JP4099760B2 - 車両用シート装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートの向きを着席者の好みに応じて変更可能な車両用シート装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
シート本体を車室のフロア（床）に対して回転可能とさせ、シートの向きを着席者の好みの方向とさせる装置は知られている。
特開２００２−６７７５４号公報は、車両用シートの回転調整機構を提案するが、この機構１は図５に示す如く、フロア２に固定されかつ環状の略逆Ｕ字状の係合摺動部３を備えるロアベース４と、ロアベース４に対して転動部材５を介して回動自在に支持されかつシート本体を保持するアッパベース６とを有す。
【０００３】
アッパベース６には、環状の略Ｕ字状の摺動部７を備えるホルダー部材８を設ける。ロアベース４の係合摺動部３とホルダー部材８の摺動部７が別の転動部材を介して摺動関係に保持される。図５に示す如く、係合摺動部３の外側壁部が摺動部７の対向側壁部間に位置する。
【０００４】
ロアベース４に対するアッパベース６の固定関係は、アッパベース６に枢支された回転自在な操作レバー１０のロック爪１１を、ロアベース４の係合摺動部３の外側壁部に穿けたロック孔１２と、ホルダー部材８の摺動部７の内側壁部に穿けた係合孔１３に挿入することで得ている。
【０００５】
【特許文献１】
特開２００２−６７７５４号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ロアベース４の長方形のロック孔１２は、プレスやパンチ加工により穿設されるが、その加工のためロアベース４の内側壁部に作業孔１４を必要としている。この作業孔１４はロアベース４の強度の低下を招く。
【０００７】
加えて、ホルダー部材８の係合孔１３は、ロアベース４の強度低下を補うため、ロック爪１１の係合強度を補足させるに適した板厚の部分に穿けられたものである必要がある。このため、ホルダー部材の板厚を厚くするが、これは、ホルダー部材に対するアッパ部材の強度低下がみられることから、アッパ部材の板厚増加を招くことになる。かくして、シート装置の重量増加を招いている。
【０００８】
それ故に、本発明は前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、ロアベースの外側壁部のロック孔に対向する内側壁部に、該内側壁部と底壁部とを結合するフランジ部を形成する手段を採用する。
この手段の採用は、ロアベースの係合摺動部の強度の低下はなく、アッパベースのロアベースへの固定関係を好ましい状態に保つのに有効である。
好ましくは、フランジ部をロアベースの前記以外の位置の適所にも付加する。
【００１０】
さらに、本発明によれば、アッパベースのロアベースへのロック／アンロック状態を得るための操作レバーをホルダー部材の下面に支持する。この手段は、ホルダー部材の摺動部に対の係合孔を設け、アッパベースのロアベースへの固定関係を確実なものとするのに有効である。
好ましくは、操作レバーのロック爪をホルダー部材の水平壁部に設けた凹部に配す。
【００１１】
本発明によれば、車両のフロアに固定される環状のロアベースと、ロアベースに対して回動自在に配される環状のアッパベースと、アッパベースに固定された環状のホルダー部材と、ホルダー部材に回動自在に支持されかつロック爪を有する操作レバーとを備え、ロアベースが、外側壁部と内側壁部とで構成される環状の係合摺動部と、外側壁部に穿設しかつロック爪が挿入自在なロック孔と、該ロック孔と対向する内側壁部に径方向内方に膨出したフランジ部を有することを特徴とする車両用シート装置が提供される。
【００１３】
【発明の実施の形態】
車両用シート装置２１は、車両のフロアに固定される環状のロアベース２２と、シート本体（図示なし）を保持する環状のアッパベース２３と、アッパベース２３にビス２４を用いて固定される環状のホルダー部材２５とを有し、ホルダー部材２５にピン２６とスプリング２７を用いて操作レバー２８を、ホルダー部材２５に対して回動自在に保持する。
スプリング２７は、ピン２６に固定された操作レバー２８を、アッパベース２３をロアベース２２に対して固定関係とさせるロック方向に付勢する。操作レバー２８はロック爪２９を有す。
【００１４】
図２と図３にロアベース２２にアッパベース２３とホルダー部材２５とを組み付けた状態の断面を示す。
ロアベース２２は、環状の断面略逆Ｕ字状の係合摺動部３０を有し、該係合摺動部３０とアッパベース２３との間にはリング状の第１転動部材３１を配す。第１転動部材３１は、ロアベース２２に対するアッパベース２３の回動を容易にさせる。
ロアベース２２の係合摺動部３０は、環状の外側壁部３２と内側壁部３３とより構成される。
【００１５】
アッパベース２３にビス２４を用いて固定されるホルダー部材２５は、環状の摺動部３４を有し、摺動部３４は環状の外側壁部３５と環状の内側壁部３６とで構成され、内側壁部３６とロアベース２２の内側壁部３３との間に第２転動部材３７を配す。係合摺動部３０の外側壁部３２が摺動部３４の両側壁部３５，３６間に位置する。
【００１６】
図３に示すように、ロアベース２２の外側壁部３２に、ロック爪２９を通すロック孔３８を穿設する。ロック孔３８と対向するホルダー部材２５の内外側壁部３５，３６に第１と第２の係合孔３９，４０を穿設する。ロック爪２９が両係合孔３９，４０に挿入可能となっている。
ホルダー部材２５の環状水平部４１における対の係合孔３９，４０と対応する箇所には、上方に凹設された状態となる凹部４１ａが設けられている。そして、操作レバー２８は、ホルダー部材２５の環状水平部４１の下面において、ロック爪２９が凹部４１ａに位置するように配されている。このため、対の係合孔３９，４０をホルダー部材２５の摺動部３４に容易かつ確実に穿設できる。これは、係合孔３９，４０の中心と凹部の頂壁との間にスペースをとれることから、穿孔作業を容易にし、かつロック爪２９のロアベース２２とホルダー部材２５への係合を確実なものとする。
【００１７】
ロアベース２２の内側壁部３３と底壁部４２とを結ぶフランジ部４３を、少なくともロック孔３８と対向するよう形成する。フランジ部４３は、プレス加工により、内側壁部３３の一部を径方向へ少なくともロック爪２９の幅よりやや大の幅に塑性変形させることで形成される。
【００１８】
フランジ部４３は、図４に示すように、適所に複数個形成して、ロアベース２２の係合摺動部３０の強度を高めると良い。
フランジ部４３は、ロアベース２２の係合摺動部３０のプレス加工成形時に加工でき、図３で見て、傾斜壁部と内側壁部３３と底壁部４２とで三角形状を作るものである。
【００１９】
以上から明らかなように、フランジ部の形成は、従来必要としていたパンチの逃げ孔を不用とし、しかも、ロアベースの強度向上を可能にする。さらに、操作レバーをホルダー部材に回動自在に保持しているので、ロック爪をホルダー部材の摺動部の対向側壁部の両方に係合でき、アッパベースのロアベースへのロック状態を確実なものとする。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一例のシート装置の分解斜視図である。
【図２】ホルダー部材への操作レバーの取付状態を示す断面図である。
【図３】ロアベースのフランジ部を示す断面図である。
【図４】ロアベースを裏から見た斜視図である。
【図５】ロック爪がロック孔に挿入された従来の例を示す断面図である。
【符号の説明】
２２ ロアベース
２３ アッパベース
２５ ホルダー部材
２８ 操作レバー
２９ ロック爪
３０ 係合摺動部
３１，３７ 転動部材
３２，３３，３５，３６ 側壁部
３４ 摺動部
３８ ロック孔
３９，４０ 係合孔
４２ 底壁部
４３ フランジ部
Claims (4)
- 車両のフロアに固定される環状のロアベースと、ロアベースに対して回動自在に配される環状のアッパベースと、アッパベースに固定された環状のホルダー部材と、ホルダー部材に回動自在に支持されかつロック爪を有する操作レバーとを備え、ロアベースが、外側壁部と内側壁部とで構成される環状の係合摺動部と、外側壁部に穿設しかつロック爪が挿入自在なロック孔と、前記内側壁部において前記ロック孔と対応する箇所に、前記ロック孔の内周形状よりも大きな開口縁を有する凹所を構成するべく径方向内方に膨出したフランジ部を有することを特徴とする車両用シート装置。
- フランジ部がロアベースの内側壁部と底壁部とを結合する斜めに延在する結合壁を有する請求項１記載の車両用シート装置。
- 前記ホルダー部材は水平方向に延びる水平壁部を有し、その水平壁部の下面に前記操作レバーを配したことを特徴とする請求項１又は２に記載の車両用シート装置。
- 前記ホルダー部材は、前記水平壁部の中心側端から下方に延びる外側壁部と、その外側壁部の下端から該外側壁部と離間対向して上方に延びる内側壁部とを有する断面Ｕ字状の摺動部を備え、それら側壁部には前記ロック爪を挿入自在な係合孔が形成され、且つ前記水平壁部の中心側端において該係合孔と対応する箇所に、上方に凹設された凹部を有することを特徴とする請求項３に記載の車両用シート装置。
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