以上説明したこの発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下この発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1はこの発明の一実施例を適用するコンピュータシステムの外観図である。このコンピュータシステムは、コンピュータ10と、周辺機器としてのCRTディスプレイ12およびプリンタ14を備える。コンピュータ10は、コンピュータ本体16とキーボード18とマウス20を備える。なお、このコンピュータ本体16には、フロッピィディスク22の内容を読み取るフロッピィディスクドライブ24が搭載されている。
図2は、コンピュータシステムのハードウェアの概略構成を示すブロック図である。図示するように、このコンピュータ本体16は、中央演算処理装置としてのCPU30を中心にバスにより相互に接続されたROM31、RAM32、表示画像メモリ33、マウスインタフェース34、キーボードインタフェース35、FDC36、HDC37、CRTC38、プリンタインタフェース39およびI/Oポート40を備える。
ROM31は、内蔵されている各種プログラム等を記憶する読み出し専用のメモリである。RAM32は、各種データ等を記憶する読み出し・書込み可能なメモリである。表示画像メモリ33はCRTディスプレイ12に表示する画像の画像データを記憶するメモリである。マウスインタフェース34は、マウス20とのデータ等のやり取りを司るインタフェースである。キーボードインタフェース35は、キーボード18からのキー入力を司るインタフェースである。FDC36は、フロッピィディスクドライブ(FDD)24を制御するフロッピィディスクコントローラである。HDC37は、ハードディスクドライブ(HDD)41を制御するハードディスクコントローラである。CRTC38は、表示画像メモリ33に記憶される表示画像データに基づいてCRTディスプレイ12における画像の表示を制御するCRTコントローラである。プリンタインタフェース39は、プリンタ14へのデータの出力を制御するインタフェースである。I/Oポート40は、シリアル出力のポートを備えており、モデム44に接続されており、このモデム44を介して、公衆電話回線46に接続されている。コンピュータ10は、モデム44を介して、外部のネットワークに接続されており、特定のサーバー48に接続可能となっている。
このコンピュータシステムでは、オペレーティングシステムはHDD41に記憶されており、HDD41のブートブロックに書き込まれたローダに従って、コンピュータ本体16に電源を投入すると、RAM32の所定の領域にロードされる。また、プリンタ14の機種毎に用意されるプリンタドライバは、フロッピィディスク22に予め格納されており、所定のインストールプログラムを起動することで、フロッピィディスクドライブ24からコンピュータ本体16にインストールされる。このインストールされたプリンタドライバは、HDD41に記憶されており、コンピュータ本体16に電源を投入したときに、オペレーティングシステムに組み込まれ、RAM32の所定の領域にロードされる。
このプリンタドライバをCPU30が実行することによって本発明の各種構成要件は実現される。なお、このプリンタドライバのソフトウェアプログラムは、前述したように、フロッピィディスク22に格納されたものであるが、これに替えて、CD−ROM、光磁気ディスク、ICカード等の他の携帯型記録媒体(可搬型記録媒体)に格納された構成としてもよい。また、前述したソフトウェアプログラムは、外部のネットワークに接続される特定のサーバー48から、ネットワークを介して提供されるプログラムデータをダウンロードして、RAM32またはHDD41に転送することにより得るようにすることもできる。
以上説明したハードウェア構成を有するコンピュータシステムによる印刷の様子について次に説明する。図3は、コンピュータ本体16が扱う画像情報から印刷が行なわれるまでの処理の様子を示すブロック図である。図示するように、コンピュータ本体16の内部で動作しているアプリケーションプログラム51により、画像の処理を行いつつビデオドライバ52を介してCRTディスプレイ12に画像を表示している。また、このアプリケーションプログラム51が、印字発令を発行すると、コンピュータ本体16内のプリンタドライバ53が、画像情報をアプリケーションプログラム51から受け取り、これをプリンタ14が印字可能な信号に変換している。
図3に示した例では、プリンタドライバ53の内部には、アプリケーションプログラム51が扱っている画像情報をドット単位の色情報に変換するラスタライザ54、ドット単位の色情報に変換された画像情報(階調データ)に対してプリンタ14の発色の特性に応じた色補正を行なう色補正モジュール55、色補正された後の画像情報からドット単位でのインクの有無によりある面積での濃度を表現するいわゆるハーフトーンの画像情報を生成するハーフトーンモジュール56が備えられている。また、プリンタドライバ53の内部には、プリンタ14による印刷のための各種情報を設定する情報設定モジュール57が備えられている。印刷のための各種情報としては、印刷品質、色補正、ハーフトーンの種類等の印刷の基本設定に関するもの、用紙のサイズ、印刷方向等の用紙設定に関するもの等がある。
なお、情報設定モジュール57で設定された色補正の情報は、色補正モジュール55に送られ、ハーフトーンの種類の情報は、ハーフトーンモジュール56に送られる。情報設定モジュール57は、ビデオドライバ52を介してCRTディスプレイ12に設定の内容を示す画像を表示している。情報設定モジュール57を除いた各モジュールの動作は、周知のものなので、説明は原則として省略し、情報設定モジュール57については、以下に説明する。
プリンタドライバ53は、その設定を変えることにより、プリンタ14による印刷を種々コントロールすることができるが、オペレータは、そうした設定を予め行なっておく必要がある。こうした印刷のための各種情報を設定する作業を実行するのが情報設定モジュール57である。ここでは、この情報設定モジュール57の動作によりCRTディスプレイ12にどのような画面が表示されるかを先に説明する。なお、この説明に当たり、このプリンタドライバが動作するオペレーティングシステムとして、Windows95(マイクロソフト社の商標)を例にとって説明する。
オペレータは、まずコンピュータ10を次のように操作して、印刷のための各種情報を設定するダイアログボックスをCRTディスプレイ12に表示する。すなわち、[スタート]→[設定]→[プリンタ]の操作を行なうことで、「プリンタ」ウィンドウを開く。次いで、そのウィンドウ上の目的のプリンタのアイコンをダブル・クリックして、そのプリンタについてのウィンドウを開く。その後、そのウィンドウから[プリンタ]→[プロパティ]の操作を行なって、そのプリンタについての各種情報を設定するプロパティのダイアログボックスを表示させる。
図4は、その開いたときのダイアログボックスDB1を例示する説明図である。図示するように、ダイアログボックスDB1には、「情報」、「詳細」、「基本設定」、「用紙設定」、「ユーティリティ」の5種類のカードCD1,CD2,CD3,CD4,CD5が用意されている。「情報」のカードCD1は、プリンタのコメント等、プリンタについての情報を設定するためのものである。「詳細」のカードCD2は、プリンタが接続されているポート等、プリンタについての詳細な情報を設定するためのものである。「基本設定」のカードCD3は、印刷品質に関わる基本的な情報を設定するためのものである。「用紙設定」のカードCD4は、用紙についての各種情報を設定するためのものである。「ユーティリティ」のカードCD5はその他有用な情報を設定するためのものである。
これらカードCD1〜CD5の内のいずれかが、オペレータによって、マウス20を操作することにより選択されて、ダイアログボックスDB1に表示される。
図5は、「基本設定」のカードCD3が開かれたダイアログボックスDB1を例示する説明図である。図示するように、この「基本設定」のカードCD3には、オペレータからのデータ入力を受け付けるデータ入力欄として、「モード設定」、「用紙種類」、「インク」の3つのデータ入力欄E1,E2,E3が設けられている。また、このカードCD3には、プリンタドライバの現在の設定の内容のうちのいくつかの情報を表示するデータ表示欄E4が設けられている。
「モード設定」のデータ入力欄E1は、基本的な設定のモードを選択するもので、予め決められた設定を自動的に行なう「推奨設定」のモードと、手動で詳細に設定を行なう「詳細設定」のモードとがボタンE11,E12により選択可能となっている。
まず、ボタンE12がクリックされて「詳細設定」のモードが選択されたときの動作について説明する。この「詳細設定」のモードが選択されると、データ入力欄E14およびデータ入力欄E15がアクティブな状態となる。これにより、このデータ入力欄E14から印刷目的を入力することが可能となり、また、データ入力欄E15から手動設定を行なうためのダイアログボックスを開くことが可能となる。
データ入力欄E14は、印刷するデータのタイプを設定するもので、ワープロ、グラフ、写真等の選択肢が用意されている。
図6は、データ入力欄E15から開かれる手動設定のダイアログボックスDB2を例示する説明図である。図示するように、「印刷品質」、「用紙種類」、「インク」、「ハーフトーン」、「マイクロウィーブ」、「双方向印刷」、「カラー調整」等についてのデータ入力欄E21,E22,E23,E24,E25,E26,E27が設けられている。
「印刷品質」のデータ入力欄E21は、印刷する解像度を設定するもので、「ドラフト」、「ファイン」、「スーパファイン」の3種類が選択肢として用意されている。ここで、「ドラフト」、「ファイン」および「スーパファイン」は、順に、360×360(dot)、720×360(dot)、720×720(dot)の解像度を示すものである。
「用紙種類」のデータ入力欄E22は、用紙の種類を設定するもので、「普通紙」、「スーパーファイン専用紙」、「専用光沢紙」が選択肢として用意されている。「インク」のデータ入力欄E23は、プリンタ14に使用するインクの種類を設定するもので、「カラー」と「黒」とが選択肢として用意されている。なお、「基本設定」のカードCD3上には、この「用紙種類」と「インク」のデータ入力欄E22,E23と同一のデータ入力欄E2,E3が設けられており、後に入力された方が優先され、先に入力された方のデータ入力欄の表示は後に入力されたデータに従って変更される。
「ハーフトーン」のデータ入力欄E24は、ハーフトーンの種類を設定するもので、「高速ハーフトーン」、「高画質ハーフトーン」が選択肢として用意されている。なお、このハーフトーンの種類の情報はハーフトーンモジュール56(図3)にて利用される。「マイクロウィーブ」のデータ入力欄E25は、マイクロウィーブの機能をオン/オフするものである。ここで、マイクロウィーブとは、プリンタ14に備えられる機能であり、異なるヘッドが同一のラインを走査することで1つのドットを重ね打つことにより、印刷の品質を高めることができる。「双方向印刷」のデータ入力欄E26は、双方向印刷の機能をオン/オフするものである。ここで、双方向印刷とは、プリンタ14に備えられる機能であり、異なるヘッドが左右双方向から移動することにより、印刷の速度を高めることができる。
「カラー調整」のデータ入力欄E27は、色補正に関わる各種の情報を設定するもので、「ドライバによる色補正」、「ビデオ/デジタルテレビカメラモード」、「ICM」が選択肢として用意され、その上で、明度、コントラスト、彩度の強弱が設定可能となっている。
次に、「モード設定」のデータ入力欄E1のボタンE12がクリックされて「推奨設定」のモードが選択されたときの動作について説明する。この「推奨設定」のモードが選択されると、スライドレバー形のボタンE13がアクティブな状態となり、これにより、プリンタ14による印刷をどの程度の品質で行なうかが指定可能となる。
詳細には、図5に示すように、ボタンE13として表示されるスライドレバーの両端には、「きれい」と「速い」の文字が明示されており、スライドレバーの部分をマウス20によりドラックすることにより、「きれい」と「速い」の内のいずれかを選択することができる。なお、このボタンE13による選択肢は、上記のように「きれい」と「速い」といったパラメータ値ではあるが、これは、「用紙種類」の入力欄E2に「普通紙」が設定されているときのものである。これに対して、「用紙種類」の入力欄E2に他の用紙種類が設定されている場合には、他の複数パラメータ値、具体的には、「よりきれい」、「きれい」、「標準」、「速い」の内から選択した任意の2つのパラメータ値が表示される。なお、ここで「速い」とは、印刷速度は速いが、印刷品質がやや劣ることを意味しており、この「速い」も印刷品質の程度を定めるパラメータ値の一種である。
上記「よりきれい」、「きれい」、「標準」、「速い」といったパラメータ値は、印刷の品質の程度を段階的に定めるものであり、この「推奨設定」のモードで、スライドレバー形のボタンE13により一のパラメータ値が選択されると、このコンピュータ10では、その選択されたパラメータ値から印刷の品質を決定する各種品質情報を求める処理を実行している。ここで、各種品質情報とは、印刷の解像度、ハーフトーンの種類およびマイクロウィーブの機能区分が該当する。これら各種品質情報は、上記手動設定のダイアログボックスDB2から入力される情報に含まれるものと同一である。上記各種品質情報を求める処理については後程詳しく説明する。
データ表示欄E4について次に説明する。データ表示欄E4は、「用紙サイズ」、「印刷方向」、「印刷品質」、「マイクロウィーブ」、「双方向印刷」、「カラー調整」についての情報を表示する表示エリアE41,E42,E43,E44,E45,E46を備えている。表示エリアE41,E42に表示される「用紙サイズ」および「印刷方向」の内容は、「用紙設定」のカードCD4を用いて入力設定されたデータである。なお、「用紙設定」のカードCD4についての詳細は後ほど説明する。
また、表示エリアE43,E44,E45,E46に表示される「印刷品質」、「マイクロウィーブ」、「双方向印刷」、「カラー調整」の内容は、次のようなものである。「モード設定」のデータ入力欄E1で「詳細設定」のモードが選択されたときには、上記表示エリアE43ないしE46には、前述した「手動設定」のダイアログボックスDB2で設定された内容のデータが表示される。即ち、データ入力欄E21に入力された「印刷品質」についてのデータ、データ入力欄E25に入力された「マイクロウィーブ」についてのデータ、データ入力欄E26に入力された「双方向印刷」についてのデータ、およびデータ入力欄E27に入力された「カラー調整」についてのデータが、表示エリアE43,E44,E45,E46にそれぞれ表示される。
一方、図5に示すように、「モード設定」のデータ入力欄E1で「推奨設定」のモードが選択されているときには、「印刷品質」の表示エリアE43および「マイクロウィーブ」の表示エリアE44は、スライドレバー形のボタンE13により選択された品質の程度を示すパラメータ値から自動的に求められたデータが表示される。また、「双方向印刷」の表示エリアE45は、「オフ」といったデータが、「カラー調整」の表示エリアE36には、「ドライバによる色補正」といったデータがそれぞれ表示される。
図7は、「用紙設定」のカードCD4が開かれたダイアログボックスDB1を例示する説明図である。図示するように、この「用紙設定」のカードCD4には、「用紙サイズ」、「印刷部数」、「印刷方向」、「印刷可能領域」をそれぞれ設定するデータ入力欄F1,F2,F3,F4と、プリンタ14の3次元立体像を平面画像によって示す表示欄F5とが設けられている。
「用紙サイズ」のデータ入力欄F1は、使用する用紙サイズを用紙の種類と共に設定するもので、例えば、「A4 210×297mm」、「A4横 210×297mm」、「洋封筒 120×235」、「ハガキ 100×147mm」等が選択肢として用意されている。
「印刷部数」のデータ入力欄F2は、印刷したい部数を設定するものであり、部数以外にも、その印刷順を部単位で印刷するか否か、正順もしくは逆順のいずれの順で印刷するかを、チェックボックスをクリックすることで指定することもできる。
「印刷方向」のデータ入力欄F3は、用紙における印刷の方向を示すものであり、「縦」と「横」とが選択可能である。「印刷可能領域」のデータ入力欄F4は、用紙における印刷可能な領域を設定するものであり、「通常」と「センタリング」とが選択可能である。「通常」とは、図8(a)に示すように、用紙Pの下端と右端とに大きな余白が空くよう印刷可能領域AR1を定めたものであり、「センタリング」とは、図8(b)に示すように、用紙Pの上下左右の4方向に等しく余白が空くように印刷可能領域AR2を定めたものである。なお、図8(a)における用紙Pの下端および右端の余白は、プリンタ14により機械的に生じる空白であり、下端はプリンタ14の紙送りローラがかからないために、右端はキャリッジリターンとなるために生じる。
表示欄F5は、前述したように、プリンタ14の3次元立体像を平面画像によって示すもので、プリンタ14による印刷の状態が分かるような平面画像となっている。具体的には、次のような内容が分かるような平面画像となっている。
(1) 用紙の種類およびサイズ
(2) 用紙のセットする向き
(3) 印刷時の用紙の搬送経路
(4) 用紙における印刷方向
(5) 用紙における印刷可能領域
前述した(1)〜(5)を示す平面画像は、データ入力欄F1〜F4の設定内容が変更されると、その都度変更される。例えば、図7に示すように、「用紙サイズ」のデータ入力欄F1が「A4 210×297mm」に設定されているとき、表示欄F5の平面画像は、用紙がA4に対応した大きさでプリンタに対して縦方向にセットされた状態となっている。一方、図9に示すように、「用紙サイズ」のデータ入力欄F1が「A4横 210×297mm」に設定されているとき、表示欄F5の平面画像は、用紙がA4に対応した大きさでプリンタに対して横方向にセットされた状態となっている。また、図7,図9に示すように、「印刷時の用紙の搬送経路」は矢印で、「用紙における印刷方向」は「A」の文字の方向で、「印刷可能領域」は用紙部分に描かれた破線の位置により示されている。
上記データ入力欄F1に入力された「用紙サイズ」についてのデータ、データ入力欄F3に入力された「印刷方向」についてのデータは、前述した「基本設定」のカードCD3が開かれたとき、データ表示欄E4の表示エリアE41,E42にそれぞれ表示されることになる。
上述したCRTディスプレイ12への画面表示は、プリンタドライバ53の情報設定モジュール57の処理ルーチンをCPU30が処理することで行なわれる。この情報設定モジュール57の処理ルーチンについて次に説明する。
図10は、その情報設定モジュール57の処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理ルーチンは所定時間毎に繰り返し実行される。図示するように、CPU30は、処理が開始されると、まず、「情報」、「詳細」、「基本設定」、「用紙設定」、「ユーティリティ」の5種類のカードCD1〜CD5にあってアクティブの状態にあるカードを変更する旨の指令があるか否かを判定する(ステップS100)。ここで、アクティブの状態のカードとは、データの入力状態となってCRTディスプレイ12に表示されているカードをいう。カードを変更する旨の指令とは、マウス20を用いたカードのインデックスをクリックする操作により発生する指令である。
ステップS100で、アクティブの状態にあるカードを変更する旨の指令がないと判定されると、「リターン」に抜けて処理を一旦終了する。一方、ステップS100で、アクティブの状態にあるカードを変更する旨の指令があると判定されると、次いで、その変更後のカードは、「情報」、「詳細」、「基本設定」、「用紙設定」、「ユーティリティ」の5種類のカードCD1〜CD5の内のいずれに該当するかを判定する(ステップS110)。続いて、その該当するカードに対応したモードの処理ルーチン、即ち、情報モード、詳細モード、基本モード、用紙モードまたはユーティリティモードの処理ルーチンを実行する(ステップS120ないしS160)。その後、「リターン」に抜けて処理を一旦終了する。
次に、ステップS140で実行される基本設定モードの処理ルーチンについて説明する。図11は、基本設定モードの処理ルーチンを示すフローチャートである。図示するように、CPU30は、処理が開始されると、「基本設定」のカードCD3を示す画像データをCRTディスプレイ12に表示するカード表示の処理ルーチンを実行する(ステップS200)。その後、そのCRTディスプレイ12の表示画面を見たオペレータによるキーボード18およびマウス20を用いたデータ入力の操作を受けて、各種データを入力し(ステップS210)。その入力された各種データをRAM32上の所定の位置に記憶する(ステップS220)。
例えば、ステップS200では、図5に例示する「基本設定」のカードCD3の画像データをCRTディスプレイ12に表示する。オペレータは、そのCRTディスプレイ12に表示された画像データを見て、例えば、ボタンE13を操作して「きれい」とデータ入力を行なうが、ステップS210では、CPU30はその「きれい」のデータを取り込む処理を行なう。次いで、ステップS220では、その「きれい」のデータをRAM32上の所定の位置に記憶する。なお、この「きれい」のデータは、「推奨設定」のモードが選択されたときの簡易なデータであり、実際は、印刷の品質情報を表わすデータとして「アウトプット解像度」のデータとして「720×720(スーパーファインに該当する)」を、「マイクロウィーブ」のデータとして「オン」を、「ハーフトーン」のデータとして「高画質ハーフトーン」をそれぞれRAM32上の所定の位置に記憶するようにしている。なお、この品質情報の記憶される処理については、後ほど詳述する。
こうしてデータの記憶の作業を終了すると、オペレータによる図5の表示画面中の「OK」のクリック操作を待って「リターン」に抜けて処理を終了する。
次に、ステップS200で実行されるカード表示の処理ルーチンについて詳述する。図12はそのカード表示の処理ルーチンを示すフローチャートである。CPU30は、ステップS200に処理が移ると、図12に示すように、まず、「基本設定」のカードCD3のベースとなるベース画像データDTをROM31から読み込み(ステップS300)、そのベース画像データDTを表示画像メモリ33に転送する(ステップS310)。ここで、ベース画像データDTとは、図5で示したカードCD3の画像から入力データにより定まる部分を除いた画像を表わすもので、この画像は図13に示すようなものとなる。即ち、図13に示すように、「モード設定」の入力欄E1のボタンE11,E12,E13、「用紙種類」の入力欄E2、「インク」の入力欄E3のボタンE31,E32、データ表示欄E4の表示エリアE41〜E46等が空欄となっている画像の画像データが表示画像データとして表示画像メモリ33に転送されることになる。
続いて、「基本設定」のカードCD3から入力された、前回処理時までの「基本設定」に関する各種データd1〜dn(ここで、nは任意の正数)をRAM32から読み込み(ステップS320)、その各種データd1〜dnを、表示画像メモリ33に格納される表示画像データの所定の領域に付加する(ステップS330)。この結果、表示画像メモリ33に格納される表示画像データは、図13において、上記「モード設定」の入力欄E1のボタンE11,E12,E13、「用紙種類」の入力欄E2、「インク」の入力欄E3のボタンE31,E32に、各種データd1〜dnに基づく文字もしくは絵柄が描画された画像を示すものとなる。また、データ表示欄E4の内の「印刷品質」、「マイクロウィーブ」、「双方向印刷」、「カラー調整」についての情報を示す表示エリアE43,E44,E45,E46についても、各種データd1〜dnに基づく文字が描画された画像を示すものとなる。というのは、「基本設定」のカードCDから開く「手動設定」のダイアログボックスDB2から上記表示エリアE43〜E46に関わるデータが各種データd1〜dnのいずれかとして入力されていることから、これらデータから表示エリアE43,E44,E45,E46を埋めることができる。
次いで、CPU30は、RAM32に格納される参照テーブルから参照データDS1,DS2を読み込む処理を行なう(ステップS340)。図14は、参照テーブルTBLのデータ構造を示す説明図である。図示するように、参照テーブルTBLは、用紙サイズを示す第1の参照データDS1と、印刷方向を示す第2の参照データDS2とから構成される。この参照テーブルTBLの値は次のように更新される。
図15は、参照テーブルTBLの更新の様子を示す説明図である。図示するように、「用紙設定」のカードCD4が選択されて実行される用紙設定モードにおいて、データ入力欄F1から用紙サイズを入力する処理S400が、データ入力欄F3から印刷方向を入力する処理S410がそれぞれ行なわれるが、この入力された用紙サイズのデータdf1は、RAM32中のアドレスa1から始まる領域に、印刷方向のデータdf2は、RAM32中のアドレスa2から始まる領域にそれぞれ格納される。それと共に、用紙サイズのデータdf1は、参照テーブルTBLの第1の参照データDS1に、印刷方向のデータdf2は、参照テーブルTBLの第2の参照データDS2にそれぞれ格納される。こうして、用紙設定モードで「用紙サイズ」、「印刷方向」の入力がなされる都度に、参照テーブルTBLの参照データDS1,DS2が更新される。
図12に戻って、ステップS340では、参照テーブルTBLから参照データDS1,DS2を読み込む処理を行なう。続いて、それら参照データDS1,DS2を、表示画像メモリ33に格納される表示画像データの所定の領域に付加する(ステップS350)。この結果、表示画像メモリ33に格納される表示画像データは、データ表示欄E4の内の「用紙サイズ」、「印刷方向」についての情報を示す表示エリアE41,E42に、参照データDs1,ds2に基づく文字が描画された画像を示すものとなる。
その後、CRTC38により、表示画像メモリ33に記憶される表示画像データに基づいてCRTディスプレイ12における画像の表示を制御する(ステップS360)。この結果、例えば図5に示すような、ボタンや表示エリア等のパーツE11〜E13,E2,E31,E32,E41〜E46に文字または絵柄が埋められた「基本設定」のカードCD3の画像がCRTディスプレイ12に表示されることになる。ステップS360の実行後、「リターン」に抜けてこの処理を一旦終了する。
こうしてCRTディスプレイ12に表示された「基本設定」のカードCD3を用いて、その後、前述したようにデータ入力の作業がなされることになる(図11のステップS210)。
以上の構成のカード表示の処理ルーチンによれば、「基本設定」のカードCD3を示す画像データ(ベース画像データDTと各種データd1〜dnに基づく画像データとを合成したもの)の所定の領域に、そのカードCD3以外の「用紙設定」のカードCD4から入力される「用紙サイズ」および「印刷方向」のデータを付加した画像データの画像が、CRTディスプレイ12に表示される。
したがって、オペレータは、「基本設定」のカードCD3を選択してデータ入力を行なっている際に、それ以外のカードである「用紙設定」のカードCD4から設定される「用紙サイズ」および「印刷方向」のデータをCRTディスプレイ12から知ることができる。この結果、選択されているカードCD1〜CD5の表示の切替えの回数を極端に少なくすることができることから、オペレータのマウス20の操作回数を低減することができる。また、このプリンタドライバ53は使い勝手にも優れている。
また、上記実施例では、CRTディスプレイ12に「基本設定」のカードCD3を表示する際に、その「基本設定」のカードCD3から開くことのできる「手動設定」の詳細入力画面で入力したデータを表示することができる。このため、オペレータは、「基本設定」のカードCD3からデータ入力を行なっている際に、そのカードから開く「手動設定」の詳細入力画面から入力された複数の情報を、その詳細入力画面を開くことなしに知ることができる。この結果、「基本設定」のカードCD3と詳細入力画面との切替えの回数を極端に少なくすることができることから、その表示画面切替のためのオペレータのマウス20の操作回数を低減することもできる。
なお、前記実施例では、「基本設定」のカードCD3上に、「用紙設定」のカードCD4から設定される「用紙サイズ」および「印刷方向」のデータを表示する構成としていたが、これに替えて、「詳細」のカードCD2あるいは「ユーティリティ」のカードCD3から設定されるデータを表示する構成としてもよい。さらには、「用紙設定」のカードCD4と「詳細」のカードCD2といった複数のカードにより設定されるデータを表示する構成としてもよい。
また、前記実施例では、「用紙サイズ」、「印刷方向」を示す表示エリアE41,E42は、単にデータ値を表示するものであったが、これに替えて、表示エリアE41,E42に、「用紙設定」のカードCD4に表示を切り換えるスイッチの機能を持たすようにしてもよい。この構成によれば、「基本設定」のカードCD3以外の「用紙設定」のカードCD4から入力されるデータを表示した上で、さらにその入力されたデータの値を変更したい場合に、その表示エリアをクリックすることで、「用紙設定」のカードCD4を即座に開くことができる。従って、このプリンタドライバは、一層使い勝手に優れたものとなる。
上記実施例では、前述したように、カード表示ルーチンのステップS330により、各種データd1〜dnを表示画像メモリに付加することで、「基本設定」のカードCD3の表示を行なっているが、詳細には、スライドレバー形のボタンE13の周辺の表示については、特に以下のような処理を実行することにより実現されている。
図16は、ステップS330の一部を詳細に示すフローチャートである。図示するように、ステップS330に処理が移ると、その処理ルーチンの途中において、CPU30は、まず、ステップS400の処理を実行する。ステップS400では、「推奨設定」と「詳細設定」のいずれのモードが選択されたかを示すモード設定データd10が、「推奨設定」のモードが選択されたことを示す値1であるか否かを判別する。ここで、値1でない、即ち、「推奨設定」のモードでないと判別されると、処理を「リターン」に進めて、このステップS330の処理を終了する。
一方、ステップS400で、値1、即ち、「推奨設定」のモードであると判別されると、図17に示すように、ボタンE11の領域に黒丸が表示されるように、表示画像メモリ33に格納される表示画像データの所定の領域に黒丸を示すデータを付加する処理を行なう(ステップS410)。次いで、CPU30は、「用紙種類」を示す用紙種類データd11がいずれの値にあるかを判別する(ステップS420)。ここで、用紙種類データd11が「普通紙」を示す値1であると判別されると、ステップS430に処理を進める。
ステップS430では、図17に示すように、ボタンE13で示されるスライドレバーの左側表示欄E13Lに「きれい」の文字が、右側表示欄E14Lに「速い」の文字が表示されるように、表示画像メモリ33の表示画像データの所定領域に文字データを付加する。
上記「きれい」および「速い」の文字は、ROM31に予め格納された印刷品質テーブルに記憶された複数のパラメータ値(前述した印刷の品質の程度を段階的に示すパラメータ値)から選択したものである。図18は、第1記憶手段および第2記憶手段としての印刷品質テーブルTBL2のデータ構造を示す説明図である。図18に示すように、印刷品質テーブルTBLは、印刷品質の程度を段階的に表わすパラメータ値として、「よりきれい」、「きれい」、「標準」、「速い」といった4つが用意され、各パラメータ値毎に、印刷時の解像度、マイクロウイーブの状態、ハーフトーンの状態が表形式に記録されている。上記スライドレバーの左右の表示欄E13L,E13Rに表示される文字列としては、用紙種類が「普通紙」である場合には、上記「よりきれい」、「きれい」、「標準」、「速い」の4つパラメータ値から「きれい」および「速い」が選択される。
一方、ステップS420で、用紙種類データd11が「スーパーファイン専用紙」を示す値2あるいは「専用光沢紙」を示す値3であると判別された場合には、図19および図20に示すように、ボタンE13で示されるスライドレバーの左側表示欄E13Lに「よりきれい」の文字が、右側表示欄E14Lに「標準」の文字が表示されるように、表示画像メモリ33の表示画像データに文字データを付加する(ステップS440)。
上記「よりきれい」および「標準」の文字は、上記印刷品質テーブルTBL2に記憶された印刷の品質の程度を表わす複数のパラメータ値から選択したものであり、用紙種類が「スーパーファイン専用紙」または「専用光沢紙」である場合には、上記「よりきれい」、「きれい」、「標準」、「速い」の4つパラメータ値から「よりきれい」および「標準」が選択される。
ステップS430またはステップS440の処理を終えると、次いで、「用紙種類」のデータ入力欄E2に用紙の種類を示す文字列が表示されるように、表示画像メモリ33に格納される表示画像データの所定の領域に用紙種類データd11を付加する(ステップS450)。続いて、ボタンE13のスライドレバーのレバー部分が、印刷の品質の程度を表わす品質程度データd12に基づく位置に表示されるように、品質程度データd12に基づく画像部品データ(レバー部分を表わす画像部品を示す画像データ)を表示画像データの所定の領域に付加する(ステップS460)。その後、処理を「リターン」に進めて、このステップS330の処理を終了する。
また、上記実施例では、前述したように、基本設定モードを行なうルーチンのステップS210により、各種データの入力を行なっているが、詳細には、スライドレバー形のボタンE13のデータ入力については、特に以下のような処理を実行することにより実現されている。
図21は、ステップS210の一部を詳細に示すフローチャートである。図示するように、ステップS210に処理が移ると、その処理ルーチンの途中において、CPU30は、まず、ステップS500の処理を実行する。ステップS500では、ボタンE13のスライドレバーについてオペレータによるマウス20を用いたドラック操作がなされたか否かを判別する。ここで、ドラック操作がなされていないと判別されると、処理を「リターン」に進めて、このステップS210の処理を終了する。
一方、ステップS500で、ドラック操作がなされたと判別されると、ステップS510に進み、そのドラック操作により決定されたスライドレバーの位置情報を読み込む(ステップS510)。次いで、その読み込んだ位置情報が示す位置側の文字表示(「よりきれい」、「きれい」、「標準」、「速い」といった文字表示)に対応するパラメータ値を、オペレータにより選択された選択パラメータ値として算出する(ステップS520)。その後、その選択パラメータ値を検索キーとして、印刷品質テーブルTBL2と照らし合わせることで、その選択パラメータ値に応じた品質情報を求める(ステップS530)。例えば、選択パラメータ値として「きれい」が選択された場合、その「きれい」のパラメータ値を図18に示す印刷品質テーブルTBL2の最左列に照らし合わせることで、表中の2行目の品質情報、即ち、「720×720」のアウトプット解像度、「マイクロウィーブ」がオン状態、「高画質ハーフトーン」を求めることができる。
その後、処理を「リターン」に進めて、このステップS210の処理を終了する。なお、ステップS530で求められた品質情報は、その後、前述したステップS220により、RAM32上の所定の位置に記憶されることになる。
以上の構成の図16で示した処理ルーチンによれば、「基本設定」のカードCD3上のスライドレバー形のボタンE13の両側に、選択肢としての文字列が表示される。この文字列は、用紙の種類によって内容が違っており、用紙種類が「普通紙」である場合には、「きれい」および「速い」が表示され、用紙種類が「スーパーファイン専用紙」または「専用光沢紙」である場合には、「よりきれい」および「標準」が表示される。さらに、上記構成の図21で示した処理ルーチンによれば、オペレータによってドラックされた上記スライドレバー形のボタンE13の指示位置が読み込まれ、その位置からパラメータ値が選択され、その選択パラメータ値に応じた品質情報が求められる。
したがって、オペレータは、印刷の品質情報についての詳しい知識がなくても、印刷の品質の程度を段階的に示す「よりきれい」、「きれい」等のパラメータ値を大まかに入力するだけで、その用紙の種類に適した印刷の品質の程度を選択することができる。
このため、このコンピュータシステムは、印刷の品質情報の入力作業を誰にでも行ない得るようにすることができる。また、従来のように、たくさんの項目のデータ入力を必要としないことから、データ入力の作業労力を低減することもできる。
また、この実施例では、「基本設定」の1枚のカードCD3上に、用紙種類を入力するデータ入力欄E2と印刷の品質の程度を入力するボタンE13とを備え、その双方を入力するだけで、各種の品質情報を設定することができる構成となっている。このため、オペレータのデータ入力の操作性に優れており、より一層、データ入力の作業労力を低減することができる。
なお、この実施例では、用紙種類設定手段は、オペレータによるキー入力を受け付けて用紙種類を設定する構成であったが、これに替えて、外部のコンピュータから送られてきた信号、ここでは、用紙種類を示す信号を入力する構成としてもよい。
さらに、上記実施例は、プリンタ14がローカルなコンピュータ10と直接ケーブルに接続されたコンピュータシステムに適用されているが、これに替えて、LAN上のサーバに接続されたプリンタを複数のコンピュータで共有するコンピュータシステムに適用する構成としてもよい。あるいは、インターネットによりつなげられたサーバに接続されたプリンタを、インターネットを介してコンピュータでコントロールするコンピュータシステムに適用する構成としてもよい。
以上、本発明の一実施例を詳述してきたが、本発明は、こうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様にて実施することができるのは勿論のことである。