JP4099550B2 - ディスクドライブ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はディスクドライブ装置に関わり、特に対物レンズのトラッキング方向における基準位置に対する視野位置の変移を示す中点エラー信号を利用して、記録又は再生動作に関する所要の制御処理を実行可能なディスクドライブ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばパーソナルコンピュータなどに用いられる各種データやプログラムなどの記録媒体として、CD−ROMなどをはじめとするディスク状の記録媒体(以下、単にディスクという)が知られている。
また、上記CD−ROMが再生専用であってデータ記録は不可とされるのに対して、MO(Magnet Optical)等の光磁気ディスクなどのディスクでは、データの記録が可能とされている。
【0003】
そして、上記各ディスクメディアに対応して再生、又は記録再生が可能なディスクドライブ装置も広く知られてきている。このようなディスクドライブ装置では、光学ピックアップの光学系を形成する対物レンズを出力端としてレーザ光をディスクの信号面に対して照射することで、ディスクに対するデータの記録再生を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなディスクドライブ装置においては、対物レンズのトラッキング方向における視野位置として、例えば対物レンズの中立位置(ここではトラッキング方向に対して対物レンズが駆動されていない状態で駆動機構に支持されている状態でのトラッキング方向における位置をいう)からの変移量を示す中点エラー信号を生成する機能を備え、この中点エラー信号に基づいて記録再生に関して所要の制御処理を実行するように構成されたものが知られている。
【0005】
ところが、例えばディスクの光反射率による変調度がディスクごとに異なったり、光学ピックアップの特性が機器ごとに相違すること等によって、上記中点エラー信号の感度、即ち、対物レンズの実際の単位移動量あたりの中点エラー信号の変化量は一義的ではないことが分かっている。
このため、実際に中点エラー信号として得られる情報としては、かなり精度の低いレベルでの対物レンズの位置状態を示すことしかできない。従って、このような中点エラー信号に基づいて所要の制御処理を実行したとしても、その制御処理の種類によっては、その正確性及び安定性などが不充分となる可能性がある。
【0006】
このような事情を考慮すれば、中点エラー信号に基づいて得られる対物レンズの位置情報について、これまでよりも正確な情報が得られるようにし、より正確で安定的な中点エラー信号に基づく制御処理が実行されるようにすることが好ましいことになる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記した課題を考慮して、ディスク状記録媒体に対してレーザ光を照射する対物レンズの位置状態として、トラッキング方向に沿って対物レンズを駆動可能に支持する駆動機構による駆動が行われない中立状態での視野位置を基準位置として、トラッキング方向おける基準位置に対する視野位置の変移を示す中点エラー信号を出力する中点エラー信号出力手段と、中点エラー信号の感度として、対物レンズの単位移動量あたりの中点エラー信号の変化量を検出する信号感度検出手段と、装填されたディスク状記録媒体の偏心量を検出する偏心量検出手段と、中点エラー信号に基づいて、ディスク状記録媒体の記録又は再生に関する所要の制御処理を実行する制御処理手段とを備え、 上記信号感度検出手段は、上記偏心量検出手段と、上記レーザ光をディスク状記録媒体に形成されているトラックに対してトレースさせるように対物レンズのトラッキング方向における位置状態を制御するトラッキングサーボ制御が実行されている状態のもとで、ディスク状記録媒体の1回転周期に対応して得られる中点エラー信号の振幅変化量を検出する中点エラー信号振幅検出手段とを備えて、上記偏心量検出手段により検出された偏心量と、上記中点エラー信号振幅検出手段により検出された中点エラー信号の振幅変化量とに基づいて、対物レンズの単位移動量あたりの中点エラー信号の変化量を検出するように構成され、上記制御処理手段は、上記中点エラー信号の変化量に基づいて中点エラー信号のレベルに対応する上記対物レンズのトラッキング方向における基準位置に対する移動距離を得て、この移動距離の情報に基づいて上記所要の制御処理を実行可能に構成することとした。
【0008】
上記構成によれば、検出された中点エラー信号の感度に基づき、中点エラー信号のレベルに対応する上記対物レンズのトラッキング方向における視野位置を正確に把握することが可能となる。そして、中点エラー信号に基づいて実行すべき制御処理としては、上記のようにして得られた対物レンズの正確な視野位置の情報を利用することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態としては、例えば少なくともCD−ROMについての再生が可能な再生装置として構成されるディスクドライバを例に挙げることとする。
なお、以降の説明は次の順序で行うこととする。
1.ディスクドライバ
2.RF信号に基づく中点エラー信号の生成
3.中点エラー信号の感度検出(第1例)
4.中点エラー信号の感度検出(第2例)
5.中点エラー信号を利用した制御処理例
5−1.中点サーボ
5−2.スレッドサーボ
5−3.対物レンズの異常監視
6.変形例(中点センサによる中点エラー信号の生成)
【0010】
1.ディスクドライバ
図1は、本実施の形態のディスクドライブ装置の再生回路系及びサーボ系の要部の構成を示すブロック図である。
この図に示すディスクDは、ターンテーブル7に載せられて再生動作時においてスピンドルモータ6によって一定線速度(CLV)もしくは一定角速度(CAV)で回転駆動される。そして光学ピックアップ1によってディスクDの信号面に記録されているデータの読み出しが行われる。
この場合、スピンドルモータ6には、このスピンドルモータ6の回転速度に同期した周波数信号をFGパルスとして出力するスピンドルFG(Frequency Generator)6aが設けられている。この場合、FGパルスはサーボプロセッサ14に入力されるようになっている。
【0011】
光学ピックアップ1は、レーザ光の光源となるレーザダイオード4と、偏向ビームスプリッタや対物レンズ2からなる光学系、及びディスクに反射したレーザ光を検出するためのフォトディテクタ5等が備えられて構成されている。ここで、対物レンズ2は、二軸機構3によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に支持されている。
【0012】
当該ディスクドライブ装置の再生動作によって、ディスクDから反射されたレーザ光はフォトディテクタ5によって受光電流として検出される。そして、この受光電流をディスクから読み出した情報信号としてRFアンプ9に対して出力する。
RFアンプ9は、電流−電圧変換回路、増幅回路、マトリクス演算回路(RFマトリクスアンプ)等を備え、フォトディテクタ5からの信号に基づいて必要な信号を生成する。例えば再生データであるRF信号、サーボ制御のためのプッシュプル信号PP、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、いわゆる和信号であるプルイン信号PIなどを生成する。
【0013】
フォトディテクタ5としては図2(a)のような向きで、検出部A,B,C,Dから成る4分割ディテクタ5aが設けられており、この場合フォーカスエラー信号FEは検出部A,B,C,Dの出力について、(A+C)−(B+D)の演算により生成される。またプルイン信号PI=(A+B+C+D)となる。
また、この4分割ディテクタ5aでプッシュプル信号PPを生成する場合は、図2(b)に示すようにディテクタ5aの検出部A,B,C,Dの出力について、差動アンプ5bで(A+D)−(B+C)の演算を行うことにより生成することができる。
また、トラッキングエラー信号TEはいわゆる3ビーム方式を考えれば、図2に示した4分割ディテクタとは別にサイドスポット用のディテクタE,Fを用意し、E−Fの演算で生成してもよい。
【0014】
RFアンプ9で生成された各種信号は、二値化回路11、サーボプロセッサ14に供給される。即ちRFアンプ9からの再生RF信号は二値化回路11へ、プッシュプル信号PP、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、プルイン信号PIはサーボプロセッサ14に供給される。
【0015】
特に、本実施の形態のRFアンプ9においては、ここで得られるトラッキングエラー信号TEに基づいて、中点エラー信号Cenを生成可能に構成される。そして、システムコントローラ10は、この中点エラー信号に基づいて各種所要の制御処理を実行可能に構成されるのであるが、これらの事項については後述する。
【0016】
RFアンプ9から出力される再生RF信号は二値化回路11で二値化されることでいわゆるEFM信号(8−14変調信号)、或いはEFM+信号(8−16変調信号)とされ、デコーダ12に対して供給される。
【0017】
デコーダ12ではEFM復調、又はEFM+復調,CIRCデコード等を行いディスクDから読み取られた情報の再生を行う。そして、デコーダ12によりデコードされたデータはインターフェース部13を介して、図示しないホストコンピュータなどに供給される。
また、デコーダ12においては、供給されたEFM信号又はEFM+信号を内部のPLL回路に入力することで、EFM信号又はEFM+信号のチャンネルビット周波数に同期した周波数信号に依る再生クロックを抽出する。この再生クロックは、例えばデコーダ12内部の信号処理タイミングの基準となる基準クロックとして利用され、また、このクロックからディスク回転速度情報を得る。このディスク回転速度情報は光学ピックアップ1から出力されるレーザスポットと、記録ピットが形成されているトラックとの相対的な速度を示す。
【0018】
サーボプロセッサ14は、RFアンプ9からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、プッシュプル信号PP等から、フォーカス、トラッキング、スレッド、スピンドルの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。即ちフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてフォーカスドライブ信号FDR、トラッキングドライブ信号TDRを生成し、二軸ドライバ16に供給する。
【0019】
二軸ドライバ16は、例えばフォーカスコイルドライバ16a、及びトラッキングコイルドライバ16bを備えて構成される。フォーカスコイルドライバ16aは、上記フォーカスドライブ信号FDRに基づいて生成した駆動電流を二軸機構3のフォーカスコイルに供給することにより、対物レンズ2をディスク面に対して接離する方向に駆動する。トラッキングコイルドライバ16bは、上記トラッキングドライブ信号TDRに基づいて生成した駆動電流を二軸機構3のトラッキングコイルに供給することで、対物レンズ2をディスク半径方向に沿って移動させるように駆動する。
これによって光学ピックアップ1、RFアンプ9、サーボプロセッサ14、二軸ドライバ16によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0020】
またサーボプロセッサ14は、後述するスピンドルモータドライバ17に対して、スピンドルエラー信号SPEから生成したスピンドルドライブ信号を供給する。スピンドルモータドライバ17はスピンドルドライブ信号に応じて例えば3相駆動信号をスピンドルモータ6に印加し、スピンドルモータ6が所要の回転速度となるように回転駆動する。
また、サーボプロセッサ14はシステムコントローラ10からのスピンドルキック(加速)/ブレーキ(減速)信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータドライバ17によるスピンドルモータ6の起動または停止などの動作も実行させる。
【0021】
本実施の形態においては、ディスク再生のためのディスクの回転駆動速度を可変に構成することができる。この場合、例えば、1倍速以下の倍速度についてはCLVとされ、2倍速以上の高速な倍速度についてはCAVとされる。
【0022】
このために、システムコントローラ10では、サーボプロセッサ14に対して基準速度情報を可変設定できるように構成されている。例えば、CLVにより回転駆動速度を制御する場合には、前述したデコーダ12から得られる回転速度情報と設定された基準速度情報とを比較して、この誤差に応じたスピンドルエラー信号SPEを生成するようにされるのであるが、ここでサーボプロセッサ14に対して設定すべき基準速度情報を変更すれば、CLV速度を可変することができる。
【0023】
また、CAVにより回転駆動速度を制御する場合には、例えば、サーボプロセッサ14は、スピンドルモータ2からのFGパルス(回転速度に同期した周波数信号)などによりスピンドルモータ2の回転速度を検出するとともに、システムコントローラ10から所要のCAV速度に対応する基準速度情報が供給されるようにする。
そして、上記基準速度情報とスピンドルモータ2の回転速度を比較して、その誤差情報に基づいてスピンドルエラー信号SPEを得て、このスピンドルエラー信号SPEに基づいてスピンドルモータ2の加減速を行なうことで所要のCAV速度を得るようにされる。
そして、例えばシステムコントローラ10において、上記CAV速度に対応する基準速度情報を所要の倍速度に応じて可変することでCAV速度を可変することが可能となる。
【0024】
また、サーボプロセッサ14は、例えばトラッキングエラー信号TEの低域成分から得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッドドライバ15に供給する。スレッドドライバ15はスレッドドライブ信号に応じてスレッド機構8を駆動する。スレッド機構8は光学ピックアップ1全体をディスク半径方向に移動させる機構であり、スレッドドライバ15がスレッドドライブ信号に応じてスレッド機構8内部のスレッドモータを駆動することで、光学ピックアップ1の適正なスライド移動が行われる。
【0025】
更に、サーボプロセッサ14は、光学ピックアップ1におけるレーザダイオード4の発光駆動制御も実行する。レーザダイオード4はレーザドライバ18によってレーザ発光駆動されるのであるが、サーボプロセッサ14は、システムコントローラ10からの指示に基づいて再生時などにおいてレーザ発光を実行すべきレーザドライブ信号を発生させ、レーザドライバ18に供給する。これに応じてレーザドライバ18がレーザダイオード4を発光駆動することになる。
【0026】
以上のようなサーボ及びデコードなどの各種動作は、RAM10aを含めたマイクロコンピュータ等を備えて構成されるシステムコントローラ10により制御される。
例えば再生開始、終了、トラックアクセス、早送り再生、早戻し再生などの動作は、システムコントローラ10がサーボプロセッサ14を介して光学ピックアップ1の動作を制御することで実現される。
【0027】
また、この図に示すトラバースカウンタ19は、例えばトラッキングエラー信号TEとして、対物レンズ2から照射されたレーザ光がディスクDのトラックを横断したときに得られる、いわゆるトラバース信号を入力し、このトラバース信号に基づいて、上記レーザ光が横断したトラック数を検出する回路部位とされる。このトラバースカウンタ19にて検出された横断トラック数の情報は、ランダムアクセス時等にディスク半径方向に対物レンズ2(又は光学ピックアップ1自体)を移動させる際のトラックジャンプ時の制御に利用される他、本実施の形態では、後述するようにして、第1例及び第2例としての中点エラー信号の感度検出にも用いられる。
なお、トラバースカウンタ19による横断トラック数の検出のための構成については後述する。
【0028】
また、光学ピックアップ1内において破線で括って示す回路ブロックとして、中点センサ20が示されているが、これについては、変形例として後述する。
【0029】
2.RF信号に基づく中点エラー信号の生成
前述のようにして、本実施の形態のサーボプロセッサ14においては、トラッキングエラー信号TEに基づいて中点エラー信号を検出(生成)することが可能とされる。
ここでいう中点エラー信号とは、対物レンズのトラッキング方向(ディスク半径方向)における視野位置として、例えば対物レンズがトラッキング方向において駆動されていない状態で二軸機構3に支持されている状態での位置を中立位置(基準位置)として規定し、この基準位置に対する対物レンズの変移量(移動距離に相当)を示す信号とされる。
【0030】
このような中点エラー信号は、次のようにして検出することが可能である。
なお、ここでは、1スポットのプッシュプル方式を採用している場合を前提とする。
【0031】
図3(a)に示すように、ビームスポットS1が2分割された受光領域E1(図2ではA+Dに相当)、F1(図2ではB+Cに相当)を有するフォトディテクタ5の中央にあるときは、ビームスポットS1がディスクDのトラックを横切るときフォトディテクタ5上で明暗が現れるので、トラッキングエラー信号TEのゼロクロス点がトラック中心となる。これによりトラッキングエラー信号TEを用いてトラッキングサーボ制御を行うことができる。
ところがプッシュプル方式においては、図3(b)に示すように、ビームスポットS1がフォトディテクタ5の中央からずれて動くとき、つまり対物レンズ2がラジアル方向に駆動されたときなどには、ビームスポットS1の光強度分布がフォトディテクタ5上で移動するため、トラッキングエラー信号TEは周期の遅いうねりとなるオフセット成分OFを有する信号となる。
【0032】
このようなオフセット成分OFを有するトラッキングエラー信号TEをそのまま利用したのでは、適正なトラッキングサーボ制御を行うことはできない。そこで、例えば図3(b)に示すトラッキングエラー信号TEのオフセット成分OFであるオフセット信号を抽出して、このオフセット信号を利用して、図3(b)に示すトラッキングエラー信号TEの波形に対してキャンセルをかけることによって、図3(a)に示す波形のトラッキングエラー信号TEが得られるようにする事が行われている。
上記オフセット成分OFは、これまでの説明からわかるように、対物レンズ2の視野位置として、中立位置に対するずれ量に相当する。そこで、本実施の形態では、上記オフセット成分OFに相当するオフセット信号を、中点エラー信号として利用するものである。
【0033】
図1に示したディスクドライブ装置の構成の場合、例えばサーボプロセッサにおいて、図3(b)に示すようにして得られるトラッキングエラー信号TEからピーク値をホールドする、あるいはローパスフィルタをかけることによってトラッキングエラー信号TEのエンベロープに相当する低域信号成分を抜き出し、この低域信号成分から直流分を除去することによって上記オフセット信号(図3(b))のオフセット成分OFに相当する信号)を生成するようにされる。このオフセット信号の生成処理は、本実施の形態では、例えば前述したようにRFアンプ9において行われるものとされる。そして、本実施の形態においては、このオフセット信号を利用して得られる信号を中点エラー信号Cenとしてシステムコントローラ10に出力するようにされている。
【0034】
3.中点エラー信号の感度検出(第1例)
中点エラー信号Cenは、RF信号に基づいて上述のようにして得ることができるが、この中点エラー信号Cenは、先にも述べたように、例え同一のディスクドライバにおいても、ディスクごとの変調度の相違等によってその感度が異なってくる。また、同一機種間であれば、二軸機構の感度や、レーザパワー、光学系の特性などに起因する光学ピックアップの特性のばらつき等によって中点エラー信号の感度が異なってくる。確認のため、ここでいう「中点エラー信号の感度」とは、対物レンズの実際の単位移動量あたりの中点エラー信号の変化量をいうものである。
このため、中点エラー信号として或るレベルによる変動が得られた場合、このレベル変動が、実際の対物レンズの位置状態としてどれだけの変移量に相当するものであるのかを一義的に求めることは困難である。つまり、中点エラー信号のみに依存したのでは、対物レンズの位置状態を正確に検出することができず、従って、中点エラー信号を利用した特定の制御処理を行うのにあたっては、実際の対物レンズの位置状態に応じた正確な効果を得ることが困難になる。
【0035】
そこで、本実施の形態においては中点エラー信号の感度検出を行うことで、対物レンズの実際の単位移動量あたりの中点エラー信号の変化量を求めるようにされる。この中点エラー信号の感度の情報が得られれば、中点エラー信号のレベルと、実際の対物レンズのトラッキング方向における位置との対応を情報として得ることが可能となる。
【0036】
そこで先ず、第1例としての中点エラー信号の感度検出について、図4〜図7を参照して説明する。
第1例としての中点エラー信号の感度を検出するのにあたっては、先ず、当該ディスクドライバに装填されたディスクの偏心量を検出するようにされる。
ここでいうディスクの「偏心」とは、いわゆる「偏芯」、「偏重心」といわれる状態をいうものとされる。
「偏芯」とは、物理的にディスクのセンターホール中心が重心位置と一致しているが、センターホール中心がトラック(放射状、又は同心円状)の中心と一致していないことをいう。また、「偏重心」とは、物理的にディスクのセンターホールがトラックの中心と一致しているが、センターホールの位置がディスクの重心位置と一致していないことをいう。
【0037】
上記したディスクの偏心量の検出方法としては、先に本出願人により各種提案されているのであるが、一例としては、閉ループに依るトラッキングサーボ制御を実行させずにディスクを回転駆動し、この状態の下で得られるトラッキングエラー信号TE(トラバース信号)に基づいて得るようにした方法が挙げられる。このような偏心量の検出について図4及び図5を参照して説明する。
【0038】
図4はディスクDのトラックピッチとトラバースパルスの関係を説明する摸式図であり、図4(a)はディスクDの一部を拡大して半径方向に断面とした状態でグルーブとランドを示し、図4(b)は図4(a)に示されているディスクに対して半径方向に光学ピックアップを移動させた状態で得られるトラッキングエラー信号の摸式図、図4(c)はトラッキングエラー信号に基づきトラバースカウンタ19で生成されるトラバースパルス(トラバース信号)を示している。
【0039】
図4(a)に示すように、ディスクDを半径方向に沿って断面的に見た場合には、ランド30とグルーブ31が交互に位置する状態となっている。例えば、この場合にはグルーブ31部分がデータピットの記録されるトラックとされ、従って、図のようにディスク半径方向において互いに隣り合う2つのグルーブ31、31の各中心位置間の距離がトラックピッチtpとなる。
ここで、対物レンズ2が、ディスク面に対する相対的な位置関係として図4(a)の移動軌跡33に示すように移動しながら、つまりディスク半径方向を横切るように移動しながらレーザ光を照射したとすると、トラッキングエラー信号TEとしては、図4(b)に示す波形が得られることが分かっている。つまり、ランド30とグルーブ31の中心にレーザ光が照射されたときに0レベルが得られる正弦波状の波形が得られる。
【0040】
本実施の形態のトラバースカウンタ19としては、トラッキングエラー信号TEを入力して、例えば0レベルを基準としてコンパレートしたパルス信号をコンパレートパルスとして出力するコンパレータと、このコンパレートパルスのパルス数をカウントすることのできるカウンタとを備えて構成するものとされる。
例えば、トラバースカウンタ19のコンパレータにより、前記図4(b)に示したトラッキングエラー信号TEをコンパレートした場合には、図4(c)に示すパルス波形のトラバースパルスが得られることになる。この図4(c)に示す波形と、図4(a)に示すディスク断面図を比較すると、トラバースパルスの1周期が、1トラック分を横断した状態に相当することが分かる。従って、トラバースパルスのHレベル又はLレベルのパルス本数が、トラック横断数に相当することになる。
トラバースカウンタ19では、例えばコンパレートパルスのパルス本数をカウントし、このカウント値の情報をシステムコントローラ10に出力する。システムコントローラ10では、入力されたコンパレートパルスのカウント値に基づいて、次に説明するようにしてディスクDの偏心量を算出することができる。
【0041】
先ず、偏心量を算出するためには、ディスクDを回転駆動させた状態としたうえで、フォーカスサーボループはオンとし、トラッキングサーボループをオフとしてトラッキングドライブ信号を印加しないようにすることで、対物レンズ2の移動をトラッキング方向では固定させた状態とする。この状態では、例えばディスクが1回転するごとに、その偏心の程度に応じて、対物レンズ2のレーザ光はある決まった本数のトラックを横切ることになる。従って、このとき1回転周期毎にトラバースカウンタ19にて得られたトラバースパルスのカウント値は、ディスク偏心量に対応することになる。そこで、システムコントローラ10は、次のような演算を行うことによってディスクの偏心量を求めることができる。
【0042】
ここで、図5は、ディスクDの1回転周期に対応して検出されるディスク偏心量の変化を示すものであり、縦軸が偏心量x、横軸がディスクDの回転角度を示している。
システムコントローラ10において算出すべき偏心量xとして、例えばディスクD1回転に対応する絶対量(図5におけるP−P(Peak to Peak)の範囲)を求めるのであれば、ディスクD1回転に対応して得られたトラバースパルスのカウント値をN、トラックピッチをTp(図4(a)参照)として、
x=N×Tp/2 (P−P) ・・・・(式1)
により求めることができる。つまり、カウント値Nは1回転で横断することになるトラック数を往復しているので、カウント値N/2により偏心量xに応じた実際のトラック横断数を算出する。そして、このカウント値N/2に対してトラックピッチtpを乗算すれば物理的に偏心量情報を得ることができる。
また、0レベルを基準とする偏倚量としての偏心量xを求めるのであれば、
x=N×Tp/4 (0−P) ・・・・(式2)
により求めることができる。なお、偏心量xを求める場合は前記(式1)、(式2)のどちらを使用しても良い。
【0043】
また、この第1例としての中点エラー信号の感度を検出するのには、上記偏心量xの情報と共に、例えば、次に述べる中点エラー信号の振幅レベルの情報が必要となる。
ここでは、装填されたディスクに対して閉ループによるフォーカスサーボ制御とトラッキングサーボ制御を実行している状態の下で、ディスクの1回転周期分の中点エラー信号を得る。なお、この際光学ピックアップ3は、スレッド機構8による移動は行われず固定とされる。
図6は、上記のようにして得られた中点エラー信号を概念的に示している。そして、ここではディスク1回転周期内において得られる中点エラー信号の振幅のp−p(peak to peak)レベルの情報を得るようにされる。つまり、図6において示す振幅Vp−pのレベルである。
【0044】
この図6に示す中点エラー信号は、対物レンズ2がディスク上のトラックをトレースしたのに応じて対物レンズがトラッキング方向に変移することにより得られる。この際、対物レンズ2はディスクの偏心にも追従してディスク上のトラックをトレースしている。
従って、ディスク1回転周期における対物レンズ2の最大変移量を示すものである振幅Vp−pは、そのままディスクの偏心量に対応していることになる。
【0045】
そして本実施の形態では、中点エラー信号の感度Ersを求めるのにあたり、上記偏心量x、及び中点エラー信号の振幅Vp−pを利用して
Ers=Vp−p/x[V/μm]・・・(式3)
で示す演算を行うようにされる。つまり、中点エラー信号の感度Ersとして、対物レンズの単位移動量(1μm)あたりの中点エラー信号レベルの変動量を得るものである。
【0046】
そして、本実施の形態では、例えばこの中点エラー信号の感度Ersとしての値を、例えばシステムコントローラ10内のRAM10aに保持しておくようにされる。
そして、中点エラー信号に基づいて後述するようにして各種制御処理を実行するのに際しては、例えば実際に得られた中点エラー信号のレベルをVとして、
Ers×V[μm]・・・(式4)
の演算を行えば、実際の中立位置(基準位置)からの対物レンズ2の移動量(移動距離)を知ることが可能となり、このようにして得られた対物レンズ2の移動量に基づいて制御処理を実行するようにされるものである。
これにより、例えば、その感度が検出されていないままの中点エラー信号に基づいて制御処理を実行する場合よりも、より正確で良好な制御結果が得られることになる。
【0047】
また、例えば、先に本出願人により提案されているように、検出したディスクの偏心量に基づいて、不用意な振動が生じない程度にディスク回転駆動速度を設定することを行うような場合には、ディスクドライバとしては、ディスクの偏心を検出する機能を予め備ている。
従って、この第1例のようにして中点エラー信号の感度Ersの検出機能を、上記したようなディスクの偏心量検出機能を備えたディスクドライバに適用する場合には、この偏心量検出機能を共用すればよいことになる。
【0048】
図7及び図8は、上記した方法による中点エラー信号の感度検出を、本実施の形態のディスクドライバにより実際に行うための処理動作を示すフローチャートである。なお、これらの図に示す処理はシステムコントローラ10が実行する。
【0049】
中点エラー信号の感度検出を行うのにあたっては、先ず図7のステップS101の処理により偏心量xを検出するようにされる。
このステップS101による偏心量xを検出するための処理は、図8に示すものとなる。つまり、ステップS201において装填されたディスクDを所定の速度により回転駆動させ、続くステップS202においてフォーカスサーボループをオンとするための制御処理を実行する。これにより、対物レンズ2としてはディスクDの信号面に合焦した状態が得られる。
【0050】
続くステップS203においては、スピンドルFG6aのFGパルスとしてM波検出される間のトラバースパルスをカウントしてカウント値Nを検出する。この場合のFGパルス数Mとしては、1回転で例えば12波、1/3回転で例えば4波とされており、1/3回転で偏心を検出する場合は、FGパルスが4波検出される間に何個のトラバースパルスが検出されるかをカウントすれば良い。
【0051】
先に説明した図2、図3では1回転で偏心量を算出する例を説明したが、例えば実際には、360°よりも少ない角度範囲でディスクDを回転させた時に得られるカウント値Nによっても、例えば1回転させたときのカウント値Nを補正して算出することが可能である。したがって、1/3回転の間に得られるカウント値Nによっても偏心量xをほぼ正確に算出できる。これにより偏心量xを検出するための時間を短縮することができる。
そして、上記のようにしてM波期間のカウント値Nが検出されると、ステップS204において、カウント値Nを用いて例えば前記した(式1)、(式2)を応用して偏心量xを算出する。このステップS204の処理が終了したら、図7のステップS102に移行する。
【0052】
ステップS101を経過した段階では、フォーカスサーボループはオンの状態とされているが、トラッキングサーボ制御は実行されていない状態にある。そこで、ステップS102においては、トラッキングサーボループをオンとしてオントラックの状態を得て、ステップS103に進む。
【0053】
ステップS103においては、先に図6により説明した中点エラー信号の振幅Vp−pを得るようにされる。この処理は、例えばシステムコントローラ10が、ディスク1回転周期内の中点エラー信号Cenをサーボプロセッサ14から取り込み、この中点エラー信号のプラス側とマイナス側の各々についてピークホールド等を行い、この期間に得られるピークホールド値の最大値を得るようにすればよい。
【0054】
そして続くステップS104においては、これまでの処理により得た偏心量x、及び中点エラー信号の振幅Vp−pに基づいて、先に(式3)に示した演算処理を実行することで、中点エラー信号の感度Ersを得る。そして、ステップS105により、この中点エラー信号の感度Ersの情報をRAM10aの所定領域に書き込んで保持し、この後、ステップS106により所要の終了のための処理を実行してこのルーチンを抜ける。
【0055】
なお、上記終了処理としては、例えば、この図に示す処理以降、記録又は再生動作が行われるのであれば、記録再生を開始させるための制御処理が実行され、また、一旦、停止状態に戻るようにされるのであれば、ディスク駆動を停止させるための制御処理等が実行される。
【0056】
また、上記処理動作では、偏心量xの検出に続いて、中点エラー信号の振幅量の検出を行うようにしているが、例えば中点エラー信号の振幅Vp−pの検出を行った後に、偏心量xの検出を行うようにしても構わない。更には、偏心量xの検出と中点エラー信号の振幅Vp−pの検出とを連続的に行うのではなく、それぞれ別の機会に行われるようにしても構わないものである。
【0057】
4.中点エラー信号の感度検出(第2例)
続いて、第2例としての中点エラー信号の感度検出について説明する。第2例としては、上記第1例の場合のように偏心量の情報は用いず、例えば図9のフローチャートに示すような処理動作を実行することによって、中点エラー信号の感度Ersを得る。なお、この図に示す処理もシステムコントローラ10が実行するものである。
【0058】
図9に示す処理としては、先ずステップS301において装填されたディスクの回転駆動を行い、続くステップS302においてフォーカスサーボループをオンとする。
ここまでの段階では、対物レンズ2はトラッキング方向については、中立位置にて指示されている状態が得られているものとされる。そして、続くステップS303においては、スレッド移動は伴わずに光学ピックアップ1の位置は固定した状態で、対物レンズ2を中立位置からディスク外周又は内周方向の何れか一方に対して強制的に移動開始させるための処理を実行する。この対物レンズ2の移動は、或る所定時間Tの期間実行されるものとする。また、この制御処理は、サーボプロセッサ14から、所要のトラッキング方向に対して対物レンズ2を強制移動させるための所定レベルによるトラッキングドライブ信号TDRを出力させることで実現される。
【0059】
そして、上記ステップS303の処理によって対物レンズ2が移動されている期間、続くステップS304及びS305の処理により、トラバースカウンタ19によるトラバースパルス数(つまり横断トラック数)のカウントを実行させると共に、サーボプロセッサ14にて得られる中点エラー信号のレベルの監視を行う。
【0060】
続くステップS306においては、所定時間Tが経過するのを待機して、ステップS307に進むようにされる。
ステップS307においては、対物レンズ2の強制移動のための制御を終了させ、これと共に、続くステップS308の処理により、これまでのトラバースパルスのカウント動作及び中点エラー信号レベルの監視を終了させる。
【0061】
そして、続くステップS309において、対物レンズ2の強制移動が行われていた期間内において、トラバースカウンタ19によりカウントされたトラバースパルスカウント値Nを取り込む。また、続くステップS310において、同じく、対物レンズ2の強制移動が行われていた期間(所定時間T)内における中点エラー信号のレベルの変化量ΔVを得る。
【0062】
そして、次のステップS311においては、上記トラバースパルスカウント値Nに基づいて、対物レンズ2の強制移動が行われていた期間内の物理的なレンズ移動量Lを得るための演算処理を実行する。この演算処理は、ディスクDのトラックピッチをTp[μm]として、
L=N×Tp[μm]・・・(式5)
で示す演算により求めるようにされる。
【0063】
ここで、上記レンズ移動量L、及び先に得られた中点エラー信号の変化量ΔVは、共に対物レンズ2の強制移動が行われていた期間内に対応して得られた値である。従って、中点エラー信号の変化量ΔVはレンズ移動量Lに対応していることになる。
そこで、ステップS311に続くステップS312においては、
Ers=ΔV/L[V/μm]・・・(式6)
の演算により、中点エラー信号の感度(対物レンズの単位移動量(1μm)あたりの中点エラー信号レベルの変動量)を得るようにされる。
そして、この場合も、続くステップS313により中点エラー信号の感度Ersの情報をRAM10aの所定領域に書き込んで保持し、この後、ステップS314により所要の終了のための処理を実行してこのルーチンを抜ける。
【0064】
5.中点エラー信号を利用した制御処理例
5−1.中点サーボ
上記のようにして、中点エラー信号の感度の検出を行ったうえで、中点エラー信号に基づいて或る所要の制御処理を実行するのにあたり、先に説明した(式4)を利用することで正確で良好な制御結果を得ることが可能になることは先に述べたとおりであるが、ここで、本実施の形態のディスクドライブ装置において、検出された中点エラー信号の感度を利用した制御処理として有効とされる制御処理例についていくつかの例を挙げて説明する。
【0065】
中点エラー信号に基づく制御処理の1つとしては、いわゆる中点サーボが挙げられる。
中点サーボとは、例えばシーク時において光学ピックアップをスレッド機構8によりスライド移動させる際、対物レンズ2が不用意にトラッキング方向に振動しないようにその位置を規定するための制御を行うことである。シーク時の対物レンズ2の位置としては、例えばシーク後の適正なデータ読み出し動作を考慮すると中立位置にあることが要求される。そこで、シーク中の対物レンズ2のトラッキング方向における位置状態を中点エラー信号Cenにより監視して、この中点エラー信号Cenに基づいて、対物レンズ20が中立位置にて規定されるようにトラッキングドライバに対する制御を行うものである。
【0066】
この際、本実施の形態のように、検出された中点エラー信号の感度を利用することで中点サーボの確実性を高めることができ、特に、スレッド機構による光学ピックアップ1の移動速度が高速となって、対物レンズ2に対して過剰な加速度が加わったような場合に、有効となることが分かっている。
【0067】
5−2.スレッドサーボ
また、他にはスレッドサーボが挙げられる。トラッキング制御としては、例えば周知のように、光学ピックアップ1が動いていない状態でトラックをトレースするために対物レンズ2を二軸機構によりディスク半径方向に移動させ、或る偏倚量を越えたら、スレッド機構を移動させることで継続的にトラッキングが行われるようにするものである。これがスレッドサーボである。ここで、スレッド機構を移動させるための判断を行うのにあたっては、中点エラー信号に基づいて、対物レンズ2の偏倚量が所定以上となったことを検出する場合がある。この際、検出された中点エラー信号の感度を利用することで、スレッドサーボをより正確に行うことができるものである。
【0068】
5−3.対物レンズの異常監視
また、ディスクドライブ装置では、例えば外乱等をはじめとする何らかの要因によって、対物レンズ3がトラッキング方向の限界にまで移送されたような状態から復帰ができなくなりサーボエラーとなることが起こり得る。そこで、ディスクドライブ装置では、例えば中点エラー信号を監視することで、例えば上記のような異常状態を未然に防止する、或いは異常状態から正常状態に復帰させるように制御を行う場合があるが、例えば、ここで中点エラー信号レベルに対応した対物レンズ2の実際の移動量の情報が無いと、例え中点エラー信号を監視していたとしてもエラー状態となる可能性が相応に高いことになる。そこで、本実施の形態のようにして、中点エラー信号の感度を検出して、中点エラー信号レベルと対物レンズ2の実際の移動量との関係を把握することで、対物レンズ2の異常な動きを正確に把握して、これに対応した制御を適正に実行することが可能になる。なお、中点エラー信号に基づく制御処理として、他にも必要なものがあれば、当然のこととして、中点エラー信号の感度情報を利用した制御処理とすることが可能である。
【0069】
6.変形例(中点センサによる中点エラー信号の生成)
これまでの説明においては、中点エラー信号はRF信号に基づいて得るようにされた場合を例に挙げて説明したが、この中点エラー信号は、図1に破線のブロックで示すように、光学ピックアップ3内に中点センサ20を設けることによっても得ることができる。
【0070】
中点センサ20についての構造を示す具体的な図示は省略するが、対物レンズ2のトラッキング方向の動きに連動するようにして取り付けられた細板と、対物レンズ2の中立位置に対して設けられ、上記細板に対して発光を行なうようにされている発光ダイオード素子と、上記細板を境界として分割された上記発光ダイオード素子の光を受光するフォトディテクタ、及び上記フォトディテクタにて検出される分割光の光量差を検出する差動アンプなどを備えて構成されるものである。この場合、上記フォトディテクタにて検出される分割光の光量差が対物レンズ2の中立位置に対する変移量を示すことになるので、上記差動アンプの出力信号が中点エラー信号Cenとされることになる。このような中点センサ20は、例えばMO(光磁気ディスク)などに対応するディスクドライブ装置の光学ピックアップに備えられたものが一般的にはよく知られている。
【0071】
一般に、中点センサにより得られる中点エラー信号は、RF信号に基づいて得られる中点エラー信号よりも、ディスクの反射率に依存する変調度の変動が少ないのであるが、それでも、中点エラー信号の感度には相応のばらつきが存在する。
従って、中点センサにより中点エラー信号を検出する場合にも、本実施の形態のようにして、中点エラー信号の感度を検出し、この情報に基づいて、例えば上記した各種制御処理を実行することは、制御動作の安定性、確実性を求めるうえで有効となるものである。
【0072】
なお、中点センサにより中点エラー信号を検出する構成を採る場合にも、中点エラー信号の感度を検出するのにあたっては、先に第1例、及び第2例の説明に準ずればよいものである。
【0073】
また、上記実施の形態として例に挙げたCD−ROMのディスクドライブ装置以外にも、例えばMD、MO、DVDなどのディスクドライブ装置に適用することができる。
さらにまた、本実施の形態では再生時のみを例に挙げて説明したが、本発明のディスクドライブ装置を記録装置に適用して、検出された中点エラー信号の感度を利用して、記録時に必要とされる中点エラー信号に基づいた所要の制御処理を実行させるように構成することが可能である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、中点エラー信号の感度として、対物レンズの単位移動量に対応する中点エラー信号の変化量を検出し、このようにして検出された中点エラー信号の感度を、中点エラー信号に基づく所要の制御処理を実行する際に利用するようにしている。
これにより、例えば中点エラー信号のレベルに対応する実際の対物レンズの位置を高精度で把握することが可能になるため、例えば、いわゆる中点サーボ制御、スレッドサーボ制御、及び対物レンズの位置監視等の制御処理を、中点エラー信号のレベル情報のみに基づいて実行する場合よりも、正確で安定した制御状態が得られ、それだけディスクドライブ装置としての信頼性が向上されるという効果を有している。
【0075】
また、上記中点エラー信号の感度を検出するのにあたっては、ディスクの偏心量と、この偏心量に対応する中点エラー信号の振幅変化量(ディスク1回転周期分のp−pレベル)とに基づき、対物レンズの単位移動量に対応する中点エラー信号の変化量を算出する、或いは、対物レンズを強制移動させた間に得られたトラック横断数により求められる対物レンズの移動量と、中点エラー信号の振幅変化量とに基づいて、対物レンズの単位移動量あたりの中点エラー信号の変化量を算出するという構成を採ることで、特別な機能回路部等を追加することなく、比較的簡易な構成と制御処理動作によって実現することができるものである。これにより、回路規模の拡大及びコストアップ等が抑制されることにもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のディスクドライブ装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】光学ピックアップのフォトディテクタによる検出動作を示す説明図である。
検出方法を説明する図である。
【図3】トラッキングエラー信号に基づく中点エラー信号の検出方法を説明する図である。
【図4】トラバースパルスについて説明する摸式図である。
【図5】ディスクの1回転(360°)当たりの偏心量を説明する摸式図である。
【図6】ディスク1回転周期に得られる中点エラー信号を示す波形図である。
【図7】第1例としての中点エラー信号感度の検出処理を示すフローチャートである。
【図8】ディスクの偏心量の検出処理を示すフローチャートである。
【図9】第1例としての中点エラー信号感度の検出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 光学ピックアップ、2 対物レンズ、3 二軸機構、4 レーザダイオード、5 フォトディテクタ、5a ディテクタ、5b 差動アンプ、6 スピンドルモータ、6a スピンドルFG、9 RFアンプ、7 ターンテーブル、8スレッド機構、10 システムコントローラ、10a RAM、11 二値化回路、12 デコーダ、13 インターフェース部、14 サーボプロセッサ、15 スレッドドライバ、16 二軸ドライバ、16a フォーカスコイルドライバ、16b トラッキングコイルドライバ、17 スピンドルモータドライバ、18 レーザドライバ、19 トラバースカウンタ、20 中点センサ、D ディスク
Claims (4)
- ディスク状記録媒体に対してレーザ光を照射する対物レンズの位置状態として、トラッキング方向に沿って対物レンズを駆動可能に支持する駆動機構による駆動が行われない中立状態での視野位置を基準位置として、トラッキング方向おける基準位置に対する視野位置の変移を示す中点エラー信号を出力する中点エラー信号出力手段と、
中点エラー信号の感度として、対物レンズの単位移動量あたりの中点エラー信号の変化量を検出する信号感度検出手段と、
装填されたディスク状記録媒体の偏心量を検出する偏心量検出手段と、
中点エラー信号に基づいて、ディスク状記録媒体の記録又は再生に関する所要の制御処理を実行する制御処理手段とを備え、
上記信号感度検出手段は、上記偏心量検出手段と、上記レーザ光をディスク状記録媒体に形成されているトラックに対してトレースさせるように対物レンズのトラッキング方向における位置状態を制御するトラッキングサーボ制御が実行されている状態のもとで、ディスク状記録媒体の1回転周期に対応して得られる中点エラー信号の振幅変化量を検出する中点エラー信号振幅検出手段とを備えて、上記偏心量検出手段により検出された偏心量と、上記中点エラー信号振幅検出手段により検出された中点エラー信号の振幅変化量とに基づいて、対物レンズの単位移動量あたりの中点エラー信号の変化量を検出するように構成され、
上記制御処理手段は、上記中点エラー信号の変化量に基づいて中点エラー信号のレベルに対応する上記対物レンズのトラッキング方向における基準位置に対する移動距離を得て、この移動距離の情報に基づいて上記所要の制御処理を実行可能に構成されている
ことを特徴とするディスクドライブ装置。 - 上記制御処理手段は、上記所要の制御処理として、所要の機会においてトラッキング方向における対物レンズの視野位置がほぼ中立状態で維持されるようにするための制御処理を実行可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
- 上記制御処理手段は、上記所要の制御処理として、上記レーザ光をディスク状記録媒体に形成されているトラックに対してトレースさせるように対物レンズのトラッキング方向における位置状態を制御するトラッキングサーボ制御が実行されている状態のもとで、上記対物レンズを備えてなる光学ヘッド自体をトラッキング方向に対して移送させるための移送制御を実行可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
- 上記制御処理手段は、上記所要の制御処理として、記録又は再生時において、トラッキング方向における対物レンズの視野位置を監視し、この監視された対物レンズの視野位置が異常動作として判別された場合に、所要の正常化のための制御を実行可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
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