JP2017034236A - 配線基板の製造方法、及び配線基板 - Google Patents

配線基板の製造方法、及び配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】高表面張力を示す塗布組成物を使用しても簡便にパターンを形成することができる配線基板の製造方法、及び配線基板を提供する。【解決手段】低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成する導体パターン形成工程とを有し、基材が、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/m2より高い。【選択図】図2

Description

本発明は、原版の表面自由エネルギー差を転写した基材上に導体パターンを形成する配線基板の製造方法、及び配線基板に関する。
現在、半導体、ディスプレイ、電子製品などにおける電子回路の微細パターンのほとんどは、フォトリソグラフィー技術を用いて作製されているが、フォトリソグラフィー技術では、安価な製品の製造に限界がある。しかも、大面積化を目指すエレクトロニクス製品の製造においては、フォトリソグラフィー技術を用いた作製方法では、製造コストを抑えることが困難である。
このような現状を踏まえ、プリンティング(印刷)技術を活用し、電子回路、センサー、素子などを製造する、所謂「プリンテッド・エレクトロニクス」が検討されている。この方法は、化学物質の使用量の低減が期待でき、地球環境にやさしい製造プロセスとして注目されている。また、この方法の一部は、メンブレン・キーボードの電極印刷、自動車の窓ガラス熱線、RFID(Radio Frequency Identification)タグアンテナなどに既に応用されている。
プリンテッド・エレクトロニクスでは、基材(印刷される側)の濡れ性をコントロールすることが重要である。濡れ性のコントロールは、表面自由エネルギーをコントロールすることで達成され、種々の方法が提案されている。その中で表面自由エネルギー差をパターンニングした基材の提案もなされている。
例えば、特許文献1には、マスクを介して放射線若しくは発生したオゾンで表面を改質し、表面自由エネルギー差によりパターンを形成し、そこにインクを塗布し、塗り分ける技術が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、基材に表面自由エネルギー差が形成されているものの、その表面自由エネルギー差が小さいため、表面にインクを塗布した場合、完全な塗り分けができず、塗膜の膜厚の差ができるのみである。
また、特許文献2には、フレネルレンズの光の透過性の差で部分的に低表面自由エネルギー部分を露光により作成し、その後、未露光の部分を水中で露光することにより高表面自由エネルギー部分を形成する技術が記載されている。また、そこに作成されたパターンにインクを塗布し、その後、不要のインクを剥ぎ取る事によりパターンを形成する技術が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、特許文献1と同様に、基材に表面自由エネルギー差が形成されているものの、その表面にインクを塗布しただけでは塗り分けができず、また、インクを付着させたくない部分(低表面自由エネルギーの部分)からインクを剥ぎ取る工程が必要である。
また、特許文献3には、マスクを介して放射線で部分的に表面を改質し、表面自由エネルギー差によるパターンを形成し、その後、加熱・加圧を伴う転写にてパターンを形成する技術が記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の技術においては、表面自由エネルギーのパターンに対して機能性インク層の転写によりパターンを形成するが、転写時に加熱、加圧を必要とし、余剰分を剥ぎ取るという工程が必要である。
また、特許文献4には、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写されたコーティングフィルムに塗布組成物を選択的に塗布する技術が記載されている。しかしながら、特許文献4に記載の技術では、高表面張力を示す塗布組成物、例えば水系導電性塗布組成物を選択的に塗布し、パターンを形成するのは困難である。
特開2005−52686号公報 特開2003−240916号公報 特開2011−14829号公報 特開2014−240137号公報
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高表面張力を示す塗布組成物を使用しても簡便にパターンを形成することができる配線基板の製造方法、及び配線基板を提供する。
前述した課題を解決するために、本発明に係る配線基板の製造方法は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、前記基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成する導体パターン形成工程とを有し、前記基材が、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高いことを特徴とする。
また、本発明に係る配線基板は、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有する基材と、前記高表面自由エネルギー領域上に形成された導体パターンとを備え、前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高いことを特徴とする。
また、本発明に係るパターン形成体の製造方法は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、前記基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、パターンを形成するパターン形成工程とを有し、前記基材が、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高いことを特徴とする。
また、本発明に係るパターン形成体は、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有する基材と、前記高表面自由エネルギー領域上に形成されたパターンとを備え、前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高いことを特徴とする。
また、本発明に係る基材は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物が硬化してなる基材において、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高いことを特徴とする。
また、本発明に係る樹脂組成物は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有し、前記第2の化合物が、単官能(メタ)アクリレートを含み、前記単官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記第2の化合物100質量部に対し、40〜70質量部であることを特徴とする。
本発明によれば、基材の高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが高いため、高表面張力を示す塗布組成物を使用することができ、簡便にパターンを形成することができる。
図1は、支持フィルム上に樹脂組成物を塗布する塗布工程の概略を示す断面図である。 図2は、樹脂組成物を、原版に接触させて硬化させる硬化工程の概略を示す断面図である。 図3は、パターンが転写された基材の一例を示す断面図である。 図4は、基材表面に導体パターンが形成された配線基板の一例を示す断面図である。 図5は、原版Aの概略を示す斜視図である。 図6は、原版Aのパターンを転写させる転写工程の概略を示す断面図である。 図7は、実施例1において基材A3上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像である。 図8は、実施例2において基材A4上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像である。 図9は、比較例1において基材A1上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像である。 図10は、比較例2において基材A2上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.配線基板の製造方法
2.配線基板
3.他の実施の形態
4.実施例
<1.配線基板の製造方法>
本発明の一実施の形態に係る配線基板の製造方法は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成する導体パターン形成工程とを有する。ここで、基材が、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高いことにより、高表面張力を示す塗布組成物を使用することができ、例えば水系導電性塗布組成物を選択的に塗布し、導電性のパターンを形成することができる。
[転写工程]
転写工程では、先ず、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を調製する。樹脂組成物としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられ、これら中でも、硬化反応が速い光硬化型のアクリル樹脂組成物が好適に用いられる。以下では、第1の化合物と、第2の化合物と、光重合開始剤とを含有する光硬化型のアクリル樹脂組成物を例に挙げて説明する。
第1の化合物は、低い表面自由エネルギーを発現させる、所謂「ブロッキング防止剤」、「スリッピング剤」、「レベリング剤」、「防汚剤」などの表面調整剤を用いることが可能であり、パーフルオロポリエーテル誘導体などのフッ素樹脂系化合物、又はシリコーン樹脂系化合物が好ましく用いられる。フッ素樹脂系化合物としては、パーフルオロポリエーテル基含有(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられ、シリコーン樹脂系化合物としては、ポリジメチルシロキサン含有(メタ)アクリレート、ポリアルキルシロキサン含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶解性などの観点から、パーフルオロポリエーテル基含有(メタ)アクリレートを好ましく使用することができる。パーフルオロポリエーテル基含有(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば商品名「KY−1203」(信越化学工業(株))などが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリル酸エステル(アクリレート)とメタクリル酸エステル(メタクリレート)とを包含する意味である。
第1の化合物の樹脂組成物中の含有量は、少なすぎると表面自由エネルギー差のパターンが得られず、多すぎると表面自由エネルギー差が小さくなる傾向があるため、好ましくは、第2の化合物100質量部に対し0.01質量部以上30質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。
第2の化合物は、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる化合物であればよく、例えば、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリアルキレングリコールエステル単量体、直鎖又は分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ポリアルキレングリコールエステル単量体の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、架橋性、表面硬度などの点から、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを好ましく用いることができる。ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば商品名「AE−400」(日油(株))などが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAEO変性ジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(10)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
3官能以上の(メタ)アクリレートの具体例としては、ペンタエリストリールトリ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性グリセリントリアクリレート、EO変性ペンタエリストリールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(−2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)(メタ)アクリレート、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリア(メタ)クリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、架橋性、表面硬度などの点から、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性グリセリントリアクリレートを好ましく使用することができる。ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば商品名「TMM−3」(新中村化学(株))などが挙げられ、プロピレングリコール変性グリセリントリアクリレートの市販品としては、例えば商品名「OTA−480」(ダイセル・オルネクス(株))などが挙げられる。
第2の化合物は、単官能(メタ)アクリレートを含み、単官能(メタ)アクリレートの含有量が、第2の化合物100質量部に対し、40〜70質量部であることが好ましい。単官能(メタ)アクリレートの含有量は、少なすぎると高い表面自由エネルギーを得るのが困難となり、多すぎると反応性、架橋性などが低下する傾向にある。
光重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択して使用することができる。光重合開始剤としては、例えば、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ベンジルジメチルケタール、α−アミノアルキルフェノンなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
光重合開始剤の市場で入手可能な具体例としては、α−ヒドロキシアルキルフェノンとして、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア(IRGACURE)184、BASFジャパン(株))、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル-プロパン−1−オン(ダロキュア(DAROCUR)1173、BASFジャパン(株))、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)2959、BASFジャパン(株))、2−ヒドロキシ−1−{4−[2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル]−ベンジル}フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)127、BASFジャパン(株))などが挙げられる。また、ベンジルジメチルケタールとして、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)651、BASFジャパン(株))などが挙げられる。また、α−アミノアルキルフェノンとして、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)907、BASFジャパン(株))、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア(IRGACURE)369、BASFジャパン(株))などが挙げられる。これらの中でも、円滑な光硬化を実現する観点から、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア(IRGACURE)184、BASFジャパン(株))を用いることが好ましい。
光重合開始剤の樹脂組成物中の含有量は、少なすぎると硬度性能の低下による密着性の低下や硬度不足が生ずる傾向があり、多すぎると重合の不具合による密着性などの特性が低下する傾向があるので、好ましくは、第2の化合物100質量部に対し0.1質量部以上10質量部以下、より好ましくは1質量部以上5質量部以下である。
また、樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、溶剤、レベリング剤、色相調整剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、各種熱可塑性樹脂材料などの添加剤を含有することができる。
図1は、支持フィルム上に樹脂組成物を塗布する塗布工程の概略を示す断面図である。塗布には、バーコーター、スプレーコーター、スピンコーターなどを用いることができる。
支持フィルム11としては、特に制限されず、PET(Polyethylene terephthalate)、ガラス、ポリイミドなどを用いることができる。また、透明材料又は不透明材料のいずれも用いることができるが、紫外線を透過する透明材料用いることにより、支持フィルム11側から紫外線照射を行うことができる。
樹脂組成物12は、前述のように、第1の化合物と、第2の化合物と、光重合開始剤とを含有し、第1の化合物が表面に存在している。なお、図1中、第1の化合物としてフッ素樹脂系化合物を例示するが、これに限定されるものではない。
次に、転写工程では、樹脂組成物12を、原版20に接触させて硬化させ、原版20の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る。
図2は、樹脂組成物を、原版に接触させて硬化させる硬化工程の概略を示す断面図である。この硬化工程では、樹脂組成物12を表面自由エネルギー差によるパターンが形成された原版20に接触させて硬化させ、支持フィルム11上に原版20のパターンが転写された硬化樹脂層を形成する。
原版20は、表面に高表面自由エネルギー領域21と、低表面自由エネルギー領域22とを有する。高表面自由エネルギー領域21は、例えば、シリコン、アルミニウム、銅などの金属、ガラス、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどを含む金属酸化物などの領域であり、低表面自由エネルギー領域22は、例えばフッ素コーティング、シリコーンコーティングなどの低表面自由エネルギーコーティング膜、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスなどの領域である。また、原版20の材料は、フッ素コーティングなどが容易なガラスであることが好ましい。また、原版20の表面は、平滑であることが好ましい。
図2に示すように、原版20を樹脂組成物12に接触させた場合、原版20と樹脂組成物12との界面状態は、下記(1)式のΔγが小さくなろうとするため、樹脂組成物12表面の第1の化合物は、原版20の低表面自由エネルギー領域21に移動し、第2の化合物は、高表面自由エネルギー領域22に移動する。なお、図2中、第1の化合物としてフッ素樹脂系化合物を例示するが、これに限定されるものではない。
Δγ=γ−γ (1)
上記(1)式中、γは原版20表面の表面自由エネルギーであり、γは樹脂組成物12表面の表面自由エネルギーである。
原版20を樹脂組成物12に接触させた状態で樹脂組成物12を硬化させることにより、支持フィルム11上に原版20のパターンが転写された硬化樹脂層からなる基材13を得ることができる。樹脂組成物12の硬化方法は、樹脂の種類に応じて適宜選択することができ、熱、紫外線などのエネルギー線照射を用いることができる。
図3は、パターンが転写された基材の一例を示す断面図である。なお、図3中、第1の化合物としてフッ素樹脂系化合物を例示するが、これに限定されるものではない。
基材13は、硬化樹脂層の表面に高表面自由エネルギー領域aと低表面自由エネルギー領域bとのパターンを有する。基材13は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物が硬化したものであり、表面に高表面自由エネルギー領域aと低表面自由エネルギー領域bとを有する。また、高表面自由エネルギー領域aと低表面自由エネルギー領域bとは、光学的に平滑面であり、両者の段差は、数10nm未満であることが好ましい。
高表面自由エネルギー領域aは、62mJ/mより高く、また、高表面自由エネルギー領域aと低表面自由エネルギー領域bとの表面自由エネルギーの差は、30mJ/m以上であることが好ましい。より具体的には、高表面自由エネルギー領域aの表面自由エネルギーは、63〜80mJ/mであることが好ましく、66〜75mJ/mであることがより好ましい。また、低表面自由エネルギー領域bの表面自由エネルギーは、10〜25mJ/mであることが好ましく、10〜20mJ/mであることがより好ましい。これにより、複雑な装置を用いず、簡便な工法、例えば、ディップ等による印刷法を用いて、高表面自由エネルギー領域aに導電性塗布組成物を選択的に塗布することができる。特に、本実施の形態では、基材の高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが高いため、高表面張力を示す水系の塗布組成物を使用することができ、塗布組成物のバリエーションを増やすことができる。
[導体パターン形成工程]
導体パターン形成工程では、基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成する。導体パターンは、高表面自由エネルギー部分又は低表面自由エネルギー部分に選択的に形成される。
導電性塗布組成物の塗布方法としては、ディップコート、スピンコート、フローコート、スプレー塗布、スキージ法などが挙げられ、これらの中でも、装置が簡便なディップコートを用いることが好ましい。
導電性塗布組成物は、基材表面の高表面自由エネルギー領域又は低表面自由エネルギー領域に選択的に塗布され、乾燥、加熱、焼成などにより、導体パターンとなる。導電性塗布組成物としては、溶媒に粒径が1〜100nmの金属粒子が高濃度に分散された導電性インク、金属インクなどと呼ばれるものが挙げられる。金属粒子としては、銀、金、銅、ニッケル、パラジウムなどの導電性金属が挙げられ、これらの中でも、高い導電性を示す銀を用いることが好ましい。また、導電性塗布組成物は、有機化合物(配位子)を含有し、配位子の分散力によって、金属粒子を溶液中に溶解させることが好ましい。また、溶媒としては、配位子の溶解性の観点から、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒を使用し、導電性塗布組成物が、親水性を示すことが好ましい。導電性塗布組成物の市販品としては、例えば商品名「TEC−PR−010」(InkTec(株))、「TEC−IJ−010」(InkTec(株))、「ドライキュアAg」(コロイダル・インク(株))などが挙げられる。
高表面張力を示す塗布組成物を使用する場合、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーは、塗布組成物の表面自由エネルギーの−10mJ/mより高いことが好ましく、−6mJ/m以上高いことがより好ましい。すなわち、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、塗布組成物の表面自由エネルギーよりも10mJ/m未満低いことが好ましく、さらには6mJ/m以下低いことがより好ましい。基材と塗布組成物(インク)との良好な接着性を得るためには、インクが基材表面を充分に濡らすことが必要であるが、基材表面の濡れは、インクと基材の相対的表面張力に依存し、基材の表面張力がインクの表面張力より大きいときによく濡れる傾向にある。なお、表面張力とは、単位面積当たりの表面自由エネルギーであり、ある液体の表面がもつ表面張力をγ(mN/m)とすれば、これはその液体の表面自由エネルギーがγ(mJ/m)であることと同じである。
このように導体パターン形成工程では、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが高い基材を用いることにより、高表面張力を示す水系の導電性塗布組成物を塗布によって、選択的に塗り分けが行われ、簡便にファインピッチかつ寸法安定性に優れた配線パターンを描画することができる。
また、導体パターン形成工程では、フォトマスクを用いて露光する工程、フォトレジスト工程などの複雑な工程はなく、また、導電性塗布組成物の余剰分を剥ぎ取る工程なども必要としない。このため、必要量の導電性塗布組成物で導体パターンを得ることができる。
<2.配線基板>
本発明の一実施の形態に係る配線基板は、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有する基材と、高表面自由エネルギー領域上に形成された導体パターンとを備え、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高い。これにより高表面張力を示す水系の導電性塗布組成物により導体パターンを形成することができる。
図4は、基材表面に導体パターンが形成された配線基板の一例を示す断面図である。図4に示すように、配線基板は、支持フィルム11上に、表面に低表面自由エネルギー領域と高表面自由エネルギー領域とを有する基材13と、高表面自由エネルギー領域に形成された導電パターン14とを備える。なお、図4中、第1の化合物としてフッ素樹脂系化合物を例示するが、これに限定されるものではない。また、支持フィルム11及び基材13は、図1〜3に示す支持フィルム11及び基材13と同様のため、ここでは説明を省略する。
導体パターンは、前述した導電性塗布組成物が乾燥、加熱、焼成などにより、基材13表面の高表面自由エネルギー領域に固着、形成されたものである。
また、導体パターンは、高表面自由エネルギー領域上に形成され、導体パターンが形成されていない低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、10〜25mJ/mであることが好ましく、10〜20mJ/mであることがより好ましい。これにより、導電性塗布組成物が配線間に留まることが無くなり、配線間ショートが発生するのを防ぐことができる。よって、本実施の形態に係る配線基板は、電子回路パターンなどのエレクトロニクス分野において、非常に有用である。
<3.他の実施の形態>
前述した実施の形態では、導体パターンの形成について説明したが、導体パターンの形成に限られず、非導電性のパターンの形成にも適用可能である。すなわち、本発明の一実施の形態に係るパターン形成体の製造方法は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、基材のパターン転写面に塗布組成物を塗布し、パターンを形成するパターン形成工程とを有する。ここで、基材が、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高いことにより、高表面張力を示す塗布組成物を選択的に塗布し、パターンを形成することができる。
また、本発明の一実施の形態に係るパターン形成体は、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有する基材と、高表面自由エネルギー領域上に形成されたパターンとを備え、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高い。これにより高表面張力を示す塗布組成物を使用した場合でも、高表面自由エネルギー領域上のパターンの密着性を向上させることができる。
また、本発明の一実施の形態に係る基材は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物が硬化してなる基材において、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高い。これにより高表面張力を示す塗布組成物を使用した場合でも高表面自由エネルギー領域上にパターンを形成することができる。
また、本発明の一実施の形態に係る樹脂組成物は、低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有し、第2の化合物が、単官能(メタ)アクリレートを含み、単官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記第2の化合物100質量部に対し、40〜70質量部である。これにより硬化後の基材の高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを、62mJ/mより高くすることができる。
<4.実施例>
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。本実施例では、表面自由エネルギー差によるパターンが形成された原版A、表面自由エネルギーが全面に亘って低い原版B、及び表面自由エネルギーが全面に亘って高い原版Cを作製し、各原版を用いて樹脂組成物に転写を行った。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
露光機、接触角計、顕微鏡、及びAFM(Atomic Force Microscope)は、次の装置を
使用した。
露光機A:マスクアライナー MA−20 (ミカサ株式会社製)
露光機B:アライメント露光装置 (東芝ライテック株式会社製)
接触角計:DM−701(協和界面科学社製)
顕微鏡:VHX−1000(株式会社キーエンス製)
AFM:SPA400(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
[原版Aの作成]
10cm×10cmのガラス基板にネガ型フォトレジスト(商品名:OFPR−800LB、東京応化工業製)をスピンコート法により塗布し、110℃、90秒ホットプレート上で乾燥させた。フォトレジストがコーティングされた基板と、5μmのライン及びスペースがパターンニングされたフォトマスクを配置し、露光機Aで露光した。露光後、この基板を2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中に1分間浸漬し、その後純水に1分間浸漬し、室温で乾燥し、現像を行った。
現像された基板を純水、洗浄液(商品名:Novec7300、3M社製)の順番で洗浄し、その後、フッ素コーティング剤(商品名:DS−5210F、HARVES社製)を液滴滴下にて塗布した。一晩放置後、洗浄液(商品名:Novec7300、3M社製)にて洗浄し、その後、フッ素コーティング剤(商品名:DS−5210F、HARVS社製)を液滴滴下にて塗布した。さらに一晩放置後、洗浄液(商品名:Novec7300、3M社製)にて洗浄し、室温で乾燥した。
この基板を剥離液に5分間浸漬し、残ったレジスト膜を取り除き、アセトン、洗浄液(商品名:Novec7300、3M社製)順で洗浄した。これにより、図5に示すようにガラス基板30上に高表面自由エネルギー領域31と低表面自由エネルギー領域32とがパターンニングされた(部分的にフッ素コーティングされた)原版Aを得た。
[原版Bの作成]
7cm×5cmのスライドガラスを、洗浄液(商品名:Novec7300、3M社製)で洗浄し、その後、フッ素コーティング剤(商品名:DS−5210F、HARVES社製)を液滴滴下にて塗布した。一晩放置後、洗浄液(商品名:Novec7300、3M社製)にて洗浄し、その後、フッ素コーティング剤(商品名:DS−5210F、HARVES社製)を液滴滴下にて塗布した。さらに一晩放置後、洗浄液(商品名:Novec7300、3M社製)にて洗浄し、(全面がフッ素コーティングされた)原版Bを得た。
[原版Cの作成]
未使用の7cm×5cmのスライドガラスを原版Cとした。
[インク組成]
表1に、インク1〜6の組成を示す。



TMM−3(新中村化学工業(株)):ペンタエリスリトールトリアクリレート
OTA−480(ダイセル・オルネクス(株)):プロピレングリコール変性グリセリントリアクリレート
AE−400(日油(株)):ポリエチレングリコールモノアクリレート #400
イルガキュア184(BASF(株)):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
KY−1203(信越化学工業(株)):パーフルオロポリエーテル含有アクリレート
[基材の作製]
図6は、原版Aのパターンを転写させる転写工程の概略を示す断面図である。図6に示すように、PETフィルム上にインク1〜6をバーコーター(wet膜厚8μm相当)で塗布し、これを原版Aに密着させ、露光機B(アライメント露光装置、東芝ライテック(株))を用いてPET面より露光硬化させ、硬化樹脂層を有する基材を得た。このときの照射量は、6J/cmであった。硬化樹脂層表面より原版Aを剥離し、PETフィルム上に原版Aの表面自由エネルギーが転写された硬化樹脂層を有する基材A1〜A6を得た。また、原版B及び原版Cについても同様に、インク1〜6を硬化させ、表面自由エネルギーが転写された基材B1〜B6及び基材C1〜C6を得た。
[表面自由エネルギーの算出]
表2に、基材B及び基材Cの表面自由エネルギーを示す。表面自由エネルギーは、接触角計を用いて、基材B1〜B6及び基材C1〜C6の接触角を測定し、ケルブル・ウー法により算出した。これにより、基材A1〜A6低表面自由エネルギー領域は、それぞれ基材B1〜B6の表面自由エネルギーとしてみなし、基材A1〜A6の高表面自由エネルギー領域は、それぞれ基材C1〜C6の表面自由エネルギーとしてみなした。
[塗り分け特性の評価]
金属インク(ドライキュアAg、コロイダル・インク(株)、表面張力:72mN/m)をサンプル瓶に充填した。このサンプル瓶に基材A1〜C6をディップし、1cm/minのスピードで垂直に引き上げ、室温で10分間放置した。塗布後の表面を光学顕微鏡により2000倍で観測した。観察面においてパターン通りに塗布できている場合を「○」と評価し、観察面において一部領域でパターン通りに塗布できていない場合を「△」と評価し、観察面においてパターン通りに塗布できていない場合を「×」と評価した。
<実施例1>
PETフィルム上にインク3をバーコーター(wet膜厚8μm相当)で塗布し、これを原版Aに密着させ、露光機B(アライメント露光装置、東芝ライテック(株))を用いてPET面より露光硬化させ、硬化樹脂層を形成した。このときの照射量は、6J/cmであった。硬化樹脂層表面より原版Aを剥離し、PETフィルム上に原版Aの表面自由エネルギーが転写された硬化樹脂層を有する基材A3を得た。同様に、原版B及び原版Cを用いて、インク3を露光硬化させ、基材B3及び基材C3を得た。
表3に示すように、基材B3の表面自由エネルギーは17mJ/m、基材C3の表面自由エネルギーは66mJ/mであった。よって、基材A3の低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを17mJ/m、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを66mJ/mとみなした。また、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーと金属インクの表面張力との差を、6mJ/mとみなした。図7は、実施例1において基材A3上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像である。高表面自由エネルギー部分にのみ導電性塗布組成物が選択的に塗布されており、塗り分け特性の評価は○であった。
<実施例2>
インク4を使用した以外は、実施例1と同様にして、基材A4、基材B4及び基材C4を得た。表3に示すように、基材B4の表面自由エネルギーは17mJ/m、基材C4の表面自由エネルギーは69mJ/mであった。よって、基材A4の低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを17mJ/m、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを69mJ/mとみなした。また、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーと金属インクの表面張力との差を、3mJ/mとみなした。図8は、実施例2において基材A4上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像である。高表面自由エネルギー部分にのみ導電性塗布組成物が選択的に塗布されており、塗り分け特性の評価は○であった。
<実施例3>
インク5を使用した以外は、実施例1と同様にして、基材A5、基材B5及び基材C5を得た。表3に示すように、基材B5の表面自由エネルギーは17mJ/m、基材C5の表面自由エネルギーは68mJ/mであった。よって、基材A5の低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを17mJ/m、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを68mJ/mとみなした。また、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーと金属インクの表面張力との差を、4mJ/mとみなした。光学顕微鏡による観察の結果、高表面自由エネルギー部分にのみ導電性塗布組成物が選択的に塗布されており、塗り分け特性の評価は○であった。
<実施例4>
インク6を使用した以外は、実施例1と同様にして、基材A6、基材B6及び基材C6を得た。表3に示すように、基材B6の表面自由エネルギーは17mJ/m、基材C5の表面自由エネルギーは63mJ/mであった。よって、基材A6の低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを17mJ/m、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを63mJ/mとみなした。また、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーと金属インクの表面張力との差を、9mJ/mとみなした。光学顕微鏡による観察の結果、観察面において一部領域でパターン通りに塗布できておらず、塗り分け特性の評価は△であった。
<比較例1>
インク1を使用した以外は、実施例1と同様にして、基材A1、基材B1及び基材C1を得た。表3に示すように、基材B1の表面自由エネルギーは16mJ/m、基材C1の表面自由エネルギーは51mJ/mであった。よって、基材A1の低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを16mJ/m、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを51mJ/mとみなした。また、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーと金属インクの表面張力との差を、21mJ/mとみなした。図9は、比較例1において基材A1上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像である。観察面においてパターン通りに塗布できておらず、塗り分け特性の評価は×であった。
<比較例2>
インク2を使用した以外は、実施例1と同様にして、基材A2、基材B2及び基材C2を得た。表3に示すように、基材B2の表面自由エネルギーは15mJ/m、基材C2の表面自由エネルギーは62mJ/mであった。よって、基材A2の低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを15mJ/m、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーを62mJ/mとみなした。また、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーと金属インクの表面張力との差を、10mJ/mとみなした。図10は、比較例2において基材A2上に形成された導体パターンの光学顕微鏡による観察画像である。観察面においてパターン通りに塗布できておらず、塗り分け特性の評価は×であった。
比較例1,2のように、基材の高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/m以下の場合、高表面張力を示す金属インクを塗り分けることが困難であった。一方、実施例1〜4のように、基材の高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高い場合、高表面張力を示す金属インクを塗り分けることができた。
また、実施例1〜4より、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、前記塗布組成物の表面自由エネルギーの−10mJ/mより高く、さらには−6mJ/m以上であること、すなわち、高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、塗布組成物の表面自由エネルギーよりも10mJ/m未満低く、さらには6mJ/m以下低いことにより、優れた塗り分け特性が得られることが分かった。これは、基材表面に金属インクがよく濡れたからであると考えられる。
また、実施例1〜4より、単官能(メタ)アクリレートの含有量が、全(メタ)アクリレート100質量部に対し、40〜70質量部であるインク3〜6を用いて基材を作製することにより、高表面張力を示す金属インクを使用した場合でもディップによる簡便な方法で、選択的に塗布することができることが分かった。
11 支持フィルム、12 樹脂組成物、13 基材、14 導体パターン、20 原版、21 低表面自由エネルギー領域、22 高表面自由エネルギー領域、30 ガラス基板、31 低表面自由エネルギー領域、32 高表面自由エネルギー領域、41 PETフィルム、42 樹脂組成物

Claims (15)

  1. 低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、
    前記基材のパターン転写面に導電性塗布組成物を塗布し、導体パターンを形成する導体パターン形成工程とを有し、
    前記基材が、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、
    前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高い、配線基板の製造方法。
  2. 前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、前記導電性塗布組成物の表面自由エネルギーの−10mJ/mより高い、請求項1に記載の配線基板の製造方法。
  3. 前記低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、10〜20mJ/mである、請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
  4. 前記導電性塗布組成物が、銀を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  5. 前記第1の化合物が、パーフルオロポリエーテル誘導体である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  6. 前記第2の化合物が、単官能(メタ)アクリレートを含み、
    前記単官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記第2の化合物100質量部に対し、40〜70質量部である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  7. 高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有する基材と、
    前記高表面自由エネルギー領域上に形成された導体パターンとを備え、
    前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高い、配線基板。
  8. 前記導体パターンが、導電性塗布組成物から形成され、
    前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、前記塗布組成物の表面自由エネルギーの−10mJ/mより高い、請求項7に記載の配線基板。
  9. 前記低表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、10〜20mJ/mである請求項7又は8に記載の配線基板。
  10. 前記導電性塗布組成物が、銀を含有する請求項8に記載の配線基板。
  11. 低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物を、所望の表面自由エネルギー差のパターンが形成された原版に接触させて硬化させ、原版の表面自由エネルギー差のパターンが転写された基材を得る転写工程と、
    前記基材のパターン転写面に塗布組成物を塗布し、パターンを形成するパターン形成工程とを有し、
    前記基材が、高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、
    前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高い、パターン形成体の製造方法。
  12. 高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有する基材と、
    前記高表面自由エネルギー領域上に形成されたパターンとを備え、
    前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高い、パターン形成体。
  13. 低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有する樹脂組成物が硬化してなる基材において、
    高表面自由エネルギー領域及び低表面自由エネルギー領域のパターンを有し、
    前記高表面自由エネルギー領域の表面自由エネルギーが、62mJ/mより高い、基材。
  14. 低い表面自由エネルギーを発現させる第1の化合物と、
    前記第1の化合物よりも高い表面自由エネルギーを発現させる第2の化合物とを含有し、
    前記第2の化合物が、単官能(メタ)アクリレートを含み、
    前記単官能(メタ)アクリレートの含有量が、前記第2の化合物100質量部に対し、40〜70質量部である、樹脂組成物。
  15. 前記第1の化合物が、パーフルオロポリエーテル誘導体である請求項14に記載の樹脂組成物。
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