JP4098651B2 - ウォーターポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポンプにおいて蒸気排出通路及び水抜き通路及びこれらへの泥水,異物等の混入を防止する部位を一体的に鋳抜き成形することができるウォーターポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常のウォーターポンプには、ポンプハウジング内にポンプ室と,インペラ軸受室を有し、そのポンプ室と軸受室とを水密的に区画するメカニカルシールが装着されている。さらに上記ウォーターポンプの具体例として、下記特許文献1が存在している。この特許文献1は、以下のような構造となっている。メカニカルシール装着箇所は、軸受室から延長されて形成される空間が設けられており、メカニカルシールの周囲に適宜の容積の空間が形成されている。そして、その空間箇所にポンプハウジングの外部に連通する蒸気排出通路と水抜き通路が形成されている。その蒸気排出通路と水抜き通路とは、ポンプハウジングの軸線方向に沿って形成された別々の通路と連通している。
【0003】
すなわち、蒸気排出通路の開口箇所は、ポンプハウジングの外部に形成された上部側カバー部により覆われる構造となる。また、水抜き通路の水抜き開口は、ウォーターポンプハウジングの外側に設けられた下部側カバーにより覆われる構造となる。その下部側カバー部は、メカニカルシールからの漏水を貯蔵するための水滴溜部としての役目をなす。さらに、その水滴溜部の開口部に蓋体を取り付けている構造である。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−213349
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載されている種のウォーターポンプでは、蒸気排出口及び水滴排出口は、インペラの回転軸の軸方向と垂直な方向に形成されている。この蒸気排出口及び水滴排出口が切削加工されるには、水滴溜部の下面から蒸気排出口側にある外部連通孔に向かってドリルを移動させることによって孔開け室加工される。さらにまた、蒸気排出口と水抜き口とが、それぞれ軸心が異なるように斜め方向に孔開け室加工されるタイプも存在するが、このタイプでは蒸気排出口と水抜き口とを形成する孔開け室加工を別々に行う必要があり、工程数が増し、ひいては加工コストも上昇するものである。
【0006】
さらに、上記特許文献1では、水抜き口の開口側に設けられた水滴溜部はウォーターポンプハウジングの軸方向にテーパー状に開口しているので、ポンプハウジングの外部に蓋体を設けて、溜部を形成しなければ水滴溜部として使用できない。そのため、ポンプボディーとは別材の蓋体という構成部品を設けて水滴溜部を構成しなければならないので、構成部品が増加し、且つコストを高めることになる。
【0007】
このように、蒸気排出通路と水抜き通路のそれぞれの開口に塵埃、泥水などの侵入を防ぐ構造とするために、必要な構造物を装着し、且つ水滴溜部を形成することは構造が複雑となり、製造を簡単にし、コスト低減を図る等ということは極めて困難となる。本発明の目的は、蒸気排出通路及び水抜き通路において塵埃、泥水などの侵入を防止する構造と、メカニカルシールからの漏水溜構造を極めて簡単にして、鋳抜きによる効率的な製造ができる構造とすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、本発明を、内部にポンプ室と軸受室との間に空隙室が形成されたポンプハウジングの前記空隙室箇所の内部と外部とを連通する蒸気排出通路と水抜き通路とが上下方向にそれぞれ形成され、前記蒸気排出通路の外面側排出開口と水抜き通路の各外面側水抜き開口が包囲される包囲部が形成され、前記水抜き通路は前記空隙室の略直下箇所に外面側水抜き開口が形成され、前記蒸気排出通路は軸孔状とし、前記包囲部の頂面部と底面部及び蒸気排出通路は略平行且つ傾斜し、その傾斜上方側に包囲開口部が形成されてなるウォーターポンプとしたことにより、ポンプハウジングに蒸気排出通路及び水抜き通路を形成するとともに、これらに対する塵埃、泥水などの侵入防止の構造物及びメカニカルシールからの漏水溜部を極めて簡単な構造とし、且つ極めて効率的に製造することができ、上記課題を解決したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明の第1タイプから説明すると、ポンプハウジングAは、その内部に、図4に示すように、ポンプ室1と軸受室2とが形成されている。該軸受室2は、内周が円形状であり、インペラ軸11の軸受部11aが収納状態にて装着される。さらに前記ポンプ室1と軸受室2との間には、空隙室3が形成されている。該空隙室3は、前記軸受室2と同一内径の円周内壁面にて囲まれた部屋である。或いは、その空隙室3の内径は軸受室2よりも大きく形成されることもある。前記ポンプ室1には、インペラ10がインペラ軸11を介して回動自在に配置されている。そのインペラ軸11の軸受部11aは、前記軸受室2に装着される。前記メカニカルシール9は、軸受室2に装着され、軸受室2と空隙室3とが仕切られる。
【0010】
ポンプハウジングAにおいて、前記軸受室2及び空隙室3の外部側は、同一軸心を共有する円筒形状とした円筒状外部A1 として形成されている。すなわち、換言すると該円筒状外部A1 の内部に軸受室2及び空隙室3が一列状に存在するものである。また、ポンプ室1の外部側は、インペラ筺部A2 としている。そして、その円筒状外部A1 の周囲と前記インペラ筺部A2 とは、略直角に接続し、その接続箇所に補強リブ等が形成されている。その円筒状外部A1 とインペラ筺部A2 との接続箇所は、略ポンプハウジングA内部の空隙室3の位置に対応している。
【0011】
この箇所における円筒状外部A1 に、ポンプハウジングAの内部と外部とを連通する水抜き通路4と蒸気排出通路5とが形成される。具体的には、ポンプハウジングAの空隙室3箇所において水抜き通路4と蒸気排出通路5とが形成されている。その蒸気排出通路5は、図1(A)に示すように、直線の軸孔状に形成されており、且つ空隙室3側が下方となるように傾斜している。
【0012】
その水抜き通路4の外面側水抜き開口4aは、ポンプハウジングAの外部側に位置する開口であり、同様に蒸気排出通路5の外面側排出開口5aはポンプハウジングAの外部側に位置する開口である。その水抜き通路4の形状は、図1(A)に示すように、円筒状外部A1 の一部が切除されて、空隙室3の略直下箇所にて内部と外部とが連通するように形成されたものである。さらに前記外面側水抜き開口4aと、外面側排出開口5aとは、図1(B)に示すように、後述する包囲部6によって包囲されるように覆われている。
【0013】
その包囲部6は、前記円筒状外部A1 とインペラ筺部A2 との間に筺体形状として形成されたものであって、図1(A),(B)に示すように、頂面部6aと底面部6b及び覆部6cとからなり、包囲開口部6dを有している。また、前記包囲部6の内部には、隔壁部7が形成されており、該隔壁部7によって前記包囲部6内の外面側水抜き開口4aと外面側排出開口5aとが仕切られる。
【0014】
そして、前記包囲開口部6d側の包囲部6の稜線の上下方向が鉛直方向になるような状態にして見たときに、前記円筒状外部A1 側より見た包囲部6の正面形状は、略平行四辺形状となっている。そして、図1(A)に示すように、ポンプハウジングAを上下(鉛直)方向に設定した状態で、前記頂面部6a及び底面部6bは、傾斜状に形成され、且つ頂面部6aと底面部6bとは、平行(略平行も含む)に形成される。さらに、前記蒸気排出通路5の軸孔方向における軸孔心5pは、前記頂面部6a及び底面部6bと平行である。この平行には、略平行状態も含まれ、図1(A),図2(B)に示すように、その蒸気排出通路5の軸孔心5pと前記頂面部6a又は底面部6bとの平行に対して相互に傾斜角度が約5°程度となる傾斜状態も平行の許容範囲とする。
【0015】
その頂面部6aと底面部6bは、図1(A)に示すように、傾斜上方すなわち包囲開口部6d側に向かうに従い、次第に肉厚が薄くなるように形成される。これは、中子15を介して鋳抜きを行うときの抜け勾配となる〔図2(A),(B)参照〕。また、前記蒸気排出通路5の軸孔心5pと頂面部6a(底面部6bも含む)とは同一の傾斜になっている。その水抜き通路4の形状は、図1(A)に示すように、円筒状外部A1 の一部が切除されて、空隙室3の内部と外部とが連通するように形成されたものである。
【0016】
また、蒸気排出通路5の外面側排出開口5aが位置する箇所には、前記円筒状外部A1 の外周面より突出状の厚肉膨出部8が形成され、該厚肉膨出部8に外面側排出開口5aが形成されるものである。その厚肉膨出部8の外面側排出開口5aが形成される成形面は、前記ポンプハウジングAの上下(鉛直)方向の軸線に略平行又はその軸線に対して下方向きに傾斜した平坦面に形成されている。この水抜き通路4,蒸気排出通路5,包囲部6及び隔壁部7の成形は、ポンプハウジングAをアルミニウム合金,マグネシウム合金等でダイカスト鋳造等の鋳造をするときに、中子15にて鋳抜き成形される。
【0017】
その隔壁部7は、水抜き通路4の外面側水抜き開口4aの上方箇所を覆うようにして包囲し、塵埃、泥水などが外面側水抜き開口4aから水抜き通路4内に侵入するのを防止し、また、外面側水抜き開口4aの下方に位置して設けられた底面部6bは雨水などが包囲部6内に溜まることを防ぐ役目をなし、さらにその内部では、後述するように漏水貯蔵面6b1 としての役目をなすものである。さらに、前記隔壁部7は、ポンプハウジングAの包囲部6の補強リブとしての役目もなすものである。
【0018】
本発明では、水抜き通路4,蒸気排出通路5,包囲部6及び隔壁部7は、中子15によって鋳抜き成形されるものである。そして、前記隔壁部7の上面側を傾斜面状にして、包囲開口部6d側に向けて肉厚が次第に薄くなるようにして、(ポンプハウジングAを上下方向に設定した状態における)隔壁部7の断面形状を扁平三角形状或いは楔形状にすることで、鋳抜きにおける抜け勾配となる。さらに、完成後には、前記蒸気排出通路5側からの垂水が隔壁部7上面側に溜まることなく、迅速に排水できるものである。また前記隔壁部7の上面側を隔壁上面7aと称し、下面側を隔壁下面7bと称すると、前記隔壁上面7aは前記包囲部6の包囲開口部6d側が下方となるような傾斜面であり、隔壁下面7bは前記包囲開口部6d側が上方となる傾斜面として形成される。これによって、中子15により隔壁部7の鋳抜き成形を行いやすくできる。
【0019】
その包囲開口部6dは、図1(A),(B)に示すように、包囲部6の頂面部6a及び底面部6bの傾斜上方に位置する側面に形成されている。その包囲開口部6dの奥側に、水抜き通路4の外面側水抜き開口4aと、蒸気排出通路5の外面側排出開口5aとが位置することになる。そして、包囲開口部6dから、水抜き通路4からの漏水が排出され、蒸気排出通路5からの蒸気が排出される。包囲開口部6dは、その包囲部6を正面よりみたときに前述したように平行四辺形状をなしているが、その上方に位置する側面〔図1(A)において包囲部6の左側〕に包囲開口部6dが形成され、下方側に位置する側面〔図1(A)において包囲部6の右側〕は閉鎖側面6eとなっている。
【0020】
そして、外面側水抜き開口4aは、その閉鎖側面6e側寄りに位置することになる。該閉鎖側面6eは、前記円筒状外部A1 の外周より突出状に形成されるが、他の頂面部6a,底面部6b及び覆部6c等に比較するとあまり目立たない部位である。前記外面側水抜き開口4aと前記底面部6bとの間には、適宜の間隔を有する形状とすることで、その底面部6bは水抜き通路4からの漏水を一時的に貯蔵する漏水貯蔵面6b1 とすることができる。前記水抜き通路4の外面側水抜き開口4aの下方には、閉鎖側面6eが形成され、該閉鎖側面6eに略直角となるようにして底面部6bが形成される。前記底面部6bの漏水貯蔵面6b1 は、底面部6bと閉鎖側面6eにより構成されるものである。
【0021】
その漏水貯蔵面6b1 の傾斜状態は、適宜に設定されればよいが、特にメカニカルシール9からの許容漏量が適正に溜められて、正常の範囲の排出水を管理できることが必要である。前記隔壁部7は、図1(A)等に示すように底面部6bの傾斜状上端箇所より外方へ張り出していることが好ましい。さらに、漏水貯蔵面6b1 は、ポンプハウジングAと同じ材質にて一体成形されているので、エンジンブロックの熱などにより、水の乾燥を促進させることができ、ポンプハウジングAの外面に形成される水漏れ跡などによる汚れを低減できるものである。
【0022】
次に中子15は、図2(A),(B)に示すように、包囲部6の内部と、水抜き通路4及び蒸気排出通路5等を鋳抜き成形するものである。実際には、包囲部6の内部に形成される隔壁部7の上方箇所と下方箇所に分けて2つの水抜き側中子15a及び蒸気排出側中子15bから構成されるものである。そして、水抜き側中子15a,蒸気排出側中子15bは、一体化されたブロック状に形成され、前記包囲部6の底面部6bと水抜き通路4を成形し、蒸気排出側中子15bは、包囲部6の頂面部6aと蒸気排出通路5及び厚肉膨出部8を成形する。
【0023】
前記水抜き側中子15a及び蒸気排出側中子15bは、それぞれ覆部6cを成形するとともに、隔壁部7の下面及び上面を傾斜状に成形する。特に、蒸気排出側中子15bには、蒸気排出通路5を直線の軸孔状に形成するための、軸中子15b1 を有している。ポンプハウジングAを鋳造するときには、この中子15が鋳型内部に配置される。その包囲部6が形成された状態で中子15が鋳抜きされるが、蒸気排出通路5の通路方向は、前記頂面部6a,底面部6bと略平行にしているので、図2(A),(B)に示すように、一つの中子15の鋳抜きにて、前記軸中子15b1 が蒸気排出通路5の軸状孔を成形し、水抜き側中子15aの角部箇所が水抜き通路4を成形つ、一回の鋳抜きにより極めて容易に水抜き通路4,蒸気排出通路5及び包囲部6の成形ができる。
【0024】
また、水抜き側中子15aと蒸気排出側中子15bとの間は隔壁部側成形凹部15cとなっており、該隔壁部側成形凹部15cの形状を三角凹状とすることで、断面三角形状の隔壁部7が鋳抜き成形される。特に前記隔壁部7の上面側が包囲開口部6d側に向かって下向き傾斜状とした場合には、鋳抜きがより一層行い易くなる。本発明では、包囲部6内に水抜き通路4,蒸気排出通路5及び隔壁部7が形成され、且つこれら水抜き通路4,蒸気排出通路5及び隔壁部7が一方向に向くようにしているので、これらの中子15による鋳抜き成形が極めて容易且つ効率的にできるものである。また、図3(A)は、本発明の第2タイプであり包囲部6の内部に隔壁部7が形成されない構造としたものである。また、図3(B)は、本発明の第3タイプであり、隔壁部7が平板状に形成された構造としたものである。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の発明は、内部にポンプ室1と軸受室2との間に空隙室3が形成されたポンプハウジングAの前記空隙室3箇所の内部と外部とを連通する蒸気排出通路5と水抜き通路4とが上下方向にそれぞれ形成され、前記蒸気排出通路5の外面側排出開口5aと水抜き通路4の各外面側水抜き開口4aが包囲される包囲部6が形成され、前記水抜き通路4は前記空隙室3の略直下箇所に外面側水抜き開口4aが形成され、前記蒸気排出通路5は軸孔状とし、前記包囲部6の頂面部6aと底面部6b及び蒸気排出通路5は略平行且つ傾斜し、その傾斜上方側に包囲開口部6dが形成されてなるウォーターポンプとしたことにより、ポンプハウジングAに水抜き通路4及び蒸気排出通路5を形成するとともに、これらに対する塵埃、泥水などの侵入防止の構造及びメカニカルシール9からの漏水溜構造を極めて簡単な構造により形成することができ、その構造と前記水抜き通路4及び蒸気排出通路5等を包囲する包囲部6とともに極めて効率的に製造することができる。
【0026】
上記効果を詳述すると、ポンプハウジングAの内部と外部とを連通する蒸気排出通路5と水抜き通路4とが上下方向に形成され、前記蒸気排出通路5の外面側排出開口5aと水抜き通路4の各外面側水抜き開口4aを包囲する包囲部6が形成され、該包囲部6の頂面部6aと底面部6bとが略平行且つ傾斜し、その傾斜上方側に包囲開口部6dが形成されている。特に、前記蒸気排出通路5は、軸孔状に形成されるとともに、その軸孔方向が前記包囲部6の頂面部6aと底面部6bと平行としたので、この包囲部6が中子15にて成形されるときには、該中子15による一回の鋳抜きで成形が可能となり、前記蒸気排出通路5と水抜き通路4とを包囲部6とともに一体成形することができる。このとき、水抜き通路は、特に軸孔状にする必要はなく、空隙室3の略直下に開口が成形されるのみで、十分に水抜きが行われる。
【0027】
さらに、水抜き通路4及び蒸気排出通路5は中子15により鋳抜き成形され、ドリル等の切削手段による孔開け加工が不要であるため、加工コストが低減できる。また、包囲部6等がポンプハウジングAに鋳抜きにより一体的に成形されるので、構成部品を増加させないため、コスト低減ができる。これによって、ポンプハウジングAの製造が極めて効率的にできる。
【0028】
さらに、包囲部6の頂面部6aと底面部6bとが略平行且つ傾斜し、その傾斜上方側に包囲開口部6dが形成されているので、包囲部6の形状のみで外面側水抜き開口4aと外面側排出開口5aに対する塵埃、泥水などの侵入を防止する構成とすることができ、且つ底面部6bには漏水貯蔵面6b1 が中子15の鋳抜きにて容易に形成されるものである。
【0029】
請求項2の発明は、請求項1において、前記外面側水抜き開口4aと前記底面部6bとの間には適宜の間隔を有してなるウォーターポンプとしたことにより、前記底面部6bの上面側に形成される漏水貯蔵面6b1 は、適当な量の漏水の貯蔵ができ、ウォーターポンプのメカニカルシール9からの漏水により、メカニカルシール9の状態を適正に判断することができる。
【0030】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記包囲部6内には前記外面側排出開口5aと前記外面側水抜き開口4aとを仕切る隔壁部7が形成されてなるウォーターポンプとしたことにより、水抜き通路4及び蒸気排出通路5への塵埃、泥水などの侵入をより一層確実に防止することができるし、包囲部6の補強ができる等の効果を奏する。
【0031】
その隔壁部7は、水抜き通路4と蒸気排出通路5とを仕切る部位であり、これによって、水抜き通路4と蒸気排出通路5との包囲開口部6dも二つに分けられ、水抜き通路4と蒸気排出通路5に連通する通路が狭くなる。したがって、隔壁部7により水抜き通路4及び蒸気排出通路5がそれぞれ個別に包囲される状態となり、塵埃、泥水などが侵入しにくい構造にすることができる。さらに、隔壁部7は、包囲部6の内部において補強リブとしての役目もなすものである。
【0032】
次に、請求項4の発明は、請求項3において、前記隔壁部7における隔壁上面7aは前記包囲部6の包囲開口部6d側が下方となる傾斜面とし、隔壁下面7bは前記包囲部6の包囲開口部6d側が上方となる傾斜面としてなるウォーターポンプとしたことにより、蒸気排出通路5側の垂水を迅速に排出することができる。これは、蒸気排出通路5からの蒸気が冷やされて垂水となったときに、外面側排出開口5aが包囲開口部6d側に向かうにしたがい下方に傾斜するので、蒸気排出通路5側からの垂水が隔壁部7上面側に溜まることなく、包囲開口部6dから迅速に排水できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1タイプの要部縦断正面図
(B)は本発明の第1タイプの要部の斜視図
【図2】(A)は第1タイプにおける包囲部成形位置に中子が設けられている状態図
(B)は第1タイプにおける包囲部成形箇所から中子を引き抜いた状態図
【図3】(A)は本発明の第2タイプの要部縦断正面図
(B)は本発明の第3タイプの要部縦断正面図
【図4】本発明のウォーターポンプの縦断側面図
【符号の説明】
A…ポンプハウジング
4…水抜き通路
4a…外面側水抜き開口
5…蒸気排出通路
5a…外面側排出開口
6…包囲部
6a…頂面部
6b…底面部
6d…包囲開口部
7…隔壁部

Claims (4)

  1. 内部にポンプ室と軸受室との間に空隙室が形成されたポンプハウジングの前記空隙室箇所の内部と外部とを連通する蒸気排出通路と水抜き通路とが上下方向にそれぞれ形成され、前記蒸気排出通路の外面側排出開口と水抜き通路の各外面側水抜き開口が包囲される包囲部が形成され、前記水抜き通路は前記空隙室の略直下箇所に外面側水抜き開口が形成され、前記蒸気排出通路は軸孔状とし、前記包囲部の頂面部と底面部及び蒸気排出通路は略平行且つ傾斜し、その傾斜上方側に包囲開口部が形成されてなることを特徴とするウォーターポンプ。
  2. 請求項1において、前記外面側水抜き開口と前記底面部との間には適宜の間隔を有してなることを特徴とするウォーターポンプ。
  3. 請求項1又は2において、前記包囲部内には前記外面側排出開口と前記外面側水抜き開口とを仕切る隔壁部が形成されてなることを特徴とするウォーターポンプ。
  4. 請求項3において、前記隔壁部における隔壁上面は前記包囲部の包囲開口部側が下方となる傾斜面とし、隔壁下面は前記包囲部の包囲開口部側が上方となる傾斜面としてなることを特徴とするウォーターポンプ。
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