徴とする。
本発明の被処理物の表面処理方法は、二酸化炭素及び不活性ガスの少なくとも一方、電気メッキ液及び界面活性剤を含み、超臨界状態又は亜臨界状態で被処理物の表面に電気メッキするものである。超臨界状態ないし亜臨界状態の二酸化炭素ないし不活性ガスと混合された界面活性剤を添加した電気メッキ液は、エマルジョンを形成するが、このエマルジョンは高拡散性であるため電気メッキ槽内で被処理物及び対極の隅々まで包み込む。そのため、本発明の被処理物の表面処理方法によれば、エマルジョン状態の電気メッキ液が均一かつ高精密に被処理物及び対極に接触して、被処理物の表面に所定の電気メッキが行なわれる。しかも、電気メッキ液は、エマルジョンの界面を拡散するから、従来のようにメッキ液中に被処理物を浸漬するメッキ法に比べて、非常に少量で足りる。しかも、電気メッキ液中の金属イオンは、超臨界状態ないし亜臨界状態の二酸化炭素ないし不活性ガスによる高拡散性のエマルジョンとなって、電気メッキ槽内で均一かつ高密度に拡散し、被処理物の表面で還元されて金属として析出するから、メッキ被膜のつきまわりが良くなり、均一かつ緻密なメッキ皮膜が得られる。
加えて、本発明の被処理物の表面処理方法では前記被処理物を対極と互いに対向させると共に、前記被処理物及び対極を同時に同方向又は互いに異なる方向に回転運動させながら電気メッキを行っているため、電極である被処理物とメッキ液との接触界面が移動する。一般に、被処理物の通電によって電極界面に電位勾配が形成されるから、この電位勾配によって電気メッキ液の濃度分布ないし金属イオンの密度分布が形成される。しかしながら、本発明の表面処理方法によれば、被処理物及び対極を同時に同方向又は互いに異なる方向に回転運動させたため、電気メッキ液の濃度分布ないし金属イオンの密度分布が平坦化かつ均一化されると共に部分的に定常流が生じることがなくなり、しかも、部分的に電気メッキ液に定常流が生じていても被処理物がこの定常流と当接する部分が移動するので、被処理物の広い面積範囲に亘って均一かつ緻密なメッキ皮膜が形成されるようになる。
また、本発明の被処理物の表面処理方法によれば、被処理物が回転しているだけでなく対極も被処理物と同方向又は互いに異なる方向に回転しているため、対極及び被処理物の一方のみを回転運動させるよりもより超臨界状態又は亜臨界状態のエマルジョン化された電気メッキ液の定常流が生じ難くなり、被処理物の表面が均質にエマルジョン化された臨界状態又は亜臨界状態の電気メッキ液と均質に接触するようになるので、全面に亘ってより均質なメッキ被膜が得られるようになる。
また、本発明の被処理物の表面処理方法においては、前記被処理物及び対極を同時に同方向又は互いに異なる方向に回転運動及び往復運動させながら電気メッキを行うことが好ましい。
係る態様の被処理物の表面処理方法によれば、被処理物だけでなく対極も被処理物と同方向又は互いに異なる方向に回転運動及び往復運動しているため、対極及び被処理物を回転運動させるよりも超臨界状態又は亜臨界状態のエマルジョン化された電気メッキ液の定常流が生じ難くなり、被処理物の表面が均質にエマルジョン化された臨界状態又は亜臨界状態の電気メッキ液と均質に接触するようになるので、全面に亘ってより均質なメッキ被膜が得られるようになる。
また、本発明の被処理物の表面処理方法においては、前記回転運動又は前記往復運動の変更を、電気メッキ中に定期的又はランダムに一時的に停止させることが望ましい。
係る態様の被処理物の表面処理方法によれば、電極である被処理物と電気メッキ液との接触界面の状態が急速に変化するため、部分的に電気メッキ液に定常流が生じていても、この定常流が破壊されるため、より全面に亘ってより均質なメッキ被膜が得られるようになる。
また、本発明の被処理物の表面処理方法においては、前記一時的に停止させる時間は、予め定めた一定時間、又は、予め定めた所定時間範囲内でランダムに定められた時間であることが好ましい。
係る態様の被処理物の表面処理方法によれば、部分的に電気メッキ液に定常流が生じても、この定常流が被処理物に当たる部分が移動するので、定常流に起因するメッキ不良が生じ難くなくなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施形態及び図面を用いて詳細に説明するが、以下に述べる実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
なお、図1は実施態様に係る被処理物の表面処理装置の概略構成を示す図である。図2は図1の表面処理流体供給手段の一具体例の概略構成図である。図3A〜図3Fは本発明で採用し得る被処理物及び対極の運動を説明する概略図である。
この被処理物の表面処理装置10は、図1に示すように、耐熱・耐圧性の電気メッキ槽11と、表面処理流体供給手段12と、被処理物を回転運動させると共に回転軸に対して往復運動させるための被処理物駆動手段13と、電気メッキ用の電源14とを備えている。電気メッキ槽11は、有底円筒形の圧力容器15と、蓋部材16と、円環状のクランプリング17からなる。圧力容器15は上端部に外方へ延びる円環状の鍔部15aを備え、また、蓋部材16も下端部に外方へ延びる円環状の鍔部16aを備え、これらの鍔部15a及び16a間に図示しない耐熱シール材を介して重ね合わされている。そして、これらの鍔部材15a及び16aの周囲は、円環状のクランプリング17によって高圧に耐えられるように密封されている。なお、これらの鍔部15a、16a及び円環状のクランプリング17の具体的構成及び固定方法は、図4及び図5に示した従来例のものと相違はないので、その具体的説明は省略する。
この電気メッキ槽11の蓋部材16の中央部に、回転可能にかつ摺動可能に耐圧密閉シール部材18によってシールされ、かつ蓋部材16とは電気的に絶縁された状態で、負極を兼ねる通電部材19が設けられている。この通電部材19は、その一端が被処理物駆動手段13に接続され、回転駆動及び往復駆動されるようになっている。なお、被処理物駆動手段13による通電部材19に対する回転駆動及び往復駆動は独立して制御可能となっている。また、通電部材19の他端は、例えば被処理物20に直接ネジ止め、被処理物20の周囲の把持等、図示しない周知の固定手段によって固定されている。そのため、被処理物20は、被処理物駆動手段13によって通電部材19を介して回転及び通電部材19の回転軸に沿った方向に往復運動することができるようになっている。そして、この通電部材19は電源14のマイナス出力端子に電気的に接続されており、被処理物20は負極として作動するようになされている。
また、電気メッキ槽11の圧力容器15の底部には、通電部材19に取り付けられた対極21が圧力容器15とは電気的に絶縁された状態で取り付けられている。そして、この対極21の通電部材19は電源14のプラス出力端子に電気的に接続されており、対極21は対極として作動するようになされている。更に、圧力容器15の底部には入口配管22及び出口配管23が接続されており、入口配管22はストップバルブ24aを経て表面処理流体供給手段12の供給口12aに接続されており、また、出口配管23はストップバルブ24bを経て表面処理流体供給手段12の流入口12bに接続されている。従って、表面処理流体供給手段12から供給された表面処理流体は、供給口12a、ストップバルブ24a、入口配管22、電気メッキ槽11、出口配管23、ストップバルブ24b及び流入口12bを経て表面処理流体供給手段12に循環されるようになっている。
また、表面処理流体供給手段12は、図2に示したように、電気メッキ槽11に表面処理流体を供給するための供給口12aと、電気メッキ槽11から循環されてきた表面処理流体を受け入れる流入口12bを備えている。流入口12bは、ストップバルブ25bを経て順次循環ポンプ26、ミキサ(例えば、スタティックミキサ)27、ストップバルブ25aを経て供給口12aに接続されている。そして、供給口12aとストップバルブ25aとを結ぶ配管28aには分岐配管28aを介してリリーフバルブ29aが接続され、このリリーフバルブ29aは圧力容器である回収タンク30aに接続されている。同じく流入口12bとストップバルブ25bとを結ぶ配管28bには分岐配管28bを介してリリーフバルブ29bが接続され、このリリーフバルブ29bは圧力容器である回収タンク30bに接続されている。そして、これら配管28a及び28b、分岐配管28a及び28bの占める内部体積は可能な限り小さくなるようになされている。なお、三方バルブ31a、31b及びバイパス配管31aが必要に応じて設けられている。
また、二酸化炭素タンク32からの二酸化炭素ガスが二酸化炭素供給配管33、加圧ポンプ34及びヒータ35を経て循環ポンプ26に供給されているとともに、界面活性剤容器36からの所定の界面活性剤が添加された電気メッキが電気メッキ液容器37から送液ポンプ38によって加圧された後に循環ポンプ26に供給されている。そして、循環ポンプ26を経て送出された二酸化炭素は少なくとも超臨界状態ないしは亜臨界状態となるようになされており、界面活性剤が添加された電気メッキ液と超臨界状態ないしは亜臨界状態の二酸化炭素はミキサ27で十分に混合された後にストップバルブ25aを経て供給口12aへ供給されるようになっている。
この実施形態の被処理物の表面処理装置を利用して被処理物20を電気メッキするには、所定の被処理物20を通電部材19の先端部に取り付け、図1に示したように、圧力容器15上に蓋部材16を載置した後、クランプリング17を操作することによって電気メッキ槽11を組み立てる。なお、対極21としては、不溶性電極ないしメッキする金属からなる金属板を使用し得る。
次に、表面処理流体供給手段12においては、初期状態として、ストップバルブ24a、24b、25a及び25b、リリーフバルブ29a及び29bはそれぞれ閉状態となっている。また、ここでは三方バルブ31a、31b及びバイパス配管31aを使用していないものとして説明する。更に、電気メッキ槽11内の被処理物20は、被処理物駆動手段13によって所定速度で回転させると共に所定速度で回転軸方向に往復運動させておく。
次いで、循環ポンプ26を作動させ、二酸化炭素タンク32を開弁し、充填した二酸化炭素を二酸化炭素供給配管33、加圧ポンプ34及びヒータ35を経て約8〜10MPa、約50℃に加圧及び加熱して二酸化炭素を超臨界状態ないしは亜臨界状態として循環ポンプ26へ送出する。これと同時にストップバルブ24a、24b、25a及び25bを開状態として超臨界状態ないしは亜臨界状態の二酸化炭素を、図1及び図2において矢印で示した方向に、電気メッキ槽11へ循環させる。
この状態で、電気メッキ液容器37内の電気メッキ液に界面活性剤容器36からの所定の界面活性剤を所要量添加して所定の組成に調製し、この混合液の所定量を送液ポンプ38を介して循環ポンプ26へ供給し、図2において矢印で示した方向に送出する。この電気めっき液と界面活性剤との混合液及び超臨界状態ないしは亜臨界状態の二酸化炭素はミキサ27で混合撹拌されて供給口12aから入口配管22を経て電気メッキ槽11へ移動する。
そして、超臨界状態ないしは亜臨界状態の二酸化炭素を供給後、電気メッキ槽11に電気メッキ液を供給する前、より厳密には被処理物20が電気メッキ液に接触する前に、電源14をONとし、被処理物20と対極21との間に通電可能な状況を形成して置く。このように、界面活性剤を添加した電気メッキ液と超臨界状態ないし亜臨界状態の二酸化炭素とがミキサ27内で混合され、電気メッキ液を含むエマルジョンが形成される。このエマルジョン状の電気メッキ液は超臨界状態ないしは亜臨界状態の二酸化炭素と共に電気メッキ槽11内を高速に拡散し、被処理物20及び対極21を包み込み、エマルジョン状態の電気メッキ液が均一かつ高精密に被処理物20及び対極21に接触して、被処理物20の表面に所定の電気メッキが行なわれる。このように、界面活性剤を含む電気メッキ液は、超臨界状態ないしは亜臨界状態の二酸化炭素と共にエマルジョンとなって拡散するから、従来のようにメッキ液中に被処理物を浸漬するメッキ法に比べて、非常に少量で足りるようになる。
また、この電気メッキ槽11においては、超臨界状態ないしは亜臨界状態にある二酸化炭素と共にエマルジョン化された電気メッキ液が電気メッキ槽11内に流入した後に予め通電可能な状態に置かれた被処理物20と対極21との間に電流が流れ、エマルジョン状の電気メッキ液中の金属イオンが負極側の被処理物20の表面に析出してメッキ皮膜が生成される。この場合、被処理物20は、エマルジョン状態の電気メッキ液との接触前に通電可能な状況に置かれているから、エマルジョンとの接触時に置換メッキを生ずることなく、対極21との間で速やかに電気化学反応が形成され、電気メッキが行なわれる。
更に、電気メッキ槽11内では、エマルジョン状態の電気メッキ液は超臨界ないし亜臨界状態の二酸化炭素によって高拡散性となっているから、電気メッキ液中の金属イオン電気メッキ槽11内で均一かつ高密度に拡散して被処理物に接触して析出する。そのため、つきまわりが良く、面積が広い被処理物20のメッキに応じられるとともに、均一かつ緻密で薄厚のメッキ皮膜が得られる。
加えて、電気メッキ槽11内では、被処理物20は被処理物駆動手段13によって所定速度で回転されていると共に所定速度で回転軸方向に往復運動されているから、負電極である被処理物20と電気メッキ液との接触界面が移動する。また、定常流が生じている場合でも、被処理物20が移動しているので、被処理物20が均一に電気メッキ液の定常流もしくは停滞液に接触するので、均一な電気メッキ被膜が得られるようになる、更に、一般には、被処理物20の通電によって電極界面に電位勾配が形成されるため、この電位勾配によって電気メッキ液の濃度分布ないし金属イオンの密度分布が形成される。しかしながら、上記実施形態によれば、被処理物20の回転運動及び往復運動によって電気メッキ液の濃度分布ないし金属イオンの密度分布が平坦化かつ均一化されるため、被処理物の広い面積範囲に亘って均一かつ緻密なメッキ皮膜が形成されるようになる。
また、電気メッキ槽11では、超臨界状態ないしは亜臨界状態の電気メッキ液を含むエマルジョンを循環させて行なっているから、このエマルジョンが電気メッキ槽11内でカルマン渦を形成することなく高速で、隅々まで円滑に移動し、均一かつ高精密なメッキ皮膜を得られる。その際、前記エマルジョンは、被処理物に沿って平行に移動するから、移動速度や拡散速度が減速されることなく、高速かつ高精密な金属イオンの析出ないしメッキ作用を維持する。
更に、メッキ処理後の電気メッキ液を含むエマルジョンは、電気メッキ槽11から流出し、流入口12b、ストップバルブ25bを経て循環ポンプ26に導かれ、この循環ポンプ26で再度加圧されてミキサ27へ移動し、該ミキサ27で前記エマルジョンが混合撹拌されて均一化され、再度電気メッキ槽11へ流入する。以降、被処理物20に対して所定の電気メッキが継続され、所期のメッキ状態を得られたところで、次の工程へ移行する。その際、循環ポンプ26を停止し、ストップバルブ24a、24b、25a及び25bを閉じ、リリーフバルブ29a及び29bを開いてエマルジョンを回収タンク30a及び30bへ回収し、その後、リリーフバルブ29a及び29bを閉じる。
電気メッキ後、被処理物20や対極21に付着した電気メッキ液を除去し乾燥する場合、二酸化炭素タンク34内の二酸化炭素を使用し、これを前述のように超臨界又は亜臨界状態に調製して被処理物20に接触させれば、速やかに所期の効果を得られる。また、別途洗浄水を用いて電気メッキ槽11内に圧送して循環させ、電気メッキ液を洗い流した後、二酸化炭素を吹き込んで乾燥させれば、安価かつ簡便に電気メッキ液の除去及び乾燥を行なうことができる。
この場合、乾燥工程を終了する前に、ストップバルブ25a、25bを閉じ、更にリリーフバルブ29a及び29bを開き、電気メッキ槽11を含むストップバルブ24aと25aの間に存在していた二酸化炭素をそれぞれ回収タンク30a及び30bに回収する。そうすると、電気メッキ槽11内、入口配管22及び出口配管23内は大気圧に戻るため、電気メッキ槽11の蓋部材16を外して電気メッキされた被処理物20を取り出すことができるようになる。
なお、ここでは三方バルブ31a、31b及びバイパス配管31aを使用していないものとして説明した。この場合、初期状態では表面処理流体供給手段12内の管路等の内部は全て大気圧となっているため、複数個の被処理物20に対して連続的に電気メッキ工程を行わせるには、電気メッキ槽11内を超臨界状態ないしは亜臨界状態とするために時間がかかる。そのため、三方バルブ31a、31b及びバイパス配管31aを設け、電気メッキ槽11内が大気圧になっている場合には、循環ポンプ26から得られた超臨界状態ないしは亜臨界状態の二酸化炭素を三方バルブ31a、31b及びバイパス配管31a1を経て循環ポンプ26に循環させておく。この状態で電気メッキ槽11内に被処理物20をセットした後、三方バルブ31a、31b及びバイパス配管31aを切り替えて、循環ポンプ26から得られた超臨界状態ないしは亜臨界状態の二酸化炭素を電気メッキ槽11に供給するようにすると、必要な時間を短縮することができるため、作業性が向上し、量産用途に非常に適したものとなる。
上記実施形態では被処理物20を通電部材19を介して回転させると共に回転軸に沿って往復運動するものとして説明した。しかしながら、上述のように被処理物20を通電部材19によって回転させると共に回転軸に沿って往復運動させることの本質的目的は、電気メッキ液の濃度分布ないし金属イオンの密度分布を平坦化かつ均一化し、部分的に定常流が生じないようにして被処理物の広い面積範囲に亘って均一かつ緻密なメッキ皮膜を形成することにある。また、回転運動は、定常流が生じた場合であっても、定常流が接触する被処理物20の表面を移動させて、均一な電気メッキ被膜が形成できるようにするためである。そのため、図3A〜図3Fに示したように、被処理物20のみを回転(図3A)、対極21のみを回転(図3B)、被処理物20及び対極21を同時に同方向又は逆方向に回転(図3C)、被処理物20を往復運動(図3D)、対極21を往復運動(図3E)、被処理物20及び対極21を同時に同方向又は逆方向に往復運動(図3F)させる構成となしても、更には、図3A〜図3Cに示した回転運動と図3D〜図3Fに示した往復運動を適宜に組み合わせても、被処理物20の界面が移動するので、部分的に定常流ができなくなるようにすることができるようになり、広い面積の被処理物20に対して均質なメッキ被膜を形成することができるようになる。なお、上述した実施形態は、図3Aに示した回転運動と図3Dに示した往復運動とを組み合わせたものに相当する。
また、上記実施形態では、被処理物20が通電部材19を介して所定速度で回転されていると共に所定速度で回転軸方向に往復運動されているものとした例を示した。しかしながら、より電気メッキ液の定常流が生じないようにするためには、電気メッキ中に被処理物20及び対極21の少なくとも一方と電気メッキ液との相対的位置の変更を定期的又はランダムに一時的に停止させることが望ましい。このように電気メッキ中に被処理物20及び対極21の少なくとも一方と電気メッキ液との相対的位置の変更を一時的に停止させると、被処理物20と電気メッキ液との接触界面の状態が急速に変化するため、部分的に電気メッキ液に定常流が生じていても、この定常流が破壊されるので、より全面に亘って均質なメッキ被膜が得られるようになる。なお、この一時的に停止させる時間は、予め定めた一定時間、又は、予め定めた所定時間範囲内でランダムに定められた時間とすることができる。このような一時的に停止させる時間の設定は被処理物駆動手段13に周知の制御手段を組み込むことにより容易に実行させることができる。


また、表面処理流体供給手段12からの表面処理流体は、流通式に電気メッキ槽11に供給する例を示したが、バッチ式に電気メッキ槽11に供給してもよい。更には、上述した従来例のように、表面処理流体供給手段12から電気メッキ液だけでなく、脱脂液、酸洗液、洗浄液等を切り換え供給することができるようにしてもよい。
実施形態に係る被処理物の表面処理装置の概略構成を示す図である。 図1の表面処理流体供給手段の一具体例の概略構成図である。 図3A〜図3Fは本発明で採用し得る被処理物及び対極の運動を説明する概略図である。 従来例に係る被処理物の表面処理装置の概略構成を示す図である。 従来例の超臨界流体ないし亜臨界流体を用いる電気メッキ槽の断面図である。 図5の電極及びプーリを省略して表した平面図である。
符号の説明
10:被処理物の表面処理装置 11:電気メッキ槽 12:表面処理流体供給手段 12a:供給口 12b:流入口 13:被処理物駆動手段 14:電源 15:圧力容器 15a:鍔部 16:蓋部材 16a:鍔部 17:クランプリング 18:耐圧密閉シール部材 19、19:通電部材 20:被処理物 21:対極 22:入口配管 23:出口配管 24a、25a:ストップバルブ 25a、25b:ストップバルブ 26:循環ポンプ 27:ミキサ 28a、28b:配管 28a1、28b1:分岐配管 29a、29b:リリーフバルブ 30a、30b:回収タンク 31a、31b:三方バルブ 31a1:バイパス配管 32:二酸化炭素タンク 33:二酸化炭素供給配管 34:加圧ポンプ 35:ヒータ 36:界面活性剤容器 37:電気メッキ液容器 38:送液ポンプ

Claims (5)

  1. 二酸化炭素及び不活性ガスの少なくとも一方及び界面活性剤を含む電気メッキ液を超臨界状態又は亜臨界状態で被処理物の表面に電気メッキする被処理物の表面処理方法において、
    前記被処理物を対極と互いに対向させると共に、前記被処理物及び対極を同時に同方向又は互いに異なる方向に回転運動させながら電気メッキを行うことを特徴とする被処理物の表面処理方法。
  2. 前記被処理物及び対極を同時に同方向又は互いに異なる方向に回転運動及び往復運動させながら電気メッキを行うことを特徴とする請求項に記載の被処理物の表面処理方法。
  3. 前記被処理物及び対極の回転運動を、電気メッキ中に定期的又はランダムに一時的に停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の被処理物の表面処理方法。
  4. 前記被処理物及び対極の往復運動を、電気メッキ中に定期的又はランダムに一時的に停止させることを特徴とする請求項2に記載の被処理物の表面処理方法。
  5. 前記一時的に停止させる時間は、予め定めた一定時間、又は、予め定めた所定時間範囲内でランダムに定められた時間であることを特徴とする請求項3又は4に記載の被処理物の表面処理方法。
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