JP4098923B2 - 画像記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、広くは赤外線波長域に感応性を有する画像記録材料に関し、特に、コンピュータ等のデジタル信号から赤外線レーザを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷用材料等に用いることができる画像記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザ(以下、「赤外線レーザ」という場合がある。)は、高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになった。これらの赤外線レーザは、コンピュータ等のデジタルデータにより直接印刷版を製版する際の記録光源として非常に有用である。従って、このような赤外線記録光源に対し、感応性の高い画像記録材料、即ち、赤外線照射により光化学反応等が起こり、現像液に対する溶解性が大きく変化する画像記録材料への要望が近年高まっている。
【0003】
このような赤外線レーザにより記録可能な画像記録材料として、米国特許第4,708,925号に記載されている、オニウム塩、フェノール樹脂、及び分光増感剤より構成される記録材料がある。この画像記録材料は、赤外線レーザ露光によって、赤外線吸収剤とアルカリ溶解性高分子との相互作用による溶解阻止作用を破壊し、露光部−未露光部の現像性の差を利用して画像を形成するポジ型画像記録材料である。
【0004】
ところが、この赤外線吸収剤とアルカリ溶解性高分子との相互作用は、画像記録材料作製直後から徐々に経時変化しており、それに伴い、画像記録材料の現像性、或いは感度が変動してしまい、場合によっては全く画像が形成できなくなるという問題があった。
【0005】
なお、WO99/02343号には、熱により揮発するアミン基、水酸基等を含む調節剤(例えば、アミン化合物)が添加された画像記録材料が提案されているが、このようなアミン化合物を添加しただけでは、経時によりアミン化合物の揮発が進行してしまうため、保存安定性が低下してしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における課題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザ等を用いて、コンピューター等のデジタルデータから記録することができる、経時安定性に優れた画像記録材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記従来における課題を解決すべく、鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、本発明は、
【0008】
少なくとも、下記(A)、及び(B)を含有し、赤外線照射によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大することを特徴とする画像記録材料である。
(A)下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位を含んでなる、脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物
(B)赤外線吸収剤
【化1】
Figure 0004098923
( 一般式(i)、(ii)中、Xは ( 主鎖側)−COO−、−CONH−、−CON(CH )−、−C −、−C SO NH−、−C CONH−、−C NHCO−、−C COO−、−C CO−、−C O−、−C S−、−C SO −を表す。一般式(i)、(ii)中、Yは、2価以上の連結基を表す。一般式(i)、(iii)中、R 、及びR は、それぞれ独立に炭化水素基、水素原子を表す。R 、及びR は、互いに結合して、Nと共に複素環を形成してもよい。一般式(ii)、(iv)中、R 、及びR は、Nと共に3〜9員の複素環を形成しうる炭化水素原子群を表す。一般式(i)、(ii)中、nは、1〜3の整数を表す。一般式(i)〜(iv)中、R は、水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子を表す。)
【0009】
本発明の画像記録材料は、必須の成分である赤外線吸収剤及び下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位を含んでなる、脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を導入した該アルカリ水可溶性高分子化合物(以下、適宜「脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物」または「アルカリ水可溶性高分子化合物」ともいう。)を用いる。これにより、赤外線吸収剤とアルカリ水可溶性高分子化合物中のアルカリ可溶性基との相互作用とは別に、アミン構造部が、該アルカリ可溶性基と新たに相互作用を形成し、ポジ型平板印刷板材料作製直後から発生する経時変化による、現像性及び感度低下を防止することができる。このため、本発明の画像記録材料は、経時安定性に優れる。このアミン構造とアルカリ可溶性基との相互作用は、アミン構造中の塩基とアルカリ可溶性基中の水酸基との間に起こる酸塩基の相互作用であると推測される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の画像記録材料について詳細に説明する。
本発明の画像記録材料は、少なくとも、(A)下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位を含んでなる、脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物、及び(B)赤外線吸収剤を含有し、赤外線照射によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する画像記録材料である。
【0011】
本発明の画像記録材料は、アルカリ水可溶性高分子化合物として下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位を含んでなる、脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を導入したアルカリ水可溶性高分子化合物を用いて、赤外線吸収剤とアルカリ水可溶性高分子化合物中のアルカリ可溶性基との相互作用とは別に、アミン構造部と、該アルカリ可溶性高分子化合物中のアルカリ可溶性基との間に相互作用を形成させることにより、経時安定性を向上させることができる。
【0012】
以下に、各構成成分を説明する。
[(A)一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位を含んでなる、脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物]
下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位を含んでなる、脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物としては、従来公知のアルカリ水溶性高分子化合物に下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位となりうる脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有する基を導入したものであれば、如何なるものでもよい。アルカリ水溶性高分子化合物としては、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基のいずれかの官能基を分子内に有する高分子化合物であることが好ましいが、これに限定されない。
【0013】
下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位を含んでなる、前記脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物として、具体的には、1分子中に、下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位となりうる脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有する基、及び重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマー(以下、アミン構造を有する重合性モノマーということがある。)と、アルカリ水可溶性高分子化合物の重合成分である(1)フェノール水酸基を有する重合性モノマー、(2)スルホンアミド基を有する重合性モノマー、及び(3)活性イミド基を有する重合性モノマーの少なくとも1種と、の共重合体、或いはこれらのモノマーと他の重合性モノマーとの共重合体が挙げられる。
【0014】
アミン構造を有する重合性モノマーとしては、下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位を形成しうる重合性モノマーが挙げられる。
【0015】
【化1】
Figure 0004098923
【0016】
一般式(i)、(ii)中、Xは(主鎖側)−COO−、−CONH−、−CON(CH)−、−C−、−CSONH−、−CCONH−、−CNHCO−、−CCOO−、−CCO−、−CO−、−CS−、−CSO −を表す。
【0017】
一般式(i)、(ii)中、Yは、2価以上の連結基を表し、該連結基としては、例えば、炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基等)、単結合等を表す。
【0018】
一般式(i)、(ii)中、Yを構成する各原子は、置換基を有してもよく、該置換基としては、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トルイル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基トルイルオキシ基等のアリールオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、シアノ基、カルボキシル基、塩素、臭素等のハロゲン原子等が挙げられる。
また、Yを構成するメチレン基は、2価のヘテロ原子で置換されてもよく、該ヘテロ原子としてはNH、O、S、Se、Te等が挙げられる。
【0019】
一般式(i)、(iii)中、Ra、及びRbは、それぞれ独立に炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、トルイル基等)、水素原子等を表す。Ra、及びRbは、互いに結合して、Nと共に複素環を形成してもよい。
【0020】
一般式(i)、(iii)中、Ra及びRbを構成する各原子は、置換基を有してもよく、該置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トルイル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、トルイルオキシ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素等)等が挙げられる。該置換基は同士は、結合して、Nと共に複素環を形成してもよい。
また、RaおよびRbを構成するメチレン基は、2価のヘテロ原子で置換されてもよく、該ヘテロ原子としてはNH、O、Se、Te等が挙げられる。
【0021】
一般式(ii)、(iv)中、RX、及びRYは、Nと共に3〜9員の複素環を形成しうる炭化水素原子群を表し、この複素環中にはO、S、Se、Te、N(H)等のヘテロ原子を含んでもよい。
【0022】
一般式(ii)、(iv)中、RX及びRYを構成する各原子は、置換基を有してもよく、該置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トルイル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、トルイルオキシ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素等)等が挙げられる。該置換基は同士は、結合して、RX、RY及びNと共に縮合複素環を形成してもよい。
【0023】
一般式(i)、(ii)中、nは、1〜3の整数を表す。nが、2以上の整数を表す場合、Ra、Rb、RX及びRYは、同じであっても、異なってもよい。
【0024】
一般式(i)〜(iv)中、Rcは、水素、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トルイル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、トルイルオキシ基等)、水酸基、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素等)等を表す。
【0025】
以下に、アミン構造を有する重合性モノマーから形成しうる構造単位の具体例((a−1)〜(a−31))を挙げるが、本発明は、これら具体例に何ら限定されない。
【0026】
【化2】
Figure 0004098923
【0027】
【化3】
Figure 0004098923
【0028】
【化4】
Figure 0004098923
【0029】
【化5】
Figure 0004098923
【0030】
(1)フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物とからなる重合性モノマー、が挙げられ、例えば、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。この具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等が挙げられる。これらフェノール性水酸基を有するモノマーは、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
(2)スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中、窒素原子に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基(−NH−SO2−)と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物とからなる重合性モノマーが挙げられ、例えば、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、下記一般式(1)〜(5)で示される化合物が挙げられる。
【0032】
【化6】
Figure 0004098923
【0033】
一般式(1)〜(5)中、X1及びX2は、それぞれ−O−又は−NR7−を示す。R1、R4、R8、R10、及びR14は、それぞれ水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12及びR16は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3及びR13は、水素原子、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6及びR17は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。R11及びR15は、それぞれ単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1及びY2は、それぞれ単結合又は−CO−を表す。
【0034】
(2)スルホンアミド基を有する重合性モノマーとして具体的には、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0035】
(3)活性イミド基を有する重合性モノマーとしては、下記式で表される活性イミド基を分子内に有するものが好ましく、1分子中に、下記式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物とからなる重合性モノマーが挙げられる。
【0036】
【化7】
Figure 0004098923
【0037】
(3)活性イミド基を有する重合性モノマーとしては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0038】
他の重合性モノマーとしては、例えば、下記(4)〜(15)に挙げるモノマーを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
(4)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(5)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(6)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(7)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(8)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(9)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(10)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(11)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(12)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(13)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(14)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(15)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0039】
脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物としては、赤外線レーザー等による露光での画像形成性に優れる点で、アミン構造を有する重合性モノマーと(1)フェノール水酸基を有する重合性モノマーとの重合体の如く、フェノール性水酸基を有することが好ましく、該重合体以外にも、脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を(1)フェノール性水酸基を有するアルカリ水可溶性高分子化合物に導入されたものを使用してもよい。このフェノール性水酸基を有するアルカリ水可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。
【0040】
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ水可溶性高分子化合物としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
【0041】
脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物の共重合の方法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることができる。
【0042】
脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物は、そのアミン構造を有する重合性モノマーと、それ以外の重合性モノマーとの配合重量比(アミン構造を有する重合性モノマー:それ以外の重合性モノマー)が、1:99〜50:50であることが好ましく、1:99〜30:70がより好ましい。アミン構造構造を有する重合性モノマーの配合重量比が少ないと、保存安定性が悪化する傾向にあり、逆に多すぎると、画像形成性及び塗布液への溶解性が低下する傾向にあり、好ましくない。
【0043】
脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物は、その重量平均分子量が1000以上であることが好ましく、2000〜700000であることがより好ましい。また、その数平均分子量が500以上であることが好ましく、750〜650000であることがより好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10であることが好ましい。
【0044】
脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物は、それぞれ1種類或いは2種類以上併用してもよく、その合計の含有量が、画像記録材料全固形分中、10〜99重量%が好ましく、20〜95重量%がより好ましく、25〜90重量%が特に好ましい。含有量が10重量%未満である場合には、耐久性が悪化する傾向にあり、また、99重量%を超える場合には、感度、画像形成性が低下する傾向があるため好ましくない。
【0045】
脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物は、従来公知のアルカリ水可溶性高分子化合物と併用してもよい。
【0046】
以下に、脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物の具体例((α−1)〜(α−15))を挙げるが、本発明は、これら具体例に何ら限定されない。なお、具体例中には、重量平均分子量(Mw)及び共重合比(モル比)を示す。
【0047】
【化8】
Figure 0004098923
【0048】
【化9】
Figure 0004098923
【0049】
【化10】
Figure 0004098923
【0050】
【化11】
Figure 0004098923
【0052】
[()赤外線吸収剤]
赤外線吸収剤としては、従来公知の赤外線吸収剤を使用することができるが、本発明におけるアルカリ水可溶性高分子化合物の構成単位間におけるポジ作用(未露光部は現像抑制され、露光部ではそれが解除又は消失される)を及ぼす必要がある点で、オニウム塩型構造を有する赤外線吸収剤が好ましい。
【0053】
オニウム塩型構造を有する赤外線吸収剤として具体的には、シアニン色素、ピリリウム塩等の染料を好適に用いることができる。好ましい上記染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、更に、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
【0054】
また、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料も好ましい染料として挙げることができる。
【0055】
更に、特願平10−79912号に記載のアニオン性赤外線吸収剤も、好適に使用することができる。アニオン性赤外線吸収剤とは、実質的に赤外線を吸収する色素の母核にカチオン構造が無く、アニオン構造を有するものを指す。
例えば、(c1)アニオン性金属錯体、(c2)アニオン性カーボンブラック、(c3)アニオン性フタロシアニン、更に(c4)下記一般式(6)で表される化合物等が挙げられる。これらのアニオン性赤外線吸収剤の対カチオンは、プロトンを含む一価の陽イオン、或いは、多価の陽イオンである。
【0056】
【化13】
Figure 0004098923
【0057】
一般式(6)中、Ga -はアニオン性置換基を表し、Gbは中性の置換基を表す。Xm+は、プロトンを含む1〜m価のカチオンを表し、mは1〜6の整数を表す。
【0058】
ここで、(c1)アニオン性金属錯体とは、実質的に光を吸収する錯体部の中心金属及び配位子全体でアニオンとなるものを指す。
(c2)アニオン性カーボンブラックは、置換基としてスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸基等のアニオン基が結合しているカーボンブラックが挙げられる。これらの基をカーボンブラックに導入するには、カーボンブラック便覧第三版(カーボンブラック協会編、1995年4月5日、カーボンブラック協会発行)第12頁に記載されるように、所定の酸でカーボンブラックを酸化する等の手段をとればよい。
このアニオン性カーボンブラックのアニオン性基に、対カチオンとしてオニウム塩がイオン結合してなるアニオン性赤外線吸収剤は本発明に好適に用いられる。
(c3)アニオン性フタロシアニンは、フタロシアニン骨格に、置換基として先に(c2)の説明において挙げたアニオン基が結合し、全体としてアニオンとなっているものを指す。
【0059】
前記(c4)一般式(6)で表される化合物について、詳細に説明する。
一般式(6)中、Mは共役鎖を表し、この共役鎖Mは置換基や環構造を有していてもよい。共役鎖Mは、下記式で表すことができる。
【0060】
【化14】
Figure 0004098923
【0061】
式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表し、これらは互いに連結して環構造を形成していてもよい。nは、1〜8の整数を表す。
【0062】
上記一般式(6)で表されるアニオン性赤外線吸収剤のうち、以下のA−1〜A−19のものが、好ましく用いられる。
【0063】
【化15】
Figure 0004098923
【0064】
【化16】
Figure 0004098923
【0065】
【化17】
Figure 0004098923
【0066】
【化18】
Figure 0004098923
【0067】
【化19】
Figure 0004098923
【0068】
【化20】
Figure 0004098923
【0069】
これらの染料は、画像記録材料中に画像記録材料全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%添加することができる。染料の添加量が0.01重量%未満であると、感度が低くなり、50重量%を超えると印刷時非画像部に汚れが発生する。
【0070】
本発明の画像記録材料には、更に感度及び現像ラチチュードを向上させる目的で、他の染料、顔料等を含有することもできる。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、スクワリリウム色素、金属チオレート錯体、アミニウム色素、ジイモニウム色素等の染料が挙げられる。
【0071】
また、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
例えば、顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0072】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。
表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が挙げられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0073】
顔料の粒径は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることが特に好ましい。前記顔料の粒径が0.01μm未満のときは、分散物の画像記録層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを超えると画像記録層の均一性の点で好ましくない。
【0074】
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0075】
これらの染料又は顔料の画像記録材料全固形分に対する添加量は、0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。また、染料の場合、特に好ましくは0.5〜10重量%であり、顔料の場合、特に好ましくは1.0〜10重量%の範囲で画像記録材料中に添加することができる。顔料又は染料の添加量が、0.01重量%未満であると感度が低くなり、また、50重量%を超えると印刷時非画像部に汚れが発生する。
【0076】
これらの染料又は顔料は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。また、上記の染料又は顔料の中でも、赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが特に好ましい。また、染料及び顔料は、2種以上併用してもよい。
【0077】
本発明の画像記録材料には、種々の添加剤を添加することができる。例えば、先に示した以外のオニウム塩、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等は熱分解性物質として作用するので、このような物質を添加すると、画像部の現像液への溶解阻止性を向上させることができるので好ましい。
【0078】
上記オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等が挙げられる。本発明において用いられるオニウム塩として好適なものとしては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、又は、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、又は特開平3−140140号公報に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.CuringASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、又は同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、Chem.& Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号公報、又は特開平2−296514号公報に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromolecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、又は同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、又はJ.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,PolymerChem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
【0079】
上記オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等が挙げられる。
これらの中でも、特に、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のようなアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
【0080】
オニウム塩の添加量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。
【0081】
また、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。好適な染料として、油溶性染料及び塩基性染料が挙げられる。
具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)、アイゼンスピロンブルーC−RH(保土ヶ谷化学(株)製)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料が挙げられる。
【0082】
これらの染料を添加すると、画像形成後の画像部と非画像部の区別が明瞭になるため、添加する方が好ましい。尚、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10重量%が好ましい。
【0083】
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加することもできる。
環状酸無水物類としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4 −テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
【0084】
フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタン等が挙げられる。
【0085】
有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報等に記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類等が挙げられ、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸等が挙げられる。
【0086】
環状酸無水物類、フェノール類及び有機酸類の画像記録材料中に占める割合は、0.05〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.1〜10重量%が特に好ましい。
【0087】
本発明の画像記録材料には、現像条件に対する処理の安定性を向上させるため、特開昭62−251740号や特開平3−208514号に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−13149号に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
【0088】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0089】
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
【0090】
非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像記録材料中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。
【0091】
本発明の画像記録材料中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。
具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料との組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料との組合せが挙げられる。前記トリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
【0092】
本発明の画像記録材料中に、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、特願平7−18120号公報記載のヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び、特願平9−328937号公報等に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物等を添加すると、保存安定性の点で好ましい。
【0093】
本発明の画像記録材料中には、必要に応じて塗膜に柔軟性等を付与するために可塑剤を添加することもできる。
例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等を好適に用いることができる。
【0094】
本発明の画像記録材料中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。その好ましい添加量は、全印刷用材料の0.01〜1重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0095】
[平版印刷版]
本発明の画像記録材料は、平版印刷版の記録層用の材料として好ましく用いられる。
以下に、本発明の画像記録材料を用いた平版印刷版の製造方法について説明する。
平版印刷版は、通常、上記各成分を溶媒に溶かして適当な支持体上に塗布することにより製造される。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、感光性印刷版として用いられる場合は、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。
塗布する方法としては種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等が挙げられる。塗布量が少なくなるにつれて見かけの感度は大になるが、感光膜の被膜特性は低下する。この塗布層は、平版印刷版において感光層となる。
【0096】
支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート若しくは蒸着された、紙或いはプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0097】
支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板、及びアルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。
特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように前記アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。
【0098】
アルミニウム板の厚みは、およそ0.1〜0.6mm程度、好ましくは0.15〜0.4mm、特に好ましくは0.2〜0.3mmである。
【0099】
アルミニウム板は粗面化して用いられるが、粗面化するに先立ち、所望により表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理を行うこともできる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法、又は化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。前記機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、前記電気化学的な粗面化法としては、塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
【0100】
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0101】
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化被膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0102】
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。前記親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
【0103】
支持体と感光層との間には、必要に応じて、下塗層を設けることもできる。下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸等の有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニン等のアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
【0104】
この有機下塗層は次のような方法で設けることができる。
水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水等によって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。
前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩基性物質や、塩酸、リン酸等の酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
【0105】
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
【0106】
製造された平版印刷版は、通常、像露光、現像処理を施され、画像を形成する。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線等がある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
前記レーザービームとしては、ヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマレーザー、固体レーザー、半導体レーザー等が挙げられる。これらのうち、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
【0107】
用いる現像液及び補充液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。
また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0108】
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2 とアルカリ金属酸化物M2 O(Mはアルカリ金属を表す。)の比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0109】
更に、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷版を処理できることが知られており、この補充方式が好ましく適用される。
前記現像液及び補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。更に、現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
【0110】
現像液及び補充液を用いて現像処理された平版印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷版として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0111】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。前記平版印刷版も、この自動現像機にて処理を施すことができる。この自動現像機は一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながらポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理する。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0112】
画像露光、現像、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きを施された後、平版印刷版上に不必要な画像部(例えば、原画フィルムのフィルムエッジ跡等)がある場合は、その不必要な画像部を消去する処置をとることもできる。消去方法としては、例えば、特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置した後に水洗する方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
【0113】
以上の処理を施された平版印刷版は、所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができる。耐刷力を向上させる目的で、バーニング処理を施してもよい。平版印刷版をバーニング処理する場合には、該バーニング処理前に、特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に平版印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布等が適用される。また、塗布した後にスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にするとより好ましい。整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥重量)が適当である。
【0114】
整面液が塗布された平版印刷版を乾燥した後、バーニングプロセッサー(例えば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)等で高温に加熱してもよい。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
【0115】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来より行われている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合には、ガム引き等のいわゆる不感脂化処理を省略することもできる。
【0116】
この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等に組込まれ、用紙等の印刷に用いられる。
【0117】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
<アルカリ水可溶性高分子化合物の合成>
(共重合体Pの合成)
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
【0118】
この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、湯浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、得られた混合物を水1L中にこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これに水500mlを加えてスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。
【0119】
次に、攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた100ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.0210モル)、メタクリル酸エチル2.05g(0.0180モル)、アクリロニトリル1.11g(0.021モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物にラジカル重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:「V−65」、和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g、メタクリル酸エチル2.05g、アクリロニトリル1.11g、N,N−ジメチルアセトアミド20g及び上記「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、得られた混合物をさらに65℃で2時間攪拌した。反応終了後、メタノール40gを混合物に加え冷却し、得られた混合物を水2L中にこの水を攪拌しながら投入し、30分間混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出して乾燥し、白色固体の共重合体P15gを得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、この共重合体Pの重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ、5.3×104 であった。
【0120】
[実施例1]
以下の組成の感光液1を調製した。
Figure 0004098923
【0121】
【化21】
Figure 0004098923
【0122】
<支持体の作製>
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用いこの表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。このアルミニウム板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2 であった。次に、このアルミニウム板を、7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2 で3g/m2 の直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗、乾燥し、さらに下記下塗り液Aを塗布し、塗膜を90℃で1分間乾燥した。乾燥後の塗膜の塗布量は10mg/m2 であった。
【0123】
(下塗り液Aの組成)
・β−アラニン 0.50g
・メタノール 95 g
・水 5.0 g
上記得られた支持体の下塗り層上に、乾燥後の塗布量が1.8g/m2 になるよう前記感光液1を塗布し、平版印刷版を得た。これを、実施例1とした。
【0124】
[実施例2〜5、参考例1
前記感光液1の調製において、バインダー1、及びバインダー2として、表1に示すものを用いた以外は、実施例1と同様に平板印刷版を得た。これを実施例2〜5、参考例1とした。なお、表1中の「A」とは、(m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量3500、未反応クレゾール0.5重量%含有))を示す。
【0125】
[比較例1]
前記感光液1の調製において、バインダー1、及びバインダー2として、表1に示すものを用いた以外は、実施例1と同様に平板印刷版を得た。これを比較例1とした。
【0126】
[実施例
下記組成の感光液2を調製した。
<感光液2の組成>
・バインダー1(前記共重合体P) 0.60g
・バインダー2(前記(α−5)) 0.40g
・赤外線吸収剤(IR−2) 0.20g
・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレ
ンスルホン酸アニオンにした染料 0.02g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本イン
キ化学工業(株)製) 0.05g
・γ−ブチロラクトン 3.0 g
・メチルエチルケトン 8.0 g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7.0 g
【0127】
【化22】
Figure 0004098923
【0128】
前記実施例1で得られたと同一の支持体に、塗布量が1.8g/m2 になるよう感光液2を塗布し、平版印刷版を得た。これを実施例とした。
【0129】
[実施例7〜9、参考例2〜3
前記感光液2の調製において、バインダー1、及びバインダー2として、表1に示すものを用いた以外は、実施例と同様に平印刷版を得た。これを実施例7〜9、参考例2〜3とした。なお、表1中の「B」とは、前記共重合体Pを示す。
【0130】
[比較例2]
前記感光液2の調製において、バインダー1、及びバインダー2として、表1に示すものを用いた以外は、実施例と同様に平印刷版を得た。これを比較例2とした。
【0131】
上記のように作製した実施例、参考例および比較例の各平版印刷版について、下記の基準に基づき性能評価を行った。結果を表1に示す。
【0132】
<感度の評価>
実施例、参考例および比較例の平版印刷版を、波長840nmの半導体レーザを用いて露光した。露光後、富士写真フイルム(株)製現像液DP−4、リンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機(「PSプロセッサー900VR」,富士写真フイルム(株)製)を用いて現像した。現像液DP−4は、1:6で希釈したものと1:12で希釈したものの二水準を用意した。
【0133】
上記DP−4の1:6で希釈した現像液にて得られた非画像部の線幅を測定し、その線幅に相当するレーザーの照射エネルギーを求め、感度の指標(mJ/cm2 )とした。この測定値(mJ/cm2 )が小さいほど、平版印刷版の感度が高いことを示す。
【0134】
<保存安定性の評価>
実施例、参考例および比較例の平版印刷版を温度60℃、湿度45%RHの環境下で3日間保存し、その後、前記と同様の方法でレーザ露光および現像を行い、同様に感度を求め(1:6で希釈した現像液DP−4使用)、前記の結果と比較しその差を求め、保存安定性の指標とした。感度の変動は、20mJ/cm2 以下であれば、保存安定性は良好であり、実用可能なレベルである。
【0135】
【表1】
Figure 0004098923
【0136】
表1より、実施例の平版印刷版は、比較例の平版印刷版に比べ、赤外線レーザに対する感度が高く、保存前後における感度変動が極めて小さく、保存安定性に優れ、十分に実用可能なレベルを満足している。
【0137】
【発明の効果】
以上により、本発明は、赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザ等を用いて、コンピューター等のデジタルデータから記録することができる、経時安定性に優れた画像記録材料を提供することができる。

Claims (1)

  1. 少なくとも、下記(A)、及び(B)を含有し、赤外線照射によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大することを特徴とする画像記録材料。
    (A)下記一般式(i)〜(iv)から選択される構造単位を含んでなる、脂肪族アミン構造又は芳香族アミン構造を有するアルカリ水可溶性高分子化合物
    (B)赤外線吸収剤
    Figure 0004098923
    ( 一般式(i)、(ii)中、Xは ( 主鎖側)−COO−、−CONH−、−CON(CH )−、−C −、−C SO NH−、−C CONH−、−C NHCO−、−C COO−、−C CO−、−C O−、−C S−、−C SO −を表す。一般式(i)、(ii)中、Yは、2価以上の連結基を表す。一般式(i)、(iii)中、R 、及びR は、それぞれ独立に炭化水素基、水素原子を表す。R 、及びR は、互いに結合して、Nと共に複素環を形成してもよい。一般式(ii)、(iv)中、R 、及びR は、Nと共に3〜9員の複素環を形成しうる炭化水素原子群を表す。一般式(i)、(ii)中、nは、1〜3の整数を表す。一般式(i)〜(iv)中、R は、水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子を表す。)
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