JP4099849B2 - 車輌の後部構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車輌の構造に係り、更に詳細には車輌の後端に近接して配置された乗員シートを有する車輌の後部構造に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌に於ける衝突に対する対策の一つとして、例えば特開平6−87365号公報に記載されている如く、車輌の前突時には乗員シートを車輌後方へ枢動させ、加害車が乗員を損傷する虞れを低減するよう構成された緊急跳ね上げ装置が既に知られている。かかる緊急跳ね上げ装置によれば、車輌の前突時に乗員が加害車により損傷される虞れを低減することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
車輌の前突及び側突に対する対策については従来より種々の構造が提案され実用化ているが、車輌の後突に対する対策については開発途上にあり、車輌の後突時にも乗員が加害車により損傷される虞れを効果的に低減する車体構造が必要とされている。特にかかる車体構造はキャビン空間を有効に活用すべく、乗員用後席シートが車輌の後端に近接して配置された車輌の場合に重要である。
【0004】
本発明は、車輌の後突に対する対策の現状に鑑み、本発明の主要な課題は、後突時には後席シートに着座する乗員を後突加害車より退避することにより、後席シートに着座する乗員が後突加害車により損傷される虞れを更に一層効果的に低減することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち車輌の後端に近接して配置された乗員シートを有する車輌の後部構造にして、前記乗員シートのシートバックに設けられ車輌の後突時に前記シートバックとその後方に位置する車輌後端の車体部材との間にエアバッグを展開するエアバッグ装置と、前記エアバッグの展開を制御する制御手段とを有することを特徴とする車輌の後部構造によって達成される。
【0006】
上記請求項1の構成によれば、車輌の後突時にはシートバックとその後方に位置する車輌後端の車体部材との間にエアバッグが展開されることにより、エアバッグによってシートバックと車輌後端の車体部材との間に確実に空間が確保されるので、乗員シートに着座する乗員が後突加害車による強大な衝撃を受ける虞れが効果的に低減される。
【0007】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記エアバッグ装置は前記シートバックの下方部に設けられているよう構成される(請求項2の構成)。
【0008】
請求項2の構成によれば、エアバッグ装置はシートバックの下方部に設けられているので、車輌の後突時にシートバックの下方部と車体部材との間に確実に空間が確保される。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項の構成に於いて、前記エアバッグ装置は前記シートバックの上方部に設けられているよう構成される(請求項3の構成)。
【0010】
請求項3の構成によれば、エアバッグ装置はシートバックの上方部に設けられているので、車輌の後突時にシートバックの上方部と車体部材との間に確実に空間が確保される。
【0011】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項の構成に於いて、前記エアバッグ装置は前記シートバックの下方部に設けられた下側エアバッグ装置と前記シートバックの上方部に設けられた上側エアバッグ装置とよりなっているよう構成される(請求項4の構成)。
【0012】
請求項4の構成によれば、エアバッグ装置はシートバックの下方部に設けられた下側エアバッグ装置とシートバックの上方部に設けられた上側エアバッグ装置とよりなっているので、車輌の後突時にシートバックの下方部及び上方部と車体部材との間に確実に間隔を開けることが可能になると共に、乗員が加害車による強大な衝撃を受ける虞れが更に一層効果的に低減される。
【0013】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項の構成に於いて、前記制御手段は前記車体部材に設けられ車輌が後方より受ける荷重を検出する荷重センサを含み、車輌の後突時に前記荷重センサにより検出された荷重が基準値未満であるときには前記下側エアバッグ装置のエアバッグのみを展開させ、車輌の後突時に前記荷重センサにより検出された荷重が前記基準値以上であるときには前記下側エアバッグ装置及び前記上側エアバッグ装置のエアバッグを展開させるよう構成される(請求項5の構成)。
【0014】
請求項5の構成によれば、車輌の後突時に荷重センサにより検出された荷重が基準値未満であるときには下側エアバッグ装置のエアバッグのみが展開され、車輌の後突時に荷重センサにより検出された荷重が基準値以上であるときには下側エアバッグ装置及び上側エアバッグ装置のエアバッグが展開されるので、車輌の後突時に加害車より受ける衝撃が低いときには下側エアバッグ装置のエアバッグのみを展開させ、車輌の後突時に加害車より受ける衝撃が高いときには下側エアバッグ装置及び上側エアバッグ装置のエアバッグを展開させることができる。
【0015】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、前記制御手段は前記乗員シートの位置を検出する位置センサを含み、前記位置センサにより検出された前記乗員シートの位置が基準位置よりも前方であるときには車輌の後突時にも前記エアバッグ装置のエアバッグを展開させないよう構成される(請求項6の構成)。
【0016】
請求項6の構成によれば、位置センサにより検出された乗員シートの位置が基準位置よりも前方であるときには車輌の後突時にもエアバッグ装置のエアバッグが展開されないので、車輌が後突を受けても乗員に危険が及ぶ虞れがない状況に於いてエアバッグが無駄に展開されることを防止することが可能になる。
【0017】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至の何れか一つの構成に於いて、前記乗員シートは前後方向の位置を調節可能にシートレールに固定されており、車輌の後突時には前記シートレールが車輌前方へ移動されることにより前記乗員シートが車輌前方へ移動されるよう構成される(請求項7の構成)。
【0018】
請求項7の構成によれば、乗員シートは前後方向の位置を調節可能にシートレールに固定されており、車輌の後突時にはシートレールが車輌前方へ移動されることにより乗員シートが車輌前方へ移動されるので、車輌の後突時にシートレールが車輌前方へ移動されない場合に比して乗員シートを確実に加害車より退避する方向へ車体に対し相対的に移動させることが可能になる。
【0026】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至7の何れか一つの構成に於いて、エアバッグは乗員シートに乗員が着座している状況に於ける車輌の後突時にのみ展開されるよう構成される(好ましい態様)。
【0027】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4乃至7の何れか一つの構成に於いて、下側エアバッグ装置のエアバッグは上側エアバッグ装置のエアバッグよりも大型であるよう構成される(好ましい態様)。
【0028】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4乃至7の何れか一つの構成に於いて、エアバッグは車輌の前後加速度、加害車により車体の後端に与えられる荷重、乗員シートの車輌前方への移動速度の少なくとも一つに応答して展開されるよう構成される(好ましい態様)。
【0029】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5の構成に於いて、荷重センサは下側エアバッグ装置よりも高い位置にて車体部材に設けられているよう構成される(好ましい態様)。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの参考例及び好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0038】
図1及び図2はそれぞれ車輌の後部構造の第一の参考例を後突前の状態及び後突後の状態について示す概略構成図、図3及び図4はそれぞれ図1及び図2に示された要部を示す拡大部分図、図5は図3の線V−Vに沿う拡大断面図、図6は第一の参考例の要部の分解斜視図である。
【0039】
これらの図に於いて、10は車輌の後輪を示し、12は車輌後端の車体部材を示し、14は車輌の左右両側に設けられ車輌前後方向に延在するリヤフロアサイドメンバを示している。図5に詳細に示されている如く、各リヤフロアサイドメンバ14は実質的に上向きに開いた断面コの字形をなし、その内部には実質的に下向きに開いた断面コの字形をなしリヤフロアサイドメンバ14に沿って延在するリインフォースメント16が固定的に配置さている。リヤフロアサイドメンバ14及びリインフォースメント16上にはフロアパン18が配置され且つこれらに溶接により固定されている。
【0040】
またリインフォースメント16の下方且つ内側には実質的に下向きに開いた断面コの字形をなすシートブラケット20が配置され、フロアパン18上には実質的に上向きに開いた断面コの字形をなすシートレール22が配置されている。シートブラケット20及びシートレール22もリヤフロアサイドメンバ14に沿って延在している。特に図示の参考例に於いては、左右のシートブラケット20の後方部は僅かに下方へ傾斜した後実質的に水平に後方へ延在しており、それらの後端には車輌横方向に延在するクロスメンバ24が固定的に連結されている。クロスメンバ24の後方側にはリヤバンパ26が固定されている。
【0041】
シートブラケット20及びシートレール22はシートブラケットの下面に固定されたナット28及びこれに螺合するボルト30によりリインフォースメント16及びフロアパン18に対し固定されている。リインフォースメント16の水平の壁部にはボルト30を受けるボルト孔16Aに連続してリインフォースメントの長手方向に延在する長孔16Bが設けられており、長孔16Bの幅はボルト孔16Aの直径よりも小さく設定されている。
【0042】
シートレール22には乗員用後席シート32の前脚部材34及び後脚部材36の下端が係合しており、これらの脚部材の少なくとも一方はそれ自身周知のストッパによりシートレール22に対し相対的に前後方向に位置調節可能に固定されている。またシート32はシート本体38と該シート本体の後端に枢支装置39により枢支されたシートバック40とよりなっている。シートバック40の後傾角は図には示されていない調節機構により調節可能であり、またシートバック40の上端にはヘッドレスト42が取り付けられている。
【0043】
この第一の参考例に於いて、車輌が後突されると、図4に詳細に示されている如く、後突加害車44よりリヤバンパ26及びクロスメンバ24を介して車輌に与えられる前向きの荷重によりリヤフロアサイドメンバ14の後端部が座屈変形され、これにより後突加害車のエネルギが吸収される。またシートブラケット20が荷重伝達手段の一部として機能し車輌前方へ駆動されることにより、ボルト30は長孔16Bを拡幅変形させつつ車輌前方へ移動し、これによりシートブラケット20はシートレール22と共に車輌前方へ移動する。
【0044】
後席シート32の前脚部材34及び後脚部材36はシートレール22に対し固定された状態にあるので、これらの脚部材はシートレールと共に車体に対し相対的に車輌前方へ移動される。従って図2に示されている如く、後突加害車44により車輌前方へ移動される車輌後端の車体部材12と後席シート32、特にそのシートバック40との間に実質的に元の間隔が維持された状態で後席シート全体がリヤフロアサイドメンバ14に沿って後突加害車44より退避する方向へ移動される。
【0045】
以上の説明より解る如く、従来の車輌の場合には、車輌の後突時に加害車44による強大な衝撃が車輌後端の車体部材12を介して後席シート32、特にそのシートバック40やヘッドレスト42及び乗員に作用するのに対し、図示の第一の参考例によれば、シートブラケット20及びシートレール22が荷重伝達手段の一部として機能することにより後席シート全体が後突加害車44より退避する方向へ移動するので、車輌の後突時に加害車44による強大な衝撃が車輌後端の車体部材12を介して後席シート32及びその乗員に作用する虞れを効果的に低減することができる。
【0046】
特に図示の第一の参考例によれば、車輌の後突時には車輌後端の車体部材12とシートバック40との間に実質的に元の間隔が維持された状態で後席シート32全体を後突加害車44より退避する方向へ移動させることができるので、かかる間隔が維持されない場合に比して車輌の後突時に於ける乗員の安全性を更に一層向上させることができる。
【0047】
尚図示の第一の参考例に於いては、図3に於いて仮想線にて示されている如く、荷重伝達手段の一部として機能するシートブラケット20の後端にウレタンの如きエネルギ吸収材よりなるエネルギ吸収部材46が取り付けられてもよく、かくしてエネルギ吸収部材46が使用される場合には、車輌の後突時に後席シートの乗員が受ける衝撃を更に一層低減することができる。
【0048】
図7及び図8はそれぞれ本発明による車輌の後部構造の実施形態を後突前の状態及び後突後の状態について示す概略構成図、図9は図7及び図8に示された電子制御装置による制御を示すフローチャートである。尚図7及び図8に於いて、図1及び図2に示された部材と同一の部材にはこれらの図に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0049】
この実施形態に於いては、シートレール22は車輌後端の車体部材12の近傍まで延在しており、クロスメンバ24は左右一対のリヤフロアサイドメンバ14の後端部に固定的に連結されている。またシートレール22はシートブラケット20が設けられていない点を除き第一の参考例と同様の要領にてリヤフロアサイドメンバ14に固定されたリインフォースメントの水平の壁部に固定されている。
【0050】
後席シート32のシートバック40の下端及び上端の近傍の背面側にはそれぞれ図8に示されている如くシートバック40と車輌後端の車体部材12との間にてこれらに当接するよう下側エアバッグ48及び上側エアバッグ50を展開させるインフレータ52及び54が設けられている。展開状態に於ける下側エアバッグ48の大きさは上側エアバッグ50よりも大きい。インフレータ52及び54は後席シート32の下方に配置された例えばマイクロコンピュータの如き電子制御装置56により図9に示された制御フローに従って制御される。
【0051】
電子制御装置56には左右のリヤフロアサイドメンバ14の後端部に設けられた加速度センサ58L及び58Rより対応するリヤフロアサイドメンバ14の後端部の前後方向の加速度Gl 及びGr を示す信号、後席シート32の前脚部材34に設けられたポジションセンサ60より後席シート32の位置を示す信号、車輌後端の車体部材12に設けられた荷重センサ62より車輌がその後方より受ける荷重Pを示す信号、後席シート32のシート本体38内に配置された荷重検出式の乗員検知センサ64L及び64Rよりそれぞれ後席シートの左右の席に乗員が着座しているか否かを示す信号が入力されるようになっている。
【0052】
次に図9を参照して電子制御装置56によるインフレータ52及び54の制御について説明する。尚図9に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始される。
【0053】
まずステップ10に於いては、加速度センサ58L及び58Rにより検出されたリヤフロアサイドメンバ14の後端部の前後方向の加速度Gl 及びGr を示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては、乗員検知センサ64L及び64Rよりの信号に基づき後席シート32の左右の席の少なくとも一方に乗員が着座しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ30へ進む。
【0054】
ステップ30に於いては、ポジションセンサ60よりの信号に基づき後席シート32が予め設定された基準位置よりも後方にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ40へ進む。
【0055】
ステップ40に於いては、加速度センサ58Lにより検出された左側のリヤフロアサイドメンバ14の後端部の前後方向の加速度Gl が予め設定された基準値Glo以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ60へ進み、否定判別が行われたときにはステップ50へ進む。
【0056】
ステップ50に於いては、加速度センサ58Rにより検出された右側のリヤフロアサイドメンバ14の後端部の前後方向の加速度Gr が予め設定された基準値Gro以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ70へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ60へ進む。
【0057】
ステップ60に於いては、荷重センサ62により検出された荷重Pが基準値Po 以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ80に於いて下側エアバッグ48のみが展開され、肯定判別が行われたときにはステップ90に於いて下側エアバッグ48及び上側エアバッグ50の両方が展開される。
【0058】
同様にステップ70に於いては、荷重センサ62により検出された荷重Pが基準値Po 以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ90へ進み下側エアバッグ48及び上側エアバッグ50の両方が展開される。
【0059】
この実施形態に於いて、後席シート32に乗員が着座しており且つ後席シートが比較的後方に位置する状況に於いて、車輌が加害車により後突されリヤサイドメンバ14の後端部の加速度が高くなると、加速度センサ58R若しくは58Lにより検出される加速度Gl 若しくはGr が基準値以上になり、ステップ40又はステップ50に於いて肯定判別が行われる。後突車輌の前端の高さがそれほど高くないときには、荷重センサ62により検出される荷重Pが基準値以上にならないので、ステップ60に於いて否定判別が行われ、ステップ80に於いて下側エアバッグ48が展開される。また車輌が後突を受けると、シートレール22がリアフロアサイドメンバ14に対し相対的に車輌前方へ駆動され、これにより後席シート32全体が車体に対し相対的に車輌前方へ駆動される。
【0060】
従って図示の実施形態によれば、車輌の後突時には車輌後端の車体部材12とシートバック40との間に実質的に元の間隔が維持された状態で後席シート32全体を後突加害車より退避する方向へ移動させることができると共に、後突車輌による強大な衝撃が後席シート32及びこれに着座する乗員に作用することがエアバック48により防止されるので、第一の参考例の場合に比して更に一層効果的に乗員の安全性を向上させることができる。
【0061】
特に図示の実施形態によれば、後突車輌の前端の高さが比較的大きいときには、荷重センサ62により検出される荷重Pも基準値以上になり、ステップ60に於いて肯定判別が行われることにより、ステップ90に於いて下側エアバッグ48及び上側エアバッグ50の両方が展開されるので、前端の高さが比較的大きい車輌による後突を受ける場合にも後席シートに着座する乗員の安全を確実に確保することができる。
【0062】
また図示の実施形態によれば、後席シート32に乗員が着座していない場合にはステップ20に於いて否定判別が行われ、また後席シート32が比較的前方にあるときにはステップ30に於いて否定判別が行われ、これによりステップ40〜90は実行されないので、車輌が後突を受けても後席シートの乗員に危険が及ぶ虞れがない状況に於いてエアバッグが無駄に展開されることを防止することができる。
【0063】
図10は車輌の後部構造の第参考例を示す概略構成図、図11は図10に示されたシートベルトロック装置の縦断面図、図12は図11の線XII−XIIに沿う横断面図である。尚図10に於いて、図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0064】
この参考例に於いては、後席シート32にはそれぞれ左右の席に対応して一対の三点式のシートベルト装置66が設けられている。各シートベルト装置66は下端にて取り付け装置68によりシート本体38のアウトボード側の側部又は車体に固定されたシートベルト70を有している。シートベルト70はシートバック40のアウトボード側の側面の上端に設けられたシートベルトロック装置72及びその上方の車体部材74に固定されたスリップリング76を経てリトラクタ78まで延在している。
【0065】
シートベルト70の装着時にはその下端とシートベルトロック装置72との間の部分はシート本体38の左右方向中央部に設けられた図には示されていないストッパに固定されるようになっている。リトラクタ78はシートバック40よりアウトボード側且つ後方の車体部材に固定されており、フォースリミッタ機能、即ちシートベルト70に所定値以上の強大な張力が作用するとシートベルトの繰出しを許す機能を有している。
【0066】
図11及び図12に詳細に示されている如く、シートベルトロック装置72はケーシング74と該ケーシング内に回転可能に配置された一対の下側ガイドローラ76及び一対の上側ガイドローラ78とを有し、シートベルト70は下側ガイドローラ76と上側ガイドローラ78との間に於いては直線的に延在し、これらのガイドローラにより往復動可能に案内されるようになっている。シートベルト70の直線的に延在する部分70Aの車輌前方側には固定クランプ80が固定的に配置されており、固定クランプ80は部分70Aに近接してこれに沿って直線的に延在している。固定クランプ80の部分70Aに対向する側面には樹脂製の摩擦部材80Aが固定されている。
【0067】
部分70Aの車輌後方側には扇形をなす可動クランプ82が実質的に水平に延在する枢軸84により上下方向に揺動可能に枢支され、可動クランプ82はその上下に配置された引張りコイルばね86及び88により図示の標準位置に維持されるようになっている。可動クランプ82の部分70Aに対向する円弧面には樹脂製の摩擦部材81が固定されており、摩擦部材81は複数の逆止歯81A及び81Bを有している。
【0068】
可動クランプ82が図示の標準位置にあるときには逆止歯81A及び81Bは部分70Aより僅かに隔置されるが、可動クランプ82が枢軸84の周りに上下方向に枢動すると部分70Aに係合するよう、逆止歯81A及び81Bの高さは摩擦部材の中央部より上下方向の端部へ向かうにつれて漸次増大している。特に中央部より上方の逆止歯81Aは斜め上方へ突出し、逆に中央部より下方の逆止歯81Bは斜め下方へ突出している。
【0069】
可動クランプ82のインボード側には慣性錘90が車輌前後方向に往復動可能に配置されている。慣性錘90はその前後に配置された引張りコイルばね92及び94により図示の標準位置に維持されるようになっている。また慣性錘90は可動クランプ82へ向けて突出する丸棒状の突起90Aを有し、突起90Aは可動クランプ82のインボード側の側面に設けられた長溝96にこれに沿って往復動可能に嵌入している。長溝96はその前端より後端の方向に見て下方へ傾斜して延在している。
【0070】
このシートベルトロック装置72の慣性錘90がケーシング74に対し相対的に後方へ移動すると、突起90A及び長溝96のカム作用により可動クランプ82が枢軸84の周りに上方へ枢動し、中央部より下方の逆止歯81Bが部分70Aに逆止係合し、これにより可動クランプ82は固定クランプ80と共働して部分70Aがケーシング74内を上方へ移動することを阻止する。
【0071】
逆に慣性錘90がケーシング74に対し相対的に前方へ移動すると、突起90A及び長溝96のカム作用により可動クランプ82が枢軸84の周りに下方へ枢動し、中央部より上方の逆止歯81Aが部分70Aに逆止係合し、これにより可動クランプ82は固定クランプ80と共働して部分70Aがケーシング74内を下方へ移動することを阻止する。
【0072】
この参考例に於いても、車輌が加害車により後突されると、シートレール22が車輌前方へ移動され、これにより上述の実施形態の場合と同様の要領にて後席シート32全体が車輌前方へ移動されるので、後席シートの乗員の安全を確実に確保することができる。
【0073】
この場合後席シート32全体が車輌前方へ移動されると、シートベルト70の張力が増大することにより、乗員がシートベルト70によって挾圧される虞れがある。しかし図示の第参考例によれば、シートバック40の側面の上端にはシートベルトロック装置72が設けられており、車輌の後突時には慣性錘90がケーシング74に対し相対的に後方へ移動し、可動クランプ82が上方へ枢動し、シートベルト70の部分70Aがケーシング74内を上方へ移動することを阻止するので、車輌の後突時にシートベルトロック装置72より下方のシートベルト70の張力が過剰に増大することが阻止され、これにより乗員がシートベルト70によって挾圧されることを確実に防止することができる。
【0074】
特に図示の第参考例によれば、リトラクタ78はフォースリミッタ機能を有しており、車輌の後突時に後席シート32全体が車体に対し相対的に車輌前方へ移動され、シートベルトロック装置72とリトラクタ78との間のシートベルト70に強大な張力が作用すると、リトラクタ78はシートベルトを繰り出すので、車輌の後突時に後席シート全体が車輌前方へ移動することがシートベルト70によって阻害されることを確実に防止することができる。
【0075】
図13は車輌の後部構造の第参考例を示す概略構成図である。尚図13に於いて、図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0076】
この参考例は後席シート32が固定式のシートである車輌に適しており、この参考例に於いては、リヤフロアサイドメンバ14には上述の実施形態に於けるシートレール22と同様の要領にて駆動部材98が固定されている。駆動部材98はリヤフロアサイドメンバ14に沿って延在し、後端に上方へ向けて突出する突起98Aを有している。
【0077】
後席シート32の後脚部材36は下端にて車体に固定され、上端にて枢軸100によりシート本体38の後端部を枢支している。一方前脚部材34は上端にて枢軸102によりシート本体の前端部に枢着され、下端にて枢軸104により駆動部材98の前端に枢支されている。
【0078】
この参考例に於いては、車輌が加害車により後突されることによって駆動部材98が車輌前方へ移動され、前脚部材34の下端が駆動部材98により車輌前方へ移動されると、シート本体38の前端部が下方へ移動し、これにより図13に於いて矢印にて示されている如く、シート32全体が枢軸100の周りに枢動する。従って図示の第参考例によれば、シートバック40及び乗員の上半身を確実に加害車より退避する方向へ車体に対し相対的に移動させることができ、これにより車輌の後突時に於ける後席シート乗員の安全性を向上させることができる。
【0079】
特に図示の第参考例によれば、車輌の後突時には後席シート32全体が車輌前方へ枢動されるので、シートバック40のみが枢動される場合に比して乗員の腰部に対する負担を軽減することができる。また後席シート32は車輌の後突時にシート本体38の後端部の周りに車輌前方へ枢動するので、例えば後席シートがシート本体の前端部の周りに枢動する場合に比して、乗員が車体に対し相対的に前方且つ上方へ過剰に移動される虞れを低減することができる。
【0080】
図14及び図15はそれぞれ車輌の後部構造の第参考例を後突前の状態及び後突後の状態について示す概略構成図である。尚これらの図に於いて、図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0081】
この参考例に於いては、後席シート32の前脚部材34の下端はリインフォースメントの如き車体部材に固定されたブラケット106に枢軸106Aにより枢支され、後脚部材36は上側リンク108と下側リンク110とよりなり、これらのリンクは車輌後方へ向けて屈曲する「く」の字状をなしている。上側リンク108の上端は枢軸112によりシート本体38の後端部に枢着され、その下端は枢軸114により下側リンク110の上端に枢着され、下側リンク110の下端はリインフォースメントの如き車体部材に固定されたブラケット116に枢支されている。
【0082】
後脚部材36の車輌後方には駆動リンク118及び駆動部材120が配置されている。駆動リンク118はその前端より後端の方向に見て下方へ傾斜して延在しており、前端にて枢軸114により上側リンク108の下端及び下側リンク110の上端に枢着され、後端にて枢軸122により駆動部材120の前端に枢支されている。駆動部材120はリヤフロアサイドメンバ14に沿って車輌前後方向に延在し、後端に上方へ向けて突出する突起120Aを有している。
【0083】
尚駆動部材120は第参考例に於ける駆動部材98と同様の要領にてリヤフロアサイドメンバ14に取り付けられている。また図14及び図15には示されていないが、駆動リンク118の前端が車輌前方へ移動することにより上側リンク108及び下側リンク110が相対的に枢動する場合にも、それら二つのリンクが実質的に一直線状をなす位置を越えて枢動することがないよう、上側リンク108の下端及び下側リンク110の上端には互いに共働して所定量以上の枢動を規制するストッパが設けられている。
【0084】
この参考例に於いて、車輌が加害車により後突されることによって駆動部材120が車輌前方へ移動され、駆動リンク118が駆動部材120により車輌前方へ移動されると、枢軸114が車輌前方へ移動され、これにより上側リンク108及び下側リンク110は図15に示されている如く実質的に互いに一直線状をなす位置まで互いに他に対し相対的に枢動する。
【0085】
従って図示の第参考例によれば、車輌の後突時には上側リンク108及び下側リンク110により後席シート32のシート本体38の後端部が上方へ駆動され、これにより後席シート32全体が前脚部材34の下端の枢軸106Aの周りに車輌前方へ枢動されるので、後席シートの乗員を確実に加害車より退避する方向へ車体に対し相対的に移動させることができる。
【0086】
特に図示の第参考例によれば、上側リンク108及び下側リンク110は車輌前方へ向けて屈曲する「く」の字状をなす位置まで枢動することがないので、車輌の後突時に後席シート32が車輌前方へ枢動された後上側リンク108及び下側リンク110が過剰に相対枢動することによって車輌後方へ枢動されることに起因して後席シート32及びその乗員が後突加害車により変形された車輌後端の車体部材に打ちつけられる虞れを確実に低減することができる。
【0087】
図16は車輌の後部構造の第参考例を示す概略構成図、図17は図16に示された支持部材を示す拡大断面図である。尚図16に於いて、図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0088】
この参考例に於いては、後席シート32の前脚部材34及び後脚部材36は上述の実施形態の場合と同様の要領にてシートレール22に固定されるようになっている。また後席シート32のシートバック40の側面の上端近傍には支持アーム124の前端が枢着され、支持アーム124の後端は車輌前後方向に延在する支持部材126に枢支されるようになっている。支持アーム124はその前端より後端の方向に見て下方へ傾斜して延在している。
【0089】
特に図示の参考例に於いては、支持アーム124の上端にはボールジョイント128が取り付けられており、シートバック40のフレーム部材の側面の上端部にはその長手方向に沿って延在する長孔130が設けられている。ボールジョイント128のシャフト部は長孔130に沿って上下方向に移動可能に且つこれより脱落することがないよう長孔に挿通されている。
【0090】
また支持部材126は車体の側面部材及び車輌後端の車体部材に固定的に取り付けられている。支持部材126はその長手方向に延在する長孔132を有しており、長孔132には一端に調節ノブ134を有するボルト136が挿通されている。ボルト136の他端にはナット138が螺合し、ナット138は支持部材126のアウトボード側の側面に設けられたガイド溝126Aに沿って車輌前後方向に移動し得るようになっている。
【0091】
従ってこの参考例に於いては、調節ノブ134によりボルト136を緩めて支持アーム124の後端の位置を調節し、しかる後調節ノブ134を締め付けることにより、図14に於いて破線及び仮想線にて示されている如くシートバック40の後傾角を任意に調節することができる。尚長孔132は支持部材126の長手方向に沿って互いに隔置された複数個の孔に置き換えられ、支持アーム124の後端に固定されたシャフトがそれらの孔に選択的に挿入されることによりシートバック40の後傾角が調節されるよう修正されてもよい。
【0092】
この参考例に於いて、車輌が加害車により後突され、支持部材126が車輌前方へ移動されると、下端にて支持部材に枢支された支持アーム124が車輌前方且つ上方へ駆動され、これにより後席シート32のシートバック40が枢支装置39の周りに車輌前方へ枢動される。
【0093】
従って図示の第参考例によれば、車輌の後突時には後席シート32のシートバック40及び乗員の上半身を確実に加害車より退避する方向へ車体に対し相対的に移動させることができるので、シートバックが車輌前方へ枢動されない場合に比して確実に後席シート乗員の安全性を向上させることができる。
【0094】
また一般に、後席シート32のシートバック40の後傾角が大きいほど車輌の後突時に乗員が受ける衝撃が大きく且つ後突の影響をその早期に受け易いが、特に図示の第参考例によれば、シートバック40の後傾角が大きいほど支持アーム124の後端が車輌後方に位置し、支持アーム124の後端の位置が車輌後方であるほど車輌の後突時に早期に支持アームが車輌前方且つ上方へ駆動されるので、後突の影響が強く且つ早期に現れ易いほどシートバック40を早期に且つ効果的に車輌前方へ枢動させることができる。
【0095】
尚後突加害車による後突の影響が車輌の後端の下方部に於いても比較的強い場合には、支持部材126のみならずシートレール122も車輌前方へ移動されるので、かかる場合にはシートバック32全体が車輌前方へ移動されると共にシートバック40がシート本体38に対し前方へ枢動される。
【0096】
図18及び図19はそれぞれ車輌の後部構造の第参考例を示す概略構成図及び平面図である。尚これらの図に於いて、図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0097】
この参考例に於いては、シートレール22はリヤフロアサイドメンバ14に固定されたリインフォースメントに剛固に取り付けられており、後席シート32の前脚部材34及び後脚部材36は取り付け装置140によりシートレール22に取り付けられている。図には詳細に示されていないが、取り付け装置140は電動機の如き電気的駆動装置を含み、これにより必要に応じて後席シート32をシートレール22に沿ってこれに対し相対的に車輌前後方向へ自動的に移動させ得るようになっている。また図には示されていない位置調節装置により取り付け装置140自体の車輌前後方向位置を調節することにより後席シート32の位置を手動的に調節し得るようになっている。
【0098】
またリヤバンパ26の左右の両端近傍及び中央にはそれぞれ無線式のプリクラッシュセンサ142〜146が設けられている。プリクラッシュセンサ142〜146は例えば超音波や電波により車輌後方の物体の存在及びその物体までの距離D1 〜D3 を検出するようになっている。プリクラッシュセンサ142〜146により検出された距離D1 〜D3 を示す信号及び車速センサ148により検出された車速Vを示す信号は電子制御装置150へ入力される。
【0099】
電子制御装置150はプリクラッシュセンサ142〜146により検出されたは距離D1 〜D3 に基づき例えばそれらの最小値として後方の車輌152までの距離Dを演算し、例えば距離Dの時間微分値Dd と車速センサ148により検出された車速Vとの偏差Dd −Vとして後方の車輌152の相対速度Vreを演算し、距離D1 〜D3 の大きさの関係に基づき車輌154に対する後方の車輌152の左右方向のオフセット量Os を演算し、これらに基づき後突の危険性を予測し、後突の危険性が予め設定された基準値以上になると警報装置156を作動させると共に、取り付け装置140を作動させて後席シート32を車輌前方へ移動させるようになっている。
【0100】
更にこの参考例に於いては、後席シート32のシートバック40の背面には例えばウレタンの如きエネルギ吸収材よりなるエネルギ吸収部材158が取り外し可能に取り付けられており、エネルギ吸収部材158の厚さは上端より下端へ向かうにつれて漸次大きくなるよう設定されている。
【0101】
かくして図示の第参考例によれば、後突の危険が発生すると、警報装置156が作動されることによって車輌の乗員に後突の虞れがある旨の警報が発せられると共に、後席シート32全体が取り付け装置140により車輌前方へ自動的に移動される。従ってこの参考例によれば、車輌が実際に後突を受ける直前に後席シート32及びその乗員を後突加害車より退避する方向へ自動的に移動させ、これにより乗員の安全性を向上させることができる。
【0102】
特に図示の第参考例によれば、シートバック40の背面にはエネルギ吸収部材158が取り付けられているので、このエネルギ吸収部材によっても後席シートの乗員が後突加害車より受ける衝撃を緩和することができ、またエネルギ吸収部材158は取り外し可能であるので、例えば必要に応じて後席シート32の後方に荷物等を積載するための空間を確保することができる。
【0103】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0104】
例えば上述の実施形態及び第一、第二、参考例に於いては、後席シート32はスライド式に前後方向の位置を調節し得るようになっているが、後席シートは例えばシートレール22に固定的に取り付けられていてもよい。
【0105】
また上述の実施形態及び各参考例に於いては、後席シート32のシートバック40は枢支装置39により後傾角を調節し得るようになっているが、車輌の後突時に後席シート全体が後突加害車より退避する方向へ移動される実施形態及び第一、第二、参考例に於いては、後席シートはそのシートバック40の後傾角が一定に固定された構造のものであってよい。
【0106】
更にシートバック40の背面に固定されるエネルギ吸収部材158は第参考例に於いてのみ設けられているが、これと同様のエネルギ吸収部材が上述の実施形態及び第一乃至第五参考例に於いても設けらてよい。
【0107】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、本発明の請求項1の構成によれば、車輌の後突時にはシートバックとその後方に位置する車輌後端の車体部材との間にエアバッグが展開されることにより、エアバッグによってシートバックと車輌後端の車体部材との間に確実に空間が確保されるので、乗員シートに着座する乗員が後突加害車による強大な衝撃を受ける虞れを効果的に低減し、これにより後突時に於ける乗員の安全性を更に一層向上させることができる。
【0108】
また請求項2の構成によれば、エアバッグ装置はシートバックの下方部に設けられているので、車輌の後突時にシートバックの下方部と車体部材との間に確実に空間を確保することができる。
【0109】
また請求項3の構成によれば、エアバッグ装置はシートバックの上方部に設けられているので、車輌の後突時にシートバックの上方部と車体部材との間に確実に空間を確保することができる。
【0110】
また請求項4の構成によれば、エアバッグ装置はシートバックの下方部に設けられた下側エアバッグ装置とシートバックの上方部に設けられた上側エアバッグ装置とよりなっているので、車輌の後突時にシートバックの下方部及び上方部と車体部材との間に確実に間隔を開けることができると共に、乗員が加害車による強大な衝撃を受ける虞れを更に一層効果的に低減することができる。
【0111】
また請求項5の構成によれば、車輌の後突時に荷重センサにより検出された荷重が基準値未満であるときには下側エアバッグ装置のエアバッグのみが展開され、車輌の後突時に荷重センサにより検出された荷重が基準値以上であるときには下側エアバッグ装置及び上側エアバッグ装置のエアバッグが展開されるので、車輌の後突時に加害車より受ける衝撃が低いときには下側エアバッグ装置のエアバッグのみを展開させ、車輌の後突時に加害車より受ける衝撃が高いときには下側エアバッグ装置及び上側エアバッグ装置のエアバッグを展開させることができる。
【0112】
また請求項6の構成によれば、位置センサにより検出された乗員シートの位置が基準位置よりも前方であるときには車輌の後突時にもエアバッグ装置のエアバッグが展開されないので、車輌が後突を受けても乗員に危険が及ぶ虞れがない状況に於いてエアバッグが無駄に展開されることを防止することができる。
【0113】
また請求項7の構成によれば、乗員シートは前後方向の位置を調節可能にシートレールに固定されており、車輌の後突時にはシートレールが車輌前方へ移動されることにより乗員シートが車輌前方へ移動されるので、車輌の後突時にシートレールが車輌前方へ移動されない場合に比して乗員シートを確実に加害車より退避する方向へ車体に対し相対的に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 輌の後部構造の第一の参考例を後突前の状態について示す概略構成図である。
【図2】 輌の後部構造の第一の参考例を後突後の状態について示す概略構成図である。
【図3】 図1に示された要部を示す拡大部分図である。
【図4】 図2に示された要部を示す拡大部分図である。
【図5】 図3の線V−Vに沿う拡大断面図である。
【図6】 第一の参考例の要部の分解斜視図である。
【図7】 本発明による車輌の後部構造の実施形態を後突前の状態について示す概略構成図である。
【図8】 施形態を後突後の状態について示す概略構成図である。
【図9】 施形態の電子制御装置による制御を示すフローチャートである。
【図10】 輌の後部構造の第参考例を示す概略構成図である。
【図11】 図10に示されたシートベルトロック装置の縦断面図である。
【図12】 図11の線XII−XIIに沿う横断面図である。
【図13】 輌の後部構造の第参考例を示す概略構成図である。
【図14】 輌の後部構造の第参考例を後突前の状態について示す概略構成図である。
【図15】 第参考例を後突後の状態について示す概略構成図である。
【図16】 輌の後部構造の第参考例を示す概略構成図である。
【図17】 図16に示された支持部材を示す拡大断面図である。
【図18】 輌の後部構造の第参考例を示す概略構成図である。
【図19】 第参考例を示す平面図である。
【符号の説明】
10…後輪
12…車輌後端の車体部材
14…リヤフロアサイドメンバ
16…リインフォースメント
18…フロアパン
20…シートブラケット
22…シートレール
24…クロスメンバ
32…乗員用後席シート
38…シート本体
40…シートバック
44…後突加害車
48、45…エアバッグ
52、54…インフレータ
56…電子制御装置
66…シートベルト装置
70…シートベルト
72…シートベルトロック装置
76…スリップリング
78…リトラクタ
98…駆動部材
108…上側リンク
110…下側リンク
118…駆動リンク
120…駆動部材
124…支持アーム
126…支持部材
140…取り付け装置
142〜146…プリクラッシュセンサ
150…電子制御装置

Claims (7)

  1. 車輌の後端に近接して配置された乗員シートを有する車輌の後部構造にして、前記乗員シートのシートバックに設けられ車輌の後突時に前記シートバックとその後方に位置する車輌後端の車体部材との間にエアバッグを展開するエアバッグ装置と、前記エアバッグの展開を制御する制御手段とを有することを特徴とする車輌の後部構造。
  2. 前記エアバッグ装置は前記シートバックの下方部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車輌の後部構造。
  3. 前記エアバッグ装置は前記シートバックの上方部に設けられていることを特徴とする請求項に記載の車輌の後部構造。
  4. 前記エアバッグ装置は前記シートバックの下方部に設けられた下側エアバッグ装置と前記シートバックの上方部に設けられた上側エアバッグ装置とよりなっていることを特徴とする請求項に記載の車輌の後部構造。
  5. 前記制御手段は前記車体部材に設けられ車輌が後方より受ける荷重を検出する荷重センサを含み、車輌の後突時に前記荷重センサにより検出された荷重が基準値未満であるときには前記下側エアバッグ装置のエアバッグのみを展開させ、車輌の後突時に前記荷重センサにより検出された荷重が前記基準値以上であるときには前記下側エアバッグ装置及び前記上側エアバッグ装置のエアバッグを展開させることを特徴とする請求項に記載の車輌の後部構造。
  6. 前記制御手段は前記乗員シートの位置を検出する位置センサを含み、前記位置センサにより検出された前記乗員シートの位置が基準位置よりも前方であるときには車輌の後突時にも前記エアバッグ装置のエアバッグを展開させないことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の車輌の後部構造。
  7. 前記乗員シートは前後方向の位置を調節可能にシートレールに固定されており、車輌の後突時には前記シートレールが車輌前方へ移動されることにより前記乗員シートが車輌前方へ移動されることを特徴とする請求項1乃至の何れか一つに記載の車輌の後部構造。
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