本発明は、ユニバーサル基板の変形に係り、特に、液相材料を一定のパターンで付着させるのに適する基板の改良に関する。
従来、ユニバーサル基板または万能基板とよばれる基板があった。この基板は半田が付着しやすい斑点状の銅膜領域を規則的に配置したものであった。このユニバーサル基板では、基板上の任意の位置に半田等で部品を固定することが可能となる。各部品の間では銅膜領域に連続的に半田ごてで半田を盛って配線したりリード線を介して他の部品と接続したりしていた。
実開昭60−144270号広報
実開昭62−63956号広報
ところで一定の面積を有するパターンの形状に薄膜を形成するためには、ある程度の量の流動体をパターン形成領域全体に均一に付着させなければならない。しかし上記ユニバーサル基板はこのような用途に向いていなかった。
このため、このような一定量の流動体を一定面積のパターン形成領域に付着させるためには、当然ながらパターン形成領域から流動体が流れ出さないようにパターン形成領域の外周に沿ってバンク(仕切部材)を形成し、固化するまでパターン領域から流動体が流れ出さないようにする必要があった。 しかしながら、バンクを形成する薄膜形成方法では、バンク形成の手間がかかったり、バンクのために基板表面に過剰に起伏が生じたり、基板面と流動体の双方になじみやすいバンクの材料を選択しなければならなかったりと不都合が多かった。
この不都合を解決するために、本願発明者は、一定形状のパターン領域内に仕切部材等を用いることなくある程度の量の流動体を均一に付着させることが可能な特定パターンの形成方法に想到した。
すなわち、本発明の第1の課題は、流動体に対し親和性のある領域と親和性のない領域とを規則的に配置することにより、一定面積のパターン形成領域に流動体を適量付着可能とする基板を提供することである。
本発明の第2の課題は、流動体に対し親和性のある領域と親和性のない領域とを規則的に配置することにより、一定面積のパターン形成領域に流動体を適量付着可能とする基板の製造方法を提供することである。
上記第1の課題を解決する発明は、所定の流動体を付着させてパターン化された薄膜を形成するための基板であって、前記薄膜を形成するために特定形状にパターン化されたパターン形成領域を備え、前記パターン形成領域内において前記流動体に対し相対的に接触が小さい親和性領域と相対的に接触角が大きい非親和性領域とが所定の規則にしたがって配置されて構成されていることを特徴とするパターン形成用基板である。例えば本基板は、パターン形成領域が複数一定の規則で配置されて構成されていることを特徴とするパターン形成用基板である。またはパターン形成領域が一定の図形形状に形成されて構成されている。
ここで「流動体」とは、インクのみならず、工業的用途に用いることができ、ノズルから吐出可能な粘度を備えた媒体である。水性であると油性であるとを問わない。また混合物がコロイド状に混入していてもよい。また「親和性がある」とは流動体に対する接触角が相対的に小さいことをいい、「親和性がない」とは、流動体に対する相対的に接触角が大きいことをいう。この両表現は、流動体に対する膜の挙動を明らかにするために、便宜上対比して用いられるものである。上記「親和性領域」または「非親和性領域」の配列は散点模様、モザイク模様、縞模様など任意の模様を形成するように配置される。個々の領域の形状は、円形でも三角形や四角形等の多角形でも線状でもよい。個々の領域の大きさも制限されない。
上記第2の課題を解決する発明は、所定の流動体を付着させてパターン化された薄膜を形成するために特定形状にパターン化されたパターン形成領域を有し、前記パターン形成領域内において前記流動体に対し相対的に接触角が小さい親和性領域と相対的に接触角が大きい非親和性領域とが所定の規則にしたがって配置されて構成されている基板の製造方法であって、基台上にパラフィンを塗布してパラフィン層を形成する工程と、エネルギーを供給し前記パラフィン層を選択的に除去することによって前記パターン形成領域内において前記親和性領域と前記非親和性領域とを配置する工程と、を備えたことを特徴とする基板の製造方法である。
また、上記第2の課題を解決する他の発明は、所定の流動体を付着させてパターン化された薄膜を形成するために特定形状にパターン化されたパターン形成領域を有し、前記パターン形成領域内において前記流動体に対し相対的に接触角が小さい親和性領域と相対的に接触角が大きい非親和性領域とが所定の規則にしたがって配置されて構成されている基板の製造方法であって、基台をメッシュマスクでマスクする工程と、前記メッシュマスクがされた前記基台をプラズマ加工することによって前記パターン形成領域内において前記親和性領域と前記非親和性領域とを配置する工程と、を備えたことを特徴とする基板の製造方法である。
さらに上記第2の課題を解決する他の発明は、所定の流動体を付着させてパターン化された薄膜を形成するために特定形状にパターン化されたパターン形成領域を有し、前記パターン形成領域内において前記流動体に対し相対的に接触角が小さい親和性領域と相対的に接触角が大きい非親和性領域とが所定の規則にしたがって配置されて構成されている基板の製造方法であって、基台にフォトレジストを設ける工程と、前記フォトレジストを選択的にエッチングすることによって前記パターン形成領域内において前記親和性領域と前記非親和性領域とを配置する工程と、を備えたことを特徴とする基板の製造方法である。
さらに上記第2の課題を解決する発明は、所定の流動体を付着させてパターン化された薄膜を形成するために特定形状にパターン化されたパターン形成領域を有し、前記パターン形成領域内において前記流動体に対し相対的に接触角が小さい親和性領域と相対的に接触角が大きい非親和性領域とが所定の規則にしたがって配置されて構成されている基板の製造方法であって、基台に電荷を与える工程と、エネルギーを与えて前記電荷を選択的に除去する工程と、前記電荷が帯電する前記基台に粉末材料を付着させ定着させることによって前記パターン形成領域内において前記親和性領域と前記非親和性領域とを配置する工程と、を備えたことを特徴とする基板の製造方法である。また、前記粉末材料を前記基台に定着させるために前記基台に熱を加えて前記粉末材料を融解する。
発明を実施する為の最良の形態
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1は、特定パターンの形成に適する基板構造に関する。図1に本実施形態1の基板の外形図を示す。図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)を切断面AAから見た図である。図1(a)に示すように、本実施形態1の基板1aは、基台のパターン形成面に、パターン形成領域10がパターン非形成領域11の間にパターン化されて配置されている。パターン形成領域10は、所定の流動体を付着させて薄膜を形成させるための領域である。パターン非形成領域11は、前記薄膜を形成させない領域である。パターン非形成領域11は、基台が流動体に対して非親和性を示す材料で形成されている場合には基台表面そのものが表れている領域となる。
またパターン形成領域10は、流動体に対して親和性を示す親和性領域110と流動体に対して非親和性を示す非親和性領域111とが交互に配置されて構成される。親和性領域110と非親和性領域111とを交互に配置することで、適度な量の流動体を付着させることができるからである。ただしパターン形成領域全体を親和性領域110のみで構成してもよい。
親和性領域110は、図2(a)のように方形領域が互いに接しているパターンや、図2(b)のように方形領域が一定の間隔で配置されているパターンが利用できる。また図2(c)のように円形領域が互いに接しているパターンや、図2(d)のように円形領域が一定の間隔で配置されているパターンも利用できる。さらに図2(e)に示すように三角形領域が互いに接しているパターンや、図2(f)のように三角形領域が一定の間隔で配置されているパターンも利用できる。さらに、図2(g)のように平行線からなるパターンが考えられる。これらの他任意の多角形や不規則な形状等が利用できる。
ここで親和性を示すか非親和性を示すかは、パターン形成対象である流動体がどのような性質を備えているかで決まる。例えば流動体が水のように極性分子を含むものであれば、極性基を備えた表面領域が親和性を示し、極性基を備えない表面領域が非親和性を示す。逆に流動体が多くの有機媒体のように極性分子を含まないものであれば、極性基を備えた表面領域が非親和性を示し、極性基を備えない表面領域が親和性を示す。流動体を何にするかは、薄膜をどのような材料で形成するのかによって定められる。本実施形態では、パターン非形成領域11は流動体に対して非親和性を示すように基台の材料が定められる。パターン形成領域10の非親和性領域111は、パターン非形成領域11と同様に基台の表面が露出している部分である。
表1に、本実施形態のパターン非形成領域11および非親和性領域111として使用可能な材料と、親和性領域110として使用可能な材料の例を示す。
パターン形成領域10の形状、配置、大きさ等は用途に応じて任意に設定できる。図1(a)に示したパターン形成領域10は方形をしており規則的に配置されている。もちろん、パターン形成領域の形状としては方形の他に多角形や円形、不規則な外形をしていてもよい。また図3に示すように、パターン形成領域10を文字や記号、その他の図形に形成してもよい。流動体を文字や記号等の形状に付着させて薄膜化させたい場合に利用できる。またパターン形成領域の配置は、規則的なものである必要はなく、不規則なものであってもよい。パターン形成領域の大きさは、特に制限を設けることなく、種々に拡大縮小が可能である。
(作用)
図5および図6に、従来の基板に対し流動体を付着させた場合の液滴付着の様子を示す。図5(a)は、基台100に液滴12を複数滴吐出した場合の断面図であり、図6(a)はその平面図である。本実施形態のようにパターン形成領域を形成していない基板に液滴12を連続して吐出すると、図5(a)のように着弾した液滴が表面張力により広がって、隣接する液滴12が連結する。このとき液滴12の広がりを阻止する境界が何もないので、図6(a)に示すように、各液滴の輪郭が着弾したときの広がりを超えて広がってしまう。流動体の溶媒成分が少ない場合、この輪郭が広がったまま固化するので微細なパターンを形成することは困難となる。溶媒成分が多い場合、液滴を乾燥させると液滴中の溶媒成分が除去され、各液滴は着弾した位置で収縮していく。付着位置に制限がないので、図5(b)および図6(b)に示すように、最初連結していた液滴12が分離され、島12bとなる。島12bとなって分離してしまうのでは、パターンとして役に立たたない。
図4を参照して本実施形態のパターン形成領域10における基板1aの作用を説明する。図4(a)は、図2(a)のパターンに流動体の液滴を付着させたときの基板上における液滴の形を示す。図4(b)は、図2(g)のパターンに流動体の液滴を付着させたときの基板上における液滴の形を示す。図4(a)(b)におけるいずれのパターンの場合にも、インクジェット方式によってラインL3に沿って液滴を付着させたものとする。
図4(a)に示すように、基板上に着弾した液滴12は親和性領域110では十分に広がる。しかし非親和性領域111からは排除され、表面張力にしたがって隣接する親和性領域110に引き込まれる。したがって表面張力が働いて引き込まれた後は図4(a)に示すように、親和性領域110のみに液滴12が付着する。ヘッドからの液滴の吐出方向が多少ずれても、ラインL2からL4までの一定の幅に着弾すれば、付着する液滴12は常にラインL2からL4の間の親和性領域110に乗る。親和性領域110は互いに分離しているか一点で接しているだけなので、直接着弾しない限り、一つの親和性領域110に乗った液滴12が隣接する親和性領域110に侵入することがない。液滴12が乗っている親和性領域110の隣には、必ず液滴12が乗っている親和性領域110が、接しているかわずかに離れているかしているので、液滴12同士が表面張力で互いに連結される。したがって液滴12が着弾した軌跡に沿ってつながり、パターンが連続する。液滴12が乗った親和性領域110では液滴が満ちた状態となっているので、この液滴が乾燥しても連結していた隣接する液滴と分離されることはない。
以上から判るように、本実施形態のように形成したパターン形成領域10では、流動体を付着させた領域では十分に流動体が広がるがそれ以上に広がることがない。つまり適量の流動体を付着させることができる。親和性領域110のパターン配置は、個々のパターンが互いに点接触する程度が好ましい。個々のパターンが接触し完全に繋がると、親和性領域境界における表面張力の阻止ができず、隣接する親和性領域に無制限に液滴が侵入するおそれがあるからである。逆に点状パターンが離れ過ぎると、液滴の連続性が阻害され、液滴パターンの分離を起こすからである。
一方、図4(b)の線状パターンでは、液滴12がラインL3に沿って着弾しており、隣接する液滴12と連結されている。この線状パターンでは、液滴12がラインL2からL4の間に着弾する限り、ラインL3を中心する液滴の繋がりに吸収され、ラインL2からL4の幅より液滴が広がらない。またラインL3は連続しているので、重なり合うように液滴12が着弾する限り、液滴パターンが分断されることはない。
本実施形態の基板1を使用してパターンを形成する場合には、流動体を基板面に付着させることのできるあらゆる方法を適用可能である。例えばインクジェット方式で付着させる他、スピンコート、ロールコート、ダイコート、スプレーコード等各種の塗布法を適用可能である。本実施形態の基板によれば、適度な液量の流動体を付着可能に構成されているので、パターン形成領域10には満遍なく流動体が付着するがパターン非形成領域11には付着することがなく、パターンの通りに流動体を付着させることができる。流動体を付着させたら熱処理等を行って流動体から溶媒を蒸発させ薄膜化させることにより、パターン形成領域の通りに薄膜を形成可能である。
上記したように本実施形態1によれば、パターン形成領域には適量の流動体を付着させることができ、それ以外のパターン非形成領域には流動体が付着しないので、パターン形成領域の通りに薄膜を形成可能である。
(実施形態2)
本発明の実施形態2は、パラフィン等の有機物質を用いた上記実施形態1で説明した基板の製造方法に関する。
図7を参照して本実施形態の製造方法を説明する。図7は本発明の基板の製造工程断面図である。
パラフィン層形成工程(図7(a)): パラフィン層形成工程は、基台100にパラフィンを塗布しパラフィン層101を形成する工程である。基台100は、流動体に応じて流動体に対し親水性にするか非親水性(疎水性、親油性)にするかを選択する。流動体が極性分子を含まない場合には、基台100を親水性にする。流動体が極性分子を含む場合には、基台100を疎水性の材料に選ぶ。図7では、流動体が極性分子を含まない場合のパターン形成を示し、基台100としては親水性のものを使用している。例えば、基台100は、ポリ4−ビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ酢酸ビニル等を使用する。パラフィン層101の形成には、ロールコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、バーコート法等の各種塗布法、各種印刷法、転写法等の方法を適用可能である。
エネルギー供給工程(図7(b)): マスク形成工程は、流動体が極性分子を含まない場合、パラフィン層101のうちパターン非形成領域11およびパターン形成領域10中の非親和性領域111にエネルギーを供給してパラフィンを蒸発させる工程である。エネルギーとしては、光、熱または光及び熱の三者が考えられるが、特定の微細領域のパラフィンを除去するためにレーザ光を用いるのが好ましい。例えば、短波長のレーザ光を照射し、パラフィンを蒸発させる。
以上の製造工程により、パターン形成領域10の親和性領域110にパラフィン層101が残される。この基板に極性分子を含まない流動体を付着させると、パターン形成領域10にのみ付着する。なお、付着させる流動体が極性分子を含む場合には、パターン形成領域10中の親和性領域110にのみエネルギーを供給してパラフィンを除去する。これにより親和性領域110にのみ極性分子を含む流動体を付着させることができる。
なお、基台100が流動体に対し親和性を示す材料で形成されている場合には、パラフィンがパターン非形成領域11およびパターン形成領域10の非親和性領域111に残るように製造する。基台100が流動体に対し非親和性を示す材料で形成されている場合には、パラフィンがパターン形成領域10の親和性領域110に残されるように製造する。
(実施形態3)
本発明の実施形態3は、上記実施形態1で説明した基板の製造方法に関する。特に本実施の形態では硫黄化合物の自己集合化単分子膜を利用する。
本実施形態では、基台に金属層を設けそれを硫黄化合物を含む溶解液に浸漬して自己集合化単分子膜を形成する。硫黄化合物は、メルカプト基を備える分子で構成される。この硫黄化合物を、1〜10mMのエタノール溶液に溶解する。この溶液に金の膜を形成した基板を浸漬し、室温で1時間程度放置すると、硫黄化合物が金の膜の表面に自発的に集合してくる。そして金の原子と硫黄原子とが共有結合的に結合し、金の表面に二次元的に硫黄分子の単分子膜が形成される。この膜の厚さは、硫黄化合物の分子量にもよるが、10〜50オングストローム程度である。硫黄化合物の組成を調整することにより、自己集合化単分子膜を流動体に対し親和性にしたり非親和性にしたり自由に設定できる。
硫黄化合物としてはチオール化合物が好ましい。ここでチオール化合物とは、メルカプト基(−SH; mercapt group)を持つ有機化合物(R−SH;Rはアルキル基(alkyl group)等の炭化水素基)の総称をいう。
表2に、流動体が極性分子を含む場合と極性分子を含まない場合とに分けて、流動体に親和性のあるチオール化合物の代表的な組成を示す。n、mは自然数とする。
表2から判るように、硫黄化合物単分子膜を極性分子に対して親和性にしたり非極性分子に対して親和性にしたりは組成を変えることで自由に設定できる。図8に、本実施の形態3における基板の製造方法の製造工程断面図を示す。
金属層形成工程(図8(a)): 金属層形成工程は、基台100上に金属層102を形成する工程である。基台100は、流動体に応じて流動体に対し親水性にするか非親水性(疎水性、親油性)にするかを選択する。流動体が極性分子を含まない場合には、基台100を親水性にする。流動体が極性分子を含む場合には、基台100を疎水性の材料に選ぶ。金属層102としては、化学的・物理的な安定性から金(Au)が好ましい。金の他、硫黄化合物を化学的に吸着する銀(Ag)、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム−砒素(Ga−As)等の金属であってもよい。金属層102の形成方法としては、湿式メッキ、真空蒸着法、真空スパッタ法等の公知の技術が使用できる。ただし金属の薄膜を一定の厚さで均一に形成できる成膜法であれば、その種類に特に限定されるものではない。金属層の役割は、硫黄化合物層を固定することであるため、金属層自体は極めて薄くてもよい。そのため500〜2000オングストローム程度の厚みに形成すればよい。
なお、基板100によっては金属層102と基台100との密着性が悪くなる。このような場合には金属層102と基台100との密着性を向上させるために、基台と金属との間に中間層を形成する。中間層は、基台100と金属層102との間の結合力を強める素材、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)ノズルれか、あるいはそれらの合金(Ni−Cr等)であることが好ましい。中間層を設ければ、基台100と金属層102との結合力が増し、機械的な摩擦に対し、硫黄化合物層が剥離し難くなる。金属層102の下に中間層を形成する場合には、例えばCrを100〜300オングストロームの厚さで真空スパッタ法、またはイオンプレーティング法により形成する。
パターン形成工程(図8(b)): パターン形成工程は、基台100上に形成した金属層102のうち一部にエネルギーを与えて金属を蒸発させる。流動体が極性分子を含み基台100が疎水性を示す場合、または流動体が極性分子を含まず基台100が親水性を示す場合には、パターン非形成領域11およびパターン形成領域10中の非親和性領域111にエネルギーを供給する。流動体が極性分子を含まず基台100が疎水性を示す場合、または流動体が極性分子を含み基台100が親水性を示す場合には、パターン形成領域10中の親和性領域110にのみエネルギーを供給する。エネルギーとしては光が好ましく、特に短波長の高エネルギーを供給可能なレーザ光が好ましい。ピックアップ200を親和性領域または非親和性領域のパターンに合わせてレーザ光を射出させながら移動させる。レーザ光が照射された領域は、金属層102を形成する金属が蒸発するため、基台100が露出する。
硫黄化合物浸漬工程(図8(c)): 硫黄化合物浸漬工程は、一部の金属が除去された金属層を含む基板を、硫黄化合物の溶解液に浸漬し、自己集合化単分子膜103を形成する工程である。まず自己集合化単分子膜103に用いたい組成のチオール化合物をエタノールまたはイソプロピルアルコールのような有機溶剤に溶かした溶液を用意する。例えば流動体が極性分子を含み当該自己集合化単分子膜103を親和性領域110にしたい場合には、OH基またはCO2H基を有する硫黄化合物を用いて親水性の硫黄化合物溶液を製造する。流動体が極性分子を含まず当該自己集合化単分子膜103を親和性領域110にしたい場合には、アルキル基を有する硫黄化合物を用いて疎水性の硫黄化合物溶液を製造する。そしてその溶液中に金属層102をパターニングした基台100を浸漬する。浸漬条件は、溶液の硫黄化合物濃度が0.01mMで、溶液温度が常温から50℃程度、浸漬時間が5分から30分程度とする。浸漬処理の間、硫黄化合物層の形成を均一に行うべく、溶液の撹拌あるいは循環を行う。
金属表面の清浄さえ保てれば、硫黄分子が自ら自己集合化し単分子膜を形成するため、厳格な条件管理が不要な工程である。浸漬が終了するころには、金の表面にだけ強固な付着性を有する硫黄分子の単分子膜が形成される。
最後に基台表面に付着した溶解液を洗浄して除去する。金層以外の部分に付着した硫黄化合物分子は共有結合をしていないので、エチルアルコールによるリンス等、簡単な洗浄により除去される。
以上の工程により、自己集合化単分子膜103がパターン形成領域10中の親和性領域110に形成された基板1が製造される。
上記したように、本実施形態3によれば、硫黄化合物の自己集合化単分子膜を用いることにより、液相材料を安定してパターンに沿って付着させることのできる基板を製造できる。特に、硫黄化合物の自己集合化単分子膜は摩耗に強く、物理的、化学的耐性が高いので、工業用品である基板に適する。また硫黄化合物を選択すれば、基台の性質に応じて自由に自己集合化単分子膜を親水性にも非親水性にもできる。さらにレーザ光を用いれば、微細なパターンを形成できる。
なお、基台100が流動体に対し親和性を示す材料で形成されている場合には、非親和性を示す自己集合化単分子膜がパターン非形成領域11およびパターン形成領域10の非親和性領域111に残るように製造する。基台100が流動体に対し非親和性を示す材料で形成されている場合には、親和性を示す自己集合化単分子膜がパターン形成領域10の親和性領域110に残されるように製造する。
(実施形態4)
本発明の実施形態4は、プラズマ処理による実施形態1の基板の製造方法に関する。プラズマ処理は所定の気圧下で高電圧のグロー放電を行って基板の表面改質を行う方法である。ガラスやプラスチックのような絶縁性基板にプラズマ処理を行うと、基板表面に多量の未反応基と架橋層が発声する。これを大気または酸素雰囲気にさらすと未反応基が酸化されてカルボニル基、水酸基を形成することができる。これらのは極性基であるため極性分子を含む流動体に対し親和性がある。一方ガラスやプラスチックの多くは極性分子を含む流動体に対し非親和性を示す。したがって基板のパターン形成面を選択的にプラズマ処理することによって親和性領域および非親和性領域を生成可能である。本実施形態ではこの原理に基づき、マスクを施すことにより一部領域のみをプラズマ処理して、親和性領域と非親和性領域とを出現させる。
次に図9を参照して本実施形態4の基板の製造方法を説明する。
マスク形成工程(図9(a)): マスク形成工程は、基台100の上にマスク201を施す工程である。基台100としては、プラズマ照射によって未反応基が出現しうる素材、所定のプラスチック、表面をテフロン(登録商標)加工されたガラス基板等を用いる。マスク201は、基台100上で疎水性にしたい領域のみマスクがかかるようにパターン形成される。例えば流動体として極性分子を含むものを用いる場合には、パターン非形成領域11およびパターン形成領域10中の非親和性領域111が露光されるようなマスクを設ける。マスクの材料としては、露光マスク、エマルションマスク、ハードマスク等種々のマスクが形成できる。露光マスクを使用する場合には、クロム、酸化クロム、シリコン、酸化シリコン、酸化膜などを、真空蒸着、スパッタリング、CVD法等で形成する。
プラズマ照射工程(図9(b)): プラズマ照射工程は、マスク201が施された基台100上にプラズマ照射202する工程である。プラズマ照射は、例えば10−1〜100Paのアルゴンガス中でネオントランスを用いて、数百ボルトから数千ボルトの電圧を印加しグロー放電させて行う。この他、ラジオ周波数帯の放電電源を用いて容量結合または誘電結合により放電プラズマを形成する方法、マイクロ波電力を導波管によって放電容器に供給して放電プラズマを形成させる方法等を適用可能である。
この処理により、プラズマ中に活性粒子としてイオン、電子、励起原子または分子およびラジカル等が発生し、基台100表面の高分子の分子構造が変化する。つまりプラズマ202が照射された部分に多量の未反応基や架橋層が出現する。
表面改質工程(図9(c)): 表面改質工程は、プラズマ処理された基台100表面を酸化し表面を改質する工程である。上記プラズマ処理によって未反応基や架橋層が出現した基台100を、大気または酸素雰囲気下にさらす。基台100表面の未反応基は酸化されて、水酸基やカルボニル基を生ずる。これら極性基は水に対して濡れやすい親水性を示す。一方マスクされプラズマ処理されなかった領域はプラスチックのままであり非親水性を示す。
したがってプラズマ処理された領域が親和性領域110となり、プラズマ処理されなかった領域が非親和性領域111またはパターン非形成領域11となる。
上記のように本実施形態4によれば、プラズマ処理により基台を構成する一部領域の分子構造を変更することで、非親水性の膜を親水性の膜に変更できるので、新たな層を形成することなく実施形態1の基板を提供することができる。分子レベルの組成が変更されるのでこの基板は安定である。
なお、基台100が流動体に対し親和性を示す材料で形成されている場合には、パターン非形成領域11およびパターン形成領域10の非親和性領域111にプラズマ照射されるように製造する。基台100が流動体に対し非親和性を示す材料で形成されている場合には、パターン形成領域10の親和性領域110がプラズマ照射されるように製造する。
(実施形態5)
本発明の実施形態5は、紫外線照射による実施形態1の基板の製造方法に関する。
紫外線照射は、樹脂の表面改質手段として上記プラズマ処理と同様に用いることができる。基板がポリエステルやポリエチレンのような樹脂で形成されていたりこれら樹脂薄膜で覆われていたりすると、これら樹脂は極性のない有機高分子であるため、本来その表面は極性分子を含む流動体に対し非親和性に、極性分子を含まない流動体に対し親和性になる。ところがこの樹脂表面に紫外線を照射すると、プラズマ処理と同様に表面が活性化し、OH基やCOOH基が出現する。これらの基は極性基であるため極性分子を含む流動体に対して親和性を示すようになる。基板のパターン形成面のうちマスクで選択的に紫外線を照射させることで、親和性領域と非親和性領域を容易に形成することができる。
次に図10を参照して本実施形態5の基板の製造方法を説明する。
マスク形成工程(図10(a)): マスク形成工程は、基台100の上にマスク203を施す工程である。基台100としては、プラズマ照射によって未反応基が出現しうる素材、特にポリエステルやポリエチレンなどのプラスチック等を用いる。または表面にこれらプラスチックによる薄膜が形成されているガラス等の基板であってもよい。マスク203は、基台100上で疎水性にしたい領域のみマスクがかかるようにパターン形成される。例えば極性分子を含む流動体を用いる場合には、パターン形成領域10中の親和性領域110が露光され、それ以外の領域が覆われるようなマスクを設ける。マスクの材料としては、露光マスク、エマルションマスク、ハードマスク等種々のマスクが形成できる。露光マスクを使用する場合には、クロム、酸化クロム、シリコン、酸化シリコン、酸化膜などを、真空蒸着、スパッタリング、CVD法等で形成する。
紫外線照射工程(図10(b)): 紫外線照射工程は、マスク203が施された基台100上に紫外線照射する工程である。紫外線照射には、例えば紫外線ランプを用いて行う。この処理により、紫外線が基台100表面の高分子にエネルギーを与えて分子を励起させ共有結合構造を変化させる。これによって紫外線204が照射された基台100の露光領域に多量の未反応基や架橋層が出現する。
表面改質工程(図10(c)): 表面改質工程は、紫外線照射された基台100表面を酸化し表面を改質する工程である。上記紫外線照射によって未反応基や架橋層が出現した基台100を大気または酸素雰囲気下にさらすと、基台100表面の未反応基が酸化され、水酸基やカルボニル基が生ずる。これら極性基は極性分子を含む水等の流動体に対して濡れやすい親和性(親水性)を示す。一方マスクされ露光されなかった領域はプラスチックのままの性質を示す。つまり極性分子を含む流動体に対し非親和性を示す。したがって紫外線照射された領域が親和性領域110となり、紫外線照射されなかった領域が非親和性領域111またはパターン非形成領域11となる。
上記のように本実施形態5によれば、紫外線照射により基台を構成する一部領域の分子構造を変更することで、非親水性の膜を親水性の膜に変更できるので、新たな層を形成することなく実施形態1の基板を提供することができる。分子レベルの組成が変更されるのでこの基板は安定である。
なお、基台100が流動体に対し親和性を示す材料で形成されている場合には、パターン非形成領域11およびパターン形成領域10の非親和性領域111に紫外線照射されるように製造する。基台100が流動体に対し非親和性を示す材料で形成されている場合には、パターン形成領域10の親和性領域110が紫外線照射されるように製造する。
(実施形態6)
本発明の実施形態6は、フォトリソグラフィ法を用いた実施形態1の基板の製造方法に関する。
次に図11を参照して本実施形態6の基板の製造方法を説明する。以下の説明では基台100が流動体に対し非親和性を示し、フォトリソグラフィ法によって流動体に対し親和性を示す層をパターン形成領域10中の親和性領域110に形成していくものとする。ただし、基台100が流動体に対し親和性を示す場合には、フォトリソグラフィ法によってパターン非形成領域11およびパターン形成領域10中の非親和性領域111に、流動体に対し非親和性を示す層を形成することになる。
親和性膜形成工程(図11(a)): 親和性膜形成工程は、基台表面に流動体に対し親和性を示す材料による薄膜104を形成する工程である。極性分子を含む流動体に対して親和性を示す材料としては、OH基、COOH基、NH2基等を持つシランカップリング剤等が挙げられる。薄膜の形成方法としては、スピンコート法、ディップ法、公知の薄膜形成方法を適用可能である。薄膜104の厚みは、上記製造方法によりほぼ均一な厚みに形成できる程度の厚みを確保できれば十分である。
露光工程(図11(b)): 露光工程は薄膜104の上にフォトレジスト105を塗布し、パターン形成に合わせたマスクを施した後、露光・現像してフォトレジスト105を残す工程である。フォトレジストとしては、PMMA、PBS、ポリイミド等の公知の材料を適用可能であり、エッチング方法および薄膜材料104との関係で定める。フォトレジスト105をスピンナー法、スプレー法、ロールコーター法、浸漬法等の塗布法で塗布後、上記実施形態4または5で説明したものと同様のマスクを施して、フォトレジスト105を露光する。フォトレジストがポジ型の場合には、パターン形成領域10中の親和性領域110を覆うマスクを施す。フォトレジストがネガ型の場合には、パターン非形成領域11およびパターン形成領域10中の非親和性領域111を覆うマスクを施す。そしてマスク上から通常光または遠紫外線露光を行ってフォトレジストを露光する。
現像工程(図11(c)): 現像工程は、露光させたフォトレジスト105を現像してパターンに合わせたフォトレジストを残す工程である。スプレー法やディップ法等によって現像液を付着させて現像を行う。次いでリンス液を同様の方法で付着させて不要なフォトレジストの除去を行う。この処理により薄膜104上にはパターンに沿ったフォトレジスト105が残される。
エッチング工程(図11(d)): エッチング工程は、フォトレジスト105が残された薄膜104をエッチングして不要な薄膜104を除去する工程である。エッチング方法は、ウェットエッチングやドライエッチングのいずれも利用可能である。ウェットエッチングにおけるエッチング液またはドライエッチングにおけるエッチングガスとしては、被エッチング材料である薄膜104のエッチングに適したものが選択される。
以上の工程により、パターン形成領域10中の親和性領域110を除く領域の薄膜104が除去され、パターン形成領域10とパターン非形成領域11とが基台100表面に形成される。
上記したように本実施形態6によれば、薄膜パターン形成方法として頻繁に用いられているフォトリソグラフィ法を適用しても実施形態1の基板を製造することができる。
なお、基台100が流動体に対し親和性を示す材料で形成されている場合には、非親和性を示す薄膜がパターン非形成領域11およびパターン形成領域10の非親和性領域111に残るように製造する。基台100が流動体に対し非親和性を示す材料で形成されている場合には、親和性を示す薄膜がパターン形成領域10の親和性領域110に残されるように製造する。
(実施形態7)
本発明の実施形態7が、基板に電荷を与えることによる実施形態1の基板の製造方法に関する。
図12に本実施形態7における基板の製造工程断面図を示す。
電荷印加工程(図12(a)):電荷印加工程は、基台100に電荷を生じさせる工程である。基台100としては帯電しやすい材料を用いる。例えば高分子材料では、ポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。この他レーザプリンターの感光体として用いられる、セレン系、Si:H系、CdS系、ZnO系等の無機半導体や、PVK/Se、PVK−TNF、CGL/CTL、CTL/CGL、CTL(CGL)等を用いることも可能である。基台100表面に電荷106を印加するためにはレーザプリンタで用いられるコロナ帯電器等の電荷印加手段を用いる。基板表面にこのコロナ帯電器等を近づけて表面に一様に帯電させる。具体的には直径50μm〜100μmのタングステン線に6〜8kVの直流高電圧を印加し、基台表面から8〜10mm離してコロナ放電を行う。
脱チャージ工程(図12(b)): 脱チャージ工程は、一様に帯電した基台100のパターン形成面に選択的にエネルギー206を印加して電荷106を部分的に逃す工程である。すなわち光エネルギー等が供給されることにより露光部では、光キャリアの生成と輸送が起こり、表面電荷が喪失し、表面に静電潜像が形成される。エネルギー供給源としてはレーザ光が好ましい。微細パターンに合わせた潜像の形成が行えるからである。その他、マスクを用いて紫外線等の光エネルギーを加えてもよい。脱チャージする領域は、上記のように基台100材料としてポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、パターン非形成領域11およびパターン形成領域10中の非親和性領域111にする。脱チャージされた領域は定着工程において粉末材料が定着されず、基台100表面が露出したままとなる。
付着工程(図12(d)): 付着工程は、脱チャージされなかった帯電領域に静電引力を利用して粉末材料207を付着させる工程である。粉末材料206としては、例えばレーザプリンタにおけるトナーのような材料をいい、静電力で付着させることが可能な材料を用いる。また、定着後には極性分子を含む流動体に対して親和性を示す表面になる材料を使用する。このような材料としては、鋼材、ガラス球、鉄粉、これらを樹脂コートしたもの、磁性体と樹脂との混合物等を利用可能である。具体的には、基台100上で帯電している領域と逆極性の粉末材料207が静電引力で電荷206が存在している領域206に付着する。
定着工程(図12(d)): 定着工程は、基台100表面に付着した粉末材料207を定着させる工程である。上記静電引力により粉末材料207が基台100の帯電領域に付着したら、基台100に熱を加えて粉末材料207を融解させ基台100に定着させる。この結果、パターン形成領域10中に粉末材料が定着してなる親和性領域110が形成される。
上記したように本実施形態7では、基板を脱チャージして粉末材料を定着させることにより親和性領域および非親和性領域を備えた実施形態1の基板を製造できる。
なお、基台100が流動体に対し親和性を示す材料で形成されている場合には、非親和性を示す粉末材料による薄膜がパターン非形成領域11およびパターン形成領域10の非親和性領域111に残るように製造する。基台100が流動体に対し非親和性を示す材料で形成されている場合には、親和性を示す粉末材料による薄膜がパターン形成領域10の親和性領域110に残されるように製造する。
(実施形態8)
本発明の実施形態8は基台に印刷技術を用いて直接膜を形成していく製造方法に関する。図13に本実施形態8の基板の製造工程断面図を示す。図13は、例えば平板印刷の一種であるオフセット印刷を利用した場合の製造方法を説明するものである。
印刷工程(図13(a)): 印刷工程は、所定の印刷方法により流動体に対し親和性を有する膜あるいは親和性のない薄膜を形成する工程である。印刷装置は基板のように硬い物質に印刷することが可能なものであることを要する。従来の印刷との違いは、インクの代わりに本発明の親和性領域または非親和性流域を形成する材料を用いる点である。基台100が極性分子を含む流動体に対し非親和性を示す場合には、この印刷装置によりパターン形成領域10中の親和性領域110のみに材料を付着させる。基台100が極性分子を含む流動体に対し親和性を示す場合には、この印刷装置によりパターン非形成領域11およびパターン形成領域10中の非親和性領域111に材料を付着させる。この図では、オフセット印刷装置のうち転写ローラ208のみを図示してある。転写ローラ208に付着した材料から基台100のパターン形成面に薄膜材料が転写される。印刷方法としては、オフセット印刷によらず、直接印刷法その他の平板印刷法、凸版、凹版、孔版、静電気や磁気を用いる方法等を適用することが可能である。すなわち、公知の印刷方法によりインクの代わりに薄膜材料を基台に付着させることが可能な印刷方法を適宜適用できる。
定着方法(図13(b)): 薄膜材料が基台100に転写させられたら、熱処理等公知の技術を適用して薄膜材料を安定化させる。この工程により、パターン形成領域10の親和性領域110にのみ薄膜が形成された基板を製造できる。
上記したように本実施形態8によれば、公知の印刷法を利用して薄膜材料を付着させることによって実施形態1に示すような基板を製造することができる。
なお、基台100が流動体に対し親和性を示す材料で形成されている場合には、パターン非形成領域11およびパターン形成領域10の非親和性領域111に非親和性を示す薄膜を印刷する。基台100が流動体に対し非親和性を示す材料で形成されている場合には、パターン形成領域10の親和性領域110に親和性を示す薄膜を印刷する。
(その他の変形例)
本発明は上記実施形態によらず種々に変形して適用することが可能である。
例えば、基台に形成するパターン形状や親和性領域の実施形態1で示した配置は単なる例示であり、種々に変更が可能である。点状パターン、線状パターンともその大きさ、形状および配置を種々に変更可能である。これらの要素は流動体の性質に対応して定まるものだからである。
また、基板を製造する方法は上記実施形態2から実施形態8のものに限定されず、パターン形成領域とパターン非形成領域とに分かれるものであれば、種々に変形することが可能である。
本発明によれば、流動体に対し親和性のある領域と親和性のない領域とを規則的に基板上に配置した構成を備えるので、一定面積のパターン形成領域に流動体を適量付着可能とする基板を提供することができる。
本発明によれば、流動体に対し親和性のある領域と親和性のない領域とを規則的に基板上に配置する工程を備えるので、一定面積のパターン形成領域に流動体を適量付着可能とする基板の製造方法を提供することができる。
したがって、従来、工場等において高価な設備により、多数の工程をかけて形成せざるを得なかった微細パターンが、容易にかつ安価に製造可能となる。
実施形態1の基板であり、(a)は平面図、(b)はその断面図である。
実施形態1の基板のパターン形成領域における親和性領域と非親和性領域の配置例であり、(a)は方形パターン、(b)はその変形例、(c)は円形パターン、(d)はその変形例、(e)は三角形パターン、(f)はその変形例、および(g)は線状パターンである。
パターン形成領域の形状の変形例を説明する基板平面図である。
実施形態1における基板の作用を説明する図である。(a)は点状パターンの場合、(b)は線状パターンの場合である。
通常の基板に液滴を吐出した場合の断面図であり、(a)は吐出直後、(b)は乾燥後である。
通常の基板に液滴を吐出した場合の平面図であり、(a)は吐出直後、(b)は乾燥後である。
(a)〜(b)は、実施形態2の基板の製造方法である。
(a)〜(c)は実施形態3の基板の製造方法である。
(a)〜(c)は実施形態4の基板の製造方法である。
(a)〜(c)は実施形態5の基板の製造方法である。
(a)〜(d)は実施形態6の基板の製造方法である。
(a)〜(d)は実施形態7の基板の製造方法である。
(a)〜(b)は実施形態8の基板の製造方法である。
符号の説明
1、1a、1b,1c,1d,1e、1f、1g、1h、1i…基板、
10…パターン形成領域
11…パターン非形成領域
110…親和性領域、
111…非親和性領域、
100…基台